JPH1111277A - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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JPH1111277A
JPH1111277A JP16229797A JP16229797A JPH1111277A JP H1111277 A JPH1111277 A JP H1111277A JP 16229797 A JP16229797 A JP 16229797A JP 16229797 A JP16229797 A JP 16229797A JP H1111277 A JPH1111277 A JP H1111277A
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JP
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brake
control
pump
variable orifice
pressure
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JP16229797A
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Inventor
Eiji Yagi
英治 八木
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で安価な手段により制御性能およ
び制御応答性の向上を図ることのできる先行技術におい
て、さらに少ないポンプ流量で充分な制御応答性を得る
ようにすること。 【解決手段】 マスタシリンダ1とホイルシリンダ2と
をブレーキ回路3で接続し、ブレーキ回路3の途中に、
少なくともホイルシリンダ2への供給作動を行うギヤポ
ンプ6を設け、ギヤポンプ6と並行してバイパス回路7
をブレーキ回路3に接続し、バイパス回路7に可変オリ
フィス8を設け、可変オリフィス8の開度を制御するコ
ントロールユニット9は、可変オリフィス8の開度を絞
る増圧制御時には、増圧制御の開始から所定の時間内は
可変オリフィス8を全閉とする立上制御を実行するよう
構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、車輪に制動力を
発生させるホイルシリンダなどの制動作動部にマスタシ
リンダ圧に加えてポンプの吐出圧である動圧を供給する
ようにしたブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 ポンプを利用してブレーキ圧を増減圧
するようにしたブレーキ装置として、例えば、特開平4
−230462号公報に記載のもの(これを以下、第1
従来技術という)や、あるいは特開平5−147524
号公報に記載のもの(これを以下、第2従来技術とい
う)がある。第1従来技術は、マスタシリンダと制動作
動部とを結ぶブレーキ回路の途中にモータ,ピストン,
減速機およびリニアボールアクチュエータ(回転を往復
動に変換する装置)などを備えた装置が設けられ、モー
タ回転によるピストンの微妙な往復動により車輪のキャ
リパ側の制動作動部の液圧の増圧・保持・減圧を行うよ
う構成されている。すなわち、この第1従来技術では、
モータ回転によるピストンの微妙な往復動によってAB
S(アンチロックブレーキシステム)制御を行い、また
通常ブレーキの場合は、運転者の踏力により倍力装置を
介しマスタシリンダで液圧を発生させ制動作動部の液圧
が上昇するようになっている。第2従来技術は、マスタ
シリンダとブレーキシリンダ(制動作動部)とを結ぶブ
レーキ回路の途中にモータの回転で作動するギヤポンプ
が設けられ、ABS制御時は、まずモータが正転してブ
レーキシリンダのブレーキ液をマスタシリンダ側に還流
させ、その後、スリップ率が回復したらモータを逆転さ
せてブレーキシリンダに向けてマスタシリンダのブレー
キ液を供給させてブレーキシリンダ圧を増圧させるよう
構成されている。なお、通常ブレーキ時は、ギヤポンプ
のギヤが空転してブレーキ液の流れが許容される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 上述の第1従来技術
にあっては、ABS制御に際し、ピストンの微妙な往復
動により管路の液圧を増圧・保持・減圧をさせて制動作
動部のブレーキ圧の増圧・保持・減圧を行うようにして
いるため、モータの回転を非常に微妙な動きとしてピス
トンに伝達する必要があり、そのための機構として減速
機、リニアボールアクチュエータ(回転を往復動に変換
するデバイス)が必要となると共に精度の高い制御ロジ
ックが要求され、コストアップを招くという問題があっ
た。第2従来技術にあっても、第1従来技術と同様にポ
ンプの動作のみで液圧を変化させるようにしているため
制御が難しく、制御自由度が低いという問題があった。
さらに、両従来技術とも、途中にポンプが設けられたブ
レーキ回路のみを経由してマスタシリンダと制動作動部
との間でブレーキ液を供給したり戻したりする構造であ
り、しかも、ポンプは、ブレーキ液を制動作動部に供給
する時点で初めて作動を開始する構成であったため、ポ
ンプにより踏力補助を行おうとしても、ブレーキの踏み
込み操作に対応してポンプが制動作動部にブレーキ液を
供給する際の立ち上がりが遅れ、応答性に欠け、通常ブ
レーキ時の踏力補助のためには、負圧ブースタなどの踏
力倍力装置が別途必要であり、装置が大型かつ高価なも
のになるという問題があった。そこで、本願出願人は、
上述の問題を解決する手段として、特願平9−7743
号に記載のブレーキ装置(以下、先行技術という)を提
案した。この先行技術は、ブレーキ回路に設けたポンプ
と並列にバイパス回路を設け、このバイパス回路の途中
に流路断面積を変更可能な可変オリフィスを設けた構成
を特徴とする。この先行技術では、ポンプを駆動させて
いる状態で、可変オリフィスの開度を最大に開いている
とポンプによる加圧は成されず、マスタシリンダ圧とホ
イルシリンダ圧(制動作動部の液圧)が等しく、この状
態から可変オリフィスの開度を絞ると瞬時にポンプがホ
イルシリンダ側に液圧を供給するか、あるいはホイルシ
リンダ側の液圧をマスタシリンダ側に還流させることが
でき、ホイルシリンダ圧を瞬時に任意に増減させること
ができる。したがって、簡単な構成でありながら高い応
答性が得られるという特徴を有している。しかしなが
ら、この先行技術においても、急ブレーキ時における踏
力補助などのように、素早くホイルシリンダ(制動作動
部)圧を立ち上げる必要があるときに充分に圧力を立ち
上げるには、オリフィスからの漏れ流量を補うべく多め
のポンプ流量が必要であり、その分ポンプが大型になっ
ていた。本発明は、上述の従来の問題点に着目してなさ
れたもので、上記従来技術に対して構造が簡単で安価な
手段により制御性能および制御応答性の向上を図ること
のできる先行技術において、さらに少ないポンプ流量で
充分な制御応答性を得るようにすることを目的としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】 上述の目的を達成する
ため請求項1記載の発明は、運転者のブレーキペダルの
踏み込み操作により液圧を発生させるマスタシリンダ
と、このマスタシリンダと車輪の制動作動を行う制動作
動部とを結ぶブレーキ回路と、このブレーキ回路の途中
に設けられ、ブレーキ液を少なくともマスタシリンダ側
から制動作動部側へ送る供給作動を行うポンプと、この
ポンプと並行して設けられ、一端がブレーキ回路のポン
プよりもマスタシリンダ側に接続されている一方で、他
端がブレーキ回路のポンプよりも制動作動部側に接続さ
れたバイパス回路と、このバイパス回路の途中に設けら
れ、このバイパス回路の流路断面積を変更可能な可変オ
リフィスと、車両状態検出手段から得られる入力信号に
基づいて前記可変オリフィスの開度を制御する制御手段
と、を備えたブレーキ装置であって、前記制御手段は、
車両状態検出手段からの入力が所定の条件を示すときに
は可変オリフィスの開度を絞る増圧制御を実行する一
方、他の所定条件を示すときには可変オリフィスの開度
を広げる減圧制御を実行するよう構成され、かつ、前記
増圧制御の開始時には、開始から所定時間内は前記可変
オリフィスを全閉とする立上制御を実行するよう構成さ
れていることを特徴とする。請求項2記載の発明は、請
求項1記載のブレーキ装置において、前記車両状態検出
手段として運転者のブレーキペダル踏力を検出する踏力
センサが設けられ、前記制御手段は、踏力センサにより
ブレーキペダルの踏込操作が成されたことを検出した
ら、前記立上制御を含む増圧制御を実行し、ブレーキペ
ダルの踏込が緩められたことを検出したら前記減圧制御
を実行するブレーキアシスト制御部を有していることを
特徴とする。請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のブレーキ装置において、前記制御手段が立上制御
を実行する前記任意の時間は、0.1秒であることを特
徴とする。請求項4記載の発明は、請求項1ないし3記
載のブレーキ装置において、前記制御手段が、上述の可
変オリフィスの開度制御に加えて前記ポンプの駆動を制
御をすることを特徴とする。請求項5記載の発明は、請
求項4記載のブレーキ装置において、前記制御手段は、
車両走行中にはポンプを常時一定に供給作動させること
を特徴とする。請求項6記載の発明は、請求項1ないし
5記載のブレーキ装置にいおいて、前記ポンプがギヤポ
ンプであることを特徴とする。
【0005】
【作用】 本発明のブレーキ装置では、可変オリフィス
の開度を最大とした状態では、ポンプのマスタシリンダ
側(以後、これを上流側という)と制動作動部側(以
後、これを下流側という)とがバイパス回路を介して連
通状態となり、ポンプの上流側と下流側に液圧差が生じ
ない。このため、ポンプを供給作動させていても、ポン
プの上流と下流とで液圧差は生じず、マスタシリンダの
液圧と制動作動部の液圧は同圧となっていて、制動操作
を行ってマスタシリンダ圧を発生させない限り制動作動
部において制動力が発生しない。そして、ポンプを供給
作動させている状態において、制御手段が増圧制御を実
行し、可変オリフィスの開度を絞ると、バイパス回路を
循環する流量が減少し、ポンプの下流側、すなわち制動
作動部の液圧(以下、これをブレーキ圧という)が瞬時
にマスタシリンダ圧よりも上昇する。そして、この状態
から制御手段が減圧制御を実行して可変オリフィスの開
度を広げると、ブレーキ圧がマスタシリンダ圧まで低下
する。すなわち、ポンプを供給作動させたまま可変オリ
フィスの絞り開度を調節するだけで、ブレーキ圧の増圧
・保持・減圧の微妙な制御が可能となる。よって、ブレ
ーキペダルの操作に応じて可変オリフィスの開度を制御
することにより、倍力装置のようなブレーキアシストを
行ったり、あるいは、ブレーキ圧の減圧・保持・増圧を
行って、ABS制御を行ったり、あるいは、運転者がブ
レーキ操作を行っていない状態で制動力を発生させて、
車輪の駆動力や車両のヨーモーメントを制御する運動安
定制御を実行することができる。そして、請求項1記載
の発明では、増圧制御の開始時には、この開始から所定
時間内は立上制御を実行し、可変オリフィスの開度を所
定時間だけ全閉とする。したがって、バイパス回路によ
る循環が全くなくなり、小さな流量のポンプでも瞬時に
ブレーキ圧を立ち上げることができる。
【0006】請求項2記載の発明では、制御手段に設け
られたブレーキアシスト部は、ポンプが供給作動を行っ
ている状態において、踏力センサからの入力に基づいて
ブレーキペダルの踏込操作が成されたことを検出した
ら、増圧制御を実行し、かつ、この増圧制御の開始から
所定時間は立上制御を実行する。したがって、ブレーキ
ペダルの操作によるマスタシリンダ圧の増加よりも高い
増加率でブレーキ圧が上昇してブレーキアシスト(踏力
補助)が成され、しかもこの時、立上制御によりブレー
キ圧(ブレーキアシスト力)が瞬時に立ち上がるため、
高い応答性が得られる。なお、この立上制御を実行する
時間は、例えば、請求項3に記載のように0.1秒ほど
の極短時間である。また、踏力センサからの入力に基づ
いてブレーキペダルの踏込が緩められたことを検出した
ら、ブレーキアシスト部は減圧制御を実行して可変オリ
フィスの開度を絞り、これにより、ブレーキ圧がマスタ
シリンダ圧まで低下してブレーキアシストが成されない
状態となる。
【0007】請求項4記載の発明では、制御手段が可変
オリフィスの開度制御に加えてポンプの駆動量の制御も
行う。したがって、ポンプの供給作動量を変化させるこ
とで制動作動部のブレーキ圧の微妙な調節も可能であ
り、しかも、ブレーキ圧の減圧時には、ポンプを還流作
動させれば可変オリフィスを全開にするだけの場合に比
べて、ブレーキ圧の減圧速度応答性の向上を図ることが
でき、加えて、ポンプを還流作動させている状態で可変
オリフィスを絞ると、制動作動部の液圧をマスタシリン
ダの液圧よりも低下させることができる。したがって、
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3のように可
変オリフィスの開度制御のみに比べて、さらに、制御の
幅を広げることができ、制御自由度が向上する。
【0008】請求項5記載の発明では、車両走行時に
は、ポンプを常時一定の供給作動を行わせるため、制御
が簡単でありながら、上述したように、可変オリフィス
の開度制御により、制御性に優れるとともに制御応答性
の高いブレーキ圧制御を行うことができる。
【0009】請求項6記載の発明では、ポンプとしてギ
ヤポンプを用いており、ブレーキ回路における供給作動
・還流作動の切り替えが容易である。また、ポンプの停
止時において、ブレーキ回路を介してマスタシリンダ側
と制動作動部側との間で相互にブレーキ液の移動が可能
となり、フェイルセーフの機能を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】 以下に、本発明の実施の形態を
図面に基づいて説明する。図1は実施の形態を示す全体
図である。図中1はマスタシリンダであり、ブレーキペ
ダルBPを踏み込むことで液圧を発生する。このマスタ
シリンダ1は、各車輪のホイルシリンダ(制動作動部)
2にブレーキ回路3で接続されており、両者の間でブレ
ーキ回路3を介してブレーキ液が流通するよう構成され
ている。
【0011】前記ブレーキ回路3の途中には、モータ5
の回転数に応じて所定流量の流体を吐出するギヤポンプ
6が設けられている。このギヤポンプ6は、モータ5の
正逆転により、ブレーキ液を上流から下流に供給する供
給作動と、その逆に、下流から上流に戻す還流作動とを
行うことが可能な、外接形ギヤポンプあるいは内接形ギ
ヤポンプである。なお、この部位に用いるポンプとして
は、ギヤポンプに限らずベーンポンプやピストンポンプ
などでもよい。
【0012】前記ギヤポンプ6と並行して、バイパス回
路7が、一端をブレーキ回路3のギヤポンプ6の上流
(マスタシリンダ1側)に接続する一方で、他端をブレ
ーキ回路3のギヤポンプ6の下流(ホイルシリンダ2
側)に接続して設けられている。そして、前記バイパス
回路7の途中には、バイパス回路7の流路面積を変更可
能な可変オリフィス8が設けられている。この可変オリ
フィス8は、図示を省略したソレノイドを有し、このソ
レノイドに通電する駆動電流により開度が変更されるよ
う構成されている。
【0013】ちなみに、図ではホイルシリンダ2は1つ
しか図示していないが、各車輪(4輪)にそれぞれ設け
られており、ブレーキ回路3は、最終的には4つに分岐
されている。そして、前記ギヤポンプ6,バイパス回路
7,可変オリフィス8は、ブレーキ回路が4本に分岐さ
れた位置よりも下流、すなわち各ホイルシリンダ2ごと
に設けてもよいし、あるいは、2組のホイルシリンダ
2,2に向けて分岐された位置よりも下流、すなわち2
つのホイルシリンダ2,2に対して上記6,7,8から
なる1組の構成を設けるようにしてもよい。
【0014】本実施の形態では、前記モータ5の駆動な
らびに可変オリフィス8の開度はコントロールユニット
(制御手段)9により制御する。このコントロールユニ
ット9は、入力センサとして、図示を省略した車輪速度
センサ,前後加速度センサ、横加速度センサ、ヨーレイ
トセンサなどを有している他、制動操作状態を検出する
センサとして踏力センサ20を有している。この踏力セ
ンサ20は、ブレーキペダルBPのロッド部分に設けら
れて運転者の制動時の踏力を検出するもので、周知の歪
みセンサを用いている。
【0015】なお、本実施の形態では、踏力センサとし
て前述の歪みセンサを用いたが、任意の時刻の車両速度
とある時間内経過した時刻の車両速度ないしは車両減速
度Gにより任意の方法で算出した踏力推定値を用いても
よい。
【0016】次に、実施の形態の動作を説明する。本実
施の形態では、図外のイグニッションスイッチをONと
してコントロールユニット9が起動すると、コントロー
ルユニット9は、モータ5が常時正転させるように構成
されている。そして、このようにモータ5が正転駆動を
行うと、ギヤポンプ6は、ブレーキ液をマスタシリンダ
1側からホイルシリンダ2側へ供給する供給作動を行う
ように構成されている。なお、モータ5が逆転駆動を行
ったときには、ギヤポンプ6は、ホイルシリンダ2のブ
レーキ液をマスタシリンダ1に戻す還流作動を行う。
【0017】a)ブレーキペダルの非操作時 本実施の形態では、走行時にはモータ5が一定の正転駆
動を行い、これによりギヤポンプ6が供給作動を行う
が、この時、運転者がブレーキペダルBPの踏込操作を
行っていないときには、コントロールユニット9は可変
オリフィス8の開度を最大に制御している。したがっ
て、ギヤポンプ6はブレーキ液をバイパス回路7により
循環させるだけであり、ホイルシリンダ2におけるブレ
ーキ圧はマスタシリンダ1と同圧の大気圧となってい
る。
【0018】b) ブレーキペダル操作時 運転者がブレーキペダルBPを踏むと、マスタシリンダ
圧が発生し、これに伴って踏力センサ20が運転者の踏
力に応じた踏力信号を出力する。そして、コントロール
ユニット9は、このように踏力センサ20から踏込操作
が成されていることを示す踏力信号を入力すると、踏力
信号に応じた面積に可変オリフィス8の開度を絞る増圧
制御を実行するのであるが、本実施の形態では、この増
圧制御の開始から所定の短時間だけ可変オリフィス8を
全閉とする。この時の、ホイルシリンダ圧の変化を示す
のが図2(a)であり、この図に示す例では、立上制御
を約0.1秒間実行している。
【0019】また、図2(b)は、立上制御を実行しな
かった場合、すなわち、可変オリフィス8を全開とした
状態から踏力信号に応じた開口面積に制御した場合を示
しており、立上制御を実行した図2(a)と実行しなか
った同図(b)とを比較するとわかるように、立上制御
を実行した場合、非実行時の半分以下の時間で所定圧に
制御している。
【0020】なお、立上制御を実行した場合には、この
ようにホイルシリンダ圧の上昇が短時間に成されるた
め、その反力で生じる踏力の立ち上がりも急になってい
る。すなわち、この図2(a)(b)の踏力信号の立ち
上がりの違いは、実行された踏込操作自体が異なるのを
示しているのではなく、同様の踏込操作を実行しても、
ホイルシリンダ圧の立ち上がり状態の違いから、踏力の
立ち上がりが異なることを示している。
【0021】以上のように本実施の形態では、立上制御
を実行することにより、ホイルシリンダ圧の立ち上がり
が迅速に成されて、ホイルシリンダ圧を踏力に応じた圧
力に制御するにあたり高い応答性が得られる。
【0022】なお、このような増圧時には、図3(a)
に示すように、ホイルシリンダ2に発生するブレーキ圧
1 は、ギヤポンプ6の流量Qと可変オリフィス8の内
径φdおよびマスタシリンダ圧P0 により決定されるも
のであって、内径φdの値が小さくなるほどブレーキ圧
1 の上昇率は高くなり、小さな踏力で大きなブレーキ
圧P1 を得ることができる。また、同図(b)は本実施
の形態のモデル図である。その後、運転者がブレーキペ
ダルBPの踏み込みを緩めると、コントロールユニット
9は、踏力センサ20の検出値の低下に対応して可変オ
リフィス8の開度を広げる減圧制御を実行し、その結果
ホイルシリンダ圧が低下するものであり、この時、可変
オリフィス8の開度を最大にするとホイルシリンダ圧は
マスタシリンダ圧と等圧となるまで低下する。ちなみ
に、この時、ギヤポンプ6を還流作動させてホイルシリ
ンダ圧はマスタシリンダ圧よりも速く低下させることも
可能であるが、本実施の形態ではモータ5は一定速度で
正転させるようにしている。
【0023】以上説明したように、実施の形態では、モ
ータ5を一定回転数で回転させておいて可変オリフィス
8の内径φdを制御し、それに加えて、コントロールユ
ニット9が、増圧制御時の初期に立上制御を実行してホ
イルシリンダ圧の立ち上がりをよくするように構成した
ため、ブレーキ圧を瞬時に上昇させることができるとと
もに、減速ギヤを用いることなく微妙なブレーキ圧の制
御が可能であり、モータ5の回転数の制御に比べて、高
い制御応答性が得られるとともに、制御性に優れている
という効果が得られる。また、ポンプとしてギヤポンプ
6を用いているため、モータ5あるいはギヤポンプ6が
故障しても、通常ブレーキの性能を確保することができ
フェイルセーフを図ることができるという効果が得られ
る。
【0024】以上、実施の形態を図面により説明した
が、本発明はこの実施の形態に限定されるものではな
い。例えば、実施の形態では、踏力補助についてのみ説
明したが、制動時の車輪ロックを防止するABS制御
や、あるいは、車両姿勢が不安定方向に向かっているこ
とを検出したときに、これを安定させる方向に任意の車
輪に制動力を発生させる運動安定制御などを実行するこ
とができる。
【0025】
【発明の効果】 以上説明してきたように、請求項1に
記載の発明にあっては、マスタシリンダと制動作動部と
を結ぶブレーキ回路の途中にポンプを設け、このポンプ
と並行して設けたバイパス回路に可変オリフィスを設
け、この可変オリフィスの開度を制御する制御手段が、
可変オリフィスの開度を絞る増圧制御の開始から所定時
間は可変オリフィスを全閉とする立上制御を実行するよ
う構成したため、先行技術と同様に、減速ギヤなどを用
いない構成を簡略化した安価な手段により精度が高く、
また、高い制御応答性が得られるという効果、運転者の
踏力補助であるブレーキアシスト、制動時の車輪ロック
防止を行うABS制御、任意の車輪に制動力を発生させ
てく動輪スリップや車両のヨーレイトを安定方向に向け
る運動安定制御を実行可能であるという効果、が得ら
れ、さらに先行技術に加えて、本発明では、立上制御を
実行する結果増圧時のブレーキ圧の立ち上がりが迅速で
あり、流量の小さなポンプでも充分な制御応答性が得ら
れる。
【0026】請求項2記載の発明では、制御手段にブレ
ーキアシスト部を設け、踏力センサからの入力に基づい
てブレーキ圧の増減圧を制御するように構成したため、
倍力装置を用いることなしに構成を簡略化した低コスト
の手段により、上述のような制御精度および制御応答性
に優れたブレーキアシストを行うことができるものであ
り、小流量のポンプを用いても急ブレーキ時にも充分な
制御応答性が得られるという効果を奏する。請求項4記
載の発明にあっては、上述のような可変オリフィスの開
度調整に加えて、ポンプの駆動により制動作動部のブレ
ーキ圧を調整することができるために、制御自由度をさ
らに向上させることができるという効果が得られる。請
求項5記載の発明では、車両走行時にはポンプを常時一
定の制動作動を行わせるように構成したため、ポンプに
対する制御は簡便にしながら、上記可変オリフィスの開
度制御に基づいて、制御性に優れるとともに、応答性の
高いブレーキ圧制御を行うことができるという効果が得
られる。
【0027】請求項6記載の発明にあっては、ポンプと
してギヤポンプを用いたため、高いフェイルセーフ性能
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態のブレーキ装置を示す全体図であ
る。
【図2】実施の形態の立上制御を実行した場合(a)と
実行しなかった場合(b)との作用の違いを示す図であ
る。
【図3】実施の形態の液圧特性図である。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル 1 マスタシリンダ 2 ホイルシリンダ(制動作動部) 3 ブレーキ回路 5 モータ 6 ギヤポンプ 7 バイパス回路 8 可変オリフィス 9 コントロールユニット(制御手段) 20 踏力センサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者のブレーキペダルの踏み込み操作
    により液圧を発生させるマスタシリンダと、 このマスタシリンダと車輪の制動作動を行う制動作動部
    とを結ぶブレーキ回路と、 このブレーキ回路の途中に設けられ、ブレーキ液を少な
    くともマスタシリンダ側から制動作動部側へ送る供給作
    動を行うポンプと、 このポンプと並行して設けられ、一端がブレーキ回路の
    ポンプよりもマスタシリンダ側に接続されている一方
    で、他端がブレーキ回路のポンプよりも制動作動部側に
    接続されたバイパス回路と、 このバイパス回路の途中に設けられ、このバイパス回路
    の流路断面積を変更可能な可変オリフィスと、 車両状態検出手段から得られる入力信号に基づいて前記
    可変オリフィスの開度を制御する制御手段と、を備えた
    ブレーキ装置であって、 前記制御手段は、車両状態検出手段からの入力が所定の
    条件を示すときには可変オリフィスの開度を絞る増圧制
    御を実行する一方、他の所定条件を示すときには可変オ
    リフィスの開度を広げる減圧制御を実行するよう構成さ
    れ、かつ、前記増圧制御の開始時には、開始から所定時
    間内は前記可変オリフィスを全閉とする立上制御を実行
    するよう構成されていることを特徴とするブレーキ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記車両状態検出手段として、運転者の
    ブレーキペダル踏力を検出する踏力センサが設けられ、 前記制御手段は、踏力センサによりブレーキペダルの踏
    込操作が成されたことを検出したら、前記立上制御を含
    む増圧制御を実行し、ブレーキペダルの踏込が緩められ
    たことを検出したら前記減圧制御を実行するブレーキア
    シスト制御部を有していることを特徴とする請求項1記
    載のブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段が立上制御を実行する前記
    任意の時間は、0.1秒であることを特徴とする請求項
    1または2記載のブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段が、上述の可変オリフィス
    の開度制御に加えて前記ポンプの駆動を制御をすること
    を特徴とする請求項1ないし3記載のブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、車両走行中には、ポン
    プを常時一定に供給作動させることを特徴とする請求項
    4記載のブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 前記ポンプがギヤポンプであることを特
    徴とする請求項1ないし5記載のブレーキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105469273A (zh) * 2014-09-29 2016-04-06 福特全球技术公司 确定二手车辆的价格

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