JPH11117840A - 内燃機関の始動装置および始動方法 - Google Patents

内燃機関の始動装置および始動方法

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JPH11117840A
JPH11117840A JP29354297A JP29354297A JPH11117840A JP H11117840 A JPH11117840 A JP H11117840A JP 29354297 A JP29354297 A JP 29354297A JP 29354297 A JP29354297 A JP 29354297A JP H11117840 A JPH11117840 A JP H11117840A
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combustion engine
torque
rotation speed
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勝彦 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイブリッド車両では、モータの駆動により
内燃機関を始動する際、電力消費量が大きかった。 【解決手段】 エンジン150とモータMG1,モータ
MG2とをプラネタリギヤで機械的に結合した動力出力
装置を搭載して車両を構成する。エンジンの始動はモー
タMG1によるモータリングで行う。モータMG1の目
標トルクは、エンジンの回転数が値N1以下の場合には
開ループ制御により設定し、N1より大きい場合にはP
I制御により設定する。開ループ制御では、上限値まで
目標トルクを徐々に増加した後、上限値を維持するよう
に設定し、また所定の回転数N2以上では目標トルクを
徐々に減少するような設定とする。PI制御において目
標トルクを減少するときは、なまし処理を施す。この結
果、エンジン始動時の電力消費を低減でき、またPI制
御に滑らかに移行することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の始動装
置および始動方法に関し、詳しくは、内燃機関の出力軸
にダンパを介して結合された電動機をバッテリにより駆
動して、該内燃機関を始動する装置および方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、車輌に搭載された内燃機関の始動
は、内燃機関の回転軸に結合された始動専用のセルモー
タにより内燃機関をクランキングし、これに合わせて燃
料を供給することにより行われていた。セルモータは、
内燃機関の始動専用の小型のモータであり、内燃機関
を、アイドル回転数と比べてもかなり低い回転数(数百
回転)までしか回転することができない。したがって、
内燃機関は、供給された燃料の爆発燃焼により、自立運
転可能な回転数まで駆動されることで、始動していた。
このとき、セルモータにより消費される電力は比較的小
さいため、内燃機関の始動時においてセルモータを緻密
に制御する必要はなかった。
【0003】一方、近年開発されたハイブリッド車輌で
は、始動専用のセルモータを持たず、内燃機関の始動
を、内燃機関の回転軸に結合された駆動用の電動機によ
り行うものが提案されている(例えば、特開平6−14
4020号公報など)。この装置では、内燃機関の回転
軸はダンパと第1のクラッチを介して第1の電動機の回
転軸に結合されており、第1の電動機の回転軸は第2の
クラッチを介して車輪に機械的に結合された駆動軸に結
合されている。この駆動軸には、更に第2の電動機が取
り付けられている。内燃機関は、始動時には、燃料供給
に先立って、第1のクラッチを係合状態とすると共に第
2のクラッチの係合を解いた状態で、第1の電動機によ
りクランキング(モータリング)される。内燃機関の回
転数が所定値以上となったところで、内燃機関への燃料
供給および火花点火を行い、混合気を圧縮・爆発燃焼す
ることにより、内燃機関の始動を完了する。始動後は、
内燃機関から出力される動力を、このままのクラッチの
状態で第1の電動機を発電機として動作させてバッテリ
を充電したり、第2のクラッチを係合状態として直接駆
動軸に出力して車両を走行させる。
【0004】こうしたハイブリッド車輌の始動装置は、
セルモータを用いた始動装置に比べてバッテリの電力を
消費しやすい。その理由としては、まず、セルモータと
比べて消費電力の大きい大型のモータが上記電動機とし
て用いられていることがある。また、エンジンの回転軸
にセルモータより遙かに質量の大きな電動機の回転子が
結合される構成上ねじり共振が生じやすくなっており、
このねじり共振が起きやすい回転数領域を素早く通り抜
けるよう、電動機に多くの電力を供給し、高いトルクを
出力する必要もある。さらに、上記電動機は内燃機関の
回転数を従来より高くまで増加することが可能であるこ
と、および内燃機関は高回転数で燃焼を開始した方がエ
ミッションが良好になることから、内燃機関への燃料供
給、爆発燃焼の開始を、高回転数に設定しており、内燃
機関がこのような高回転に達するまで長時間に亘って、
電動機を駆動する必要もあるからである。かかる技術的
背景の下、ハイブリッド車両の内燃機関の始動装置にお
いては、内燃機関の目標回転数に基づくフィードバック
制御により上記電動機を制御し、駆動する試みがなされ
ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした内燃
機関の始動装置では、内燃機関の始動時においてバッテ
リに過大な負担を生じやすいという問題が見いだされ
た。具体的には次の通りである。図8にエンジンの目標
回転数および実際の回転数の時間的変化を示し、図9に
エンジンを回転させる電動機が出力するトルクの時間的
変化を示す。例えば、図8の点線(netag1)で示
すように内燃機関の目標回転数を時間t0からある所定
の値(例えば、1000rpm)に設定して電動機の制
御を開始すると、図9の曲線Trk1に示す通り、時間
t0付近では目標回転数との偏差が大きいため電動機か
ら非常に大きなトルクを出力していた。これは同時に多
くの電力を消費することを意味する。なお、消費電力は
概念的には図9における曲線Trk1と横軸で囲まれる
面積(図9の領域A+B+C)によって表される。一
方、先に説明した通り、ハイブリッド車両では大型の電
動機を用いており、電動機自身の慣性が大きいことや潤
滑油の粘性の影響により、大きなトルクを出力している
にも関わらず内燃機関の回転数は、図8に示した通りあ
まり上昇しない。このため、長時間多くの電力を消費し
続ける結果となり、いっそう電力消費量が増大してい
た。
【0006】また、図8の一点鎖線(netag2)で
示す通り、内燃機関の目標回転数を0rpmから所定の
回転数まで徐々に増加するように設定した上で電動機の
制御を行う方法も可能ではあるが、図9の曲線Trk2
に示すように内燃機関の始動を開始した時間t0付近に
おいて多くの電力を消費する状況はあまり改善されなか
った。なお、こうした問題は、ハイブリッド車輌でなく
とも、内燃機関の始動装置に大型のセルモータを用いた
場合には、同様に生じ得るものである。本発明の内燃機
関の始動制御装置は、こうした問題を解決し、バッテリ
に過大な負担をかけることなく内燃機関を始動すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、本発明では以下の構成を採っ
た。本発明の第1の内燃機関の始動装置は、内燃機関の
出力軸にダンパを介して結合された電動機をバッテリに
より駆動して、該内燃機関を始動する内燃機関の始動装
置であって、該内燃機関の回転数を検出する回転数検出
手段と、該内燃機関の始動のために該電動機により該内
燃機関の出力軸に付加される始動トルクを、該内燃機関
の回転数が所定の切り替え回転数以下では予め定められ
た関係に従って設定する低回転時始動トルク設定手段
と、該始動トルクを出力するよう前記電動機を駆動する
電動機駆動手段とを備えることを要旨とする。
【0008】本発明の内燃機関の始動方法は、内燃機関
の出力軸にダンパを介して結合された電動機をバッテリ
により駆動して、該内燃機関を始動する内燃機関の始動
方法であって、該内燃機関の回転数を検出し、該内燃機
関の始動のために該電動機により該内燃機関の出力軸に
付加される始動トルクを、該内燃機関の回転数が所定の
回転数以下では予め定められた関係に従って設定し、該
始動トルクを出力するよう前記電動機を駆動することを
要旨とする。
【0009】上記内燃機関の始動装置および始動方法に
よれば、内燃機関の回転数を検出し、該回転数が所定の
切り替え回転数以下である場合には、予め定められた関
係に従って上記始動トルクを設定した上で、該トルクを
出力するように電動機を駆動する。従来は内燃機関の回
転数と目標回転数とに応じたフィードバック制御を行っ
ていたが、かかる制御に代えていわゆる開ループ制御を
適用することにし、電動機からの出力トルクを予め定め
ておくのである。電動機の出力トルクは電動機による消
費電力を抑えるように実験的または解析的に求めること
ができる。かかる手段を講じることにより、従来、電動
機の駆動開始当初に生じていた多大な電力の消費を抑え
ることができ、内燃機関の始動時の電力消費を低減する
ことができる。
【0010】上述の制御は内燃機関の始動時に行う特殊
な制御であるため、上記内燃機関の始動装置および始動
方法では内燃機関の回転数が所定の切り替え回転数に達
したか否かに基づいて、該制御を実施するか否かを判定
している。また、電動機の出力トルクを与える予め定め
た関係には、内燃機関の始動時における電動機の消費電
力を抑えることができる種々の関係が含まれ、電動機の
出力トルクを滑らかに変化させる関係の他、内燃機関の
始動中は一定のトルクを出力するという関係であっても
よいし、ピーク状に高いトルクを出力する瞬間が存在す
るような関係であってもよい。
【0011】なお、本明細書において、内燃機関の「始
動」というときは、回転していない内燃機関を外力によ
り回転させ、供給された燃料の爆発燃焼により、内燃機
関が自立運転可能な状態に至るまでの状態をいうものと
する。従って、例えば「内燃機関の始動開始」というと
きは、内燃機関が自立運転を開始したときではなく、電
動機等により停止していた内燃機関を回転するためのト
ルクを付加したときを意味する。これに対し、内燃機関
が完全に自立運転可能となった状態は「完爆」と呼ぶも
のとする。
【0012】上記第1の内燃機関の始動装置において、
前記低回転時始動トルク設定手段における前記関係は、
前記内燃機関および電動機により形成される系の振動特
性に応じて定められる所定の度合いで前記始動トルクを
徐々に増加していく関係とすることが望ましい。
【0013】かかる関係に基づいて電動機の出力トルク
を設定すれば、内燃機関の始動開始直後の期間、即ち電
動機の慣性等の原因から回転数が上がりにくい期間は、
始動トルクを低くおさえることができるため、電力消費
を低減することができる。なお、上記関係には始動トル
クを直線的に増加するもの、曲線的に増加するもの、お
よび階段状に増加するもの等、種々の増加が含まれる。
また、上記トルクの増加は内燃機関および電動機により
形成される系の振動特性に応じて定められるため、例え
ばこの系がねじり共振を生じやすいものであっても、そ
の共振を生じやすい回転数帯域を素早く通過することが
できる。
【0014】上記第1の内燃機関の始動装置において、
前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手
段と、該内燃機関の回転数が前記切り替え回転数より大
きくなった後は、該内燃機関の回転数と該内燃機関の目
標回転数との偏差に応じて、前記始動トルクを設定する
高回転時始動トルク設定手段とを備えることも望まし
い。
【0015】上記内燃機関の始動装置は、内燃機関の回
転数が切り替え回転数より大きくなった後は、該内燃機
関の回転数と該内燃機関の目標回転数との偏差に応じて
前記始動トルクを設定する、いわゆるフィードバック制
御により電動機を制御するものである。かかる手段を設
けることにより、内燃機関の回転数が目標回転数となる
よう、適切に制御することが可能となる。前記予め定め
た関係に基づいて始動トルクを設定する、いわゆる開ル
ープ制御では種々の運転状況に応じて内燃機関の回転数
を目標回転数に制御することは困難だからである。な
お、上記切り替え回転数は内燃機関の応答特性や電動機
による電力消費等を考慮して実験的または解析的に設定
することができ、例えば、内燃機関の目標回転数よりも
若干低い回転数を切り替え回転数とすることができる。
こうすることにより、内燃機関の回転数が目標回転数を
上回る、いわゆるオーバーシュートを比較的小さく抑え
ることができる。
【0016】また、上記内燃機関の始動装置において、
前記低回転時始動トルク設定手段における前記関係は、
内燃機関の回転数が前記切り替え回転数よりも小さい所
定の回転数に達した後は、前記電動機から出力されるト
ルクを徐々に減少する関係とすることも望ましい。
【0017】切り替え回転数以上の回転数でフィードバ
ック制御を行う上記内燃機関の始動装置では、内燃機関
の回転数がオーバーシュートするのを防ぐため、フィー
ドバック制御に切り替えた際に、電動機の出力トルクと
して比較的小さなトルクまたは負のトルクが設定される
ことがある。この際、フィードバック制御への切り替え
直前に電動機から出力されるトルクとの間の変動が大き
い場合には、電動機のトルクが急変することによる、い
わゆるトルクショックが生じる。上記内燃機関の始動装
置によれば、切り替え回転数よりも小さい所定の回転数
に達した後は、電動機から出力されるトルクを徐々に減
少するため、フィードバック制御への移行に際して生じ
るトルク変動を抑えることができる。
【0018】また、上記内燃機関の始動装置において、
前記高回転時始動トルク設定手段は、前記電動機の出力
トルクを増加する際には、該内燃機関の回転数と該内燃
機関の目標回転数との偏差に応じて定まるトルクを始動
トルクとし、前記電動機の出力トルクを減少する際に
は、該内燃機関の回転数と該内燃機関の目標回転数との
偏差に応じて定まるトルクをなまし処理したトルクを始
動トルクとする手段とすることも望ましい。
【0019】かかる内燃機関の始動装置によれば、なま
し処理して設定されたトルクを電動機の出力トルクとす
ることにより、フィードバック制御に移行した際のトル
クショックをさらに低減することができる。また、かか
るなまし処理を電動機の出力トルクが増加しつつあると
きには行わないことにより、内燃機関と電動機により形
成される系の共振を防止することもできる。電動機の出
力トルクが増加しつつあるときは、内燃機関の回転数が
目標回転数よりも低い状態にあることを意味している。
かかる場合になまし処理して設定されたトルクで電動機
を駆動すれば、内燃機関の回転数はなかなか上昇せず、
内燃機関と電動機により形成される振動系の共振帯域に
長期間止まる可能性もある。上記内燃機関の始動装置で
は、トルクが増加しつつあるときには、なまし処理を行
わないことによって上記振動系が共振帯域に長期間止ま
ることを回避しているのである。
【0020】なお、なまし処理とは、フィードバック制
御において電動機のトルクが緩やかに変化するように、
内燃機関の回転数と目標回転数との偏差基づいて設定さ
れたトルク値を修正する処理をいう。かかる処理には種
々の方法が考えられるが、例えば、周期的に繰り返し実
行される所定のルーチンにより電動機の制御を行う場合
には、重み係数をかけて前回のトルク指令値と今回のト
ルク指令値との平均を採る手法が挙げられる。
【0021】以上で説明した本発明の第1の内燃機関の
始動装置において、前記内燃機関は吸気弁の開閉タイミ
ングを変更する開閉タイミング変更機構を備える内燃機
関であり、該内燃機関を始動する際、該開閉タイミング
を制御して該内燃機関の有効圧縮比を低減する開閉タイ
ミング制御手段を備えることも望ましい。
【0022】有効圧縮比を低減した場合は、内燃機関を
回転する際になされる仕事による損失、例えば内燃機関
がいわゆるピストンエンジンである場合にはポンピング
ロスが減少する。この結果、内燃機関の回転数を比較的
容易に上げることができ、内燃機関の始動に際して消費
される電力を低減することができる。なお、かかる制御
は、内燃機関がいわゆるアトキンソンサイクルの内燃機
関である場合には、特に有効である。アトキンソンサイ
クルは通常の運転状態においても比較的有効圧縮比が小
さいため、吸気弁の開閉タイミングを制御することによ
り、上記ポンピングロスに相当する損失がほとんど生じ
ない状態を達成することが可能だからである。
【0023】本発明の第2の内燃機関の始動装置は、内
燃機関と駆動用電動機とを駆動源として備えるハイブリ
ッド車両に搭載された該内燃機関の出力軸に結合された
電動機をバッテリにより駆動して、該内燃機関を始動す
る内燃機関の始動装置であって、該ハイブリッド車両の
速度が所定値以下であるか否かを判別する車速判別手段
と、該内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
該ハイブリッド車両の速度が所定値より大きい場合にお
いて、該内燃機関の始動のために該電動機により該内燃
機関の出力軸に付加される始動トルクを、該内燃機関の
回転数が所定の切り替え回転数以下では予め定められた
第1の関係に従って設定する高速時始動トルク設定手段
と、該ハイブリッド車両の速度が所定値以下である場合
において、該内燃機関の回転数が所定の切り替え回転数
以下では、前記始動トルクを前記第1の関係より小さい
値をとるように予め定められた第2の関係に従って設定
する低速時始動トルク設定手段と、該始動トルクを出力
するよう前記電動機を駆動する電動機駆動手段とを備え
ることを要旨とする。
【0024】上記第2の内燃機関の始動装置は、内燃機
関の回転数が所定の切り替え回転数以下では予め定めた
関係に基づいて電動機の始動トルクを設定する点で第1
の内燃機関の始動装置と共通するが、ハイブリッド車両
に搭載された内燃機関を始動する始動装置であり、また
該ハイブリッド車両の速度に応じて始動トルクを与える
前記関係を使い分ける点で相違する。上記第2の内燃機
関の始動装置は、ハイブリッド車両の車速が所定値より
大きい場合には始動トルクを予め定めた第1の関係に基
づいて設定し、車速が所定値以下である場合には始動ト
ルクを該第1の関係よりも小さい値をとる第2の関係に
基づいて設定する。例えば、第1の関係が一定の割合で
始動トルクが増加する関係であるとすれば、第2の関係
はこれよりも緩やかに増加する関係となる。ハイブリッ
ド車両の車速が低い場合には、乗員が電動機のトルク変
動に基づく振動を体感しやすい。上記内燃機関の始動装
置は、かかる場合に電動機の始動トルクを車速が高い場
合よりも小さい値に設定することにより、このような振
動を低減することができ、ハイブリッド車両のいわゆる
乗り心地を向上することができる。
【0025】なお、上記所定の速度は、乗員が振動を体
感する感度に基づいて定めることができ、例えば速度
0、即ち車両が停止しているか否かにより始動トルクの
増加の度合いを変更するものとしてもよい。また、上記
車速判別手段は、ハイブリッド車両の駆動輪の回転数等
に基づいて速度を算出した上で判別する手段としてもよ
いし、例えば、所定の速度が値0である場合には、車両
のシフトレバーがパーキングレンジ等、車両が停止して
いることを示す位置にあるか否かにより判別する手段と
してもよい。
【0026】上記第2の内燃機関の始動装置において、
前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手
段と、該内燃機関の回転数が前記切り替え回転数より大
きくなった後は、該内燃機関の回転数と該内燃機関の目
標回転数との偏差に応じて、前記始動トルクを設定する
高回転時始動トルク設定手段とを備えることが望まし
い。
【0027】第1の内燃機関の始動装置と同様、第2の
内燃機関の始動装置においても、こうすることにより、
内燃機関の回転数を適切に制御することができる。
【0028】また、上記第2の内燃機関の始動装置にお
いて、前記目標回転数設定手段は、前記ハイブリッド車
両の走行中において、前記内燃機関の回転数の増加の度
合いに所定の制限値が存在する条件下で、前記目標回転
数を、該ハイブリッド車両の走行に必要な動力と、前記
駆動用電動機および前記電動機による電力消費とに応じ
て定まる所定の回転数に設定する手段とすることも望ま
しい。
【0029】ハイブリッド車両が走行中においては、内
燃機関から動力を出力する必要があるため、走行状態に
応じて内燃機関の回転数を増加する必要がある。一方、
ハイブリッド車両においては、内燃機関の応答性や動力
伝達機構の特性等により内燃機関の回転数の増加の度合
いに所定の制限値が存在する場合がある。上記内燃機関
の始動装置によれば、かかる条件下において、ハイブリ
ッド車両の走行に必要な動力と、前記駆動用電動機およ
び前記電動機による電力消費とを考慮して内燃機関の目
標回転数を設定するため、フィードバック制御に移行し
た後の電力消費を低減することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(1)実施例の構成 はじめに、実施例の構成について図1を用いて説明す
る。図1は本実施例の内燃機関の始動装置を搭載したハ
イブリッド車両の概略構成を示す説明図である。
【0031】このハイブリッド車両の構成は大きくは、
駆動力を発生する動力系統と、その制御系統と、駆動源
からの駆動力を駆動輪116、118に伝達する動力伝
達系統と、運転操作部等とからなっている。また、上
記、動力系統はエンジン150を含む系統とモータMG
1,MG2を含む系統とからなっており、制御系統は、
エンジン150の運転を主に制御するための電子制御ユ
ニット(以下、EFIECUと呼ぶ)170と、モータ
MG1,MG2の運転を主に制御する制御ユニット19
0と、EFIECU170および制御ユニット190に
必要な信号を検出し入出力する種々のセンサ部とからな
っている。なお、EFIECU170および制御ユニッ
ト190の内部構成は図示していないが、これらはそれ
ぞれ内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチッ
プ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記
録されたプログラムに従い、以下に示す種々の制御処理
を行うよう構成されている。
【0032】エンジン150は、吸入口200から吸入
した空気と燃料噴射弁151から噴射されたガソリンと
の混合気を燃焼室152に吸入し、この混合気の爆発に
より押し下げられるピストン154の運動をクランクシ
ャフト156の回転運動に変換する。この爆発は、イグ
ナイタ158からディストリビュータ160を介して導
かれた高電圧によって点火プラグ162が形成した電気
火花によって混合気が点火され燃焼することで生じる。
燃焼により生じた排気は、排気口202を通って大気中
に排出される。
【0033】エンジン150の運転は、EFIECU1
70により制御されている。EFIECU170が行う
エンジン150の制御としては、エンジン150の回転
数に応じた点火プラグ162の点火時期制御や、吸入空
気量に応じた燃料噴射量制御および後述する吸気弁15
3の開閉タイミング制御等がある。エンジン150の制
御を可能とするために、EFIECU170にはエンジ
ン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されてい
る。例えばクランクシャフト156の回転数と回転角度
を検出するためにディストリビュータ160に設けられ
た回転数センサ176及び回転角度センサ178などで
ある。なお、EFIECU170には、この他、例えば
イグニッションキーの状態STを検出するスタータスイ
ッチ179なども接続されているが、その他のセンサ,
スイッチなどの図示は省略した。
【0034】本実施例におけるエンジン150は、吸気
弁153の開閉タイミングを変更する機構、いわゆる連
続可変バルブタイミング機構157(以下、VVTとい
う)を用いている。図2を用いてVVT157の概要を
説明する。図2はVVT157の機構の概略を示す説明
図である。図2に示す通り、通常、吸気弁153は吸気
カムシャフト240に取り付けられたカムにより開閉
し、排気弁155は排気カムシャフト244に取り付け
られたカムにより開閉する機構となっている。吸気弁1
53および排気弁155がエンジン150の回転数に応
じたタイミングで開閉し得る様、吸気カムシャフト24
0に結合された吸気カムシャフト・タイミング・ギヤ2
42と排気カムシャフト244に結合された排気カムシ
ャフト・タイミング・ギヤ246はタイミングベルト2
48によりクランクシャフト156と連結されている。
こうした通常の構成に加え、VVT157の場合は、吸
気カムシャフト・タイミング・ギヤ242と吸気カムシ
ャフト240とは、油圧で作動するVVTプーリ250
を介して結合されており、VVTプーリ250には入力
油圧の制御バルブであるOCV254が設けられてい
る。VVTプーリ250の内部はこの油圧により軸方向
に移動可能な可動ピストン252の組み合わせで構成さ
れている。なお、VVTプーリ250に入力される油圧
はエンジンオイルポンプ256により供給される。
【0035】VVT157の作動原理は次の通りであ
る。EFIECU170はエンジン150の運転状況に
応じて設定された吸気弁153の開閉タイミングに応じ
て、OCV254の開閉を制御する制御信号を出力す
る。この結果、VVTプーリ250に入力される油圧が
変化し、可変ピストン252が軸方向に移動する。可変
ピストン252には軸に対し斜め方向に溝が刻んである
ため、上記軸方向への移動に伴って可変ピストン252
の回転が生じ、可変ピストン252に結合されている吸
気カムシャフト240と吸気カムシャフト・タイミング
・ギヤ242の取り付け角度を変化させる。こうして、
排気弁155と吸気弁153の開閉タイミングを変化さ
せることができる。
【0036】図3にVVT157による吸気弁153の
開閉タイミングの変更の様子を示す。図3は、エンジン
150のクランクシャフト156の回転角度と吸気弁1
53および排気弁155が開いているタイミングとの関
係を示している。図3に示す通り、排気弁155は、ピ
ストン154が最も下方に来る下死点よりクランクシャ
フト156がやや手前の回転位置にある時点で開き、ピ
ストン154が最も上方に来る上死点をやや越えた時点
で閉じる。このタイミングはVVT157により変更さ
れることはない。一方、吸気弁153は、例えばタイミ
ングAにおいては上死点より手前で開き、下死点をやや
越えた時点で閉じる。吸気弁153が開いてから上死点
をやや越える時点までは、吸気弁153と排気弁155
の双方が開いた状態となっている。VVT157により
開閉タイミングを変更すれば、先に説明した通り、排気
弁155の開閉タイミングは変更されないが、吸気弁1
53の開閉タイミングは例えばタイミングBのごとく変
化する。このとき、吸気弁153は、タイミングAより
も遅く、上死点をやや越えた時点で開き、その分下死点
を大きく越えた時点で閉じるようになる。吸気弁153
の開閉タイミングは変更されるものの、開状態となって
いる期間はタイミングAとタイミングBとで同一であ
る。
【0037】このように変化する吸気弁153の開閉タ
イミングを図3に示した通り下死点から吸気弁153が
閉じるまでの角度、即ち吸気弁閉じ角δを用いて表すも
のとする。吸気弁閉じ角δを標準の値よりも大きくした
場合は吸気弁153が閉じるのが遅くなることを意味
し、吸気弁閉じ角δを小さくした場合は吸気弁153が
閉じるのが早くなることを意味する。従って、前者の方
向、即ち吸気弁閉じ角δを大きくする方向にVVT15
7を制御することを遅角制御と呼び、その逆を進角制御
と呼ぶ。例えば、比較的低回転でエンジン150を運転
しているときにVVT157を進角制御した場合には、
その分燃焼室152に吸入された混合気を圧縮する行程
が長くなるためエンジン150の出力トルクが増大し、
逆にVVT157を遅角制御した場合にはエンジン15
0の燃費が向上することが一般に知られている。また、
エンジン150のクランキング時に遅角制御すれば、燃
焼室152に吸入された空気の圧縮行程が短くなるた
め、エンジン150の停止状態から速やかに回転数を向
上させやすい利点もある。
【0038】次に、図1に戻り動力系統を構成するモー
タMG1,MG2の概略構成について説明する。モータ
MG1は、同期電動発電機として構成され、外周面に複
数個の永久磁石を有するロータ132と、回転磁界を形
成する三相コイルが巻回されたステータ133とを備え
る。ステータ133は、無方向性電磁鋼板の薄板を積層
して形成されており、ケース119に固定されている。
このモータMG1は、ロータ132に備えられた永久磁
石による磁界とステータ133に備えられた三相コイル
によって形成される磁界との相互作用によりロータ13
2を回転駆動する電動機として動作し、場合によっては
これらの相互作用によりステータ133に備えられた三
相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても動
作する。
【0039】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁
石を有するロータ142と、回転磁界を形成する三相コ
イルが巻回されたステータ143とを備える。モータM
G2のステータ143も無方向性電磁鋼板の薄板を積層
して形成されており、ケース119に固定されている。
このモータMG2もモータMG1と同様に、電動機ある
いは発電機として動作する。
【0040】これらのモータMG1,MG2は、スイッ
チングを行うトランジスタを複数内蔵した第1および第
2の駆動回路191,192を介してバッテリ194お
よび制御ユニット190に電気的に接続されている。制
御ユニット190からは、第1および第2の駆動回路1
91,192に設けられたスイッチング素子である6個
のトランジスタおよびを駆動する制御信号が出力されて
いる。各駆動回路191,192内の6個のトランジス
タは、ソース側とシンク側となるよう2個ずつペアで配
置されることによりトランジスタインバータを構成して
いる。制御ユニット190によりソース側とシンク側の
トランジスタのオン時間の割合を制御信号により順次制
御し、三相コイルの各相に流れる電流を、PWM制御に
よって擬似的な正弦波にすると、三相コイルにより、回
転磁界が形成され、これらのモータMG1,MG2が駆
動される。
【0041】モータMG1,MG2の制御を含むハイブ
リッド車両の運転状態の制御を可能とするために、制御
ユニット190には、この他各種のセンサおよびスイッ
チが電気的に接続されている。制御ユニット190に接
続されているセンサおよびスイッチとしては、アクセル
ペダルポジションセンサ164a、ブレーキペダルポジ
ションセンサ165a、シフトポジションセンサ18
4、水温センサ174、バッテリ194の残容量検出器
199などがある。制御ユニット190は、これらのセ
ンサを通じて運転操作部からの種々の信号やバッテリ1
94の残容量等を入力し、また、エンジン150を制御
するEFIECU170との間で種々の情報を、通信に
よってやりとりしている。運転操作部からの種々の信号
として、具体的には、アクセルペダルポジションセンサ
164aからのアクセルペダルポジション(アクセルペ
ダルの踏込量)AP、ブレーキペダルポジションセンサ
165aからのブレーキペダルポジション(ブレーキペ
ダルの踏込量)BP、シフトポジションセンサ184か
らのシフトポジションSPがある。また、バッテリ19
4の残容量は残容量検出器199で検出される。なお、
残容量検出器199は、バッテリ194の電解液の比重
またはバッテリ194の全体の重量を測定して残容量を
検出するものや、充電・放電の電流値と時間を演算して
残容量を検出するものや、バッテリ194の端子間を瞬
間的にショートさせて電流を流し内部抵抗を測ることに
より残容量を検出するものなどが知られている。
【0042】駆動源からの駆動力を駆動輪116、11
8に伝達する動力伝達系統の構成は次の通りである。エ
ンジン150の動力を伝達するためのクランクシャフト
156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸1
27に結合され、このプラネタリキャリア軸127と、
モータMG1,モータMG2の回転を伝達するサンギヤ
軸125、リングギヤ軸126とは、後述するプラネタ
リギヤ120に機械的に結合されている。ダンパ130
は、このエンジン150のクランクシャフト156とプ
ラネタリキャリア軸127とを接続し、クランクシャフ
ト156のねじり振動の振幅を抑制する目的で設けられ
ているものである。
【0043】リングギヤ122には、動力取り出し用の
動力取出ギヤ128が、リングギヤ122とモータMG
1との間の位置で結合されている。この動力取出ギヤ1
28は、チェーンベルト129により動力伝達ギヤ11
1に接続されており、動力取出ギヤ128と動力伝達ギ
ヤ111との間で動力の伝達がなされる。また、この動
力伝達ギヤ111はディファレンシャルギヤ114を介
して左右の駆動輪116、118に結合され、これらに
動力を伝達できるようになっている。
【0044】ここで、プラネタリギヤ120の構成と併
せてクランクシャフト156、プラネタリキャリア軸1
27、モータMG1の回転軸であるサンギヤ軸125、
MG2の回転軸であるリングギヤ軸126の結合につい
て説明する。プラネタリギヤ120は、サンギヤ12
1、リングギヤ122なる同軸の2つのギヤと、サンギ
ヤ121とリングギヤ122との間に配置されサンギヤ
121の外周を自転しながら公転する複数のプラネタリ
ピニオンギヤ123の3つから構成される。サンギヤ1
21はプラネタリキャリア軸127に軸中心を貫通され
た中空のサンギヤ軸125を介してモータMG1のロー
タ132に結合され、リングギヤ122はリングギヤ軸
126を介してモータMG2のロータ142に結合され
ている。また、プラネタリピニオンギヤ123は、その
回転軸を軸支するプラネタリキャリア124を介してプ
ラネタリキャリア軸127に結合され、プラネタリキャ
リア軸127はクランクシャフト156に結合されてい
る。機構学上周知のことであるが、プラネタリギヤ12
0は上述のサンギヤ軸125、リングギヤ軸126およ
びプラネタリキャリア軸127の3軸のうちいずれか2
軸の回転数およびこれらの軸に入出力されるトルクが決
定されると、残余の1軸の回転数および該回転軸に入出
力されるトルクが決定されるという性質を有している。
【0045】(2)一般的動作 次に、本実施例のハイブリッド車両の一般的な動作につ
いて簡単に説明する。前述した構成を有するハイブリッ
ド車輌は走行時において、駆動軸112に出力すべき要
求動力に相当する動力をエンジン150から出力し、出
力された動力を以下の通りトルク変換して駆動軸112
に伝達している。トルク変換は、例えば駆動軸112か
ら出力すべき要求回転数および要求トルクに対し、エン
ジン150のクランクシャフト156が高回転数かつ低
トルクで回転している場合には、エンジン150の出力
している動力の一部をモータMG1により電力として回
収し、その電力によりモータMG2を駆動する。具体的
には、まずエンジン150から出力された動力が、プラ
ネタリギヤ120においてサンギヤ軸125に結合され
たモータMG1に伝達される動力と、リングギヤ軸12
6を介して駆動軸112に伝達される動力とに分配され
る。この動力分配は、リングギヤ軸126の回転数が要
求回転数に一致するような条件下で行われる。サンギヤ
軸125に伝達された動力は、モータMG1により電力
として回生される。一方、この電力を用いてリングギヤ
軸126に結合されたモータMG2を駆動することによ
り、リングギヤ軸126にはトルクが付加される。この
トルク付加は駆動軸112に要求トルクが出力されるよ
うに行われる。こうしてモータMG1およびMG2を介
して電力の形でやりとりされる動力を調整することによ
りエンジン150から出力された動力を所望の回転数お
よびトルクとして駆動軸112から出力することができ
るのである。
【0046】逆に、駆動軸112から出力すべき要求回
転数および要求トルクに対し、エンジン150のクラン
クシャフト156が低回転数かつ高トルクで回転してい
る場合には、エンジン150の出力している動力の一部
をモータMG2により電力を回収し、その電力によりモ
ータMG1を駆動する。
【0047】かかる動作原理に基づき、ハイブリッド車
両はモータMG2のみを駆動源として走行することもで
きるし、エンジン150とモータMG2の双方を駆動源
として走行することもできる。具体的には、ハイブリッ
ド車輌は減速時または降坂時等のエンジン動力を必要と
しないとき、および初期加速時には、エンジン150の
運転を停止し、モータMG2のみで走行する。通常走行
時には、エンジン150を主駆動源としつつ、モータM
G2の動力も用いて走行する。エンジン150とモータ
MG2の双方を駆動源として走行する場合には、必要な
トルクおよびモータMG2で発生し得るトルクに応じ
て、エンジン150を効率のよい運転ポイントで運転で
きるため、エンジン150のみを駆動源とする車両に比
べて省資源性および排気浄化性に優れている。一方、ク
ランクシャフト156の回転を、プラネタリキャリア軸
127およびサンギヤ軸125を介してモータMG1に
伝達することができるため、エンジン150の運転によ
りモータMG1で発電しつつ走行することも可能であ
る。
【0048】なお、本実施例のハイブリッド車両では、
上記トルク変換において用いられるプラネタリギヤ12
0の回転数についての機械的な制限により、図4に示す
通り、エンジン150の運転可能な回転数が車速に応じ
て制限されている。かかる制限が存在する理由は次の通
りである。プラネタリギヤ120について、サンギヤ1
21とリングギヤ122のギヤ比(サンギヤの歯数/リ
ングギヤの歯数)をρとすれば、サンギヤ軸125の回
転数Ns、プラネタリキャリア軸127の回転数Nc、
リングギヤ軸126の回転数Nrの間には、一般に次式
(1)の関係が成立することが知られている。本実施例
の場合、リングギヤ軸126の回転数Nrは車速と等価
なパラメータであり、プラネタリキャリア軸127の回
転数Ncはエンジン150の回転数と等価なパラメータ
である。
【0049】サンギヤ軸125の回転数には機械的な制
限値が存在するから、プラネタリキャリア軸127の最
大回転数Ncは、この制限値の下でリングギヤ軸126
の回転数Nrに応じて変化し、回転数Nrが値0のとき
最も小さく、回転数Nrが大きくなるにつれて大きくな
る。かかる理由により、車速に応じてエンジン150の
回転数制限値が変化するのである。図4に示す通り、車
速に応じてエンジン回転数の使用可能領域の上限値は徐
々に増加する。一方、ある車速以上では、上記と同様の
理由によりエンジン回転数の下限値が現れる。
【0050】(3)エンジン150の始動制御処理 次に、本実施例におけるエンジン150の始動制御処理
について説明する。図5は始動制御ルーチンの流れを示
すフローチャートである。このルーチンは制御ユニット
190のCPU(以下、単にCPUという)により実行
される処理である。エンジン150の始動は、車輌が停
止している場合に運転者がスタータスイッチ179をオ
ンにすることで行われる他、上述した通り、車両の運転
中において走行状態やバッテリ194の充電状態に応じ
て、運転者の操作と無関係に行われる場合もある。
【0051】このルーチンが起動されると、CPUは、
まず吸気弁153の開閉タイミングを最も遅角側に設定
する処理、即ち吸気弁閉じ角δを最も大きくする処理を
行う(S100)。CPUが吸気弁閉じ角δの設定信号
をEFIECU170に送信し、この設定信号を受信し
たEFIECU170がOCV254を制御して吸気弁
閉じ角δを変更するのである。吸気弁153の開閉タイ
ミングを最遅角側に設定するのは、こうすることによ
り、燃焼室152に吸入された空気の圧縮行程が短くな
るため、エンジン150の回転数Neを停止状態から速
やかに上昇させやすいからである。
【0052】次に、CPUはモータMG1の目標トルク
STGを設定する処理を行う(ステップS200)。こ
こで、モータMG1の目標トルク設定処理ルーチンにつ
いて説明する。図6に目標トルク設定処理ルーチンのフ
ローチャートを示す。
【0053】目標トルク設定処理ルーチンは、タイマ割
り込みにより所定時間毎に繰り返し実行される。このル
ーチンが起動されると、仮設定トルクTTGに、前回こ
のルーチンが実行されたときに設定された目標トルクS
TGを代入する(ステップS205)。この処理の後、
フラグFNが値1であるか否かの判断を行う(ステップ
S210)。このフラグFNは、過去の制御においてエ
ンジン150の回転数Neが一度でも所定回転数N1
(本実施例では、900rpm)以上となった場合に値
1にセットされるものであるから、上記ステップではこ
の条件を満足したか否かを判定していることになる。こ
のフラグは、始動制御の開始時に一旦値0にリセットさ
れ、その後割り込みにより実行される回転数判定処理ル
ーチン(図7参照)により設定される。図7に示す通
り、回転数判定処理ルーチンでは、まずエンジン150
の回転数Neを読み込み(ステップS211)、この回
転数Neが所定回転数N1以上となったか否かを判断し
(ステップS212)、Ne>N1となったときにフラ
グFNを値1にセットする(ステップS213)。フラ
グFNは一旦値1にセットされると、再度始動制御を開
始するまでは値1に維持されるから、エンジン150の
回転数Neが一度でも所定回転数N1を越えた後は、始
動制御処理の実行中は、値1に維持される。
【0054】フラグFNが値1でない場合、すなわちエ
ンジン150の回転数Neがまだ一度も所定回転数N1
(本実施例では、900rpm)になっていない場合に
は、CPUはモータMG1の仮設定トルクTTGの増加
量aを設定する(ステップS220)。この増加量a
は、第1にシフトポジションセンサ184から読み込ま
れるシフトポジションSPに応じて次の通り設定され
る。 パーキングレンジ・・・a=1; その他のレンジ・・・・a=3;
【0055】シフトポジションSPがパーキングレンジ
にあるときは車両が停止していることを意味しているか
ら、上記設定は、車両が停止しているときは走行中に比
べて仮設定トルクの増加量aを小さな値にすることを意
味している。かかる観点からすれば、上記増加量aは、
シフトポジションSPの他、車両の速度が略0であるか
否かによって設定値を変化させるものとしてもよい。
【0056】上記増加量aは第2にエンジン150の回
転数Neに応じて設定される。つまり、エンジン150
の回転数Neが所定の回転数N2(本実施例では700
rpm)よりも大きい場合、即ちNe≧N2のときは、
上記設定に関わらずa=−1に設定される。これは仮設
定トルクTTGを徐々に減少させることを意味する。例
えば、シフトポジションSPがパーキングレンジにあ
り、トルク増加量aを一旦値1に設定しても、エンジン
150の回転数Neが上記回転数N2以上に達している
場合には、トルク増加量aを値−1に設定し直し、上記
回転数N2を越えていなければトルク増加量aは値1の
ままとするのである。
【0057】次に、こうして設定されたトルク増加量a
に仮設定トルクTTGに加えることによって、仮設定ト
ルクTTGを変更し(ステップS230)、この結果得
られた仮設定トルクTTGが値0ないし所定の上限値S
TGMAXの範囲に入るよう、これを制限する処理を行
う(ステップS240)。具体的には、目標値TTGが
最大値STGMAXを越えていれば仮設定トルクTTG
に上限値STGMAXを代入し、仮設定トルクTTGが
値0を下回っていれば値0を代入するのである。
【0058】ここでモータMG1の仮設定トルクTTG
の上限値STGMAXは、エンジン150とモータMG
1により形成される系のねじり振動が共振する共振帯域
を素早く通過するために適切なトルク値を実験的または
解析的に求めることにより設定される。かかるトルクは
エンジン150が冷間時であるか否かによっても異なる
ため、エンジン150の冷却水温Twに応じて設定され
る。この設定は、冷却水温Twをいくつかの区域に分け
た上で、各区域ごとに離散的な値に設定するものとして
もよいし、冷却水温Twに応じて連続的に設定するもの
としても良い。
【0059】以上により設定された仮設定トルクTTG
は、後で説明する図9および図12における時間t0〜
t1までの区間のトルクTrkに相当する。図9は車両
が停車しているときのモータMG1の目標トルクSTG
を示しており、図12は車両が走行しているときの目標
トルクSTGを示す図である。これらの図中のTrkで
示す通り、目標トルクSTGは時間t0から後は一定の
増加量aで増加し、所定の上限値STGMAXに至った
後はその値で一定となる。また、時間t2以後、即ちエ
ンジン150の回転数がN2に達した後は一定の割合で
減少していく。また、時間t0から時間t2までの間に
おけるトルク増加の割合は、車両が停止しているとき
(図9)の方が走行中(図12)よりも小さくなってい
る。
【0060】ここで、エンジン150の回転数Neが所
定の回転数N2以上となった場合にモータMG1の仮設
定トルクTTGを減少させる理由について説明する。後
で説明する通り、エンジン150の回転数Neが所定の
回転数N1に至った後(ステップS210の判定がイエ
スとなった場合)は、仮設定トルクTTGをいわゆるP
I制御により設定するようになる。PI制御では、エン
ジン150の回転数Neと目標回転数netagとの偏
差が小さいことが望ましい。この回転数N1よりも若干
小さい回転数N2以上でモータMG1の仮設定トルクT
TGを徐々に減少するようにすれば、エンジン150の
回転数の上昇率が緩くなるため、PI制御に移行した後
のオーバーシュートを低減することができるのである。
上記制御によるエンジン回転数Neの変化を図8に示
す。エンジン150の回転数Neが所定の回転数N1に
至るまで、モータMG1の仮設定トルクTTGをSTG
MAXに維持した場合には、図8の曲線L1に示すよう
に目標回転数netag1を大きくオーバーシュートし
てしまう。これに対し、N2以上の回転数で仮設定トル
クTTGを減少させた場合には、図8の曲線L2に示す
ようにオーバーシュートを小さく抑えることができる。
【0061】次に、図6に戻り、ステップS210にお
いて、フラグFNが値1である場合、即ちエンジン15
0の回転数が一旦、所定の回転数N1に達した場合につ
いて説明する。CPUは、フラグFNが値0である場合
にはモータMG1の仮設定トルクTTGをいわゆる開ル
ープ制御により決定していたのに対して、フラグFNが
値1である場合は、モータMG1の仮設定トルクTTG
をフィードバック制御、本実施例では特にPI制御によ
り演算する。つまり、エンジン150の実際の回転数N
eと目標回転数netagとの差を演算し、これに応じ
て仮設定トルクTTGを演算するのである。
【0062】このため、CPUはまずエンジン150の
目標回転数netagを算出する処理を行う(ステップ
S250)。ここでエンジン150の目標回転数算出処
理ルーチンについて図10を用いて説明する。
【0063】目標回転数算出処理ルーチンが開始される
と、CPUは車両が停車中であるか否かを判定する(ス
テップS262)。この判定は先に説明したトルク増加
量aの設定(ステップS220)で行ったのと同様、シ
フトポジションSPがパーキングレンジであるか否かに
よって行うものとしてもよいし、車速が略0であるか否
かによって行うものとしてもよい。
【0064】車両が停止している場合には、CPUは目
標回転数netagとして所定の値(本実施例では10
00rpm)を設定する(ステップS265)。停車中
の目標回転数netagの設定を図8に示す。上記ステ
ップS265では、図8のnetag1に示すように一
定値に目標回転数netagを設定するのである。な
お、エンジン150の回転数が値N1以下である場合に
は、目標回転数はモータMG1の目標トルクSTGに何
ら影響を与えないから、目標回転数を図8におけるne
tag1およびnetag2のいずれに設定しても差異
はない。
【0065】車両が走行している場合、CPUはエンジ
ン150の回転数Neが所定の回転数N3(本実施例に
おいては650rpm)よりも大きいか否かを判断する
(図10のステップS264)。エンジン150の回転
数Neが所定の回転数N3よりも小さい場合には、目標
回転数netagは所定の値(本実施例では1000r
pm)に設定し(ステップS265)、N3よりも大き
い場合には目標回転数netagはエンジン150の要
求動力や運転効率等に基づいて設定される(ステップS
266)。次に、こうして設定された目標回転数net
agに対し、その時間的な変化率が所定の値以下となる
ように制限する処理を行った上で最終的な目標回転数を
設定する(ステップS268)。
【0066】目標回転数netagの変化率を制限する
処理内容は、フローチャートには示してはいないが、具
体的には次の通りである。まず、前回エンジン目標回転
数算出処理ルーチンが実行された際に設定された目標回
転数と今回設定された目標回転数との差分を演算し、該
差分が目標回転数netagの変化率の上限値に基づい
て定まる所定値を越えているか否かを判断する。該差分
が所定値を越えている場合には、変化率の制限値を越え
ていることを意味するため、目標回転数netagを、
前回設定された目標回転数にこの所定値を加えた値に置
換する。なお、このような変化率の制限は、先に説明し
たエンジン150の回転数制限(図4参照)に基づくも
のや、PI制御が追随できる変化率の限界値等に基づい
て設定されている。
【0067】こうして設定された目標回転数netag
の一例を図11のnetag1(点線)に示す。図11
に示す通り、エンジン150の回転数Neが値N3に達
する前、つまり時間t0〜時間t3の区間では目標回転
数netag1は一定値を採り、時間t3移行では一定
の度合いで増加している。なお、図6では説明の便宜
上、目標回転数算出処理ルーチンは、エンジン150の
回転数NeがN1以上になった後、即ち時間t1以降に
のみ実行されるように示しているが、エンジン150の
回転数Neとは無関係に時間t1以前からも周期的に実
行するものとしてもよい。
【0068】ここで、所定の回転数N3の設定について
説明する。エンジン150の目標回転数netagは図
11のnetag3やnetag4で示したように、種
々の状態に設定し得る。なお、いずれの場合も目標回転
数netagの変化率の制限値は同じであるから、図1
1では、これらの設定値は平行線として描かれている。
ここで、エンジン150の目標回転数netagを最も
早くから増加していく状態に相当するnetag3で設
定したとする。このときは、モータMG1の目標トルク
STGをPI制御による設定に移行する時間t1におい
て、実際のエンジン回転数Neと目標回転数netag
とに大きな偏差が生じていることになる。従って、PI
制御に移行した瞬間、モータMG1の目標トルクSTG
は非常に大きな値に設定されることになる。図12の曲
線Trk3にこのような目標回転数netag3を設定
した場合のモータMG1の目標トルクSTGの変化を示
す。この結果、図12に示す領域EのごとくPI制御に
移行後しばらくの間の電力消費が激しくなってしまう。
【0069】一方、目標回転数netagを最も遅く増
加するnetag4で設定したとする。このときは、P
I制御に移行した瞬間にエンジン回転数Neと目標回転
数netagとの間に偏差は生じないため、図12の領
域Eに示すような電力消費は生じない。しかし、net
ag4で目標回転数netagを設定した場合には、そ
の変化率の制限値により、エンジン150の回転数Ne
が所望の回転数に至るまでに長時間を要することにな
る。これは、エンジン150が要求動力を出力するまで
に長時間を要することを意味する。エンジン150が要
求動力を出力できない間は、バッテリの電力によってモ
ータMG2を駆動することで不足分の動力を補うことに
なるため、その分電力を消費することになる。
【0070】以上より、車両が走行している場合には、
目標回転数netagの増加は早すぎても遅すぎても余
分の電力消費を招くことが分かる。本実施例における所
定の回転数N3はかかる観点に基づき、最も電力消費が
少なくなるような目標回転数netagの増加タイミン
グを与えるものである。この値はエンジン回転数Neの
変化率の制限値やモータMG2による電力消費等に応じ
て実験的または解析的に求められるものである。
【0071】こうして設定されたエンジン150の目標
回転数netagと現在のエンジン150の回転数Ne
の偏差△neに基づいて、PI制御で通常用いられる手
法によりCPUはモータMG1の仮設定トルクTTGを
演算する(ステップS260)。つまり、上記偏差△n
eに対し、所定のゲインを乗じた比例項と、上記偏差△
neの時間積分に別のゲインを乗じた積分項に基づいて
仮設定トルクTTGを算出するのである。
【0072】次に、こうして得られた仮設定トルクTT
Gが、現に制御に用いられている駆動トルクの目標値S
TGより小さいか否かの判断を行う(ステップS27
0)。仮設定トルクTTGが、先に求めた目標値STG
により大きい場合、即ち目標回転数netagに向けて
モータMG1の駆動トルクを増加しつつある場合には、
PI制御により求めた仮設定トルクTTGを、制御にお
ける目標値STGに設定する処理を行う(ステップS2
90)。かかる場合にはエンジン150の回転数Neが
先に説明したねじり振動の共振帯域に存在する可能性も
あるため、上記演算により求められた仮設定トルクTT
Gをそのまま目標トルクSTGとすることで、速やかに
エンジン回転数Neを増加する必要があるからである。
【0073】一方、仮設定トルクTTGの方が先に求め
た目標トルクSTGよりも小さい場合、即ち目標トルク
STGを減少しつつある場合には、仮設定トルクTTG
のなまし処理を行い(ステップS280)、その結果を
目標トルクSTGとする(ステップS290)。なまし
処理とは、モータMG1のトルクの変化率が緩やかにな
るように仮設定トルクTTGの設定値を修正する処理を
いう。かかる処理には、種々の方法が考えられるが、本
実施例では簡便な方法を採用しており、TTG←(3×
STG+TTG)/4のように、今回演算した目標値T
TGと現在の制御における目標値STGとに重みを付け
て平均化する処理によって行っている。
【0074】上記なまし処理を施す理由は、以下に示す
ように、いわゆるトルクショックを回避するためであ
る。図9に示したように、エンジン150の回転数Ne
が所定値N1を越えると、目標回転数netagと実際
の回転数Neとの差は小さくなるため、PI制御により
求めた仮設定トルクTTGもこれに伴い小さくなり、回
転数Neが目標回転数netagをオーバーシュートす
ることを防ぐため、仮設定トルクTTGは負の値をとる
ようになる(図9のL4)。こうしたトルクの変化はプ
ラネタリギヤ120を介して当然駆動軸112に伝達さ
れる。もっとも、駆動軸112にはモータMG2が結合
されており、こうしたトルク変動をキャンセルするよう
に制御されているため、トルク変動が比較的緩やかであ
る場合には、トルクショックは生じない。しかし、モー
タMG1の出力トルクが急激に低下すると、モータMG
2の制御がその変動を十分キャンセルできる程追随でき
なくなるため、トルクの急変に伴いトルクショックが発
生することがあり得る。この問題は、車輌が停止中であ
ると走行中であるとに関わらず生じうる。従って、本実
施例では、上述の通り、仮設定トルクTTGをなまし処
理することにより(図9のL3)、こうしたトルクの急
変という問題を未然に回避しているのである。
【0075】MG1の目標トルクSTGを設定した後、
CPUはMG2の目標トルクを設定する(図5のステッ
プS300)。MG2の目標トルクは車両が停車中であ
れば、MG1の目標トルクSTGの反トルクと釣り合う
ことができるトルクに設定される。また、車両が走行中
であれば、かかるトルクと走行に必要なトルクとの和が
モータMG2の目標トルクとして設定される。
【0076】以上で設定されたMG1,MG2の目標ト
ルクに基づいて,CPUはモータMG1,MG2の制御
を行う(ステップS400)。トルク目標値に基づいて
同期電動機を制御する技術については周知であるため、
ここでは詳細な説明は省略する。本実施例では、いわゆ
るベクトル制御を行っており、例えばモータMG1につ
いて説明すれば、そのロータ132の電気的な位置角に
応じて定まるd軸、q軸方向の電圧指令値をトルク目標
値STGに基づいて設定し、これをいわゆる3相/2相
変換してU相,V相,W相それぞれに対する電圧指令値
を設定した上で、各相にそれぞれの電圧が印加されるよ
うに、駆動回路191に備えられたトランジスタインバ
ータのスイッチングを行うのである。モータMG2の制
御も、トルクの目標値がSTMに変化する点が異なるだ
けで、モータMG1と同様である。
【0077】このようにモータMG1,MG2が制御さ
れると、モータMG1によりサンギヤ軸125にトルク
が加えられる一方、リングギヤ軸126にはモータMG
2による反トルクが付加されるから、サンギヤ軸125
に作用するトルクはキャリア軸127に作用する。この
トルクは、ダンパ130を介してエンジン150のクラ
ンクシャフト156に作用するから、エンジン150が
モータリングされることになる。なお、モータMG1の
目標トルクSTGは、燃料の供給が停止されている常温
のエンジン150を、8ミリセカンド当たりの回転数の
上昇率が25rpmで回転させることができるトルクと
して設定されるものである。この上昇率は先に説明した
ねじり振動の共振帯域を素早く通過するのに適してい
る。
【0078】こうしてエンジン150のモータリングが
行われると、CPUは燃料を噴射する処理を実行する
(ステップS500)。この処理内容について説明す
る。図13は、燃料噴射処理ルーチンの流れを示すフロ
ーチャートである。実際の燃料噴射はEFIECU17
0が燃料噴射弁151を制御することにより行うもので
あり、CPUは燃料噴射処理ルーチンにより、EFIE
CU170に燃料噴射を許可したり禁止したりする信号
を送信することで、間接的に燃料噴射を制御している。
【0079】燃料噴射処理ルーチンが開始されると、C
PUは、まずエンジン150が停止中か否かの判断(ス
テップS505)を行う。エンジン150が既に始動
し、自立運転している場合はEFIECU170が燃料
噴射を制御しているため、CPUは何も処理を行わず本
ルーチンを終了する。エンジン150が停止中、即ち自
立運転していない場合には、エンジン150の始動制御
が実行中であるか否かの判断(ステップS510)およ
び回転数Neが噴射許可回転数SNEF以上となってい
るか否かの判断(ステップS515)を実行する。これ
らの判断のうち、いずれか一方でも成立していなけれ
ば、エンジン150は、いまだ燃料噴射を受けて混合気
への着火を行う状況にはないと判断し、EFIECU1
70に対して燃料噴射を禁止する信号を出力する(ステ
ップS525)。両者が成立している場合には、エンジ
ン150への燃料噴射、混合気への点火を行ってもよい
状況にあると判断し、EFIECU170に対して燃料
噴射を許可する信号を出力する(ステップS520)。
この許可信号を受けて、EFIECU170は、燃料噴
射制御、点火時期制御を開始する。
【0080】なお、本実施例では噴射許可回転数SNE
Fは、エンジン150の冷却水温Twに応じて設定され
ている。本実施例では、この設定を簡便にするために冷
却水温Twを4つの区間に区切り、例えば冷却水温Tw
が80℃以上あれば噴射許可回転数SNEFは800r
pmとし、冷却水温Twが低いほど低い回転数となるよ
う区間ごとに離散的な値をとるように設定されている。
もちろん、噴射許可回転数SNEFを冷却水温Twに応
じて連続的な値に設定するものとしても差し支えない。
このように噴射許回転数SNEFを設定することによ
り、冷却水温Twが比較的高い場合には、高い回転数で
燃料が噴射されることになるため、エミッションが極め
て良好な状態でエンジン150を運転することができ
る。一方、冷却水温Twが比較的低い場合には、潤滑油
の粘性等の要因によりモータリングではなかなか回転数
が上昇じづらいことを考慮して、比較的低回転で燃料を
噴射するため、モータリングに長時間を要し電力を無駄
に消費することを回避することができる。
【0081】次のステップにおいて、CPUはエンジン
150の完爆判定処理を行い(図5のステップS60
0)、エンジン150が完爆している場合には(ステッ
プS700)、始動制御ルーチンを終了する。なお、本
始動制御ルーチンを実行しているか否かの関わらず、制
御装置180は、車輌の走行状態や運転者の要求により
定まるトルクおよび回転数で駆動軸112を駆動する制
御を実行していることはもちろんである。エンジン15
0が完爆していない場合には(ステップS700)、モ
ータMG1の目標トルクSTGの設定から再度実行す
る。
【0082】本実施例では、モータMG1の目標トルク
STGの値に基づいてエンジン150の完爆判定を行っ
ている。エンジン150が自立運転を開始すれば、図9
または図12に示した通り、エンジン150の回転数N
eを目標回転数netagに制御するためにモータMG
1が出力すべき目標トルクSTGは負の値をとるように
なるから、負の値が所定時間Tsst以上、継続的に出
力されているか否かを判定することにより完爆の判定を
行うことができるのである。なお、本出願人は、エンジ
ン150の冷却水温Twに応じて、より確実に完爆判定
を行うための技術としてを平成9年9月30日出願の
「内燃機関の始動制御装置」に関する発明において開示
している。その概要は、冷却水温Twを3つの区域に分
け、冷却水温が低いほど、上記所定時間Tsstを長い
時間(−10℃以下で5秒)とし、エンジン150が十
分暖まっていれば極めて短い時間(80℃以上で0.3
秒)として完爆判定を行うものである。また、エンジン
150の始動制御を開始した後の経過時間が所定の上限
値(例えば10秒)を超えた場合には、エンジン150
に異常があると判断して、始動制御ルーチンを強制的に
終了し、無駄な電力消費を回避する技術も含まれてい
る。
【0083】以上で説明した始動装置は、始動時にいわ
ゆる開ループ制御によりモータMG1の目標トルクST
Gを設定している点に大きな特徴を有している。つま
り、この始動装置は図9および図12にグラフTrkで
示した通り、内燃機関の始動開始当初(時間t0〜t2
付近)の期間においては、エンジン150の回転数Ne
に関わらず、モータMG1の目標トルクSTGが徐々に
増加するように制御される。また、目標トルクSTGが
共振帯域を素早く通過するのに適した値に達した後は、
その一定値に維持される。この結果、上記始動装置によ
れば、エンジン150の始動当初における無駄な電力消
費(図9における領域AおよびB、図12の領域D)を
なくすことができる。モータMG1の目標トルクSTG
をこのように設定した場合のエンジン回転数Neの変化
を図8および図11に示す。これらの図に示す通り、上
記開ループ制御によってもエンジン150の回転数Ne
が適切に増加していることが分かる。この回転数Neの
上昇は、エンジン150の始動当初の電力消費が大きい
従来の制御方法による上昇とほとんど差はない。
【0084】なお、本実施例のようにエンジン150の
始動当初の区間においてモータMG1の出力トルクST
Gを抑えているにも関わらず、エンジン回転数Neが従
来の制御方法による始動に比べて遜色なく上昇する理由
は、種々考えられるが、主なものを挙げれば次の通りで
ある。第1の理由としては、モータMG1のロータ13
2の慣性の大きさが考えられる。モータMG1の目標ト
ルクSTGを大きくすれば、当然エンジン回転数Neの
上昇も大きくはなるが、モータMG1の慣性が大きいこ
とが原因となってその効果が顕著には現れないのであ
る。逆に、目標トルクSTGを小さくしてもその影響が
エンジン回転数Neの上昇率の低下として顕著には現れ
ない。
【0085】第2の理由として、ダンパ130やクラン
クシャフト156の弾性によるものが考えられる。つま
り、モータMG1の目標トルクSTGを大きくしても、
そのトルクはダンパ130やクランクシャフト156に
弾性ひずみを生じるだけでエンジン150の回転数Ne
の上昇にはすぐにはつながらない。逆に、目標トルクS
TGを小さくした場合には上記弾性ひずみが小さくなる
分、モータMG1の出力トルクが回転数の上昇につなが
りやすいことが考えられる。
【0086】その他、エンジン150の潤滑油の粘性に
よるものも考えられる。潤滑油の粘性による抵抗は一般
に潤滑油内に生じる速度勾配に比例する。従って、モー
タMG1の目標トルクSTGを大きくしてピストン15
4を速く動かそうとすればする程、ピストン154表面
付近での潤滑油の速度勾配が大きくなり抵抗が大きくな
るため、エンジン回転数Neの上昇にはすぐにはつなが
らない。逆に、目標トルクSTGを小さくした場合には
上記粘性抵抗が小さくなる分、モータMG1の出力トル
クが回転数の上昇につながりやすいと考えられる。ま
た、モータMG1の目標トルクSTGを大きくした場
合、モータMG1自身の能力、即ち定格を超えてしま
い、電力を熱として消費するに過ぎなかったとも考えら
れる。
【0087】上記始動装置においては、始動当初のモー
タMG1の目標トルクSTGの増加率を走行時よりも停
止時の方が小さな値に設定している。このように増加率
を設定しているため、上記始動装置によれば運転者がト
ルク変動を体感しやすい停車中はエンジン150の回転
数が走行中に比べて緩やかに上昇することになり、車両
のライドクオリティ、いわゆる乗り心地が向上すること
になる。
【0088】さらに、上記内燃機関の始動装置において
は、PI制御に移行する所定の回転数N1よりも若干小
さい回転数N2以降では、モータMG1の目標トルクS
TGを徐々に減少している点にも特徴がある。このよう
に設定されているため、上記始動装置によればPI制御
に滑らかに以降することが可能となり、PI制御への以
降時のエンジン回転数のオーバーシュートを低減するこ
とができる。開ループ制御をしている時間t0〜t1ま
での区間では、モータMG1はエンジン150の回転数
Neに関わらず目標トルクの上限値STGMAXを付加
しているため、目標回転数netagに近くなるまでこ
のようなトルクSTGMAXを付加し続けた場合には、
PI制御に移行した後、図8のL1に示すように目標回
転数netagを大きくオーバーシュートする可能性が
ある。この場合は、モータMG1では図9のL5に示す
ような大きな負のトルクを生じることになり、エンジン
150の回転数が目標回転数に収束する時間が長くなる
ため好ましくない。本実施例の始動装置では、上述した
通り、開ループ制御中に目標トルクSTGを減少する区
間を設けることで、図8のL2に示すようにエンジン回
転数Neのオーバーシュートを低減することができる。
【0089】また、本実施例の始動装置は、PI制御に
以降した後、目標トルクTTGが減少しつつあるとき
は、なまし処理を実行して目標トルクSTGを設定する
点にも特徴がある。かかる手段を講じることによって、
トルク変動に伴うショックを低減することができ、車両
のライドクオリティを大きく向上させることができる。
【0090】さらに、車両の走行中においてPI制御に
移行した後の目標回転数Neを図11のnetag1に
示した通り、エンジン回転数Neの上昇率の制限値およ
び電力消費の双方を考慮して設定している点にも特徴が
ある。このように設定しているため、上記始動装置によ
れば、PI制御に移行した後の電力消費をも抑えること
ができる。
【0091】以上、本発明の実施例について詳しく説明
したが、この本実施例の始動装置を構成する各部は、本
実施例以外の様々な構成が可能である。例えば、本実施
例では、モータMG1およびモータMG2にPM形(永
久磁石形;Permanent Magnettype)同期電動機を用いた
が、回生動作および力行動作の双方が可能なものであれ
ば、その他にも、VR形(可変リラクタンス形;Variab
le Reluctance type)同期電動機や、バーニアモータ
や、直流電動機や、誘導電動機や、超電導モータや、ス
テップモータなどを用いることもできる。
【0092】また、実施例では、第1および第2の駆動
回路191,192としてトランジスタインバータを用
いたが、その他に、IGBT(絶縁ゲートバイポーラモ
ードトランジスタ;Insulated Gate Bipolar mode Tran
sistor)インバータや、サイリスタインバータや、電圧
PWM(パルス幅変調;Pulse Width Modulation)イン
バータや、方形波インバータ(電圧形インバータ,電流
形インバータ)や、共振インバータなどを用いることも
できる。
【0093】さらに、バッテリ194としては、Pbバ
ッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用いる
ことができるが、バッテリ194に代えてキャパシタを
用いることもできる。
【0094】以上の実施例を適用するハイブリッド車両
も種々の構成が可能である。図1ではエンジン150お
よびモータMG2の駆動力をプラネタリギヤ120を介
して駆動輪116、118に伝達するハイブリッド車両
の構成を示したが、エンジン150、モータMG1,M
G2についてプラネタリギヤ120を介した接続は図1
5および図16に示す種々の形態としてもよい。例え
ば、図1に示した構成では、リングギヤ軸126に出力
された動力をリングギヤ122に結合された動力取出ギ
ヤ128を介してモータMG1とモータMG2との間か
ら取り出したが、図15に変形例として示した構成のよ
うに、リングギヤ軸126Aを延出して動力を取り出す
ものとしてもよい。また、図16に変形例として示した
構成のように、エンジン150側からプラネタリギヤ1
20B,モータMG2,モータMG1の順になるよう配
置してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは中空で
なくてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸とする必
要がある。この構成では、リングギヤ軸126Bに出力
された動力をエンジン150とモータMG2との間から
取り出すことができる。さらに、図示しないが、図15
においてモータMG2とモータMG1を入れ替えた構成
とすることも可能である。
【0095】以上は、プラネタリギヤ120を用いた変
形例であるが、図17に示すように、プラネタリギヤ1
20を用いない構成をとってもよい。図17に示す構成
では、図1におけるモータMG1およびプラネタリギヤ
120に代えて、ロータ(インナロータ)234および
ステータ(アウタロータ)232の双方が同じ軸中心に
相対的に回転可能であり電磁継手として作用し得るクラ
ッチモータMG3を用いている。クラッチモータMG3
のアウタロータ232はエンジン150のクランクシャ
フト156に機械的に結合され、クラッチモータMG3
のインナロータ234およびモータMG2のロータ14
2は駆動軸112Aに結合されている。モータMG2の
ステータ143はケース119に固定されている。かか
る構成では、モータMG3により原動機を始動し得るた
め本発明を適用することが可能である。
【0096】さらに、ハイブリッド車両は図18に示す
ような、いわゆるシリーズ式の構成であっても構わな
い。シリーズ式のハイブリッド車両では、エンジン15
0の出力軸は発電機Gに機械的に結合されている。発電
機Gは電動機としても駆動し得るものである。駆動輪1
16、118には、モータMG4が動力伝達ギヤ111
等を介して結合されているが、エンジン150は結合さ
れてはいないため、エンジン150の動力は駆動輪11
6、118に伝達されることはなく発電機Gの運転に使
われ、車両はバッテリ194の電力によりモータMG4
を動かすことにより駆動される。かかる構成からなるハ
イブリッド車両では、発電機Gにより始動し得るため、
本発明を適用することができる。
【0097】その他、エンジン150のみを動力源とす
る通常の車両においても、大型の始動用のセルモータを
備えるような場合には、本発明を適用することができ
る。以上、本発明の実施の形態について説明したが、本
発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々な
る形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としてのエンジン始動装置を搭
載した車両の概略構成を示す構成図である。
【図2】VVT157の機構の概略を示す説明図であ
る。
【図3】吸気弁153の開閉タイミングを示す説明図で
ある。
【図4】エンジン150の回転数制限を示す説明図であ
る。
【図5】本実施例における始動制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図6】モータMG1の目標トルクを設定するルーチン
を示すフローチャートである。
【図7】回転数判定処理ルーチンの流れを示すフローチ
ャートである。
【図8】停車中におけるエンジン150の目標回転数お
よび実回転数Neの時間的変化を示すグラフである。
【図9】停車中におけるモータMG1が出力するトルク
の時間的変化を示すグラフである。
【図10】エンジン目標回転数算出処理の流れを示すフ
ローチャートである。
【図11】走行中におけるエンジン150の目標回転数
および実回転数Neの時間的変化を示すグラフである。
【図12】走行中におけるモータMG1が出力するトル
クの時間的変化を示すグラフである。
【図13】燃料噴射処理ルーチンの流れを示すフローチ
ャートである。
【図14】機械分配式ハイブリッド車両の第1の変形構
成例を示す説明図である。
【図15】機械分配式ハイブリッド車両の第2の変形構
成例を示す説明図である。
【図16】電気分配式ハイブリッド車両の構成例を示す
説明図である。
【図17】シリーズ式ハイブリッド車両の構成例を示す
説明図である。
【符号の説明】
111…動力伝達ギヤ 112,112A…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 116,118…駆動輪 119…ケース 120,120A,120B…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125,125A,125B…サンギヤ軸 126,126A,126B…リングギヤ軸 127,127A,127B…プラネタリキャリア軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 130…ダンパ 132…ロータ 133…ステータ 139…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 149…レゾルバ 150,150a…エンジン 151…燃料噴射弁 152…燃焼室 152a…シリンダ壁 153…吸気弁 154…ピストン 155…排気弁 156…クランクシャフト 157…連続可変バルブタイミング機構 158…イグナイタ 160…ディストリビュータ 162…点火プラグ 164…アクセルペダル 164a…アクセルペダルポジションセンサ 165…ブレーキペダル 165a…ブレーキペダルポジションセンサ 170…EFIECU 174…水温センサ 176…回転数センサ 178…回転角度センサ 179…スタータスイッチ 182…シフトレバー 184…シフトポジションセンサ 190,190A…制御ユニット 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 199…残容量検出器 200…吸気口 202…排気口 232…アウタロータ 234…インナロータ 238…回転トランス 240…吸気カムシャフト 242…吸気カムシャフト・タイミング・ギヤ 244…排気カムシャフト 246…排気カムシャフト・タイミング・ギヤ 248…タイミングベルト 250…VVTプーリ 252…可動ピストン 254…OCV 256…エンジンオイルポンプ MG1、MG2、MG3、MG4…モータ G…発電機

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の出力軸にダンパを介して結合
    された電動機をバッテリにより駆動して、該内燃機関を
    始動する内燃機関の始動装置であって、 該内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、 該内燃機関の始動のために該電動機により該内燃機関の
    出力軸に付加される始動トルクを、該内燃機関の回転数
    が所定の切り替え回転数以下では予め定められた関係に
    従って設定する低回転時始動トルク設定手段と、 該始動トルクを出力するよう前記電動機を駆動する電動
    機駆動手段とを備える内燃機関の始動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の内燃機関の始動装置であっ
    て、 前記低回転時始動トルク設定手段における前記関係は、 前記内燃機関および電動機により形成される系の振動特
    性に応じて定められる所定の度合いで前記始動トルクを
    徐々に増加していく関係である内燃機関の始動装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の内燃機関の始動装置であっ
    て、さらに、 前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手
    段と、 該内燃機関の回転数が前記切り替え回転数より大きくな
    った後は、該内燃機関の回転数と該内燃機関の目標回転
    数との偏差に応じて、前記始動トルクを設定する高回転
    時始動トルク設定手段とを備える内燃機関の始動装置。
  4. 【請求項4】 請求項3の内燃機関の始動装置であっ
    て、 前記低回転時始動トルク設定手段における前記関係は、 内燃機関の回転数が前記切り替え回転数よりも小さい所
    定の回転数に達した後は、前記電動機から出力されるト
    ルクを徐々に減少する関係である内燃機関の始動装置。
  5. 【請求項5】 請求項3の内燃機関の始動装置であっ
    て、 前記高回転時始動トルク設定手段は、 前記電動機の出力トルクを増加する際には、該内燃機関
    の回転数と該内燃機関の目標回転数との偏差に応じて定
    まるトルクを始動トルクとし、 前記電動機の出力トルクを減少する際には、該内燃機関
    の回転数と該内燃機関の目標回転数との偏差に応じて定
    まるトルクをなまし処理したトルクを始動トルクとする
    手段である内燃機関の始動装置。
  6. 【請求項6】 請求項1の内燃機関の始動装置であっ
    て、 前記内燃機関は吸気弁の開閉タイミングを変更する開閉
    タイミング変更機構を備える内燃機関であり、 該内燃機関を始動する際、該開閉タイミングを制御して
    該内燃機関の有効圧縮比を低減する開閉タイミング制御
    手段を備える内燃機関の始動装置。
  7. 【請求項7】 駆動用電動機と共に駆動源としてハイブ
    リッド車両に備えられる内燃機関の出力軸に結合された
    電動機をバッテリにより駆動して、該内燃機関を始動す
    る内燃機関の始動装置であって、 該ハイブリッド車両の速度が所定値以下であるか否かを
    判別する車速判別手段と、 該内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、 該ハイブリッド車両の速度が所定値より大きい場合にお
    いて、該内燃機関の始動のために該電動機により該内燃
    機関の出力軸に付加される始動トルクを、該内燃機関の
    回転数が所定の切り替え回転数以下では予め定められた
    第1の関係に従って設定する高速時始動トルク設定手段
    と、 該ハイブリッド車両の速度が所定値以下である場合にお
    いて、該内燃機関の回転数が所定の切り替え回転数以下
    では、前記始動トルクを前記第1の関係より小さい値を
    とるように予め定められた第2の関係に従って設定する
    低速時始動トルク設定手段と、 該始動トルクを出力するよう前記電動機を駆動する電動
    機駆動手段とを備える内燃機関の始動装置。
  8. 【請求項8】 請求項7の内燃機関の始動装置であっ
    て、さらに、 前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手
    段と、 該内燃機関の回転数が前記切り替え回転数より大きくな
    った後は、該内燃機関の回転数と該内燃機関の目標回転
    数との偏差に応じて、前記始動トルクを設定する高回転
    時始動トルク設定手段とを備える内燃機関の始動装置。
  9. 【請求項9】 請求項8の内燃機関の始動装置であっ
    て、 前記目標回転数設定手段は、前記ハイブリッド車両の走
    行中において、前記内燃機関の回転数の増加の度合いに
    所定の制限値が存在する条件下で、前記目標回転数を、
    該ハイブリッド車両の走行に必要な動力と、前記駆動用
    電動機および前記電動機による電力消費とに応じて定ま
    る所定の回転数に設定する手段である内燃機関の始動装
    置。
  10. 【請求項10】 内燃機関の出力軸にダンパを介して結
    合された電動機をバッテリにより駆動して、該内燃機関
    を始動する内燃機関の始動方法であって、 該内燃機関の回転数を検出し、 該内燃機関の始動のために該電動機により該内燃機関の
    出力軸に付加される始動トルクを、該内燃機関の回転数
    が所定の回転数以下では予め定められた関係に従って設
    定し、 該始動トルクを出力するよう前記電動機を駆動する内燃
    機関の始動方法。
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