JPH11108138A - トロイダル型無段変速機の組立方法 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の組立方法

Info

Publication number
JPH11108138A
JPH11108138A JP26872697A JP26872697A JPH11108138A JP H11108138 A JPH11108138 A JP H11108138A JP 26872697 A JP26872697 A JP 26872697A JP 26872697 A JP26872697 A JP 26872697A JP H11108138 A JPH11108138 A JP H11108138A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
preload
input
assembling
input shaft
toroidal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP26872697A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3414220B2 (ja
Inventor
Shinichiro Takemoto
真一郎 竹本
Toshifumi Hibi
利文 日比
Masaki Nakano
正樹 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP26872697A priority Critical patent/JP3414220B2/ja
Publication of JPH11108138A publication Critical patent/JPH11108138A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3414220B2 publication Critical patent/JP3414220B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法公差などによって変化する皿バネのプリ
ロードを所定の範囲内に調整する。 【解決手段】 ギアハウジングASSY28及び出力ディス
ク20、21Aをケーシング10側に組み付けてから、
カムフランジ56、カムローラ57及び入力ディスク2
0をCVTシャフト25へ挿通した後に、トラニオン3
L、3R及びパワーローラ1L、1Rを組み付け、その
後CVTシャフト25の端部に組み付けた皿バネ40、
41のプリロードが所定の範囲となるようにシム42を
調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等に用いられ
るトロイダル型無段変速機の組み立て方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から車両に用いられる無段変速機と
してトロイダル型が知られており、これは、一対の入力
ディスクと出力ディスクに形成されたトロイド状の曲面
を対向配置するとともに、同軸上に配置された入力ディ
スクと出力ディスクの間でパワーローラを狭持、押圧し
ておき、パワーローラの傾斜角(以下、傾転角とする)
を連続的に変更させることで、入力ディスク及び出力デ
ィスクとパワーローラの接触半径が連続的に変化して、
変速比を無段階に変更して入力軸から出力軸(又は出力
歯車)へ駆動力を伝達するものである。
【0003】このような、トロイダル型無段変速機とし
ては、特開平2−163562号公報、特開平4−78
366号公報等に開示されるように、2組のハーフトロ
イダル型変速部を備えたダブルキャビティ式のトロイダ
ル型無段変速機が知られている。
【0004】これは、図21に示すように、トロイダル
型無段変速機50の入力側には、ロックアップクラッチ
を備えてエンジンに結合されるトルクコンバータ53
と、トルクコンバータ53の出力側に前後進切換装置5
4を設けたもので、前後進切換装置54からの駆動力は
入力軸55及びCVTシャフト25を介して、第1トロ
イダル変速部51と第2トロイダル変速部52へそれぞ
れ入力される。
【0005】第1トロイダル変速部51は、入力ディス
ク20と出力ディスク21との間に挟持される一対のパ
ワーローラ1R、1Lから構成され、第2トロイダル変
速部52は、入力ディスク20Aと出力ディスク21A
との間に挟持される一対のパワーローラ1R、1Lから
構成されており、これらパワーローラ1R、1Lは、図
示しないトラニオンによって傾転可能かつ回転自在にそ
れぞれ支持される。なお、パワーローラ1R、1Lの傾
転運動は入出力ディスクとの接触半径を変更する回転運
動となる。そして、各トラニオンは図示しないアクチュ
エータによって紙面の貫通方向(トラニオンの軸方向)
へ変位し、パワーローラ1R、1Lはこの変位に応じて
傾転することで、変速比を変更するものである。
【0006】ここで、トロイダル型無段変速機50の動
力伝達は、入出力ディスクの間に配置したパワーローラ
1R、1Lを数トンの押圧力で狭持しておき、パワーロ
ーラ1R、1Lと入出力ディスク20〜21A間に形成
された油膜のせん断力によって行われ、パワーローラ1
R、1Lは入出力ディスク20〜21Aとの間で滑りを
生ずることなく動力の伝達が行われる。
【0007】このため、第1及び第2トロイダル変速部
51、52の入力ディスク20、20Aは、入力軸55
と回転方向で係合するCVTシャフト25の両端部にお
いて、フロントボールスプライン23、24を介して回
転方向で結合する一方、軸方向へ所定の範囲で変位可能
に支持される。 一方、第1及び第2トロイダル変速部
51、52の出力ディスク21、21Aは、CVTシャ
フト25の中間で相対回転自在に配設され、出力ディス
ク21、21Aは相互の背面間に配置した出力歯車26
を介して同軸的に結合するとともに、出力歯車26と出
力ディスク21、21Aの間にそれぞれ設けたアンギュ
ラボール軸受59、59を介してケーシング10側で回
転自在に支持され、出力歯車26及び出力ディスク2
1、21AとCVTシャフト25は相対回転自在とな
る。
【0008】そして、CVTシャフト25の両端には、
軸方向へ変位可能な入力ディスク20、20Aを軸方向
へ付勢するカムローラ57(押圧力発生手段)と、皿バ
ネ40(プリロード発生手段)が配設されて、これらカ
ムローラ57及び皿バネ40の付勢力によって、パワー
ローラ1R、1Lが入出力ディスク間に狭持、押圧され
るのである。
【0009】ここで、CVTシャフト25と入力軸55
は、カムフランジ56、カムローラ57及び入力ディス
ク20を介して回転方向で係合しており、入力軸55の
端部から放射状に形成したフランジ55Aが、カムフラ
ンジ56の爪部56aと周方向で係合するとともに、カ
ムフランジ56はCVTシャフト25と相対回転自在に
支持される。
【0010】このカムフランジ56は、入力ディスク2
0の背面との間で周方向に転動自在なカムローラ57を
半径方向に突設した図示しない軸によって支持する。そ
して、入力ディスク20の背面またはカムフランジ56
の少なくとも一方には、CVTシャフト25とカムフラ
ンジ56の相対回転角度が増大するにつれて、入力ディ
スク20を出力ディスク21へ向けて軸方向に変位させ
る傾斜面(図示せず)が形成され、CVTシャフト25
とカムフランジ56の相対回転角度、すなわち、入力軸
55に加わるトルクの大きさに応じて、入出力ディスク
20〜21Aがパワーローラ1R、1Lを狭持する押圧
力が決定され、トロイダル型無段変速機50のトルク伝
達容量は、この押圧力によって決定される。
【0011】そして、カムローラ57を設けたCVTシ
ャフト25の他端には、カムローラ57が発生する押圧
力を支持するとともに、無負荷時の押圧力(以下プリロ
ードという)を付与する皿バネ40が設けられ、この皿
バネ40は第2トロイダル変速部52を構成する入力デ
ィスク20Aの背面を所定の付勢力で軸方向に押圧し
て、無負荷時から入出力ディスクがパワーローラ1R、
1Lを狭持して動力の伝達を可能にしている。なお、皿
バネ40はロックナット43などの締結手段によってC
VTシャフト25の端部に固定される。
【0012】こうして、カムローラ57、入力ディスク
20を介してCVTシャフト25へ入力されたエンジン
の駆動力は、入力トルクに応じた押圧力をカムローラ5
7によって発生させるとともに、CVTシャフト25の
両端に設けた入力ディスク20、20Aでパワーローラ
1R1L及び出力ディスク21、21Aを均等な押圧力
で狭持しながらパワーローラ1R、1Lの傾転角に応じ
た変速比で、入力ディスク20、20Aから出力ディス
ク21、21Aへ動力の伝達が行われ、出力歯車26に
歯合する歯車27aを介してカウンターシャフト27か
ら駆動軸へ出力されるのである。
【0013】ところで、このようなトロイダル型無段変
速機50の組み立ては、CVTシャフト25にカムフラ
ンジ56から第1及び第2トロイダル変速部51、52
及び皿バネ40を順次組み付けて行われ、皿バネ40側
のCVTシャフト25に螺合するロックナット43等の
締結手段で締結する。こうして、第1及び第2トロイダ
ル変速部51、52をケーシング10内部に組み付けた
後、入力軸55、前後進切換装置54、トルクコンバー
タ53を順次組み付けていく。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなトロイダル型無段変速機の組立方法では、パワー
ローラと入出力ディスクの滑りを防いで、無負荷時から
の動力伝達を確実に行うため、皿バネ40が付与するプ
リロードを所定の範囲に設定する必要があるが、CVT
シャフト25にカムフランジ56から第1及び第2トロ
イダル変速部51、52及び皿バネ40を順次組み付け
ていくと、寸法公差の積み重ね等によってカムフランジ
56から出力ディスク21A背面までの軸方向寸法が変
動するため、皿バネ40が発生するプリロードも変動し
て、パワーローラに加える押圧力が変化することになっ
て、トルク伝達容量の低下やパワーローラの滑りを招い
て品質が低下する場合があり、さらに、トロイダル型無
段変速機は部品点数が多いのに加えて構造が複雑である
ため、上記皿バネ40が付与するプリロードを常時所定
の範囲に調整するのが難しいという問題があった。
【0015】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、寸法公差の積み重ねなどによって変化する
皿バネのプリロードの調整を容易かつ正確に行って、ト
ロイダル型無段変速機の品質を維持することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、入力軸上
に同軸的に配置された入力ディスク及び出力ディスク
と、前記入力軸を挟んで対向配置されるとともに、これ
ら入出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在
かつ傾転自在に支持するトラニオンと、前記入力軸の一
端に配設されるとともに、入力トルクに応じてパワーロ
ーラの狭持圧力を発生する押圧力発生手段と、前記入力
軸の他端に配設されて無負荷のときにパワーローラの狭
持するプリロードを発生するとともに、押圧力発生手段
が発生する狭持圧力を支持するプリロード発生手段と、
前記出力ディスクに連結されて駆動軸側へ動力を伝達す
る伝動手段とを備えたトロイダル型無段変速機の組立方
法において、前記伝動手段及び出力ディスクをケーシン
グ側に組み付けてから、押圧力発生手段及び入力ディス
クを入力軸へ組み付けてから伝動手段へ挿通した後に、
前記トラニオン及びパワーローラを組み付けて、その後
入力軸の端部に組み付けたプリロード発生手段が発生す
るプリロードが所定の範囲となるように調整する調整工
程を含む。
【0017】第2の発明は、入力軸上に同軸的に配置さ
れた入力ディスク及び出力ディスクと、前記入力軸を挟
んで対向配置されるとともに、これら入出力ディスクに
狭持されたパワーローラを回転自在かつ傾転自在に支持
するトラニオンと、前記入力軸に配設されるとともに、
入力トルクに応じてパワーローラの狭持圧力を発生する
押圧力発生手段と、前記入力軸が無負荷のときにパワー
ローラの狭持するプリロードを発生するとともに、押圧
力発生手段が発生する狭持圧力を支持するプリロード発
生手段と、 前記プリロード発生手段に配設されてプリ
ロードを調整するプリロード調整手段と、前記出力ディ
スクに連結されて駆動軸側へ動力を伝達する伝動手段と
を備えたトロイダル型無段変速機の組立方法において、
前記押圧力発生手段及び入力ディスクを予め入力軸に組
み付ける工程と、前記伝動手段に出力ディスクを予め組
み付ける伝動手段組立工程と、前記伝動手段をケーシン
グに組み付けるとともに、前記入力軸をケーシングへ挿
入して伝動手段に連結させて、前記トラニオン及びパワ
ーローラを組み付ける仮組工程と、この仮組工程の後に
プリロード発生手段を組み付けて、前記プリロード調整
手段によってプリロード発生手段が発生するプリロード
を所定の範囲となるように調整する調整工程とを含む。
【0018】また、第3の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記調整工程は、変速比が少なくとも直結状態と
ハイ側及びロー側においてプリロードが所定の範囲とな
るように調整する。
【0019】また、第4の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記調整工程は、入力軸を正転及び逆転させてか
らプリロードの調整を行う。
【0020】また、第5の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記仮組工程は、パワーローラを予めトラニオン
へ組み付けた状態でケーシング側へ組み付ける。
【0021】また、第6の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記伝動手段は歯車で構成されて、歯車と出力デ
ィスクの間には隙間調整手段を備えて、歯車及び出力デ
ィスクの入力軸の軸方向の寸法が所定値となるように前
記伝動手段組立工程で予め調整しておく。
【0022】また、第7の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記調整工程は、入力軸を所定の位置に位置決め
した状態でプリロード発生手段を入力軸へ一端組み付け
た後にプリロードの調整を行う。
【0023】また、第8の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記調整工程では、押圧力発生手段の作動を禁止
する。
【0024】また、第9の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記入力軸には2組の入力ディスク及び出力ディ
スクが配置されるとともに、入力軸の両端に入力ディス
クがそれぞれ配置される一方、入力軸の中央には伝動手
段を挟んで一対の出力ディスクがそれぞれ配置され、前
記押圧力発生手段が入力軸の一端に配設される一方、他
端にはプリロード発生手段が配設されて、前記調整工程
では、押圧力発生手段側の入力軸をケーシングに固定し
て位置決めを行ってから前記プリロード発生手段を組み
付け、その後プリロードの調整を行う。
【0025】また、第10の発明は、前記第9の発明に
おいて、前記プリロード発生手段は、入力ディスクの背
面と入力軸に締結された締結手段との間に介装された単
一または複数の皿バネで構成され、前記プリロード調整
手段は、締結手段と入力ディスク背面の間に隙間を形成
するとともに、前記皿バネの内周と入力軸外周との間に
挿通された筒状部材で構成される。
【0026】また、第11の発明は、前記第10の発明
において、前記調整工程は、締結手段を締結した状態で
締結手段と入力ディスクの隙間または複数の皿バネ間の
隙間を測定して、プリロード発生手段が発生するプリロ
ードが所定の範囲となるような筒状部材の軸方向寸法を
選択する。
【0027】また、第12の発明は、前記第11の発明
において、前記調整工程で行われる隙間の測定は、入力
ディスクと締結手段または複数の皿バネ間に介装され
て、狭持押圧により変形するゲージによって行う。
【0028】また、第13の発明は、前記第12の発明
において、前記調整工程は、一端締結した締結手段を取
り外してゲージの厚さを前記隙間として測定して、この
測定結果に応じた軸方向寸法を備えたプリロード調整手
段を再度組み付ける。
【0029】
【発明の効果】したがって、第1の発明は、入力軸上に
同軸的に配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
前記入力軸を挟んで対向配置されるとともに、これら入
出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在かつ
傾転自在に支持するトラニオンを備えて、入力軸の一端
には入力トルクに応じてパワーローラの狭持圧力を発生
する押圧力発生手段を設ける一方、入力軸の他端には無
負荷のときにパワーローラを狭持するプリロードを発生
するとともに、押圧力発生手段からの狭持圧力を支持す
るプリロード発生手段を設けて、出力ディスクに連結さ
れた伝動手段を介して駆動軸側へ動力を伝達するトロイ
ダル型無段変速機を組み立てる際には、伝動手段及び出
力ディスクをケーシング側に組み付けてから、押圧力発
生手段及び入力ディスクを組み付けた入力軸をケーシン
グに結合した伝動手段へ挿通し、次に、トラニオン及び
パワーローラを組み付けることで仮組を行って、その後
入力軸の端部に組み付けたプリロード発生手段が発生す
るプリロードを調整するようにしたため、部品点数が多
いトロイダル型無段変速機の組立を容易に行いながら、
押圧力発生手段から入力ディスク、パワーローラ、出力
ディスク、伝動手段と入力軸方向へ順次組み付けた各部
品の寸法公差を、仮組状態の入力軸端部に組み付けたプ
リロード発生手段で行うことで、入出力ディスクがパワ
ーローラに付与するプリロードを完成状態と同様な状態
で常時一定の範囲に設定することが可能となって、寸法
公差の積み重ねによるプリロードのばらつきを防いで容
易に品質を確保することができる。
【0030】また、第2の発明は、トロイダル型無段変
速機は部品点数が多いのに加えて、入出力ディスクがパ
ワーローラを狭持押圧するプリロードの設定を正確に調
整する必要があるが、押圧力発生手段、入力ディスク及
び入力軸と、伝動手段と出力ディスクをそれぞれ予め組
み立ててから、伝動手段をケーシングに組み付けてから
入力軸をケーシングへ挿入して伝動手段に連結させ、そ
の後トラニオン及びパワーローラを組み付けた仮組状態
で、プリロード発生手段を組み付けてからプリロード調
整手段によるプリロードの調整を行うことで、部品点数
が多いトロイダル型無段変速機の組立を容易に行いなが
ら、押圧力発生手段から入力ディスク、パワーローラ、
出力ディスク、伝動手段と入力軸方向へ順次組み付けた
各部品の寸法公差を、最後に組み付けたプリロード発生
手段で行うことで、入出力ディスクがパワーローラに付
与するプリロードを常時一定の範囲に設定することが可
能となって、寸法公差の積み重ねによるプリロードのば
らつきを防いで容易に品質を確保することができる。
【0031】また、第3の発明は、調整工程では、変速
比が少なくとも直結状態とハイ側及びロー側においてプ
リロードが所定の範囲となるように調整することで、パ
ワーローラの傾転角、すなわち、変速比に応じてプリロ
ードが変化するトロイダル型無段変速機のプリロードを
常時一定の範囲に設定することが可能となって、品質の
確保を正確に行うことができる。
【0032】また、第4の発明は、調整工程では、入力
軸を正転及び逆転させてからプリロードの調整を行うこ
とで、変速比がハイ側からロー側または逆に変化するた
め、入出力ディスクとパワーローラの転動面が、すべて
の変速比範囲で接触して転動面をなじませることがで
き、プリロード調整をより正確に行うことができる。
【0033】また、第5の発明は、パワーローラを予め
トラニオンへ組み付けてサブアッセンブリーとしてケー
シング側へ組み付けることで、仮組工程では主な部品を
サブアッセンブリーとして順次ケーシング内部へ組み付
けることになり、ケーシング内部での細かな部品の組み
立て作業を低減して生産性と組み立て精度を向上させる
ことができる。
【0034】また、第6の発明は、伝動手段を歯車で構
成するとともに、歯車と出力ディスクの間に備えた隙間
調整手段によって、歯車及び出力ディスクの入力軸の軸
方向の寸法が所定値となるように予め調整しておくこと
で、仮組工程では、サブアッセンブリー化された伝動手
段を基準に各部品を組み付けていくことで、熟練を要す
ることなくトロイダル型無段変速機の組立を正確に行う
ことができる。
【0035】また、第7の発明は、調整工程では、例え
ば、治具などによって入力軸をケーシングなどの所定の
位置に位置決めした状態で、プリロード発生手段を入力
軸へ一端組み付けた後にプリロードの調整を行うこと
で、仮組状態の入力軸の軸線を所定の位置に保持するこ
とで、プリロードの調整を正確に行うことができる。
【0036】また、第8の発明は、調整工程では、押圧
力発生手段の作動を禁止することで、プリロード発生手
段が付与する無負荷状態のプリロードを正確に調整する
ことができる。
【0037】また、第9の発明は、入力軸の両端に一対
の入力ディスクが、入力軸の中央には伝動手段を挟んで
一対の出力ディスクがそれぞれ配置された、いわゆる、
ダブルキャビティのトロイダル型無段変速機では、入力
軸の一端に押圧力発生手段が、他端にはプリロード発生
手段が配設されて、調整工程では、押圧力発生手段側の
入力軸をケーシングに固定して位置決めを行ってからプ
リロード発生手段を組み付けることで、完成状態と同様
にプリロード発生手段を作動させることができ、プリロ
ードの調整を正確に行うことができる。
【0038】また、第10の発明は、プリロード発生手
段が、入力ディスクの背面と入力軸に締結された締結手
段との間に介装された単一または複数の皿バネで構成さ
れ、さらに、プリロード調整手段は、締結手段と入力デ
ィスク背面の間に隙間を形成するとともに、皿バネの内
周と入力軸外周との間に挿通された筒状部材で構成され
るため、筒状部材の軸方向寸法を変更することでプリロ
ードの変更を容易に行うことができる。
【0039】また、第11の発明は、調整工程は、締結
手段を締結した状態で締結手段と入力ディスクの隙間ま
たは複数の皿バネ間の隙間を測定して、この測定結果か
らプリロードが所定の範囲となるような筒状部材の軸方
向寸法を選択することで、完成状態と同一の状態で正確
にプリロードの設定を行うことができる。
【0040】また、第12の発明は、入力ディスクと締
結手段または複数の皿バネ間に狭持押圧により変形する
ゲージ(例えば、プラスチックゲージ等)介装すること
で、隙間の測定を容易かつ正確に行うことができる。
【0041】また、第13の発明は、一端締結した締結
手段を取り外してゲージの厚さを記隙間として測定して
から、この測定結果に応じた軸方向寸法を備えたプリロ
ード調整手段を再度組み付けるため、熟練を要すること
なく、完成状態と同一の状態で正確にプリロードの設定
を行うことができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0043】図1〜図20は、前記従来例と同様に、2
組の入出力ディスク20、21及び20A、21Aから
構成されたダブルキャビティのトロイダル型無段変速機
の組み立てに本発明を適用した一例を示し、前記従来例
と同一のものに同一の図番を付して重複説明を省略す
る。
【0044】図1、図2は、入力ディスク20、出力デ
ィスク21からなる第1トロイダル変速部51と、入力
ディスク20A、出力ディスク21Aからなる第2トロ
イダル変速部52をケーシング10に組み付けた状態を
示し、前記図21に示したカウンターシャフト27及び
入力軸55は未装着の状態であり、図1において、CV
Tシャフト25の図中右側の端部25F側で上記入力軸
55と回転方向で係合する一方、図中左側の端部25R
側が駆動軸側となる。ここでは、端部25F側を前端
部、端部25R側を後端部とする。
【0045】図1、図2において、第1トロイダル変速
部51は、トロイド状の溝を対向面に形成した一対の入
力ディスク20、出力ディスク21に挟持される一対の
パワーローラ1L、1Rは、入出力ディスク20、21
のCVTシャフト25(入力軸)の軸線=回転軸C0
挟んで配設された一対のトラニオン3L、3Rに基端を
支持されたピボットシャフト2、2によって回転自在に
軸支される。
【0046】また、第2トロイダル変速部52も上記と
同様に構成され、入力ディスク20A、出力ディスク2
1Aに挟持される一対のパワーローラ1L、1Rは、C
VTシャフト25を挟んで配設された一対のトラニオン
3L、3Rに基端を支持されたピボットシャフト2によ
って回転自在に軸支される。
【0047】入力ディスク20、20Aと出力ディスク
21、21Aは、CVTシャフト25の同軸上に配置さ
れて、入力ディスク20、20AはCVTシャフト25
と回転方向で結合する一方、出力ディスク21、21A
はCVTシャフト25を内周に貫通するとともに、CV
Tシャフト25に対して相対回転自在に軸支されてい
る。
【0048】そして、第1トロイダル変速部51の出力
ディスク21と第2トロイダル変速部52の出力ディス
ク21Aは、双方の中間に設けた出力歯車26から軸方
向へ突出した筒部26A、26Aの外周にそれぞれ嵌合
して一体に結合される。
【0049】そして、出力歯車26に歯合する歯車27
aの内周には、図21に示したカウンターシャフト27
が挿通され、パワーローラ1L、1Rの傾転角に応じた
変速比で動力を駆動軸へ伝達する。なお、本実施形態で
は、カウンターシャフト27が第2トロイダル変速部5
2の下方に配置され、ギアハウジング28A、28Bに
収装されたカウンターシャフト27は、スプラインなど
を介してカウンターシャフト27を脱着可能な構成とな
っており、これら出力歯車26、歯車27a出力ディス
ク21、21Aは、後述するように伝動手段としてのギ
アハウジングアッセンブリ(ASSY)28として、後述す
るように予め組み立てられたものである。
【0050】出力ディスク21と出力ディスク21A
は、双方の背面と出力歯車26との間に設けたアンギュ
ラボール軸受59、59を介してギアハウジング28
A、28Bで回転自在に支持され、ボルト28Cを介し
てギアハウジング28Aがケーシング10に締結される
ことで、出力ディスク21、21A及び出力歯車26は
ケーシング10側で回転自在に支持される。
【0051】図9に示すように、ギアハウジングASSY2
8はギアハウジングASSYサブ組立工程S102で予め組
み立てられた後に、変速部組立工程S100へ送られる
もので、図7に示すように、ボルト74を締結してギア
ハウジング28A、28Bが結合されて、出力歯車26
及び歯車27aを収装したギアハウジングASSY28とし
て予め組み立てられた後、図9の変速部組立工程S10
0で、後述するようにケーシング10への組み付けを行
う。
【0052】この組み立てられたギアハウジングASSY2
8は、図7において、ギアハウジングASSY28の軸方向
の中心線(例えば、28Aの端面)から出力ディスク2
1、21Aの端面までの距離L1、L2が等しくなるよ
うに、アンギュラボール軸受59の内輪と出力ディスク
21、21Aの背面の間に環状のシム72、73を介装
するとともに、アンギュラボール軸受59の外輪とギア
ハウジング28A、28Bの間に環状のシム70、71
を介装して、これらシム70〜73(隙間調整手段)の
厚さを、図7のように、ギアハウジングASSY28の中心
線から出力ディスク21、21Aまでの軸方向距離L
1、L2が等しくなるように調整しておく。
【0053】L1=L2となるようにギアハウジングAS
SY28を予め組み立てておくことで、第1及び第2トロ
イダル変速部51、52の入出力ディスクの間隔は等し
くなり、軸方向に加わる押圧力が均等に配分されて、第
1及び第2トロイダル変速部51、52のトルク伝達容
量を等しく設定することができるのである。
【0054】ここで、ギアハウジングASSY28の中心線
から出力ディスク21、21Aまでの軸方向距離L1、
L2が等しくない場合には、図16の破線に示すよう
に、後述する皿バネの隙間δを所定の範囲に設定するこ
とができず、押圧力のアンバランスによって、パワーロ
ーラ1L、1Rに滑りが生じるとトロイダル型無段変速
機50の耐久性及びトルク伝達容量を低下させてしま
う。
【0055】次に、図2において、第1トロイダル変速
部51は、入出力ディスク20、21の回転軸C0(C
VTシャフト25の軸線)と直交する平面内で、この回
転軸C0を挟んだ左右にトラニオン3L、3Rが配設さ
れ、これらトラニオン3L、3Rの上端部及び下端部に
は回転軸3zと同軸の回転軸部3a、3bを形成する一
方、回転軸部3a、3bの間には入出力ディスク20、
21の外周方向へ所定量だけオフセットしたオフセット
部3cがそれぞれ形成され、ピボットシャフト2はトラ
ニオン3の回転軸と直交するようにオフセット部3cで
基端側を支持される。なお、第2トロイダル変速部52
も同様に構成されて、入出力ディスク20A、21Aに
狭持されるパワーローラ1R、1Lは、対向配置された
トラニオン3L、3Rに設けたピボットシャフト2、2
に支持される。また、図示はしないが、第1トロイダル
変速部51のトラニオン3Lは、ロッド6bの下端に図
示しないフィードバック手段を組み付けるため、他のト
ラニオンに比して図1及び図2の下方(図示しないオイ
ルパン側)への突出量が大きく設定される。
【0056】そして、トラニオン3の下端側の回転軸部
3bは、回転軸3zの軸方向へ変位可能、かつ軸回りに
回転可能な油圧シリンダ6(アクチュエータ)のロッド
6bを介してピストン6aと結合しており、油圧シリン
ダ6への供給油圧に応じてトラニオン3L、3Rは図中
上下方向の回転軸3z方向へ変位するとともに、このト
ラニオン3L、3Rの軸方向変位に伴って、パワーロー
ラ1L、1Rが傾転するため、トラニオン3は回転軸3
z回りに回動する。なお、油圧シリンダ6はケーシング
10と結合したシリンダボディ60及びシリンダボディ
底部61(アクチュエータボディ)内に形成される。
【0057】トラニオン3L、3Rは、図9に示すよう
に、トラニオンASSYサブ組立工程S103で、図8に示
すように、トラニオン3L、3R下端の回転軸部3bに
ロッド6bを結合するとともに、ピボットシャフト2を
オフセット部3cに組み付ける。さらに、ピボットシャ
フト2には、スラスト力を支持するボールベアリング1
6及び外輪18を挿通するとともに、径方向の位置決め
を行うニードルベアリング19を挿通した後、パワーロ
ーラ1L、1Rをそれぞれ組み付けて、トラニオンサブ
ASSY3LA、3RAとして予め組み立てておき、図9の
変速部組立工程S100では、後述するようにケーシン
グ10へトラニオンサブASSY3LA、3RAの組み付け
を行う。なお、トラニオンサブASSY3LAは、トラニオ
ン3Lを組み立てたもので、トラニオンサブASSY3RA
は、トラニオン3Rを組み立てたものである。
【0058】一方、対向するトラニオン3L、3Rの上
端及び下端側の回転軸部3a、3bは、入出力ディスク
20、21の回転軸C0と直交する平面内で揺動自在な
アッパーリンク4、ロアリンク5を介して相互に連結さ
れ、これらアッパーリンク4及びロアリンク5は、ピボ
ットシャフト2、2に取り付けられたパワーローラ1
L、1Rからのスラスト力(押圧力)を支持する。
【0059】ここで、アッパーリンク4、ロアリンク5
の長手方向の両端部及び中央部にはそれぞれ貫通孔が形
成されて、両端部側の貫通孔4L、4R及び5L、5R
でトラニオン3L、3Rの回転軸部3a、3bをそれぞ
れ挿通する一方、中央部の貫通孔4C、5Cは ケーシ
ング10及びシリンダボディ60側から入出力ディスク
20、21の回転軸C0へ向けて、それぞれ図中上下方
向へ突設されたアッパーリンク支持部材12、ロアリン
ク支持部材30によって揺動自在に支持される。
【0060】左右の油圧シリンダ6、6がトラニオン3
L、3Rを、相反する軸方向へ同期的に駆動すると、ア
ッパーリンク4、ロアリンク5はトラニオン3L、3R
の軸方向変位に応じて、アッパーリンク支持部材12、
ロアリンク支持部材30のピン14、31を支点にし
て、主に入出力ディスク20、21の回転軸C0と直交
する平面内で揺動する。
【0061】このため、トラニオン3L、3Rの回転軸
部3a、3bと、アッパーリンク4及びロアリンク5の
両端部の貫通孔4L、4R及び5L、5Rとの間には、
球面軸受7とニードルベアリング8がそれぞれ介装さ
れ、トラニオン3に対するアッパーリンク4及びロアリ
ンク5の傾斜を許容する一方、アッパーリンク4及びロ
アリンク5はトラニオン3L、3Rの径方向の変位を規
制して、パワーローラ1L、1Rに加わるスラスト力に
よって、トラニオン3の回転軸3z、3zが変位するの
を防止する。
【0062】トラニオン3の回転軸部3a、3bの外周
には、ニードルベアリング8が係合し、さらに、ニード
ルベアリング8の外周には球面軸受7の内周が係合し、
この球面軸受7の外周に形成した球面が、各貫通孔4
L、4R及び5L、5Rの内周と係合する。
【0063】ここで、アッパーリンク4を揺動自由に支
持するアッパーリンク支持部材12は、一端にボルト1
5を挿通するための貫通孔を備えた筒状部材で形成され
ており、図2に示すように、側面に設けた一対の貫通孔
12aにはアッパーリンク4を揺動自在に支持するため
のピン14、14が嵌合し、これらピン14は入出力デ
ィスク20、21の回転軸C0と平行して配設され、ア
ッパーリンク支持部材12から突出した先端でアッパー
リンク4と結合することで揺動自在に支持する。
【0064】そして、アッパーリンク支持部材12は底
部(図中下方)に開口した貫通孔に挿通されたボルト1
5を介して位置決め部材11に締結される。
【0065】位置決め部材11はケーシング10の内周
上面に取り付けられるもので、ケーシング10内周に当
接する上面には、ケーシング10に予め固設されたノッ
クピン9と係合して、位置決め部材11が所定の位置か
らずれないように位置決めされる。位置決め部材11は
回転軸C0側からケーシング10に締結されるボルト1
7、17によってケーシングへ結合される。
【0066】一方、回転軸C0側の位置決め部材11に
はアッパーリンク支持部材12の内周と嵌合する凸部1
1aが形成され、この凸部11aにはボルト15と螺合
するためのネジ穴が形成され、位置決め部材11を介し
てアッパーリンク支持部材12はケーシング10内周の
所定の位置に固定される。
【0067】一方、入出力ディスクの回転軸C0を挟ん
でアッパーリンク支持部材12と対峙するシリンダボデ
ィ60には、ロアリンク5を揺動自由に支持するロアリ
ンク支持部材30を固定するための台座60Aが上方に
突設される。
【0068】台座60Aの上面にはロアリンク支持部材
30を収装するようコの字状断面の凹部60Cが設けら
れ、この凹部60Cの水平方向(図中X軸方向)の寸法
は、ロアリンク支持部材30が図2のX軸方向へ所定の
範囲で変位可能な値に設定され、ロアリンク支持部材3
0の側面と凹部60Cの内周との間には変位量に応じた
所定の隙間を形成する。
【0069】ロアリンク5を揺動自由に支持するロアリ
ンク支持部材30は、図1に示すように、入出力ディス
ク20、21の回転軸C0と平行してピン31、31を
突設して上記アッパーリンク4側と同様に、ロアリンク
5の中央の貫通孔5Cには、これらピン31、31と嵌
合する貫通孔を介して結合し、ピン31によってロアリ
ンク5を揺動自在に支持する。
【0070】ここで、ロアリンク5のロアリンク支持部
材30下面からは、図中上下方向(Z軸方向)にスタッ
ドボルト33、33がそれぞれ突設されて、これらスタ
ッドボルト33、3は台座60A及びシリンダボディ底
部61に設けた貫通孔60Dに挿通されるとともに、シ
リンダボディ60下面またはシリンダボディ底部61の
下面から突出した端部にナット33aを螺合すること
で、ロアリンク支持部材30を台座60Aに締結する。
【0071】なお、貫通孔60Dの内径はスタッドボル
ト33の外径よりも大きく設定されて、後述するロアリ
ンク支持部材30のX軸方向の位置調整を可能にする。
【0072】そして、ロアリンク支持部材30と台座6
0Aの位置決めは、ロアリンク支持部材30の下面から
突設したノックピン32と、台座60Aに設けたロケー
ト穴60Bによって行われる。ロケート穴60Bは図1
に示すように、回転軸C0方向(Y軸方向)でノックピ
ン32と嵌合してロアリンク支持部材30の回転軸C0
方向の位置決めを行う一方、図2に示すように、ロアリ
ンク5の長手方向(図中X軸方向)ではノックピン5の
変位を所定の範囲で許容する。このため、ナット33a
を締結したトロイダル型無段変速機の組み立て中は、ロ
アリンク支持部材30のX軸方向の位置が、ナット33
aを締結した任意の位置に設定される。
【0073】なお、第2トロイダル変速部52のロアリ
ンク5を支持するロアリンク支持部材30も、上記第1
トロイダル変速部51と同様に構成される。
【0074】さらに、シリンダボディ60及びシリンダ
ボディ底部61は、図1に示すように、ノックピン62
で所定の位置へ位置決めされた後、ボルト64によって
ケーシング10へ締結される。
【0075】また、対向するトラニオン3L、3Rの傾
転角を同期させるため、オフセット部3cの下方にはプ
ーリ溝37、37が形成されるとともに、これらプーリ
溝37、37には8の字状に巻き付けられたワイヤ36
によって、相互に逆方向へ回動するトラニオン3L、3
Rの傾転の同期が行われる。
【0076】さらに、トラニオン3L、3Rの回転軸部
3bにもプーリ35が嵌合しており、これらプーリ35
には隣り合う変速部のトラニオン3L、3Lまたは3
R、3Rの傾転を同期させるため、ワイヤ36が8の字
状に巻き付けられる。
【0077】次に、CVTシャフト25は、図9に示す
CVTシャフトASSYサブ組立工程S101において、図
4に示すように、端部25F側にボール軸受58を介し
てカムフランジ56を組み付けて、カムフランジ56を
CVTシャフト25に対して相対回転自在に支持すると
ともに、カムフランジ56に形成されて半径方向へ突設
された複数のシャフト56bへカムローラ57(押圧力
発生手段)を組み付けて、第1トロイダル変速部51の
入力ディスク20の背面とカムフランジ56の側面の間
で回転自在かつ外周方向への変位を規制するように支持
する。そして、入力ディスク20とCVTシャフト25
は、端部25F側に設けたフロントボールスプライン2
3へボールを挿入して回転方向で結合しておく。
【0078】ここで、図5、図6に示すように、カムフ
ランジ56と第1トロイダル変速部51の入力ディスク
20背面の所定の位置、例えば、所定の直径上にカムフ
ランジ56には貫通孔90が、入力ディスク20の背面
にはネジ穴20cがそれぞれ形成されており、図9に示
すCVTシャフトASSYサブ組立工程S101では、端部
25F側から貫通孔90、90にボルト91を貫通させ
てネジ穴20cに締結し、CVTシャフト25とカムフ
ランジ56の相対回転を禁止した状態で、CVTシャフ
トASSY25Aとして、図9の変速部組立工程S100へ
送る。
【0079】カムフランジ56をCVTシャフト25へ
固定する位置は、入力ディスク20が最もカムフランジ
56に近接した位置、すなわち、カムローラ57が発生
する押圧力が最低となる無負荷位置に設定される。
【0080】一方、CVTシャフト25の後端25Rに
は、図3に示すように、第2トロイダル変速部52を構
成する入力ディスク20Aの背面を所定の付勢力で軸方
向(前方側)に押圧して、入出力ディスクがパワーロー
ラ1R、1Lを狭持するプリロードを付与する環状の皿
バネ40、41(プリロード発生手段)が配設される。
【0081】皿バネ40、41はその内周と、CVTシ
ャフト25との間にプリロード調整手段としての筒状の
シム42を介して取り付けられ、後端部25R側からC
VTシャフト25に螺合したロックナット43がシム4
2を段部25bへ当接させる位置まで締結し、皿バネ4
0、41が所定のプリロードを付与するように構成され
る。
【0082】ここで、後端部25R側のCVTシャフト
25は、入力ディスク20Aを回転方向で結合するリア
ボールスプライン24が形成され、このリアボールスプ
ライン24の端部25R側の終端からは段部25bを介
して外径が縮小し、この段部25bから端部25Rへ向
けてネジ部25cが形成される。なお、ネジ部25cの
終端から端部25Rの外径はさらに縮小する。
【0083】端部25R側からリアボールスプライン2
4のボール及び入力ディスク20Aを組み付けた後、軸
方向に所定の長さLを備えたシム42をネジ部25c外
周に挿通させるとともに、シム42の端部をCVTシャ
フト25に形成した段部25bに当接させ、このシム4
2の外周に環状の皿バネ40、41を挿通させる。この
とき、皿バネ40、41が内周側で軸方向に隙間を形成
するように、皿バネ40、41の周縁部を相互に当接さ
せる一方、皿バネ41の内周側を入力ディスク20Aの
背面に当接させる。
【0084】この状態で、ネジ部25cに螺合させたロ
ックナット43を締結し、フランジ部43Aで段部25
bとの間にシム42を狭持するとともに、皿バネ40、
41を圧縮して、入力ディスク20Aを他端に向けて付
勢する。
【0085】この状態で、皿バネ40、41が内周側で
軸方向に形成した隙間δが、所定の範囲となるようにシ
ム42の長さLを後述するように調整することで、皿バ
ネ40、41が発生するプリロードを、常時所定の範囲
に設定することができる。
【0086】以上のような構成のトロイダル型無段変速
機50を組み立てる全体的な手順について、図9のブロ
ック図を参照しながら説明する。
【0087】まず、CVTシャフトASSYサブ組立工程S
101で、上記図4から図6に示したように、カムフラ
ンジ56、カムローラ57及び第1トロイダル変速部5
1の入力ディスク20を組み付けるとともに、ボルト9
1を締結してカムローラ57が無負荷状態となる位置で
カムフランジ56を入力ディスク20に固定して、カム
ローラ57の動作を禁止した状態で、CVTシャフトAS
SY25Aとして組み立てておく。
【0088】ギアハウジングASSYサブ組立工程S102
では、図7に示すように、ギアハウジング28A、28
Bの内周に、出力歯車26及び歯車27aを組み付けて
からボルト74を締結してギアハウジングASSY28とし
て組み立てておく。
【0089】そして、トラニオンASSYサブ組立工程S1
03では、図8に示すように、トラニオン3L、3R下
端の回転軸部3bにロッド6bを結合するとともに、ピ
ボットシャフト2をオフセット部3cに組み付け、さら
に、ピボットシャフト2にボールベアリング16及び外
輪18とニードルベアリング19を挿通した後、パワー
ローラ1L、1Rをそれぞれ組み付けてトラニオンサブ
ASSY3LA、3RAとして予め組み立てておく。
【0090】次に、変速部組立工程S100では、予め
組み立てられたCVTシャフトASSY25A、ギアハウジ
ングASSY28及び4つのトラニオンサブASSY3LA、3
RAを、後述するように、ケーシング10へ他の部品と
ともに組み付け、CVTシャフト25に皿バネ40、4
1をロックナット43によって組み付けると、変速部調
整工程S110で皿バネ40、41の内周の隙間δが所
定の範囲となるように、各部品の寸法公差に応じた長さ
Lのシム42を選択して組み付ける。
【0091】こうして、ケーシング10内部にCVTシ
ャフト25を主体とする第1及び第2トロイダル変速部
51、52を組み立てた後、トルクコンバータ及び前後
進切換装置組み付け工程S120で、前記従来例と同様
にCVTシャフト25と回転方向で係合する入力軸5
5、前後進切換装置54、トルクコンバータ53を順次
ケーシング10の前方から組み付けて組立工程を終了
し、完成検査工程S130へ送られるのである。
【0092】ここで、変速部組立工程S100及び変速
部調整工程S110の一例について、図10〜図14の
フローチャートを参照しながら詳述する。
【0093】図10のステップS1〜S12までが変速
部組立工程S100であり、ステップS13以降が変速
部調整工程S110を示し、第1及び第2トロイダル変
速部51、52の組み立てがほぼ完了した時点で、皿バ
ネ40、41のプリロードを調整する調整を行うもので
ある。
【0094】まず、ステップS1では、組み立て作業を
行うベッド上等にケーシング10を載置する。このと
き、作業を円滑に行うため、ケーシング10は図1の上
部をベッド側に載置する一方、図示しないオイルパン側
(図1の下方)を上方に向けた状態としておく。
【0095】次に、ステップS2、S3では、アッパー
リンク支持部材12をケーシング10内周に締結すると
ともに、対向するトラニオン3L、アッパーリンク3R
の上部を連結するアッパーリンク4を組み付ける。な
お、これらの組み付け作業は第1及び第2トロイダル変
速部51、52でそれぞれ行う(以下、同様)。
【0096】ステップS4では、図7のように予め組み
立てたギアハウジングASSY28を、図1に示したよう
に、ギアハウジング28A側から挿通したボルト28C
によって、ケーシング10へ締結する。
【0097】そして、ステップS5で、第2トロイダル
変速部52の出力ディスク21Aと対向するケーシング
10内周に入力ディスク20Aを仮置きした後、ステッ
プS6では、図4〜図6のように予め組み立てられたC
VTシャフトASSY25Aをケーシング10の前方側(図
1の左側)より挿入し、後端部25Rを出力歯車26の
筒部26A及び出力ディスク21、21Aの内周へ挿通
させた後、さらに、CVTシャフト25を挿入して後端
部25Rを仮置きした入力ディスク20Aの内周へ挿通
し、入力ディスク20Aの内周をリアボールスプライン
24の位置で係合させる。
【0098】次に、ステップS7では、図8のように予
め組み立てたトラニオンサブASSY3LA、3RAをケー
シング10へ組み付ける。トラニオン3L、3R上端の
回転軸部3aをアッパーリンク4に挿入しながら、ピボ
ットシャフト2に支持されたパワーローラ1L、1Rが
それぞれ入出力ディスク20、21、20A、21Aで
狭持されるように組み付ける。トラニオン3L、3Rの
回転軸部3aをアッパーリンク4へ挿入する際には、各
回転軸部3aとアッパーリンク4の各貫通孔4L、4R
の間に球面軸受7とニードルベアリング8を介装する。
【0099】こうして、トラニオン3L、3Rの上端を
アッパーリンク4で位置決めした状態で、トラニオンサ
ブASSY3LA、3RAの下部である、回転軸部3b及び
ロッド部6bへ各種部品を組み付けていく。
【0100】すなわち、ステップS8で、対向するトラ
ニオン3L、3Rの傾転角を同期させるため、トラニオ
ン3L、3Rのオフセット部3cに設けたプーリ溝37
にワイヤ36を8の字状に巻き付ける。
【0101】次に、ステップS9では、トラニオン3
L、3R下部の回転軸部3bへ、ロアリンク5を組み付
けてから、シリンダボディ60を4つのトラニオンの各
ロッド部6bへ挿通させて、ロアリンク支持部材30に
ロアリンク5を連結して揺動可能に支持させる。
【0102】そして、ステップS10では、ロアリンク
5と係合した回転軸部3bの下方にプーリ35をそれぞ
れ圧入するとともに、第1及び第2トロイダル変速部5
1、52で隣り合うトラニオン同士3L、3L及び3
R、3Rに傾転角を同期させるワイヤ36を8の字状に
巻き付ける。
【0103】ステップS11では、各ロッド6bの下端
からピストン6aを圧入して、シリンダボディ60内周
に挿入してから、ステップS12で、各トラニオン3
L、3Rのロッド部6bへシリンダボディ60の底部を
構成するシリンダボディ61を挿通し、図2のように、
ボルト64によってシリンダボディ61、60をケーシ
ングへ締結するとともに、各ロッド部6bの端部にナッ
ト65(図1参照)をそれぞれ締結し、油圧シリンダ6
のピストン6a、プーリ35等を固定する。
【0104】こうして、CVTシャフトASSY25Aを仮
組した状態で、ギアハウジングASSY28、トラニオンサ
ブASSY3LA、3RAを組み付けながら、各部品を組み
付けて第1及び第2トロイダル変速部51、52を完成
させてから、ステップS13以降で、皿バネ40、41
のプリロードを決定するシム42の調整工程が行われ
る。
【0105】まず、ステップS13では、ギアハウジン
グASSY28に支持されて後端部25R側に入力ディスク
20Aを挿通しただけのCVTシャフト25を、図15
に示すように、治具100によって支持し、CVTシャ
フト25の軸線をケーシング10側の軸線C0に位置決
めする。
【0106】治具100は、CVTシャフト25の前端
部25Fと係合して、軸線C0に位置決めする支持部1
03と、支持部103をケーシング10に固定するため
のアーム部101から構成され、アーム部101の所定
の位置に挿通したボルト102をケーシング10の所定
のネジ穴に締結することで、CVTシャフト25は前端
部25Fを治具100で軸線C0上に、中央部を出力歯
車26によって位置決めされる。
【0107】したがって、CVTシャフト25はケーシ
ング10内の軸線C0上で、所定の軸方向位置、第1及
び第2トロイダル変速部51、52の入出力ディスク2
0〜21Aが均等にパワーローラ1L、1Rを狭持する
位置に位置決めされる。
【0108】CVTシャフト25を所定の軸線C0上に
位置決めした状態で、ステップS14において、リアボ
ールスプライン24へボールを挿入して、入力ディスク
20AとCVTシャフト25を回転方向で結合してか
ら、ステップS15では、図3に示したように、シム4
2をCVTシャフト25の段部25bに当接するよう組
み付ける。なお、このとき組み付けるシム42の長さ
(軸線C0方向の長さ)Lは、予め設定した基準値L0
ものを組み付ける。
【0109】次に、ステップS16では、図15(A)
及び(B)に示すように、皿バネ40と皿バネ41の間
に複数のプラスチックゲージ110を所定の位置(例え
ば放射状)に配置してから、ステップS17で、プラス
チックゲージ110を狭持したまま皿バネ40、41を
シム42の外周に組み付けた後、ステップS18でロッ
クナット43を仮締めして、皿バネ40、41をロック
ナット43のフランジ部43Aと入力ディスク20Aの
背面の間で圧縮してプリロードを発生させる。
【0110】そして、ステップS19で治具100を取
り外してから、ステップS20で、CVTシャフト25
を正転及び逆転方向へそれぞれ回転させる。このCVT
シャフト25の回転は、例えば、作業者などによって行
われ、ローディングカム56は図6に示すように、ボル
ト91で無負荷状態の位置に固定されているため、CV
Tシャフト25を回転させても入力ディスク20、20
Aが出力ディスク21、21Aを介してパワーローラ1
L、1Rを押圧する力は、皿バネ40、41のプリロー
ドのみである。
【0111】この組み立て段階では、トラニオン3L、
3Rの油圧シリンダ6に油圧が作用していないため、ト
ラニオン3L、3Rは軸方向へ変位可能であり、CVT
シャフト25を正転及び逆転させると、トラニオン3
L、3RはCVTシャフトの回転方向に応じて軸方向へ
変位するため、パワーローラ1L、1Rは図示しないス
トッパに当たるまで傾転し、最Hi変速比から最Lo変
速比まで傾転し、入出力ディスク20〜21Aとパワー
ローラ1L、1Rの転動面を、全変速範囲でなじませる
ことができるのである。
【0112】こうして、CVTシャフト25を正転及び
逆転させて入出力ディスク及びパワーローラの転動面を
なじませた後、ステップS21では、図18に示すよう
に、変速比が1、すなわち、CVTシャフト25と出力
歯車26が直結状態となるように設定する。この変速比
の設定はトラニオン3L、3Rを手動により回転させる
ことで行われる。
【0113】次に、ステップS22では、治具100を
再び取り付けて、CVTシャフト25の前端部25Fを
ケーシング10側に固定し、ステップS23において、
ロックナット43を所定のトルクで締結する。ロックナ
ット43を所定のトルクで締結することによって、皿バ
ネ40、41が発生するプリロードは、完成状態と同様
の値となり、このとき、皿バネ40、41に狭持された
プラスチックゲージ110の厚さの最大値は、皿バネ4
0、41の内周側の隙間δに等しい値となる。
【0114】ロックナット43を所定のトルクで締結し
た後、ステップS24、S25でロックナット43を取
り外してから皿バネ40、41を取り外し、ステップS
26では、完成状態に等しい隙間δに応じて圧縮された
プラスチックゲージ110の厚さの最大値を測定し、こ
の厚さを変速比=1のときの皿バネ40、41の隙間δ
Cとする。
【0115】そして、ステップS27では、測定した隙
間δCが、図16に示すように、所定の設定範囲δ0〜
δ1内にあるか否かを判定し、設定範囲内であれば図1
2のステップS29へ進む一方、設定範囲外であれば、
ステップS28で、隙間δCが設定範囲となるような長
さLを備えたシム42に交換した後、再びステップS1
5へ戻って隙間δの測定を再度行う。
【0116】なお、ステップS42では、所定のピッチ
で長さLが異なるシム42を多数用意しておき、測定し
た隙間δCが設定範囲の最大値δ1または最小値δ0の
間となるシム42の寸法Lに最も近いものを選択して、
ステップS15で組み付ける。
【0117】一方、変速比1のとの隙間δCが設定範囲
にあれば、図12のステップS29〜S41へ進んで、
上記ステップS15からS27と同様にして、変速比が
Loのときの皿バネ40、41の隙間δLを測定して、
ステップS41ではこの隙間δLが設定範囲内にあるか
を判定する。
【0118】ここで、変速比がLoのときのパワーロー
ラ1R、1Lは、図19のように傾転しており、パワー
ローラ1R、1Lは入力ディスク20、20Aの内周側
で接触する一方、出力ディスク21、21Aとは外周側
で接触するため、皿バネ40、41のプリロードによる
入出力ディスクの撓みは、上記変速比=1のときに比し
て、剛性の低い出力ディスク21、21Aの外周側が撓
み量が増大する一方、剛性の高い入力ディスク20、2
0Aの内周側の撓み量が減少する。
【0119】したがって、変速比=Loのときの隙間δ
Lは、上記出力ディスク側の撓みの増大によって、図1
6に示すように、変速比=1のときの隙間δCよりも増
大するのである。
【0120】したがって、図16において、シム42の
長さLが小さい場合のように、変速比=1のときの隙間
δCが設定範囲にあっても、変速比=Loのときの隙間
δLが設定範囲δ0〜δ1を超えてしまう場合があり、
超えたときにはステップS42へ進んで、変速比=Lo
のときの隙間δLと変速比=1のときの隙間δCが設定範
囲となるような長さLを備えたシム42に交換した後、
再び上記ステップS15へ戻って変速比=1のときの隙
間δCと変速比=Loのときの隙間δLの測定を再度行
う。なお、測定するLo側の変速比は、予め設定した値
または設定可能な最大変速比で行う。
【0121】一方、変速比=1のときの隙間δC及び変
速比=Loのときの隙間δLが設定範囲内にあれば、図
13のステップS43〜S55で、上記図12のステッ
プS29〜S41と同様にして、変速比がHiのときの
皿バネ40、41の隙間δHを測定して、ステップS5
ではこの隙間δHが設定範囲内にあるかを判定する。
【0122】ここで、変速比がHiのときのパワーロー
ラ1R、1Lは、図20のように傾転しており、パワー
ローラ1R、1Lは入力ディスク20、20Aの外周側
と接触する一方、出力ディスク21、21Aとは内周側
で接触するため、皿バネ40、41のプリロードによる
入出力ディスクの撓みは、上記変速比=1のときに比し
て、剛性の低い入力ディスク20、20Aの外周側が撓
み量が増大する一方、剛性の高い出力ディスク21、2
1Aの内周側の撓み量が減少する。
【0123】したがって、変速比=Loのときと同じ
く、変速比=Loのときの隙間δHは、上記入力ディス
ク側の撓みの増大によって、図16に示すように、変速
比=1のときの隙間δCよりも増大するのである。
【0124】したがって、変速比=Hiのときの隙間δ
Hが設定範囲δ0〜δ1を超えてしまう場合にはステッ
プS56へ進んで、変速比=Loのときの隙間δLと変
速比=1のときの隙間δC及び変速比=Hiのときの隙
間δHが設定範囲となるような長さLを備えたシム42
に交換した後、再び上記ステップS15へ戻って変速比
=1のときの隙間δCと変速比=Loのときの隙間δL
び変速比=Hiのときの隙間δHの測定を再度行う。な
お、測定するHi側の変速比は、予め設定した値または
設定可能な最小変速比で行う。
【0125】ステップS55で変速比=Hiのときの隙
間δHが、設定範囲内にあれば、図16の実線で示すよ
うに、各変速比の隙間δC、δL、δHがすべて設定範囲
内となるシム42を選択したことになり、図14のステ
ップS57以降でシム42の組付け等を行って、第1及
び第2トロイダル変速部51、52の組み立てを完了す
るのである。
【0126】すなわち、ステップS57では、図3に示
したように、選択したシム42をCVTシャフト25の
段部25bに当接するよう組み付けてから、ステップS
58で、皿バネ40と皿バネ41の周縁同士を合わせて
シム42の外周に組み付けた後、ステップS59でロッ
クナット43を所定のトルクで締結する。
【0127】そして、ステップS60で治具100を取
り外してから、ステップS61で、カムフランジ56を
CVTシャフト25に固定していたボルト91を取り外
して、カムフランジ56をCVTシャフト25に対して
相対的に回動可能とすることで組立を完了する。
【0128】以上のように、変速比を直結、Lo、Hi
のそれぞれについて皿バネ40、41の隙間δをプラス
チックゲージ110で測定して、各変速比で隙間δが所
定の範囲内となるようなシム42の長さLを選択するこ
とで、寸法公差によるプリロードの変動を確実に吸収
し、変速比に応じて皿バネ40、41のプリロードが変
化するトロイダル型無段変速機50を組み立てる際に、
皿バネ40、41が第1及び第2トロイダル変速部5
1、52に付与するプリロードを常時一定の範囲に設定
することが可能となって、寸法公差の積み重ねによるプ
リロードのばらつきを防いで品質を確保することができ
でき、さらに、隙間δの測定はプラスチックゲージ11
0を圧縮した皿バネ40、41で押し潰して、その厚さ
の最大値を測定すればよいので、部品点数が多く調整の
難しいトロイダル型無段変速機の組み立て作業を特別な
熟練を要することなく容易に行うことができ、生産性と
品質を向上させることができるのである。
【0129】なお、上記実施形態において、プリロード
を付与する皿バネを複数で構成した場合を示したが、前
記従来例の図21のように、単一の皿バネ40が直接入
力ディスク20Aの背面を押圧するような構成では、皿
バネ40と入力ディスク20Aの背面間にプラスチック
ゲージ110を挟んで隙間δを測定し、皿バネ40と入
力ディスク20Aの隙間δが所定の範囲となるようなシ
ムを選択すればよい。
【0130】また、上記実施形態において、伝動手段と
して歯車を用いた例を示したが、図示はしないが、スプ
ロケット及びチェーン等で構成しても良い。
【0131】また、上記実施形態において、CVTシャ
フトASSY25Aを組み立てる際に、カムフランジ56を
挿通して入力ディスク20に締結されたボルト91によ
って、カムフランジ56のCVTシャフト25に対する
相対回転を禁止したが、カムフランジ56を入力軸前端
部25側へ一時的に結合して相対回転を禁止したり、カ
ムローラ57の回動を禁止することで相対回転を禁止し
ても良い。
【0132】また、上記実施形態において、ダブルキャ
ビティのトロイダル型無段変速機を組み立てる場合につ
いて述べたが、図示はしないが一対の入出力ディスクと
パワーローラからなるシングルキャビティのトロイダル
型無段変速機を組み立てる場合にも本発明を適用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すトロイダル型無段変速
機の横断面図。
【図2】同じく図1のA−A矢示縦断面図。
【図3】同じくCVTシャフトの後端部を示し、皿バ
ネ、シム、ロックナット及び入力ディスクの半断面図。
【図4】CVTシャフトASSYの断面図。
【図5】同じくCVTシャフトASSYを構成する、カムフ
ランジの正面図。
【図6】同じくCVTシャフトASSYの前端部を示し、図
5のB−B矢示半断面図で、カムフランジとCVTシャ
フトの相対回転を禁止するボルトとの関係を示す。
【図7】ギアハウジングASSYの断面図。
【図8】トラニオンサブASSYの断面図。
【図9】トロイダル型無段変速機の組立の概要を示す工
程図。
【図10】トロイダル型無段変速機の組立工程及び調整
工程の一例を示すフローチャートで、組立工程を示す。
【図11】同じくトロイダル型無段変速機を構成する変
速部の組立工程及び調整工程の一例を示すフローチャー
トで、変速比=1の調整工程を示す。
【図12】同じくトロイダル型無段変速機を構成する変
速部の組立工程及び調整工程の一例を示すフローチャー
トで、変速比=Loの調整工程を示す。
【図13】同じくトロイダル型無段変速機を構成する変
速部の組立工程及び調整工程の一例を示すフローチャー
トで、変速比=Hiの調整工程を示す。
【図14】同じくトロイダル型無段変速機を構成する変
速部の組立工程及び調整工程の一例を示すフローチャー
トで、最終組立工程を示す。
【図15】皿バネ間の隙間を測定するプラスチックゲー
ジの配置を示し、(A)は斜視図を、(B)は正面図を
示す。
【図16】皿バネ間の隙間δと変速比の関係を示すグラ
フである。
【図17】CVTシャフト及びケーシングと治具の関係
を示すトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図18】変速比=1のときのパワーローラの傾転の様
子を示すトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図19】変速比=Loのときのパワーローラの傾転の
様子を示すトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図20】変速比=Hiのときのパワーローラの傾転の
様子を示すトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図21】ダブルキャビティのトロイダル型無段変速機
を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1L、1R パワーローラ 2 ピボットシャフト 3L、3R トラニオン 3LA、3RA トラニオンサブASSY 3z 回転軸 4 アッパーリンク 5 ロアリンク 6 油圧シリンダ 10 ケーシング 11 位置決め部材 11a 凸部 12 アッパーリンク支持部材 16 ボールベアリング 19 ニードルベアリング 20、20A 入力ディスク 21、21A 出力ディスク 23 フロントボールスプライン 24 リアボールスプライン 25 CVTシャフト 25b 段部 25c ネジ部 25A CVTシャフトASSY 26 出力歯車 26A 筒部 27a 歯車 28 ギアハウジングASSY 28A、28B ギアハウジング 28C ボルト 30 ロアリンク支持部材 35 プーリ 36 ワイヤ 37 プーリ溝 40、41 皿バネ 42 シム 43 ロックナット 50 トロイダル型無段変速機 51 第1トロイダル変速部 52 第2トロイダル変速部 53 トルクコンバータ 54 前後進切換装置 55 第1入力軸 55A フランジ 56 カムフランジ 57 カムローラ 58 ボール軸受 59 アンギュラボール軸受 60、61 シリンダボディ 70〜73 シム 74 ボルト 90 貫通孔 91 ボルト 100 治具 101 アーム部 102 ボルト 103 支持部 110 プラスチックゲージ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸上に同軸的に配置された入力ディ
    スク及び出力ディスクと、 前記入力軸を挟んで対向配置されるとともに、これら入
    出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在かつ
    傾転自在に支持するトラニオンと、 前記入力軸の一端に配設されるとともに、入力トルクに
    応じてパワーローラの狭持圧力を発生する押圧力発生手
    段と、 前記入力軸の他端に配設されて無負荷のときにパワーロ
    ーラを狭持するプリロードを発生するとともに、押圧力
    発生手段が発生する狭持圧力を支持するプリロード発生
    手段と、 前記出力ディスクに連結されて駆動軸側へ動力を伝達す
    る伝動手段とを備えたトロイダル型無段変速機の組立方
    法において、 前記伝動手段及び出力ディスクをケーシング側に組み付
    け、押圧力発生手段及び入力ディスクを入力軸へ組み付
    けてから伝動手段へ挿通した後に、前記トラニオン及び
    パワーローラを組み付けて、その後入力軸の端部に組み
    付けたプリロード発生手段が発生するプリロードが所定
    の範囲となるように調整する調整工程を含むことを特徴
    とするトロイダル型無段変速機の組立方法。
  2. 【請求項2】 入力軸上に同軸的に配置された入力ディ
    スク及び出力ディスクと、 前記入力軸を挟んで対向配置されるとともに、これら入
    出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在かつ
    傾転自在に支持するトラニオンと、 前記入力軸に配設されるとともに、入力トルクに応じて
    パワーローラの狭持圧力を発生する押圧力発生手段と、 前記入力軸が無負荷のときにパワーローラを狭持するプ
    リロードを発生するとともに、押圧力発生手段が発生す
    る狭持圧力を支持するプリロード発生手段と、 前記プリロード発生手段に配設されてプリロードを調整
    するプリロード調整手段と、 前記出力ディスクに連結されて駆動軸側へ動力を伝達す
    る伝動手段とを備えたトロイダル型無段変速機の組立方
    法において、 前記押圧力発生手段及び入力ディスクを予め入力軸に組
    み付ける工程と、 前記伝動手段に出力ディスクを予め組み付ける伝動手段
    組立工程と、 前記伝動手段をケーシングに組み付けるとともに、前記
    入力軸をケーシングへ挿入して伝動手段に連結させて、
    前記トラニオン及びパワーローラを組み付ける仮組工程
    と、 この仮組工程の後にプリロード発生手段を組み付けて、
    前記プリロード調整手段によってプリロード発生手段が
    発生するプリロードを所定の範囲となるように調整する
    調整工程とを含むことを特徴とするトロイダル型無段変
    速機の組立方法。
  3. 【請求項3】 前記調整工程は、変速比が少なくとも直
    結状態とハイ側及びロー側においてプリロードが所定の
    範囲となるように調整することを特徴とする請求項2に
    記載のトロイダル型無段変速機の組立方法。
  4. 【請求項4】 前記調整工程は、入力軸を正転及び逆転
    させてからプリロードの調整を行うことを特徴とする請
    求項2に記載のトロイダル型無段変速機の組立方法。
  5. 【請求項5】 前記仮組工程は、パワーローラを予めト
    ラニオンへ組み付けた状態でケーシング側へ組み付ける
    ことを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変
    速機の組立方法。
  6. 【請求項6】 前記伝動手段は歯車で構成されて、歯車
    と出力ディスクの間には隙間調整手段を備えて、歯車及
    び出力ディスクの入力軸の軸方向の寸法が所定値となる
    ように前記伝動手段組立工程で予め調整したことを特徴
    とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の組立
    方法。
  7. 【請求項7】 前記調整工程は、入力軸を所定の位置に
    位置決めした状態でプリロード発生手段を入力軸へ一端
    組み付けた後にプリロードの調整を行うことを特徴とす
    る請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の組立方
    法。
  8. 【請求項8】 前記調整工程では、押圧力発生手段の作
    動を禁止することを特徴とする請求項2に記載のトロイ
    ダル型無段変速機の組立方法。
  9. 【請求項9】 前記入力軸には2組の入力ディスク及び
    出力ディスクが配置されるとともに、入力軸の両端に入
    力ディスクがそれぞれ配置される一方、入力軸の中央に
    は伝動手段を挟んで一対の出力ディスクがそれぞれ配置
    され、前記押圧力発生手段が入力軸の一端に配設される
    一方、他端にはプリロード発生手段が配設されて、前記
    調整工程では、押圧力発生手段側の入力軸をケーシング
    に固定して位置決めを行ってから前記プリロード発生手
    段を組み付け、その後プリロードの調整を行うことを特
    徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の組
    み立て方法。
  10. 【請求項10】 前記プリロード発生手段は、入力ディ
    スクの背面と入力軸に締結された締結手段との間に介装
    された単一または複数の皿バネで構成され、前記プリロ
    ード調整手段は、締結手段と入力ディスク背面の間に隙
    間を形成するとともに、前記皿バネの内周と入力軸外周
    との間に挿通された筒状部材で構成されたことを特徴と
    する請求項9に記載のトロイダル型無段変速機の組立方
    法。
  11. 【請求項11】 前記調整工程は、締結手段を締結した
    状態で締結手段と入力ディスクの隙間または複数の皿バ
    ネ間の隙間を測定して、プリロード発生手段が発生する
    プリロードが所定の範囲となるような筒状部材の軸方向
    寸法を選択することを特徴とする請求項10に記載のト
    ロイダル型無段変速機の組立方法。
  12. 【請求項12】 前記調整工程で行われる隙間の測定
    は、入力ディスクと締結手段または複数の皿バネ間に介
    装されて、狭持押圧により変形するゲージによって行う
    ことを特徴とする請求項11に記載のトロイダル型無段
    変速機の組立方法。
  13. 【請求項13】 前記調整工程は、一端締結した締結手
    段を取り外して前記ゲージの厚さを前記隙間として測定
    して、この測定結果に応じた軸方向寸法を備えたプリロ
    ード調整手段を再度組み付けることを特徴とする請求項
    12に記載のトロイダル型無段変速機の組立方法。
JP26872697A 1997-10-01 1997-10-01 トロイダル型無段変速機の組立方法 Expired - Lifetime JP3414220B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26872697A JP3414220B2 (ja) 1997-10-01 1997-10-01 トロイダル型無段変速機の組立方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26872697A JP3414220B2 (ja) 1997-10-01 1997-10-01 トロイダル型無段変速機の組立方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11108138A true JPH11108138A (ja) 1999-04-20
JP3414220B2 JP3414220B2 (ja) 2003-06-09

Family

ID=17462503

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26872697A Expired - Lifetime JP3414220B2 (ja) 1997-10-01 1997-10-01 トロイダル型無段変速機の組立方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3414220B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006342948A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Toyota Motor Corp トロイダル式無段変速機の位置決め方法およびその装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006342948A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Toyota Motor Corp トロイダル式無段変速機の位置決め方法およびその装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3414220B2 (ja) 2003-06-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3456267B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JPH10132044A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2001116097A (ja) トロイダル型無段変速機
JP3414220B2 (ja) トロイダル型無段変速機の組立方法
JP3458673B2 (ja) トロイダル型無段変速機の組立方法
JP3454463B2 (ja) トロイダル型無段変速機の組立調整装置及び組立方法
US6659908B2 (en) Double-cavity toroidal-type continuously variable transmission and method for assembling same
KR100284868B1 (ko) 토로이달형 무단 변속기
JP2003343673A (ja) トロイダル型無段変速機
JP4385639B2 (ja) トロイダル型無段変速機及びその製造方法と無段変速装置
JP2003113914A (ja) トロイダル型無段変速機及びその組み立て方法
JP2007332981A (ja) トロイダル型無段変速機の組立治具および組立方法
JP4032547B2 (ja) トロイダル型無段変速機の組立方法
JP4976835B2 (ja) トロイダル型無段変速機のポスト位置決め装置および位置決め方法
JP5194875B2 (ja) トロイダル型無段変速機の組立治具および組立方法
JP3559908B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2008261471A (ja) トロイダル型無段変速機およびその組み立て方法
JP3367428B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び調整方法
JP5621358B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2601058Y2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2002357253A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2003139209A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2000283255A (ja) トロイダル型無段変速機用ローディングカム装置とその推力測定装置及びトロイダル型無段変速機の組立方法
JP3734159B2 (ja) トロイダル型無段変速機のための予圧付与治具及びこの治具を用いた組立方法
JP3284919B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び調整方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100404

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110404

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120404

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140404

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term