JPH11106356A - 混合化合物の吸着分離方法 - Google Patents

混合化合物の吸着分離方法

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JPH11106356A
JPH11106356A JP21630898A JP21630898A JPH11106356A JP H11106356 A JPH11106356 A JP H11106356A JP 21630898 A JP21630898 A JP 21630898A JP 21630898 A JP21630898 A JP 21630898A JP H11106356 A JPH11106356 A JP H11106356A
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maxr2
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additive
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JP21630898A
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Tetsuji Kitagawa
哲司 北川
Atsushi Okamoto
岡本  敦
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔性吸着剤を用いて混合化合物を吸着分離
する。 【解決手段】 多孔性吸着剤と混合化合物を接触させ、
さらに移動相を接触させて混合化合物を吸着分離する際
に、移動相の添加剤のMaxR値を、多孔性吸着剤の細
孔径Rよりも大きくすることで混合化合物を効率的に吸
着分離することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は混合化合物の吸着分
離方法に関するものである。
【0002】混合化合物としては、幾何異性体混合物、
光学異性体混合物、混合物間の沸点差が50℃以内で蒸
留分離しにくい化合物等がある。これら混合化合物から
化学純度(光学異性体の場合は光学純度も含む)の高い
化合物を精製する方法は、化学プロセスでは必須の技術
である。
【0003】幾何異性体は、キシレン異性体、ブタン異
性体、クレゾール異性体などがあり、農薬、医薬などの
中間体として広く用いられている。
【0004】光学異性体としては、様々なケミカル製品
として例えば農薬、医薬、食品添加物さらにはこれらの
中間体として広く用いられている。具体的には光学活性
なアミノ酸類、アミノ酸誘導体、カルボン酸類、カルボ
ン酸誘導体、アミン含有化合物、アルコール化合物、ヒ
ドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸誘導体、ハ
ロカルボン酸、ハロカルボン酸誘導体等である。
【0005】
【従来の技術】従来から、シリカゲル、アルミナ、活性
炭やゼオライトのような多孔性吸着剤を用いた吸着分離
法は、化学物質の精製に用いられている。特にゼオライ
トは幾何異性体の吸着分離剤として工業的に広く利用さ
れている。例えば、UOP社のPAREXプロセスに代
表されるSORBEXの装置による吸着分離(D.B.
Broughton,Sepraration sci
ence and technology,19,72
3−236p(1984−1985))においては、フ
ォージャサイト型ゼオライト吸着分離剤を用いてp-キシ
レンなどの芳香族異性体や異性化糖などが分離されてい
る。
【0006】また、光学異性体の分離においては多糖誘
導体(セルロースやアミロースなどのエステルあるいは
カルバメートなど)や多糖誘導体をシリカゲルに担持し
たもの、シクロデキストリンの誘導体、シクロデキスト
リン誘導体をシリカゲルなどに担持したもの、ポリアク
リレート誘導体、ポリアクリレート誘導体をシリカゲル
などに担持したものなどが吸着分離剤として利用されて
いる。多糖誘導体を用いた光学異性体の分離について
は、八島、岡本により報告(Bull.Chem.So
c.Jpn.,68,3289ー3307(1995)
されている。
【0007】一方、移動相として類似な構造を有する化
合物を用いて、幾何異性体や光学異性体を吸着分離する
方法がフランス特許2593409号公報で開示されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】混合化合物の中から一
種類の化合物を取り出そうとする場合、上述した様々な
吸着分離による方法がある。しかしながら、混合化合物
を分離したいというニーズに対し、これまで知られてい
る方法だけでは必ずしも万全ではないため、新規な分離
方法が望まれている。
【0009】例えば、光学異性体の吸着分離方法とし
て、多糖誘導体などをシリカゲルに担持した吸着分離剤
を利用した分離が一般的によく知られている。しかし、
これら吸着分離剤は機械的強度が弱く、工業的な分離プ
ロセスでは用いることが困難であった。さらにこれら吸
着剤は製造工程が長いため、非常に高価なものになり、
また多糖誘導体が担持されているだけであるため、長期
の利用においては多糖誘導体が溶出してしまう問題があ
った。また、数多くの光学異性体をすべて分離できる吸
着分離剤がないため、様々な新しい吸着分離剤および分
離システムの研究が行われている。
【0010】また、フランス特許第2593409号公
報で開示された吸着分離方法は分離概念としては新規な
ものであった。本特許によれば、もはや吸着剤を選択し
なくとも吸着剤のみの改良で良い分離能が得られると記
載されているが必ずしもそうではなく、吸着分離剤を改
良する等の余地がまだ残されている。
【0011】このような様々な問題点に対して、新規な
吸着分離システムによる異なった分離方法が望まれてい
た。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、混合化合
物の吸着分離方法について鋭意研究した結果、多孔性吸
着剤と混合化合物を接触させ、さらに移動相を接触させ
て混合化合物を吸着分離する際に、移動相の添加剤のM
axR値が、多孔性吸着剤の細孔径Rよりも大きいと混
合化合物を効率よく吸着分離できることを見出した。
【0013】すなわち本発明は、多孔性吸着剤と混合化
合物を接触させ、さらに添加剤を含む移動相を接触させ
て混合化合物を吸着分離する際に、移動相の添加剤のM
axR値が、多孔性吸着剤の細孔径Rよりも大きいこと
を特徴とする混合化合物の吸着分離方法に関するもので
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明における多孔性吸着剤とは、多孔質
からなる組成物であれば有機物でも無機物でも良い。
【0016】前記有機物としては、ポリスチレン、ポリ
アクリルアミド、ポリアクリレートなどの高分子組成物
を挙げることができる。
【0017】前記無機物としては、シリカ、アルミナ、
マグネシア、酸化チタン、ケイ酸塩、珪藻土、アルミノ
シリケート、層状化合物、ゼオライト、活性炭、グラフ
ァイトなどを挙げることができる。本発明における多孔
質吸着剤としては、無機物からなる多孔質吸着剤が好ま
しく、均一なメソポア、ミクロポアを有するシリカやア
ルミナ、シルカアルミナ等の組成物やゼオライトが特に
好ましい。
【0018】本発明におけるゼオライトとは、いわゆる
モレキュラ・シーブとも言われるものであり、結晶性の
3次元的に規則的な空間を有する無機多孔体である。一
般的に、ゼオライトとはフォージャサイト型ゼオライト
やβ型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、ペンタ
シル型ゼオライトなどの結晶性アルミノシリケートや結
晶性アルミノホスフェート、シリカアルミノホスフェー
ト、MCM−41、MCM−41類縁組成物などを指
す。本発明におけるこれらゼオライトについては、AL
TAS OF ZEOLITE STRUCTURE
TYPES(W.M.Meier、D.H.Olson
著、Butterworths、1992)に詳しく記
載されている。
【0019】本発明におけるゼオライトは、3次元的に
形成される空間が効率よく利用されるように細孔の開口
環酸素数が10原子以上であることが好ましく、12原
子以上であることが特に好ましい。なお、ゼオライトの
開口環酸素数とは、ゼオライト骨格中で分子が通過でき
る細孔を形成する骨格部分の酸素の数をいう。なお、開
口環酸素数については、ALTAS OF ZEOLI
TE STRUCTURE TYPES(W.M.Me
ier、D.H.Olson著、Butterwort
hs、1992)に詳しく記載されている。また、ゼオ
ライトが結晶性アルミノシリケートである場合は、シリ
カ/アルミナ比が2以上であることが好ましい。何故な
ら、通常のアルミノシリケートは、シリカ/アルミナ比
が小さいと十分に大きな細孔を形成しにくくなるためで
ある。特に本発明において用いるゼオライトは、フォー
ジャサイト型ゼオライト、β型ゼオライト、ペンタシル
型ゼオライト及び脱アルミニウム処理したゼオライトが
好ましく、フォージャサイト型ゼオライト、β型ゼオラ
イト及び脱アルミニウム処理したゼオライトがより好ま
しく、フォージャサイト型ゼオライトY、フォージャサ
イト型ゼオライトX及び脱アルミニウム処理したゼオラ
イトが特に好ましい。
【0020】脱アルミニウム処理したゼオライトは脱ア
ルミニウム処理をしていないゼオライトに比べ、吸着剤
の極性が下がり、さらに吸着容量が大きくなるためより
好ましい吸着剤となる。脱アルミニウム処理の方法とし
ては、水熱処理法、鉱酸処理法、珪素置換法やEDTA
処理を行う方法等が知られており、どのような方法で行
ってもかまわない。脱アルミニウム処理の方法について
は、例えば 、季刊化学総説No.21、マイクロポーラス・
クリスタル(日本化学会編、学会出版センター、22p〜(1
994))に詳しく記載されている。脱アルミニウムの量
は、脱アルミニウム処理するゼオライト種によって異な
るが、5mol%以上が好ましく、50mol%が特に
好ましい。フォージャサイト型Yゼオライト(シリカ/
アルミナ比=3〜(mol/mol))では、脱アルミニウム処
理により、シリカ/アルミナ比が5以上になるのが好ま
しく、10以上がさらに好ましくい。
【0021】ゼオライトは、工業的な利用においては通
常シリカやアルミナ、ベントンなどのバインダを用いて
成型した後使用することが好ましい。本発明では、成型
したゼオライトでも粉末状のゼオライトでもかまわない
が、特に成型したものが好ましい。成型品の好ましい粒
子径は5〜500メッシュであり、より好ましくは10
〜250メッシュであり、10〜100メッシュが特に
好ましい。
【0022】本発明における混合化合物とは、2種類以
上の化合物が混合したものをさす。本発明の方法では、
混合化合物として特に限定はないが、幾何異性体混合
物、光学異性体混合物、混合物間の沸点差が50℃以内
で蒸留分離しにくい化合物等が含まれている場合が好ま
しく、光学異性体が特に好ましい。
【0023】分離しようとする幾何異性体混合物として
は、キシレン、クレゾール、ジクロロベンゼン、ジクロ
ロトルエンのような芳香族異性体や、2,3−ジクロロ
ブタン、2,3−ジクロロブテンのような脂肪族異性体
があげられる。
【0024】分離しようとする光学異性体としてはアミ
ノ酸化合物、アミン化合物、カルボン酸化合物、ヒドロ
キシカルボン酸化合物、炭化水素化合物、アルコール化
合物、ハロカルボン酸化合物、エーテル化合物、アルデ
ヒド化合物、ケトン化合物又はこれらの誘導体があげら
れる。光学異性体としては、アミノ酸化合物、アミン化
合物、カルボン酸化合物、ヒドロキシカルボン酸化合
物、炭化水素化合物、アルコール化合物、ハロカルボン
酸化合物、エーテル化合物、アルデヒド化合物、ケトン
化合物又はこれらの誘導体が好ましいが、窒素含有化合
物、カルボン酸化合物又はその誘導体がより好ましく、
特にカルボン酸化合物又はその誘導体が好ましい。な
お、明細書中において光学異性体と記載した場合は、複
数の光学活性化合物からなる異性体群の混合物を指し、
光学活性化合物と記載した場合は一つの光学活性な化合
物を指す。
【0025】本発明における好ましい移動相の添加剤
は、本発明の条件を満たすものなら特に限定はなくどの
ようなものでも良いが、光学異性体を分離する場合は特
に、シクロデキストリンやシクロデキストリン誘導体、
クラウンエーテル類などの環状ホスト化合物、多糖類、
多糖誘導体、天然光学活性化合物、天然光学活性化合物
の誘導体、ホスト・ゲスト化合物の関係にあるホスト化
合物などが好ましい。
【0026】シクロデキストリン誘導体としては、シク
ロデキストリンの水酸基を修飾したものであればどのよ
うなものでもかまわないが、アシル化したもの、エーテ
ル化したもの、さらには部分的にエーテル化され部分的
にアシル化されたものが特に好ましい。部分的にエーテ
ル化され部分的にアシル化された誘導体の中でも、グル
コースユニットの水酸基の2位及び6位がエーテル基
で、3位がエーテル基またはアシル基のものが好まし
い。特に2,6−O−ジアルキル−3−O−アシル−シ
クロデキストリン、2,3,6−O−トリアルキル−シ
クロデキストリン(アルキル基およびアシル基は、1〜
10個の炭素原子を有するもの)が好ましい。さらにヘ
プタキス(2,6−O−ジペンチル−3−O−トリフル
オロアセチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス
(2,6−O−ジペンチル−3−O−トリクロロアセチ
ル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6−
O−ジペンチル−3−O−ブチリリル)−β−シクロデ
キストリン、ヘプタキス(2,6−O−ジペンチル−3
−O−アセチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキ
ス(2,6−O−ジペンチル−3−O−プロパノイル)
−β−シクロデキストリン、ヘキサキス(2,6−O−
ジペンチル−3−O−トリフルオロアセチル)−α−シ
クロデキストリン、ヘキサキス(2,6−O−ジペンチ
ル−3−O−トリクロロアセチル)−α−シクロデキス
トリン、ヘキサキス(2,6−O−ジペンチル−3−O
−ブチリリル)−α−シクロデキストリン、ヘキサキス
(2,6−O−ジペンチル−3−O−アセチル)−α−
シクロデキストリン、ヘキサキス(2,6−O−ジペン
チル−3−O−プロパノイル)−α−シクロデキストリ
ン、オクタキス(2,6−O−ジペンチル−3−O−ト
リフルオロアセチル)−γ−シクロデキストリン、オク
タキス(2,6−O−ジペンチル−3−O−トリクロロ
アセチル)−γ−シクロデキストリン、オクタキス
(2,6−O−ジペンチル−3−O−ブチリリル)−γ
−シクロデキストリン、またはオクタキス(2,6−O
−ジペンチル−3−O−アセチル)−γ−シクロデキス
トリン、オクタキス(2,6−O−ジペンチル−3−O
−プロパノイル)−γ−シクロデキストリンが特に好ま
しい。
【0027】本発明における移動相の添加剤および混合
化合物のMaxR値とMaxR2値は、結晶構造解析デ
ータかもしくは、結晶構造解析データがない場合には、
分子設計ソフトCerius2(MSI社製)により作
成した分子構造をもとに決定する。近年急速に発達した
分子動力学法、分子力場計算法、分子軌道計算法などの
分子シミュレーション手法を用いて算出される分子構造
は非常に精度が高いため、分子のサイズを比較するツー
ルとして非常に適している。
【0028】本発明において、結晶構造解析データがな
い場合の分子構造は、同ソフトのモジュールであるMM
(モレキュラ・メカニクス)ツールおよびMD(モレキ
ュラ・ダイナミクス)ツールにより作成する。原子数が
50原子以下で、分子構造を作成するのにそれ程CPU
に負荷をかけないような系の場合には、MMおよびMD
ツールで作成した分子構造をさらに分子軌道計算法(M
OPAC6(QCPE#455登録)やGaussia
n94(Gaussian inc.社製))で構造最
適化する。MM,MDツールで使用する力場パラメータ
ーとしてはCerius2に搭載されているUnive
rsal Force Fieldパラメーターを用い
て計算する。電荷パラメーターはCerius2のQe
q法を用いる。MM、MDツールを使用する場合は、ま
ず力場パラメーターをUniversal Force
Fieldパラメーターに設定した後、MDツールで
Qeq法を50ステップごとに計算させる様に設定する
こと以外は全てデフォルト状態で使用し、MDツールの
ADIABATICメソッドを5回計算し、その後ca
nonicalメソッドを5回計算した後、MMツール
でデフォルト状態で2回計算さればよい。Cerius
2を用いて分子構造を作成する際に用いる初期構造とし
ては、類似構造を有する結晶データなど利用して作成す
るのが好ましい。
【0029】MOPACを用いる計算では、MNDO法
により全構造最適化を行う。Gaussian94を用
いる計算では、基底関数として6−31G*を用い全構
造最適化を行う。
【0030】本発明におけるMaxR値は、作成された
分子構造の原子間距離の最大値とする。具体的には図に
示される原子間距離である。
【0031】本発明におけるMaxR2値は図に示され
るように、MaxR値をとる2つの原子を結んだ直線と
他の原子との間の垂直距離の最大値の2倍とする。
【0032】MaxR2値は、分子がMaxR値をとる
2つの原子を通る直線軸に対して回転したときの最大径
に対応する値である。
【0033】本発明における多孔性吸着剤の細孔径R
は、結晶構造が分かっているものに関しては、結晶構造
テ゛ータをもとに細孔径Rを決定する。例えば、ゼオライト
の構造および細孔径Rに関しては、ALTAS OF
ZEOLITE STRUCTURE TYPES
(W.M.Meier、D.H.Olson著、But
terworths、1992)およびその引用文献に
詳しく記載されおり、この値を利用できる。フォージャ
サイト型ゼオライトの細孔径Rは7.4オングストロー
ムであり、ALPO4−11の場合は6.3オングスト
ロームであり、ALPO4−5の場合は7.3オングス
トローム、MAPSO−46の場合は6.4オングスト
ローム、CoAPO−50の場合は6.1オングストロ
ーム、カンクリナイトの場合は5.9オングストロー
ム、フェリエライトの場合は5.4オングストローム、
グメリナイトの場合は7.0オングストローム、L型ゼ
オライトの場合は7.1オングストローム、マザイトの
場合は7.4オングストローム、ZSM−11の場合は
5.3オングストローム、ZSM−5の場合は5.5オ
ングストローム、モルデナイトの場合は7.0オングス
トローム、ZSM−12の場合は6.2オングストロー
ム、オフレタイトの場合は6.8オングストローム、ベ
ータ型ゼオライトの場合は7.6オングストロームであ
る。
【0034】結晶構造が分かっていないものに関して
は、窒素吸着法により得られる吸着等温線データを解析
して細孔径Rを算出する。本発明においては、Doll
imore & Heal法を用いて細孔分布を求め、
ピークを有する場合はその値を、細孔径Rと定義する。
ピークが複数ある場合は、いずれが細孔径Rであっても
本発明の効果は得られるため、かまわないが、ピークの
強度が最大のものを細孔径Rとするのが好ましい。ピー
クがブロードで曖昧な場合には、平均細孔径を算出し細
孔径Rと定義するか、もしくはピークとして換算した径
を細孔径Rとして定義し、いずれかの値が本発明の定義
を満たしていれば良い。なお、窒素吸着法に基づくDo
llimore & Heal法を用いた細孔分布の求
め方については、”吸着の化学”(近藤精一、石川達
雄、阿部郁夫著、丸善(株)(1991年))に詳しく
記載されている。
【0035】なお、脱アルミニウム処理したゼオライト
の細孔径Rは、本発明においては脱アルミニウム処理す
る前のゼオライトの細孔径Rと同じであると定義する。
【0036】移動相の添加剤が混合化合物の特定の化合
物とのみ特異的に強く相互作用する場合、添加剤のMa
xR値(分子内最大原子間距離)が多孔性吸着剤の細孔
径Rより大きいと、混合化合物中の特定の化合物以外
は、多孔性吸着剤に吸着されるが、混合化合物中の特定
の化合物は添加剤に捕捉されているため吸着されにくく
なる。このようにして吸着選択性が発現し吸着分離が可
能となる。
【0037】さらにMaxR2値で定義される移動相の
添加剤および混合化合物の分子径と多孔性吸着剤の細孔
径Rとの間に、 MaxR2(移動相添加剤)>R>MaxR2/2(混
合化合物) の関係があるほうがより吸着分離系として好ましい。す
なわち移動相添加剤は、MaxR2値がRよりも大きい
ため、吸着剤に吸着されにくく、混合化合物はMaxR
2値の半分の長さ、すなわちMaxR値をとる軸に対し
垂直距離での最大値がRよりも小さいため、吸着剤に吸
着され、効率よく吸着選択性が発現することになる。混
合化合物は、細孔内に入れれば良いため、MaxR2/
2値でよい。さらに好ましくは、 MaxR2/2(移動相添加剤)>R>MaxR2/2
(混合化合物) である。
【0038】移動相溶媒としては、特に限定がないが添
加剤を十分に溶解できるものが好ましく、水、メタノー
ルやエタノール等のアルコール、ベンゼンやトルエンな
どの芳香族化合物、n−ヘキサン、石油エーテル等の脂
肪族炭化水素、ジエチルエーテル等のエーテル類等様々
なものが使用可能である。移動相中の添加剤の濃度は、
濃ければ濃いほど良く、好ましい濃度としては1重量%
以上、より好ましくは10重量%以上であり、20重量
%以上が特に好ましい。
【0039】本発明の方法を用いた吸着分離するための
技術は、いわゆるクロマトグラフィ法による回分方式
や、これを連続化した移動床または擬似移動床による吸
着分離方法が好ましい。特に擬似移動床による連続的吸
着分離技術が、工業的なプロセスとして好ましい。擬似
移動床方式による吸着分離の基本操作としては以下の吸
着操作、濃縮操作、脱着操作を連続的に循環して実施す
る。
【0040】(1)吸着操作:分離しようとする混合化
合物は吸着分離剤と接触し、弱吸着成分を選択的に残し
て強吸着成分が吸着される。強吸着成分はエクストラク
ト成分として光学活性体を含む移動相とともに回収され
る。
【0041】(2)濃縮操作:弱吸着成分を多く含むラ
フィネートはさらに吸着剤と接触させられ強吸着成分が
選択的に吸着されて、ラフィネート中の弱吸着成分が高
純化される。
【0042】(3)脱着操作:高純化された弱吸着成分
はラフィネートとして回収され、一方、強吸着成分は添
加剤を含む移動相により吸着剤から追い出され脱着剤を
伴ってエクストラクト成分として回収される。
【0043】なお、この方法ではエクストラクトから得
られる成分を高純度化する事もできる。また、目的とし
ない幾何または光学異性体等は回収した後、異性化して
吸着分離物として返還することもできる。
【0044】
【実施例】次に本発明の効果を実施例を挙げて説明す
る。
【0045】1.移動相の添加剤の調製 (ヘプタキス(2,6−0−ジペンチル)−β−シクロ
デキストリンの調製)ヘプタキス(2,6−0−ジペン
チル)−β−シクロデキストリン(DP−B−CD)
は、G.Wenz,Carbohydrate Res
earch,214,257−265p(1991)を
参考に以下の様にして調製した。
【0046】β−シクロデキストリン(アルドリッチ社
製)124.6gをDMSO(片山化学工業社製)1.
5kgに溶解させた。そこへ臭化ペンチル(関東化学社
製)422.9gを加えた後、粉末化したNaOH(片
山化学工業社製)116.7gを徐々に加え、約4日間
室温で攪拌した。その後、過剰のジエチルエーテルを加
え攪拌した後、上澄み相を抽出した。この操作を3回繰
り返した。エーテル相を、飽和食塩水で3回洗浄した
後、硫酸ナトリウムを加え乾燥した。その後、約1mm
Hgの減圧下室温でジエチルエーテルを取り除いた。さ
らに徐々に100℃まで加温して、低沸点化合物を留去
し、DP−B−CDを得た。
【0047】(ヘプタキス(2,6−0−ジペンチル−
3−O−トリフルオロアセチル)−β−シクロデキスト
リン(DPTFA−B−CD)の調製)ヘプタキス
(2,6−0−ジペンチル−3−O−トリフルオロアセ
チル)−β−シクロデキストリン(DPTFA−B−C
D)は、W.Y.Li,H.L.Jin,D.W.Ar
mstrong,J.Chromatogr.,50
9,303−324p(1990)を参考に以下のよう
にして調製した。
【0048】ヘプタキス(2,6−0−ジペンチル)−
β−シクロデキストリン100gをジエチルエーテル5
00gに溶解させた。攪拌しながら、そこへ無水トリフ
ルオロ酢酸(東京化成社製)400gを徐々に滴下し
た。その後、一晩攪拌した後、エバポレータで低沸点物
を留去した。さらに、約1mmHgの減圧下で100℃
まで加温して低沸点化合物を留去し、DPTFA−B−
CDを得た。
【0049】(ヘプタキス(2,6−0−ジペンチル−
3−O−アセチル)− β−シクロデキストリン(DP
Ac−B−CD)の調製)ヘプタキス(2,6−0−ジ
ペンチル)−β−シクロデキストリン2.81gをジエ
チルエーテル10gに溶解させた。攪拌しながら、そこ
へ無水酢酸(東京化成社製)9.69gを徐々に滴下し
た。その後、徐々に加熱し、ジエチルエーテルを蒸発さ
せた後、3日間、90〜98℃で加熱した。約1mmH
gの減圧下で100℃まで加温して低沸点化合物を留去
し、ヘプタキス(2,6−0−ジペンチル−3−O−ア
セチル)−β−シクロデキストリン(DPAc−B−C
D)を得た。
【0050】(ヘプタキス(2,6−0−ジペンチル−
3−O−プロパノイル)− β−シクロデキストリン
(DPPr−B−CD)の調製)ヘプタキス(2,6−
0−ジペンチル)−β−シクロデキストリン7.01g
をジエチルエーテル10gに溶解させた。攪拌しなが
ら、そこへ無水プロピオン酸(東京化成社製)7.05
gを徐々に滴下した。その後、徐々に加熱し、ジエチル
エーテルを蒸発させた後、4日間、80℃で加熱した。
約1mmHgの減圧下で100℃まで加温して低沸点化
合物を留去し、ヘプタキス(2,6−0−ジペンチル−
3−O−プロパノイル)−β−シクロデキストリン(D
PPr−B−CD)を得た。
【0051】2.分子構造の作成およびMaxR,Ma
xR2値の算出 (DPTFA−B−CDの分子構造の作成)DPTFA
−B−CDの分子構造は、以下のようにして作成した。
【0052】分子設計ソフトCerius2による作業
は、HP社製ワークステーションHP715/100上
で行った。まずβ−シクロデキストリンの結晶構造(ケ
ージーティー株式会社より入手)をCerius2上に
取り込み、水酸基を順次置換した。その後、力場パラメ
ーターとしてCerius2に搭載されているUniv
ersal Force Fieldパラメーターを選
択した。そしてMDツールで、Qeq法の計算を50ス
テップごとに計算させる様に設定した後、それ以外は全
てデフォルト状態で使用し、ADIABATICメソッ
ドを5回計算し、その後canonicalメソッドを
5回計算した。その後Qeq法で電化パラメータの再計
算をした後、MMツールでデフォルト状態で計算し、も
う一度同様の方法でQeq法による計算とMM計算を繰
り返し、DPTFAB−CDの分子構造を作成した。分
子構造はBGFファイルで保存した。
【0053】(DPTFA−B−CDのMaxR,Ma
xR2値の算出)MaxR値およびMaxR2値の算出
はFORTRAN77で作成した計算プログラムで行っ
た。MaxR値は上記構造データを取り込み、2原子間
のすべての原子間距離を算出し最大のものを選択するこ
とにより得た。次にMaxR値を取った2原子を通る直
線に対し他の原子から垂直距離で最大値を取る原子を計
算し、その値を2倍してMaxR2値とした。DPTF
A−B−CDのMaxR値は、25.96オングストロー
ム、MaxR2値は28.88オングストローム、MaxR
2値/2は14.44オングストロームであった。
【0054】(DPAc−B−CDの分子構造の作成お
よびMaxR,MaxR2値の算出)上述の方法と同様
の方法で分子構造を作成しMaxR,MaxR2値を算
出した。DPAc−B−CDのMaxR値は、26.60オ
ングストローム、MaxR2値は28.24オングストロー
ム、MaxR2値/2は14.12オングストロームであっ
た。
【0055】(DPPr−B−CDの分子構造の作成お
よびMaxR,MaxR2値の算出)上述の方法と同様
の方法で分子構造を作成しMaxR,MaxR2値を算
出した。DPPr−B−CDのMaxR値は、25.85オ
ングストローム、MaxR2値は28.37オングストロー
ム、MaxR2値/2は14.19オングストロームであっ
た。
【0056】(D−酒石酸ジイソプロピル(D−DIP
T)の分子構造の作成およびMaxR,MaxR2値の
算出)D−DIPTは上述の方法と同様の方法で分子構
造を作成したのち、MOPAC6を用いてMNDO法に
より全構造を最適化した。計算された構造から上述と同
様の方法によりMaxR,MaxR2値を算出した。D
−DIPTのMaxR値は、13.65オングストローム、
MaxR2値は8.98オングストローム、MaxR2値/
2は4.49オングストロームであった。
【0057】(L−酒石酸ジメチル(L−DMT)の分
子構造の作成およびMaxR,MaxR2値の算出)D
−DMTは上述の方法と同様の方法で分子構造を作成し
た。計算された構造から上述と同様の方法によりMax
R,MaxR2値を算出した。D−DMTのMaxR値
は、11.19オングストローム、MaxR2値は8.06オン
グストローム、MaxR2値/2は4.03オングストロー
ムであった。
【0058】(R−エピクロロヒドリンの分子構造の作
成およびMaxR,MaxR2値の算出)上述の方法と
同様の方法でR−エピクロロヒドリンの分子構造を作成
し、MaxR、MaxR2値を算出した。R−エピクロ
ロヒドリンのMaxR値は、4.46オングストローム、M
axR2値は4.53オングストローム、MaxR2値/2
は2.26オングストロームであった。
【0059】(R−1−クロロ2−ブタノンの分子構造
の作成およびMaxR,MaxR2値の算出)上述の方
法と同様の方法でR−1−クロロ2−ブタノンの分子構
造を作成し、MaxR、MaxR2値を算出した。R−
1−クロロ2−ブタノンのMaxR値は、4.75オングス
トローム、MaxR2値は5.73オングストローム、Ma
xR2値/2は2.86オングストロームであった。
【0060】(トリフルオロ酢酸2−ぺンチルの分子構
造の作成およびMaxR,MaxR2値の算出)上述の
方法と同様の方法での分子構造を作成し、MaxR、M
axR2値を算出した。のMaxR値は、8.23オングス
トローム、MaxR2値は6.98オングストローム、Ma
xR2値/2は3.49オングストロームであった。
【0061】(R,R−2,3−ジクロロブタンの分子
構造の作成およびMaxR,MaxR2値の算出)上述
の方法と同様の方法でR,R−2,3−ジクロロブタン
の分子構造を作成し、MaxR、MaxR2値を算出し
た。R,R−2,3−ジクロロブタンのMaxR値は、
5.26オングストローム、MaxR2値は5.24オングスト
ローム、MaxR2値/2は2.62オングストロームであ
った。
【0062】(α−D−ピネンの分子構造の作成および
MaxR,MaxR2値の算出)上述の方法と同様の方
法でα−D−ピネンの分子構造を作成し、MaxR、M
axR2値を算出した。α−D−ピネンのMaxR値
は、6.80オングストローム、MaxR2値は7.11オング
ストローム、MaxR2値/2は3.56オングストローム
であった。
【0063】(R−クロロプロピオン酸メチル(R−C
PAME)の分子構造の作成およびMaxR,MaxR
2値の算出)上述と同様の方法でR−クロロプロピオン
酸メチルの分子構造を算出し、Gaussian94
(Gaussian Inc.社製)を用いて基底関数
として6−31G*を用いて全構造を最適化した。計算
された構造から上述と同様の方法によりMaxR,Ma
xR2値を算出した。R−CPAMEのMaxR値は、
5.89オングストローム、MaxR2値は4.34オングスト
ローム、MaxR2値/2は2.17オングストロームであ
った。
【0064】3.吸着分離性能の評価 次に本発明の効果を実施例を挙げて説明する。
【0065】本発明では吸着剤の特性を次式の吸着選択
係数αA/Bにより表した。
【0066】 αA/B =(吸着相A/吸着相B)/(液相A/液相B) ここでA,Bは各成分の濃度を示している。この吸着選
択係数は、液相の各成分の濃度は、液クロマトグラフィ
やガスクロマトグラフィで分析することにより容易に算
出することができる。
【0067】αA/B が1より大の時にはA成分が吸着さ
れ、1より小の時にはB成分が吸着される。また、この
値が1より大きければ大きいほど(あるいは1より小さ
く0に近いほど)AとBは吸着剤内部と吸着剤外部での
濃度差が大きくなる。
【0068】本実施例におけるバッチ式での評価結果は
静的な条件で測定したものであるが、この流通式など別
の評価方法で得られる吸着分離能を実質評価しているの
ものと見なすことができる。すなわち静的な条件で吸着
選択性が得られたものは流通式によっても大きな差を見
出すことができる。このため、静的な条件で差異の得ら
れたものは実質回分方式や移動床方式によるクロマトグ
ラフィ法により分離可能である。
【0069】(実施例1)DPTFA−B−CD:n−
ペンタデカン(東京化成社製):RS−エピクロロヒド
リン(東京化成社製)=56.27:24.50:1
9.24(重量比)の組成の溶液を調製し、4.16g
を秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこへ、5
00℃で2時間焼成したNaY(東ソー社製、シリカ/
アルミナ=4.8(mol/mol))を1.0g秤量して加えた。
室温で1時間放置した後、よく攪拌しさらに1時間放置
した。その後、上澄み液を採取し、キラルデックスB−
TAキャピラリカラム(ASTEC社製)を用いてガス
クロマトグラフィ法により成分分析を行った。吸着選択
係数は、n−ペンタデカンを内標成分と見なし算出し
た。算出したαA/Bで、成分Aはガスクロ分析で最初にピ
ークが出た成分であり、成分Bは後にピークが出た成分
である。以下このαA/Bをαと略す。得られた結果を表
1に示した。
【0070】表1の実施例1におけるαは光学異性体
(エピクロロヒドリン)間の吸着選択係数を示してい
る。
【0071】この系ではDPTFA−B−CDが移動相
の添加剤で、RS−エピクロロヒドリンがR−エピクロ
ロヒドリンとS−エピクロロヒドリンからなる混合化合
物であり、NaYが多孔性吸着剤である。
【0072】上述したように、DPTFA−B−CDの
最大分子径を示すMaxR値は25.96オングストロ
ームであり、NaYの細孔径Rは7.2オングストロー
ムである。
【0073】明らかに、MaxR値は細孔径Rよりも大
きく、DPTFA−B−CDはNaY中へ入ることがで
きないことが分かる。
【0074】またMaxR2値、MaxR2/2値とも
に多孔性吸着剤の細孔径Rよりも大きい。このことか
ら、MaxR値を取る2原子を通る直線軸方向からNa
Yへ入ろうとしても分子サイズが大きいため入ることが
できないことが分かる。
【0075】一方、分離混合物の1つであるR−エピク
ロロヒドリンのMaxR2/2値は2.26オングスト
ロームであり、多孔性吸着剤の細孔径Rよりも小さい。
エピクロロヒドリンのMaxR2/2値が多孔性吸着剤
の細孔径Rよりも小さいため、エピクロロヒドリンは多
孔性吸着剤NaYへ入ることが可能であると分かる。
【0076】さらに、実験結果から吸着選択係数αは
1.05であり、吸着選択性があることが分かる。
【0077】移動相の添加剤であるDPTFA−B−C
Dは、分子径が大きいためNaYに入ることができない
が、混合化合物、すなわち2種類の光学異性体からなる
エピクロロヒドリンはNaYの細孔径よりも分子径が小
さいため入ることができる。
【0078】NaYに入ることのできないDPTFA−
B−CDは、エピクロロヒドリンの片方の異性体のみと
特異的に相互作用するため、NaYへはもう一方のエピ
クロロヒドリンが選択的に吸着されるようになる。
【0079】これらの結果から、移動相の添加剤のMa
xR値が、吸着剤として用いる多孔性吸着剤の細孔径R
よりも大きいときに、多孔性吸着剤は混合化合物、すな
わち本実施例では光学異性体、を効率よく識別できるこ
とが分かった。
【0080】また、混合化合物を吸着分離できるとき
に、移動相の添加剤のMaxR2値と吸着剤として用い
る多孔性吸着剤の細孔径Rと分離しようとする混合化合
物の1つの分子径のMaxR2値の間に MaxR2(移動相添加剤)>R>MaxR2/2(混
合化合物) さらには MaxR2/2(移動相添加剤)>R>MaxR2/2
(混合化合物) の関係が成り立つことが分かった。
【0081】さらに上記方法を用いれば、混合化合物間
における吸着で差異を持たせることが可能であること分
かった。このことから、回分式や擬持移動床方式を用い
れば、連続的に片方の異性体に富んだ液を得ることも可
能である。
【0082】(実施例2)NaYをNaX(東ソー社
製、シリカ/アルミナ比=2.5(mol/mol))に変えて同様
の実験を行った。得られた結果を表1に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0083】(実施例3)DPTFA−B−CD:n−
ペンタデカン(東京化成社製):RS−3−クロロ−2
−ブタノン(東京化成社製)=63.62:31.1
5:5.23(重量比)の組成の溶液を調製し、4.0
4gを秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこ
へ、500℃で2時間焼成したNaY(シリカ/アルミ
ナ=4.8(mol/mol))を1.0g秤量し加えた。室温で1
時間放置した後、よく攪拌しさらに1時間放置した。そ
の後実施例1と同様の方法で、吸着選択係数を算出し
た。得られた結果を表1に示した。実施例1と同様の効
果が得られた。
【0084】(実施例4)NaYをKYに変えて実施例
3と同様の実験を行った。KYはNaYをイオン交換す
ることにより調整した。調整方法は、NaYに対し重量
当たり10倍量の硝酸カリウム(和光純薬社製)飽和水
溶液で5回に分けてイオン交換した後、水洗したものを
用いた。得られた結果を表1に示した。実施例1と同様
の効果が得られた。
【0085】(実施例5)NaYをNaXに変えて、実
施例3と同様の実験を行った。得られた結果を表1に示
した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0086】(実施例6)NaYをNaペンタシル型ゼ
オライト(シリカ/アルミナ=20(mol/mo
l))に変えて実施例3と同様の実験を行った。ペンタ
シル型ゼオライト(シリカ/アルミナ=20(mol/
mol))は特公昭60−35284号公報に記載され
ている方法で合成した。Naペンタシル型ゼオライト
は、以下のようにして調製した。ペンタシル型ゼオライ
トを2時間焼成した後、10gを秤りとり、100ml
飽和塩化ナトリウム水溶液へ加えた。80℃で1時間保
温した後、塩化ナトリウム水溶液を濾過により除去し
た。この操作によるイオン交換を5回イオンを行った
後、水洗を3回行い120℃で乾燥した。得られた結果
を表1に示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0087】(実施例7)実施例3と同様の実験を70
℃で行った。得られた結果を表1に示した。実施例1と
同様の効果が得られた。
【0088】(実施例8)実施例4と同様の実験を70
℃で行った。得られた結果を表1に示した。実施例1と
同様の効果が得られた。
【0089】(実施例9)DPTFA−B−CD:n−
ペンタデカン(東京化成社製):RS−トリフルオロ酢
酸2−ぺンチル=55.66:30.08:14.26
(重量比)の組成の溶液を調製し、3.80gを秤りと
りスリ付き三角フラスコへ入れた。そこへ、500℃で
2時間焼成したKYを1.0g秤量し加えた。室温で1
時間放置した後、よく攪拌しさらに1時間放置した。そ
の後実施例1と同様の方法で、吸着選択係数を算出し
た。なお、トリフルオロ酢酸2−ペンチルは、2−ペン
タノール(アルドリッチ社製)と無水トリフルオロ酢酸
(東京化成社製)を化学量論量加えて合成したものを使
用した。得られた結果を表1に示した。実施例1と同様
の効果が得られた。
【0090】(実施例10)KYをNaXに変えて実施
例9と同様の実験を行った。得られた結果を表1に示し
た。実施例1と同様の効果が得られた。
【0091】(実施例11)KYをNaペンタシル型ゼ
オライトに変えて実施例9と同様の方法で実験を行っ
た。得られた結果を表1に示した。実施例1と同様の効
果が得られた。
【0092】
【表1】
【0093】(実施例12−1,2、比較例1−1,
2)DPTFA−B−CD:n−ペンタデカン(ナカラ
イテスク社製):2,3−ジクロロブタン(アルドリッ
チ社製)=59.5:29.1:11.4(重量比)の
組成の溶液を調製し、3.00gを秤りとりスリ付き三
角フラスコへ入れた。そこへ、500℃で2時間焼成し
たNaYを1.0g秤量し加えた。室温で1時間放置し
た後、よく攪拌しさらに1時間放置し、上澄み液を採取
した。使用したアルドリッチ社製の2,3−ジクロロブ
タンは、キラルデックスB−TAキャピラリカラム(A
STEC社製)を用いてガスクロマトグラフィ分析法に
より成分分析したところ、(RR+SS体):MESO
体の比がピーク面積比で1:2.73であった。すなわ
ち、使用した2,3−ジクロロブタンは光学異性体(R
R体とSS体)及び幾何異性体((RR+SS)体とM
ESO体)の混合化合物である。それぞれの間の吸着選
択係数について上述と同様の方法で、吸着選択係数αを
算出した。得られた結果を表2に示した。光学異性体間
のαは、1.57であり、幾何異性体間のαA/MESO(成
分Aはガスクロ分析で最初にピークが出た光学異性体成
分)は7.45であった。それぞれの結果を表2に実施
例12−1,2として示した。
【0094】比較例としてDPTFA−B−CDを含ま
ない溶液(n−ペンタデカン:2,3−ジクロロブタン
=32.52:67.48(重量比))2.0gとNa
Y1.0gの間の吸着選択性を同様の方法で測定した。
光学異性体間のαは、1.01であり、幾何異性体間の
αA/MESO(成分Aはガスクロ分析で最初にピークが出た
光学異性体成分)は3.83であった。それぞれの結果
を表1に比較例1−1,2として示した。
【0095】本実施例は、比較例と比べることで、実施
例1と同様の効果が得られていることが明らかとなっ
た。すなわち、光学異性体の吸着選択性は移動相の添加
剤であるDPTFA−B−CDが存在しないと得られな
いが、DPTFA−B−CDが存在すると得られる。さ
らに、幾何異性体の場合は、DPTFA−B−CD存在
下で吸着選択係数が大きくなった。
【0096】以上の結果から、幾何異性体を含む混合化
合物でも実施例1と同様の結果が得られることが分かっ
た。
【0097】(実施例13−1,2、比較例2−1,
2)NaYをKYに変えて実施例12と同様の実験を行
った。得られた結果を表2に示した。実施例12と同様
の効果が得られた。
【0098】(実施例14−1,2、比較例3−1,
2)NaYをNaXに変えて実施例12と同様の実験を
行った。得られた結果を表2に示した。実施例12と同
様の効果が得られた。
【0099】
【表2】
【0100】(実施例15)DPTFA−B−CD:n
−ノナン(ナカライテスク社製):RS−クロロプロピ
オン酸メチル(東京化成社製)=62.26:28.3
0:9.43(重量比)の組成の溶液を調製し、3.0
0gを秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこ
へ、500℃で2時間焼成したNaYを1.0g秤量
し、加えた。室温で1時間放置した後、よく攪拌しさら
に1時間放置した。その後実施例1と同様の方法で、吸
着選択係数を算出した。得られた結果を表3に示した。
実施例1と同様の効果が得られた。
【0101】(実施例16)実施例15と同様の実験を
60℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0102】(実施例17)実施例15と同様の実験を
70℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0103】(実施例18)実施例15と同様の実験を
80℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0104】(実施例19)NaYをKYに変えて実施
例15と同様の実験を行った。得られた結果を表3に示
した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0105】(実施例20)実施例19と同様の実験を
60℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0106】(実施例21)実施例19と同様の実験を
70℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0107】(実施例22)実施例19と同様の実験を
80℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0108】(実施例23)NaYをNaXに変えて実
施例15と同様の実験を行った。得られた結果を表3に
示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0109】(実施例24)実施例23と同様の実験を
70℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0110】(実施例25)実施例23と同様の実験を
80℃で行った。得られた結果を表3に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0111】
【表3】
【0112】(実施例26)NaYをKXに変えて実施
例15と同様の実験を行った。KXはKYを調製するの
と同様の方法でNaXをKカチオン型にイオン交換した
ものである。得られた結果を表4に示した。実施例1と
同様の効果が得られた。
【0113】(実施例27)実施例26と同様の実験を
70℃で行った。得られた結果を表4に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0114】(実施例28)実施例26と同様の実験を
80℃で行った。得られた結果を表4に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0115】(実施例29)NaYをNaペンタシル型
ゼオライト(シリカ/アルミナ=20(mol/mol))に変
えて実施例15と同様の実験を行った。得られた結果を
表4に示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0116】(実施例30)実施例29と同様の実験を
70℃で行った。得られた結果を表4に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0117】(実施例31)NaYをβ型ゼオライトN
aβ(シリカ/アルミナ=25(mol/mol))に
変えて実施例15と同様の実験を行った。β型ゼオライ
トNaβは以下のようにして調整した。PQコーポレー
ション製CP−806β25(シリカ/アルミナ=25
(mol/mol))を500℃で2時間焼成した後、
10gを秤りとり、100ml飽和塩化ナトリウム水溶
液へ加えた。80℃で1時間保温した後、塩化ナトリウ
ム水溶液を濾過により除去した。この操作によるイオン
交換を5回イオンを行った後、水洗を3回行い120℃
で乾燥しNaβとした。得られた結果を表4に示した。
実施例1と同様の効果が得られた。
【0118】(実施例32)実施例31と同様の実験を
70℃で行った。得られた結果を表4に示した。実施例
1と同様の効果が得られた。
【0119】(実施例33)DPAc−B−CD:n−
ノナン(ナカライテスク社製):RS−クロロプロピオ
ン酸メチル(東京化成社製)=61.17:31.5
6:7.27(重量比)の組成の溶液を調製し、3.0
0gを秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこ
へ、500℃で2時間焼成したNaYを1.0g秤量
し、加えた。室温で1時間放置した後、よく攪拌しさら
に1時間放置した。その後実施例1と同様の方法で、吸
着選択係数を算出した。得られた結果を表4に示した。
実施例1と同様の効果が得られた。
【0120】(実施例34)NaYをKYに変えて、実
施例33と同様の実験を行った。得られた結果を表4に
示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0121】(実施例35)NaYをALPO4−5に
変えて実施例33と同様の実験を行った。ALPO4
5は、Handbook of Molecular
Sieves(R.Szostak著、VAN NOS
TRAND REINHOLD、1984)に記載の合
成法により調製した。得られた結果を表4に示した。実
施例1と同様の効果が得られた。
【0122】(実施例36)NaYをNaβに変えて、
実施例33と同様の実験を行った。得られた結果を表4
に示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0123】
【表4】
【0124】(実施例37)DPPr−B−CD:n−
ノナン(ナカライテスク社製):RS−クロロプロピオ
ン酸メチル(東京化成社製)=60.67:30.4
4:8.89(重量比)の組成の溶液を調製し、3.0
0gを秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこ
へ、500℃で2時間焼成したNaYを1.0g秤量
し、室温で1時間放置した後、よく攪拌しさらに1時間
放置した。その後実施例1と同様の方法で、吸着選択係
数を算出した。得られた結果を表5に示した。実施例1
と同様の効果が得られた。
【0125】(実施例38)NaYをKYに変えて、実
施例37と同様の実験を行った。得られた結果を表5に
示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0126】(実施例39)NaYをNaXに変えて、
実施例37と同様の実験を行った。得られた結果を表5
に示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0127】(実施例40)NaYをKXに変えて、実
施例37と同様の実験を行った。得られた結果を表5に
示した。実施例1と同様の効果が得られた。
【0128】(実施例41)NaYをBaXに変えて、
実施例37と同様の実験を行った。BaXは、KXと同
様の方法でNaXをBaカチオンにイオン交換したもの
である。得られた結果を表5に示した。実施例1と同様
の効果が得られた。
【0129】(実施例42)NaYをCaXに変えて、
実施例37と同様の実験を行った。CaXは、KXと同
様の方法でNaXをCaカチオンにイオン交換したもの
である。得られた結果を表5に示した。実施例1と同様
の効果が得られた。
【0130】(実施例43)DPTFA−B−CDをD
−DIPT(東レ株式会社製)に変えて実施例15と同
様の実験を行った。得られた結果を表5に示した。実施
例1と同様の効果が得られた。
【0131】(実施例44)D−DIPTをL−DMT
に変えてNaYをKXに変えて実施例15と同様の実験
を行った。得られた結果を表5に示した。実施例1と同
様の効果が得られた。
【0132】(比較例4)α-(-)-ピネン(アルドリッ
チ社製):n−ノナン(ナカライテスク社製):RS−
2−クロロプロピオン酸メチル(東京化成社製)=2:
1:2(重量比)の組成の溶液を調製し、2.50gを
秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこへ、50
0℃で2時間焼成したNaYを1.0g秤量し、室温で
1時間放置した後、よく攪拌しさらに1時間放置した。
その後実施例1と同様の方法で、吸着選択係数を算出し
た。得られた結果を表5に示した。
【0133】
【表5】
【0134】この系ではα-(-)-ピネンが移動相の添加
剤で、RS−2−クロロプロピオン酸メチルがR−2−
クロロプロピオン酸メチルとS−2−クロロプロピオン
酸メチルからなる混合化合物、NaYが多孔性吸着剤で
ある。
【0135】α-(-)-ピネンのMaxR値は6.80オ
ングストロームであり、細孔径Rよりも小さいため、α
-(-)-ピネンはNaY中へ入ることができる。
【0136】またMaxR2値、MaxR2/2値とも
に多孔性吸着剤の細孔径Rよりも小さい。
【0137】一方、分離混合物の1つであるR−2−ク
ロロプロピオン酸メチルのMaxR2/2値も2.17
オングストロームであり、多孔性吸着剤の細孔径Rより
も小さい。R−2−クロロプロピオン酸メチルのMax
R2/2値が多孔性吸着剤の細孔径Rよりも小さいた
め、2−クロロプロピオン酸メチルは多孔性吸着剤Na
Yへ入ることが可能であると分かる。
【0138】さらに、実験結果から吸着選択係数αは
1.00であり、吸着選択性がないことが分かる。
【0139】以上の結果から、移動相の添加剤のMax
R値が、吸着剤として用いる多孔性吸着剤の細孔径Rよ
りも小さいと、多孔性吸着剤は混合化合物、すなわち本
実施例では光学異性体を識別しにくいことが分かった。
【0140】さらに、混合化合物を吸着分離できるとき
に、移動相の添加剤の分子径のMaxR2値と吸着剤と
して用いる多孔性吸着剤の細孔径Rと分離しようとする
混合化合物の1つの分子径のMaxR2値の間に MaxR2(移動相添加剤)>R>MaxR2/2(混
合化合物) さらには MaxR2/2(移動相添加剤)>R>MaxR2/2
(混合化合物) の関係が成り立たない場合にも多孔性吸着剤は混合化合
物、すなわち本実施例では光学異性体を識別しにくい。
【0141】(実施例45)実施例15の系について、
流通式で評価を行った。
【0142】成型したNaYを長さ1m、内径4.75
mmのステンレスカラムに充填し、80℃のオイルバス
中においてDPTFA−B−CD/p−ジエチルベンゼ
ン(東レ社製)=1(重量比)の移動相を約1.7g/
minの流量で流した。NaYの成型は、ゼオライト粉
末(NaY)に対してアルミナ換算で15重量%のアル
ミナゾル200(日産化学社製)を混練りした後、約5
0メッシュに押し出し成型した後、500℃で2時間焼
成したものを用いた。脱着剤を流している状態で分離原
料であるRS−クロロプロピオン酸メチル、1.5gを
カラム入り口に導入した。出口側からの流出する液を取
り出し分析を行ったところ、8分後にが26%eeのS
−クロロプロピオン酸メチルを、15分後には16%e
eのS−クロロプロピオン酸メチル、66後には55%
eeのR−クロロプロピオン酸メチルを得ることができ
た。このことから、動的な分離系においても本系の条件
を満たすものであれば、混合化合物を本発明法により分
離することができることが分かった。
【0143】(実施例46)DPTFA−B−CD:n
−デカン(東京化成社製):RS−クロロプロピオン酸
メチル(東京化成社製)=46.95:45.47:
7.58(重量比)の組成の溶液を調製し、3.00g
を秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこへ、5
00℃で2時間焼成したUSY30(PQコーポレーシ
ョン社製;フォージャサイト型Yゼオライトを脱アルミ
ニウム処理したもの;シリカ/アルミナ比=30(mo
l/mol))を1.0g秤量し、70℃で1時間放置
した後、よく攪拌しさらに1時間放置した。その後実施
例1と同様の方法で、吸着選択係数を算出した。吸着選
択係数αは1.27だった。分離対象物のMaxR2/
2=2.17Å、移動相添加剤のMaxR=25.96
Å、MaxR2=28.8Å、MaxR/2=14.4
Å、吸着剤の細孔径R=7.4Åとなり、実施例1と同
様の効果が得られた。
【0144】(実施例47)DPTFA−B−CD:n
−ドデカン(東京化成社製):RS−クロロプロピオン
酸メチル(東京化成社製)=61.51:30.16:
8.33(重量比)の組成の溶液を調製し、3.00g
を秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこへ、5
00℃で2時間焼成したUSY12(PQコーポレーシ
ョン社製;フォージャサイト型Yゼオライトを脱アルミ
ニウム処理したもの;シリカ/アルミナ比=12(mo
l/mol))を1.0g秤量し、室温で1時間放置し
た後、よく攪拌しさらに1時間放置した。その後実施例
1と同様の方法で、吸着選択係数を算出した。吸着選択
係数αは1.47だった。分離対象物のMaxR2/2
=2.17Å、移動相添加剤のMaxR=25.96
Å、MaxR2=28.8Å、MaxR/2=14.4
Å、吸着剤の細孔径R=7.4Åであり、実施例1と同
様の効果が得られていることが分かる。
【0145】(実施例48)DPTFA−B−CD:n
−ドデカン(東京化成社製):RS−クロロプロピオン
酸メチル(東京化成社製)=61.51:30.16:
8.33(重量比)の組成の溶液を調製し、3.00g
を秤りとりスリ付き三角フラスコへ入れた。そこへ、5
00℃で2時間焼成したUSY12(PQコーポレーシ
ョン社製;フォージャサイト型Yゼオライトを脱アルミ
ニウム処理したもの;シリカ/アルミナ比=12(mo
l/mol))を1.0g秤量し、70℃で1時間放置
した後、よく攪拌しさらに1時間放置した。その後実施
例1と同様の方法で、吸着選択係数を算出した。吸着選
択係数αは1.47だった。分離対象物のMaxR2/
2=2.17Å、移動相添加剤のMaxR=25.96
Å、MaxR2=28.8Å、MaxR/2=14.4
Å、吸着剤の細孔径R=7.4Åであり、実施例1と同
様の効果が得られていることが分かる。
【0146】
【発明の効果】多孔性吸着剤と混合化合物を接触させ、
さらに移動相を接触させて混合化合物を吸着分離する際
に、移動相の添加剤のMaxR値を、多孔性吸着剤の細
孔径Rよりも大きくすることで混合化合物を効率的に吸
着分離することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるMaxR値およびMaxR2値
の算出方法を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 69/63 C07C 69/63 C08B 37/16 C08B 37/16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性吸着剤と混合化合物を接触させ、
    さらに添加剤を含む移動相を接触させて混合化合物を吸
    着分離する際に、移動相の添加剤のMaxR値が、多孔
    性吸着剤の細孔径Rよりも大きいことを特徴とする混合
    化合物の吸着分離方法。
  2. 【請求項2】 移動相の添加剤のMaxR2値と多孔性
    吸着剤の細孔径Rと分離しようとする混合化合物に含ま
    れる少なくとも1種類の化合物の分子径のMaxR2値
    の間に MaxR2(移動相添加剤)>R>MaxR2/2(混
    合化合物) の関係が成り立つことを特徴とする請求項1記載の混合
    化合物の吸着分離方法。
  3. 【請求項3】 多孔性吸着剤がゼオライトであることを
    特徴とする請求項1または2に記載の混合化合物の吸着
    分離方法。
  4. 【請求項4】 ゼオライトが脱アルミニウム処理したゼ
    オライトであることを特徴とする請求項3記載の混合化
    合物の吸着分離方法。
  5. 【請求項5】 移動相の添加剤が光学活性化合物であ
    り、混合化合物が光学異性体の混合物であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の混合化合物の吸
    着分離方法。
  6. 【請求項6】 添加剤の移動相中の濃度が、1重量%以
    上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の吸着分離方法。
  7. 【請求項7】 吸着分離方法が回分式または移動床方式
    または擬似移動床方式である請求項1〜6のいずれかに
    記載の吸着分離方法。
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JP2021084868A (ja) * 2019-11-27 2021-06-03 ダイキン工業株式会社 アルカン化合物の製造方法

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WO2021106813A1 (ja) * 2019-11-27 2021-06-03 ダイキン工業株式会社 アルカン化合物の製造方法
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