JPH1111952A - コバルト化合物の製造方法及びコバルト化合物 - Google Patents

コバルト化合物の製造方法及びコバルト化合物

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JPH1111952A
JPH1111952A JP9184652A JP18465297A JPH1111952A JP H1111952 A JPH1111952 A JP H1111952A JP 9184652 A JP9184652 A JP 9184652A JP 18465297 A JP18465297 A JP 18465297A JP H1111952 A JPH1111952 A JP H1111952A
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cobalt
compound
cobalt compound
lithium
present
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JP9184652A
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Ryoji Yamada
亮治 山田
Kenji Hashimoto
健次 橋本
Shinichiro Ban
信一郎 伴
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Ise Kagaku Kogyo KK
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Ise Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性が低く、微細で、発達した大きな
結晶を持たず、固相での高い反応性を有するコバルト化
合物粒子の安価で簡便な製造方法の提供。 【解決手段】 不定形もしくは多形の3価コバルト化合
物の一方または両方を120〜910℃温度で熱処理し
て製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコバルト化合物、特
にリチウムコバルト複合化合物のコバルト源として好適
に用いられるコバルト化合物及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】六方晶系の層状結晶構造を持つ遷移金属
酸化物は、適当なサイズの金属イオンを結晶の格子サイ
ト及び/又は格子間に導入できることが知られている。
特にリチウム層間化合物は、特定の電位差の下でリチウ
ムイオンを結晶粒子サイト及び/又は格子間に導入し、
再びこれを取り出すことができることから、リチウム複
合酸化物を電極活物質としたリチウム電池、二次電池が
工業的に利用、生産されている。
【0003】電極活物質としては、コバルト酸リチウム
が最も基本であり、最も有効な材料である。高価なコバ
ルトを安価な他の遷移金属、例えばニッケルやマンガン
等に代替しようとする検討も行われているが、コバルト
を完全に代替できる技術はまだない。
【0004】リチウムコバルト複合酸化物は、一般には
固相反応で、すなわち複合酸化物を構成する原料成分粒
子の所定量を混合した後、600℃以上の温度で焼成し
て製造される[例えば、特開平1−304664号、特
開平5−54888号、特開平5−62678号、特開
平5−151998号等]。コバルト源としてはコバル
トメタル、炭酸コバルト、水酸化コバルト、硝酸コバル
ト、酸化コバルト等様々なコバルト化合物が使用可能で
あるが、工業的には多くの場合、酸化コバルトすなわち
Co34 が使用されている。これは、例えばコバルト
源として水酸化コバルトを用い、これとリチウム化合物
の混合体を焼成して複合酸化物を製造する工程であって
も、初め水酸化コバルトが分解され、最終的には分解生
成物であるCo34 とリチウム化合物の反応による複
合酸化物の製造工程と同様になるからと判断される。
【0005】Co34 は一般的にはコバルトメタル、
炭酸コバルト、硝酸コバルト、水酸化コバルト、塩化コ
バルト等を加熱処理して製造される。コバルトメタルか
ら製造されたCo34 は、強力に凝集した塊状の形態
を呈することから、リチウムコバルト複合酸化物のコバ
ルト源としては使用し難い欠点があった。
【0006】硝酸コバルトや塩化コバルトからの製造で
は酸化性気体を発生することから、工業的生産には向い
ていない。一方、炭酸コバルトや水酸化コバルトから製
造されたCo34 は、酸素もしくは空気中の酸素を供
給しながら焼成しなければならないという欠点を有する
ものの、粒径や密度等を制御できることから、リチウム
コバルト複合酸化物用コバルト源として広く使用されて
いる。
【0007】しかしながら、かかる方法により製造され
たCo34 は、低温で調製すると炭酸コバルトや水酸
化コバルトの結晶系に大きな影響を受けた結晶となり、
またこのような影響を消失させるため高温で処理する
と、強固に凝縮した結晶の塊となってしまう欠点も有し
ていた。
【0008】また、このような高い結晶性を有するCo
34 をコバルト源とすると、固相での反応性が低いた
めリチウム化合物との反応を完結させるのは困難で、均
質なリチウムコバルト複合酸化物が製造し難いといった
欠点もあった。特に均質さを欠くコバルト酸リチウムに
あっては、充放電に伴う容量低下もさらに大きくなり、
解決すべき重要な課題となっていた。
【0009】以上のような課題を解決すべく、これまで
にも種々の検討がなされてきた。たとえば、晶析法で調
整した球状もしくは長円球状の水酸化コバルトを加熱処
理して製造されたコバルト酸化物をコバルト源とする方
法が提案されている[特開平5−54888号]。しか
しながら、かかる方法で調整された活物質が特に優れた
固相での反応性を有するものとは見られず、また優れた
充放電特性を発現しているものとも読みとれない。
【0010】特定の水酸化コバルトを加熱処理して調整
したCo34 をコバルト源とし、前記水酸化コバルト
の形状を反映させた、特定形状のコバルト酸リチウムの
製造方法も提案されている[特開平9−022693
号]。しかしながら、ここで使用される水酸化コバルト
はごく一般的なもので、製造されたコバルト酸リチウム
にも何ら差別化される特性はない。加えて、水酸化コバ
ルトの分解温度以上の温度で加熱処理して得られたCo
34 をコバルト源とし、さらに900℃で焼成される
工程を経て得られた生成品に水酸化コバルトの形状が反
映されるとするのは全く不自然であり、固相での反応の
低さを解決する本質的な対策とはなっていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発達した結
晶の成長を押さえ、固相での反応性に優れた新規なコバ
ルト化合物、特にリチウム複合酸化物のコバルト源とし
て好適なコバルト化合物及びその製造方法の提供を目的
とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、不定形もしく
は多形の3価コバルト化合物の一方または両方を熱処理
して製造することを特徴とする、乾燥重量当りのコバル
ト含有量が68.5±6重量%で、実質的にHxCoO
y[0≦x≦1.4、1.3≦y≦2.2]の組成式で
表現され、CuKαを線源とするX線回折における2Θ
=36〜37.5度付近の回折ピークの半値幅が0.3
1度より大きく、コバルト含有量と半値幅の関係が、半
値幅(度)≧7.5−0.1×コバルト含有量(重量
%)で示されるコバルト化合物の製造方法ならびに本方
法により製造されたコバルト化合物とCo34 を提供
する。
【0013】本発明は、不定形もしくは多形の3価コバ
ルト化合物の一方または両方を原料とし、本発明のコバ
ルト化合物を製造している点に特徴がある。3価のコバ
ルト化合物であればいずれも本発明に使用可能であり、
熱処理中に酸素もしくは空気中の酸素を供給することな
く、本発明のコバルト化合物が製造できる。特に好まし
くは、成長した特定の結晶構造を持たず、実質的にHC
oO2 の組成式で示される3価コバルト化合物であるの
が、広範囲の熱処理温度で安定して本発明のコバルト化
合物が製造できることからより望ましい。かかる3価の
コバルト化合物は、次に熱処理されて本発明のコバルト
化合物となる。
【0014】熱処理は、120〜910℃の温度範囲で
行われるのが好ましい。120℃未満での熱処理は、反
応の進行が極度に低下するための本発明の目的には適切
ではない。一方910℃を超える温度は分解温度に近
く、反応の制御が困難となるためである。
【0015】熱処理時間は処理温度にも依存するが、
0.5〜100時間であるのが好ましい。0.5時間よ
り短い処理時間では物性の安定した生成物が得難く、一
方100時間処理を続ければ反応はほぼ終結してしまう
からである。処理方法は、密閉された加熱炉中に静置す
ることでも可能である。ロータリーキルン等で流動させ
ながら処理することもできる。また、トンネル炉を用
い、コンベヤーに載せて連続して処理することも可能で
ある。
【0016】こうして製造された本発明のコバルト化合
物は、従来知られていたコバルト酸化物やコバルト水酸
化物等にはない、特異な物性を有するものであることを
本発明者等は見いだした。すなわち本発明のコバルト化
合物は、乾燥重量当りコバルトを68.5±6重量%含
有しており、本質的にHxCoOy[0≦x≦1.4、
1.3≦y≦2.2]の組成式で示される。yが1.3
以上で、xが0≦x≦1.4、コバルト含有量が68.
5±6重量%の範囲にある場合、本発明のコバルト化合
物をコバルト源としたリチウムコバルト複合酸化物は、
酸素や空気の供給なしで製造可能となることから好まし
い。一方yが2.2以下の範囲で本発明のコバルト化合
物は安定であり、取り扱い容易な点で好ましい。
【0017】本発明のコバルト化合物はまた、CuKα
を線源とするX線回折において、Co34 の(31
1)面に相当する回折と見られる2Θ=36〜37.5
度付近の回折ピークの半値幅が、0.31度より大きい
ことを特徴としている。さらにこの半値幅(度)は、コ
バルト含有量(重量%)に対して、半値幅≧7.5−
0.1×コバルト含有量の関係にあることが好ましい。
半値幅が0.31度より小さいと固相での反応性を低下
させてしまい、好ましくない。また半値幅が7.5−
0.1×コバルト含有量の値より小さいと、発達した結
晶が均質な反応を妨げることから好ましくない。本発明
のコバルト化合物は、CoOOHもしくはCo23
2 Oの一方または両方を含有することができる。また
本発明のコバルト化合物は、Co34を含有すること
ができる。さらに本発明のコバルト化合物は、Co3
4 であることも可能である。本発明のコバルト化合物
は、リチウム複合酸化物のコバルト源として好適に用い
られる。本発明のコバルト化合物をコバルト源としたコ
バルト酸リチウムは、低温での焼成が可能で、均質な組
成を有し、粒径や密度の制御が容易である。かかるコバ
ルト酸リチウムを電極活物質としたリチウムイオン電池
は、高い放電容量と優れたサイクル特性を発現する。本
発明のコバルト化合物は又、触媒、釉薬、磁性体その他
の固相反応で形成される混合物や製品のコバルト源とし
ても有効に利用される。
【0018】
【作用】本発明のコバルト化合物の製造方法は、不定形
及び/又は多形の3価コバルト化合物を原料とし、熱処
理してなされる。本発明の方法により製造されるコバル
ト化合物は、低い結晶性及び/又は結晶を有するものの
結晶径の極めて小さいことに特徴付けられるもので、基
本的には酸化型のコバルト化合物である。
【0019】かかるコバルトの酸化物が、従来知られて
いるコバルト酸化物と違って結晶性の低い化合物に調製
できたのは、原料である3価コバルト化合物の低い結晶
性と極微細な粒子の軽い凝集形態である特性による。本
発明の製造方法により得られるコバルト化合物は、リチ
ウム複合酸化物のコバルト源として特に好適である。す
なわち微細な粒子の軽い擬集体であるかかる化合物の特
性が、分散、混合性を高め、低い結晶性と大きく成長し
た結晶を持たない特性が、固相での反応性を高めてい
る。かかる効果が作用して、本発明の製造方法により得
られるコバルト化合物は、均質に成長した良好な結晶の
リチウムコバルト複合酸化物を低温焼成においても製造
可能とした。
【0020】一方、原料成分の不均一な混合や大きな結
晶の混入は固相反応の阻害領域をもたらすものとなり、
反応生成物結晶の表面が不純物で覆われたり、不純物が
露出する等の悪影響がもたらせられる。かかる悪影響が
放電容量やサイクル特性を低下させる。本発明のコバル
ト化合物にはかかる悪影響が見らえず、前述の如く均一
な分散、混合性と、低い結晶性が作用して固相反応の均
質な進行を促進し、電池特性の優れたリチウムコバルト
複合酸化物の製造を可能とした。
【0021】
【実施例】
【実施例1】乾燥重量当りコバルト含有量64.2重量
%のCoOOH(Queensland Nickel Pty.Ltd.製)10
0gを300℃にて7時間熱処理し、89.3gのコバ
ルト化合物(1)を得た。この化合物(1)のCo含有
量は71.5重量%であり、H0.19CoO1.46の組成式
で表わされた。又、CuKαを線源とするX線回折にお
ける2Θ=36〜37.5度付近の回折ピークの半値幅
は0.60度であった。このコバルト含有量とX線回折
ピークの半値幅の関係は図1の如くであり、リチウムコ
バルト複合酸化物用コバルト源として良好な領域内にあ
ることがわかった。また図2には、原料としたCoOO
HのX線回折パターンを示した。この図2からはこのC
oOOHが極めて結晶性の低いコバルト化合物であるこ
とがわかる。
【0022】
【実施例2】熱処理が150℃の15時間であったこと
を除き、実施例1と同様にして95.5gのコバルト化
合物(2)を得た。化合物(2)の乾燥重量当りのコバ
ルト含有量は67.0重量%であり、H0. 68CoO1.79
の組成式で表わされた。また、X線回折における前記回
折ピークの半値幅は1.86度であった。図1より明ら
かなように、化合物(2)はリチウムコバルト複合酸化
物用コバルト源として良好であると判断された。
【0023】
【実施例3】熱処理が500℃の7時間であったことを
除き、実施例1と同様にして87.2gのコバルト化合
物(3)を得た。化合物(3)の乾燥重量当りのコバル
ト含有量は73.3重量%であり、H0. 02CoO1.34
組成式で表わされた。また、X線回折における前記回折
ピークの半値幅は0.36度であった。図1より明らか
なように、化合物(3)はリチウムコバルト複合酸化物
用コバルト源として良好であると判断された。
【0024】
【実施例4】熱処理が850℃の1時間であったことを
除き、実施例1と同様にして87.2gのコバルト化合
物(4)を得た。化合物(4)の乾燥重量当りのコバル
ト含有量は73.4重量%であり、CoO1.33の組成式
で表わされた。また、X線回折における前記回折ピーク
の半値幅は0.35度であった。図1より明らかなよう
に、化合物(4)はリチウムコバルト複合酸化物用コバ
ルト源として良好であると判断された。
【0025】
【実施例5】乾燥重量当りコバルト含有量64.8重量
%であるCoOOHの10Kgを0.14m3 のロータ
リーキルンに仕込み、1回/分の速度で回転させながら
200℃にて1時間熱処理し、9Kgのコバルト化合物
(5)を得た。化合物(5)の乾燥重量当りのコバルト
含有量は68.4重量%であり、H0. 51CoO1.67の組
成式で表わされた。また、X線回折における前記回折ピ
ークの半値幅は1.49度であった。図1より明らかな
ように、化合物(5)はリチウムコバルト複合酸化物用
コバルト源として良好であると判断された。
【0026】
【比較例1】硫酸コバルトの水溶液を撹拌させながら
2.1モル当量の水酸ナトリウム水溶液を滴下し、ろ過
して取り出した析出物を水洗いして60℃にて乾燥した
ら、2.5重量%の水を含有した水酸化コバルトが得ら
れた。この水酸化コバルトの100gを500℃にて7
時間熱処理したところ、84.7gのコバルト化合物
(6)が得られた。化合物(6)の乾燥重量当りのコバ
ルト含有量は72.9重量%であり、H0. 1 CoO1.37
の組成式で表わされた。また、X線回折における前記回
折ピークの半値幅は0.29度であった。図1より明ら
かなように、化合物(6)はリチウムコバルト複合酸化
物用コバルト源には適していないと判断された。
【0027】
【比較例2】比較例1で用いたのと同様の水酸化コバル
ト100gを150℃にて15時間熱処理したら、8
7.1gのコバルト化合物(7)が得られた。化合物
(7)の乾燥重量当りのコバルト含有量は70.9重量
%であり、H0. 46CoO1.49の組成式で表された。ま
た、X線回折における前記回折ピークの半値幅は0.3
7度であった。図1より明らかなように、化合物(7)
はリチウムコバルト複合酸化物用コバルト源には適して
いないと判断された。
【0028】
【比較例3】比較例1で用いたのと同様の水酸化コバル
ト100gを120℃にて1.5時間熱処理したら、9
2.0gのコバルト化合物(8)が得られた。化合物
(8)の乾燥重量当りコバルト含有量は67.0重量%
であり、H1.2CoO1.73の組成式で表された。また、
X線回折における前記回折ピークの半値幅は0.38度
であった。図1より明らかなように、化合物(8)はリ
チウムコバルト複合酸化物用コバルト源には適していな
いと判断された。
【0029】
【比較例4】硫酸コバルトの水溶液を撹拌させながら
1.05モル当量の炭酸水素アンモニウム水溶液を滴下
し、ろ過して取り出した析出物を水洗いして140℃に
て乾燥したら、1.3重量%の水を含有した炭酸コバル
トが得られた。この炭酸コバルト100gを850℃に
て1時間熱処理したら、66.3gのコバルト化合物
(9)が得られた。化合物(9)の乾燥重量当りのコバ
ルト含有量は73.5重量%であり、X線回折における
前記回折ピークの半値幅は0.30度であった。図1よ
り明らかなように、化合物(8)はリチウムコバルト複
合酸化物用コバルト源には適していないと判断された。
また、以上の例とは別にコバルト酸リチウムの合成を検
討した結果、実施例1〜5で製造されたコバルト化合物
をコバルト源とした場合、良好な結晶構造を持ち、粒径
制御の容易なコバルト酸リチウムが再現性良く製造でき
た。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、結晶性の低い、
微細で、発達した大きな結晶を持たないコバルト化合物
粒子が、120〜910℃という広い温度範囲で安定し
て製造できる。また、かかるコバルト化合物は固相での
高い反応性を有することから、リチウムコバルト複合酸
化物用コバルト源として特に優れている。本発明のコバ
ルト化合物を用いて製造されたコバルト酸リチウムは、
均質な組成と良好な結晶構造を持つことから、高い放電
容量とサイクル特性を持った、長寿命のリチウムイオン
電池が形成できるといった効果も有している。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコバルト化合物のコバルト含有量と、
CuKαを線源とするX線回折ピークの、2Θ=36〜
37.5度付近の半値幅の関係を示したグラフである。
ここでハッチングを施した領域に入るものが本発明のコ
バルト化合物である。また図中(1)〜(9)は、本発
明の実施例及び比較例で製造したコバルト化合物を示し
ている。
【図2】実施例1で使用したCoOOHのX線回折パタ
ーン図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコバルト化合物、特
にリチウムコバルト複合酸化物のコバルト源として好適
に用いられるコバルト化合物及びその製造方法に関す
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、無定形もしく
は多形の3価コバルト化合物の一方または両方を熱処理
して製造することを特徴とする、乾燥重量当りのコバル
ト含有量が68.5±6重量%で、実質的にHxCoO
y[0≦x≦1.4、1.3≦y≦2.2]の組成式で
表現され、CuKαを線源とするX線回折における2Θ
=36〜40度付近で最大強度を有する回折ピークの半
値幅が0.31度より大きく、コバルト含有量と半値幅
の関係が、半値幅(度)≧7.5−0.1×コバルト含
有量(重量%)で示されるコバルト化合物の製造方法な
らびに本方法により製造されたコバルト化合物とCo3
4 を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】本発明は、無定形もしくは多形の3価コバ
ルト化合物の一方または両方を原料とし、本発明のコバ
ルト化合物を製造している点に特徴がある。3価のコバ
ルト化合物であればいずれも本発明に使用可能であり、
熱処理中に酸素もしくは空気中の酸素を供給することな
く、本発明のコバルト化合物が製造できる。特に好まし
くは、成長した特定の結晶構造を持たず、実質的にHC
oO2 の組成式で示される3価コバルト化合物であるの
が、広範囲の熱処理温度で安定して本発明のコバルト化
合物が製造できることからより望ましい。かかる3価の
コバルト化合物は、次に熱処理されて本発明のコバルト
化合物となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】熱処理は、120〜910℃の温度範囲で
行われるのが好ましい。120℃未満での熱処理は、反
応の進行が極度に低下するため本発明の目的には適切
ではない。一方910℃を超える温度は分解温度に近
く、反応の制御が困難となるためである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明のコバルト化合物はまた、CuKα
を線源とするX線回折において、Co34 の(31
1)面に相当する回折と見られる2Θ=36〜40度付
近の回折ピーク及び、その近傍で最大強度を有する回折
ピークの半値幅が、0.31度より大きいことを特徴と
している。さらにこの半値幅(度)は、コバルト含有量
(重量%)に対して、半値幅≧7.5−0.1×コバル
ト含有量の関係にあることが好ましい。半値幅が0.3
1度より小さいと固相での反応性を低下させてしまい、
好ましくない。また半値幅が7.5−0.1×コバルト
含有量の値より小さいと、発達した結晶が均質な反応を
妨げることから好ましくない。本発明のコバルト化合物
は、CoOOHもしくはCo23 ・H2 Oの一方また
は両方を含有することができる。また本発明のコバルト
化合物は、Co34を含有することができる。さらに
本発明のコバルト化合物は、Co34 であることも可
能である。本発明のコバルト化合物は、リチウム複合酸
化物のコバルト源として好適に用いられる。本発明のコ
バルト化合物をコバルト源としたコバルト酸リチウム
は、低温での焼成が可能で、均質な組成を有し、粒径や
密度の制御が容易である。かかるコバルト酸リチウムを
電極活物質としたリチウムイオン電池は、高い放電容量
と優れたサイクル特性を発現する。本発明のコバルト化
合物は又、触媒、釉薬、磁性体その他の固相反応で形成
される混合物や製品のコバルト源としても有効に利用さ
れる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】
【作用】本発明のコバルト化合物の製造方法は、無定形
及び/又は多形の3価コバルト化合物を原料とし、熱処
理してなされる。本発明の方法により製造されるコバル
ト化合物は、低い結晶性及び/又は結晶を有するものの
結晶径の極めて小さいことに特徴付けられるもので、基
本的には酸化型のコバルト化合物である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】一方、原料成分の不均一な混合や大きな結
晶の混入は固相反応の阻害領域をもたらすものとなり、
反応生成物結晶の表面が反応の終結していない物で覆わ
れたり、そのような物が露出する等の悪影響がもたらせ
られる。かかる悪影響が放電容量やサイクル特性を低下
させる。本発明のコバルト化合物にはかかる悪影響が見
らえず、前述の如く均一な分散、混合性と、低い結晶性
が作用して固相反応の均質な進行を促進し、電池特性の
優れたリチウムコバルト複合酸化物の製造を可能とし
た。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【実施例】
【実施例1】pHを11.5としたアンモニア水にヘキ
サコバルト(III) 酸ナトリウムを加えて撹拌、溶解さ
せ、不溶物を除去した後95℃に加熱したら析出物を生
じた。この析出物を取り出し、水洗、乾燥後、元素分析
した結果、コバルト含有量が64.2wt%で、3価の
コバルトを64.0wt%、水素を1.2wt%、酸素
を33.8wt%含有していることがわかり、この黒褐
色の析出物はほぼCoOOHであると判断された。この
CoOOHの100gを300℃にて7時間熱処理し、
89.3gのコバルト化合物(1)を得た。この化合物
(1)のCo含有量は71.5重量%であり、H0.19
oO1.46の組成式で表わされた。又、CuKαを線源と
するX線回折における2Θ=36〜37.5度付近の回
折ピークの半値幅は0.60度であった。このコバルト
含有量とX線回折ピークの半値幅の関係は図1の如くで
あり、リチウムコバルト複合酸化物用コバルト源として
良好な領域内にあることがわかった。また図2には、原
料としたCoOOHのX線回折パターンを示した。この
図2からはこのCoOOHが極めて結晶性の低いコバル
ト化合物であることがわかる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】
【比較例1】硫酸コバルトの水溶液を撹拌させながら
2.1モル当量の水酸ナトリウム水溶液を滴下し、ろ
過して取り出した析出物を水洗いして60℃にて乾燥し
たら、2.5重量%の水を含有した水酸化コバルトが得
られた。この水酸化コバルトの100gを500℃にて
7時間熱処理したところ、84.7gのコバルト化合物
(6)が得られた。化合物(6)の乾燥重量当りのコバ
ルト含有量は72.9重量%であり、H0. 1 CoO1.37
の組成式で表わされた。また、X線回折における前記回
折ピークの半値幅は0.29度であった。図1より明ら
かなように、化合物(6)はリチウムコバルト複合酸化
物用コバルト源には適していないと判断された。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】本発明のコバルト化合物のコバルト含有量と、
CuKαを線源とするX線回折の、2Θ=36〜40
付近で最大強度を有する回折ピークの半値幅の関係を示
したグラフである。 ここでハッチングを施した領域に
入るものが本発明のコバルト化合物である。 また図中
(1)〜(9)は、本発明の実施例及び比較例で製造し
たコバルト化合物を示している。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不定形もしくは多形の3価コバルト化合
    物の一方または両方を熱処理して製造することを特徴と
    する、乾燥重量当りのコバルト含有量が68.5±6重
    量%で、実質的にHxCoOy[0≦x≦1.4、1.
    3≦y≦2.2]の組成式で表現され、CuKαを線源
    とするX線回折における2Θ=36〜37.5度付近の
    回折ピークの半値幅が0.31度より大きく、コバルト
    含有量と半値幅の関係が、半値幅(度)≧7.5−0.
    1×コバルト含有量(重量%)で示されるコバルト化合
    物の製造方法
  2. 【請求項2】 前記3価コバルト化合物が実質的にHC
    oO2 の組成式で示されることを特徴とする請求項1の
    製造方法
  3. 【請求項3】 熱処理が120〜910℃の温度範囲で
    0.5〜100時間行われることを特徴とする請求項1
    のコバルト化合物の製造方法
  4. 【請求項4】 前記コバルト化合物がCoOOHもしく
    はCo23 ・H2Oの一方または両方を含有するもの
    であることを特徴とする請求項1のコバルト化合物の製
    造方法
  5. 【請求項5】 前記コバルト化合物がCo34 を含有
    するものであることを特徴とする請求項1のコバルト化
    合物の製造方法
  6. 【請求項6】 前記コバルト化合物がCoOOHもしく
    はCo23 ・H2Oの一方または両方とCo34
    同時に含有するものであることを特徴とする請求項1の
    コバルト化合物の製造方法
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項の方法で製
    造されたことを特徴とするCo34 を含有したコバル
    ト化合物
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項の方法で製
    造されたことを特徴とするCo34
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003002660A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Seimi Chem Co Ltd リチウムコバルト複合酸化物の製造方法
JP2008063164A (ja) * 2006-09-05 2008-03-21 Tanaka Chemical Corp 高純度コバルト化合物の製造方法

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