JPH11104876A - 光ビーム加工機及びそのビーム照射方法 - Google Patents

光ビーム加工機及びそのビーム照射方法

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JPH11104876A
JPH11104876A JP9282655A JP28265597A JPH11104876A JP H11104876 A JPH11104876 A JP H11104876A JP 9282655 A JP9282655 A JP 9282655A JP 28265597 A JP28265597 A JP 28265597A JP H11104876 A JPH11104876 A JP H11104876A
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Japan
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light beam
irradiation position
irradiation
irradiated
moving
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JP9282655A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Sajiki
一明 桟敷
Noriyuki Sekizawa
紀之 堰澤
Yoshiyuki Niwatsukino
義行 庭月野
Hironobu Ishimabuse
広信 石間伏
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工に要する時間を増大させずに、均一な加
工を行うことのできる光ビーム加工機及びそのビーム照
射方法を提供する。 【解決手段】 光源1と、ワーク10の表面に照射され
る光ビーム12の照射位置をX軸又はY軸の方向に順次
移動させる照射位置移動手段11と、この照射位置移動
手段11に移動指令を出力して照射位置を制御する制御
器15とを備えた光ビーム加工機において、ワーク10
に照射される光ビーム12の断面形状13を整形し、整
形後の光ビーム12をX軸又はY軸のいずれか1方向に
所定距離移動して移動前の照射部分に移動後の照射部分
の一部を重ね合わせたときに、重ね合わせた照射部分の
前記移動した方向に垂直な方向の整形された断面形状1
3の移動前の長さと移動後の長さとの和が、重ならない
照射部分の断面形状13の長さと等しくなるようにした
ビーム整形手段6,9を付設し、前記制御器15は、照
射位置をまず前記他方向に順次移動させ、次に前記1方
向に前記所定距離移動させた後、再び他方向に順次移動
させるように前記移動指令を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークに光ビーム
を照射してワークを加工する光ビーム加工機及びそのビ
ーム照射方法に関し、特に、光ビームの断面より大きな
ワークに対して光ビームを相対的に移動し、加工を行な
う光ビーム加工機及びビーム照射方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】レーザ加工機を例に取って、従来の技術
を説明する。光ビーム加工機には、ワークに光ビームを
直接照射するものと、光ビームを所定の加工パターンを
有するマスクに照射し、そのパターンをワークに転写す
るものがあるが、ここでは、ワークに光ビームを直接照
射するものを例に取って説明する。また、光ビームをワ
ークやマスクに対して相対的に移動する際に、光ビーム
を移動すると記載する。
【0003】特開平7−106247号公報には、レー
ザビームをワークに照射してワークを加工するレーザ加
工機、及びその照射方法が開示されている。図23にお
いて、図示されていないレーザから出射されたレーザビ
ームは、光学部品40によってX方向幅BX 、Y方向幅
BY の方形の断面形状41を持つ光ビーム42に整形さ
れ、照射位置移動手段11によってX軸方向及びY軸方
向に駆動されるワーク10に照射される。また、制御器
15は、この照射位置移動手段11に所定の指令を出力
して、照射位置の制御を行なっている。
【0004】上記のように従来においては、ワーク10
に照射される光ビーム42の断面形状41は長方形或い
は正方形の方形であり、その隣り合う2辺がX軸及びY
軸に対してそれぞれ平行になるように照射されるのが一
般的であった。
【0005】ここで図24に示すように、光ビーム42
が照射される領域はワーク10より小さいため、光ビー
ムを移動させながらワークを加工することが必要とな
り、制御器15は照射位置移動手段11により光ビーム
を移動させ、ワーク10の加工の必要な全領域を加工し
ている。このとき、図25に示すように光ビーム42
A,42B,42Cを繋ぎながらワークを加工すること
が必要となるが、光ビーム42の断面形状41が正確な
長方形でないなどの理由から、隣り合う光ビーム42を
精度良く繋ぎ合わせるのは非常に困難であり、その継ぎ
目44A,44B,44Cに未加工部分が生じる恐れが
あった。このため、図26i)に示すように、光ビーム4
2の一部をそれぞれ重ね合わせながら加工を行うように
していた。図においては、重ね合わせの理解のために光
ビーム42の角に丸みをつけてあるが、実際には角が直
角である場合もある。
【0006】ところが、このとき重複部分45A,45
B,45Cに光ビームが重複して照射されるため、図2
6ii) に示すように、この重複部分45には他の部分の
二倍のエネルギーが照射され、適正な加工のためのビー
ム照射量を大きく上回る。加工が刻印であれば深さがワ
ークの厚みを越えて突き抜けたり、ワークが多層からな
る薄膜であった場合には下の層を損傷したりするという
不具合が生じることになる。
【0007】このような問題を避ける為に、前記特開平
7−106247号公報に開示されたレーザ加工機に
は、ビームの照射むらを避ける技術が採用されている。
図27i)に示すように、光ビーム42はワーク10に対
してX方向に移動量dX ずつ移動する。このとき、ワー
クの加工に適切なビーム照射量をPとすると、1回の移
動で照射する量をその1/nとすると共に、X方向のビ
ームの移動量dX を、ビーム幅BX の1/nとし、加工
を行うものである。ここでnは、2以上の自然数であ
る。
【0008】例えばパルスレーザの場合には、加工に適
切な照射パルス数をkとすると、1回の移動の間の照射
パルス回数をk/nとすればよいし、連続発振レーザの
場合には1回の移動の間の照射時間を所定の照射時間の
1/nとすればよい。また、それぞれビームの強度を1
/nに弱くしてもよいし、これらの方法を組み合わせて
もよい。
【0009】このようにすれば、図27ii) に示すよう
にビーム照射量は全体的に平均化され、照射量が多い部
分と少ない部分との差はP/nとなり、均一な加工を行
うことができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】通常、加工において
は、Y方向の均一性もX方向と同様に重要である。この
ため従来技術においては図28に示すように、光ビーム
42がX方向に順次微少の移動量dX (つまり、ビーム
幅BX の1/nに等しい)だけ移動して、ワーク10の
端部まで来ると、同様にY方向のビーム幅BY の1/n
に等しい微少の移動量dY だけY方向に移動する。そこ
から図29に示すように−X方向に再び微少の移動量d
X ずつ移動しながら照射される。これを順次繰り返すこ
とによって、Y方向に対しても加工の均一性を得ること
ができる。
【0011】しかしながら、このようにX方向、Y方向
ともに順次微少移動量ずつ細かな移動を行うことに伴っ
て、移動に要する全所要時間は非常に大きなものとな
る。その結果として、加工に要する時間を著しく増大さ
せ、加工コストが増加するという問題が生じる。
【0012】本発明は上記の問題点に着目してなされた
ものであり、加工に要する時間を増大させずに、均一な
加工を行うことのできる光ビーム加工機及びそのビーム
照射方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光ビー
ム12を出射する光源1と、入力する移動指令に基づい
て、加工対象のワーク10の表面に照射される前記光ビ
ーム12の照射位置をX軸又はY軸の方向に順次移動さ
せる照射位置移動手段11と、この照射位置移動手段1
1に移動指令を出力して照射位置を制御する制御器15
とを備え、前記ワーク10に光ビーム加工を行なう光ビ
ーム加工機において、前記ワーク10に照射される前記
光ビーム12の断面形状13を整形し、整形後の光ビー
ム12を前記X軸又はY軸のいずれか1方向に所定距離
移動して移動前の照射部分に移動後の照射部分の一部を
重ね合わせたときに、この重ね合わせた照射部分の前記
移動した方向に垂直な方向の前記整形された断面形状1
3の移動前の長さと移動後の長さとの和が、重ならない
照射部分の断面形状13の長さと等しくなるようにした
ビーム整形手段6,9を付設し、前記制御器15は、光
ビーム12の照射位置をまず前記他方向に順次移動さ
せ、次に前記1方向に前記所定距離移動させた後、再び
他方向に順次移動させるように、照射位置移動手段11
に移動指令を出力する構成としている。
【0014】請求項1記載の発明によると、光ビームを
所定方向(例えばX方向)に順次移動する際に、ワーク
に照射される上記光ビームの照射量は、光ビームの断面
の前記所定方向(X方向)の長さに比例する。次に、こ
の所定方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)に所定距
離移動させた後に、再び前記所定方向(X方向)に順次
移動させて光ビームの照射部分の一部を重ね合わせた際
の、この重ね合わせた照射部分の光ビームの照射量は、
光ビームの断面の前記所定方向(X方向)の前記所定距
離移動する前の長さと移動後の長さの和に比例する。こ
の長さの和が、重ならない照射部分の光ビームの断面の
前記所定方向(X方向)の長さと等しくなるように光ビ
ームの断面形状をビーム整形手段により整形し、前記重
ね合わせる照射部分で重ね合わせているので、ワークに
照射されるトータルビーム照射量が均一となる。この結
果、ビーム整形手段の前記所定距離移動する方向(Y方
向)の長さを任意の長さにすることができるので、前記
所定距離を、従来の移動方法のような微少移動量(ビー
ム幅BY の1/n)とする必要がなく、長くすることが
できる。この結果、1方向(Y方向)の移動に要する全
時間を短縮化できるので、加工に要する時間を増大する
ことなしに、均一な加工を行なうことができる。
【0015】また、上記の目的を達成するために、請求
項2に記載の発明は、光ビーム12を出射する光源1
と、入射した前記光ビーム12を透過させる加工パター
ンを有するマスク28と、入力する移動指令に基づい
て、前記マスク28の加工パターンを透過して加工対象
のワーク10の表面に照射される光ビーム12の照射位
置をX軸又はY軸の方向に順次移動させる照射位置移動
手段11と、この照射位置移動手段11に移動指令を出
力して照射位置を制御する制御器15とを備え、ワーク
10を前記加工パターンに従って光ビーム加工を行なう
光ビーム加工機において、前記マスク28に照射される
前記光ビーム12の断面形状13を整形し、整形後の光
ビーム12を前記X軸又はY軸のいずれか1方向に所定
距離移動して移動前の照射部分に移動後の照射部分の一
部を重ね合わせたときに、この重ね合わせた照射部分の
前記移動した方向に垂直な方向の前記整形された断面形
状13の移動前の長さと移動後の長さとの和が、重なら
ない照射部分の断面形状13の長さと等しくなるように
したビーム整形手段6,9を付設し、前記制御器15
は、光ビーム12の照射位置をまず前記他方向に順次移
動させ、次に前記1方向に前記所定距離移動させた後、
再び他方向に順次移動させるように、照射位置移動手段
11に移動指令を出力する構成としている。
【0016】請求項2記載の発明によれば、光ビームを
所定方向(例えばX方向)に順次移動する際に、マスク
に照射される上記光ビームの照射量は、光ビームの断面
の前記所定方向の長さに比例する。次に、この所定方向
(X方向)に垂直な方向(Y方向)に所定距離移動させ
た後に、再び前記所定方向(X方向)に順次移動させて
光ビームの照射部分の一部を重ね合わせた際の、この重
ね合わせた照射部分の光ビームの照射量は、光ビームの
断面の前記所定方向(X方向)の前記所定距離移動する
前の長さと移動後の長さの和に比例する。この長さの和
が、重ならない照射部分の光ビームの断面の前記所定方
向(X方向)の長さと等しくなるように光ビームの断面
形状をビーム整形手段により整形し、前記重ね合わせる
照射部分で重ね合わせているので、ワークに照射される
トータルビーム照射量が均一となる。この結果、ビーム
整形手段の前記所定距離移動する方向(Y方向)の長さ
を任意の長さにすることができるので、前記所定距離
を、従来の移動方法のような微少移動量(ビーム幅BY
の1/n)とする必要がなく、長くすることができる。
この結果、1方向(Y方向)の移動に要する全時間を短
縮化できるので、加工に要する時間を増大することなし
に均一な加工を行なうことができる。
【0017】また、上記の目的を達成するために、請求
項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の光ビーム加
工機において、前記ビーム整形手段としてビームホモジ
ナイザ6又はアパーチャ9のうち少なくともいずれか一
方を使用した構成としている。
【0018】請求項3記載の発明によれば、上記ビーム
ホモジナイザ又はアパーチャは、ビーム整形手段として
は通常広く使用されているが、本発明に関わるような所
定の断面形状を有する光ビームとなるように、ビーム整
形を容易に行なうことができるので、少なくともいずれ
か一方を使用することによって、上記ビーム整形を容易
に行なうことができる。
【0019】また、上記の目的を達成するために、請求
項4に記載の発明は、請求項1又は2記載の光ビーム加
工機において、前記ビーム整形手段は、前記重ね合わせ
た各照射部分の光ビーム12の断面の前記他方向の長さ
を前記1方向の位置に対する関数で表したときに、この
関数を傾斜の大きさが等しく、かつ符号が反対となる直
線となるように整形している。
【0020】請求項4記載の発明によれば、上記光ビー
ムの断面形状をいずれも直線で形成することができるの
で、ビーム整形手段の製作を、容易に、かつ安価に行な
うことができる。
【0021】また、上記の目的を達成するために、請求
項5に記載の発明は、請求項1又は2記載の光ビーム加
工機において、前記光源1としてレーザ発振器を備えて
いる。
【0022】請求項5記載の発明によれば、パワー制御
を精密に行なうことができ、均一な光ビーム加工を行な
うことができる。
【0023】また、上記の目的を達成するために、請求
項6に記載の発明は、光源から出射された光ビーム12
を加工対象のワーク10の表面に照射し、この光ビーム
12の照射位置をX軸又はY軸のいずれか1方向に順次
移動させ、この1方向の移動終了後に照射位置を他方向
に移動した後、再び前記1方向に順次移動させて、前記
ワーク10に光ビーム加工を行なう光ビーム加工機の照
射方法において、前記ワーク10に照射する前記光ビー
ム12の断面形状13を所定形状に整形し、この整形後
の光ビーム12の照射位置を前記他方向に所定距離移動
した後、再び前記1方向に順次移動させて移動前の照射
部分に移動後の照射部分の一部が重なるようにし、この
重ね合わせた照射部分のトータルビーム照射量Tt(Y)
が、重ならない照射部分のトータルビーム照射量Tt(Y)
と等しくなるようにしている。
【0024】請求項6記載の発明によれば、重ね合わせ
た照射部分に照射されるトータルビーム照射量の和が、
重ならない照射部分におけるトータルビーム照射量と等
しくなり、ワークに照射されるトータルビーム照射量が
均一となるので、加工に要する時間を増大することなし
に均一な加工を行なうことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関わる実施形態
を、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】図1は、本発明の第1の実施形態における
光ビーム加工機を示したものである。レーザビームを発
生するレーザ発振器1から出射した光ビーム2は、ミラ
ー3によって反射された後、ビームを拡大するビームエ
キスパンダ4によって拡大されて光ビーム5となり、ビ
ームの強度分布を均一化するビームホモジナイザ6によ
って均一化されて光ビーム7となり、開口部8の形状に
伴ってビームの断面形状を整形するビーム整形手段の一
例としてのアパーチャ9によって整形を施され、光ビー
ム12となって、ワーク10に照射される。ワーク10
は、制御器15からの指令を受けた照射位置移動手段1
1によって、X方向及びY方向に移動する。ここで制御
器15は、例えばマイクロコンピュータからなるコンピ
ュータシステムで構成されている。
【0027】ワーク10に照射される光ビーム12の断
面形状13を、図2に示す。このとき、断面形状13を
X軸に投影したときの最大値、最小値をそれぞれXM ,
Xm、Y軸に投影したときの最大値、最小値をそれぞれ
YM 、Ym とし、Y=YM の点をC1、X=XM の点を
C2、Y=Ym の点をC3、X=Xm の点をC4とする
とともに、同図におけるC1−C2−C3で表わされる
曲線を、X2=f(Y)、C1−C4−C3で表される曲
線を、X1=g(Y) とする。
【0028】この光ビーム12を、図3に示すようにX
方向に重ね合わせて照射していくならば、ワーク10上
のある点におけるビーム照射量T(Y) はYの関数で表わ
され、以下の数1を満足する。
【数1】T(Y) =X2−X1=f(Y) −g(Y) 図4に、これを図示する。
【0029】X方向への加工が終了した後、図5に示す
ように光ビーム12をY方向に移動量dY0だけ移動を行
ない、そこから−X方向へ加工を行なう。これを繰り返
すと、図6に示すように、重ね合わせた照射部分Pの任
意の点におけるトータルビーム照射量Tt(Y)は、Y方向
への移動前と移動後のそれぞれのビーム照射量Ta(Y)
とビーム照射量Tb(Y) とを足し合わせたものとなる。
【0030】すなわち、加工を均一に行なうためには、
このトータルビーム照射量Tt(Y)が均一になるように光
ビーム12の断面形状13を整形し、かつビームのY方
向移動量dY0を定めればよい。このことは、前記数1よ
り、Y方向へ移動して重ね合わせた照射部分Pにおける
光ビーム12の断面形状13のX方向(ここでは、Y方
向に垂直な方向)の長さの移動前と移動後の和が、重な
らない断面形状13のX方向の長さと等しくなるように
することである。
【0031】以下に、本実施形態において、上記のよう
な作用を生じさせるビームの断面形状13を、具体的に
説明する。
【0032】図7は、上記断面形状13を有する光ビー
ム12を、ワーク10に照射した際の図である。断面形
状13は、平行な一組の直線D1(Y),D2(Y)と、曲線D
3(Y),D4(Y)とから構成されている。同図において、直
線D1(Y)と曲線D3(Y),D4(Y)とが交わる点のY座標
が、それぞれ前記Ym ,YM となる。また、直線D2(Y)
と曲線D3(Y),D4(Y)とがそれぞれ交わる点のY座標を
Y1 ,Y2 とする。
【0033】この光ビーム12がX方向に移動した場合
のビーム照射量T(Y) を、図8に示す。同図において、
ビーム照射量T(Y) は、Y1 〜Y2 の範囲に対応したY
軸に平行な直線T1(Y)と、その両端のYm 〜Y1 の範囲
P1 、及びY2 〜YM の範囲P2 にそれぞれ対応した曲
線T2(Y),T3(Y)とからなっており、この直線T1(Y)の
値は一定値T0 を取る。
【0034】本実施形態では、上記光ビーム12の断面
形状13を、以下の数2を満足するようにY1 、Y2 、
YM 、Ym を定める。さらに、この光ビーム12をY方
向に移動し、その移動前の範囲P2 と移動後の範囲P1
とを重ね合わせた際に、以下の数3を満足するように、
直線D1(Y),D2(Y)、及び曲線D3(Y),D4(Y)を定め
る。
【数2】YM −Y2 =Y1 −Ym
【数3】(D3(Y)−D1(Y))+(D4(Y)−D1(Y))=
(D2(Y)−D1(Y)) すなわち、光ビーム12の断面形状13を、重ね合わせ
た照射部分の移動前のX方向の長さL1 (D4(Y)−D1
(Y)に等しい)と移動後のX方向の長さL2 (D3(Y)−
D1(Y)に等しい)との和が、重ならない照射部分のX方
向の長さL3 (D2(Y)−D1(Y)に等しい)と等しくなる
ように整形する。これによって、ビーム照射量T(Y) は
以下の数4の関係を満たし、重ね合わせた照射部分のト
ータルビーム照射量(T2(Y)+T3(Y)で表される)と、
重ならない照射部分のトータルビーム照射量T1(Y)とが
等しくなる。
【数4】T1(Y)=T2(Y)+T3(Y)=T0
【0035】図9に、本実施形態に基づくアパーチャ9
の詳細図面を示す。アパーチャ9の開口部8の形状は、
図7に示した光ビーム12の断面形状13と相似形にな
っている。
【0036】図10に、このビームの照射方法を示す。
開口部8を通過した光ビーム12は、断面形状13の直
線D1(Y)がY軸に平行になるようにワーク10に照射さ
れる。そして、Y方向の移動に際しては、断面形状13
の曲線D3(Y)と曲線D4(Y)の部分がちょうど重なるよう
に移動量dY0を定める。すなわち、以下の数5を満足す
るように移動量dY0を定めればよい。
【数5】dY0=YM −Y1 =Y2 −Ym
【0037】これにより、図11に示すように、重ね合
わせた照射部分のトータルビーム照射量Tt(Y)は、移動
前のビーム照射量T2(Y)と移動後のビーム照射量T3(Y)
との和となり、前記数4に基づいて以下の数6で示すよ
うに一定となる。
【数6】Tt(Y)=T0
【0038】すなわち、ビームをY方向に重ね合わせた
場合にトータルビーム照射量Tt(Y)を一定値T0 にする
ことができ、しかもY方向の移動量をビーム幅以内の任
意の大きさにできるので、従来の移動量に比べて大きく
することができる。従って、加工に要する時間を増大す
ることなしに均一な加工を行なうことができる。
【0039】本実施形態の特別の場合として、光ビーム
12の断面形状13を図12に示すような等脚台形とし
てもよい。このときのビーム照射量を図13に示す。同
図においてT2(Y)とT3(Y)は、Y軸に対する傾きが、符
号が逆で大きさが等しい直線となり、上記の数式2及び
数式3を満足する。よって図14に示すように、前記数
5を満足するように加工時に重ね合わせることによっ
て、加工に要する時間を増大することなしにトータルビ
ーム照射量Tt(Y)を均一にし、均一な加工を行なうこと
ができる。断面形状13を等脚台形にすることによっ
て、アパーチャ9の形状をすべて直線で形成できるの
で、アパーチャ9の製作が容易である。
【0040】本実施形態の他の場合として、光ビーム1
2の断面形状13を図15に示すような二等辺三角形と
してもよい。これは、上記T1(Y)に当たる直線部分が存
在せず、Y1 とY2 が一致する場合であって、図16に
示すように前記数5を満足するように加工時に重ね合わ
せることによって、加工に要する時間を増大することな
しにトータルビーム照射量Tt(Y)を均一にし、均一な加
工を行なうことができる。
【0041】上述した以外にも、アパーチャ9の開口部
8の形状を、図17i)〜iv) に示すような形状にしたも
のが実施形態として挙げられる。これらはいずれも、前
記数2及び数3を満足するような形状とする。これら
を、前記数5を満足するように重ね合わせることによっ
て、加工に要する時間を増大することなしにトータルビ
ーム照射量Tt(Y)を均一にし、均一な加工を行なうこと
ができる。
【0042】また、これまでの説明においては、ビーム
照射量が厳密に均一でなければならないように説明した
が、従来技術で説明したようにX方向の移動の際にはP
/n程度の照射量のむらが存在し、この程度であれば加
工の精度には悪影響がない。本発明においては、Y方向
の移動量dy0が多少不正確であっても、重ね合わせる部
分のビーム照射量T2(Y)とT3(Y)の傾きを緩やかにする
ことによって、トータルビーム照射量Tt(Y)の誤差を小
さくできるという効果がある。
【0043】次に、図18〜図20に基づいて、第2の
実施形態を説明する。図18は、本実施形態における加
工機の構成を示したものである。ビーム整形手段である
アパーチャ9の開口部8の形状は、隣り合う2辺の向き
をX軸及びY軸に対して光軸14を中心に角度θだけ回
転させた方形としている。この結果として、図19に示
すようにワーク10に照射される光ビーム12の断面形
状13は、上記方形をX軸に対して角度θだけ回転した
形状となる。
【0044】このビームを、図20に示すように移動量
dXずつX方向にずらしながらワーク10に照射したと
きのビーム照射量T(Y) は、図13に図示した場合と同
じく短辺がY軸に平行な等脚台形となり、これをY軸方
向移動時に前記数5を満足するようにdy0だけ移動して
重ね合わせると、図14に図示した場合と同じくトータ
ルビーム照射量Tt(Y)は均一になる。よって、加工に要
する時間を増大することなしにトータルビーム照射量T
t(Y)を均一にし、均一な加工を行なうことができる。
【0045】このとき、アパーチャ9の開口部8を回転
させる角度θが大きくなるほど図13における直線部分
T1(Y)は小さくなる。そして、断面形状13における向
かい合った2頂点を結ぶ直線がX軸と平行になると、直
線部分T1(Y)がなくなって、T(Y) は二等辺三角形とな
る。
【0046】次に、図21に基づいて、第3の実施形態
を説明する。図21は、本実施形態における加工機の構
成を示している。
【0047】同図において、水銀ランプ21から発せら
れた光22は、光を反射するリフレクタ23によって平
行光25となって図中下方へ照射され、ビームホモジナ
イザ6に入射する。ビームホモジナイザ6によって強度
分布を均一化された光ビーム26は、ビーム整形手段と
してのアパーチャ9の開口部8を通過し、所定の断面形
状に整形されてワーク10に照射される。
【0048】本実施形態は、上述した第1及び第2の実
施形態においてレーザ光の代わりに水銀ランプの出射光
を使用したものであり、アパーチャ9の開口部8の形状
を、上記第1の実施形態に記載した通りに形成し、ビー
ム照射方法を上記第1の実施形態と同様にすることによ
って、加工に要する時間を増大することなしにトータル
ビーム照射量Tt(Y)を均一にし、均一な加工を行なうこ
とができる。また、アパーチャ9の開口部8の形状を上
記第2の実施形態に記載した通りに形成し、上記第2の
実施形態に記載した通りに回転し、ビーム照射方法を上
記第2の実施形態と同様にすることによって、加工に要
する時間を増大することなしにトータルビーム照射量T
t(Y)を均一にし、均一な加工を行なうことができる。
【0049】次に、第4の実施形態を図22に基づいて
説明する。図22は、本実施形態におけるビーム加工機
の構成図を示している。同図において、図示されないレ
ーザ発振器から照射された光ビーム5は、図示されない
ビームエキスパンダによって拡大され、ビーム整形手段
のビームホモジナイザ6により整形され、均一化され
る。ビームホモジナイザ6は出射する光ビーム27を縮
小するレンズ34と一体に構成されており、出射された
光ビーム27は加工パターンを描画したマスク28に照
射される。光ビーム27が照射される領域に比べてマス
ク28が大きい場合には、マスク28は移動手段31に
よってX軸方向及びY軸方向に移動される場合もある。
マスク28を透過した光ビーム29は投影レンズ30に
よって照射位置移動手段11上に搭載されたワーク10
に照射され、この照射位置移動手段11を使用してワー
ク10を移動させながら加工が行なわれる。
【0050】本実施形態によるビームホモジナイザ6
は、光ビーム5が入射する開口部32が方形となってお
り、かつ光ビーム5の断面より小さく構成されていて、
ビーム整形手段を兼ねている。このビームホモジナイザ
6を、光軸14を中心に所定の角度θだけ回転させ、マ
スク28に照射される光ビーム27の断面形状33を、
上記第2の実施形態におけるものと同様の、方形を光軸
を中心に所定の角度θだけ回転させたものとしている。
【0051】マスク28を透過した光ビーム29をワー
ク10に照射した場合のビーム照射量T(Y) は、図13
に示したものと同じく等脚台形になる。よって、前記数
5を満足するように加工時に重ね合わせることによっ
て、加工に要する時間を増大することなしにトータルビ
ーム照射量Tt(Y)を均一にし、均一な加工を行なうこと
ができる。
【0052】以上説明したように、本発明によればワー
クに照射される光ビームの断面形状を、光ビームを1方
向に移動した後に重ね合わせた部分の他方向の長さの和
が、光ビームを重ね合わせない部分の他方向の長さに等
しくなるように整形すると共に、光ビームを前記1方向
に重ね合わせているので、上記重ね合わせた部分と重ね
合わせない部分とで、ワークに照射されるトータルビー
ム照射量が均一となる。この結果、加工時に光ビームを
前記1方向に移動する距離を小さくすることなしにワー
クに照射するビーム照射量を均一にできるので、移動時
間ひいては加工に要する時間を増大させずに、均一な加
工を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における、光ビーム加
工機の構成図である。
【図2】ビームの断面形状の詳細図である。
【図3】ビームの照射方法を示した説明図である。
【図4】ビームを、X方向に重ね合わせてワークに照射
した際の、ビーム照射量T(Y)を示す説明図である。
【図5】ビームの照射方法を示した説明図である。
【図6】ビームをY方向に重ね合わせてワークに照射し
た際のビーム照射量を足し合わせた、トータルビーム照
射量Tt(Y)の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における、ワークに照
射されたビームの説明図である。
【図8】ビームを、X方向に重ね合わせてワークに照射
した際の、ビーム照射量T(Y)の説明図である。
【図9】第1の実施形態に基づくアパーチャの詳細図面
である。
【図10】本発明の第1の実施形態における、ビームの
照射方法の説明図である。
【図11】ビームをY方向に重ね合わせた際のビーム照
射量を足し合わせた、トータルビーム照射量Tt(Y)の説
明図である。
【図12】ビームの断面形状を等脚台形にした場合の、
ビームの照射方法の説明図である。
【図13】ビームをX方向に重ね合わせてワークに照射
した際の、ビーム照射量T(Y) の説明図である。
【図14】ビームをY方向に重ね合わせてワークに照射
した際のビーム照射量を足し合わせた、トータルビーム
照射量Tt(Y)の説明図である。
【図15】ビームの断面形状を二等辺三角形にした場合
の、ビームの照射方法の説明図である。
【図16】ビームをY方向に重ね合わせてワークに照射
した際のビーム照射量を足し合わせた、トータルビーム
照射量Tt(Y)の説明図である。
【図17】アパーチャの開口部の形状の、他の例を示す
説明図である。
【図18】本発明の第2の実施形態における、光ビーム
加工機の構成図である。
【図19】本発明の第2の実施形態における、ワークに
照射されたビームの説明図である。
【図20】本発明の第2の実施形態における、照射方法
の説明図である。
【図21】本発明の第3の実施形態における、加工機の
構成図である。
【図22】本発明の第4の実施形態における、加工機の
構成図である。
【図23】従来技術における、加工機の構成図である。
【図24】従来技術における、ビームの照射方法の説明
図である。
【図25】従来技術における、ビームの詳細図である。
【図26】従来技術における、ビームの照射方法と、そ
の際のビーム照射量を示した説明図である。
【図27】従来技術における、ビームの照射方法と、そ
の際のビーム照射量を示した説明図である。
【図28】従来技術における、ビームの照射方法の説明
図である。
【図29】従来技術における、ビームの照射方法の説明
図である。
【符号の説明】
1 レーザ発振器 2、5、7、12、26、27、29、42 光ビーム 3 ミラー 4 ビームエキスパンダ 6 ビームホモジナイザ 8、32 開口部 9 アパーチャ 10 ワーク 11 照射位置移動手段 13、33、41 断面形状 14 光軸 21 水銀ランプ 22 光 23 リフレクタ 24 レンズ 25 平行光 28 マスク 30 投影レンズ 31 移動手段 40 光学部品 44 継ぎ目 45 重複部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石間伏 広信 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビーム(12)を出射する光源(1) と、 入力する移動指令に基づいて、加工対象のワーク(10)の
    表面に照射される前記光ビーム(12)の照射位置をX軸又
    はY軸の方向に順次移動させる照射位置移動手段(11)
    と、 この照射位置移動手段(11)に移動指令を出力して照射位
    置を制御する制御器(15)とを備え、 前記ワーク(10)に光ビーム加工を行なう光ビーム加工機
    において、 前記ワーク(10)に照射される前記光ビーム(12)の断面形
    状(13)を整形し、整形後の光ビーム(12)を前記X軸又は
    Y軸のいずれか1方向に所定距離移動して移動前の照射
    部分に移動後の照射部分の一部を重ね合わせたときに、
    この重ね合わせた照射部分の前記移動した方向に垂直な
    方向の前記整形された断面形状(13)の移動前の長さと移
    動後の長さとの和が、重ならない照射部分の断面形状(1
    3)の長さと等しくなるようにしたビーム整形手段(6,9)
    を付設し、 前記制御器(15)は、光ビーム(12)の照射位置をまず前記
    他方向に順次移動させ、次に前記1方向に前記所定距離
    移動させた後、再び他方向に順次移動させるように、照
    射位置移動手段(11)に移動指令を出力するようにしたこ
    とを特徴とする光ビーム加工機。
  2. 【請求項2】 光ビーム(12)を出射する光源(1) と、 入射した前記光ビーム(12)を透過させる加工パターンを
    有するマスク(28)と、入力する移動指令に基づいて、前
    記マスク(28)の加工パターンを透過して加工対象のワー
    ク(10)の表面に照射される光ビーム(12)の照射位置をX
    軸又はY軸の方向に順次移動させる照射位置移動手段(1
    1)と、 この照射位置移動手段(11)に移動指令を出力して照射位
    置を制御する制御器(15)とを備え、 ワーク(10)を前記加工パターンに従って光ビーム加工を
    行なう光ビーム加工機において、 前記マスク(28)に照射される前記光ビーム(12)の断面形
    状(13)を整形し、整形後の光ビーム(12)を前記X軸又は
    Y軸のいずれか1方向に所定距離移動して移動前の照射
    部分に移動後の照射部分の一部を重ね合わせたときに、
    この重ね合わせた照射部分の前記移動した方向に垂直な
    方向の前記整形された断面形状(13)の移動前の長さと移
    動後の長さとの和が、重ならない照射部分の断面形状(1
    3)の長さと等しくなるようにしたビーム整形手段(6,9)
    を付設し、 前記制御器(15)は、光ビーム(12)の照射位置をまず前記
    他方向に順次移動させ、次に前記1方向に前記所定距離
    移動させた後、再び他方向に順次移動させるように、照
    射位置移動手段(11)に移動指令を出力するようにしたこ
    とを特徴とする光ビーム加工機。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の光ビーム加工機に
    おいて、 前記ビーム整形手段は、ビームホモジナイザ(6) 又はア
    パーチャ(9) のうち少なくともいずれか一方を使用した
    ことを特徴とする光ビーム加工機。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の光ビーム加工機に
    おいて、 前記ビーム整形手段は、前記重ね合わせた両照射部分の
    光ビーム(12)の断面の前記他方向の長さを前記1方向の
    位置に対する関数で表したときに、この関数が、傾斜の
    大きさが等しく、かつ、符号が反対の直線となるように
    整形することを特徴とする光ビーム加工機。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の光ビーム加工機に
    おいて、 前記光源(1) は、レーザ発振器であることを特徴とする
    光ビーム加工機。
  6. 【請求項6】 光源から出射された光ビーム(12)を加工
    対象のワーク(10)の表面に照射し、この光ビーム(12)の
    照射位置をX軸又はY軸のいずれか1方向に順次移動さ
    せ、この1方向の移動終了後に照射位置を他方向に移動
    した後、再び前記1方向に順次移動させて、前記ワーク
    (10)に光ビーム加工を行なう光ビーム加工機の照射方法
    において、 前記ワーク(10)に照射する前記光ビーム(12)の断面形状
    (13)を所定形状に整形し、 この整形後の光ビーム(12)の照射位置を前記他方向に所
    定距離移動した後、再び前記1方向に順次移動させて移
    動前の照射部分に移動後の照射部分の一部が重なるよう
    にし、 この重ね合わせた照射部分のトータルビーム照射量( T
    t(Y)) が、重ならない照射部分のトータルビーム照射量
    ( Tt(Y)) と等しくなるようにしたことを特徴とするビ
    ーム照射方法。
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