JPH09227987A - 疲労強度に優れた溶接継手およびその溶接方法 - Google Patents

疲労強度に優れた溶接継手およびその溶接方法

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JPH09227987A
JPH09227987A JP3525896A JP3525896A JPH09227987A JP H09227987 A JPH09227987 A JP H09227987A JP 3525896 A JP3525896 A JP 3525896A JP 3525896 A JP3525896 A JP 3525896A JP H09227987 A JPH09227987 A JP H09227987A
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welding
fatigue strength
ferrite
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welded joint
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JP3525896A
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Koji Seto
厚司 瀬戸
Shinichi Omiya
慎一 大宮
Yoichi Kayamori
陽一 萱森
Junichi Kobayashi
順一 小林
Isao Soya
勇夫 征矢
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 疲労破壊が問題となる鋼構造物での使用に際
し、設計・施工で特別な配慮を必要とせず高い疲労強度
を得ることができなかった。 【解決手段】 添加元素を特定した鋼材および溶接金属
について、溶接入熱を制限することで、Ac1 点以上溶
融点未満の温度に加熱された溶接熱影響部に特定範囲の
体積率および結晶粒径のフェライトを含ませることによ
り、溶接金属および溶接熱影響部の延性を向上させて疲
労亀裂の発生・伝播抵抗を高め、同時に溶接金属と溶接
熱影響部の硬度差を小さくすることにより、溶接金属へ
の歪集中を小さくして疲労強度を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶・海洋構造物
・建設機械・橋梁・建築構造物などの産業分野におい
て、従来よりも高い疲労強度が要求される構造用鋼(厚
鋼板、熱延鋼板、鋼管など)の溶接継手(回し溶接継
手、隅肉継手、突合せ継手など)およびその溶接方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に構造用鋼板の疲労強度は引張強度
の増加につれて増加するが、同じ鋼板を母材とした溶接
継手の疲労強度(以下、継手疲労強度という)は、母材
の引張強度を増加させても増加しないことが確かめられ
ていた。従って、構造用高張力鋼の継手疲労強度は構造
用低強度鋼のそれとほぼ同じであり、疲労破壊が問題と
なる鋼構造物では、高張力鋼を用いても設計疲労強度を
上げることができなかった。このような状況に対して、
継手疲労強度を向上させる種々の方法が検討されてき
た。
【0003】これらのうち、溶接継手の溶接金属または
HAZの特性改善を目的とする方法としては、特開昭5
4−130451号公報、特開昭60−68175号公
報などに記載されたものがある。また、溶接継手に限定
しなければ、冷・熱延鋼板については延性向上を目的と
した発明はいくつかあり、特開昭64−79345号公
報、特開昭63−42690号公報、特開昭64−62
420号公報、特開平1−242721号公報、特開平
1−230715号公報などに記載のものあるが、これ
らは何れも残留オーステナイトを含む鋼材を対象とした
ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のうち、溶接
金属の特性改善に関する特開昭54−130451号公
報に示されたものは、室温以下のMs点(マルテンサイ
ト変態点)をもつオーステナイト系溶接棒で溶接した溶
接金属を、室温以下の温度に冷却して変態膨張させるも
のである。しかし、Ms点が室温以下の材料は、Ni、
Cr等を多量に含む高価な材料であり、かつ溶接後に室
温以下のMs点まで冷却する作業が別途必要であること
から、多大のコスト上昇につながる。また、Ni、Cr
等を多量に含む溶接材料で溶接可能な材料のみが対象と
なり、その他の材料については適用できない。
【0005】また、特開昭60−68175号公報に記
載された発明は、13Crマルテンサイト系ステンレス
鋼のみを対象としたものであり、母材以上10%以下の
Ni含有量のマルテンサイト系溶接棒を用いる必要があ
るとともに、溶接後加熱処理を必要とし、これも多大の
コスト増になる。さらに、延性向上を目的とした冷・熱
延鋼板に関する特開昭64−79345号公報、特開昭
63−42690号公報、特開昭64−62420号公
報、特開平1−242721号公報、特開平1−230
715号公報に記載された発明は、何れも残留オーステ
ナイト含ませることによりプレス成形性を向上させるも
ので、これらの鋼板を通常の溶接方法で溶接した場合、
HAZはマルテンサイトもしくはベーナイト組織とな
り、残留オーステナイトを含む冷・熱延鋼板の溶接継手
の疲労強度は、従来鋼板のそれと全く同じである。
【0006】本発明は、高価な元素を添加することな
く、また特別な後処理を必要とすることなく、継手疲労
強度を高めた溶接継手およびその溶接方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、添加元素を特定した母材および溶接材
料、さらに付加的に溶接入熱を制限した溶接方法を用い
て、Ac1 点以上溶融点未満の温度範囲に加熱された溶
接熱影響部(以下、HAZという)および溶接金属の組
織にフェライトを含ませることにより、溶接金属および
HAZの延性を向上させて疲労亀裂発生・伝播抵抗を高
め、同時に溶接金属とHAZの強度差をなくし、溶接金
属の歪集中を小さくして、疲労強度を高めた溶接継手お
よびその溶接方法を安定して得ることを特徴とする。
【0008】すなわち、本発明の要旨とするところは下
記のとおりである。 (1)重量%で、0.001%≦C≦0.010%、
0.003%≦Si≦0.020%、0.10%≦Mn
≦0.25%、S≦0.020%を含有し、残部がFe
および不可避の元素から成り、Ac1 点以上溶融点未満
の温度に加熱された溶接熱影響部が、体積率でフェライ
トを70%以上含み、かつ前記フェライトの平均粒径が
30〜300μmであり、残部がパーライト、ベーナイ
ト、マルテンサイトのうち1種または2種以上から構成
される構造用鋼、および、重量%で、0.02%≦C≦
0.08%、0.05%≦Si≦0.15%、0.15
%≦Mn≦0.30%、S≦0.020%を含有し、残
部がFeおよび不可避の元素から成り、体積率でフェラ
イトを70%以上含み、残部がパーライト、ベーナイ
ト、マルテンサイトのうち1種または2種以上から構成
される溶接金属から成ることを特徴とする疲労強度に優
れた溶接継手。
【0009】(2)重量%で、0.001%≦C≦0.
010%、0.003%≦Si≦0.020%、0.1
0%≦Mn≦0.25%、S≦0.020%を含有し、
さらに0.02%≦P≦0.20%、0.01%≦Ni
≦2.5%、0.01%≦Cr≦2.5%、0.1%≦
Mo≦2.0%、0.005%≦Ti≦1.0%、0.
0001%≦B≦0.01%、0.005%≦Nb≦
1.0%、0.005%≦V≦2.0%、0.001%
≦Al≦0.1%のうち1種または2種以上を含有する
構造用鋼を母材とすることを特徴とする前項(1)記載
の疲労強度に優れた溶接継手。
【0010】(3)重量%で、0.02%≦C≦0.0
8%、0.05%≦Si≦0.15%、0.15%≦M
n≦0.30%、S≦0.020%を含有し、さらに
0.02%≦P≦0.20%、0.01%≦Ni≦2.
5%、0.01%≦Cr≦2.5%、0.1%≦Mo≦
2.0%、0.005%≦Ti≦1.0%、0.000
1%≦B≦0.01%、0.005%≦Nb≦1.0
%、0.005%≦V≦2.0%、0.001%≦Al
≦0.1%のうち1種または2種以上を含有する溶接金
属を有することを特徴とする前項(1)または(2)記
載の疲労強度に優れた溶接継手。
【0011】(4)前項(1)〜(3)の何れかに記載
の溶接継手を溶接するに際し、3300〜30000J
/cmの入熱で行う被覆アーク溶接またはガスシールド
アーク溶接を用いることを特徴とする疲労強度に優れた
溶接継手の溶接方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。まず、本発明の溶接継手における母材の成分限定理
由について述べる。CはHAZの破断延性に優れたフェ
ライト組織化、溶接止端近傍の硬度分布の均一化、溶接
残留応力の低下などのためには少なくすることが望まし
く、0.010%以下である必要があるが、一方、引張
強度確保のためには0.001%以上は必要であるの
で、0.001〜0.010%の範囲とする。
【0013】Siは脱酸のためには不可避な元素であ
り、0.003%以上を必要とするが、溶接性を確保す
るためには少なくすることが望ましいので、含有量は
0.020%以下とする。Mnは安価に強度を向上でき
る元素として有用であり、引張強度確保のために0.1
0%以上は必要であるが、過剰になると溶接性を損なう
ので、含有量は0.10〜0.25%とする。
【0014】Sは不純物元素であり、溶接割れ感受性の
低減や応力除去焼鈍による脆化や割れの防止を図るた
め、0.020%以下に限定する。Sは含有量を下げて
も引張強度への影響は殆どなく、また含有量が低下する
につれて靱性が向上する。必要に応じて添加含有させる
P、Ni、Cr、Mo、Ti、B、Nb、V、Alは、
以下の理由によりその含有量を規制した。
【0015】P、Ni、Cr、Mo、Ti、B、Nb、
Vは、何れも継手疲労特性を向上させる成分であり、H
AZに影響してかかる疲労強度を向上させていると考え
られる。この点でこれらの成分は同じ効果を有する成分
であり、本発明ではこれらの成分を1種または2種以上
含有させることが望ましい。しかし、過剰の添加は何れ
も靱性、溶接割れ感受性などの鋼板材質を劣化させるの
で、Pは0.02%以上0.20%以下、Niは0.0
1%以上2.5%以下、Crは0.01%以上2.5%
以下、Moは0.1%以上2.0%以下、TiとNbは
0.005%以上1.0%以下、Bは0.0001%以
上0.01%以下、Vは0.005%以上2.0%以下
とすることが好ましい。なお、Pは通常の製鋼工程にお
いて、0.02%未満は不可避的に鋼材に含まれる元素
であるので、従来の溶接継手よりも継手疲労強度を向上
させるためには、0.02%以上の添加が必要である。
【0016】Alは脱酸のために0.001%以上が必
要であるが、0.1%を超えて添加すると鋼中の介在物
が多くなりすぎ、靱性を低下させるため、0.1%を上
限とする。次に、本発明の溶接金属の成分限定理由につ
いて述べる。Cは構造用鋼母材と同様に、溶接金属の破
断延性に優れたフェライト組織化、溶接止端近傍の硬度
分布の均一化、溶接残留応力の低下などのためには少な
くすることが望ましく、0.08%以下である必要があ
るが、凝固組織である溶接金属の引張強度確保のために
は母材よりも多くの含有量が必要で、0.02%以上は
必要であるので、0.02〜0.08%の範囲とする。
【0017】Siは脱酸のためには不可避な元素であ
り、さらに凝固組織の引張強度確保のためには母材より
も多くの含有量が必要で、0.05%以上を必要とする
が、溶接性を確保するためには少なくすることが望まし
いので、含有量は0.15%以下とする。Mnは安価に
強度を向上できる元素として有用であり、溶接金属の強
度確保のためには母材よりも多くの含有量が必要で、
0.15%以上を必要とするが、多くなると溶接性を損
なうので、含有量は0.15〜0.30%とする。
【0018】Sは不純物元素であり、溶接割れ感受性の
低減や応力除去焼鈍による脆化や割れの防止を図るた
め、0.020%以下に限定する。Sは含有量を下げて
も引張強度への影響は殆どなく、また含有量が低下する
につれて靱性が向上する。必要に応じて添加含有させる
P、Ni、Cr、Mo、Ti、B、Nb、V、Alは、
以下の理由によりその含有量を規制した。
【0019】P、Ni、Cr、Mo、Ti、B、Nb、
Vは、何れも溶接金属に影響してかかる疲労強度を向上
させていると考えられる。この点でこれらの成分は同じ
効果を有する成分であり、本発明ではこれらの成分を1
種または2種以上含有させることが望ましい。しかし、
過剰の添加は何れも靱性、溶接割れ感受性などの鋼板材
質を劣化させるので、Pは0.02%以上0.20%以
下、Niは0.01%以上2.5%以下、Crは0.0
1%以上2.5%以下、Moは0.1%以上2.0%以
下、TiとNbは0.005%以上1.0%以下、Bは
0.0001%以上0.01%以下、Vは0.005%
以上2.0%以下とすることが好ましい。
【0020】Alは脱酸のために0.001%以上が必
要であるが、0.1%を超えて添加すると鋼中の介在物
が多くなりすぎ、靱性を低下させるため、0.1%を上
限とする。次に溶接工程上の限定理由について述べる。
本発明による溶接入熱は3300〜30000J/cm
とする。溶接入熱が30000J/cm超では冷却速度
が遅くなり、HAZの組織(フェライト)の粒径が大き
くなるとともに強度(硬度)が極端に低下し、溶接金属
との強度差が大きくなってHAZに歪が集中するため、
高疲労強度を得ることができない。添加元素との兼ね合
いによって、少なくとも溶接金属と同等の硬度をもつた
めの冷却速度に限定する必要がある。また、3300J
/cm未満の溶接入熱では安定したアーク溶接が行え
ず、健全な溶接継手が得られない。このような理由か
ら、入熱を3300J/cm以上30000J/cm以
下とした。
【0021】従来の疲労強度向上材料における発明は、
鋼板もしくは溶接材料のみに注目したものであるが、溶
接継手の疲労亀裂発生箇所は、必ずしもHAZもしくは
溶接金属の一方に限るものではなく、溶接止端形状によ
り、HAZから発生する継手もあれば、溶接金属から発
生する継手もある。従って、両者の材質改善が必要であ
る。
【0022】本発明では、構造用鋼および溶接金属の化
学組成、および溶接入熱を制限することにより、溶接金
属およびHAZのフェライト体積率を70%以上にす
る。フェライトは延性(絞り)に優れているため、局部
的な歪の繰り返しに対する亀裂発生抵抗も大きく、かつ
疲労亀裂が発生しても亀裂閉口を起こしやすいため、亀
裂伝播抵抗も大きい。
【0023】本発明者らは、構造用鋼HAZのフェライ
ト体積率およびフェライト粒径と疲労亀裂伝播抵抗との
関係を種々検討した結果、フェライト体積率が70%以
上で、かつフェライト粒径が30〜300μmの場合
に、最も疲労亀裂伝播速度が遅いことを見出した。フェ
ライト粒径が30μm未満では亀裂開口比がさほど小さ
くならない。すなわち、疲労亀裂閉口現象が不十分なた
め、顕著な疲労亀裂伝播特性の向上は見られない。ま
た、フェライト粒径が300μmを超えると靱性が極端
に劣化し、脆性破壊的な疲労亀裂挙動により極めて早い
伝播速度を示すことも判った。これらフェライトの伝播
特性は、フェライト体積率が小さいと延性の小さい他の
組織の影響を受け、フェライト体積率が70%未満にな
ると上述の良好な疲労亀裂伝播特性を得ることができな
い。
【0024】溶接金属については、複雑な形状の凝固組
織のため粒径を決定することはできないが、HAZと同
様に、フェライト体積率が70%未満の場合には同様に
フェライトの良好な特性を得ることができないことが実
験によって判った。フェライト以外の組織としては、ベ
ーナイト、マルテンサイト、パーライト等の1種または
2種以上の混合組織が考えられるが、これらの中では疲
労亀裂伝播特性の比較的良好なベーナイトの体積率が可
能な限り大きいことが望ましい。しかし、他の組織でも
上述のフェライトの効果を損なうものではない。
【0025】さらに、HAZ組織をフェライト化するこ
とにより、通常のHAZに見られる硬化を防ぐことがで
き、溶接金属への歪集中を低減することができる。凝固
ままの溶接金属に対して、通常のHAZは硬化している
ことが多いが、30〜300μmと比較的粒径の大きい
フェライト組織とすることにより硬化を抑え、HAZと
溶接金属の硬度差を小さくする。HAZと溶接金属の硬
度差を小さくすると、溶接止端の歪がHAZおよび溶接
金属の両方にまたがって分布し、歪集中を低減でき、疲
労強度を向上させることができる。HAZの硬化が大き
い場合には、HAZの塑性変形は殆どなく、HAZに隣
接する溶接金属に大きな歪が集中するため、疲労強度の
向上は望めない。
【0026】このように、構造用鋼および溶接材料の化
学組成、および溶接条件を制限することにより、HAZ
および溶接金属の組織(粒径)・硬度差を特定して、顕
著な疲労強度向上効果を得ることができる。また、本発
明では、前記入熱量で構造用鋼に溶接可能なアーク溶接
という意味から、被覆アーク溶接およびガスシールドア
ーク溶接に限定した。
【0027】
【実施例】表1、表2(表1のつづき−1)、表3(表
1のつづき−2)、表4(表1のつづき−3)、表5
(表1のつづき−4)、表6(表1のつづき−5)、表
7(表1のつづき−6)、表8(表1のつづき−7)の
上段に示す成分を有する板厚20mmの構造用鋼を圧延
まま(空冷)で製造し、炭酸ガスシールド溶接を行っ
て、十字隅肉溶接継手を製作した。下段は溶接金属の成
分を示す。表中には鋼材および溶接金属の成分以外に、
鋼材の機械的性質を示す。表中のYSは鋼材の降伏応力
を、TSは引張強さを、El.は破断伸びを示す。さら
に、溶接入熱(HI)、HAZ(上段)および溶接金属
(下段)のフェライト分率(α)、HAZの平均フェラ
イト粒径(d)も示す。図1に示す試験片形状・寸法の
十字隅肉溶接継手を、室温、大気中で片振り疲労試験
(応力比R=0)を行った。その破断寿命が200万回
となる疲労強度(公称応力範囲)をFSとして表中に示
した。比較のため、添加元素含有量、溶接条件等を本発
明の範囲外に変化させた比較溶接継手の例も併せて示し
た。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】溶接継手疲労強度を比較すると、本発明溶
接継手は、比較溶接継手に比べて疲労強度が向上してい
る。本発明溶接継手1〜5は請求項1の継手または請求
項4の方法による継手、本発明溶接継手6〜15は請求
項2の継手または請求項4の方法による継手、本発明溶
接継手16〜25は請求項3の継手または請求項4の方
法による継手である。本発明溶接継手のHAZおよび溶
接金属は全てフェライト分率が70%以上であり、その
他は主にベーナイトの混合組織である。十字隅肉溶接継
手において、本発明溶接継手の中で最も疲労強度の低い
継手(No.1)でも、比較溶接継手に比べて約20%
以上疲労強度が向上している。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の溶接継
手、および本発明の溶接方法によって得られる継手は、
継手形式によらず広範囲にわたり溶接継手の疲労特性に
優れている。従って、疲労破壊が問題となる構造物での
使用に際し、設計・施工面で特別な配慮を必要とせず高
い疲労強度を安定して得ることが可能であり、工業的に
その効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における十字隅肉溶接継手の試
験片形状・寸法の説明図であり、(a)平面図、(b)
は横断面図を示す。
フロントページの続き (72)発明者 小林 順一 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 征矢 勇夫 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 0.001%≦C≦0.010%、 0.003%≦Si≦0.020%、 0.10%≦Mn≦0.25%、 S≦0.020% を含有し、残部がFeおよび不可避の元素から成り、A
    1 点以上溶融点未満の温度に加熱された溶接熱影響部
    が、体積率でフェライトを70%以上含み、かつ前記フ
    ェライトの平均粒径が30〜300μmであり、残部が
    パーライト、ベーナイト、マルテンサイトのうち1種ま
    たは2種以上から構成される構造用鋼、および、 重量%で、 0.02%≦C≦0.08%、 0.05%≦Si≦0.15%、 0.15%≦Mn≦0.30%、 S≦0.020% を含有し、残部がFeおよび不可避の元素から成り、体
    積率でフェライトを70%以上含み、残部がパーライ
    ト、ベーナイト、マルテンサイトのうち1種または2種
    以上から構成される溶接金属から成ることを特徴とする
    疲労強度に優れた溶接継手。
  2. 【請求項2】 重量%で、 0.001%≦C≦0.010%、 0.003%≦Si≦0.020%、 0.10%≦Mn≦0.25%、 S≦0.020% を含有し、さらに 0.02%≦P≦0.20%、 0.01%≦Ni≦2.5%、 0.01%≦Cr≦2.5%、 0.1%≦Mo≦2.0%、 0.005%≦Ti≦1.0%、 0.0001%≦B≦0.01%、 0.005%≦Nb≦1.0%、 0.005%≦V≦2.0%、 0.001%≦Al≦0.1% のうち1種または2種以上を含有する構造用鋼を母材と
    することを特徴とする請求項1記載の疲労強度に優れた
    溶接継手。
  3. 【請求項3】 重量%で、 0.02%≦C≦0.08%、 0.05%≦Si≦0.15%、 0.15%≦Mn≦0.30%、 S≦0.020% を含有し、さらに 0.02%≦P≦0.20%、 0.01%≦Ni≦2.5%、 0.01%≦Cr≦2.5%、 0.1%≦Mo≦2.0%、 0.005%≦Ti≦1.0%、 0.0001%≦B≦0.01%、 0.005%≦Nb≦1.0%、 0.005%≦V≦2.0%、 0.001%≦Al≦0.1% のうち1種または2種以上を含有する溶接金属を有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の疲労強度に優
    れた溶接継手。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の溶接継手
    を溶接するに際し、3300〜30000J/cmの入
    熱で行う被覆アーク溶接またはガスシールドアーク溶接
    を用いることを特徴とする疲労強度に優れた溶接継手の
    溶接方法。
JP3525896A 1996-02-22 1996-02-22 疲労強度に優れた溶接継手およびその溶接方法 Withdrawn JPH09227987A (ja)

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