JPH11111257A - 電池用セパレ−タ− - Google Patents

電池用セパレ−タ−

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JPH11111257A
JPH11111257A JP9274157A JP27415797A JPH11111257A JP H11111257 A JPH11111257 A JP H11111257A JP 9274157 A JP9274157 A JP 9274157A JP 27415797 A JP27415797 A JP 27415797A JP H11111257 A JPH11111257 A JP H11111257A
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JP
Japan
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fiber
battery
fibers
denier
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JP9274157A
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English (en)
Inventor
Teruhisa Miki
輝久 三木
Masaru Ishikawa
勝 石川
Katsuhiko Kurose
勝彦 黒瀬
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Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池用セパレ−タ−の片面を撥水性に、他の
片面を親水性にするを実現し、電池の充放電特性を改善
し、寿命性能の向上を計る。 【解決手段】 太さの異なる複数の繊維を構成要素とす
る多層湿式抄造紙にマイクロ波放電プラズマ処理を施
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニッケル水素電池用
セパレ−タ−に適した電池用セパレ−タ−に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に電池は、正極、負極、電解質を
必須の三大構成要素とするが、これらに加えて、直接的
には起電反応には寄与しないにもかかわらず、セパレ−
タ−も電池の必須構成部材の一つとされている。電気化
学的にみれば、一次電池は放電のみを、また二次電池は
充電および放電の両方を行う電池を言う。
【0003】上記の電池構成要素の中でも正極は反応物
質として正極活物質を負極は同じく反応物質として負極
活物質をそれぞれの電極内に包含し、両者の活物質から
生じた正負イオンが電解質を通して電気化学的に反応す
ることによって電池は起電する。電解質には大別して液
体電解質、固体電解質があり、それぞれの用途にそって
各種の電池が実用化されている。
【0004】さらに液体電解質は酸性液体電解質とアル
カリ性液体電解質に大別される。酸性液体電解質を使用
する電池には希硫酸を電解質として使用する鉛二次電池
が代表的であり、また、アルカリ性液体電解質をを使用
する電池はアルカリ電池と総称される。
【0005】アルカリ電池はまた、アルカリ一次電池と
アルカリ二次電池に大別される。アルカリ一次電池の例
としてはアルカリマンガン乾電池、酸化銀電池、酸化水
銀電池、空気亜鉛電池らがあり、アルカリ二次電池の例
としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、
ニッケル亜鉛電池などが知られている。
【0006】アルカリ性電解液には通常、20〜40重
量%の苛性カリ水溶液が用いられることが多い。ニッケ
ルカドミウム電池の様なアルカリ二次電池に用いられる
セパレ−タ−には、歴史的にナイロン不織布が多く使用
されてきた。ナイロン不織布は物理的に強靭であり、親
水性に富み、高濃度のアルカリ電解液に対する耐久性に
優れているからである。
【0007】同じアルカリ電解液を使用するという理由
から、ニッケル水素二次電池の開発初期においても、ナ
イロン不織布セパレ−タ−が使用されていた。しかし開
発が進むにつれて、ナイロン不織布セパレ−タ−をニッ
ケル水素二次電池に使用した場合、自己放電が増加した
電池に内部短絡が増える、という不都合が多く見られる
様になった。その原因は、ナイロン不織布と水素吸蔵合
金負極が共存する場合、充放電によって発生する水分解
ガスや、それ自体が酸化剤である正極活物質と接触する
ことによりナイロン不織布内部に化学的分解や品質劣化
が生じ、電解液中に亜硝酸イオンや硝酸イオンが生成
し、それらが電池の自己放電を促進することによること
が解明された。その結果、ニッケル水素二次電池におけ
るナイロン不織布セパレ−タ−の適用について見直され
るようになり、ポリオレフィン系材質のセパレ−タ−へ
の転用が見られる様になった。
【0008】しかし材質的に耐久性に優れたポリプロピ
レン繊維不織布セパレ−タ−やポリエチレン繊維不織布
セパレ−タ−は本質的に撥水性が強く、アルカリ電解液
との親和性は十分ではない。この問題を解決するために
は不織布に何らかの親水性処理を施す必要がある。簡単
な用例として過去において、素材を界面活性剤溶解水溶
液に浸漬することによる表面処理等を施すことがあげら
れたこともあるが、親水性化処理の継続効果に問題があ
り、恒久的な解決策とならない。
【0009】近来の新型不織布の一例として、ポリオレ
フィン繊維を特殊な方法で水中で粉砕/裁断/繊維化
し、見かけ上は水を含んだままの状態の、親水性のポリ
オレフィンパルプ状多分岐繊維が公表されている。これ
らの多分岐繊維は、木材パルプ、不織布用繊維、セメン
ト等と併用する際に有益な効能を発揮するものとして多
方面にわたって実用化されている。しかしこれらのパル
プ状多分岐繊維はポリオレフィンであるが故に、当然な
がらその本質は撥水性である。このことは、かかる見掛
け上水を含んだパルプ状多分岐繊維であっても一旦乾燥
してしまうと、もはや旧の親水性状態に復することな
く、不可逆的に本来の撥水性のポリオレフィンパルプ状
多分岐繊維へ変質する。
【0010】さらにこの様なパルプ状多分岐繊維をスル
フォン化処理することによって恒久的に親水性を持たせ
ようとする試みもなされた。しかし公表されたスルフォ
ン化パルプ状多分岐繊維は、もろく、崩れやすく、容易
に粉砕化してしまう欠点を有していた。例えばスルフォ
ン化ポリエチレンパルプ状多分岐繊維や該多分岐繊維を
用いて湿式抄造した抄造紙は、抄造工程中に崩れやすい
上に、抄紙直後の水分を除去するための乾燥工程で折角
の親水性が消失してしまうことが発明者らの実験により
分かった。その理由は、パルプ状多分岐繊維の状態で付
可されたスルフォン基が乾燥工程における加熱処理によ
って効果を失い、基礎特性であるポリオレフィン繊維の
撥水性が顔を出すためと推定されている。
【0011】セパレ−タ−は通常、絶緑性素材で構成さ
れた多孔性あるいは微孔性薄膜の形状をしており、正極
と負極との間に設置され、両者が直接接触することによ
って電気的に内部短絡することを防ぐとともに、電解液
の一部をセパレ−タ−自身の内部の微孔に包含し、セパ
レ−タ−膜を通過することを可能としている。セパレ−
タ−は、その意味において本来は電池の起電反応に直接
的に寄与するものでなく、むしろ電池性能を阻害する可
能性を有する構成物質であり、従って理論的には有害無
益の構成材料とされ、出来るなら無い方が望ましい。
【0012】即ち、もしセパレ−タ−が無ければイオン
は電解液中を全く妨害されることなく自由に移動できる
筈であるが、実際にはセパレ−タ−があるためにイオン
の移動は抵抗を受けることになる。この移動抵抗値をセ
パレ−タ−のイオン抵抗値、その逆数をセパレ−タ−の
イオン伝導度と呼んでいる。セパレ−タ−のイオン伝導
度はなるべく大きいことが望ましい。セパレ−タ−のイ
オン伝導度を大きくするためには、セパレ−タ−の開孔
度が大きく、セパレ−タ−内部になるべく多量の電解液
が存在し、しかもそれらの電解液は自由に移動し得るこ
とが望ましい。微孔内になるべく多くの電解液を保有し
しかもそれらの電解液が自由に移動するには、微孔の内
壁が恒久的に親水性であることが必要である。
【0013】しかし一般的にセパレ−タ−に用いられる
材料は電気的絶緑材であり、例えばポリエチレンやポリ
プロピレン、ポリプチレン等の合成樹脂であり、これら
は総じて撥水性であり何らかの親水性処理が必要とされ
る。セパレ−タ−を形状的にみると微孔性薄膜の形状を
採る他に、不織布、または微孔性フィルムと不織布を組
み合わせたもの等の素材を用いることが多いが、これ等
に親水性を付与することを目的として、化学的処理を施
す方法(特開昭57ー191956号公報)が提案され
ている。また同じような目的で、表面に水酸基を有する
ポリオレフィン重合体、または表面にアミド基を有する
ポリオレフィン重合体を抄紙法で抄紙したセパレ−タ−
(特開平2ー181363号公報)も提案されている。
いずれもセパレ−タ−と電解液との間の親水性を改善す
ることを目的としている。
【0014】次に、ニッケル水素電池用セパレ−タ−の
特徴を説明する。
【0015】ニッケルカドミウム電池の場合は正極活物
質である酸化ニッケルも負極活物質である金属カドミウ
ムも共に固体であり、起電反応はそれぞれの活物質が電
解液中へイオン化することにより達成される。かかる固
相/液相間の反応がスム−ズに進行するには電極間に介
存するセパレ−タ−の表面は両面とも親水性であること
が必要である。ところがニッケル水素電池の場合、正極
活物質は酸化ニッケルであるが負極活物質には水素ガス
が用いられる。通常、水素ガスは負極素材である水素吸
収合金に吸着されており、放電に際しては水素ガスは負
極から一旦、気体状で放出され、次いでプロトンとな
り、電子を放出すると同時に水と反応し、水酸イオンと
なって電解液中を移動する。また充電に際して、電解液
中の水酸イオンは原子状水素に還元され、さらに分子状
水素となって負極である水素吸収合金に吸収され保存さ
れる。放電の際に水素吸収合金から分子状水素を発生
し、また、充電の際に電解液中のプロトンを分子状水素
として負極表面に吸収する。
【0016】これらの化学反応をスム−ズに進行せしめ
るには、負極表面およびこれと接するセパレ−タ−表面
は乾燥していなければならない。即ち、最初に負極から
水素分子が解離し、さらに、その水素分子が水素原子に
変わり、次いでセパレ−タ−表面およびセパレ−タ−微
孔内に包含される電解液と接して、水素イオンなる一連
の変化工程がスム−ズに進行するためには負極側と接す
るセパレ−タ−面は充分に乾燥していなければならな
い。その理由は、負極側と接するセパレ−タ−面が濡れ
ていては水素原子から水素イオンに変わる触媒反応が充
分にうまく作動しないからである。
【0017】これに対して正極側での反応は固相/液相
反応であり、酸化ニッケル中のニッケルイオンは電解液
に接して放電反応が進行する。即ち、酸化ニッケルで正
極の放電反応がスム−ズに進行するには、正極側に接す
るセパレ−タ−面は充分に濡れている必要がある。即
ち、正極とセパレ−タ−が接する界面は充分に濡れてい
ないと放電反応が進行しないのである。
【0018】以上説明したように、ニッケル水素電池に
おける理想的セパレ−タ−には、正極と接する側のセパ
レ−タ−面およびその近傍の微孔内壁は親水性であり、
負極と接する側のセパレ−タ−面およびその近傍の微孔
内壁は充分に乾燥していることが望ましい、という複雑
な機能が要求されることを示している。ニッケル水素電
池セパレ−タ−の水素ガスの還元効率(即ち充電電流の
充電効率)を良くするため、極板表面の改質、セパレ−
タ−表面をフッ素樹脂で被って撥水性にする方法、セパ
レ−タ−の両面に親水性の有意差を持たせる方法らの提
案がされているが、いずれも、上記の効用を狙っていた
ものである。しかし狙いはともかく、実用的に成功した
例はない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】特開昭58−9475
2号公報は、微孔性機能を付与されたポリオレフィンフ
ィルムまたはそれと同義構造のセパレ−タ−に後処理と
してプラズマ処理することを報告しているが、後処理で
付加された親水化処理は、セパレ−タ−の全域にわたっ
て同じ程度の親水性処理が付与され、片面のみ親水性を
強化することはなし難い。また特開平2−181363
号公報には、表面に水酸基を有するポリオレフィン重合
体、または表面にアミド基を有するポリオレフィン重合
体を抄紙法で抄紙したことを特徴とするセパレ−タ−が
記載されている。しかし、この樣に本質的に親水基を有
する重合体で構成されたセパレ−タ−は、セパレ−タ−
表面もセパレ−タ−内部の微孔内壁も一様に親水性であ
るので、セパレ−タ−としての保水性や保液性は優れて
いるものの、表裏に効果の差を期待することは困難であ
る。特開昭60−100382号公報は、貴金属触媒を
使用するため、ガス還元性は改善されるが、セパレ−タ
−表面および内部微孔の親水性に対する配慮がなく、ま
た電池のコストアップにつながり、さらに、セパレ−タ
−表面から解離した貴金属が極板を汚染する結果、充電
効率の低下や過電圧減少による自己放電の増大を招きや
すい。そこで、本発明は、電池用セパレ−タ−であっ
て、その片面を撥水性にかつ他の片面を親水性にするこ
とを実現し、電池の充放電特性を改善し、寿命性能の向
上を計ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、太さの異なる複数の繊維を構成要素とする多層湿
式抄造紙にマイクロ波放電プラズマ処理を施すことであ
る。
【0021】上記課題解決手段において、セパレ−タ−
の片面を撥水性に、他の片面を親水性にすることを実現
でき、電池の充放電特性を改善し、寿命性能の向上を計
ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、太さの異なる複数の繊
維を構成要素とする多層湿式抄造紙にマイクロ波放電プ
ラズマ処理を施した電池用セパレ−タ−に関する。
【0023】前記太さの異なる複数の繊維がポリオレフ
ィン繊維が適し、前記多層湿式抄造紙の一面を構成する
繊維の太さが1デニール以下のポリオレフィン繊維が適
している。
【0024】前記多層湿式抄造紙を構成する繊維のうち
少なくともその一つに、ポリプロピレンを芯としかつポ
リエチレンを鞘とする芯鞘構造複合繊維を包含させるこ
とは友好である。
【0025】また、ポリオレフィン製割布と共に太さの
異なる複数のポリプロピレン繊維を多層湿式抄造した紙
にマイクロ波放電プラズマ処理を施すことも可能であ
る。
【0026】本来的に撥水性である高分子繊維にマイク
ロ波放電プラズマ処理を施した場合、同じ放電エネルギ
−密度において繊維の太さにより親水性効果が異なり、
繊維の太さが細ければ細いほどその効果が大きいことが
発明者らにより解明された。
【0027】本発明は、片面が親水性であり他方の面が
疎水性である様な機能を有する電池セパレ−タ−を、太
さの異なる複数のポリオレフィン繊維を構成要素とする
多層湿式抄造紙をマイクロ波放電プラズマ処理すること
により、一つの工程で製造なし得ることに特徴を有す
る。
【0028】マイクロ波放電プラズマ処理を施すには、
通常のプラズマ処理法における様に、真空に適度の活性
化ガスを注入し、電極間にプラズマ放電を発生せしめ、
その中に目的とするポリオレフィン繊維を設置すること
によって達成される。
【0029】特に本発明の場合、繊維直径の異なるポリ
オレフィン繊維を2層抄きした紙をプラズマ処理するこ
とによって、繊維直径のより小さな抄紙面のみを選択的
に強い親水性処理が施された本発明の新発見に基づく技
術を応用している。
【0030】本発明のマイクロ波放電プラズマ処理は、
極間距離10センチ、極板面積200cmのステンレ
ス製のプラズマ電極の間に、目的とするサンプルを設置
し、真空度10Torr、酸素ガス雰囲気、200ワッ
ト、周波数15MHzの高周波で20秒間の放電処理
を、標準の処理法と規定した。上記の条件でプラズマ処
理を施した、0.5デニ−ル太さ、長さ5mmの200
gのポリプロピレン繊維を、分散剤や界面活性剤を溶解
していない200gの純水に投擲したところ一瞬のうち
に水中に没した。これはポリプロピレン繊維に対するプ
ラズマ処理効果が非常に大きいことを示している。
【0031】またプラズマ処理を施していない0.5デ
ニ−ル太さ、長さ5mmの200gのポリプロピレン繊
維を200gの純水に投擲したところ水面に浮かんだま
までこれを沈降させるために、水中に8gの分散剤と5
gの界面活性剤を溶解することを必要とした。また上記
と同じ条件のプラズマ処理を施し繊維直径が8デニ−ル
で200gのポリプロピレン繊維を同量の水に投擲した
ところ、最初は水面に浮かんでいたがこれを強く撹拌す
ると若干は水中に沈降したが一部は浮上した。この実験
結果から、発明者らは太い繊維直径のポリプロピレン繊
維は親水性に対するプラズマ処理効果が不足することが
分かった。
【0032】上記の比較例として、プラズマ処理を施し
ていない繊維直径が8デニ−ル太さで、200gのポリ
プロピレン繊維を同量の水に投擲したところ、全体が表
面に浮き、これらを水中に没するためには7gの分散剤
と2gの界面活性剤を必要とした。上記二種類の太さの
異なる単繊維における実施例の結果は、0.5デニ−ル
と8デニ−ルの繊維直径の間に、プラズマ処理の受容性
に多大な差があることを示している。
【0033】
【実施例】抄紙における実施例および比較例を用いて本
発明の内容を詳述する。本発明の実施例に用いたサンプ
ル繊維を以下に説明する。実施例1は0.2デニ−ル太
さで長さ5mmのポリプロピレン繊維、実施例2は0.
5デニ−ル太さで長さ5mmのポリプロピレン繊維、実
施例3は1デニ−ル太さで長さ5mmのポリプロピレン
繊維、実施例4は2デニ−ル太さで長さ5mmのポリプ
ロピレン繊維、実施例5は4デニ−ル太さで長さ5mm
のポリプロピレン繊維、実施例6は8デニ−ル太さで長
さ5mmのポリプロピレン繊維の8種類である。
【0034】プラズマ照射は標準プラズマ処理条件で行
った。またプラズマ照射時間と耐酸化性に対する影響を
調べた。処理時間20秒、30秒、60秒、120秒、
300秒、600秒の6種類で照射実験を行った。本発
明に用いる割布は、充分に延伸強化した高密度ポリオレ
フィンフィルムに細かな割れ目を入れて割繊維にしたも
のを、縦/横に連続的に積層熱融着して作成した不織布
の一種類である。割布は、専らサンプル繊維と共に、共
抄きすることにより、完成抄造品に機械的強度を付与す
る目的で使用する。
【0035】以下に本発明において親水性評価のための
各種指標を説明する。
【0036】(1)吸い上げ高さとは、15mm幅のテ
−プ状に切り出されたサンプルの先端部の10mmを、
25℃に保持された30%苛性カリ水溶液に浸漬し、1
0分後に吸い上げた液の高さをmm単位で表したもので
ある。
【0037】(2)保液量とは25℃に保持された30
%苛性カリ水溶液に正方形サンプル(30×30m
)を浸漬し、30分後に取り出し、これを45度の
斜面に静置し、サンプルが含有する水溶液重量を、乾燥
した状態のサンプル重量を100として%で表示したも
のである。
【0038】(3)耐酸化性とは、セパレ−タ−を乾燥
秤量した後、水酸化カリウム31重量部と水69重量部
とからなる濃水酸化カリウム水溶液95重量部に過マン
ガン酸カリウム5重量部を溶解させた酸化液中に浸漬
し、100℃で1時間加熱した後、水洗し、再び乾燥/
秤量し、セパレ−タ−の浸漬前後における重量減少率
(%)を意味する。
【0039】(4)見掛け比表面積とは、1gの繊維サ
ンプルまたは抄紙サンプルをBET法で計測した表面積
で単位はmである。なお、それぞれの抄紙サンプル
は、内芯ポリプロピレン、外芯ポリエチレンの二重構造
で、2デニ−ルの太さの芯鞘繊維を5重量%、接着剤と
して共抄きしている。すべてのサンプルの仕上げ加熱条
件は温度150℃、加熱時間30秒である。上記の評価
指標をまとめたのが表1である。
【0040】
【表1】
【0041】表1より分ることは、引張強度および密度
は繊維太さに相応して大きくなっているが、吸い上げ量
および保液量は見掛け比表面積の傾向と一致しているこ
とである。吸い上げ高さや保液量と見掛け比表面積の関
係は、繊維太さが1デニ−ルから2デニ−ルに変わる間
で、大きく変化する。また引張強度は繊維太さが大きく
なると、ある値で飽和する傾向が認められる。これは繊
維太さがある程度以上の大きさに なると接着剤による
強度が抄紙の引張強度となることを示すものとして理解
できる。なお表示はしていないが、各サンプルのプラズ
マ処理前後における見掛け比表面積の変化は認められな
かった。次にプラズマ処理により材質が劣化する様子を
調べたのが表2である。表2においては、プラズマ処理
時間と繊維太さの相関を、耐酸化性の数値で表示してい
る。
【0042】
【表2】
【0043】発明者らの観察によると耐酸化性の数値が
20%を越えると繊維質が脆くなり、各サンプルの引張
強度の低下が現れ、折れ易くなる傾向にあることが分て
いる。この現象は、プラズマのエネルギ−により、繊維
の分子構造に何らかの変化が発生し、それによって見掛
け上の物理特性に変化が現れたものと推定される。この
点を発明者らは照射エネルギ−による繊維の変質限界と
呼ぶことにした。表2において、繊維太さ0.2デニ−
ル(実施例1)および0.5デニ−ル(実施例2)にお
いては、照射時間が120秒から300秒において変質
限界があることが分かる。しかし繊維太さが1デニ−ル
以上の太さ(実施例3〜実施例6)においては、発明者
らが行った照射時間の範囲内(20秒〜600秒)にお
いて、顕著な繊維物性の変質限界は認められなかった。
実施例1および実施例2においては、プラズマ照射時間
が20秒で親水性効果が認められる。しかしそれ以上の
長い照射時間を付加すれば、より大きな親水性効果とと
もに繊維物性の変質がもたらされる。
【0044】次に発明者らは繊維太さの細いポリプロピ
レン繊維と太いポリプロピレン繊維からなる二種類の抄
紙を2層湿式抄造したサンプルの試作を行い、実施例7
から実施例11とした。それらの結果を表3にまとめ
た。2層湿式抄造はそれぞれ別の撹拌槽に所定量の分散
剤と界面活性剤を付加した水溶液に、0.5デニ−ル太
さのポリプロピレン繊維と4デニ−ル太さのポリプロピ
レン繊維を別々に分散せしめ、これを通常に知られる方
法で抄紙し、連続的に重ね合せて2層に抄造した。この
際それぞれの撹拌槽には、内芯ポリプロピレン、外芯ポ
リエチレンの二重構造で、2デニ−ル太さで芯鞘繊維を
5重量%、接着剤として共分散している。なおこれらの
芯鞘繊維はポリプロピレン繊維の接着剤として使用する
ことの他に、それ自体を太いポリオレフィン繊維として
も有効に作用した。この場合は、芯鞘繊維は接着剤であ
ると同時にセパレ−タ−構成繊維としての役割を果た
す。
【0045】発明者らは細いポリプロピレン繊維層を
(A)層と呼び、太いポリプロピレン繊維層を(B)層
と呼ぶことにした。そして発明者らはそれぞれの坪量を
40g/mと一義的に定めた。したがって2層湿式抄
紙の平均坪量は80g/mである。実施例7は繊維太
さ0.5デニ−ルのポリプロピレン繊維と1デニ−ルの
ポリプロピレン繊維の組み合わせ、実施例8は繊維太さ
0.5デニ−ルと4デニ−ルのポリプロピレン繊維の組
み合わせ、実施例9は繊維太さ0.5デニ−ルと8デニ
−ルのポリプロピレン繊維の組み合わせによる、平均坪
量が80g/m2層湿式抄紙である。
【0046】
【表3】
【0047】通常、ニッケル水素電池用セパレ−タ−と
しての要求特性は、引張強度1kg/15mm幅、平均
吸上量100mm以上、平均保液量250%程度のもの
が多い。この要求特性からすれば、表3中の実施例は、
実施例10を除いていずれも要求値を満足する。
【0048】なお、本発明において実施例1における繊
維太さ0.2デニ−ルのポリプロピレン繊維は吸上量や
保液量に優れてはいるものの、引張強度が弱く、しかも
単位繊維は高価格であり、その後の実施例としての適用
から除外した。実施例11は、実施例7から実施例10
までの一連の実施例と異なり、2デニ−ルの芯鞘構造の
ポリオレフィン繊維を用いた抄紙である。この場合は、
芯鞘繊維は接着剤であると同時に構成剤としての役割を
果している。次にあげる実施例12から実施例16まで
は、ポリエチレン製割布とともに一体化した湿式抄紙を
標準のプラズマ放電処理したものである。その結果を表
4にまとめた。実施例12は繊維太さ0.5デニ−ルの
ポリプロピレン繊維と割布の組み合わせ、実施例13は
繊維太さ1デニ−ルと割布の組み合わせ、実施例14は
繊維太さ2デニ−ルと割布の組み合わせ、実施例15は
繊維太さ4デニ−ルのポリプロピレン繊維と割布の組み
合わせ、実施例16は繊維太さ8デニ−ルと割布の組み
合わせによる湿式抄紙である。本発明に用いた割布は、
坪量16g/m、厚み0.08mm、引張強度3.3
kg/15mm、伸度20%の特性を有する。それらの
結果を表4にまとめた。
【0049】
【表4】
【0050】繊維太さと吸上量および保液量の相関は表
1に示される実施例2〜実施例6までの相関と相似であ
る。これは抄紙内部に隠された割布が吸上量や保液量に
は無関係であることを示す。しかし表4は同時に、割布
は引張強度に対して大きな貢献をすることを示してい
る。表4から、繊維太さ1デニ−ル以下のポリプロピレ
ン繊維と割布の共抄き抄紙は、ニッケル水素電池用セパ
レ−タ−としての要求特性である引張強度1kg/15
mm幅、平均吸上量100mm以上、平均保液量250
%と言う要求特性を満足する。
【0051】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修
正および変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明は、マイクロ波
放電プラズマ処理を施したポリオレフィン繊維を構成要
素の一つとする湿式抄造紙からなることを特徴とするニ
ッケル水素電池用に適した電池用セパレ−タ−に関する
ものであり、本発明によると、電池用セパレ−タ−の片
面を撥水性に、他の片面を親水性にするを実現でき、電
池の充放電特性を改善し、寿命性能の向上を計ることが
できる優れた効果がある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太さの異なる複数の繊維を構成要素とす
    る多層湿式抄造紙にマイクロ波放電プラズマ処理を施し
    たことを特徴とする電池用セパレ−タ−。
  2. 【請求項2】 前記太さの異なる複数の繊維がポリオレ
    フィン繊維であることを特徴とする請求項1記載の電池
    用セパレ−タ−。
  3. 【請求項3】 前記多層湿式抄造紙の一面を構成する繊
    維の太さが1デニール以下のポリオレフィン繊維である
    ことを特徴とする請求項2記載の電池用セパレ−タ−。
  4. 【請求項4】 前記多層湿式抄造紙を構成する繊維のう
    ち少なくともその一つに、ポリプロピレンを芯としかつ
    ポリエチレンを鞘とする芯鞘構造複合繊維を包含するこ
    とを特徴とする請求項1記載の電池用セパレ−タ−。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン製割布と共に太さの異な
    る複数のポリプロピレン繊維を多層湿式抄造した紙にマ
    イクロ波放電プラズマ処理を施したことを特徴とする電
    池用セパレ−タ−。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109905955A (zh) * 2019-03-13 2019-06-18 中国科学院微电子研究所 原子态等离子体形成装置及其应用
CN111286066A (zh) * 2020-02-28 2020-06-16 广州洁特生物过滤股份有限公司 基材亲水表面的制备工艺以及三维细胞培养支架

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