JPH11100722A - 易染性ポリエステル繊維 - Google Patents
易染性ポリエステル繊維Info
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- JPH11100722A JPH11100722A JP26138397A JP26138397A JPH11100722A JP H11100722 A JPH11100722 A JP H11100722A JP 26138397 A JP26138397 A JP 26138397A JP 26138397 A JP26138397 A JP 26138397A JP H11100722 A JPH11100722 A JP H11100722A
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Abstract
色可能であり、かつ染色堅牢度が良好であり、また所定
の沸水収縮率と熱応力極値を有していることを特徴とす
るポリエステル系繊維の提供。当該ポリエステル系繊維
は、100℃以下で可染であるために、スパンデックス
などの熱安定性に乏しい繊維との複合や反応染料等に代
表される耐熱性の低い染料を使用する場合に極めて適し
ており、また適切な沸水収縮率と熱応力極値を有してい
るため、スパンデックスとの交編の際に組織の欠点を引
き起こさない。 【解決手段】 90モル%以上がトリメチレンテレフタ
レート繰り返し単位からなり、残りの0〜10モル%が
その他のエステル繰り返し単位からなるポリエステル繊
維であり、特定の構造、物性を有した易染性ポリエステ
ル繊維。
Description
様にインナー衣料向け、すなわちファンデーション向け
のスパンデックス交編に適したポリエステル繊維に関す
る。更に詳しくは柔軟な風合いを有し、スパンデックス
繊維が劣化するおそれが全くなく、加圧染色機が必要で
ない100℃以下の温度で染色が可能な易染性ポリエス
テル繊維に関する。
ションには、従来から弾性繊維スパンデックスとナイロ
ンとの交編物が使われている。スパンデックス繊維は熱
によって劣化し易いので、交編の相手には100℃以下
の温度で染色可能な繊維を用いる必要がある。ナイロン
繊維がスパンデックス繊維の交編相手素材に選ばれる大
きな理由は、ナイロン繊維が100℃以下で染色可能だ
からであるしかし、ナイロン繊維は熱や紫外線によって
黄変し易い傾向を有しており、アイロンや洗濯によって
黄ばみを生じることがよくある。
テル繊維をスパンデックス交編に使用する試みがされて
きた。易染性ポリエステル繊維の代表例のポリエチレン
テレフタレート繊維はスパンデックスの劣化が激しい1
30℃が常用の染色温度であるので、そのままでは使用
不可能である。このためポリエチレンテレフタレート繊
維の低温可染化の試みとして高速紡糸及び共重合が研究
された。前者の代表例が米国特許第4134883号明
細書であり、後者の代表例が特願昭61−226510
号公報である。
は低温可染性であっても濃色では110〜120℃可染
であり、それは未だスパンデックス繊維が劣化する範囲
であり、また、高価な加圧染色機を必要とする範囲であ
る。そしてこの繊維は熱収縮応力極値が小さいために、
笑い、というファンデーションでは嫌われる欠点を起こ
しやすい。笑いとは繰り返しの摩擦によって繊維の偏り
が生じ編み物に穴があく現象のことである。
ト繊維は染色の耐光堅牢度が通常のポリエチレンテレフ
タレートよりも低く、染料選択に制約がある。近年、ポ
リトリメチレンテレフタレート繊維の研究が盛んである
(例えば、特開昭52−5320号公報、特開平8−2
32117号公報)。この繊維の特徴は初期弾性率がナ
イロン6繊維並の約30g/dと低く、ポリエチレンテ
レフタレート繊維よりも低温染色が可能で、弾性回復率
が非常に優れていることなどである。
出すには105℃以上での染色が必要で、常圧染色可能
とは言い難い水準であり、高価な加圧染色機を必要とす
る。
染色機を使って100℃以下の温度で淡色から濃色に亘
って染色可能で、且つ染色堅牢度に問題のない、そして
スパンデックス繊維と交編する際に笑いや黄変などの欠
点を引き起こさない易染性ポリエステル繊維を提供しよ
うとすることにある。すなわち、熱収縮応力極値及びド
ライクリーニング堅牢度や耐光堅牢度などの染色堅牢度
を高く維持したままで、100℃以下で全色にわたって
染色可能な易染性ポリエステル繊維を提供しようとする
ことにある。
の結果、ポリトリメチレンテレフタレートからなり、極
めて限られた構造物性を有する易染性ポリエステル繊維
が従来のポリエチレンテレフタレートの高速紡糸繊維よ
りも熱収縮応力極値及び沸水収縮率が高いことを見出し
本発明を完成した。
がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位からなり、
残りの0〜10モル%がその他のエステル繰り返し単位
からなるポリエステルからなり、以下の(1)〜(3)
を満足することを特徴とする易染性ポリエステル繊維、 (1)極限粘度:0.5〜2 (2)複屈折率:0.04〜0.06 (3)力学的損失正接tanδのピーク温度Tmax:
75〜105℃、である。
90〜100モル%以上がトリメチレンテレフタレート
繰り返し単位からなり、残りの0〜10モル%がその他
のエステル繰り返し単位からなる。その他のエステル単
位が10モル%を越えると融点が低下し、アイロンがけ
に代表される後加工などで非常に取り扱いの困難な繊維
となってしまう。
Cで測定する融点(DSCシグナルの吸熱ピーク温度)
が200〜240℃であることが好ましい。融点が20
0℃未満では通常行われる180〜200℃の熱処理を
行う後加工に耐えられない。また、融点が240℃を超
えることによる問題はないが、90モル%以上がトリメ
チレンテレフタレート繰り返し単位のポリエステルであ
れば、これ以上の融点を示すことはない。融点は220
〜238℃が更に好ましい。
トの極限粘度は、0.5〜2である必要があり、好まし
くは0.6〜1.5の範囲である。極限粘度0.5未満
では紡糸性が悪いばかりか、破断強度などの力学的性質
が低くなりすぎ満足できる繊維を得ることができなくな
る。逆に極限粘度が2を超えると、溶融粘度が高すぎる
ために、ギアポンプでの計量がスムーズに行われなくな
り、吐出不良等で得られる繊維は糸径の不均一なものに
なってしまったりする。
折率が0.04〜0.06でなければならない。0.0
6を越えると濃色で100℃以下では染色不可能な部分
が出てくる。また、複屈折率が0.04未満では、伸度
が高く力学的に脆弱であるばかりか、本発明の重要な要
件である沸水収縮率及び熱収縮応力極値が所定の範囲内
とならず、笑いが生じてしまう。0.042〜0.05
5が更に好ましい。
的損失正接tanδのピーク温度Tmaxが75〜10
5℃でなければならない。Tmaxが105℃を越える
と淡色から濃色にわたって100℃以下で染色可能とい
う効果が得られなくなる。Tmaxは105℃から高く
なるにつれて100℃以下では濃色が次第に染まらなく
なり強いては淡色も染まらなくなる。またTmaxが7
5℃未満では熱セットに代表される通常の後加工、アイ
ロンがけに代表される通常の使用の段階で物性、風合い
が変化してしまうか、あるいは染色物のドライクリーニ
ング堅牢性が悪化してしまう。Tmaxの好ましい範囲
は80〜100℃である。
弾性率が15〜40g/dであることが好ましい。初期
弾性率が40g/dを越えるとインナー衣料に望ましい
ナイロン6繊維並の柔らかさが得られない。また初期弾
性率が15g/d未満では、繊維が柔らかすぎるため
に、織編製が困難となってしまう。初期弾性率の好まし
い範囲は20〜30g/d以下である。
収縮率が5〜15%で且つ熱収縮応力極値が0.05〜
0.4g/dであることが好ましい。この範囲外ではス
パンデックスと交編した際に編み条件などの他の条件を
いかに最適化しても、交編物の笑い発生は避けられな
い。さらに好ましい沸水収縮率及び熱収縮応力極値の範
囲は、それぞれ6〜12%及び0.08〜0.3g/d
である。
フタレートは、公知の重合方法で製造した物でよく、艶
消し剤、帯電防止剤、抗菌剤などの添加物を含有してい
てもよい。次に図1を用いて本発明の易染性ポリエステ
ル繊維の製造方法を説明する。ポリトリメチレンテレフ
タレートのペレットを公知の乾燥機、押出機を用いて乾
燥、溶融し、溶融体をスピンヘッド(1)に導く。つい
で溶融体を紡糸口金(2)を経てマルチフィラメント
(4)状に押し出し、マルチフィラメントを細化させつ
つ加熱筒内(5)を通過させる。その後マルチフィラメ
ントを冷却風で冷却しながら細化を完了させ、その後給
油用ノズル(6)でマルチフィラメントを集束すると同
時に給油する。続いて巻取機(7)で連続的にチーズ状
ににポリエステル繊維を巻き取る。
であるが、ゴデットロールで繊維を連続的に引き取り、
その後に巻取機で巻き取る方法で本発明の繊維を製造し
てもよい。本発明の目的である100℃以下での低温染
色性を達成するためには、巻取速度が重要である。巻取
速度は、5000〜10000m/minが望ましく、
更に望ましくは6000〜8000m/minである。
巻取速度が5000m/min未満では100℃以下で
淡色から濃色にわたっての染色が困難となる。一方、1
0000m/minを超えると糸切れなどが多発し、紡
糸性が低下するばかりか、繊維自体の強度も低下してし
まう。なお、ここで言う巻取速度は図1に示す紡糸法の
場合は巻取機の速度を指し、ノーゴデット法の場合は繊
維を連続的に引き取るゴデットロールの速度を指してい
る。
0℃で染色した場合の深色度であるK/Sが20以上で
あることが望ましい。K/Sの測定方法は実施例に記載
の方法に従う。この場合の高い染色性とは、K/Sが2
0以上を指す。従って、100℃で染色をした場合、K
/Sが20以上ならば通常のポリエチレンテレフタレー
ト繊維を130℃で染色した時と同等の発色性が発現さ
れたものと考えることができる。このような発色性は、
通常吸尽率がおよそ70%以上の場合達成される。
示すためには、ドライクリーニング堅牢性が4級以上で
あることが望ましい。本発明の易染性ポリエステル繊維
のドライクリーニング堅牢性は、液汚染を評価するもの
である。この評価方法については、実施例に記載する。
尚、堅牢性の評価項目としては、水堅牢性、洗濯堅牢
性、昇華堅牢性、摩擦堅牢性等多岐にわたるが、本発明
者らの検討によれば、ドライクリーニング堅牢性が3級
以上あれば、本発明の易染性ポリエステル繊維は耐光堅
牢性を除く、残りの堅牢性はすべて工業的に問題のない
レベルであることがわかっている。従って、ドライクリ
ーニング堅牢性は、本発明の易染性ポリエステル繊維の
染色堅牢性全体を示す指標となる。従って、この堅牢性
が4級以上であることで、得られた染色物は実用性のあ
る堅牢性のよいものとなる。また、耐光性については、
本発明の易染性ポリエステル繊維の用途を考慮すると、
4級以上であることが望ましい。
詳細に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例など
により何ら限定されるものではない。尚、実施例中の主
な測定値は以下の方法で測定した。 (1)融点 セイコー電子社(株)製DSCを用い、20℃/min
の昇温速度で100mL/minの窒素気流下中で測定
した。ここでは、融解のピークのピーク値を融点とし
た。 (2)極限粘度 極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる値で
ある。
で溶解したポリエステルポリマーの希釈溶液の35℃で
の粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割
った値であり、相対粘度と定義されているものである。
またCは、上記溶液100ml中のグラム単位による溶
質重量値である。
ク温度 オリエンテック(株)製レオバイブロンを用い、乾燥空
気中、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/分にて、
各温度における損失正接(tanδ)、および動的弾性
率を測定した。その結果から、損失正接−温度曲線を求
め、この曲線上で損失正接のピーク温度であるTmax
(℃)を求めた。昇温速度5℃/min、測定周波数1
10Hzで求めた。 (4)熱収縮応力極値 熱収縮応力極値の測定には鐘紡エンジニアリング(株)
製、商品名KE−2熱収縮応力測定装置を用いた。測定
は糸を20cmの長さに切り取り、これの両端を結んで
輪を作り、測定機に装着した後、初荷重0.05g/
d、昇温速度100℃/分の条件で熱収縮応力の温度変
化をチャートに描かせた。この時の熱収縮応力のピーク
値を熱収縮応力極値(表1では熱応力と記す)とした。 (5)染色性評価{染料吸尽率、深色度(K/S)} 一口編地を用い、スコアロール400を2g/リットル
で含む温水を用いて、70℃、20分間精練処理し、タ
ンブラー乾燥機で乾燥させ、次いで、ピンテンターを用
いて、180℃、30秒の熱セットを行ったものを使用
した。
SF(日本化薬(株)製)を使用し、6%owf、浴比
1:50で染色した。分散剤はニッカサンソルト700
0(日華化学(株)製)を0.5g/リットル使用し、
酢酸0.25ml/リットルと酢酸ナトリウム1g/リ
ットルを加え、pHを5に調整した。染料吸尽率は、4
0℃から100℃に昇温後、更にそのまま1時間保持し
た後の染料吸尽率で評価した。染料原液の吸光度A、染
色後の染液の吸光度aを分光光度計から求め、以下の式
に代入して求めた。吸光度は当該染料の最大吸収波長で
ある580nmでの値を採用した。
帛を用いて評価した。この値は、染色後のサンプル布の
分光反射率Rを測定し、以下に示すクベルカ−ムンク
(Kubelka−Munk)の式から求めた。この値
が大きい程、深色効果が大きいこと、すなわち、よく発
色されていることを示す。Rは、当該染料の最大吸収波
長での値を採用した。 K/S=(1−R)2/2R
す)はJIS−L−0860に、耐光堅牢性はJIS−
L−0842に、洗濯堅牢性はJIS−L−0844
に、乾・湿摩擦堅牢性はJIS−L−0849に準じて
行った。易染性ポリエステル繊維の堅牢性を調べるとき
は、(5)の方法で染色した一口編地500mgを用い
て評価を行った。 (7)複屈折率(Δn) 高額顕微鏡とコンペンセーターを用いて、繊維の表面に
観察される偏向のリターデーションから求めた。 (8)沸水収縮率(BWS) 繊維を100℃の沸騰水中に無荷重で30分間浸漬前の
長さ(L)と浸漬後の長さ(L’)の変化を次式に従っ
て求めた。
m、引張速度20cm/minの条件で測定した。ま
た、初期弾性率は、引張試験のとき、糸の伸びが0.5
〜2mmの間の平均の値を用いた。
5wt%含有するポリトリメチレンテレフタレートホモ
ポリマーのペレット及び図1のような紡糸設備を用いて
紡糸を行い4000〜12000m/分で巻取り、50
デニール/24フィラメントのポリトリメチレンテレフ
タレート繊維を得た。冷却風速度、仕上剤付着率はそれ
ぞれ0.4m/秒、0.8重量%であった。結果を表1
にまとめた。また、染色布帛は、全てK/Sが20を越
えており、通常のポリエチレンテレフタレート繊維を1
30℃で染色したときと同等の発色性を発現した。これ
らの繊維は染色性、スパンデックスとの交編性に優れた
繊維であった。
11000m/minにした以外は実施例1と同様の方
法で紡糸を行い繊維を得た。結果を表1に示す。巻取速
度4000m/minの繊維では複屈折率が0.04未
満であり、また熱収縮応力極値も0.05%未満となっ
てしまい、スパンデックス繊維と交編を行った場合、笑
いが生じでしまった。
では糸の強度が1.2g/dと低く、交編や織編製など
の取扱時に糸切れが頻繁に起こる、取扱いの困難な繊維
であった。
フタレートポリマーを用いた以外は実施例1と同様の方
法で紡糸を行い繊維を得た。この繊維の強度は2g/d
と非常に弱く、織編製や後加工の際に糸切れが多発し
た。
を延伸ゾーンの温度50℃、熱固定温度140℃にて2
倍に延伸するいわゆるコンベ法を用いた以外は実施例1
と同様の方法で紡糸を行い繊維を得た。結果を表1に示
す。このようにコンベ法ではTmax温度が105℃を
超え、100℃にて濃色で染色することができなかっ
た。
散染料に対して100℃以下で染色可能であり、かつ染
色堅牢度に優れるポリエステル繊維である。その結果、
スパンデックスなどの熱安定性に乏しい繊維との複合
や、反応染料等に代表される耐熱性の低い染料を使用す
る繊維と複合する場合に極めて適しており、さらに、適
切な沸水収縮率と熱収縮応力極値を有しているためスパ
ンデックスとの交編の際に、従来のポリエチレンテレフ
タレート繊維などと比較して、組織の欠点を引き起こさ
ない。
模式的に示す一例である。
Claims (1)
- 【請求項1】 90〜100モル%がトリメチレンテレ
フタレート繰り返し単位からなり、残りの0〜10モル
%がその他のエステル繰り返し単位からなるポリエステ
ル繊維であり、以下の(1)〜(3)を満足することを
特徴とする易染性ポリエステル繊維。 (1)極限粘度:0.5〜2 (2)複屈折率:0.04〜0.06 (3)力学的損失正接tanδのピーク温度Tmax:
75〜105℃
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Publication Number | Publication Date |
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