JPH1110328A - ハンダごて装置 - Google Patents

ハンダごて装置

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JPH1110328A
JPH1110328A JP9164780A JP16478097A JPH1110328A JP H1110328 A JPH1110328 A JP H1110328A JP 9164780 A JP9164780 A JP 9164780A JP 16478097 A JP16478097 A JP 16478097A JP H1110328 A JPH1110328 A JP H1110328A
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soldering iron
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Yoshio Kataoka
義男 片岡
Tetsuyuki Doi
哲之 土井
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宏治 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 こて先温度の管理基準として運用されている
外部温度測定装置と同等のこて先温度を表示し、こて先
温度の設定値が変更されても、外部温度測定装置と同等
のこて先温度を表示する。 【解決手段】 こて先の温度を検出して表示手段に表示
する温度検出手段を備えたハンダごて装置であって、あ
るこて先温度の設定値(基準設定温度)における温度検
出手段によるこて先温度と他の外部温度測定装置によっ
て検出されたこて先温度との温度差を基準補正値として
予め記憶する記憶手段と、前記温度検出手段によって検
出されたこて先温度を表示する際に、表示手段に表示す
る表示温度が外部温度測定装置によるこて先温度と等し
くなるように、前記基準補正値に基づいて温度検出手段
によるこて先温度を補正して表示手段に出力する温度制
御手段とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、こて先温度を検出
する温度検出手段を備えたハンダごて装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】上記温
度検出手段を備えたハンダごて装置は、こて先に熱電対
等の小型の温度検出手段を設け、該熱電対によって検出
されたこて先温度を表示手段に表示するものである。一
方、ハンダごて装置のこて先温度を専用に検出するこて
先温度計(外部温度測定装置)が実用化され、プリント
配線板等の製造ラインにおいて複数のハンダごて装置の
こて先温度の統一的な管理に使用されている。
【0003】ところで、上記ハンダごて装置に備えられ
た温度検出手段によるこて先温度とこて先温度計による
こて先温度との間に温度差が生じる場合がある。この温
度差は、こて先温度計をこて先温度の管理基準として運
用している場合に不都合を生じる。すなわち、ハンダご
て装置の表示手段には、こて先温度計によって計測され
た管理基準温度が表示されないので、当該ハンダごて装
置の表示手段に表示されたこて先温度は実用性のないも
のとなる。
【0004】本発明は、上述する問題点に鑑みてなされ
たもので、以下の点を目的とするものである。 (1)こて先温度の管理基準として運用されている外部
温度測定装置と同等のこて先温度を表示することが可能
なハンダごて装置を提供する。 (2)こて先温度の設定値が変更されても、外部温度測
定装置と同等のこて先温度を表示することが可能なハン
ダごて装置を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、こて先の温度(こて先温度)を検出して表示手段に
表示する温度検出手段を備えたハンダごて装置であっ
て、あるこて先温度の設定値(基準設定温度)における
温度検出手段によるこて先温度と他の外部温度測定装置
によって検出されたこて先温度との温度差を基準補正値
として予め記憶する記憶手段と、前記温度検出手段によ
って検出されたこて先温度を表示する際に、表示手段に
表示する表示温度が外部温度測定装置によるこて先温度
と等しくなるように、前記基準補正値に基づいて温度検
出手段によるこて先温度を補正して表示手段に出力する
温度制御手段とを具備するという手段が採用される。ま
た、上記手段において、温度制御手段は、実使用時に外
部温度測定装置によるこて先温度がこて先の設定温度と
なるように、前記基準補正値に基づいてこて先の加熱目
標温度を補正するという手段が採用される。また、記憶
手段は基準補正値とともに基準設定温度をも記憶し、温
度制御手段は、基準設定温度とは異なる設定温度におけ
るこて先温度の補正値を算出する場合に、基準設定温度
と基準補正値とによって規定される点と前記温度差がこ
て先温度の設定温度に対して変化しない点とを結ぶ直線
上の点として補正値を算出するという手段が採用され
る。また、温度制御手段は、前記補正値に基づいて直線
上の点としてこて先の加熱目標温度を算出するという手
段が採用される。また、温度制御手段は、基準補正値を
記憶手段に記憶させる際に、こて先温度の最大補正値を
越えないように上限を設定して記憶させるという手段が
採用される。さらに、温度制御手段は、基準補正値の前
記上限を基準設定温度に応じて変化する補正上限値Cm
によって規定するという手段が採用される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
係わるハンダごて装置の一実施形態について説明する。
なお、このハンダごて装置は、操作ボックスと該操作ボ
ックスにケーブルで接続されたハンダごて部とによって
構成されている。操作ボックスは据え置き状態とされ、
ハンダごて部は半田付け作業の作業者に把持されて、そ
のこて先が非半田付物に当接されるものである。
【0007】図1は、本実施形態の構成を示す回路図で
ある。この図において、符号1はワンチップマイコン
(温度制御手段)であり、内部に設けられたROM(読
み出し専用メモリ)に記憶された制御プログラムに従っ
て、以下の各構成要素の動作を制御する。ワンチップマ
イコン1としては、上記ROMおよびRAM(書き込み
/読み出しメモリ)の他に、各種タイマや入出力インタ
ーフェースを備えた汎用のものが適用される。
【0008】符号2はハンダごて部のこて先を示してお
り、該こて先2を加熱するヒータ3とこて先2の温度
(こて先温度)を電気信号として検出する温度センサ4
とが設けられる。符号5は商用電源を低圧する電源トラ
ンスであり、商用電源に接続される1次巻線と、10V
rmsの交流電圧及び24Vrmsの交流電圧を出力する2つ
の2次巻線からなる。
【0009】24Vrmsの交流電圧を出力する二次巻線
の両端には上記ワンチップマイコン1によってON/O
FFが制御されるサイリスタ6と該サイリスタ6に直列
接続されたヒータ3とが接続され、10Vrmsの交流電
圧を出力する二次巻線の一端にはタイミング発生回路7
が接続されている。
【0010】タイミング発生回路7は、電源トランス5
から入力された交流電圧のゼロクロス位置を検出して、
ヒータ3への通電のタイミング信号としてワンチップマ
イコン1に出力するものである。なお、上記サイリスタ
6は、このタイミング信号に基づいて制御される。
【0011】また、10Vrmsの交流電圧を出力する上
記電源トランス5の二次巻線は電源回路8に接続されて
いる。該電源回路8は、電源トランス5から入力された
交流電圧を整流し、例えば±5Vおよび+3V等の直流
電源電圧を出力する。増幅器9は、温度センサ4から出
力された上記電気信号を増幅してマルチプレクサ10の
一方の選択端子に出力する。
【0012】該マルチプレクサ10の他方の選択端子に
は、サーミスタ12の出力が増幅器11によって増幅さ
れて入力されるようになっており、マルチプレクサ10
はワンチップマイコン1の出力に基づいて温度センサ4
の出力あるいはサーミスタ12の出力を択一的にA/D
(アナログ/デジタル変換器)13に出力する。A/D
13は、アナログ信号である入力信号をデジタル信号に
変換してワンチップマイコン1に出力する。
【0013】符号14はスイッチであり、ワンチップマ
イコン1の出力に基づいてブザー15に供給する電源電
圧を+5Vと+3Vのいずれかに切り換えることによっ
て該ブザー15の音量を制御するものである。なお、ブ
ザー15は、バッファアンプ16を介してワンチップマ
イコン1から入力された信号に基づいて発音が制御され
る。
【0014】続いて、符号17は上記操作ボックスの設
けられる操作パネルであり、複数の表示器18(表示手
段)と操作スイッチ19によって構成される。表示器1
8の各操作端子はバッファ20を介してワンチップマイ
コン1に接続されるとともに、共通端子はトランジスタ
21のコレクタ端子に接続される。
【0015】また、トランジスタ21の各ベース端子は
ワンチップマイコン1に接続され、該ワンチップマイコ
ン1の出力に基づいて例えば+5Vの電源電圧を各表示
器18の共通端子に供給するようになっている。また、
操作スイッチ19は、上記各コレクタ端子とワンチップ
マイコン1との間に介挿され、その操作がワンチップマ
イコン1に入力されるようになっている。
【0016】符号22は発振回路であり、ワンチップマ
イコン1の基本クロックを発生する。符号23はリセッ
トスイッチであり、ワンチップマイコン1を初期化する
ためのものである。24はEEPROM(電気的書き込
み消去可能メモリ)であり、上記数値入力スイッチ19
aから入力された各種設定値をを記憶する。また、EE
PROM24は、以下に説明する表示温度の補正に係わ
るデータ等を記憶するように構成されている。
【0017】図2は、上記操作パネル17の構成を示す
平面図である。この図において、符号19aは、こて先
の設定温度等、各種設定値を入力する数値入力スイッチ
である。19bは数値入力スイッチ19aによって入力
しようとする数値の桁移動を操作する表示桁移動スイッ
チ、19cは数値入力スイッチ19aから入力される数
値の入力モードを切り換えるパラメータ切換スイッチ、
19dは上記各種設定値を保持するキーロック設定およ
びその解除を切り換えるキーロックスイッチである。
【0018】符号18aは、設定温度表示器であり、上
記数値入力スイッチ19aから入力された各種数値を表
示するものである。18bはキーロック設定ランプであ
り、キーロックスイッチ19dが操作されて当該ハンダ
ごて装置がキーロック設定状態とされると点灯する。1
8cは、上記温度センサ4によって検出されたこて先温
度を表示する測定温度表示器である。この測定温度表示
器18cには、温度センサ4によって検出されたこて先
温度が上記ワンチップマイコン1によって以下に説明す
るように補正して得られた表示温度が表示される。
【0019】さらに、符号18dはヒータ3への通電時
に点灯されるヒータ通電表記器、18eはこて先温度が
設定温度に対して設けられた一定の範囲を逸脱した場合
等に点灯するアラームランプ、18fは当該ハンダごて
装置の動作モードがオートチューニングモードに設定さ
れている場合に点滅するオートチューニングランプ、1
8gは動作モードがスリープモードに設定されている場
合に点灯するスリープ設定ランプである。
【0020】このハンダごて装置は、一定時間に亘って
使用されない場合に、動作モードが自動的にスリープモ
ード(省電力状態)に移行するように構成されている。
このスリープ状態は、こて先温度を通常使用時のこて先
温度よりも低く設定して電力消費量を抑えるものであ
る。符号18hは、該スリープモードになると点灯する
スリープランプである。
【0021】次に、このように構成された本ハンダごて
装置の作動について説明する。まず、図3及び図4に示
すフローチャートを参照して、実際の使用前に行われる
補正データの入力処理について説明する。上述したよう
に本ハンダごて装置では、測定温度表示器18cに表示
される表示温度は、温度センサ4によって検出されたこ
て先温度に対して補正されたものとなる。上記補正デー
タの入力処理は、以下に説明する基準補正値CAL及び
そのときのこて先2の基準設定温度Tsv(補正データ)
をEEPROM24に記憶される処理である。
【0022】この補正データの入力処理は、パラメータ
切換スイッチ19cを操作することにより、本ハンダご
て装置の動作モードが補正データの入力処理モードに設
定されることによってスタートする。この入力処理モー
ドにおいて、ワンチップマイコン1は、パラメータ切換
スイッチ19cが再度操作されて補正モードの設定が終
了したか否かをまず判断する(ステップS1)。この補
正モードとは、上記表示温度の補正のON/OFFを設
定する設定モードのことであり、この判断が「No」の
場合、表示温度の補正のON/OFFの切替操作がなさ
れたか否かが判断される(ステップS2)。
【0023】そして、この判断が「No」の場合は上記
ステップS1の処理が繰り返され、この判断が「Ye
s」の場合には、表示温度の補正がONつまり該補正を
実行する状態に補正モードが設定されているか否かを判
断する(ステップS3)。そして、この判断が「Ye
s」の場合は補正をOFFとする状態に補正モードが設
定され(ステップS4)、この判断が「No」の場合に
は補正をONとする状態に補正モードが設定される(ス
テップS5)。このようにステップS4あるいはステップ
S5の処理が終了して補正モードの設定が終了すると、
ステップS1の処理が繰り返されれる。
【0024】この状態においては補正モードの設定が終
了しているので、パラメータ切換スイッチ19cが操作
されてステップS1における判断は「Yes」となる。
そして、上記補正モードが表示温度の補正をONとする
状態に設定されているか否かが判断される(ステップS
6)。ここで、この判断が「No」の場合は当該補正デ
ータの入力処理モードが終了され、この判断が「Ye
s」の場合には、以下に補正データの入力処理が行われ
る。
【0025】すなわち、この補正データの入力処理で
は、上記数値入力スイッチ19aによってこて先温度の
設定値が入力されると、ステップS7において、まず補
正値の上限値(補正上限値)Cmが以下の式に基づいて
設定される(図4参照)。 Cm=H・(SV−Min)/(Max−Min) (1) ここで、Hは最大補正値、SVはこて先温度の設定値、
Minは設定可能なこて先温度の最小値(最小設定温
度)、Maxは設定可能なこて先温度の最大値(最大設定
温度)であり、予めEEPROM24に記憶される値で
ある。
【0026】例えば、本実施形態では、最大補正値Hが
99゜Cに、最小設定温度Minが100゜Cに、また最
大設定温度Maxが500゜Cに設定されており、この結
果、補正上限値Cmはこて先温度の設定値SVを変数と
する式(2)として与えられる。 Cm=99(SV−100)/400 (2) すなわち、こて先温度を最大設定温度である500゜C
に設定する場合は補正上限値Cm=99゜Cとなり、こ
て先温度を最小設定温度である100゜Cに設定する場
合には、補正上限値Cm=0゜Cとなる。
【0027】続いて、前回設定された補正値(総補正
値)が上記補正上限値Cmより小さいか否かが判断され
る(ステップS8)。なお、この総補正値は、前回の補
正値の設定の際にEEPROM24に書き込まれたもの
であり、ワンチップマイコン1は、この総補正値をEE
PROM24から読み出して、上記補正上限値Cm値比
較する。そして、この判断が「No」の場合はワンチッ
プマイコン1内に設けられた変更バッファに上記補正上
限値Cmを書き込み(ステップS9)、この判断が「Ye
s」の場合には、上記総補正値を変更バッファに書き込
む(ステップS10)。
【0028】さらに、ワンチップマイコン1は、パラメ
ータ切換スイッチ19cが操作されて、当該補正データ
の入力処理モードの終了が指示されたか否かを判断し
(ステップS11)、この判断が「No」の場合は、数値
入力スイッチ19aが操作されて、基準補正値CALが
変更されたか否かを判断する(ステップS12)。
【0029】ここで、基準補正値CAL、つまり上記温
度センサ4によって検出されたこて先温度と外部温度測
定装置によって計測されたこて先温度との温度差が数値
入力スイッチ19aから新たに入力されると、この判断
は「Yes」となり、数値入力スイッチ19aから新た
に入力された変更値が基準補正値CALとして変更バッ
ファに書き込まれる(ステップS13)。そして、この変
更バッファに書き込まれた上記変更値が補正上限値Cm
よりも大きいか否かが判断される(ステップS14)。
【0030】例えば、こて先温度の設定値SVが300
゜Cであった場合、上記式(2)より、補正上限値Cm
は49.5゜Cとなる。したがって、ステップS14で
は、数値入力スイッチ19aから入力された変更値が当
該補正上限値Cm(=49.5゜C)よりも大きな値で
あるか否かが判断される。なお、上記設定値SVとして
は、当該ハンダごて装置を実際に使用する時の温度が選
択されることになる。
【0031】この判断が「Yes」の場合、変更バッフ
ァの値が上記補正上限値Cmに書き改められた後(ステ
ップS15)、一方、この判断が「No」の場合には直接
に、補正値の変更があったか否かを示す変更フラグに補
正値の変更が有ったことを示す値、例えば「1」がセッ
トされる。この処理が終了すると、また上記ステップS
12における判断が「No」つまり基準補正値CALが変
更されない場合には、上記ステップS11の処理が繰り返
されて、当該補正データの入力処理モードの終了が指示
されたか否かが判断される。
【0032】ここでは、以上の処理で基準補正値CAL
の変更が終了しているので、パラメータ切換スイッチ1
9cが操作されて補正データの入力処理モードの終了が
指示されると、ステップS11の判断は「Yes」とな
り、引き続いて変更が既に行われたか否かが判断される
(ステップS17)。そして、この判断が「Yes」の場
合上述した処理によって最終的に変更バッファに書き込
まれていた値が補正値CALとしてEEPROM24に
記憶される(ステップS18)。
【0033】また、このときのこて先温度の設定値SV
が基準補正値CALの設定時のこて先温度の基準設定温
度TsvとしてEEPROM24に記憶される(ステップ
S19)。そして、該ステップS19の処理が終了すると、
また上記ステップS17において基準補正値CALの変更
がなかったと判断された場合には、上記変更フラグが
「0」に初期設定されて(ステップS20)、当該補正デ
ータの入力処理モードの処理が終了される。
【0034】例えば、上記補正データの入力処理モード
において、こて先2の設定温度(基準設定温度:Tsv)
=300゜Cにおいて、式(1)によって規定される補
正上限値Cmを越える補正温度が設定された場合、基準
補正値CALとして49.5゜CがEEPROM24に
記憶される。一方、補正上限値Cm以下の補正温度が設
定された場合、例えば基準設定温度Tsv=300゜Cに
おいて30゜Cが設定された場合には当該30゜Cが基
準補正値CALとしてEEPROM24に記憶されるこ
とになる。
【0035】以上のように、補正データの入力処理モー
ドにおいて基準補正値CAL及びそのときの基準設定温
度Tsvが設定されると、当該ハンダごて装置は実際のハ
ンダ付け作業(実使用)に供される。以下、このときの
補正処理について、図5及び図6に示すフローチャート
並びに図7に示す説明図を参照して説明する。
【0036】この処理では、電源が投入されると、ワン
チップマイコン1は、上述した補正データの入力処理モ
ードにおいて、補正モードが「ON」つまり補正モード
が表示温度の補正を行うモードに設定されているか否か
を判断する(ステップSa1)。そして、この判断が「Y
es」の場合、実使用時のこて先2の設定温度SVに対
する補正値Tcが下式(3)に基づいて算出される(ス
テップSa2)。 Tc=CAL・(SV−Min)/(Tsv−Min) (3)
【0037】図7に示すように、補正値Tcは、補正デ
ータの入力処理モードにおいて設定された基準設定温度
Tsvと基準補正値CALとによって規定される点Pr
と、最小設定温度Minにおける補正値Tcを「ゼロ」と
する点P1(固定点)とを結ぶ直線L上の点として与え
られる。
【0038】上記CAL/(Tsv−Min)は、上記点P
rによって規定される直線Lの傾きを示しており、基準
補正値CALは補正の対象となる外部温度測定装置に応
じて異なる値となるから、最小設定温度Minにおける補
正値Tcを「ゼロ」に固定すると、この直線Lは外部温
度測定装置に応じて一義的に選択・設定されることにな
る。
【0039】例えば、図7に示すように、補正データの
入力処理モードにおいて、基準設定温度Tsv=300゜
Cかつ基準補正値CAL=30゜Cとする点Prが設定
された場合、実使用時の設定温度SV=400゜Cにお
ける補正値Tcを上式(3)によって算出すると45゜
Cとなる。
【0040】なお、本実施形態において、最小設定温度
Minにおける補正値Tcを「ゼロ」としたのは、実験的
な事実に基づくものである。すなわち、種々の外部温度
測定装置について、そのこて先温度の測定値と上記温度
センサ4によって検出されたこて先温度との温度差を確
認した結果、最小設定温度Minに設定した100゜Cに
おいて該温度差は殆ど生じなかった。この事実に基づい
て、本実施形態では最小設定温度Minにおける補正値T
cを「ゼロ」としている。
【0041】このようにして補正値Tcが算出される
と、さらに補正後ドロップ予測値Tpが算出される。こ
の補正後ドロップ予測値Tpは、外部温度測定装置と当
該ハンダごて装置の温度センサ4で検出されたこて先温
度の測定値との相異を是正するためのものであり、式
(4)に示されるように上記点Psを原点とした場合の
直線L上の点(補正値Tcを変数)として算出される。 Tp=Tc・CAL/(Tsv−Min) (4)
【0042】例えば、当該ハンダごて装置の実使用時の
設定温度SVが300゜Cのときに基準補正値CALが
30゜Cであった場合、当該ハンダごて装置の温度セン
サ4に検出されるこて先温度は300゜Cとなるが、こ
のとき測定値外部温度測定装置によって計測されるこて
先温度は(300−30)=270゜Cとなる。
【0043】したがって、外部温度測定装置を基準とし
てこて先温度を300゜Cで管理行しようとする場合、
当該ハンダごて装置の設定温度SVを30゜C上昇させ
て、外部温度測定装置によるこて先温度の測定値が30
0゜Cとなるようにする必要がある。この設定温度SV
に対する増加量が、上式(4)によって算出される補正
後ドロップ予測値Tpである。
【0044】例えば、補正値Tc=45゜Cであった場
合には、補正後ドロップ予測値Tpは式(4)に基づい
て、 Tp=45×30/(300−100)=6.75゜C と算出される。
【0045】このように補正後ドロップ予測値Tpが算
出されると、該補正後ドロップ予測値Tpと補正値Tcと
の加算値が上記補正上限値Cm(=99゜C)より大き
いか否かが判断される(ステップSa4)。そして、この
判断が「No」の場合は補正後ドロップ予測値Tpと補
正値Tcとの加算値が総補正値Ttに設定され(ステップ
Sa5)、この判断が「Yes」の場合には補正上限値C
mつまり99゜Cが総補正値Ttに設定される(ステップ
Sa6)。
【0046】さらに、測定温度表示器18cの表示温度
が当該ハンダごて装置の温度センサ4で検出された測定
値Pに基づいて設定される。この場合、まず該測定値P
が100゜Cよりも小さいか否かが判断され(ステップ
Sa7)、この判断が「No」の場合と「Yes」の場合
とに応じて以下のように測定温度表示器18cへの表示
温度が設定される。
【0047】最初に、こて先温度が100゜C以上であ
るときには、基準補正値CALの設定時つまりこて先温
度が基準設定温度Tsvである場合に対する総補正値A
(基準総補正値)が式(5)に基づいて算出される(ス
テップSa8)。 A=CAL+{CAL/(Tsv−100)}・CAL (5)
【0048】そして、上記基準総補正値Aに基づいて、
温度センサ4で検出された測定値Pに対する1゜C当た
りの単位補正値Bが式(6)によって算出される(ステ
ップSa9)。 B={A+(Tsv−100)}/ (Tsv−100) (6)
【0049】さらに、上記単位補正値Bに基づいて温度
センサ4で検出された測定値Pに応じた補正値Cが式
(7)によって算出され(ステップSa10)、該補正値
Cに100゜Cが加算されて表示候補温度Dとされる
(ステップSa11)。 C=(P−100)/B (7)
【0050】例えば、基準設定温度Tsv=300゜C、
基準補正値CAL=30゜Cである場合、基準総補正値
Aは34.5゜Cとなる。この値に基づいて単位補正値
Bは1.1725゜Cとなる。この結果、100゜Cを
基点とした温度センサ4の測定値(P−100)に単位
補正値Bである1.1725を除算することによって、
測定値Pに応じた補正値Cが算出される。例えば、測定
値Pが300゜cのときには、補正値Cは170.58
゜Cとなる。そして、該補正値Cに100゜Cを加算し
た値、つまり270.58゜Cが表示候補温度Dとして
算出される。
【0051】この表示候補温度Dは、当該ハンダごて装
置の温度設定の上限値である620゜Cと比較され、該
620゜Cと上述のように算出された表示候補温度Dと
の何れか小さいほうが最終的に測定温度表示器18cへ
の表示温度とされる(ステップSa12)。この場合、表
示候補温度Dは620゜Cよりも小さな270.58゜
Cと算出されているので、該270.58゜Cが表示内
部データとなる。そして、この表示内部データの小数点
以下が四捨五入されて、271゜Cが最終的に表示温度
とされる。
【0052】なお、上記ステップa7における判断が
「Yes」つまり温度センサ4の測定値Pが100゜C
よりも小さいときにおいては、測定温度表示器18cへ
の表示温度は温度センサ4の測定値Pがそのまま適用さ
れる(ステップSa13)。
【0053】このようにして測定温度表示器18cへの
表示温度続が設定されると、加熱目標温度、つまり当該
ハンダごて装置の設定温度SVに対して実際にヒータ3
を加熱する際の目標温度が、上記実使用時の設定温度S
Vに総補正値を加算した値として算出される(ステップ
Sa14)。そして、ワンチップマイコン1は、このよう
に算出された表示温度を測定温度表示器18cに出力す
る。
【0054】したがって、測定温度表示器18cには温
度センサ4で検出された測定値から総補正値Ttだけ低
い表示温度がこて先温度として表示され、かつこて先温
度が設定温度SVよりも総補正値Ttだけ高い加熱目標
温度となるようにヒータ3が制御されることになる。そ
して、該ステップSa14における処理が終了すると、ワ
ンチップマイコン1は、ステップSa1の処理を繰り返
す。
【0055】なお、上記ステップSa1における判断が
「No」の場合は、上記測定温度表示器18cへの表示
温度の補正が指示されていない状態なので、ステップS
a15において補正値Tcが「0」に設定され、またステッ
プSa16において補正後ドロップ予測値Tpが「0」に設
定されて、ステップSa4以降の処理が行われる。すなわ
ち、この場合、表示温度と御用設定値は何ら補正されな
い。
【0056】以上に、本発明の一実施形態について説明
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下
のような変形が考えられる。
【0057】すなわち、上記実施形態では直線L上の点
として補正値Tc及び補正後ドロップ予測値Tpを算出し
たが、これは当該ハンダごて装置の温度センサで検出さ
れたこて先温度と種々の外部温度測定装置によって計測
したこて先温度との温度差が、設定温度の上昇とともに
直線的に増加するという実験結果に基づくものである。
しかし、外部温度測定装置の中には、この温度差が直線
的に増加しないものもある。
【0058】このような外部温度測定装置に対しては、
補正データの入力処理モードにおいて設定温度に対する
複数の基準補正値をEEPROM24に記憶させ、実使
用時においてはこれら複数の基準補正値との間を直線補
間あるいは曲線補間することによって上記直線Lに相当
する折れ線あるいは曲線を生成し、該折れ線あるいは曲
線に沿った値として補正値と補正後ドロップ予測値とを
算出する。
【0059】なお、この場合、EEPROM24に記憶
させる基準補正値の数によって補正値と補正後ドロップ
予測値の補正精度が異なってくる。すなわち、基準補正
値の数を多くすることによって、より正確に温度センサ
によるこて先温度と外部温度測定装置によるこて先温度
との温度差を反映した折れ線あるいは曲線を生成するこ
とが可能となるので、当該ハンダごて装置の使用者が基
準補正値の記憶数を設定できるようにすることが好まし
い。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わるハ
ンダごて装置は、以下のような効果を奏する。 (1)こて先の温度(こて先温度)を検出して表示手段
に表示する温度検出手段を備えたハンダごて装置であっ
て、あるこて先温度の設定値(基準設定温度)における
温度検出手段によるこて先温度と他の外部温度測定装置
によって検出されたこて先温度との温度差を基準補正値
として予め記憶する記憶手段と、前記温度検出手段によ
って検出されたこて先温度を表示する際に、表示手段に
表示する表示温度が外部温度測定装置によるこて先温度
と等しくなるように、前記基準補正値に基づいて温度検
出手段によるこて先温度を補正して表示手段に出力する
温度制御手段とを具備するので、外部温度測定装置がこ
て先温度の管理基準として運用されている場合に、該外
部温度測定装置と同等のこて先温度を表示することがで
きる。 (2)例えば、こて先温度の設定温度が300゜Cのと
きに基準補正値が30゜Cであった場合において、当該
ハンダごて装置によるこて先温度が300゜Cのとき
に、外部温度測定装置によるこて先温度は(300−3
0)=270゜Cとなる。この場合、外部温度測定装置
を基準としてこて先温度を300゜Cで管理行しようと
する場合、当該ハンダごて装置の設定温度を30゜C上
昇させて、外部温度測定装置でこて先温度を計測した際
に計測温度が300゜Cとなるようにする必要がある。
これに対して、温度制御手段は、実使用時に外部温度測
定装置によるこて先温度がこて先の設定温度となるよう
に、前記基準補正値に基づいてこて先の加熱目標温度を
補正するので、外部温度測定装置によるこて先温度をこ
て先温度の設定温度と等しくすることができる。 (3)記憶手段は基準補正値とともに基準設定温度をも
記憶し、温度制御手段は、基準設定温度とは異なる設定
温度におけるこて先温度の補正値を算出する場合に、基
準設定温度と基準補正値とによって規定される点と前記
温度差がこて先温度の設定温度に対して変化しない点と
を結ぶ直線上の点として補正値を算出するので、実使用
時のこて先温度の設定値が変更されても外部温度測定装
置との温度差を正確に補正することができる。 (4)温度制御手段は、前記補正値に基づいて直線上の
点としてこて先の加熱目標温度を算出するので、実使用
時のこて先温度の設定値が変更されても外部温度測定装
置によるこて先温度をこて先温度の設定温度と等しくす
ることができる。 (5)温度制御手段は、基準補正値を記憶手段に記憶さ
せる際に、こて先温度の最補正値を越えないように上限
を設定して記憶させるので、過度の補正を防止すること
ができる。 (6)温度制御手段は、基準補正値の前記上限を基準設
定温度に応じて変化する補正上限値Cmによって規定す
るので、基準設定温度毎に過度の補正を防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるハンダごて装置の一実施形態
の機能構成を示す回路図である。
【図2】 本発明に係わるハンダごて装置の一実施形態
において、操作パネルの構成例を示す平面図である。
【図3】 本発明に係わるハンダごて装置の一実施形態
の作動を示す第1のフローチャートである。
【図4】 本発明に係わるハンダごて装置の一実施形態
の作動を示す第2のフローチャートである。
【図5】 本発明に係わるハンダごて装置の一実施形態
の作動を示す第3のフローチャートである。
【図6】 本発明に係わるハンダごて装置の一実施形態
の作動を示す第4のフローチャートである。
【図7】 本発明に係わるハンダごて装置の一実施形態
において、その補正処理を示す説明図である。
【符号の説明】
1……ワンチップマイコン 2……こて先 3……ヒータ 4……温度センサ 5……電源トランス 6……サイリスタ 7……タイミング発生回路 8……電源回路 9、11……増幅器 10……マルチプレクサ 12……サーミスタ 13……A/D(アナログ/デジタル変換器) 14……スイッチ 15……ブザー 16……バッファアンプ 17……操作パネル 18……表示器 19……操作スイッチ 20……バッファ 21……トランジスタ 22……発振回路 23……リセットスイッチ 24……EEPROM Tsv……基準設定温度 CAL……基準補正値 H……最大補正値 SV……こて先温度の設定値 Min……最小設定温度 Max……最大設定温度 Tp……補正後ドロップ予測値 Tt……総補正値 L……直線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 こて先(2)の温度(こて先温度)を検
    出して表示手段(18)に表示する温度検出手段(4)
    を備えたハンダごて装置であって、 あるこて先温度の設定値(基準設定温度:Tsv)におけ
    る温度検出手段によるこて先温度と他の外部温度測定装
    置によって検出されたこて先温度との温度差を基準補正
    値(CAL)として予め記憶する記憶手段(24)と、 前記温度検出手段によって検出されたこて先温度を表示
    する際に、表示手段に表示する表示温度が外部温度測定
    装置によるこて先温度と等しくなるように、前記基準補
    正値に基づいて温度検出手段によるこて先温度を補正し
    て表示手段に出力する温度制御手段(1)と、 を具備することを特徴とするハンダごて装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のハンダごて装置におい
    て、温度制御手段は、実使用時に外部温度測定装置によ
    るこて先温度がこて先の設定温度(SV)となるよう
    に、前記基準補正値に基づいてこて先の加熱目標温度を
    補正することを特徴とするハンダごて装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のハンダごて装置
    において、 記憶手段は基準補正値とともに基準設定温度をも記憶
    し、 温度制御手段は、基準設定温度とは異なる設定温度にお
    けるこて先温度の補正値(Tc)を算出する場合に、基
    準設定温度と基準補正値とによって規定される点(P
    r)と前記温度差がこて先温度の設定温度に対して変化
    しない点(P1)とを結ぶ直線(L)上の点として補正
    値を算出することを特徴とするハンダごて装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のハンダごて装置におい
    て、温度制御手段は、前記補正値に基づいて直線(L)
    上の点としてこて先の加熱目標温度を算出することを特
    徴とするハンダごて装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4いずれかに記載のハン
    ダごて装置において、温度制御手段は、基準補正値を記
    憶手段に記憶させる際に、こて先温度の最大補正値
    (H)を越えないように上限を設定して記憶させること
    を特徴とするハンダごて装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のハンダごて装置におい
    て、温度制御手段は、基準補正値の前記上限を基準設定
    温度に応じて変化する補正上限値(Cm)によって規定
    することを特徴とするハンダごて装置。
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