JPH11106647A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物

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JPH11106647A
JPH11106647A JP27622697A JP27622697A JPH11106647A JP H11106647 A JPH11106647 A JP H11106647A JP 27622697 A JP27622697 A JP 27622697A JP 27622697 A JP27622697 A JP 27622697A JP H11106647 A JPH11106647 A JP H11106647A
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polyamide resin
resin composition
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JP27622697A
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Atsushi Ishio
敦 石王
Norio Shimazaki
周夫 嶋▼崎▲
Kazuhiko Kobayashi
和彦 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、表面平滑性、靱性、押出成形性、
制電性などが均衡して優れたポリアミド樹脂組成物およ
びその中空成形体の取得を課題とする。 【解決手段】 (A)ポリアミド樹脂100重量部、
(B)変性エラストマー1〜100重量部、(C)導電
性フィラー1〜100重量部および(D)可塑剤1〜2
5重量部を含有するポリアミド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面平滑性、靱
性、押出成形性、制電性などが均衡して優れたポリアミ
ド樹脂組成物に関するものであり、中空成形に特に好適
な材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の中空成形品は、例えば自
動車のエンジンルーム内のダクト類を中心に、ポリアミ
ド系樹脂を使用したブロー成形によって製造する技術
や、チューブ類に飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタンを使
用した押出成形によって製造する技術が普及している。
【0003】特に自動車燃料チューブ用としては、ポリ
アミド樹脂、中でもポリアミド11やポリアミド12な
どの柔軟ポリアミド樹脂が広く用いられているが、ブロ
ー中空成形体やチューブ成形体内を燃料などの非導電性
液体が流れる用途においては、成形体が帯電する場合が
あり、これを抑制することが求められている。
【0004】導電性を有するポリアミド系多層パイプに
ついては、例えば特開平4−248089号報などに開
示されている。しかし我々の検討では、ポリアミド樹脂
に単に導電性フィラーを配合した組成物と導電性フィラ
ーを配合しないポリアミド樹脂からなる多層チューブで
は、自動車用チューブにしばしば求められる低温での耐
衝撃性などが不十分な結果であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで我々は、ポリア
ミド樹脂に導電性フィラーとともにエラストマーを配合
し、耐衝撃性を向上させる手法について検討を行った。
しかし射出成形のような高い圧力のかかる成形方法に比
べ、押出成形、ブロー成形などの様に高い圧力をかけ難
い成形法の場合、優れた表面平滑性を得ることは容易で
はなく、また表面性の低下は押出成形体の耐衝撃性の低
下の原因ともなることがわかった。またエラストマーが
導電性に対しても影響し得ることがわかった。
【0006】そこで我々は、制電性、耐衝撃性、成形性
及び表面平滑性に均衡して優れたポリアミド樹脂組成物
を得るべく更に検討を行い、ポリアミド樹脂と導電性フ
ィラーとともに特定のエラストマーおよび可塑剤を配合
することにより、制電性が付与されると共に、耐衝撃
性、成表面平滑性をも改良できることを見出し本発明に
到達した。
【0007】本発明は、特に中空成形方法に適用した場
合に生じる表面平滑性の低下、耐衝撃性低下を改良し
た、導電性を有するポリアミド樹脂組成物の取得を課題
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、以下のポ
リアミド樹脂組成物及び成形体を提供する。 1.(A)ポリアミド樹脂100重量部、(B)カルボ
ン酸またはカルボン酸無水物で変性されたエラストマー
1〜100重量部、(C)導電性フィラー1〜100重
量部、(D)可塑剤1〜25重量部を含有するポリアミ
ド樹脂組成物。
【0009】2.(B)カルボン酸またはカルボン酸無
水物で変性されたエラストマーが、(B−1)ビニル芳
香族化合物重合体ブロックとオレフィン化合物重合体ブ
ロックとからなるものであって、かつカルボン酸または
カルボン酸無水物で変性されたブロック共重合体である
上記1記載のポリアミド樹脂組成物。 3.(B−1)中のビニル芳香族化合物からなる単位の
含有量が10〜40重量%である上記2記載のポリアミ
ド樹脂組成物。
【0010】4.(B)カルボン酸またはカルボン酸無
水物で変性されたエラストマーが、(B−2)α−オレ
フィン化合物とビニルカルボン酸エステル化合物からな
る共重合体であって、かつカルボン酸またはカルボン酸
無水物で変性された共重合体である上記1記載のポリア
ミド樹脂組成物。 5.(B−2)中のビニルカルボン酸エステル化合物か
らなる単位の含有量が10〜50重量%である上記4記
載のポリアミド樹脂組成物。
【0011】6.(A)ポリアミド樹脂が、アミド基1
個当たりの平均炭素数が8〜15の範囲である構造単位
からなるホモポリアミド樹脂、あるいはアミド基1個当
たりの平均炭素数が8〜15の範囲である共重合ポリア
ミド樹脂である上記1〜5いずれか記載のポリアミド樹
脂組成物。 7.(A)ポリアミド樹脂が、メタクレゾール中(ポリ
マー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が
1.5〜5.0の範囲のポリアミド樹脂である上記1〜
6いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。 8.(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド11である上
記1〜7いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
【0012】9.(D)可塑剤が、下記(I)式の化合
物あるいは多価アルコールから選ばれる1種または2種
以上の化合物である上記1〜8いずれか記載のポリアミ
ド樹脂組成物。
【0013】
【化3】 (式中、R1〜R6は、
【化4】 で示されるスルホンアミド基、−OH基、−COOR9
で示されるエステル基、水素、ハロゲン基、炭素数1〜
20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香
族基から選ばれる基である。ここでR7、R8は水素ま
たは炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラ
ルキル基、芳香族基から選ばれる基を示す。R9は炭素
数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基、芳香族基から選ばれる基を示す。但し、R1〜R6
の内の少なくとも一つは上記スルホンアミド基、−OH
基、上記エステル基から選ばれる基である。) 10.(C)導電性フィラーが粉状、粒状、板状、鱗片
状、或いは長さ/直径比が200以下の繊維状のいずれ
かの形態の導電性フィラーであることを特徴とする上記
1〜9いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
【0014】11.(C)導電性フィラーがカーボン粉
末であることを特徴とする上記1〜10いずれか記載の
ポリアミド樹脂組成物。 12.(C)カーボン粉末が、BET法で求められた比
表面積500〜1500m2 /gであるカーボン粉末で
あることを特徴とする上記11記載のポリアミド樹脂組
成物。 13.(C)カーボン粉末が、DBP吸油量370ml
/100g以上であるカーボン粉末であることを特徴と
する上記11〜12いずれか記載のポリアミド樹脂組成
物。 14.(C)カーボン粉末の含有量が、(A)ポリアミ
ド樹脂100重量部に対し、3〜20重量部である上記
11〜13いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
【0015】15.ポリアミド樹脂組成物からなる溶融
押出物の体積抵抗が106 Ω・cm以下である上記1〜
14いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
【0016】16.ポリアミド樹脂組成物をメルトイン
デクサー(温度=融点+60℃、滞留時間5分、荷重5
kg、オリフィス直径0.0825インチ、長さ0.3
15インチ)に投入してガットを得、そのガットをプロ
ジェクターにて投影した際に、ガット表面に観察される
高さ25μm以上の突起物が、ガット1cm当たり5個
以下である上記1〜15いずれか記載のポリアミド樹脂
組成物。
【0017】17.上記1〜16いずれか記載の中空成
形用ポリアミド樹脂組成物。 18.上記1〜16いずれか記載の多層中空成形用ポリ
アミド樹脂組成物。 19.少なくとも2種のポリマー層からなる多層中空成
形体であって、少なくとも1つの層に上記1〜16いず
れか記載のポリアミド樹脂組成物を用いた多層中空成形
体。 20.少なくとも2種のポリマー層からなる多層管状中
空成形体であって、少なくとも1つの層に上記1〜16
いずれか記載のポリアミド樹脂組成物を用い、共押出成
形法により製造された多層管状中空成形体。 21.上記19記載の多層中空成形体または20記載の
多層管状中空成形体を用いた自動車用燃料チューブ。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる(A)ポリア
ミド樹脂とはアミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジ
カルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。
その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロ
ン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカ
ン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−
アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラク
タム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミ
ン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミ
ン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタ
キシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−
ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−ア
ミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、
ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−
メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−
ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(ア
ミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン、
2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族、脂環
族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフ
タル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−
メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、
芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、
これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまた
はコポリマを各々単独または混合物の形で用いることが
できる。
【0019】本発明において、有用なポリアミド樹脂と
しては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサ
メチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチ
レンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレン
セバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンド
デカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナ
イロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン1
1)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン
6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)
などのホモポリアミド樹脂ないしはこれらの共重合体な
どが挙げられ、これらの混合物として用いることもでき
る。
【0020】中でもアミド基1個当たりの平均炭素数が
8〜15の範囲である構造単位からなるホモポリアミド
樹脂、あるいはアミド基1個当たりの平均炭素数が8〜
15の範囲である共重合ポリアミド樹脂がより優れた靱
性、押出成形性を得る意味で好適であり、かかるポリア
ミドとしてはポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポ
リウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリウンデカメ
チレンドデカアミド(ナイロン1112)、ポリドデカ
メチレンドデカアミド(ナイロン1212)などが例示
でき、特に、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)が
好ましい。
【0021】これらポリアミド樹脂の重合度にはとくに
制限がなく、例えば98%濃硫酸溶液(ポリマー1g、
濃硫酸100ml)、25℃で測定した相対粘度が、
1.5〜7.0の範囲、特に2.0〜6.5、更には
2.0〜5.5の範囲が例示でき、或いは、メタクレゾ
ール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定し
た相対粘度が1.0〜7.0の範囲、特に1.5〜5.
0の範囲のポリアミド樹脂が例示できる。
【0022】本発明で用いられる(B)カルボン酸また
はカルボン酸無水物で変性されたエラストマーの好適な
れいとしては、例えば(B−1)ビニル芳香族化合物重
合体ブロックとオレフィン化合物重合体ブロックとから
なるブロック共重合体であって、かつカルボン酸または
カルボン酸無水物で変性されたブロック共重合体、およ
び(B−2)α−オレフィン化合物とビニルカルボン酸
エステル化合物からなる共重合体であって、かつカルボ
ン酸またはカルボン酸無水物で変性された共重合体から
選択される1種または2種以上の共重合体が挙げられ
る。
【0023】まず(B−1)ビニル芳香族化合物重合体
ブロックとオレフィン化合物重合体ブロックとからなる
ブロック共重合体であって、かつカルボン酸またはカル
ボン酸無水物で変性されたブロック共重合体について説
明する。
【0024】本発明に用いられる(B−1)ビニル芳香
族化合物重合体ブロックとオレフィン化合物重合体ブロ
ックとからなるブロック共重合体であって、かつカルボ
ン酸またはカルボン酸無水物で変性されたブロック共重
合体は、一例として次のようにして合成される。即ち、
ビニル芳香族化合物重合体ブロックと、共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックとから構成されてなるブ
ロック共重合体の共役ジエン部分の不飽和度が20%を
越えない程度までに選択的に水素添加し、ビニル芳香族
化合物重合体ブロックと、不飽和度が20%を越えない
オレフィン化合物重合体ブロックとからなるブロック共
重合体とし、ついで不飽和カルボン酸または不飽和ジカ
ルボン酸無水物との付加反応により、変性ブロック共重
合体を得る。
【0025】上記の水素添加する前のブロック共重合体
は、ビニル芳香族化合物重合体ブロックを少なくとも1
個、好ましくは2個以上、共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックを少なくとも1個以上含有するもので
ある。ここで共役ジエンを主体とする重合体ブロック
は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との重量比
が0/100〜50/50、好ましくは0/100〜4
0/60の組成範囲からなる重合体ブロックであり、こ
のブロックにおけるビニル芳香族化合物の分布は、ラン
ダム、テーパー、一部ブロック状またはこれらの任意の
組み合わせのいずれであっても良い。なおかかる水添す
る前のブロック共重合体中には、ビニル芳香族化合物重
合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
ロックの遷移部等にビニル芳香族化合物が50重量%を
越えるビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の共重合
ブロックが存在しても良いが、かかる重合体ブロックは
前記の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックに
含めるものとする。
【0026】上記ブロック共重合体において、ビニル芳
香族化合物の含有量と共役ジエンの含有量の重量比は、
10/90〜90/10の範囲が好ましく、10/90
〜85/15の範囲がより好ましく、10/90〜50
/50の範囲がさらに好ましい。
【0027】上記水添前のブロック共重合体を構成する
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等から選ばれる1種または2種
以上が例示でき、中でもスチレンが特に好ましい。
【0028】また共役ジエン化合物としては、ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等から選ばれる
1種または2種以上が例示でき、中でもブタジエンおよ
び/またはイソプレンが特に好ましい。
【0029】上記ブロック共重合体の分子量には特に制
限はないが、数平均分子量20,000〜500,00
0の範囲が例示でき、分子量範囲(重量平均分子量と数
平均分子量の比)は、1.05〜10の範囲が望まし
い。またブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐
状、放射状またはこれらの組み合わせなどいずれでも良
い。さらにブロック共重合体において共役ジエンを用い
た場合は、ブタジエン部分のミクロ構造の1,2結合量
が10〜80%の範囲が好ましく、35〜55%がより
好ましい。
【0030】上記ブロック共重合体が、ビニル芳香族化
合物ブロックまたは共役ジエン化合物を主体とするブロ
ックを2個以上含有する場合においては、各ブロックは
同一の構造でもよいし、モノマー成分含有量、それらの
分子鎖における分布、ブロックの分子量、ミクロ構造な
どの各構造が異なっていてもよい。
【0031】部分水素添加ブロック共重合体は、次い
で、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物と
の付加反応により変性される。かかる不飽和カルボン酸
または不飽和カルボン酸無水物としては、マレイン酸、
無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、
クロトン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボン酸およびその無水物、エンド−シスビシクロ−
[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸
およびその無水物等が挙げられるが、無水マレイン酸が
特に好ましい。
【0032】かかる変性剤による変性方法には特に制限
は無いが、例えば部分水素添加ブロック共重合体に、不
飽和カルボン酸またはその無水物を、溶融状態または溶
液状態において、ラジカル開始剤を使用して、あるいは
使用せずに付加せしめる方法が挙げられる。
【0033】不飽和カルボン酸またはその無水物の変性
量は特に制限はないが、その改良効果と溶融時のゲル化
特性のバランスから、ブロック共重合体100重量部あ
たり、0.05〜20重量部、特に0.1〜10重量部
が好ましい。
【0034】かかる(B−1)共重合体中のビニル芳香
族化合物からなる単位の含有量は5〜60重量%である
ことが好ましく、特に10〜40重量%、さらに10〜
30重量%であることが好ましい。
【0035】次に(B−2)α−オレフィン化合物とビ
ニルカルボン酸エステル化合物からなる共重合体であっ
て、かつカルボン酸またはカルボン酸無水物で変性され
た共重合体について説明する。
【0036】(B−2)の構成要素の一つであるα−オ
レフィン化合物の具体例としては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−
1、デセン−1、オクテン−1などが挙げられ、中でも
エチレンが好ましく用いられる。またこれらは2種以上
を同時に使用することもできる。
【0037】次にビニルカルボン酸エステル化合物の具
体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル
酸などのビニルカルボン酸のメチルエステル、エチルエ
ステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステ
ル、n−ブチルエステル、t−ブチルエステル、イソブ
チルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシル
エステルなどが挙げられ、なかでもアクリル酸メチル、
アクリル酸エチルが特に好ましい。
【0038】かかるα−オレフィン化合物とビニルカル
ボン酸エステル化合物からなる共重合体は、上記α−オ
レフィンとビニルカルボン酸エステル化合物とのランダ
ム、ブロック、グラフト共重合体いずれの共重合様式で
あっても良く、またこれらの組み合わされた共重合様式
であっても良い。
【0039】また、かかるα−オレフィン化合物とビニ
ルカルボン酸エステル化合物からなる共重合体は、本発
明の効果を損なわない範囲で、アクリロニトリル、スチ
レン、α−メチルスチレン、芳香環がアルキル基で置換
されたスチレンなどの他の共重合成分を含んでもいても
良い。
【0040】変性剤として用いられる不飽和カルボン酸
または不飽和カルボン酸無水物としては、マレイン酸、
無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、
クロトン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボン酸およびその無水物、エンド−シスビシクロ−
[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸
およびその無水物等が挙げられるが、無水マレイン酸が
特に好ましい。
【0041】(B−2)共重合体中における不飽和カル
ボン酸または不飽和カルボン酸無水物の変性量としては
1〜10重量%の範囲が好ましく、1〜5重量%の範囲
が特に好ましい。
【0042】かかる(B−2)共重合体中におけるビニ
ルカルボン酸エステル化合物からなる単位の含有量とし
ては、3〜50重量%の範囲が好ましく、特に10〜5
0重量%の範囲が好ましく、さらに10〜40重量%の
範囲が好ましい。
【0043】また本発明で用いられるその他のカルボン
酸またはカルボン酸無水物で変性されたエラストマーと
しては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブ
テン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブ
タジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポ
リイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、SBSな
どのポリオレフィン系樹脂にマレイン酸無水物、琥珀酸
無水物、フマル酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸な
どが共重合されたオレフィン系共重合体などが挙げら
れ、より具体的にはエチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体、エチレン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン
−ブテン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−プロ
ピレンーマレイン酸無水物共重合体、プロピレン−マレ
イン酸無水物共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン
−マレイン酸無水物共重合体、などが例示できる。
【0044】かかるオレフィン系共重合体の共重合様式
には特に制限はなく、ランダム共重合体、グラフト共重
合体、ブロック共重合体などいずれの共重合体様式であ
っても良い。
【0045】本発明で用いられる(B)カルボン酸また
はカルボン酸無水物で変性されたエラストマーの配合量
は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、1〜1
00重量部の範囲が選択され、耐衝撃性と表面性のバラ
ンスから、5〜20重量部の範囲が特に好ましい。
【0046】また本発明の効果を損なわない範囲で、上
記(B)以外のエラストマーを併用して用いても良い。
かかるエラストマーの具体例としては、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリブテ
ン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン
−ブタジエン共重合体、SEBSブロック共重合体、ポ
リブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体など
が挙げられる。
【0047】かかる上記(B)以外のエラストマーを併
用する場合の配合量としては、エラストマー成分中の1
0〜90重量%の範囲が例示できる。
【0048】次に(C)導電性フィラーについて説明す
る。導電性フィラーは、通常樹脂の導電化に用いられる
導電性フィラーであれば特に制限は無く、その具体例と
しては、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊
維、金属酸化物、導電性物質で被覆された無機フィラ
ー、カーボン粉末、黒鉛、炭素繊維、カーボンフレー
ク、鱗片状カーボンなどが挙げられる。
【0049】金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属
種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニ
ウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示で
きる。
【0050】金属繊維の金属種の具体例としては鉄、
銅、ステンレス、アルミニウム、黄銅などが例示でき
る。
【0051】かかる金属粉、金属フレーク、金属リボ
ン、金属繊維はチタネート系、アルミ系、シラン系など
の表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
【0052】金属酸化物の具体例としてはSnO2 (ア
ンチモンドープ)、In2 3 (アンチモンドープ)、
ZnO(アルミニウムドープ)などが例示でき、これら
はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤
で表面処理を施されていても良い。
【0053】導電性物質で被覆された無機フィラーにお
ける導電性物質の具体例としてはアルミニウム、ニッケ
ル、銀、カーボン、SnO2 (アンチモンドープ)、I
23 (アンチモンドープ)などが例示できる。また
被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビー
ズ、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカー、
硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アルミウ
ィスカー、酸化亜鉛系ウィスカー、酸化チタン酸系ウィ
スカー、炭化珪素ウィスカーなどが例示できる。被覆方
法としては真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッ
キ法、焼き付け法などが挙げられる。またこれらはチタ
ネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面
処理を施されていても良い。
【0054】カーボン粉末はその原料、製造法からアセ
チレンブラック、ガスブラック、オイルブラック、ナフ
タリンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラッ
ク、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラ
ック、ディスクブラックなどに分類される。本発明で用
いることのできるカーボン粉末は、その原料、製造法は
特に限定されないが、アセチレンブラック、ファーネス
ブラックが特に好適に用いられる。またカーボン粉末
は、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分などの特
性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発
明で用いることのできるカーボン粉末は、これら特性に
特に制限は無いが、カーボン粉末の多量配合は耐衝撃性
の面で好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得
る意味から、平均粒径が500nm以下、特に5〜10
0nm、更には10〜70nmが好ましく、また表面積
(BET法)は10m2 /g以上、更には300m2
g以上、特に500〜1500m2 /gが好ましく、更
にDBP吸油量は50ml/100g以上、特に100
ml/100g、更に370ml/100g以上が好ま
しい。また灰分は0.5%以下、特に0.3%以下が好
ましい。
【0055】かかるカーボン粉末はチタネート系、アル
ミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されて
いても良い。また溶融混練作業性を向上させるために造
粒されたものを用いることも可能である。
【0056】また優れた表面平滑性を得る観点から、本
発明で用いられる導電性フィラーは、高いアスペクト比
を有する繊維状フィラーよりも、粉状、粒状、板状、鱗
片状、或いは樹脂組成物中の長さ/直径比が200以下
の繊維状のいずれかの形態であることが好ましい。
【0057】上記導電性フィラーは、2種以上を併用し
て用いても良い。かかる導電性フィラーの中で、特にカ
ーボン粉末が強度、コスト的に特に好適に用いられる。
【0058】本発明で用いられる導電性フィラーの好ま
しい含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異な
るため、一概に規定はできないが、導電性と流動性、機
械的強度などとのバランスの点から、(A)熱可塑性樹
脂100重量部に対し、一般に1〜100重量部、好ま
しくは2〜50重量部、より好ましくは3〜20重量部
の範囲が好ましく選択される。
【0059】例えば、本発明で用いる好ましい導電性フ
ィラーの一つである、上記平均粒径が500nm以下、
表面積(BET法)は500〜1500m2 /g、DB
P吸油量370ml/100g以上のカーボンブラック
の場合の配合量は、(A)熱可塑性樹脂100重量部に
対し、3〜20重量部の範囲が好ましく選択される。
【0060】またかかる導電樹脂組成物は、十分な帯電
防止性能を得る意味で、実施例で記載した方法による溶
融押出物の体積抵抗が108 Ω・cm以下、特に106
Ω・cm以下であることが好ましい。但し上記導電性フ
ィラーの配合は強度、流動性の悪化を招きやすい。その
ため目標とする導電レベルが得られれば、上記導電性フ
ィラーの配合量はできるだけ少ない方が望ましい。
【0061】次に本発明の必須成分の一つである(D)
可塑剤について説明する。本発明で用いられる(D)可
塑剤としては、ポリアミド樹脂に有効な可塑剤であれば
特に制限は無いが、下記(I)式の化合物あるいは多価
アルコールが好ましく例示できる。
【0062】
【化5】 (式中、R1〜R6は、
【化6】 で示されるスルホンアミド基、−OH基、−COOR9
で示されるエステル基、水素、ハロゲン基、炭素数1〜
20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香
族基から選ばれる基である。ここでR7、R8は水素ま
たは炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラ
ルキル基、芳香族基から選ばれる基を示す。R9は炭素
数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基、芳香族基から選ばれる基を示す。但し、R1〜R6
の内の少なくとも一つは上記スルホンアミド基、−OH
基、上記エステル基から選ばれる基である。) 上記(I)式の化合物の具体例としては、N−ブチルベ
ンゼンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンア
ミド、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、
N,N’−ジブチルベンゼンスルホンアミド、N−プロ
ピルベンゼンスルホンアミドなどの芳香族スルホンアミ
ド、p−ヒドロキシ安息香酸−n−オクチルエステル、
p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル
などのヒドロキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。
また多価アルコールとは分子中に2個以上のヒドロキシ
ル基を有する化合物であり、その具体例としては、エチ
レングリコール、グリセリン、2−メチル−2,4−ペ
ンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペ
ンタンジオールなどが挙げられる。中でもN−ブチルベ
ンゼンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンア
ミド、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、
N,N’−ジブチルベンゼンスルホンアミド、N−プロ
ピルベンゼンスルホンアミドなどの芳香族スルホンアミ
ドが特に好ましい。
【0063】かかる(D)可塑剤の配合量は、(D)ポ
リアミド樹脂100重量部に対し、(D)可塑剤1〜2
5重量部の範囲が選択され、特に4〜20重量部の範囲
が好ましく、8〜17重量部の範囲がより好ましい。可
塑剤量が1重量部未満では、耐衝撃性の低下が著しく、
また25重量部を越えると押出成形時の揮散などの悪影
響が顕在化するため好ましくない。
【0064】本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明
の効果を損なわない範囲においてポリアミド樹脂以外の
樹脂を配合しても良い。その具体例としては、飽和ポリ
エステル樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレ
ン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケト
ン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエ
ーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオ
レフィン樹脂、ABS樹脂、ポリアミドエラストマ、ポ
リエステルエラストマ、ポリフェニレンスルフィド樹
脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。
【0065】本発明のポリアミド樹脂組成物は、多層中
空成形に特に適した樹脂組成物である。本発明のポリア
ミド樹脂組成物と積層される樹脂は特に制限はないが、
その具体例としては、ポリアミド樹脂単体あるいは本発
明の要件を満たさないポリアミド樹脂組成物、ポリフェ
ニレンスルフィド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリス
ルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル
スルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエー
テルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱
可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS
樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラスト
マ、ETFE、PVDFなどが挙げられ、これらは2種
以上の混合物として使用しても良い。中でも、ポリアミ
ド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレ
タン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリオ
レフィン樹脂単体あるいはその組成物がより好ましく用
いられる。また本発明の要件を満たすポリアミド樹脂組
成物同士を積層しても良い。
【0066】ポリアミド樹脂の具体例は上記(A)ポリ
アミド樹脂の具体例と同じであり、重複するので説明は
省略する。
【0067】また、ここで使用する熱可塑性ポリエステ
ル樹脂としては、テレフタル酸などのジカルボン酸と脂
肪族ジオールとから得られるポリエステルが挙げられ
る。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、アゼラ
イン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン
酸、イソフタル酸などの炭素数2〜20の脂肪族ジカル
ボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの
芳香族ジカルボン酸、またはシクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられ、これらは
単独であっても混合物であっても良い。脂肪族ジオール
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4ーブタンジオール、トリメチレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびヘキサ
メチレングリコールなどが挙げられる。
【0068】好ましい熱可塑性ポリエステルの例として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが
挙げられるが、中でも適度な機械的強度を有するポリブ
チレンテレフタレートまたはテレフタル酸を60モル%
以上、好ましくは70モル%以上とドデカンジカルボン
酸および/またはイソフタル酸を含有するジカルボン酸
成分と1,4ーブタンジオール成分からなる共重合ポリ
エステルが特に好ましく使用される。
【0069】これら熱可塑性ポリエステル樹脂の重合度
には特に制限無いが、例えば中でも好ましく使用される
ポリブチレンテレフタレート(以下PBT樹脂と略称す
る)および共重合ポリエステルの場合、その重合度は、
0.5%オルトクロロフェノール溶液を25℃で測定し
た相対粘度が0.5〜2.5の範囲、特に0.8〜2.
0の範囲のものが好ましい。また、ポリエチレンテレフ
タレートの場合、0.5%オルトクロロフェノール溶液
を25℃で測定した極限粘度が0.54〜1.5の範
囲、特に0.6〜1.2の範囲のものが好ましい。
【0070】熱可塑性ポリウレタン樹脂とは、ポリイソ
シアネートとジオールからなる鎖状重合体であり、ポリ
イソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メ
タキシレンジイソシアネート、および4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。ジオー
ルにはポリエステル型とポリエーテル型があり、前者の
具体例としては、フタル酸、アジピン酸、二量化リノイ
ン酸、マレイン酸などの有機酸と、エチレン、プロピレ
ン、ブチレン、ジエチレンなどのグリコールなどとから
なるものが、後者の具体例としては、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキ
シメチレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリ
コール、およびポリ(オキシテトラメチレン)グリコー
ルなどが、それぞれ一般的に用いられる。
【0071】これらポリ熱可塑性ポリウレタンの重合度
には特に制限はないが、通常220℃、せん断速度10
/secにおける溶融粘度が1000〜100000ポ
イズのものが用いられる。
【0072】また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素
化ポリプロピレン、ポリビニルアルコールおよびポリメ
チルペンテンなどが挙げられる。
【0073】また、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以
下PPS樹脂と略す)とは、下記構造式で示される繰り
返し単位を
【化7】 70モル%以上、より好ましくは90モル%以上を含む
重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満で
は、耐熱性が損なわれるので好ましくない。またPPS
樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構
造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能であ
る。
【0074】
【化8】 本発明で用い得るPPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練が
可能であれば特に制限はないが、通常50〜20,00
0ポイズ(320℃、剪断速度1,000sec-1)の
ものが使用され、100〜5000ポイズの範囲がより
好ましい。
【0075】かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち特
公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の
小さな重合体を得る方法或は特公昭52−12240号
公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的
分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造でき
る。本発明において上記の様に得られたPPS樹脂を空
気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガ
ス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱
水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソ
シアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能
基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で
使用することももちろん可能である。
【0076】PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化
する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化
性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴ
ンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器
中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるま
で加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、
170〜280℃が選択され、好ましくは200〜27
0℃であり、時間は通常0.5〜100時間が選択さ
れ、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコン
トロールすることにより目標とする粘度レベルを得るこ
とができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもま
た回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよい
が、効率よくしかもより均一に処理ためには回転式ある
いは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0077】PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気
下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法として
は、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、
加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜2
70℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2
〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の
装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼
付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均
一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装
置を用いるのがより好ましい。
【0078】本発明で用いられるPPS樹脂は脱イオン
処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。かか
る脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処
理、熱水洗浄処理および有機溶剤洗浄処理などが例示で
き、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用い
ても良い。
【0079】PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具
体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、
洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する
作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例
えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・ス
ルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチ
ルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、
トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタ
ン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲ
ン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレ
ングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶
媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メ
チルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ク
ロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機
溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
【0080】有機溶媒による洗浄の方法としては、有機
溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、
必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。
有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度について
は特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が
選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くな
る傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十
分効果が得られる。また有機溶媒洗浄を施されたPPS
樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または
温水で数回洗浄することが好ましい。
【0081】PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的
方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗
浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現
するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であ
ることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の
水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧で或いは圧力容
器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂
と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水
1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選
択される。
【0082】PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法
としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または
酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があ
り、必要により適宜撹拌または加熱することも可能であ
る。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないも
のであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢
酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン
酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカ
ルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル
酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪
酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢
酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施された
PPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するた
め、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また
洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい
化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水、脱イオン
水であることが好ましい。
【0083】また本発明の多層中空成形体の積層数、積
層順には特に制限は無いが、その具体例としては、本発
明のポリアミド樹脂組成物が最内層に配置された2層あ
るいは3層以上の中空成形体、本発明のポリアミド樹脂
組成物が最外層に配置される2層あるいは3層以上の中
空成形体、本発明のポリアミド樹脂組成物が中間層に配
置される3層あるいは4層以上の中空成形体などが挙げ
られ、特に本発明のポリアミド樹脂組成物が最内層に配
置された2層中空成形体および本発明のポリアミド樹脂
組成物が中間層に配置される3層あるいは4層以上の中
空成形体が好ましい。
【0084】さらに本発明のポリアミド樹脂組成物及び
これと積層される樹脂組成物は、目的、用途に応じ、本
発明の範囲を損なわない範囲で、充填剤を配合してもよ
く、これらは繊維状および/または非繊維状のいずれで
あってもよい。かかる充填材の具体例としては、ガラス
繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カ
リウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、
アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミッ
ク繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの
繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイ
ト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベ
ントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート
などの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属
化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイ
トなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの
硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸
化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミ
ックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカ、カー
ボンブラックなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これら
は中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類
以上併用することも可能である。また、これら充填材を
イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チ
タネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合
物などのカップリング剤で予備処理して使用すること
は、より優れた機械的強度を得る意味において好まし
い。
【0085】更に、本発明のポリアミド樹脂組成物及び
これと積層される樹脂組成物は、結晶核剤、着色防止
剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色
剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を添加すること
ができる。
【0086】本発明の目的の一つは耐衝撃性に優れ、か
つ表面平滑性にも優れた導電性ポリアミド樹脂組成物を
得ることにある。具体的には、メルトインデクサー(3
15.5℃、滞留時間5分、荷重5kg、オリフィス直
径0.0825インチ、長さ0.315インチ)に投入
して得られたガットをプロジェクターにて投影した際
に、ガット表面に観察される高さ25μm以上の突起
が、1cm当たり5個以下であることが好ましく、2個
以下、特に好ましくは1個以下のポリアミド樹脂組成物
が好ましい。
【0087】かかる優れた表面平滑性を得るためには、
(A)ポリアミド樹脂として比較的高分子量のポリアミ
ド樹脂を適用することはかなり有効である。
【0088】また多くの場合、(A)ポリアミド樹脂は
ペレット状で入手できるが、このペレットを粉砕するな
どして、重量平均粒子径が2mm以下の顆粒または粉末
状とし、これを(C)導電性フィラーと溶融混練する方
法も表面平滑性向上に有効である。またかかる重量平均
粒子径が2mm以下の顆粒または粉末をペレット状の
(A)ポリアミド樹脂と併用しても良い。
【0089】本発明のポリアミド樹脂組成物の調製方法
は、上記優れた表面性、導電性、耐衝撃性が得られれば
特に制限はなく、例えば原料の混合物を単軸あるいは2
軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキ
シングロールなど通常公知の溶融混合機に供給してポリ
アミド樹脂の融点より10〜80℃高い温度、好ましく
は20〜50℃高い温度で混練する方法などを代表例と
して挙げることができる。
【0090】また配合順序にも特に制限は無く、(A)
ポリアミド樹脂、(B)変性エラストマー、(C)導電
性フィラーおよび(D)可塑剤を同時に配合して溶融混
練しても良く、また(A)ポリアミド樹脂、(B)変性
エラストマー、(C)導電性フィラーおよび(D)可塑
剤の一部を溶融混練後、得られた組成物と残りの配合材
を配合し溶融混練する多段混練法でも良い。また(A)
ポリアミド樹脂、(B)変性エラストマー、(C)導電
性フィラーおよび(D)可塑剤の一部を主ホッパーから
供給し、残りをサイドフィーダーから供給する方法も挙
げられる。
【0091】本発明の組成物は、チューブ成形体、ブロ
ー成形体など中空成形体の製造に好適であり、共押出に
よる多層中空成形体の製造には特に好適であるこのよう
にして得られた本発明の中空成形体は、耐衝撃性、表面
平滑性、制電性に均衡して優れることからからボトル、
タンク、パイプ、ダクト、チューブ、ジャバラ構造を有
するフレキシブルチューブ、フューエルフィラーネック
などに好適に用いられ、自動車用燃料チューブ用途には
特に好適に用いられるが、かかる中空成形法に限らず、
丸棒などの他の押出成形法、射出成形法、トランスファ
ー成形法など、他の成形法への適用ももちろん可能であ
る。
【0092】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。
【0093】また、以下の実施例における表面平滑性、
体積抵抗、チューブ靱性、チューブ表面鏡面性は、次の
方法により行った。
【0094】[表面平滑性]ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットをメルトインデクサー(東洋精機社製、Type
Cー5059D2−1、オリフィス直径0.0825イ
ンチ、長さ0.315インチ)に投入し、ポリアミド樹
脂の融点+60℃で5分滞留後、荷重5kgでガットを
押し出した。この操作を10回行い10本のガットを得
た。かかるガットをプロジェクター(ニコン社製、プロ
ファイルプロジェクター、Vー12)にて投影し、ガッ
ト表面の高さ25μm以上の突起物の数を観察した。観
察は、10本のガット各5cm、計50cmについて行
い、1cm当たりに観察される突起物数に割返した。
【0095】[溶融押出物の体積抵抗] ポリアミド樹
脂組成物のペレットをメルトインデクサー(東洋精機社
製、Type Cー5059D2−1、オリフィス直径
0.0825インチ、長さ0.315インチ)に投入
し、ポリアミド樹脂の融点+60℃で5分滞留後、荷重
5kgで、ガットを押し出した。かかるガットの2カ所
の表面周囲に導電性ペーストを塗布しこれを電極とし
て、電極間距離5cmで抵抗を測定し、ガット断面積、
電極間距離から体積抵抗値を計算した。抵抗測定には、
タケダ理研工業(株)製TR6877 Computing Digi
tal Multimeterを用いた。
【0096】[チューブ低温靱性評価] 長さ30cm
のチューブを10本用意し、これを−40℃の冷却装置
中で4時間放置した。チューブを冷却装置から取り出
し、0.454kgの錘を304.8mmの高さからチ
ューブ上へ落下し、チューブの破壊の有無を観察した。
【0097】[チューブ表面鏡面性] チューブの導電
性組成物層表面に蛍光灯の光を反射させ、反射具合を目
視観察した。 ○:極めて良く光が反射し、鏡面性良好、 ×:ほとんど光が反射せず、鏡面性が極めて悪い、 △:○と×の中間
【0098】[実施例及び比較例で用いた配合材] (A)熱可塑性樹脂 A−1:ナイロン12(相対粘度2.2)ペレット 平
均径2.2mm以上 A−2:ナイロン12(相対粘度1.4)ペレット 平
均径2.2mm以上 A−3:ナイロン12(相対粘度1.4)を粉砕し重量
平均粒径0.8mmの粉末状とした。 A−4:ナイロン11(相対粘度2.2)ペレット 平
均径2.2mm以上 なお上記相対粘度はメタクレゾール中(ポリマー濃度
0.5重量%)、25℃で測定した。また重量平均粒径
は、遠心沈降法により測定した。
【0099】(B)変性エラストマー B−1:無水マレイン酸変性、スチレン−エチレン・ブ
チレン−スチレンブロック共重合体。スチレン含有量2
0重量%、無水マレイン酸変性量は、CH3 ONaによ
る滴定で10mgCH3 ONa/共重合体−g。 B−2:無水マレイン酸変性エチレン/エチルアクリレ
ート。エチルアクリレート含有量30重量%。無水マレ
イン酸変性量3重量%。 B−3:無水マレイン酸グラフト変性エチレン/プロピ
レン共重合体。無水マレイン酸変性量1重量%。 B−4:エチレン/グリシジルメタクリレ−ト=94/
6(重量%)共重合体。
【0100】(C)導電性フィラー C−1:カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・イ
ンターナショナル(株)EC600JD、DBP吸油量
495ml/100g、BET法表面積1270m2
g、平均粒径30nm、灰分0.2%、 C−2:カーボンブラック(三菱化成工業(株)三菱導
電性カーボンッブラック#3050、DBP吸油量18
0ml/100g、BET法表面積50m2 /g、灰分
0.2%。
【0101】(D)可塑剤 D−1:N−ブチルベンゼンスルホンアミド、 D−2:P−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシ
ル。
【0102】チューブ成形評価 外層に東レ(株)製準軟質ポリアミド11、BESN
O P20TLを用い、内層に実施例1〜8、比較例1
〜3で得られたペレットを用い、外径:8mm、内径:
6mm、外層厚み:0.8mm、内層厚み:0.2mm
の2層チューブを成形した。成形装置としては、樹脂温
度240℃に設定した65mmの2台の単軸押出機、こ
の2台の押出機から吐出された樹脂をアダプターによっ
て集めてチューブ状に成形するダイス、チューブを冷却
し寸法制御するサイジングダイ、および引取機からなる
ものを使用、引き取り速度50cm/分でチューブ成形
を行い、このチューブを用いてチューブ低温靱性、チュ
ーブ内表面平滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0103】実施例1〜8 表1に示す各配合材料を表1に示す割合で(A)ポリア
ミド樹脂、(B)変性エラストマー、(D)可塑剤をド
ライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合した
後、シリンダー温度を(A)ポリアミド樹脂の融点+3
5℃に設定した2軸押出機で溶融混練した。(C)導電
性フィラーはサイドフィーダーより供給した。ストラン
ドカッターによりペレット化し、80℃で1晩真空乾燥
した。かかるペレットを用い、表面平滑性、抵抗値を測
定した。結果を表1に示す。
【0104】比較例1 (B)変性エラストマー、(D)可塑剤を用いないこと
以外は実施例1と同様にして溶融混練、ペレタイズ、乾
燥を行った。かかるペレットを用い、表面平滑性、抵抗
値を測定した。結果を表1に示す。チューブ低温靱性、
表面性で劣る結果であった。
【0105】比較例2 エラストマーとして、エポキシ基変性ポリエチレンを用
いた以外は実施例1と同様にして溶融混練、ペレタイ
ズ、乾燥を行った。かかるペレットを用い、表面平滑
性、抵抗値を測定した。結果を表1に示す。抵抗値が高
く、またチューブ内面鏡面性に著しく劣る結果であっ
た。
【0106】比較例2 (D)可塑剤を用いないこと以外は実施例3と同様にし
て溶融混練、ペレタイズ、乾燥を行った。かかるペレッ
トを用い、表面平滑性、抵抗値を測定した。結果を表1
に示す。表面平滑性、チューブ内面鏡面性で劣る結果で
あった。
【0107】
【表1】
【0108】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂組成物は、表面
平滑性、靱性、押出成形性、制電性などが均衡して優れ
ており、特に中空成形などに好適な材料ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5:00)

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアミド樹脂100重量部、
    (B)カルボン酸またはカルボン酸無水物で変性された
    エラストマー1〜100重量部、(C)導電性フィラー
    1〜100重量部、(D)可塑剤1〜25重量部を含有
    するポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(B)カルボン酸またはカルボン酸無水物
    で変性されたエラストマーが、(B−1)ビニル芳香族
    化合物重合体ブロックとオレフィン化合物重合体ブロッ
    クとからなるものであって、かつカルボン酸またはカル
    ボン酸無水物で変性されたブロック共重合体である請求
    項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(B−1)中のビニル芳香族化合物からな
    る単位の含有量が10〜40重量%である請求項2記載
    のポリアミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(B)カルボン酸またはカルボン酸無水物
    で変性されたエラストマーが、(B−2)α−オレフィ
    ン化合物とビニルカルボン酸エステル化合物からなる共
    重合体であって、かつカルボン酸またはカルボン酸無水
    物で変性された共重合体である請求項1記載のポリアミ
    ド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(B−2)中のビニルカルボン酸エステル
    化合物からなる単位の含有量が10〜50重量%である
    請求項4記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】(A)ポリアミド樹脂が、アミド基1個当
    たりの平均炭素数が8〜15の範囲である構造単位から
    なるホモポリアミド樹脂、あるいはアミド基1個当たり
    の平均炭素数が8〜15の範囲である共重合ポリアミド
    樹脂である請求項1〜5いずれか記載のポリアミド樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】(A)ポリアミド樹脂が、メタクレゾール
    中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相
    対粘度が1.5〜5.0の範囲のポリアミド樹脂である
    請求項1〜6いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド11
    である請求項1〜7いずれか記載のポリアミド樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】(D)可塑剤が、下記(I)式の化合物あ
    るいは多価アルコールから選ばれる1種または2種以上
    の化合物である請求項1〜8いずれか記載のポリアミド
    樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1〜R6は、 【化2】 で示されるスルホンアミド基、−OH基、−COOR9
    で示されるエステル基、水素、ハロゲン基、炭素数1〜
    20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香
    族基から選ばれる基である。ここでR7、R8は水素ま
    たは炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラ
    ルキル基、芳香族基から選ばれる基を示す。R9は炭素
    数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル
    基、芳香族基から選ばれる基を示す。但し、R1〜R6
    の内の少なくとも一つは上記スルホンアミド基、−OH
    基、上記エステル基から選ばれる基である。)
  10. 【請求項10】(C)導電性フィラーが粉状、粒状、板
    状、鱗片状、或いは長さ/直径比が200以下の繊維状
    のいずれかの形態の導電性フィラーであることを特徴と
    する請求項1〜9いずれか記載のポリアミド樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】(C)導電性フィラーがカーボン粉末で
    あることを特徴とする請求項1〜10いずれか記載のポ
    リアミド樹脂組成物。
  12. 【請求項12】(C)カーボン粉末が、BET法で求め
    られた比表面積500〜1500m2 /gであるカーボ
    ン粉末であることを特徴とする請求項11記載のポリア
    ミド樹脂組成物。
  13. 【請求項13】(C)カーボン粉末が、DBP吸油量3
    70ml/100g以上であるカーボン粉末であること
    を特徴とする請求項11〜12いずれか記載のポリアミ
    ド樹脂組成物。
  14. 【請求項14】(C)カーボン粉末の含有量が、(A)
    ポリアミド樹脂100重量部に対し、3〜20重量部で
    ある請求項11〜13いずれか記載のポリアミド樹脂組
    成物。
  15. 【請求項15】ポリアミド樹脂組成物からなる溶融押出
    物の体積抵抗が106 Ω・cm以下である請求項1〜1
    4いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
  16. 【請求項16】ポリアミド樹脂組成物をメルトインデク
    サー(温度=融点+60℃、滞留時間5分、荷重5k
    g、オリフィス直径0.0825インチ、長さ0.31
    5インチ)に投入してガットを得、そのガットをプロジ
    ェクターにて投影した際に、ガット表面に観察される高
    さ25μm以上の突起物が、ガット1cm当たり5個以
    下である請求項1〜15いずれか記載のポリアミド樹脂
    組成物。
  17. 【請求項17】請求項1〜16いずれか記載の中空成形
    用ポリアミド樹脂組成物。
  18. 【請求項18】請求項1〜16いずれか記載の多層中空
    成形用ポリアミド樹脂組成物。
  19. 【請求項19】少なくとも2種のポリマー層からなる多
    層中空成形体であって、少なくとも1つの層に請求項1
    〜16いずれか記載のポリアミド樹脂組成物を用いた多
    層中空成形体。
  20. 【請求項20】少なくとも2種のポリマー層からなる多
    層管状中空成形体であって、少なくとも1つの層に請求
    項1〜16いずれか記載のポリアミド樹脂組成物を用
    い、共押出成形法により製造された多層管状中空成形
    体。
  21. 【請求項21】請求項19記載の多層中空成形体または
    20記載の多層管状中空成形体を用いた自動車用燃料チ
    ューブ。
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