JPH1111205A - 乗員検知システム及び乗員検知方法 - Google Patents

乗員検知システム及び乗員検知方法

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JPH1111205A
JPH1111205A JP9166215A JP16621597A JPH1111205A JP H1111205 A JPH1111205 A JP H1111205A JP 9166215 A JP9166215 A JP 9166215A JP 16621597 A JP16621597 A JP 16621597A JP H1111205 A JPH1111205 A JP H1111205A
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孝志 斎藤
Shinko Ofuji
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    • B60R21/01Electrical circuits for triggering passive safety arrangements, e.g. airbags, safety belt tighteners, in case of vehicle accidents or impending vehicle accidents
    • B60R21/015Electrical circuits for triggering passive safety arrangements, e.g. airbags, safety belt tighteners, in case of vehicle accidents or impending vehicle accidents including means for detecting the presence or position of passengers, passenger seats or child seats, and the related safety parameters therefor, e.g. speed or timing of airbag inflation in relation to occupant position or seat belt use
    • B60R21/01512Passenger detection systems
    • B60R21/0153Passenger detection systems using field detection presence sensors
    • B60R21/01532Passenger detection systems using field detection presence sensors using electric or capacitive field sensors

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Abstract

(57)【要約】 【課題】乗員とダッシュボ−ドとの離隔状況を的確に検
知でき、検知結果に基づいてエアバッグ装置の作動の適
否を制御可能な乗員検知システムを提供すること。 【解決手段】シ−トに配置した第1のアンテナ電極とダ
ッシュボ−ドに配置した第2のアンテナ電極との間に微
弱電界を発生させる発振回路10と、発振回路から第1
のアンテナ電極への送信電流を検出する電流検出回路1
1と、この微弱電界に基づいて流れる変位電流を検出
し、電圧に変換する電流・電圧変換回路13と、電流・
電圧変換回路の出力信号に基づいて算出された計算上の
乗員とダッシュボ−ドとの離隔距離を、送信信号に基づ
いて現実の離隔距離に近似するように補正し、補正され
た距離デ−タとしきい値距離デ−タとを比較することに
より、離隔距離の適否を判定する制御回路17と、エア
バッグ装置18とを具備し、前記制御回路の判定結果に
基づいてエアバッグ装置を作動し得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は乗員検知システム
及び乗員検知方法に関し、特にエアバッグ装置を搭載し
た自動車の助手席における乗員とダッシュボ−ドとの離
隔状況に応じて、エアバッグ装置のエアバッグを展開可
能な状態又は展開不可能な状態に設定し得る乗員検知シ
ステム及び乗員検知方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、エアバッグ装置は自動車の衝突
時に乗員が受ける衝撃を緩和するための装置であって、
自動車の安全性になくてならないものになっており、近
時、運転席のみならず、助手席にも設置されるようにな
っている。
【0003】このエアバッグ装置は、例えば図7に示す
ように、セ−フィングセンサSS1,スクイブSQ1,
電界効果形トランジスタなどの半導体スイッチング素子
SW1の直列回路よりなる運転席側のスクイブ回路と、
セ−フィングセンサSS2,スクイブSQ2,電界効果
形トランジスタなどの半導体スイッチング素子SW2よ
りなる助手席側のスクイブ回路と、電子式加速度センサ
(衝突検出センサ)GSと、電子式加速度センサGSの
出力信号に基づいて衝突の有無を判断し、半導体スイッ
チング素子SW1,SW2のゲ−トに信号を供給する機
能を有する制御回路CCとから構成されている。
【0004】このエアバッグ装置によれば、何らかの原
因に基づき自動車が衝突した場合、セ−フィングセンサ
SS1,SS2はそのスイッチ接点が比較的に小さな加
速度に反応して閉成され、運転席側及び助手席側のスク
イブ回路が動作可能な状態になる。そして、電子式加速
度センサGSからの信号に基づいて制御回路CCが自動
車が確実に衝突したと判断すると、半導体スイッチング
素子SW1,SW2のゲ−トに信号が供給され、同スイ
ッチング素子SW1,SW2がON状態になる。これに
よって、それぞれのスクイブ回路に電流が流れる結果、
スクイブSQ1,SQ2の発熱に起因して運転席側及び
助手席側のエアバッグが展開され、乗員が衝突による衝
撃から保護される。
【0005】ところで、このエアバッグ装置によれば、
例えば図8(a)に示すように、シ−ト1に大人Pが着
席している場合には、衝突時に上述のような乗員の保護
効果が期待できるものである。しかしながら、同図
(b)に示すように、助手席のシ−ト1上に固定したチ
ャイルドシ−ト1Aに幼児SPが後向きに座っている場
合(ear acing nfant eat :以下、RFISと
呼称する)にはエアバッグの展開によって幼児SPへの
悪影響が懸念されることから、仮に自動車が衝突しても
エアバッグが展開しない方が望ましい。又、同図(c)
に示すように、助手席のシ−ト1上に固定したチャイル
ドシ−ト1Aに幼児SPが前向きに座っている場合(
orward acing hild eat :以下、FFCSと呼
称する)にはエアバッグの展開によってエアバッグが子
供SPの顔面を覆うことが懸念されることから、RFI
Sの場合と同様に仮に自動車が衝突してもエアバッグが
展開しない方が望ましいものである。
【0006】従って、従来においては、このような問題
に対応するために、例えば図9に示すようなエアバッグ
装置が提案されている。このエアバッグ装置は、助手席
に乗員が着席しているか否かを検出するセンサSDを設
置し、このセンサSDの検出信号に基づいて制御回路C
Cが助手席への乗員の着席状況を判断し、自動車が衝突
した場合に、エアバッグを展開可能な状態又は展開不可
能な状態のいずれか一方にセットするように構成されて
いる。特に、センサSDとしては、重量を測定する重量
センサを用いるものと、シ−トに着席している乗員をカ
メラで撮影して画像処理により大人Pか子供SPかの判
定を行うものとが提案されている。
【0007】前者の方法によれば、乗員が大人Pか子供
SPかの大まかな判定は可能であり、この結果に基づい
てエアバッグを展開可能な状態又は展開不可能な状態の
いずれか一方にセットし、自動車の衝突時における不測
の事態を回避することができるものの、体重は個人差が
大きく、仮に子供でも大人より重い場合もあり得ること
から、正確性に欠けるのみならず、RFIS,FFCS
のいずれの状態であるかを判断することができないとい
う問題がある。
【0008】又、後者の方法によれば、乗員の着席状
況,乗員が大人Pか子供SPかの判断,チャイルドシ−
トの子供がRFIS,FFCSの状態か否かの判断をか
なり正確に行なうことができるものの、カメラで撮影し
た撮像デ−タを画像処理し各種パタ−ンとの比較判断を
行なわなければならないために、処理装置が複雑かつ高
価になるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本出願人は、
先に、図10〜図14に示すような乗員検知システムを
提案した。この乗員検知システムは、基本的にはシ−ト
に配置された2つの電極間に発生させた微弱電界(Ele
ctric Field)の乱れを利用するものである。まず、図
10(a)に示すように、電極E1に高周波低電圧を発
生する発振回路10を接続すると共に、電極E2をグラ
ンドに接続すると、電極E1,E2には電極間の電位差
に基づいて電界が発生し、電極E2の側には変位電流I
dが流れる。この状態において、同図(b)に示すよう
に、電界中に物体OBを存在させると、電界に乱れが生
じて電極E2の側には変位電流Idとは異なった変位電
流Id1が流れることになる。殆んどの物体OBは、電
気的にはコンダクタンスとキャパシタンスで表され、グ
ランドとはキャパシタンスを介して結合されることにな
る。
【0010】従って、自動車のシ−トに物体OBが乗っ
ている場合と乗っていない場合とでは、電極E2の側に
流れる変位電流に変化が生ずるものであり、この現象を
利用することにより、シ−トへの乗員などの着席状況を
検知することができるものである。特に、電極を増加さ
せることによって、シ−ト上の乗員などを含む物体につ
いての多くの情報を得ることが可能となり、シ−トへの
乗員などの着席状況をより的確に検知することができ
る。
【0011】この原理を利用した具体的な乗員検知シス
テムについて図11〜図14を参照して説明する。尚、
図7〜図9に示す従来例と同一部分には同一参照符号を
付し、その詳細な説明は省略する。図11は先行技術に
かかるシ−トを示しており、助手席のシ−ト1の表面側
には複数の電極が配置されている。具体的には、着席部
1aには例えば矩形状の電極E1,E2が、背もたれ部
1bにはほぼ同形状の電極E3,E4がそれぞれ離隔し
て配置されている。これらの電極は乗員の座り心地を考
慮して導電性の布地にて形成されているが、糸状の金属
をシ−ト布面に織り込んだり、布面に導電性ペイントを
被着したり、金属板を配置したりして構成することもで
きる。これらの電極E1〜E4は図12(図13)に示
す回路に接続され、組み込まれている。
【0012】図12において、乗員検知システムは、例
えば周波数が100KHz程度で、電圧が10〜12V
程度の高周波低電圧を発生させる発振回路10と、負荷
電流検出回路11と、送信・受信切換回路12と、増幅
機能を有する電流・電圧変換回路13と、バンドパス機
能(不要ノイズ除去機能)及びAC−DC変換機能を有
する検波回路(復調回路)14と、増幅回路15と、オ
フセット変換回路16と、MPUなどの制御回路17
と、エアバッグ装置18とから構成されている。図13
は図12の回路をさらに具体化したものであり、増幅回
路15を、例えばゲインGが1倍及び100倍の第1の
増幅回路15A及び第2の増幅回路15Bから構成する
と共に、第1,第2の増幅回路15A,15Bの出力信
号を選択するアナログ選択回路19が設けられており、
アナログ選択回路19は制御回路17によって制御され
る。
【0013】このシステムにおいて、負荷電流検出回路
11は、例えば回路に直列に接続されたインピ−ダンス
素子例えば抵抗11aと、抵抗11aの端子電圧を増幅
する増幅器11bとから構成されており、発振回路10
から選択された特定の電極に供給される電流(負荷電
流)が検出される。送信・受信切換回路12は、例えば
電極E1〜E4のうち、選択された1つの電極(送信電
極と呼称する)を発振回路10の出力側に接続するため
のスイッチング手段Aa〜Adと、送信電極以外の電極
(受信電極と呼称する)を電流・電圧変換回路13に接
続するためのスイッチング手段Ba〜Bdとから構成さ
れており、それぞれのスイッチング手段の切換は制御回
路17によって制御される。尚、この送信・受信切換回
路12はマルチプレクサ回路にて構成することが望まし
い。電流・電圧変換回路13は、例えば受信電極側に流
れる変位電流を電圧に変換するインピ−ダンス素子例え
ば抵抗13aと、変換された電圧を増幅する増幅器13
bとから構成されており、それぞれの電極E1〜E4に
対応して設けられている。アナログ選択回路19は、例
えば第2の増幅回路15Bの出力側に一斉に選択・接続
される4つのスイッチング手段19aと、第1の増幅回
路15Aの出力側に一斉に選択・接続される4つのスイ
ッチング手段19bとから構成されている。
【0014】このように構成されたシステムは、次のよ
うに動作する。まず、制御回路17からの信号に基づい
て送信・受信切換回路12のスイッチング手段Aaのみ
が発振回路10の出力側に接続され、スイッチング手段
Bb〜Bdが電流・電圧変換回路13に接続されると、
発振回路10から送信電極E1に高周波低電圧が印加さ
れ、受信電極E2〜E4には変位電流が流れる。この電
流は抵抗13aで電圧に変換され、増幅器13bで増幅
されると共に、検波回路14に出力される。一方、送信
電極E1に流れる負荷電流は負荷電流検出回路11によ
って検出され、後述するデ−タR(1,1)として検波
回路14に出力される。この検波回路14では、例えば
100KHz程度の信号がバンドパスされると共に、A
C−DC変換機能に基づいて不要なノイズ成分が除去さ
れ、第1,第2の増幅回路15A,15Bに出力され
る。この第1,第2の増幅回路15A,15Bの出力信
号は、オフセット変換回路16とアナログ選択回路19
との動作によって適宜に選択され、制御回路17に出力
される。例えば検波回路14からの出力信号がフルレン
ジで測定可能な程度の場合にはアナログ選択回路19の
4つのスイッチング手段19bのみが一斉に第1の増幅
回路15Aの出力側に選択・接続される。又、出力信号
が小さくてフルレンジでの微妙な変化の測定が困難な場
合にはアナログ選択回路19の4つのスイッチング手段
19aのみが一斉に第2の増幅回路15Bの出力側に選
択・接続される。そして、制御回路17では第1,第2
の増幅回路15A,15Bからの出力信号がA/D変換
した後、メモリに記憶される。
【0015】次に、制御回路17からの信号に基づいて
送信・受信切換回路12のスイッチング手段Aaを開放
し、スイッチング手段Abのみを発振回路10の出力側
に接続し、スイッチング手段Ba,Bc,Bdを電流・
電圧変換回路13に接続・変更すると、発振回路10か
ら送信電極E2に高周波低電圧が印加され、受信電極E
1,E3,E4には変位電流が流れる。この電流は抵抗
13aで電圧に変換され、増幅器13bで増幅されると
共に、検波回路14に出力される。尚、送信電極E2に
流れる負荷電流は負荷電流検出回路11によって検出さ
れ、後述するデ−タR(2,2)として検波回路14に
出力される。上述と同様に処理されて制御装置17にデ
−タとして記憶される。次いで、スイッチング手段Ac
のみを発振回路10の出力側に接続し、スイッチング手
段Ba,Bb,Bdを電流・電圧変換回路13に接続・
変更すると、発振回路10から送信電極E3に高周波低
電圧が印加され、受信電極E1,E2,E4には変位電
流が流れる。尚、送信電極E3に流れる負荷電流は負荷
電流検出回路11によって検出され、後述するデ−タR
(3,3)として検波回路14に出力される。さらに、
スイッチング手段Adのみを発振回路10の出力側に接
続し、スイッチング手段Ba,Bb,Bcを電流・電圧
変換回路13に接続・変更すると、発振回路10から送
信電極E4に高周波低電圧が印加され、受信電極E1,
E2,E3には変位電流が流れる。これらの変位電流は
抵抗13aで電圧に変換され、増幅器13bで増幅され
ると共に、検波回路14に出力される。尚、送信電極E
4に流れる負荷電流は負荷電流検出回路11によって検
出され、後述するデ−タR(4,4)として検波回路1
4に出力される。上述と同様に処理されて制御装置17
にデ−タとして記憶される。
【0016】そして、制御回路17ではこれらのデ−タ
を演算処理することにより、着席パタ−ンが算出され
る。この制御回路17には、予め各種の着席パタ−ンが
記憶されており、電極E1〜E4における送信電極と受
信電極との各種の組合せに基づくデ−タにより算出され
た着席パタ−ンを予め記憶された着席パタ−ンと比較
し、該当する着席パタ−ンを抽出し、判定する。この制
御回路17では、例えば以下に述べる各種の着席パタ−
ンが判定の対象となる。具体的には、シ−トに乗員が着
席していない空席パタ−ン、チャイルドシ−トに子供が
FFCSの状態で着席しているFFCSパタ−ン、チャ
イルドシ−トに子供がRFISの状態で着席しているR
FISパタ−ン、シ−トに大人が着席しているパ−ソン
パタ−ンであり、それぞれの電極E1〜E4を適宜に選
択して送信電極と受信電極との各種の組合せによって、
一般式R(i,j)で示すデ−タが得られる。尚、一般
式R(i,j)において、i=jは送信デ−タを、i≠
jは受信デ−タを示しており、しかも、iは送信電極
を、jは受信電極を表している。制御回路17ではそれ
ぞれのパタ−ン毎に例えば16個のデ−タを利用して演
算処理が行われ、着席パタ−ンの特徴が抽出される。
【0017】制御回路17において、着席パタ−ンが検
知・特定されると、それに基づく信号がエアバッグ装置
18に送信される。例えば着席パタ−ンが空席,FFC
S,RFISの場合にはエアバッグ装置18に、仮に自
動車が衝突しても、エアバッグが展開しないようにセッ
トするための信号が送信され、それ以外のパタ−ンでは
エアバッグが展開するようにセットするための信号が送
信される。これらの信号はエアバッグ装置18の制御回
路CCに入力され、前者のパタ−ンの場合には衝突時に
助手席側の半導体スイッチング素子SW2にゲ−ト信号
を供給しないようにセットされる。尚、運転席側の半導
体スイッチング素子SW1にはゲ−ト信号が供給され
る。後者のパタ−ンの場合には半導体スイッチング素子
SW1,SW2にゲ−ト信号が供給されるようにセット
される。
【0018】この先行技術によれば、シ−ト1の表面側
には複数の電極E1〜E4が配置されており、選択され
た1つの送信電極と送信電極以外の受信電極との間には
高周波低電圧の印加により微弱電界が発生されているた
めに、受信電極側にはシ−ト1への乗員の着席パタ−ン
に関連する変位電流が流れる。従って、この変位電流の
特徴的なパタ−ンを判断することによって乗員の着席パ
タ−ンを的確に検知することができる。このために、乗
員の着席パタ−ンに応じてエアバッグ装置18のエアバ
ッグを展開可能な状態ないし展開不可能な状態のいずれ
にも設定することができる。
【0019】しかも、シ−ト1には複数の電極が互いに
離隔して配置されているために、送信電極と受信電極と
の組み合せを増加できると共に、得られるデ−タ数も増
加でき、シ−トへの乗員の着席パタ−ンの判断をより正
確に行うことができる。
【0020】又、システムの制御回路には、例えばRF
IS,FFCS,Person,Emptyの着席パタ
−ンに基づいて各電極に流れる電流によって特徴付けら
れる電流パタ−ンが着席パタ−ンとして予め記憶されて
いるために、送信電極と受信電極とを適宜に組み合せる
ことによって得られる受信信号デ−タと予め記憶された
各種の着席パタ−ンとを比較し、該当する記憶着席パタ
−ンを抽出することによって精度よく現実の着席パタ−
ンを検知することができるなどの優れた効果が得られる
ものである。
【0021】しかしながら、近時、エアバッグ装置を搭
載した自動車が例えば障害物などに衝突した際に、エア
バッグ装置のエアバッグが展開しているにも拘らず、助
手席に着席している乗員が例えば顔面などに損傷を受け
ることがあるという不具合が指摘されている。
【0022】これは、図15に示すように、自動車の衝
突による衝撃によって助手席の乗員Pの上半身、特に顔
面がダッシュボ−ドDBにかなり接近している状態(例
えば20cm前後)でエアバッグ装置のエアバッグが展
開した場合には、乗員Pはその顔面に展開して大きく膨
張するエアバッグによって大きな衝撃を受け、上半身が
背もたれ部側に強制的に押し戻されることになる。この
ために、乗員Pはその顔面などに損傷を受け易くなる。
【0023】従って、近時、ユ−ザ−からは、安全性の
観点から乗員のシ−トへの着席の有無を確実に検知でき
るのみならず、衝突などによって乗員がダッシュボ−ド
に接近しすぎている場合でもエアバッグ装置による乗員
の損傷を免れることのできる乗員検知システムが望まれ
ている。
【0024】それ故に、本発明の目的は、シ−トに着席
している乗員とダッシュボ−ドとの離隔状況を的確に検
知でき、検知結果に基づいてエアバッグ装置の作動の適
否を制御可能な乗員検知システム及び乗員検知方法を提
供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、上述
の目的を達成するために、車室内のシ−ト部分に配置し
た第1のアンテナ電極と、このシ−トに対向するダッシ
ュボ−ド部分に配置した第2のアンテナ電極と、第1の
アンテナ電極と第2のアンテナ電極との間に微弱電界を
発生させるための発振回路と、発振回路から第1のアン
テナ電極に流れる送信電流を検出する電流検出回路と、
第1のアンテナ電極と第2のアンテナ電極との間に発生
させた微弱電界に基づいて流れる変位電流を検出し、電
圧に変換する電流・電圧変換回路と、電流検出回路及び
電流・電圧変換回路の出力信号に基づいてシ−トに着席
している乗員などとダッシュボ−ドとの離隔距離の適否
を判定する制御回路とを具備したことを特徴とする。
【0026】又、本発明の第2の発明は、車室内のシ−
ト部分に配置した第1のアンテナ電極と、このシ−トに
対向するダッシュボ−ド部分に配置した第2のアンテナ
電極と、第1のアンテナ電極と第2のアンテナ電極との
間に微弱電界を発生させるための発振回路と、発振回路
から第1のアンテナ電極に流れる送信電流を検出する電
流検出回路と、第1のアンテナ電極と第2のアンテナ電
極との間に発生させた微弱電界に基づいて流れる変位電
流を検出し、電圧に変換する電流・電圧変換回路と、電
流検出回路及び電流・電圧変換回路の出力信号に基づい
てシ−トに着席している乗員などとダッシュボ−ドとの
離隔距離の適否を判定する制御回路と、衝突に基づいて
エアバッグを展開させる機能を有するエアバッグ装置と
を具備し、前記制御回路の判定結果に基づくデ−タをエ
アバッグ装置に送信し、エアバッグ装置のエアバッグを
展開可能な状態又は展開不可能な状態のいずれか一方に
セットすることを特徴とする。
【0027】又、本発明の第3の発明は、前記第1のア
ンテナ電極をシ−トの着席部に配置すると共に、第2の
アンテナ電極をダッシュボ−ド部分に、衝突などによっ
てダッシュボ−ドに接近する乗員の少なくとも一部分と
の対向面積が極力大きくなるように配置したことを特徴
とし、第4の発明は、前記制御回路は、予め乗員などと
ダッシュボ−ドとの許容限度の離隔距離に対応するしき
い値デ−タを有しており、第1のアンテナ電極への送信
電流にレベル変動が生じた場合、その変動に基づいてし
きい値デ−タ又は第2のアンテナ電極側に流れる変位電
流に基づく、乗員などとダッシュボ−ドとの離隔距離に
対応する受信信号デ−タを補正し、補正後のしきい値デ
−タと受信信号デ−タとを比較することにより、乗員な
どとダッシュボ−ドとの離隔状況の適否を判定するよう
に制御することを特徴とする。
【0028】さらに、本発明の第5の発明は、車室内の
シ−ト部分に第1のアンテナ電極を、このシ−トに対向
するダッシュボ−ド部分に第2のアンテナ電極をそれぞ
れ配置し、この第1のアンテナ電極と第2のアンテナ電
極との間に微弱電界を発生させ、第1のアンテナ電極へ
の送信電流及び微弱電界に基づいて第2のアンテナ電極
側に流れる変位電流を検出し、これら電流に対応するデ
−タに基づいて演算処理して乗員などとダッシュボ−ド
との離隔状況の適否を判定すると共に、この判定結果に
基づくデ−タをエアバッグ装置に送信し、エアバッグ装
置のエアバッグを展開可能な状態又は展開不可能な状態
のいずれか一方にセットすることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる乗員検知シ
ステムの実施例について図1〜図2を参照して説明す
る。尚、本発明の基本原理は、基本的には上述の先行技
術と同様にアンテナ電極の周辺に発生させた微弱電界の
乱れを利用するものであって、具体的にはシ−ト及びダ
ッシュボ−ドに配置した一対のアンテナ電極間に微弱電
界を発生させ、これらのアンテナ電極間に位置する物体
の電気的特性によって受信側のアンテナ電極に流れる変
位電流及び送信側のアンテナ電極に供給される送信電流
に基づいて乗員などとダッシュボ−ドとの離隔状況の適
否を判定するものであり、図10〜図14に示す先行技
術と同一部分には同一参照符号を付し、その詳細な説明
は省略する。
【0030】図1は本発明にかかる助手席のシ−トを示
しており、このシ−ト1Bは主として着席部1aと背も
たれ部1bとから構成されている。このシ−ト1Bは、
例えば前後にスライド可能なベ−ス2に固定されたシ−
トフレ−ム3と、シ−トフレ−ム3の上部に配置された
クッション材4と、クッション材4の表面に沿って配置
された第1のアンテナ電極5と、第1のアンテナ電極5
を覆うように配置された外装材6とから構成されてい
る。尚、第1のアンテナ電極5はクッション材4の表面
に沿い、かつ着席部1aのほぼ全面に亘って配置するこ
とが望ましい。又、第1のアンテナ電極5は外装材6の
内側の他に、外側に配置することも可能である。
【0031】特に、第1のアンテナ電極5は乗員Pの座
り心地を考慮して導電性の布地にて形成されているが、
例えば糸状の金属をシ−ト布面に織り込んだり、布面に
導電性ペイントを被着したり、金属板を配置したりして
構成することもできる。そして、この第1のアンテナ電
極5はシ−ト1Bの着席部1aの広い面積部分に亘って
配置されており、その一部が後述する制御ユニットに接
続されている。尚、この制御ユニットをシ−ト1B、例
えばシ−トフレ−ム部分に配置して第1のアンテナ電極
5との接続ハ−ネスを短くしたり、或いは第1のアンテ
ナ電極5の一部分を延在させることによってハ−ネスを
省略することもできる。
【0032】一方、シ−ト1Bに対向するフロント側に
はダッシュボ−ドDBが設置されており、シ−ト1Bに
対向するダッシュボ−ド部分には第2のアンテナ電極7
が配置されている。この第2のアンテナ電極7は上述の
第1のアンテナ電極5と同様に構成してダッシュボ−ド
部分に貼着されているが、例えばダッシュボ−ドDBを
構成する樹脂材に第1のアンテナ電極5と同様の構成の
電極を埋め込んだり、インサ−ト成形したり、或いはア
ンテナ配置部分に相当するダッシュボ−ド部分だけを、
樹脂材に導電性粉末を混入・分散させた導電性を有する
樹脂材にて成形したり、さらには導電性ペイントを被着
したりして構成することもできる。特に、この第2のア
ンテナ電極7はダッシュボ−ド部分に、衝突などによっ
てダッシュボ−ドDBに接近する乗員Pの少なくとも一
部分、例えば頭部(特には顔面)との対向面積が極力大
きくなるように配置されている。
【0033】図2において、乗員検知システムは、シ−
ト1Bに配置された第1のアンテナ電極5と、シ−ト1
Bに対向するダッシュボ−ド部分に配置された第2のア
ンテナ電極7と、例えば周波数が100KHz程度,電
圧が6〜12V程度の高周波低電圧を発生させる発振回
路10と、発振回路10から第1のアンテナ電極5に供
給される送信電流(送信信号)Txを検出する電流検出
回路11と、第2のアンテナ電極側に流れる変位電流
(受信信号)Rxを電圧に変換し増幅する機能を有する
電流・電圧変換回路13と、バンドパス機能を有するフ
ィルタ回路14と、増幅回路15と、MPUなどを含む
制御回路17と、エアバッグ装置18とから構成されて
いる。尚、上述の制御ユニットは、例えばエアバッグ装
置18を除く回路によって構成される。
【0034】このシステムにおいて、送信電極としての
第1のアンテナ電極5には発振回路10が、電流検出回
路11を介して接続されている。この電流検出回路11
は、例えば回路に直列に接続された、発振回路10から
第1のアンテナ電極側に流れる送信電流を電圧に変換す
るインピ−ダンス素子例えば抵抗11aと、抵抗11a
の端子電圧を増幅する増幅器11bとから構成されてお
り、その出力信号は制御回路17に取り込まれる。尚、
その出力信号は、例えばフィルタ回路などを介して制御
回路17に取り込むこともできる。又、受信電極として
の第2のアンテナ電極7に接続された電流・電圧変換回
路13は、例えば第2のアンテナ電極側に流れる変位電
流を電圧に変換するインピ−ダンス素子例えば抵抗13
aと、変換された電圧を増幅する増幅器13bとから構
成されており、その出力信号はフィルタ回路14,増幅
回路15を介して制御回路17に取り込まれる。
【0035】このように構成されたシステムは、次のよ
うに動作する。まず、シ−ト1Bに乗員Pが着席してい
る状態において、第1のアンテナ電極5に発振回路10
から電流検出回路11を介して高周波低電圧が印加され
ると、第1のアンテナ電極5と第2のアンテナ電極7と
の間には微弱電界が発生する。そして、第1のアンテナ
電極5には送信電流Txが流れると共に、第2のアンテ
ナ電極側には乗員Pと第2のアンテナ電極7との離隔距
離に応じた変位電流Rxが流れる。これらの電流のう
ち、送信電流Txは抵抗11aで電圧に変換され、増幅
器11bで増幅されて制御回路17に出力される。制御
回路17ではこの出力信号がA/D変換された後、送信
信号デ−タとしてメモリに記憶される。一方、変位電流
Rxは抵抗13aで電圧に変換され、増幅器13bで増
幅された後に、フィルタ回路14に出力される。このフ
ィルタ回路14では、例えば100KHz程度の信号が
バンドパスされ、不要なノイズ成分が除去されて増幅回
路15に出力される。この増幅回路15の出力信号は制
御回路17に出力される。制御回路17では増幅回路1
5からの出力信号がA/D変換された後、送信信号デ−
タ(距離デ−タ)としてメモリに記憶される。
【0036】一方、制御回路17には、予め、乗員Pと
ダッシュボ−ドDB(即ち第2のアンテナ電極7)との
離隔距離dが、許容限度とされる例えば20cm程度に
なった時に第2のアンテナ電極側に流れる平均的な変位
電流に対応するしきい値(しきい値距離デ−タ)が格納
されている。従って、現実に第2のアンテナ電極側にて
検出した変位電流に関連する増幅回路15の出力信号が
距離デ−タとして制御回路17に取り込まれると、予め
制御回路17に格納されているしきい値距離デ−タと現
実の距離デ−タとが比較(演算処理)されることによ
り、乗員Pとダッシュボ−ドDBとの離隔距離の適否が
判断される。
【0037】従って、受信距離デ−タがしきい値距離デ
−タより大きければ、乗員Pとダッシュボ−ドDBとの
現実の離隔距離dが許容される、例えば20cm以上に
なっていると判定されることから、エアバッグ装置18
は制御回路17からの送信信号によって、エアバッグが
展開可能なるようにセットされる。逆に、距離デ−タが
しきい値デ−タより小さければ、乗員Pとダッシュボ−
ドDBとの現実の離隔距離dが許容されない、例えば2
0cm以下になっていると判定されることから、エアバ
ッグ装置18は制御回路17からの送信信号によって、
エアバッグが展開不可能にセットされる。即ち、制御回
路17からの送信信号はエアバッグ装置18の制御回路
CCに入力され、後者の場合には自動車の衝突時に助手
席側の半導体スイッチング素子SW2にゲ−ト信号を供
給しないようにセットされる。尚、運転席側の半導体ス
イッチング素子SW1にはゲ−ト信号が供給される。前
者の場合には半導体スイッチング素子SW1,SW2に
ゲ−ト信号が供給されるようにセットされる。
【0038】ところで、乗員Pによっては、自動車の操
作性が最適化されるように、シ−ト1Bに適当なクッシ
ョンなどを敷いてシ−ト1Bへの着席姿勢を調整するこ
とが行われている。この場合、クッションなどは人間に
比べて誘電率が小さいために、第1のアンテナ電極側に
流れる送信電流Txがレベルダウンし、第2のアンテナ
電極側に流れる変位電流Rxも乗員Pが着席しているに
も拘らず減少してしまうことになる。このような状態で
は乗員Pとダッシュボ−ドDBとの離隔距離dが許容さ
れない、例えば20cm以下になっていても、第2のア
ンテナ電極側に流れる変位電流に基づいて認識された離
隔距離が20cm以上の安全圏であると判断されてしま
う。このために、エアバッグ装置18のエアバッグが不
所望に展開されてしまうことが懸念される。
【0039】このような場合、送信電流Txのレベルダ
ウンは、電流検出回路11からの出力信号によって検知
されることから、送信信号Tx及び受信信号Rxを利用
して受信信号のレベル補正又はしきい値デ−タの補正が
制御回路17にて行われる。例えば受信距離デ−タの補
正(離隔距離dの補正)は d=K・Rx/Tx に基
づいて行われる。ここで、Kは補正係数である。従っ
て、変位電流に基づいて算出された離隔距離が上式によ
る補正によって現実の離隔距離dに近似することにな
り、しきい値距離デ−タとの比較による、乗員Pとダッ
シュボ−ドDBとの離隔状況の適否が的確に判定され、
エアバッグ装置18のエアバッグを展開可能又は展開不
可能のいずれか一方に確実にセットすることができる。
【0040】次に、この乗員検知システムの処理フロ−
について図3〜図6を参照して説明する。まず、図3に
示すように、イグニッションスイッチをONにし、スタ
−トする。ステップS1でイニシャライズし、ステップ
S2に進む。ステップS2では制御回路17とエアバッ
グ装置18との通信系にかかる初期診断を行う。ステッ
プS3ではエンジンがスタ−トしたか否かの判断を行
い、エンジンがスタ−トしていると判断した場合にはス
テップS4に進む。スタ−トしていないと判断された場
合には戻る。ステップS4では第1のアンテナ電極側に
流れる電流及び第1のアンテナ電極5と第2のアンテナ
電極7との間に発生させた微弱電界に基づいて第2のア
ンテナ電極側に流れる変位電流に関連する信号デ−タの
受信が行われる。そして、ステップS5では取り込んだ
デ−タに基づいて乗員Pとダッシュボ−ドDBとの現実
の離隔距離dが判定される。さらに、ステップS6では
ステップS5の判定結果に基づき、エアバッグ装置(S
RS)18との間でSRS通信が行われる。ステップS
6が終了すると、再びステップS4に戻り、ステップS
4からステップS6の処理が繰り返し行われる。尚、ス
テップS3は省略することもできる。
【0041】図3における初期診断は、例えば図4に示
すように行われる。まず、ステップSA1では固定デ−
タを制御回路17からエアバッグ装置18の制御回路C
Cに送信する。ステップSA2ではエアバッグ装置18
からの送信デ−タを受信する。そして、ステップSA3
では制御回路17からエアバッグ装置18に送信した固
定デ−タとエアバッグ装置18からの受信デ−タとが一
致するか否かを判断する。それぞれのデ−タが一致する
と判断されると、処理フロ−が継続される。それぞれの
デ−タが一致しないと判断されると、通信系に異状があ
ると判断され、フェ−ルセイフ処理が行われ、例えば警
告灯などが点灯される。尚、この初期診断はエアバッグ
装置18から制御回路17に固定デ−タを送信し、制御
回路17からの送信デ−タをエアバッグ装置18の制御
回路CCにて、その一致性について判断させるようにし
てもよい。
【0042】図3における乗員判定(距離判定)は、例
えば図5に示すように行われる。まず、ステップSB1
では、乗員Pとシ−ト着席部との間にクッションなどの
敷物が介在されている場合、変位電流(受信信号Rx)
に基づいて算出された計算上の離隔距離を、上式(d=
K・Rx/Tx)によって現実の離隔距離dに近似する
ように補正され、ステップSB2に進む。ステップSB
2では補正された距離デ−タ(d)が、制御回路17に
予め記憶されているしきい値距離デ−タより小さい否か
が判断される。補正された距離デ−タ(d)がしきい値
距離デ−タより小さいと判断されると、ステップSB3
に進み、エアバッグ装置18のエアバッグが展開しない
ようにするためのOFFデ−タがセットされ、処理フロ
−が継続される。又、ステップSB2で補正された距離
デ−タ(d)がしきい値デ−タより小さくない(大き
い)と判断されると、ステップSB4に進み、エアバッ
グ装置18のエアバッグを展開させるためのONデ−タ
がセットされると共に、SRSデ−タ通信フロ−に継続
される。
【0043】図3におけるSRSデ−タ通信は、例えば
図6に示すように行われる。まず、ステップSC1では
乗員検知ユニット側(制御回路17)からエアバッグ装
置側(制御回路CC)に、エアバッグ装置18のエアバ
ッグを展開可能な状態ないし展開不可能な状態にするた
めのONデ−タないしOFFデ−タ及びチェックデ−タ
が送信される。ステップSC2ではエアバッグ装置側か
らの、ONデ−タないしOFFデ−タに対するOKデ−
タないしNGデ−タ及びチェックデ−タを受信し、ステ
ップSC3に進む。ステップSD3では乗員検知ユニッ
ト側からエアバッグ装置側に送信したON/OFFデ−
タ及びチェックデ−タが正常な状態で再びエアバッグ装
置側から乗員検知ユニット側に返信されたか否かが判断
される。正常(通信系に異状がない)と判断されると、
処理フロ−が継続される。通信系に異状があると判断さ
れると、ステップSC4に進み、フェ−ルセ−フタイマ
がゼロになったか否かが判断される。尚、この通信系の
異状検出は、例えば3回に設定されている。従って、フ
ェ−ルセ−フタイマがゼロになったと判断されると、フ
ェ−ルセイフ処理が行われ、例えば警告灯などが点灯さ
れる。又、フェ−ルセ−フタイマがゼロになっていない
と判断されると、ステップSC5に進み、フェ−ルセ−
フタイマのカウントが行われ、処理フロ−が継続され
る。
【0044】一方、ステップSD1ではエアバッグ装置
側(制御回路CC)が乗員検知ユニット側(制御回路1
7)から、エアバッグ装置18のエアバッグを展開可能
な状態ないし展開不可能な状態にするためのONデ−タ
ないしOFFデ−タ及びチェックデ−タを受信する。そ
して、ステップSD2では受信デ−タのチェックが行わ
れ、受信デ−タが正常に受信できているか否かが判断さ
れる。いずれに判断されてもステップSD3に進み、O
Kデ−タないしNGデ−タ及びチェックデ−タが乗員検
知ユニット側に送信される。ステップSD2で通信系に
異状がないと判断されると、ステップSD3のOKデ−
タ送信ステップを経てステップSD4に進む。このステ
ップSD4ではOKデ−タに基づいてエアバッグ装置側
のデ−タが更新される。これによって、エアバッグは展
開可能な状態ないし展開不可能な状態のいずれか一方に
更新セットされる。又、ステップSD2で通信系に異状
があると判断されると、ステップSD3のNGデ−タ送
信ステップを経てステップSD5に進む。このステップ
SD5ではフェ−ルセ−フタイマがゼロになったか否か
が判断される。尚、この通信系の異状検出は、例えば3
回に設定されている。従って、フェ−ルセ−フタイマが
ゼロになったと判断されると、フェ−ルセイフ処理が行
われ、例えば警告灯などが点灯される。又、フェ−ルセ
−フタイマがゼロになっていないと判断されると、ステ
ップSD6に進み、フェ−ルセ−フタイマのカウントが
行われ、処理フロ−が継続される。
【0045】この実施例によれば、シ−ト1Bの表面側
には第1のアンテナ電極5が、このシ−ト1Bに対向す
るダッシュボ−ド部分DBには第2のアンテナ電極7が
それぞれ配置されており、それぞれの間には高周波低電
圧の印加により微弱電界が発生されているために、第2
のアンテナ電極側にはシ−ト1Bに着席している乗員P
の、ダッシュボ−ドDB(第2のアンテナ電極7)に対
する姿勢に応じた変位電流が流れる。従って、この変位
電流の大きさによって、乗員Pとダッシュボ−ドDBと
の現実の離隔距離の適否が容易に検知することができ
る。
【0046】特に、乗員Pとシ−ト着席部との間にクッ
ションなどの敷物が介在されている場合には、制御回路
17において、変位電流(受信信号Rx)に基づいて算
出された計算上の離隔距離が、補正式(d=K・Rx/
Tx)によって現実の離隔距離dに近似するように補正
されるために、補正された距離デ−タ(d)と制御回路
17に予め記憶されているしきい値距離デ−タとの比較
により、乗員Pとダッシュボ−ドDBとの現実の離隔距
離の適否を的確に判断できる。
【0047】又、乗員Pとシ−ト着席部との間にクッシ
ョンなどの敷物が介在されることなく、単に送信信号T
xが何らかの原因によってレベルダウンした場合にも、
受信信号Rxに基づいて算出された計算上の離隔距離
が、上述の補正式によって現実の離隔距離dに近似する
ように補正することができるし、チャイルドシ−ト1A
が例えばRFISの状態で配置されている場合にも、同
様に適用できる。
【0048】しかも、エアバッグ装置18のエアバッグ
は、乗員Pとダッシュボ−ドDBとの現実の離隔距離の
適否判断に基づいて、展開可能な状態ないし展開不可能
な状態のいずれか一方に設定される。例えば乗員Pとダ
ッシュボ−ドDBとの離隔距離が許容されない距離にな
っていると判断されると、エアバッグ装置18のエアバ
ッグは展開不可能な状態に設定される。従って、仮に自
動車が衝突しても、エアバッグは展開されないために、
乗員Pがエアバッグによって二次的な損傷を受けること
を回避できる。
【0049】さらには、第2のアンテナ電極7はダッシ
ュボ−ド部分DBに、自動車の衝突などによってダッシ
ュボ−ドDBに接近する乗員Pの一部分、例えば顔面
(頭部)との対向面積が極力大きくなるように配置され
ているために、例えば乗員を一種のアンテナとして第2
のアンテナ電極側に流れる変位電流のレベル変化を精度
よく受信できる。従って、乗員Pとダッシュボ−ドDB
との現実の離隔距離を的確に検知することができる。
【0050】尚、本発明は、何ら上記実施例にのみ制約
されることなく、例えばシ−ト,ダッシュボ−ドに配置
されるアンテナ電極の形状は矩形状の他、円形,楕円
状,四角を除く多角形状に形成することもできる。第1
のアンテナ電極はシ−トの着席部の全面に配置する他、
着席部より小さな面積部分に配置することもできる。
又、発振回路の出力周波数は車室内などの状況などに応
じて100KHz以外に設定することもできる。さらに
はエアバッグ装置は電子式加速度センサの他に、機械式
センサを使用することもできる。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、シ−ト
には第1のアンテナ電極が、このシ−トに対向するダッ
シュボ−ド部分には第2のアンテナ電極がそれぞれ配置
されており、それぞれの間には高周波低電圧の印加によ
り微弱電界が発生されているために、第2のアンテナ電
極側にはシ−トに着席している乗員の、ダッシュボ−ド
(第2のアンテナ電極)に対する姿勢に応じた変位電流
が流れる。従って、この変位電流の大きさによって、乗
員とダッシュボ−ドとの現実の離隔距離の適否を容易に
検知することができる。
【0052】特に、乗員とシ−ト着席部との間にクッシ
ョンなどの敷物が介在されている場合には、制御回路に
おいて、受信信号Rxに基づいて算出された計算上の離
隔距離が、補正式(d=K・Rx/Tx)によって現実
の離隔距離dに近似するように補正されるために、補正
された距離デ−タと制御回路に予め記憶されているしき
い値距離デ−タとの比較により、乗員とダッシュボ−ド
との現実の離隔距離の適否を的確に判断できる。従っ
て、この判定結果に基づいてエアバッグ装置のエアバッ
グを展開可能又は展開不可能な状態のいずれか一方に設
定でき、エアバッグの不所望な展開によってエアバッグ
からの二次的な損傷を回避できる。
【0053】又、乗員とシ−ト着席部との間にクッショ
ンなどの敷物が介在されることなく、単に送信信号が何
らかの原因によってレベルダウンした場合や、シ−トに
チャイルドシ−トが例えばRFISの状態で配置されて
いる場合にも、受信信号に基づいて算出された計算上の
離隔距離が、上述の補正式によって現実の離隔距離に近
似するように補正することができ、エアバッグ装置を適
切に作動させることができる。
【0054】さらには、第2のアンテナ電極はダッシュ
ボ−ド部分に、自動車の衝突などによってダッシュボ−
ドに接近する乗員の一部分との対向面積が極力大きくな
るように配置されているために、例えば乗員を一種のア
ンテナとして第2のアンテナ電極側に流れる変位電流の
レベル変化を精度よく受信できる。従って、乗員とダッ
シュボ−ドとの現実の離隔距離を的確に検知することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる乗員検知システムの車室内部分
を示す図であって、同図(a)は第1,第2のアンテナ
電極の配置状態を示す図、同図(b)はシ−トの要部断
面図。
【図2】本発明にかかる乗員検知システムの回路ブロッ
ク図。
【図3】本発明にかかる乗員検知方式の乗員検知を行う
フロ−チャ−ト。
【図4】図3に示す初期診断のフロ−チャ−ト。
【図5】図3に示す乗員判定(距離判定)のフロ−チャ
−ト。
【図6】図3に示すSRS通信のフロ−チャ−ト。
【図7】従来例にかかるエアバッグ装置の回路ブロック
図。
【図8】各種の着席パタ−ンを示す図であって、同図
(a)はシ−トに大人の乗員が着席している状態を示す
図、同図(b)はRFISの状態を示す図、同図(c)
はFFCSの状態を示す図。
【図9】従来例にかかる改良されたエアバッグ装置の回
路ブロック図。
【図10】本発明の前提となる先行技術にかかる乗員検
知システムの基本動作を説明するための図であって、同
図(a)は電極間の電界分布を示す図、同図(b)は電
極間に物体が存在した時の電界分布を示す図。
【図11】先行技術にかかる乗員検知システムのシ−ト
の斜視図。
【図12】先行技術にかかる乗員検知システムの回路ブ
ロック図。
【図13】図12の具体的な回路ブロック図。
【図14】図13に示すエアバッグ装置の詳細な回路ブ
ロック図。
【図15】従来の自動車の助手席への乗員の着席状態を
示す概略図。
【符号の説明】 1B シ−ト 1a 着席部 1b 背もたれ部 2 ベ−ス 3 シ−トフレ−ム 4 クッション材 5 第1のアンテナ電極 6 外装材 7 第2のアンテナ電極 10 発振回路 11 電流検出回路 13 電流・電圧変換回路 14 フィルタ回路 15 増幅回路 17 制御回路 18 エアバッグ装置 DB ダッシュボ−ド SS1,SS2 セ−フィングセンサ SQ1,SQ2 スクイブ SW1,SW2 半導体スイッチング素子 CC 制御回路 GS 電子式加速度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大藤 眞弘 神奈川県横浜市神奈川区新浦島町1丁目1 番地25 日本電気ロボットエンジニアリン グ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内のシ−ト部分に配置した第1のア
    ンテナ電極と、このシ−トに対向するダッシュボ−ド部
    分に配置した第2のアンテナ電極と、第1のアンテナ電
    極と第2のアンテナ電極との間に微弱電界を発生させる
    ための発振回路と、発振回路から第1のアンテナ電極に
    流れる送信電流を検出する電流検出回路と、第1のアン
    テナ電極と第2のアンテナ電極との間に発生させた微弱
    電界に基づいて流れる変位電流を検出し、電圧に変換す
    る電流・電圧変換回路と、電流検出回路及び電流・電圧
    変換回路の出力信号に基づいてシ−トに着席している乗
    員などとダッシュボ−ドとの離隔距離の適否を判定する
    制御回路とを具備したことを特徴とする乗員検知システ
    ム。
  2. 【請求項2】 車室内のシ−ト部分に配置した第1のア
    ンテナ電極と、このシ−トに対向するダッシュボ−ド部
    分に配置した第2のアンテナ電極と、第1のアンテナ電
    極と第2のアンテナ電極との間に微弱電界を発生させる
    ための発振回路と、発振回路から第1のアンテナ電極に
    流れる送信電流を検出する電流検出回路と、第1のアン
    テナ電極と第2のアンテナ電極との間に発生させた微弱
    電界に基づいて流れる変位電流を検出し、電圧に変換す
    る電流・電圧変換回路と、電流検出回路及び電流・電圧
    変換回路の出力信号に基づいてシ−トに着席している乗
    員などとダッシュボ−ドとの離隔距離の適否を判定する
    制御回路と、衝突に基づいてエアバッグを展開させる機
    能を有するエアバッグ装置とを具備し、前記制御回路の
    判定結果に基づくデ−タをエアバッグ装置に送信し、エ
    アバッグ装置のエアバッグを展開可能な状態又は展開不
    可能な状態のいずれか一方にセットすることを特徴とす
    る乗員検知システム。
  3. 【請求項3】 前記第1のアンテナ電極をシ−トの着席
    部に配置すると共に、第2のアンテナ電極をダッシュボ
    −ド部分に、衝突などによってダッシュボ−ドに接近す
    る乗員の少なくとも一部分との対向面積が極力大きくな
    るように配置したことを特徴とする請求項1又は2に記
    載の乗員検知システム。
  4. 【請求項4】 前記制御回路は、予め乗員などとダッシ
    ュボ−ドとの許容限度の離隔距離に対応するしきい値デ
    −タを有しており、第1のアンテナ電極への送信電流に
    レベル変動が生じた場合、その変動に基づいてしきい値
    デ−タ又は第2のアンテナ電極側に流れる変位電流に基
    づく、乗員などとダッシュボ−ドとの離隔距離に対応す
    る受信信号デ−タを補正し、補正後のしきい値デ−タと
    受信信号デ−タとを比較することにより、乗員などとダ
    ッシュボ−ドとの離隔状況の適否を判定するように制御
    することを特徴とする請求項1又は2に記載の乗員検知
    システム。
  5. 【請求項5】 車室内のシ−ト部分に第1のアンテナ電
    極を、このシ−トに対向するダッシュボ−ド部分に第2
    のアンテナ電極をそれぞれ配置し、この第1のアンテナ
    電極と第2のアンテナ電極との間に微弱電界を発生さ
    せ、第1のアンテナ電極への送信電流及び微弱電界に基
    づいて第2のアンテナ電極側に流れる変位電流を検出
    し、これら電流に対応するデ−タに基づいて演算処理し
    て乗員などとダッシュボ−ドとの離隔状況の適否を判定
    すると共に、この判定結果に基づくデ−タをエアバッグ
    装置に送信し、エアバッグ装置のエアバッグを展開可能
    な状態又は展開不可能な状態のいずれか一方にセットす
    ることを特徴とする乗員検知方法。
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