JPH11114830A - ウォータージェット施工方法 - Google Patents

ウォータージェット施工方法

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JPH11114830A
JPH11114830A JP27731197A JP27731197A JPH11114830A JP H11114830 A JPH11114830 A JP H11114830A JP 27731197 A JP27731197 A JP 27731197A JP 27731197 A JP27731197 A JP 27731197A JP H11114830 A JPH11114830 A JP H11114830A
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JP
Japan
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nozzle
peak
water jet
jet
water
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JP27731197A
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English (en)
Inventor
Kazunori Satou
一教 佐藤
Fumio Manabe
二三夫 真鍋
Toshio Matsubara
敏夫 松原
Koichi Kurosawa
孝一 黒沢
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Hitachi Ltd
Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルの噴出孔径Dj が変化し、これに応じ
て流量が大幅に変化しても、第2ピークの領域で確実に
最適なWJP施工ができるウォータージェット施工方法
を提供する。 【解決手段】 水中において、ノズル1から水中に噴射
した高速水噴流を加工面に衝突させることにより施工を
行うウォータージェット施工方法において、所定の噴射
圧力P及びノズル構造に対し、xs =CDj n として求
まるスタンドオフ距離xs について、0.3≦n≦0.
8の範囲からnを選定し、xs を定める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウォータージェッ
トを用いる施工方法に係り、特に施工技術の高効率化に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ウォータージェットピーニング(WJ
P)は、水中にあって、高圧でノズルから噴出する高速
水噴流を水中構造物に衝突させ、残留応力を改善しよう
とする新しい技術である。この手法は、軽水炉型の圧力
容器(RPV)や炉内構造物の応力腐食割れ(SCC)
を防止する技術として大きな期待を集めている。
【0003】このWJP法によれば、ショットピーニン
グのように施工後に回収を必要とする鋼球を原子炉内に
持ち込むことはないし、炉内水をピーニング用として循
環利用することが可能であるなど、施工上の多くの利点
がある。さらに他の方法と比べれば、熱を用いないため
に、金属組織に一切の熱的悪影響を及ぼさないという特
長もある。
【0004】このWJPにおける水中高速水噴流には、
激しいキャビテーションが発生する。この水中高速水噴
流は、水噴流自体の水中拡散とキャビテーションの発達
という異なるメカニズムが連成しており、現象は複雑で
ある。
【0005】図10は、WJP施工の概念を示すもので
ある。
【0006】ノズル1から高速で噴出するキャビテーシ
ョンを伴う水中水噴流5は、加工対象物7に衝突し、加
工対象物7の残留応力を改善する。周囲静水圧Pamb
水中において、噴出孔径Dj のノズル1から噴射圧力P
1 で水を噴射する場合、最適のスタンドオフ距離x
S (ノズル1から加工対象面7までの直線距離)が決ま
る。なお、2は高圧水、3は噴出孔、4は中心軸、6は
周囲水を示す。
【0007】WJPでは、夥しい数のキャビテーション
気泡が急速に崩壊する際に生じる衝撃圧を利用するが、
この衝撃圧Pimp は、スタンドオフ距離xS の方向に対
して、図11に示すように、2つのピークを有する分布
となる。
【0008】下流にある2番目のゆるやかな形状のピー
クを「第2ピーク」と呼び、この噴流領域をピーニング
に用いれば、加工対象物の広い面積の部分のピーニング
が可能になる。また、この第2ピークを用いる施工を行
えば、壊食(エロージョン)が生じないので、ピーニン
グ施工にとって大変相応しい条件である。
【0009】噴射圧力P1 と周囲水圧Pamb を一定とす
る場合、第2ピーク相当のスタンドオフ距離xS は、ノ
ズル1の噴出孔径Dj に対して決まるが、スケールアッ
プあるいはスケールダウンをしたい場合、噴出孔径Dj
の変化(同時に噴出流量も変化する)とともに、第2ピ
ークのスタンドオフ距離xS がどう変化するかが問題で
ある。
【0010】所定の噴射圧力P1 と周囲水圧Pamb にお
いて、噴出孔径Dj =1mmの場合、第2ピーク相当の
スタンドオフ距離xS は約120mmであるとすれば、
これらの寸法比はxS /Dj =120となる。この寸法
比xS /Dj =120を、Dj =0.5mmあるいはD
j =2.0mmに当てはめ、スタンドオフ距離xS を設
定しても、そのスタンドオフ距離xS は第2ピークの噴
流領域から外れる。
【0011】ノズル1の噴出孔径Dj を大きくし、噴射
水量Qj を多くして、大面積の部分を一気にピーニング
しようとしても、スタンドオフ距離xS の設定が第2ピ
ークからずれれば、応力改善効果が低下するし、施工に
多大な時間がかかるようになる。噴射圧力P1 を増やさ
なければならないほど、第2ピークに対するスタンドオ
フ距離xS の設定が不適切であると、ピーニングの施工
能率を低下させる問題となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにWJP施
工において、残留応力を最大限に改善できる第2ピーク
相当のスタンドオフ距離xS は、噴射圧力P=一定とし
ても、噴出孔径Dj で割る無次元パラメータxS /Dj
によっては一義的には定まらない。
【0013】すなわち、噴出孔径Dj が異なれば(噴射
流量も異なる)、それに応じてxS/Dj も変化させな
ければ、第2ピークからずれた位置でピーニングを行う
ことになる。そうなると、残留応力改善量Δσ(WJP
施工後の圧縮残留応力−施工前の引張残留応力)は低下
し、また時間も要するようになり、ピーニングの能率は
低下する。
【0014】噴出孔径Dj が大きくなると、噴流のボリ
ュームも増大し、一般に乱れの形態も異なってくる。従
って、噴霧用のアトマイザや気相中のウォータージェッ
ト(切断加工に用いられる)のノズルにおいても、噴流
の特性を一義的には決めにくいという問題を抱えてい
る。ただし、噴霧用のアトマイザや気相中のウォーター
ジェットでは、これまで多くの経験に基づき、噴出孔径
j の変化に対する特性は、十分ではないにしろ把握さ
れていて、ノズルの設計や噴射条件の設定が行われてい
る。
【0015】しかしWJPにおける水中の高速水噴流で
は、噴出孔径Dj の変更による最適な施工条件の設定は
未解明のままである。
【0016】本発明の目的は、ノズルの噴出孔径Dj
変化し、これに応じて流量が大幅に変化しても、第2ピ
ークの領域で確実に最適なWJP施工ができるウォータ
ージェット施工方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
した課題を解決するため、水中において、ノズルから水
中に噴射した高速水噴流を加工面に衝突させることによ
り施工を行うウォータージェット施工方法において、所
定の噴射圧力P及びノズル構造に対し、 xs =CDj n ・・・(1) として求まるスタンドオフ距離xs について、 0.3≦n≦0.8 ・・・(2) の範囲からnを選定し、xs を定めることを特徴とする
ものである。
【0018】以上のような条件設定を行うことにより、
噴出孔径Dj と噴射流量が変化しても、噴流の第2ピー
クの領域を活用できるようになる。
【0019】従って、本発明によれば、大面積の部分を
短時間のうちに施工したい場合に、第2ピークを確実に
利用でき、WJPの施工能率が十分に発揮される。
【0020】
【発明の実施の形態】まず本発明の概要を説明する。本
発明者らの種々の検討の結果、高速水噴流を噴射するノ
ズルの噴出孔径Dj が異なり、噴出する水の流量Qj
変化すれば、噴流のボリュームも変化するため、渦キャ
ビテーションの発達過程も当然のことながら違ってく
る。噴流が大きくなっても、その内部構造は幾何学的に
相似ではない。
【0021】Dj ,Qj ともに水中水噴流が大きくなっ
ても、発達した渦キャビテーションが支配的な領域、す
なわち第2ピークの領域はDj の大きさに比例して下流
へは移行しない。
【0022】従って、噴流において最もパワフルな渦キ
ャビテーションが発達する第2ピークの領域、すなわち
ノズル出口からのスタンドオフ距離xS は噴出孔径Dj
で割っても、前述したようにパラメータxS /Dj は一
定として決まらない。
【0023】水中の高速水噴流中では、幾つかのタイプ
のキャビテーションが発達する。中でも、噴流界面の剪
断層に由来する渦キャビテーションは、その気泡が崩壊
する際に生じる衝撃圧力が大きく、材料に対して強い作
用を及ぼす。
【0024】渦キャビテーションが発達する領域、つま
り噴流中の第2ピークでは、特定のスタンドオフ距離x
S 2Pが「点」として求まるが、第2ピークの領域はゆる
やかな形の丘陵状をしているので、その丘陵域全体を利
用するのが得策である。
【0025】そこで本発明は前述のように、所定の噴射
圧力P及びノズル構造に対し、 xs =CDj n ・・・(1) として求まるスタンドオフ距離xs について、 0.3≦n≦0.8 ・・・(2) の範囲からnを選定する。
【0026】このようにすれば、ノズルにおける噴出孔
径Dj 及び噴出水量Qj が大きく変化しても、噴流にお
いて渦キャビテーションが最も発達する領域、すなわち
第2ピークの領域において生じる衝撃圧の作用を巧みに
使えるので、ピーニングを最も効果的に実施できるよう
になる。
【0027】以下、図を参照しながら本発明を具体的に
説明する。図1は、ノズル1から水中に噴射されて生じ
たキャビテーションを伴う水中水噴流5から発生する衝
撃圧Pimp を、ノズル1からのスタンドオフ距離xS
対する変化としてまとめたものである。すなわち同図
は、ノズル1の噴出孔径Dj が1mmφと2mmφの場
合の、スタンドオフ距離xS に対する衝撃圧Pimp の分
布曲線を比較したものである。
【0028】この特性は、感圧フィルム法や壊食法によ
り知ることができる。WJP施工に利用するのは、丘陵
状に広がる第2ピークの領域(図では←→として表記)
であるが、第2ピークに相当するスタンドオフ距離xS
は、ノズル1の噴出孔径Djが2倍になっても、下流に
2倍離れる訳ではないことが分かる。
【0029】なお、衝撃圧Pimp のピークレベルは、噴
出孔径Dj =2mmφのノズルを利用した方が高いこと
が分かる。
【0030】図2は、基本構造が同一のノズル1におい
て、噴射圧力P1 を一定として、ノズル1の噴出孔径D
j に対するスタンドオフ距離xS 2Pの変化をまとめたも
のである。
【0031】同図から明らかなように、スタンドオフ距
離xS 2Pは、噴出孔径Dj とともに直線的に変化する訳
ではなく、やや頭打ち気味に増大する。この結果は重要
であり、噴出孔径Dj を大きくした場合、それに比例さ
せてスタンドオフ距離xS を拡大してはいけないことを
明瞭に示している。
【0032】図中の一点鎖線は、n=0.6であり、 xS 2P∝Dj 0.6 ・・・(I) を表している。
【0033】またプロット群の上限を表す2点鎖線はn
=0.8、すなわち、 xS 2P∝Dj 0.8 ・・・(II) を表している。
【0034】さらにプロット群の下限を表す破線はn=
0.3、すなわち、 xS 2P∝Dj 0.3 ・・・(III ) を表わす。
【0035】従って、スタンドオフ距離xS は、 xS =CDj n ・・・(i )(xS ,D
j の単位はmm) 指数nの範囲は、 0.3≦n≦0.8 ・・・(ii) にまとめられる。
【0036】この(i )式においてCは噴射圧力P1
水深によって決まる周囲静水圧Pam b 及びノズル1の構
造によって求まる値であり、有効なピーニング施工を達
成するためには、およそ、 20<C<240 ・・・(iii ) の値となる。
【0037】噴射圧力P1 が低下するほど、また周囲静
水圧Pamb が高まるほどCの値は小さくなる。
【0038】図4のノズル1に比べると、図5や図6の
ように、出口に拡大空洞部9,10を設けたノズル1の
方がCの値は大きい。
【0039】図2の例は、C=120である。ちなみ
に、この条件は、周囲圧が大気圧に近い浅水中で、P1
=70MPa の場合である。
【0040】前記(i )式において、ノズルの噴出孔径
j を大きくすれば、スタンドオフ距離xS の値は無限
に大きくなるが、実質的に施工に適する噴出孔径Dj
次式のように決まる。
【0041】 0.3<Dj <3.0(mm)・・・(IV) これは、噴出孔径Dj が大き過ぎると噴射圧力P1 を高
めることが難しいからである。
【0042】図3は、ノズル噴出孔径Dj に対する変化
として、噴出孔径Dj で無次元化した第2ピーク相当の
スタンドオフ距離xS 2Pを再整理したものである。
【0043】噴出孔径Dj に対してスタンドオフ距離x
S 2P/Dj は一定ではなく、噴出孔径Dj の増大に伴い
S 2P/Dj の値が減少気味に変化することが分かる。
すなわち、噴出孔径Dj が大きく大容量の噴流ほど、相
対的な幾何学的位置としては第2ピークはノズル1に近
づく。従って、この特性曲線を基にして、第2ピークに
相当するスタンドオフ距離の位置にノズル1を設定すれ
ばよいことになる。
【0044】図4に使用するノズルの構造を示す。高圧
水2は、径収縮部(しぼり部)8において急速に減圧、
加速され、噴出孔3から水中に噴射される。噴射された
高速の水噴流では、高圧水2の中にある流入核(Inf
low nuclei)や、周囲水中ら噴流中に巻き込
まれる周囲核(Ambient nuclei)が爆発
的に成長して、激しいキャビテーションが生成される。
【0045】図7は、水中における高速水噴流の現象を
模式的に表したものである。水中に高速で噴射された水
噴流の特徴は、複数のタイプの激しいキャビテーション
が発生し、それが連成し合うことである。また、この現
象こそが、金属材料の表面改質を可能にする強い力学的
作用を与えることになる。
【0046】ノズル1から周囲水6中に噴射された高圧
水2は、キャビテーションを伴う水中水噴流5となる。
ノズル1の出口近くからは、微細なキャビテーション気
泡の集合体であるキャビテーションクラウド14が生成
し、下流に行くにつれて膨張するように拡大し、大きく
変形し(14a)、最終的には分裂して下流へ放出され
る。
【0047】一方、噴流界面の剪断層には乱れ11aが
発生し、この乱れに由来する渦キャビテーション12が
生成、成長する。キャビテーションクラウド14の変形
14aと渦キャビテーション12の発達は、ともに第2
ピークを中心とする領域において顕著になる。
【0048】すなわち、2つの代表的なキャビテーショ
ンの挙動が連成し合うことにより、第2ピークという最
もパワフルなキャビテーションの発達する領域が、噴流
中に作り出されることになる。
【0049】キャビテーションクラウド14と渦キャビ
テーション12は、ともに噴流の乱れがその生成のきっ
かけになっている。噴出孔径Dj が大きければ、噴出流
速Uj が同じでも乱れは激しくなる。
【0050】これは、乱れの程度を表現するパラメータ
であるレイノルズ数の定義Re =Uj j /ν(νは流
体の動粘度)からも明らかである。噴出孔径Dj が大き
いと、噴流の乱れが増加し、噴流のボリュームは圧倒的
に大きくなるものの、キャビテーションクラウド14は
早く成長・変形、そして分裂するようになる。
【0051】一方、噴流界面の乱れも強くなり、渦キャ
ビテーション12も相対的に早く発達するようになる。
さらに大きな噴流では気泡核の流入(13)が多く、ま
た噴流中にも多くの気泡核が存在するため、気泡核どう
しの相互作用も強くなる。
【0052】従って、噴出孔径Dj が大きく大容量の噴
流であっても、キャビテーションの発達が遅れて下流へ
ずれ込むことはなく、幾何学的に相似な噴流領域より
は、相対的に上流の領域においてキャビテーションが最
も活発になり、第2ピークが表れることになる。
【0053】逆に、ノズル1の噴出孔径Dj が細い噴流
では、乱れが乏しくなり、幾何学的に相似な噴流領域よ
りも相対的に下流の領域でようやくキャビテーションが
十分に発達し、第2ピークが表れる。なお、図中の11
bはまわしの発達を示す。
【0054】図8は、図1〜図3の結果に基づいて、噴
出孔径Dj の異なる2つのノズルに対して、第2ピーク
に相当するスタンドオフ距離xS 2Pを決定し、ピーニン
グによる効果を求めた特性図である。
【0055】横軸のスタンドオフ距離xS は、Dj =1
mmφのノズルにおける第2ピーク相当のスタンドオフ
距離xS (*)を基準として無次元表記した。一方、縦
軸の残留応力改善量Δσ(=施工後の圧縮残留応力−施
工前の引張残留応力)は、Dj =1mmφのノズルを使
用したときのxS =xS (*)における残留応力改善量
Δσ(*)により割ることで無次元表記した。
【0056】この結果から、ほほ設定した通りのスタン
ドオフ距離xS の領域において、残留応力改善量Δσが
最大になることが分かる。なお、Dj =2mmφの大容
量ノズルを用いた方が、残留応力改善量Δσを大きくで
きることも分かる。
【0057】以上より、本発明において示した考え方
(例えば図2、図3)に基づき、噴出孔径Dj から第2
ピーク相当のスタンドオフ距離xS 2Pを決定し、ピーニ
ング施工を行うことで、残留応力の改善効果を最大とす
る。
【0058】図9は、前記(i )式において、n値を変
化させてスタンドオフ距離xS をそれぞれ求め、残留応
力改善量Δσ(ピーニング後の圧縮応力−ピーニング前
の引張残留応力)を調べた結果を示す特性図である。
【0059】同図から明らかなように、n=0.6にお
いて残留応力改善量Δσは最大となる。この最大値をΔ
σmax 値とし、他のnの条件時のΔσはΔσmax により
割って無次元化して表現した。すなわち、n=0.6で
はΔσ/Δσmax =1となる。この図の結果から、Δσ
をある程度まで大きくできるnの範囲は、 0.3≦n≦0.8、好ましくは0.5≦n≦0.7・・・(ii) となることが分かる。
【0060】本発明に係る最適スタンドオフ距離の設定
法は、図4に構造を示したノズル1のみならず、構造の
異なる他のノズル1へもほぼ適用することができる。図
5に示すノズル1は噴出孔3の噴出方向先端に円筒拡大
部9を設け、図6に示すノズル1は噴出孔3の先端に丸
みを持った形状のつり鐘状拡大空洞部10を設けてい
る。
【0061】これらの空洞部9,10は、噴出孔3から
噴出直後の水中水噴流の周りに発生するキャビテーショ
ンを促進する作用がある。空洞部9,10内では、噴出
孔3から噴出した直後の噴流を囲むように、循環渦が形
成される。この循環渦が、噴流界面の乱れと圧力変動を
増幅し、キャビテーションの発達を促す。
【0062】このような基本的な現象は、噴出孔径Dj
が変化し、それに伴い噴射流量が変わり、噴流のボリュ
ームが異なっても同様であり、本発明が直接適用でき
る。
【0063】
【発明の効果】本発明を具体化することによって得られ
る効果をまとめると、次のようになる。
【0064】(1)ノズルにおける噴出孔径Dj が変わ
り、噴射流量Qj が変化しても、噴射圧力Pが一定であ
れば、噴流の「第2ピーク」に相当する領域を確実に利
用するWJP施工が可能になる。
【0065】(2)上記(1)の効果により、短時間
で、残留応力改善量Δσ(WJP施工後の圧縮残留応力
−施工前の引張残留応力)を大きく改善することが可能
になる。従って、本発明において、WJPの施工効率を
高めることが可能になる。
【0066】(3)噴出孔径Dj を大きくし、噴射流量
j を増加させると、大面積の部分において残留応力改
善量Δσを大きく改善することが可能になる。従って、
本発明において、WJPのスケールアップが達成される
ことになる。
【0067】(4)上記効果(3)とは逆に、小さなポ
イント的な領域を施工する際においても、噴出孔径Dj
の小さなノズルを用いても、確実に第2ピーク領域を使
えるため、施工能率を高く維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノズルの噴出孔径に対する衝撃圧分布の変化を
示す説明図である。
【図2】ノズルの噴出孔径に対する最適スタンドオフ距
離の変化を示す特性図である。
【図3】ノズルの噴出孔径に対する第2ピークの位置の
変化を示す特性図である。
【図4】本発明を具体化する際に使用するノズルの第1
の例を示す縦断面図である。
【図5】本発明を具体化する際に使用するノズルの第2
の例を示す縦断面図である。
【図6】本発明を具体化する際に使用するノズルの第3
の例を示す縦断面図である。
【図7】最適スタンドオフ距離に係わる現象を示す模式
図である。
【図8】残留応力の改善を示す試験結果であり、本発明
を具体化したことによる効果を実証した第1の例を示す
説明図である。
【図9】残留応力の改善を示す試験結果であり、本発明
を具体化したことによる効果を実証した第2の例を示す
説明図である。
【図10】本発明の基本となる水中水噴流の噴射条件を
示す模式図である。
【図11】噴流の軸方向に対する衝撃圧分布を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 高圧水 3 噴出孔 4 中心軸 5 キャビテーションを伴う水中水噴流 6 周囲水 7 加工対象物8 8 径収縮部 9 円筒拡大部 10 つり鐘状拡大空洞部 xS スタンドオフ距離 Dj 噴出孔径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 敏夫 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中において、ノズルから水中に噴射し
    た高速水噴流を加工面に衝突させることにより施工を行
    うウォータージェット施工方法において、 所定の噴射圧力P及びノズル構造に対し、 xs =CDj n ・・・(1) として求まるスタンドオフ距離xs について、 0.3≦n≦0.8 ・・・(2) の範囲からnを選定し、xs を定めることを特徴とする
    ウォータージェット施工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、上記(1)式の
    Cの値を、 20<C<240 ・・・(3) の範囲から選定し、上記(1)〜(3)式の条件により
    定まる範囲内のxs を利用することを特徴とするウォー
    タージェット施工方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載において、0.5≦n≦
    0.7の範囲からnを選定し、xs を定めることを特徴
    とするウォータージェット施工方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかの記載にお
    いて、スタンドオフ距離xs を、ノズルの下流に形成さ
    れる衝撃圧分布における第1ピークの次の極小値よりも
    下流の領域である第2ピークの領域とすることを特徴と
    するウォータージェット施工方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかの記載にお
    いて、前記ノズルの噴出孔の先端部に拡大して開口した
    空洞部が形成されていることを特徴とするウォータージ
    ェット施工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009072904A (ja) * 2007-08-29 2009-04-09 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd ウォータージェットピーニング施工方法
JP2012176484A (ja) * 2011-02-24 2012-09-13 General Electric Co <Ge> 表面処理システム、表面処理方法、及びシステムにより処理される部品

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