JPH11103791A - 油ちょう済みフライ食品 - Google Patents
油ちょう済みフライ食品Info
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- JPH11103791A JPH11103791A JP9275630A JP27563097A JPH11103791A JP H11103791 A JPH11103791 A JP H11103791A JP 9275630 A JP9275630 A JP 9275630A JP 27563097 A JP27563097 A JP 27563097A JP H11103791 A JPH11103791 A JP H11103791A
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Abstract
う済み冷凍フライ食品の提供。 【解決手段】具材の水分を脱水する工程及び/または具
材表面に食用ワックスからなる被膜を形成させる工程
と、該具材に、固有の水分値Aより水分値Bが5重量%
以上高いゲル形成物質のゲル粉砕物を含むバッターを付
着させ、油ちょうする工程とを組み合わせる。
Description
品、とりわけ冷凍下に長期間保存した後でも、電子レン
ジ調理後の衣の食感が良好である油ちょう済み冷凍フラ
イ食品に関するものである。
で手軽に調理できる油ちょう済み冷凍フライ食品が種々
開発されている。これらのものは一般には製造されてか
ら消費者の手元に届く迄には少なくとも1〜2ケ月程度
はかかり、しばしば流通の間に具材の水分が衣に移行し
て衣部分が軟化し揚げたてのサクサクとした食感が無く
なって商品価値が低下するという問題点があった。この
ため、製造から1〜2ケ月以上、望ましくは3ケ月以
上、衣のサクサク感が良好に保てる電子レンジ調理用油
ちょう済み冷凍フライ食品の開発が切望されていた。
々の検討がなされてきた。例えば、具材と衣の間に可食
性のタンパク質、多糖類を主成分とする保水性被膜(例
えば、特開平4−8255号公報)、油脂性の撥水性被
膜(例えば、特開平7−250628号公報)、多層被
膜(例えば、特開平2−16937号公報)、さらには
保水物質、起泡剤及び乳化剤等を組み合わせた被膜(例
えば、特開平7−255402号公報)等を形成せしめ
ることにより具材から衣への水分の移行を抑えて衣の軟
化を防止しようという試みが多くなされてきた。しかし
ながらこれらの方法によっては、水の移行速度を若干抑
制することが出来るものの、水分の移行自体を抑えるこ
とは出来ず、被膜形成を行うために工程が煩雑になる割
に充分な効果は得られていなかった。
2−74255号公報)、熱凝固性タンパク質(特開平
2−2313号公報)等の物質を加え吸湿軟化を抑える
試みもなされている。しかしながら、このうち前者によ
っては充分な効果は得られず、後者によっては比較的高
い効果が期待されるものの、充分な効果を得るためには
50重量%を超える非常に高い比率でタンパク質を含有
せしめねばならず、本来の味、風味、食感に著しい変化
をきたし、実用化にはまだ問題があり、十分な解決策と
なっていない。
り調製したゲルの粉砕物を添加する技術は、過去に例が
ある(例えば、特開昭50−6730号公報)。しかし
ながら、この技術はゲル状態を保ったまま常温或いは冷
凍保管し、油ちょう等による解凍調理の際にゲルが加熱
溶解して消去され、消去されたゲルの部分が空間となる
ことで良好な食感を得ることを特徴とするものである。
従って、本発見が解決しようとする油ちょう後の冷凍保
管中の具から衣への水分移行による食感劣化を抑制する
効果には言及していない。
衣等の吸湿軟化しやすい部分の水分が湿重量あたり50
重量%より少ない場合は、ガラス転移温度が高い物質で
あって、固有の水分値A(25℃、過飽和水蒸気雰囲気
における平衡水分)より水分値B(25℃におけるガラ
ス転移水分)が5重量%以上高い物質を、フライ食品の
衣等の吸湿軟化しやすいものに添加すると、衣の主要構
成成分であるグルテン及び澱粉に作用して吸湿に伴う物
性劣化に耐えうる特殊な高分子複合体を形成し、水分移
行に伴う水分含量上昇後も食感軟化が防止される事を見
いだしている(特願平8−142324)。この発明に
該当する物質は、寒天、カラギーナン、筋肉蛋白質、血
液アルブミン、血液グロブリン、架橋澱粉、ツェイン、
トランスグルタミナーゼ処理蛋白質等であるが、このう
ち寒天、カラギーナン等のゲル形成物質は、フライ食品
の衣に適用する場合は問題があった。すなわち、それら
の高い粘性と50℃以下でのゲル形成性により、バッタ
ー液の主成分である小麦粉成分との充分な混合が困難で
あった。例えば、寒天を小麦粉成分と充分に混合する際
には、加温した小麦粉或いは小麦粉の懸濁液と90℃以
上の温度で加熱溶解した寒天溶液を少なくも50℃以上
の温度に保ったままで、混合してバッター液とし、具材
に付着させる必要があり、また、例え50℃以上に保っ
たとしても、2重量%を超える寒天溶液の粘度は極めて
高く、加温した小麦粉成分との混合も容易ではない。そ
こでこれらのゲル形成物質の衣への添加割合には問題が
あった。また、該記発明は、食感の維持期間を大幅に向
上させるものであるが、一般的な冷凍食品のシェルフラ
イフである6ケ月〜1年間保存でも食感を維持せしめる
ためには更なる手法の開発が望まれていた。
う済みフライ食品、とりわけ長期間冷凍保存されても具
材から衣への水分移行が少なく、電子レンジ調理時の衣
のサクサク感が良好に維持されている電子レンジ調理用
油ちょう済み冷凍フライ食品を提供することを目的とす
るものである。
記課題を解決すべく、さらに鋭意検討を重ねた結果、寒
天、カラギーナン等の固有の水分値A(25℃、過飽和
水蒸気雰囲気における平衡水分)より水分値B(25℃
におけるガラス転移水分)が5重量%以上高いゲル形成
物質を、いったん加熱溶解冷却してゲルの状態とし、そ
の後それを粉砕して小麦粉を主体とするバッター液に分
散混合すれば、直接加熱溶解して分散混合する場合より
粘性が高くならず、バッター液の主成分である小麦粉成
分との充分な混合が容易となる事を見いだした。これに
より水分含量が上昇しても食感軟化が防止された衣を調
製する事に成功した。更に、具材の水分を一定量以下に
脱水する工程及び/または食用ワックスからなる被膜を
具材表面に形成させる工程と組み合わせる事により、更
にこの効果を大幅に増大することを発見し、本発明を完
成させるに至った。
水する工程及び/または具材表面に食用ワックスからな
る被膜を形成させる工程と、該具材に、固有の水分値A
(25℃、過飽和水蒸気雰囲気における平衡水分)より
水分値B(25℃におけるガラス転移水分)が5重量%
以上高いゲル形成物質のゲル粉砕物を含むバッターを付
着させ油ちょうする工程、とが組み合わされたことを特
徴とする油ちょう済みフライ食品に在する。
程が、具材水分を70%以下に調整することを特徴とす
る本発明の第一に記載の油ちょう済みフライ食品に存す
る。本発明の第三及び第四は、具材表面に食用ワックス
からなる被膜を形成させる工程が、具材を食用ワックス
含有動植物油脂の熱溶液に浸漬することを特徴とし、該
食用ワックスが密蝋であることを特徴とする本発明第一
記載の油ちょう済みフライ食品に存する。
形成物質が、寒天、カラギーナン、澱粉、トランスグル
タミナーゼ処理タンパク質のうちから選ばれる1種類以
上である本発明第一に記載の油ちょう済みフライ食品に
存する。本発明の第六は、油ちょう済みフライ食品が、
電子レンジ調理用冷凍食品である前記本発明の第一ない
し第五記載の油ちょう済みフライ食品に存する。
するゲル形成物質の固有の水分値Aとは、25℃、過飽
和水蒸気雰囲気における、それら成分の乾燥粉末の平衡
水分のことであり、25℃で過飽和水蒸気を1.6リッ
トル/分で送り込んでいるデシケーター中に各成分の約
10%溶液あるいは懸濁液の凍結乾燥後の粗粉砕物を置
き、20時間を超えた程度で重量が平衡に達したところ
で取り出し、その重量における105℃、20時間乾燥
した前後の重量変化から求められる水分の組成比(%)
を求めたものである。
ゲル形成物質の固有の水分値Bとは、それら成分の乾燥
粉末の25℃におけるガラス転移水分のことであり、各
成分の前記凍結乾燥粗粉砕物を水蒸気を用いて種々の水
分値に吸湿、調製した後、各々のガラス転移温度を示差
走査熱量計(以下、DSC)にて測定した結果から、ガ
ラス転移温度の水分依存のグラフを作成し、その曲線か
ら求められる25℃における各成分のガラス状態からラ
バー状態に変わる水分値(%)である。尚、水分値A、
水分値Bを25℃の値に設定したのは、再加熱調理後の
冷凍食品は通常の料理と異なり、弁当等のように室温に
近い品温での喫食が多いからであり、この状態で食感が
軟化等の劣化を起こしているかどうかの指標とするため
である。
は、固有の水分値Aより水分値Bが5重量%以上高いも
ので、ゲルを形成するものであれば特に限定されない
が、可食性成分であることが好ましく、各種寒天、カラ
ギーナン、澱粉、トランスグルタミナーゼ処理タンパク
質が好ましい。また、これらは各々単独で含有せしめて
も、他の成分と併せて含有せしめても良く、組み合わせ
も特に限定されるものではない。また、形成せしめるゲ
ルの中に、水分値Bが水分値Aより5重量%以上高い他
の成分、例えば筋肉タンパク質、エラスチン、ツェイ
ン、血液アルブミン、血液グロブリン、カードラン等を
単独或いは混合して混入しても高い効果を得ることが出
来る。
は、固有の水分値Bが水分値Aより5重量%以上高けれ
ば特に限定されるものではなく、主原料の藻類の種類、
抽出法、精製法、処理法の種類、塩の種類・ゼリー強度
等化学的物理的特性の差等にかかわらず、何れも利用可
能である。
水分値Aより5重量%以上高ければ特に限定されるもの
ではない。例えば、架橋澱粉、酸化澱粉、湿熱処理澱
粉、高アミロース澱粉の他、それらを含有する例えば高
アミロース米より得られた米粉等の穀粉のいずれも利用
可能である。
形成後の固有の水分値Bが水分値Aより5重量%以上高
く、ゲル状になっているものであれば特に限定されるも
のではなく、例えば、トランスグルタミナーゼ処理によ
りゲル化したα−カゼイン、血液アルブミンや筋肉蛋白
質の加熱ゲル等の加熱処理及び/またはトランスグルタ
ミナーゼ処理により調製したゲルが好ましい。
形成せしめる際の、トランスグルタミナーゼの起源、調
製方法及び精製度、トランスグルタミナーゼ処理するタ
ンパク質の種類、タンパク質をトランスグルタミナーゼ
処理する場合の酵素濃度、タンパク質の状態、反応時
間、共存物の種類等の処理条件も特に限定されるもので
はない。また、トランスグルタミナーゼ処理を施すタン
パク質は1種でも複数種の混合物でも良く、場合によっ
ては他の糖類等と混合後に反応せしめても充分な効果を
示す。
める固有の水分値Aより水分値Bが5%以上高いゲル形
成物質のゲルの濃度は、低すぎれば、油ちょうの際にゲ
ルが加熱消去されてしまうため、効果がほとんど認めら
れず、2重量%以上であることが好ましい。逆にこの濃
度が高過ぎれば、油ちょうの際にゲルの溶解が起こらな
いため、好ましい高分子複合体の形成に至らない。よっ
て、ゲルの濃度は60重量%を上限とすることが好まし
い。
物の粒度は、特に限定はされないが、平均粒径が細か
く、3mm以下であるほうが、バッター中での分散性が良
く、好ましい。 粉砕方法は特に限定されず、通常の方
法が利用できる。
は、特に限定はされないが、少なすぎると明確な添加効
果が認められ難く、多すぎるとゲル中に含まれる水分が
油ちょう時に一気に放出されるため油の激しい飛散や衣
形状の崩壊が起きやすい。従ってバッター中に、2重量
%以上80重量%以下になるように添加することが好ま
しい。
・風味・食感等の品質に悪影響を及ぼさずに具材の水分
を70%以下に調整させうる手法であれば、特に限定は
されない。例えば、具材が畜肉、魚介類、野菜等の生鮮
物である場合は、熱風乾燥、減圧乾燥、熱食用油による
油ちょう脱水、赤外線・マイクロ波等の電磁波照射によ
る加熱、糖類・塩類溶液浸漬等の浸透圧差を利用した脱
水、脱水シートの利用等が可能である。また、ミンチ肉
や魚肉すりみ、マッシュポテト等と調味料等のその他原
料を練り混合したような具材の場合は原料の配合によっ
て水分を調整してもよい。具材の水分は少ないほど冷凍
保存時に移動しうる水分が少なくなるので好ましい。通
常は、70%以下で充分な効果が得られるが、60%以
下が更に好ましい。
被膜を形成させる工程は、特に限定はされず、例えば、
浸漬方式やスプレー方式等が利用できるが、被膜が具材
表面の全面に均一に形成できて水分移行防止膜の効果が
充分発揮できるためには、食用ワックス含有動植物油脂
の熱溶液に具材を浸漬する方式が特に好ましい。
食用用途として認められているものなら何でもよく特に
限定されない。例えば蜜蝋、キャンデリラワックス、カ
ルナバワックス、ライスワックス、木蝋等が使用できる
が、このうち蜜蝋が水蒸気不透過性が特に強く(例え
ば、Gontard,N.らの報文:Int.J.Fo
od Sci.Technol.,Vol.29,p.
39)、好ましい。また、これらは各々単独で含有せし
めても、組み合わせても良く、組み合わせも特に限定さ
れるものではない。
含有せしめる動植物油脂は食用用途として認められてい
るものなら何でもよく特に限定されない。例えば、大豆
油、コーン油、綿実油、菜種油等の植物性油、鶏油、ラ
ード、ヘッド等の動物性油脂が使用できる。また、これ
らは単独で使用しても組み合わせても良く、組み合わせ
も特に限定されるものではない。
重量%以下では具材表面に食用ワックス被膜が充分に形
成されず充分な効果がえられないが、5重量%以上なら
特に限定はなく食用ワックス100%でもよい。食用ワ
ックスの動植物油脂への混合は、使用する食用ワックス
と動植物油脂をそれぞれの融点以上の温度に加熱し完全
溶解させた状態で撹拌すると簡単に混合することができ
る。
液の温度は少なくとも使用する食用ワックスと動植物油
脂の融点以上でそれぞれが完全に溶解している温度であ
ることが必要である。例えば蜜蝋使用の場合は融点が6
0〜67℃なので約70℃以上の温度が必要である。そ
れ以上はそれぞれの油脂が劣化する発煙点を上限として
特に制限はないが、比較的高温の場合は具材の食感が硬
くなる等の問題があり160℃以下が好ましい。
への浸漬時間は、具材の味・風味・食感等が劣化しない
限りは特に制限はないが、具材の表面に食用ワックスの
被膜が充分形成されればよく、通常数分程度で充分であ
る。
は特に限定されるものではなく、衣に包まれた中具の構
造を有しかつ油ちょうして製造されるものである。また
中具には特別の制限はなく、従来使用されているあらゆ
る具材が使える。例えば、各種コロッケ、カツ、エビフ
ライ等水産フライなどのパン粉付きフライ類、エビ天ぷ
ら、イモ天ぷら、かき揚げ等の天ぷら類、鶏肉、豚肉及
び牛肉等各種肉の唐揚げ類、フリッター類、揚げ餃子、
揚げ焼売、揚げ春巻等が挙げられる。また油ちょう済み
冷凍フライ食品とは上記フライ食品を冷凍したものであ
り、冷凍方法は通常の方法、装置が使用できる。
が、本発明はこれらにより限定されるものではない。
の測定方法に従い、25℃で過飽和水蒸気を1.6リッ
トル/分で送り込んでいるデシケーター中に、予め糊化
した後、凍結乾燥した小麦澱粉の粗粉砕物を置いた場合
の、澱粉の水分含量増加の経時変化を測定した。
が、約20時間で小麦澱粉は平衡水分、すなわち19.
8重量%に達していることがわかる。小麦澱粉固有の水
分値Aは19.8重量%であった。
値Bの測定方法に従い、予め糊化した後、凍結乾燥した
小麦澱粉を種々の水分値に吸湿せしめた試料を、銀製容
器に密封した後、各々のガラス転移温度をDSC(セイ
コー電子工業(株)製品、以下同様)にて測定した。
い小麦澱粉のガラス転移温度は低下し、水が小麦澱粉の
可塑剤として働いていることが分かる。また、その各測
定点を結ぶ図中の曲線から、25℃における小麦澱粉の
ガラス状態からラバー状態に変わる水分値は20.1重
量%であると推定される。従って、小麦澱粉固有の水分
値Bは20.1重量%であった。
水分値B−水分値Aは0.3重量%であることがわか
り、本発明にて好ましいと規定している5重量%には満
たない物質であることがわかる。
果:実施例1、2と同様の方法にて、数百種類の多糖
類、タンパク質類の固有の水分値A、水分値Bを測定し
た。尚、固有の水分値Aに関しては、測定場所の湿度、
飽和水蒸気の製造機器及びデシケーターの形状により数
重量%程度本発明における測定値と異なる場合が考えら
れるが、その場合には各測定場所において、測定を行う
物質の固有の水分値Aと小麦澱粉の固有の水分値Aとの
差を求め、本発明における小麦澱粉の固有の水分値A測
定結果である19.8重量%にその差を足し引きすれ
ば、本発明でいう各成分固有の水分値Aとはかい離しな
い値が得られる。
水分移行に伴う衣の食感劣化防止に効果が認められるゲ
ル形成物質及びその他代表的な物質の測定結果を表1に
示した。表から分かるように、ゲル形成能のある各種寒
天、数種のカラギーナン、トランスグルタミナーゼ処理
カゼイン等が水分値B−水分値Aが高い値を示した。こ
れらに比べ、フライ食品のバッターの主構成物質として
よく用いられる実施例1、2にて測定した小麦澱粉及び
その分解物であるデキストリンの水分値B−水分値Aは
低い値となっていた。また、カラギーナンの中には低い
値のものもあり、カゼインもトランスグルタミナーゼ処
理(反応条件:80U/g・カゼイン、pH=7.5、40℃)を施こ
す前は低値であった。また、大量にパン粉に混ぜた場
合、吸湿に伴う軟化を抑える効果があるという報告(特
開平2−2313号公報)がある熱凝固性タンパク質
で、中でも最も好ましいとされているグルテンの水分値
B−水分値Aは−2.8重量%と低い値であり、充分な
効果は得られないと考えられる。
められたゲル形成物質をフライ食品用バッターに添加す
る方法としてのゲル粉砕物添加法の効果について、寒天
の冷凍唐揚げバッターへの利用を例として示す。
力粉を打ち、それに次の3種類のバッターを付着させ
た。(1)[寒天添加バッターA(本発明のもの)]予め
所定の濃度(2、5、20重量%)になるよう加熱溶解
せしめた寒天(伊那食品工業(株)製品、AX−30)
水溶液を、冷却ゲル化せしめた後、クッキングミキサー
にて1mm以下の粒度になるまで粉砕した。この粉砕物を
小麦薄力粉37.5重量部及び水62.5重量部からな
る混合溶液と所定の割合で混合した寒天ゲル添加バッタ
ー。(2)[寒天添加バッターB(特願平8−1423
24記載のもの)]予め加熱溶解せしめた20重量部の
寒天(伊那食品工業(株)製品、AX−30)を、ゲル
化しない程度に熱い状態に維持したまま、80重量部の
小麦薄力粉と180重量部の市水と共に混練し、ゲル化
しない程度に熱い状態に維持した寒天添加バッター。
(3)[対照バッター]100重量部の小麦薄力粉と18
0重量部の市水とを混合したもの。しかるのちこれらを
180℃に保持したフライヤーで2.5分間油ちょうし
た後、すぐに−40℃の冷凍庫で急速冷凍した。1時間
程経って凍結を確認した後、−20℃の冷凍庫に移し、
凍結保管を行った。このものを電子レンジで調理し衣の
食感(サクサク感)を評価した。また、バッターを具材
に付着させる時の作業のしやすさの程度についても併せ
て評価した。
揚げを電子レンジ(家庭用、500W)で2分間程度解
凍・調理し、評価パネル数12名により5点満点の5段
階で官能評価することにより行った。尚、サクサク感を
感じるギリギリの食感を3点とするよう、予めパネルに
は伝えた。1ヶ月保存後の評価結果を表2に示す。
ッターの場合は衣のサクサク感が全く消失しているが寒
天添加バッターはA、B共にそのほとんどが1ヶ月保存
でもサクサク感を有している事がわかる。
度を少なくとも50℃以上に保ったままで具材に付着さ
せなければならず、またバッターの粘度も非常に高い
為、具材に均一に付着させにくく、非常に作業性が悪
い。これに対し、本発明の寒天添加バッターAは、バッ
ターを加温しなくてもよく、粘度も低くて作業性が大幅
に改良されていることがわかった。
するゲルの濃度に関しては、2重量%ゲル添加バッター
の評価結果がそれより高い濃度のゲル添加バッターより
効果が低いことがわかった。従ってゲルの濃度は高い方
が効果は高いと考えられた。該記発明(特開昭50−6
730号公報)にある、加熱により消去される程度のゲ
ル濃度は通常1%未満と考えられるが、本実施例の結果
から、この程度の濃度では本発明の解決しようとする問
題の解決にはならないことが分かる。以上から、その高
粘性或いはゲル形成性のため、作業性が悪かった寒天等
の固有の水分値Aと水分値Bの差が5%以上である物質
でも、本発明により作業性良くバッターに混合でき、そ
の効果も非常に高い事がわかる。
も(品種:紅あずま)を厚さ約8■、直径約5■の大き
さに輪切りにして水さらしした具材を、500■トール
ビーカー中で120℃に加熱したコーン油中に投入し2
0分間浸漬し脱水処理を行った。この時の具材の水分は
浸漬前が約68%で、浸漬後は約50%に減少してい
た。更にこの具材を100℃に加熱した蜜蝋50重量%
とコーン油50重量%の混合熱溶液中に投入し1分間浸
漬して具材表面に蜜蝋被膜を充分に形成させた。しかる
後この具材に実施例4記載で効果の高かった下記の寒天
ゲル添加バッター及び寒天無添加の対照バッターを付着
させた。[本実施例使用寒天ゲル添加バッター]予め20
重量%になるよう加熱溶解せしめた寒天(伊那食品工業
(株)製品、AX−30)水溶液を、冷却ゲル化せしめ
た後、クッキングミキサーにて3mm以下の粒度になるま
で粉砕した。この粉砕物100重量部を小麦薄力粉3
7.5重量部及び水62.5重量部からなる混合溶液1
00重量部と混合した寒天ゲル添加バッター。[対照バ
ッター]100重量部の小麦薄力粉と180重量部の市
水とを混合したもの。
うし、すぐに急速冷凍した後−20℃で3ケ月冷凍保存
した。このものを電子レンジ調理し衣の食感(サクサク
感)を評価した。比較例として、具材を脱水、蜜蝋熱溶
液浸漬せずに上記寒天ゲル添加バッター及び対照バッタ
ーを付着させたものも同様に評価した。衣のサクサク感
評価は、実施例4記載の方法で同様に行った。結果を表
3に示す。
(■4)の場合は完全に衣のサクサク感は消失していた
が、試料■1〜3の寒天ゲル添加バッターを使用したも
の及び具を脱水処理し蜜蝋熱溶液浸漬したものはそれぞ
れ衣のサクサク感が残っており、かなり高い効果が得ら
れた。更に、寒天ゲル添加バッターと上記具処理を組み
合わせた試料(■1)は、寒天ゲル添加バッターのみ使
用試料(■3)及び具の脱水処理と蜜蝋熱溶液浸漬処理
のみ行った試料(■2)より衣のサクサク感が大幅に強
くなり、衣の食感を維持する保存期間の著しい延長が図
られることが期待できる。
ば、油ちょう済み冷凍フライ食品において問題となる冷
凍保管中の衣の食感劣化に対し、具材の水分を脱水する
工程及び/または具材表面に食用ワックスからなる被膜
を形成させる工程と、その具材に、固有の水分値A(2
5℃、過飽和水蒸気雰囲気における平衡水分)より水分
値B(25℃におけるガラス転移水分)が5重量%以上
高いゲル形成物質のゲル粉砕物を含むバッターを付着さ
せ、油ちょうする工程とを組み合わせる事により著しい
改善がはかられ、食感を維持する保存期間が大幅に延長
された新規な油ちょう済み冷凍フライ食品を提供するこ
とを可能としたものである。
Claims (6)
- 【請求項1】 具材の水分を脱水する工程及び/または
具材表面に食用ワックスからなる被膜を形成させる工程
と、該具材に、固有の水分値A(25℃、過飽和水蒸気
雰囲気における平衡水分)より水分値B(25℃におけ
るガラス転移水分)が5重量%以上高いゲル形成物質の
ゲル粉砕物を含むバッターを付着させ油ちょうする工
程、とが組み合わされたことを特徴とする油ちょう済み
フライ食品。 - 【請求項2】具材の水分を脱水する工程が、具材水分を
70%以下に調整することを特徴とする請求項1記載の
油ちょう済みフライ食品。 - 【請求項3】具材表面に食用ワックスからなる被膜を形
成させる工程が、具材を食用ワックス含有動植物油脂の
熱溶液に浸漬することを特徴とする請求項1記載の油ち
ょう済みフライ食品。 - 【請求項4】食用ワックスが蜜蝋であることを特徴とす
る請求項1および3記載の油ちょう済みフライ食品。 - 【請求項5】 固有の水分値Aより水分値Bが5重量%
以上高いゲル形成物質が、寒天、カラギーナン、澱粉、
トランスグルタミナーゼ処理タンパク質のうちから選ば
れる1種類以上である請求項1記載の油ちょう済みフラ
イ食品。 - 【請求項6】油ちょう済みフライ食品が電子レンジ調理
用冷凍食品である請求項1ないし5記載の油ちょう済み
フライ食品。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP27563097A JP3518282B2 (ja) | 1997-10-08 | 1997-10-08 | 油ちょう済みフライ食品 |
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JP27563097A JP3518282B2 (ja) | 1997-10-08 | 1997-10-08 | 油ちょう済みフライ食品 |
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JPH11103791A true JPH11103791A (ja) | 1999-04-20 |
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