JPH11116491A - 血清由来の新規な抗腫瘍性物質s3、その製造法及びそれを含む抗腫瘍剤 - Google Patents

血清由来の新規な抗腫瘍性物質s3、その製造法及びそれを含む抗腫瘍剤

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JPH11116491A
JPH11116491A JP9271629A JP27162997A JPH11116491A JP H11116491 A JPH11116491 A JP H11116491A JP 9271629 A JP9271629 A JP 9271629A JP 27162997 A JP27162997 A JP 27162997A JP H11116491 A JPH11116491 A JP H11116491A
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serum
antitumor
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ammonium sulfate
desalting
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JP9271629A
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English (en)
Inventor
Nobuyoshi Okada
信良 岡田
Shinji Koga
眞司 古賀
Shigeki Kaneshiro
茂樹 金城
Kunio Nagata
邦夫 永田
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SHADAN SEISHIKAI
Original Assignee
SHADAN SEISHIKAI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた抗腫瘍活性を有し、しかも副作用が少
ない抗腫瘍性物質、その製造法及びそれを含む抗腫瘍剤
を提供すること。 【解決手段】 血清を硫酸アンモニウム50%飽和で処理
してグロブリンを沈殿除去し、上澄みの硫酸アンモニウ
ム濃度を80%飽和とし、更に酢酸でpH 5.0として遠沈し
て得られる沈殿物を、蒸留水で透析、脱塩した後、凍結
乾燥することにより得ることができる粉末であって、分
子量(HPLC法)が約50,000以下であり、B−
16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍性を有する血清由来
抗腫瘍性物質S3;その製法及びS3を有効成分とする
抗腫瘍剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血清由来の新規な
抗腫瘍性物質S3、その製造法及びそれを含む抗腫瘍剤
に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】現在、癌の治療法には、
手術によって癌の病巣を取り除いてしまう外科療法、放
射線による放射線療法、抗腫瘍剤や抗癌剤を投与する化
学療法、及び患者自身の身体に備わっている、病気から
回復しようとする力を増強して癌を治療する免疫療法等
がある。癌が早期に発見された場合には、これらの治療
法もある程度の効果を上げてはいるが、抗腫瘍効果が強
ければ強いほど、正常な身体にも避けられない副作用を
与えたりする事もあって、現在知られているこれらの治
療法には、まだまだ改善する余地があり、多くの癌患者
たちが癌治療法の進歩発展を待ち望んでいる状態であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、優れた抗腫瘍活性を有し、しかも副作用が少ない抗
腫瘍性物質、その製造法及びそれを含む抗腫瘍剤を提供
することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは十数年来、
癌をはじめ免疫疾患や難治性の疾患に対する治療法とし
て、リンパ球を使用した、免疫療法を行ってきた。この
治療を行うなかで、本発明者らは血清成分中に含まれて
いる物質に注目し研究してきた。その結果、血清に所定
の処理をして得られる物質S3が、免疫賦活作用を持つ
と同時に、メラノーマ細胞に対して優れた抗腫瘍活性を
有し、しかも副作用が少ないという知見を得た。本発明
はこの知見に基づき完成されたものである。なお、物質
S3は、血清中の物質の分離精製の途中の段階におい
て、分離されたものであり、その詳細な性質は別項のと
おりである。前記課題を解決するために、本発明は、下
記の血清由来抗腫瘍性物質S3を提供する。
【0005】すなわち、該物質S3は、(a) 血清を硫酸
アンモニウム50%飽和処理してグロブリンを沈殿除去
し、上澄みの硫酸アンモニウム濃度を80%飽和とし、更
に酢酸でpH 5.0として遠沈して得られる沈殿物を、蒸留
水で透析、脱塩した後、液体クロマトグラフィー、濾過
法又は遠心分離法により得られる分画を再び透析、脱塩
し、凍結乾燥することにより得ることができる、糖タン
パク質を含有する粉末であって、分子量分布が約50,
000以下であり〔SDS−PAGE法(電気泳動
法)〕、かつB−16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍性
を有する物質である。本発明はまた、上記S3を有効成
分とする抗腫瘍剤を提供するものである。なお、本発明
の血清由来抗腫瘍性物質S3の性質を詳述すると下記の
とおりである。
【0006】(b) 分子量分布:約50,000以下であ
って、約10,000〜約50,000までに分布を有
するものが好ましい。特に約10,000前後、約3
6,000前後、約42,000前後及び約50,00
0前後に分布を有するものが好ましい。 (c) 呈色反応:アンスロン反応 陽性 (糖) 〔アンスロン反応は、一般的な糖(還元糖)の定性反応である。 「生物工学実験書」培風館−1993年版〕 モーリッシュ反応 陽性 (糖) 〔モーリッシュ反応は、糖類の一般的な検出反応の一つで、糖を 含む水溶液にモーリッシュ試薬数滴を加え、さらに濃硫酸を静か に入れると重層(境界)面に赤紫色環を生じる。「生物工学実験 書」培風館−1993年版〕 ローリー反応 陽性 (タンパク質) 〔ローリ反応は、タンパク質中のペプチド結合がアルカリ性でC u++と反応して紫紅色の錯体をつくる性質を利用したビュレット 法とチロシン、トリプトファン、システインの側鎖をと反応する フェノール試薬とを組み合わせた方法でタンパク質と反応すると 深青色を呈することを利用した方法である。「生物化学実験の手 引き−2」化学同人社−1990年版〕
【0007】 吸収: 550nmにおける吸収 (+)(タンパク質) 〔本吸収は、先の「ローリー反応」の際の発色物が、550nm において 吸収極大を示すことに基づく試験である。〕 (d) pH: 5.2 ±0.2 〔S3を6.3mg とり5mlの蒸留水に溶かして測定した。
(CORNING 社pHメータ215 使用)] (e) アミノ酸組成(重量比)(単位%) アスパラギン酸8.8 、スレオニン5.2 、セリン4.5 、グ
ルタミン酸13.7、グリシン4.8 、アラニン6.6 、バリン
3.8 、メチオニン1.1 、イソロイシン0.3 、ロイシン1
0.8、チロシン3.2 、フェニルアラニン4.2 、リジン0.5
、ヒスチジン3.4 、アルギニン3.9 、プロリン。
【0008】(f) 元素組成(重量比) H3.7 %;C27.0%;N1.3 % 本発明の「血清由来抗腫瘍性物質S3」は以下の工程を
含む方法により製造することができる。 (イ)塩析 ウシ、ウマまたはヒトなど哺乳動物の血清を用い、硫酸
アンモニウム50%飽和処理し、静置後、10,000rpm 、30
分間遠心分離を行ない、グロブリンを沈殿除去する。な
お、この工程は出発物質として血液を用いることもでき
る。 (ロ)塩析(続き) さらに、(イ)の上澄液をとり、硫酸アンモニウム80%
飽和とし、酢酸でpH5.0 に調整したのち、10,000rpm 、
4時間遠心分離を行なう。 (ハ)透析(脱塩) 上澄液を除いた沈殿物について、セルロース膜透析チュ
ーブを用いて蒸留水で透析して脱塩を行なう。
【0009】(ニ)遠心分離.乾燥 上記(ハ)にて、十分脱塩を行なったのち10,000rpm 、
4時間遠心分離を行ない、上澄液を凍結乾燥させ粉末と
する。 (ホ)分画 工程(ニ)によって得られた粉末について液体クロマト
グラフィー法により文画を行ない、分子量約50,000以下
の物質を得る。移動相には例えば20mMリン酸ナトリウム
緩衝液(pH7.0) を用いる。 (ト)上記分画溶液について再び、セルロース膜透析を
用い、蒸留水(または0.04%クエン酸ナトリウム溶液)
にて透析し、脱塩を行なったのち凍結乾燥を行ない、製
品S3を得る。本発明のS3は、種々の動物、例えば、
人、牛、兎、馬等の哺乳動物の血清から分離採取され
る。
【0010】本発明のS3を有効成分として含有する抗
腫瘍剤の投与形態は、主として非経口投与とし、剤型は
注射剤として、あるいは坐剤として投与することができ
る。さらに適宜、剤型あるいは賦型剤等を選ぶことによ
って経口投与若しくは外用剤として用いられる。これら
の製剤は賦型剤.結合剤.防腐剤.等の製剤上容される
添加剤を用いて既知の方法で製造される。また、S3を
有効成分として含有する抗腫瘍剤の臨床投与量は年齢、
体重、患者の感受性,症状の程度により異なるが、通常
効果的な量は、成人一日、1〜10mg程度であり、一
日1回または数回に分けて用いることも可能である。
【0011】以下、実施例により、本発明を更に詳細に
述べる。
【実施例】
〔S3の製造〕 (実施例1)ウシの血清を出発材料として用いて、以下
のようにしてS3を製造した。 (1) ウシの血清1,000ml をとり、試薬特級硫酸アンモニ
ウムで50%飽和にし、4℃で一夜放置後、10,000rpm 、
30分間で遠心分離し、グロブリンを除去した。この上
澄液、約700ml をとり硫酸アンモニウム濃度を80%飽和
に上げ、さらに、試薬特級酢酸でpH 5.0に調整し、4℃
で一夜放置後、10,000 rpmで4時間遠心分離を行なっ
た。 (2) この上澄みを除き、沈殿物約200 〜300ml を、セル
ロース膜透析チューブ(Spectrum Medical Industries
社製、Spectra/Por Membranetubing)に分注し、蒸留水
(試薬特級クエン酸ナトリウムを0.04%になるように
加えた。)にて24時間×4回透析し、十分脱塩を行な
った。この時4℃に保冷した。
【0012】(3) 上記の透析物(合計約600ml )につい
て、10,000rpm で、4時間遠心分離を行なった後、上澄
液を凍結乾燥させ中間体(乾燥物)約30g を得た。 (4) 上記中間体(乾燥物)を、予め20mMリン酸ナトリウ
ム緩衝液を用いて溶解させて約5(W/v) %溶液としたの
ち、ミリポア.ステリベクスGVフィルター(0.22μm
)を用いて除菌ろ過をしたのち、島津LC−8A分取
システムを用いて2回、分画を行なった。
【0013】カラム(1) 、Shodex GFA-50Pを用い、
移動相は、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(流速:5ml/
分)を用いて目的物を分取した。分取液を一旦、凍結乾
燥して次の工程に移した。次に凍結乾燥物について、カ
ラム(2)、Shodex GS-310P を用い分画を行なっ
た。移動相は、前記同様に20mMリン酸ナトリウム緩衝液
(pH7.0 、流速:5ml/ 分、注入量2ml)を用い、また凍結
乾燥物も予めこのリン酸ナトリウム緩衝液に溶解し約5
(W/V)%として用いた。このときの画分についての溶出
量は約1,100mlであり、その検出溶出位置は、分子量約2
1,000をピークとする小さな凸を示した。また分子量分
布について、SDS−PAGE法(電気泳動法)による
結果、分子量約10,000、約36,000、約42,000及び約50,0
00にS3のバンドが形成された。なお、本明細書におけ
るSDS−PAGE法の展開条件は次のとおりであっ
た。 ゲル組成:12% SDS- ポリアクリルアミドゲル Tris −緩衝液(pH8.8) 通 電:35mA-90V 泳動時間:5時間 Marker :Protein Marker,Broad Range(*) 染色液 :CBB(Coomassie Brillant Blue) サンプル:0.15mg
【0014】また使用したプロテインマーカは次のもの
であり、本測定ではいずれもゲル上に明瞭なバンドを形
成した。 プロテインマーカー プロテイン MW (Da) β- ガラクトンダーゼ 116,351 血清アルブミン 66,409 グルタミンデヒドロゲナーゼ 55,561 MBP22 42,710 乳酸デヒドロゲナーゼM 36,487 トリオセフォスフェートイソメラーゼ 26,625 トリプシンインヒビター (20,040-20,167) ライソザイム 14,313 (5) 上記分取液について再び、(2) と同様のセルロース
膜透析チューブを用いて透析を行なった。透析液は0.0
4%リン酸ナトリウム液を用いた。所要時間は、24時
間×4回であった。 (6) 上記によって脱塩を行なった後、エンドトキシン除
去操作を行なった後、凍結乾燥を行ない製品とした。製
品の収量は約30mgであった。
【0015】〔製剤例1〕 (注射・点滴剤) S3・10mgを含有するように、粉末ぶどう糖5gを加
えてバイアルに無菌的に分配し密封した上、窒素、ヘリ
ウム等の不活性ガスを封入して冷暗所に保存した。使用
前に生理食塩水を添加して静脈内注射剤とし、S3の濃
度を1mg/ml とした。これを用いて動物実験を行なっ
た。 〔製剤例2〕 (注射・点滴剤) S3 2mgを用いて、製剤例1と同様の方法により軽症
用静脈内注射剤とした。これを用いて、一日、10〜1
00mlを症状に応じて静脈内注射または点滴で投与する
ことができる。 〔製剤例3〕 (顆粒剤) S3を1g、乳糖98gおよびヒドロキシプロピルセル
ロース1gを各々とり、よく混合した後、常法に従って
粒状に成形し、これをよく乾燥して篩別してビン、ヒー
トシール包装などに適した顆粒剤を製造した。一日、 1
00〜1000mgを症状に応じて経口で投与することができ
る。
【0016】〔B−16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍
効果〕RPMI 1640培地(ニッスイ)10.2gを
純水1000mlに溶解し、オートクレーブ滅菌し、7.5
%NaHCO3 でpHを7.0に調整した。冷却後、グルタ
ミン0.3gを加え、牛胎児血清100mlを加えて、培地
を作成した。実施例1で製造した精製S3を(1) で作成
した培地に溶解し、0μg/ml、200μg/ml、10
00μg/ml、5000μg/mlの4種類の培地を作成
した。数日前から培養しておいたB−16メラノーマ細
胞を遠沈して集め、トリパンブルー (Trypan Blue)染色
液で染色し、細胞数をカウントした。滅菌済みの96ウ
ェルマイクロプレートを用意し、1ウェル当たり、生き
た細胞1×104 個を分注し、(2) で作成した4種類の
濃度のS3の含まれた培地で培養した。
【0017】培養を開始してから、5時間後、10時間
後、24時間後、48時間後にトリパンブルー染色液で
染色し、生きている細胞と死んでいる細胞をカウント
し、カウントした細胞数から、B−16メラノーマ細胞
の生存率を算出した。その結果は表1及び図1に示した
ように、培養開始後、5時間経過した時点で既に、S3
の抗腫瘍効果が現われている。S3を含まない、0μg
/mlの培地で培養したものは、B−16メラノーマ細胞
が100%生きているのに対して、S3を、200μg
/ml含むものは92.3%、1000μg/ml含むものは
84.1%、5000μg/ml含むものは79.5%の生存
率であった。48時間後まで、コントロール(0μg/
ml)で培養した細胞が、79.1%生きていたのに対し
て、1000μg/ml含むものは、24時間後には49.
4%の生存率となり、約半数のB−16メラノーマ細胞
が死に、48時間後には22.2%が生き残っただけであ
った。さらに効果が見られた5000μg/mlでは、1
0時間後には約半数となり、24時間後にはほとんどの
細胞が死滅してしまった。
【0018】
【表1】 表1 B-16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍効果 生存率(%) ─────────────────────────────────── 培養時間(時間) 0 5 10 24 48 S3の濃度 0(μg/ml) 100 100 92.2 78.7 79.1 200(μg/ml) 100 92.3 81.6 53.2 61.0 1000(μg/ml) 100 84.1 83.9 49.4 22.2 5000(μg/ml) 100 79.5 45.1 0.03 0
【0019】〔B−16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍
効果(LDH測定)〕プロメガ(Promega) 社の Cytotox
96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay Kitを用い、
96ウェルマイクロプレートを用いてS3の濃度を0μ
g/ml(コントロール)、200μg/ml、1000μ
g/ml、5000μg/mlの4濃度とし、S3によるB
−16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍効果実験を行っ
た。
【0020】(実験方法)培養しておいたB−16メラ
ノーマ細胞を遠沈して集め、1×104 個/100μl
/ウェルとなるように Cedarlane Cytotoxicity Medium
(無血清培地)に溶解し、各ウェルに入れた。これに、
先の4種類の濃度となるようにS3を調整し、それぞれ
のウェルに100μlづつ加えた。同様のプレートを4
群の各群についてそれぞれ5枚作成し、培養1時間、5
時間、10時間、24時間、48時間後に、死んだ細胞
より出てくるLDH(乳酸脱水素酵素)値を Cytotox 9
6 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay Kitで、測定し
抗腫瘍効果を測定した。結果を表2及び図2に示す。表
2及び図4に示すように、培養5時間までのLDHの値
は、全ての群に於てほとんど差がみられないが、培養5
時間以降から、S3濃度に比例してLDHの値が高くな
ることがわかる。24時間ではかなり差がみられ、0μ
g/ml(コントロール)の値に比べ、濃度200μg/
mlで1.58倍、1000μg/mlで2.83倍、5000
μg/mlで4.92倍となり、S3がB−16メラノーマ
細胞に対して優れた抗腫瘍効果を有することがわかる。
【0021】
【表2】 表2 B-16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍効果(LDH) (LDH値) ─────────────────────────────────── 培養時間(時間) 1 5 10 24 48 S3の濃度 0(μg/ml) 0.047 0.063 0.094 0.228 0.218 200(μg/ml) 0.047 0.064 0.127 0.361 0.406 1000(μg/ml) 0.053 0.069 0.243 0.644 0.634 5000(μg/ml) 0.052 0.077 0.523 1.121 1.196
【0022】〔マウスによる抗腫瘍効果実験〕C57B
L/6NJclマウス(7週齢)40匹を使用した。B
−16メラノーマ細胞5×105 個を皮下注射でマウス
の脇腹に植えた。マウス40匹を4群に分け、コントロ
ール群に生理食塩水0.1mlを投与し、他の3群には、S
3をそれぞれ1μg、10μg、及び100μg投与し
た。投与量はマウス一匹につき、S3をそれぞれ生理食
塩水0.1mlに溶解し、毎週2回づつ、尾静脈より静注し
た。結果を表3及び図3に示す。表3及び図3から明ら
かなように、B−16メラノーマ細胞移植後、16日目
に、生理食塩水投与群では生存率が50%まで落ちてし
まったが、S3投与群では、70〜80%の生存率を示
している。38日目には、生理食塩水投与群では、全数
のマウスが死亡してしまい、生存率が0%になってしま
ったが、その日、S3の1μg投与群では10%、10
μg投与群では20%、100μg投与群では40%の
生存率で生存していた。さらに、S3の100μg投与
群のマウスは45日目の実験終了日まで40%の生存率
のまま、生き続けていた。
【0023】
【表3】 表3 マウスによる抗腫瘍効果 生存率(%) ──────────────────────────────────── 日 数 0 10 14 16 20 25 28 31 34 38 41 45 投与群 生理食塩水 100 100 80 50 30 30 20 20 20 0 0 0 S3(1μg) 100 100 90 70 40 30 30 10 10 10 10 0 S3(10μg) 100 100 80 80 60 40 30 30 20 20 20 10 S3 (100 μg) 100 100 80 70 60 60 60 50 50 40 40 40 各群n=10
【0024】前記のとおり、S3は、癌細胞の増殖に対
する抑制作用や癌細胞に対する殺作用を直接的に示すと
ともに、癌を移植したマウスを用いた動物実験において
も顕著な癌細胞の増殖抑制作用や癌細胞に対する殺作用
を示す。従って、S3は、レンチナンのような免疫を増
強する物質と考えられる。B−16メラノーマ細胞を用
いて実験した担癌マウスのなかには癌の腫瘍そのものが
崩れて、剥がれ落ちてしまった例や、瘤状の癌の表面に
痂皮が形成され、その内部の癌細胞が壊死してしまった
例も観察された。そして、生理食塩水を静注したコント
ロール群の平均生存日数が18.7日であったのに対し
て、S3投与群の平均生存日数は投与量に比例して延長
されている。45日目に動物実験を終了した時点に於
て、平均生存日数はS3の1μg投与群が20.3日、1
0μg投与群が23.4日、100μg投与群が29.2日
であった。従って、仮に45日以降も実験を継続した場
合には、10μg投与群の一匹と100μg投与群の四
匹の生存しているマウスが生き続けて、この二つの投与
群の平均生存日数はさらに延長されたものと思われる。
【0025】なお延命率(ILS%)(Increased life
span )は以下の計算式により算出した。 延命率(ILS%)=〔(T−C)/C〕×100
(%) T:検体投与群(Treated)の平均生存日数 C:対照群(Control)の平均生存日数 上記の式より100μg投与群の延命率(ILS%)は
56.1%となる。この数値は癌細胞移植後、45日目ま
でで実験を終了した時の数値であるので、実際には56.
1%よりもかなり延命率が大きくなるものと思われる。
【0026】B−16メラノーマ細胞を移植した担癌マ
ウスの延命率が、ビンデシンスルフェート(Vindesine s
ulfate) 、ビンブラスチンスルフェート(Vinblastine s
ulfate) 、ビンクリスチンスルフェート(Vincristine s
ulfate) では30%以下であり、殆ど延命効果が無い
(参考文献1)ことを考慮すると、本発明のS3の延命
効果が極めて大きいことがわかる。また、ペプレオマイ
シン(Pepleomycin)では移植部位が皮下の場合はB−1
6メラノーマ細胞に対して有効であるが、腹腔内の場合
には有効ではないと報告されている(参考文献2)。5
−フルオロウラシル(5-FU)はB−16メラノーマ細胞
に対する延命率が140%となっているが(参考文献
3)、これは延命率を、T/Cで計算してあるためであ
る。これを、上記の計算式により算出すると40%とな
る。アクラシノマイシンA(Aclacinomaycin A)では延
命率が43%である(参考文献4)のに対して、本発明
のS3は100μg投与群では56.1%以上の延命率を
示す。
【0027】
【本発明の効果】レンチナンのような免疫増強物質は、
免疫増強作用は有るが直接的に癌細胞の増殖を抑制した
り殺してしまう作用は無いのが一般的である。しかし本
発明のS3は免疫力を増強する作用と、癌細胞の増殖に
対する直接的な抑制効果や癌細胞を殺してしまう作用の
両方を有している。従って、本発明のS3は、癌をはじ
め、その他の免疫疾患や難治性の疾患に対して有効な新
しい物質として、多くの治療困難な疾患を持った患者た
ちに希望を与える物質として充分に期待を持てるもので
ある。
【0028】参考文献 1)山口健二ほか:基礎と臨床、17、1259、(1
983年) 2)犬山征夫:<新薬の紹介>ペプレオマイシン:癌と
化学療法、第7巻、第8号、昭和55年8月 3)Goldin A.,et al : Eur.J.Cancer,17,129,(1981) 4)Oki, T., et al : Recent Results cancer Res, 7
6, 21, 1980 "New anthracycline antibiotic aclacino
mycin A: Experimental studies and Correlations wit
h clinical trials"
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のS3のB−16メラノーマ細胞に対す
る抗腫瘍効果を示すグラフである。
【図2】本発明のS3のB−16メラノーマ細胞に対す
る抗腫瘍効果(LDH)を示すグラフである。
【図3】本発明のS3のマウス体内におけるB−16メ
ラノーマ細胞に対する抗腫瘍効果を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の性質を有する血清由来抗腫瘍性物
    質S3: (a) 血清を硫酸アンモニウム50%飽和処理してグロブリ
    ンを沈殿除去し、上澄みを分取し、その硫酸アンモニウ
    ム濃度を80%飽和とし、更に酢酸でpH 5.0として遠沈し
    て得られる沈殿物を、蒸留水で透析、脱塩した後、得ら
    れた分画を再び透析、脱塩し、凍結乾燥することにより
    得ることができる、糖タンパク質を含有する粉末であっ
    て、(b) 分子量分布が約50,000以下であり、(c)
    B−16メラノーマ細胞に対する抗腫瘍性を有する。
  2. 【請求項2】 下記の工程を含む請求項1記載の血清由
    来抗腫瘍性物質S3の製造法: (イ) 血清を硫酸アンモニウム50%飽和にし、10000 rpm
    で、30分間遠心分離してグロブリンを沈殿させ、除去
    する工程; (ロ) 工程(イ) の上澄みの硫酸アンモニウム濃度を80%飽
    和に上げ、更に酢酸でpH5.0にし10000 rpm で、4時間
    遠心分離する工程; (ハ) 工程(ロ) の沈殿物を、セルロース膜透析、脱塩する
    工程; (ニ) 液体クロマトグラフィー、濾過法又は遠心分離法に
    より分画を得る工程;及び (ホ) 工程(ニ) の画分を脱塩後、凍結乾燥し粉末とする工
    程。
  3. 【請求項3】 請求項1の血清由来抗腫瘍性物質S3を
    有効成分とする抗腫瘍剤。
JP9271629A 1997-10-03 1997-10-03 血清由来の新規な抗腫瘍性物質s3、その製造法及びそれを含む抗腫瘍剤 Pending JPH11116491A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105194649A (zh) * 2015-09-14 2015-12-30 山东景源生物科技有限公司 一种肿瘤患者血清中活性糖蛋白组合物的分离方法及应用

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