JPH11104838A - 疲労強度の優れた構造用鋼溶接継手 - Google Patents

疲労強度の優れた構造用鋼溶接継手

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JPH11104838A
JPH11104838A JP28314597A JP28314597A JPH11104838A JP H11104838 A JPH11104838 A JP H11104838A JP 28314597 A JP28314597 A JP 28314597A JP 28314597 A JP28314597 A JP 28314597A JP H11104838 A JPH11104838 A JP H11104838A
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hardness
welded joint
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Koji Seto
厚司 瀬戸
Shinichi Omiya
慎一 大宮
Yoichi Kayamori
陽一 萱森
Junichi Kobayashi
順一 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 疲労強度を向上させた溶接継手を安定して提
供する。 【解決手段】 溶接止端の表面下0.5mm以内の位置
で、溶融境界から溶接金属側に1mmの範囲において、
JIS Z2244に準拠して測定されたビッカース硬
度の平均値Aと、溶融境界から溶接熱影響部粗粒域側に
1mmの範囲において同様に測定された最高硬度Bの差
(A−B)が、26以上39以下とし、さらに必要に応
じ、母材および溶接金属の成分を限定したことを特徴と
しする疲労強度の優れた構造用鋼溶接継手。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は疲労特性の優れた溶
接継手にかかわるものであり、さらに詳しくは溶接金属
と溶接熱影響部(以下HAZという)の硬度差を小さく
して、溶接金属側のみでの塑性変形の集中を防ぐことに
より疲労強度を高めた溶接継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に構造用鋼板母材の疲労強度は母材
強度の増加につれて増加するが、溶接された継手の疲労
強度(以下、継手疲労強度という)は母材強度を上昇さ
せても向上しないことが通説となっていた。従って構造
用高張力鋼の継手疲労強度は構造用低強度鋼のそれとほ
ぼ同じであり、疲労破壊が問題となる鋼構造物では、高
張力鋼を用いても設計強度を上げることができず、止端
処理と呼ばれる改善処理により高張力鋼の継手疲労強度
を確保する方法が研究されてきた。例えば、グラインダ
ーによって止端を研削して止端半径を大きくする方法、
TIG溶接およびプラズマ処理によって止端を再溶融し
て止端形状を滑らかにする方法(例えば特公昭54−3
0386号に開示)、ショットピーニングによって止端
に圧縮残留応力を発生させる方法などが代表的な止端処
理方法である。発明者らは、継手疲労強度向上の具体的
な手段として、構造用鋼溶接止端の表面下0.5mmに
おける溶融境界から溶接金属側へ1mmの範囲における
硬度の平均値と、HAZ側へ1mmの範囲における硬度
の最高値の硬度の差を一定値以下とすることを、特開平
7−171679号公報において開示している。
【0003】構造用鋼に限定しなければ、冷延鋼板など
薄鋼板のスポット溶接継手疲労強度向上を目的とした発
明はいくつかあり、特公平3−56301号、特開昭6
3−317625号、特開平3−199342号などの
公報において開示されている。このうち特公平3−56
301号公報では、スポット溶接継手の疲労強度を向上
させるためにナゲット(溶接金属)近傍の硬度分布につ
いて述べており、軟質のナゲットを提案しているが、そ
の理由については言及しておらず、TiまたはNbとB
添加、並びに未再結晶組織の面積率を制限している。特
開昭63−317625号および特開平3−19934
2号公報は、いずれも鋼板の化学成分を限定したもので
あり、前者はTi、Nb、Bの三者共存を、後者はT
i、V、Zrなどの成分添加を提案している。
【0004】また、母材の硬度に着目したものでは特開
平4−329848号があり、フェライト硬度と第2相
硬度に、それぞれの体積率を掛けた値が一定値を満足す
ることを特徴として提案しているが、継手疲労強度につ
いては言及していない。さらに、スポット溶接継手の強
度向上を目的として、特開平2−115352号公報に
よりCu、P、N等の成分を限定し、特定の位置(ナゲ
ット外周から板厚と同じ距離離れたHAZ)での硬度
が、母材硬度およびナゲット部硬度をもとにある関係式
より求められる値以上であることを満足することを特徴
とする鋼板が開示されているが、これも継手疲労強度に
ついては言及していない。また、発明者らも特開平6−
145882号および特開平6−228707号公報に
おいて開示しているように、構造用鋼の継手疲労強度向
上を目的としてCuを添加した低炭素構造用鋼を開発し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のうち薄鋼板
に関する特公平3−56301号では、硬度分布につい
て述べているものの、提案している硬度分布では溶接金
属とHAZに明瞭な硬度差が認められ、柔らかい溶接金
属にひずみ集中が生じて疲労強度の低下を招く。従っ
て、本発明で対象としているアーク溶接継手については
適用できない。さらに、TiまたはNbおよびBの添加
に加えて未再結晶組織の面積率を規定しており、製造コ
ストが高くなるとともに特に加熱・圧延条件の調整が煩
雑になる。特開昭63−317625号公報に開示の発
明ではTi、Nb、Bの同時添加を必須としており、特
開平3−199342号公報に開示の発明でもOが一定
値以下で、かつ、Al/N比を一定値以上にすることを
必須としており、製鋼工程での多大なコスト上昇になる
という問題がある。
【0006】特開平2−115352号公報では、前述
のようにスポット溶接継手の十字引張強度向上を目的と
しており、溶接された継手の疲労強度が向上するかどう
かは不明である。また、硬度を規定している位置は溶接
金属から板厚と同じ距離だけ離れており、アーク溶接継
手で疲労破壊が生じる位置とは大きく異なる。また、発
明者らの提案したCu添加低炭素構造用鋼でも、Cu添
加は製造コスト上昇につながる。
【0007】本発明の目的は、コスト上昇につながる成
分限定を行わず、溶接金属とHAZの硬度差をなくし
て、溶接金属およびHAZの片側のみでのひずみ集中を
抑制することにより、疲労強度を向上させた溶接継手を
安定して得ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、止端近傍を
構成する溶接金属、およびHAZの強度が止端近傍のひ
ずみ分布に影響を及ぼしていると考えた。そして炭素鋼
溶接継手では溶接止端に隣接するHAZが硬化して溶接
金属より高い強度となっていることに注目し、HAZは
ほとんど変形せず溶接金属のみ、厳密にはHAZに極め
て近い溶接金属に大きなひずみが集中していることを明
らかにした。したがって、疲労強度向上のためには、溶
接金属とHAZの硬度差を無くして、両者の境界部分で
なめらかなひずみ分布とすることが効果的と考え、特開
平7−171679号公報において、溶融境界から溶接
金属側に1mmの範囲の硬度の平均値と、溶融境界から
HAZへ1mmの範囲の硬度の差を少なくすることを提
案した。
【0009】しかし、特開平7−171679号公報の
方法では、溶接金属とHAZは同じ強度を有するため止
端近傍は均質材であり、止端半径・フランク角などの止
端形状によって定まるひずみ集中が溶接金属側に存在す
るため、疲労強度を向上させるには限界があることがわ
かった。この課題を解決するためには、溶接金属でのひ
ずみ集中を低減するためにHAZに比べて溶接金属の強
度を高くし、止端形状にもとづくひずみの集中に応じた
強度分布とすることがさらに効果的であることを見出し
た。このため、溶接金属およびHAZの硬度の差を限定
することで疲労強度を安定して向上させることが可能で
あることを知見とするに至って、本発明を完成させたも
ので、その要旨とするところは次の通りである。
【0010】(1)溶接止端の表面下0.5mm以内の
位置で、溶融境界から溶接金属側に1mmの範囲におい
て、JIS Z2244に準拠して測定されたビッカー
ス硬度の平均値Aと、溶融境界から母材の溶接熱影響部
粗粒域側に1mmの範囲において同様に測定された最高
硬度Bの差(A−B)が、26以上39以下であること
を特徴とする疲労強度の優れた構造用鋼溶接継手。
【0011】(2)母材が、重量%で、 0.001≦C≦0.30、 0.01≦Si≦2.00、 0.05≦Mn≦3.0、 0.001≦Al≦0.1、を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物よりなる構造用鋼であることを特徴と
する前記(1)に記載の溶接継手。
【0012】(3)母材が、重量%で、 0.02≦P≦0.20、 0.1≦Cu≦2.0、 0.1≦Ni≦5.0、 0.1≦Mo≦4.0、 0.005≦Nb≦1.0、 0.005≦V≦2.0、 0.005≦Ti≦1.0、 0.0001≦B≦0.01の1種または2種以上をさ
らに含有することを特徴とする前記(2)に記載の溶接
継手。
【0013】(4)溶接金属が、重量%で、 0.001≦C≦0.30、 0.01≦Si≦2.00、 0.05≦Mn≦3.0、 0.001≦Al≦0.1を含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物よりなることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の溶接継手。
【0014】(5)溶接金属が、重量%で、 0.02≦P≦0.20、 0.1≦Cu≦2.0、 0.1≦Ni≦5.0、 0.1≦Mo≦4.0、 0.005≦Nb≦1.0、 0.005≦V≦2.0、 0.005≦Ti≦1.0、 0.0001≦B≦0.01の1種または2種以上をさ
らに含有することを特徴とする前記(4)に記載の溶接
継手。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
まず本発明における硬度差限定理由および疲労強度向上
理由を述べる。溶接継手部の疲労破壊は溶接止端で発生
した疲労亀裂が伝播して生じる。止端近傍で最も応力集
中の大きいところは、溶融境界(Fusion Lin
e)から0.1〜0.2mm程度溶接金属側に入ったと
ころであり、この位置を中心にして止端で塑性変形が生
じ、塑性変形に伴う表面での突き出し・引き込みがやが
て疲労亀裂として発生・伝播するようになる。従来鋼の
溶接止端は、母材と同等かそれ以上の硬度をもつ溶接金
属と、粗大化したオーステナイトが焼入されたHAZ粗
粒域からなっており、HAZ粗粒域の硬度は母材及び溶
接金属に比べて相当高い。
【0016】一定応力が負荷された溶接継手では、止端
に応力集中して塑性変形を生じるが、塑性変形した領域
の外側は弾性変形のため、止端近傍に限ってみれば一定
変位を負荷された場合と同じ境界条件となる。したがっ
て従来継手の場合、HAZは溶接金属より硬化している
ため塑性変形はほとんど無く、硬度の低い、すなわち強
度の低い溶接金属に塑性変形が集中して溶接金属での疲
労き裂の発生が容易になる。この場合、溶融境界から
0.1〜0.2mm程度溶接金属側に入ったところだけ
でなく、溶融境界に極めて近い溶接金属にひずみが集中
して、疲労強度を低下させる。前記特開平7−1716
79号公報では、このようなひずみの偏りを無くすた
め、溶接金属とHAZ粗粒域の硬度差を少なくして均一
強度にする方法を提案した。この方法により、溶融境界
近傍の溶接金属のひずみ集中を低減し、継手疲労強度の
安定的向上を得た。
【0017】しかし、特開平7−171679号公報の
方法では、溶融境界近傍の溶接金属のひずみ集中は低減
できるものの、溶接継手は均質材であるため、溶融境界
から0.1〜0.2mm程度溶接金属に入ったところに
は、止端形状によって定まるひずみ集中が相変わらず存
在する。したがって、継手疲労強度の向上には限界があ
った。
【0018】これに対して、本発明の溶接継手は、溶接
金属およびHAZ粗粒域でのひずみ集中に程度に応じて
相対的に強度分布を定めているため、溶接金属とHAZ
粗粒域のひずみの最大値はほぼ同じになり、止端近傍の
ひずみの最大値を小さくすることに成功した。本発明者
らは、止端近傍の塑性変形領域の硬度と疲労強度の関係
について検討を重ねた結果、溶接金属のビッカース硬度
がHAZ粗粒域より平均で約33高く、すなわち、強度
が100MPa程度高くすると、溶接金属での歪集中の
ピーク値を押さえ、HAZ粗粒域で発生する歪と同レベ
ルとすることができることがわかった。すなわち、溶融
境界から溶接金属側に1mmの範囲の硬度の平均値A
と、溶融境界からHAZへ1mmの範囲での最高硬度B
との差(A−B)が26以上39以下であれば、特に、
歪の最小値を小さくすることができ、継手疲労強度を向
上させることを究明した。上述の硬度差が26よりも小
さいと溶接金属の歪がHAZより大きくなり、逆に硬度
差が39よりも大きいと溶接金属はほとんど変形せずH
AZが先行して変形し、HAZの歪が大きくなる。上記
では端的に歪の大小を説明したが、繰り返し荷重下、す
なわち疲労荷重下の歪振幅が上記と同様の傾向を示すこ
とを確認し、格段の継手疲労強度向上に有効であること
を確認した。
【0019】さらに、上記硬度特性を備えており、さら
に、P、Cu、Ni、Mo、Nb、V、Ti、Bのうち
から1種または2種以上を適正範囲量添加した鋼板およ
び溶接金属は疲労強度がさらに高くなることも見いだし
た。次に本発明の溶接継手における、構造用鋼および溶
接金属の成分限定理由を述べる。
【0020】Cは、溶接止端近傍の硬度分布の均一化の
ため少なくすることが望ましく、0.30%以下である
必要があるが、強度確保のためには0.001%以上は
必要であるので0.001〜0.30%とする。Si
は、脱酸のためには強度を確保するのに有用であり、
0.01%以上は必要であるが、2.00%超を添加す
ると溶接性を損なうので含有量は2.00%以下とす
る。
【0021】Mnは、安価に強度を上げる元素として有
用であり、強度確保のため0.05%以上は必要である
が3.0%超を添加すると溶接性を損なうので含有量は
0.05〜3.0%とする。Alは脱酸のため0.00
1%以上必要であるが、0.1%超を添加すると鋼中お
よび溶接金属中の介在物が多くなりすぎ、靱性を低下さ
せるため0.1%を上限とする。
【0022】P、Cu、Ni、Mo、Nb、V、Ti、
Bはいずれも継手疲労特性を向上させる成分であり、溶
接金属およびHAZに影響してかかる疲労強度を向上さ
せていると考えられる。この点でこれらの成分は同効成
分であり、本発明ではこれらの成分を1種または2種以
上含有させる。しかし、過剰の添加はいずれも鋼板材質
を劣化させるので、Pは0.02%以上0.2%以下、
Cuは0.1%以上2.0%以下、Niは0.1%以上
5.0%以下、Moは0.1%以上4.0%以下、Nb
とTiは0.005%以上1.0%以下、Vは0.00
5%以上2.0%以下、Bは0.0001%以上0.0
1%以下とする。なお、Pは通常の製鋼工程において、
0.02%未満は不可避的に鋼材に含まれる元素である
ので、従来溶接継手よりも継手疲労強度を向上させるた
めには0.02%以上の添加が必要である。
【0023】なお、本発明におけるNは、特開平2−1
15352号公報に開示されているように加工性を高め
ることを目的として0.0050%以下に限定するもの
とは異なり、継手疲労強度に及ぼすNの影響は小さいの
で、その成分範囲は特に限定するものではない。また、
本願発明におけるCuは、同じく特開平2−11535
2号公報に開示しているように継手引張強度向上を目的
として0.8%以上に限定するものではなく、さらに特
開平2−199342号公報に開示のようにTi、V、
Zr、Ca、Cr、Niと同等の効果を示して1.0%
以下に限定するものとは異なり、0.1〜2.0%の範
囲であれば継手疲労強度を向上させることができる。
【0024】加えて、特公平3−56301号は、鋼板
の未再結晶組織の面積率を5〜30%と規定している
が、HAZ粗粒域は1500℃付近まで加熱された領域
であり、溶接前の鋼板の未再結晶組織の面積率が何%で
あろうともオーステナイト単相に戻されるため、本発明
では特に未再結晶組織の割合を制限するものではない。
さらに、本発明では、溶接方法、すなわち入熱の違いに
よる疲労強度向上効果の違いが考えられるが、溶接は例
え大入熱溶接や小入熱溶接であっても止端近傍の硬度分
布が確保されれば、疲労強度には影響を及ぼさない。発
明者らは溶接入熱と硬度分布について検討したところ、
本発明継手は被覆アーク溶接、CO2 ガス、Arガス、
及びArとCO2 の混合ガスなどを用いたガスシールド
溶接のみに限るものではなく、サブマージアーク溶接、
TIG溶接など他のアーク溶接方法でも継手疲労強度が
向上することを確認した。
【0025】すなわち、本発明の溶接継手は、溶接金属
をHAZより一定の範囲で硬度させることにより塑性変
形の集中を抑える効果によって継手疲労強度を著しく向
上させたものである。本発明では構造用鋼の溶接継手に
ついて述べているが、厚鋼板および熱延鋼板に限るもの
ではなく、鋼管・棒鋼などの溶接継手についても同一効
果が得られる。また、本発明は回し溶接継手、すみ肉継
手、突合せ継手など継手種類によらず疲労強度が向上す
る。
【0026】
【実施例】表1に示す成分を有する板厚20mmの構造
用鋼と溶接金属をもつ回し溶接継手を図2(a)(b)
で示す寸法で製作した。表中の上段は鋼材、下段は溶接
金属の成分、機械的性質を示す。さらに硬度は、鋼板表
面下0.5mmの位置で、JIS Z2244に準拠し
た方法で測定した(鋼材の場合は溶融境界からHAZ側
に1mmの範囲での最高硬度、溶接金属の場合は溶融境
界から1mmの範囲での硬度の平均値)。表中のYSは
鋼材の降伏応力を、TSは引張強さを、El.は破断伸
びを、HIは溶接入熱を示す。また、表中のΔHvは、
溶接金属の硬度の平均値からHAZの最高硬度を引いた
値である。溶接方法はCO2 アーク溶接を用いた。これ
らの溶接継手を室温、大気中で片振り疲労試験(応力比
R=0)を行った。各継手の試験片形状・寸法を図2に
示す。
【0027】比較のため、特開平7−171679号公
報の溶接継手の実施例、および硬度差・添加元素含有量
等を本発明の範囲外に変化させた従来継手の実施例も合
わせて示した。回し溶接継手の疲労試験結果は表中の右
端の欄に、は破断寿命が2×106回に対応する応力範
囲で示してある。継手30〜32の特開平7−1716
79号公報の溶接継手は継手33〜40の従来継手より
も30%以上疲労強度が向上しているが、継手1〜29
の本発明継手はさらに特開平7−171679号公報の
溶接継手の1.23倍、従来継手の1.6倍程度の疲労
強度を示している。継手1〜25は前記(3)または
(5)に記載の溶接継手である。継手26および27は
前記(1)の継手を、継手28は前記(2)に記載の継
手、継手29は前記(4)に記載の継手である。継手の
なかで最も疲労強度の低い継手26でも、比較の従来技
術による継手に比べて約60%疲労強度が向上してい
る。また継手28、29は26より向上しており、1〜
25は28、29よりさらに疲労強度が向上している。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の溶接継手
は、継手形式によらず広範囲に渡り溶接継手の疲労特性
に優れている。したがって、疲労破壊が問題となる構造
物での使用に際し、設計・施工面で特別な配慮を必要と
せず高い疲労強度を安定して得ることが可能であり、工
業的な価値が極めて高い発明であるといえる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】止端近傍の溶接金属およびHAZの硬度測定差
を示した図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明の実施例にお
ける回し溶接継手の試験片形状・寸法の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 順一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接止端の表面下0.5mm以内の位置
    で、溶融境界から溶接金属側に1mmの範囲において、
    JIS Z2244に準拠して測定されたビッカース硬
    度の平均値Aと、前記溶融境界から母材の溶接熱影響部
    粗粒域側に1mmの範囲において同様に測定された最高
    硬度Bの差(A−B)が、26以上39以下であること
    を特徴とする疲労強度の優れた構造用鋼溶接継手。
  2. 【請求項2】 前記母材が、重量%で、 0.001≦C≦0.30、 0.01≦Si≦2.00、 0.05≦Mn≦3.0、 0.001≦Al≦0.1、を含有し、残部がFeおよ
    び不可避的不純物よりなる構造用鋼であることを特徴と
    する請求項1に記載の溶接継手。
  3. 【請求項3】 前記母材が、重量%で、 0.02≦P≦0.20、 0.1≦Cu≦2.0、 0.1≦Ni≦5.0、 0.1≦Mo≦4.0、 0.005≦Nb≦1.0、 0.005≦V≦2.0、 0.005≦Ti≦1.0、 0.0001≦B≦0.01の1種または2種以上をさ
    らに含有することを特徴とする請求項2に記載の溶接継
    手。
  4. 【請求項4】 前記溶接金属が、重量%で、 0.001≦C≦0.30、 0.01≦Si≦2.00、 0.05≦Mn≦3.0、 0.001≦Al≦0.1を含有し、残部がFeおよび
    不可避的不純物よりなることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の溶接継手。
  5. 【請求項5】 前記溶接金属が、重量%で、 0.02≦P≦0.20、 0.1≦Cu≦2.0、 0.1≦Ni≦5.0、 0.1≦Mo≦4.0、 0.005≦Nb≦1.0、 0.005≦V≦2.0、 0.005≦Ti≦1.0、 0.0001≦B≦0.01の1種または2種以上をさ
    らに含有することを特徴とする請求項4のに記載の溶接
    継手。
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