JPH11100469A - 環状オレフィン系樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

環状オレフィン系樹脂成形体およびその製造方法

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JPH11100469A
JPH11100469A JP9264168A JP26416897A JPH11100469A JP H11100469 A JPH11100469 A JP H11100469A JP 9264168 A JP9264168 A JP 9264168A JP 26416897 A JP26416897 A JP 26416897A JP H11100469 A JPH11100469 A JP H11100469A
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cyclic olefin
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島 茂 俊 西
Yozo Yamamoto
本 陽 造 山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生理活性物質を安定に長期間保存しながら、
環境中に徐放することが可能な成形体を提供する。 【解決手段】 環状オレフィン系樹脂[A]と、生理活
性物質[B]とからなる環状オレフィン系樹脂成形体で
あって、環状オレフィン系樹脂[A]100重量部に対
し、生理活性物質[B]を0.01〜50重量部の量で
含むことを特徴とする環状オレフィン系樹脂成形体であ
り、環状オレフィン系樹脂[A]が、エチレン・環状オ
レフィンランダム共重合体[A-1]、環状オレフィンの開
環重合体または共重合体[A-2]、開環重合体または共重
合体の水素化物[A-3]、および[A-1]、[A-2]または[A-3]
のグラフト変性物[A-4]から選ばれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、環状オレフィン系樹脂成
形体に関し、より詳しくは、環状オレフィン系樹脂から
なる成形体に生理活性物質を含有させてなる環状オレフ
ィン系樹脂成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】香料などの生理活性物質は、人間
の生活の中で現在広く用いられている。このような生理
活性物質を用いる場合、一時的に効果を発揮すれば良い
場合もあるが、効果を持続させる必要がある場合が多
い。
【0003】しかしながら、香料などの生理活性物質の
多くは、揮発性が高く、効果が長持ちしなかったり、光
や紫外線、または熱や空気との接触で変質しやすく、不
安定であるという欠点があった。このため、生理活性物
質の多くは、取り扱い方法が制約され、取扱時にコスト
が高くなるとういう問題があった。
【0004】このため、このような香料などの生理活性
物質を安定に長期間保存することが可能であり、かつ環
境に徐放して生理活性物質の効果を長期間持続させるこ
とが可能な生理活性物質含有樹脂成形体の出現が望まれ
ていた。
【0005】
【発明の目的】本発明は、生理活性物質を安定に長期間
保存しながら、環境中に徐放することが可能な樹脂成形
体を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】本発明に係る環状オレフィン系成形体
は、[A] 下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]より
なる群から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系
樹脂と、[B] 生理活性物質とからなる環状オレフィ
ン系樹脂成形体であって、環状オレフィン系樹脂[A]
100重量部に対し、生理活性物質[B]を0.01〜
50重量部の量で含むことを特徴とする環状オレフィン
系樹脂成形体: [A-1]エチレンと下記式[I]または[II]で示される環状オ
レフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレ
フィンランダム共重合体、[A-2]下記式[I]または[II]で
示される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
[A-3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、
および[A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変
性物;
【0007】
【化3】
【0008】(式[I]中、nは0または1であり、mは
0または正の整数であり、qは0または1であり、R1
〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素
原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R
18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよ
く、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキ
リデン基を形成していてもよい。)、
【0009】
【化4】
【0010】(式[II]中、pおよびqは0または1以上
の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R
1 〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂
肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基
またはアルコキシ基であり、R9(またはR10)が結合
している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭
素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を
介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR
15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環また
は多環の芳香族環を形成していてもよい。)。
【0011】前記生理活性物質[B]は、香料であること
が好ましい。また、本発明にかかる環状オレフィン系成
形体は、[C]紫外線吸収剤および/または耐熱安定剤
を、環状オレフィン系樹脂[A]100重量部に対し、
0.01〜10重量部の量で含むことが好ましい。
【0012】成形体は、ペレット、パウダー、繊維、シ
ート、フィルム、発泡体のいずれかであることが好まし
い。本発明に係る環状オレフィン系樹脂成形体は、以下
の製造方法で得ることができる。 (1)前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]よりなる群
から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系樹脂
[A]と、生理活性物質[B]とを混合したのち、成形
する。 (2)前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]よりなる群
から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系樹脂
[A]と、生理活性物質[B]と、紫外線吸収剤および
/または耐熱安定剤[C]とを混合したのち、成形す
る。 (3)前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]よりなる群
から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系樹脂
[A]からなる成形体を、生理活性物質[B]と接触さ
せて、成形体中に生理活性物質を含浸させる。 (4)前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]よりなる群
から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系樹脂
[A]と、紫外線吸収剤および/または耐熱安定剤
[C]とからなる成形体を、生理活性物質[B]と接触
させて、成形体中に生理活性物質を含浸させる。
【0013】
【発明の具体的説明】本発明に係る環状オレフィン系樹
脂成形体について、具体的に説明する。まず、本発明に
係る環状オレフィン系樹脂成形体に使用される[A]環
状オレフィン系樹脂、[B]生理活性物質、[C]紫外
線吸収剤および/または耐熱安定剤について説明する。
【0014】[A]環状オレフィン系樹脂 本発明では、環状オレフィン系樹脂[A]として、[A-
1]エチレンと下記式[I]または[II]で示される環状オレ
フィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレフ
ィンランダム共重合体、[A-2]下記式[I]または[II]で示
される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、[A
-3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、[A
-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物より
なる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0015】このような環状オレフィン系樹脂は、X線
回折法によって測定される結晶化度が、通常は20%以
下、好ましくは10%以下であることが望ましい。また
環状オレフィン系樹脂は、135℃のデカリン中で測定
される極限粘度[η]が、通常は0.01〜20dl/
g、好ましくは0.03〜10dl/g、さらに好ましく
は0.05〜8dl/gであることが望ましい。
【0016】このような環状オレフィン系樹脂の沃素価
は、通常5以下であり、さらに多くの場合1以下である
ことが望ましい。まず本発明で用いられる環状オレフィ
ン系樹脂を形成する単量体である式[I]または[II]で表
される環状オレフィン環状オレフィンについて説明す
る。
【0017】環状オレフィン系樹脂を調製するために使
用される環状オレフィンは次式[I]または[II]で表すこ
とができる。
【0018】
【化5】
【0019】上記式[I]中、nは0または1であり、m
は0または正の整数であり、qは0または1である。な
おqが1の場合には、RaおよびRbは、それぞれ独立
に、下記の原子または炭化水素基であり、qが0の場合
には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成する。
【0020】R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基
である。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0021】また炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数
3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。より具体的には、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基およびオクタデシル基を挙げることができ、シ
クロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げるこ
とができ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナ
フチル基などを挙げることができる。
【0022】これらの炭化水素基は、ハロゲン原子で置
換されていてもよい。さらに上記式[I]において、R15
〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環また
は多環を形成していてもよく、しかもこのようにして形
成された単環または多環は二重結合を有していてもよ
い。
【0023】
【化6】
【0024】式[II]中、pおよびqは0または正の整数
であり、mおよびnは0、1または2である。またR1
〜R19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭
化水素基またはアルコキシ基である。
【0025】ハロゲン原子は、上記式[I]におけるハロ
ゲン原子と同じ意味である。また炭化水素基としては、
それぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素
原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3
〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基を挙
げることができる。より具体的には、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基およびオクタデシル基を挙げることができ、シ
クロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げるこ
とができ、芳香族炭化水素基としては、アリール基およ
びアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリル基、
ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基などを
挙げることができる。
【0026】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基およびプロポキシ基などを挙げることができる。
これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されて
いてもよい。
【0027】ここで、R9およびR10が結合している炭
素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結
合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜
3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわ
ち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合して
いる場合には、R9およびR13で表される基が、または
10およびR11で表される基が互いに共同して、メチレ
ン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン
基(-CH2CH2CH2-)のうちのいずれかのアルキレン基を形
成している。
【0028】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環として、たとえば下記のようなn=m=0
のときR15とR12がさらに芳香族環を形成している基を
挙げることができる。
【0029】
【化7】
【0030】ここでqは式[II]におけるqと同じ意味で
ある。上記のような式[I]または[II]で示される環状オ
レフィンを、より具体的に下記に例示する。
【0031】環状オレフィン系樹脂を形成する環状オレ
フィンの例としては、
【0032】
【化8】
【0033】で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン
(=ノルボルネン)(上記一般式中において、1〜7の
数字は、炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に
炭化水素基が置換した誘導体を挙げることができる。
【0034】この炭化水素基としては、5-メチル、5,6-
ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イソ
ブチル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニ
ル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-
(イソプロピルフェニル)、5-(ビフェニル)、5-(β-
ナフチル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントラセニル)、
5,6-ジフェニルのような基を例示することができる。
【0035】さらに他の誘導体としては、シクロペンタ
ジエン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-
テトラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10
a-ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-
2-ヘプテン誘導体を例示することができる。
【0036】この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デ
セン、2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5
-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリ
シクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ
[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ
[4.4.0.12,5]-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.
0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、
【0037】
【化9】
【0038】で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]-3-ドデセンおよびこれに炭化水素基が置換した
誘導体ならびに水素原子の少なくとも一部が他の原子で
置換された化合物を挙げることができる。
【0039】ここで炭化水素基または置換原子として、
8-メチル、8-エチル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブ
チル、8-ヘキシル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、
5,10-ジメチル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチ
ル-9-メチル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7
-ジメチル-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,1
1,12-トリメチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブ
チル-11,12-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチ
リデン、8-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチ
ル、8-エチリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブ
チル、8-n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチ
ル、8-n-プロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-
イソプロピル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプ
ロピリデン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプ
ロピリデン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロ
ピル、8-イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブ
ロモ、8-フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチ
ル-8-フェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフ
ェニル)、8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニ
ル、8-(ビフェニル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナ
フチル)、8-(アントラセニル)、5,6-ジフェニル等の基
または原子を例示することができる。
【0040】さらには、(シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物など
のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導
体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタ
デセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.1
9,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導体、ペン
タシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセン
およびその誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.0
9,14]-4-ヘキサデセンおよびその誘導体、ヘキサシク
ロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン
およびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.1
11,17.03,8.012,16]-5-エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.
011,16]-4-エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシク
ロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]-5-ヘンエ
イコセンおよびその誘導体、オクタシクロ[8.8.0.
12,9.14,7.111,1 8.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセンお
よびその誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14 ,7.113,20.1
15,18.02,10.03,8.012,21.014,19]-5-ペンタコセンお
よびその誘導体などを挙げることができる。
【0041】本発明で使用することができる式[I]また
は式[II]で示される環状オレフィンの具体例は上記の通
りであるが、これら化合物のより具体的な構造について
は、本出願人の出願に係る特願平5-196475号明
細書の段落番号[0032]〜[0054]に示されて
おり、本発明においてもここに例示されるものを本発明
における環状オレフィンとして使用することができる。
【0042】上記のような式[I]または[II]で表される
環状オレフィンは、シクロペンタジエンと対応する構造
を有するオレフィン類とのディールス・アルダー反応に
より製造することができる。
【0043】これらの環状オレフィンは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明で
用いられる環状オレフィン系樹脂は、上記のような式
[I]または[II]で表される環状オレフィンを用いて、た
とえば特開昭60-168708号、同61-120816号、同61-11591
2号、同61-115916号、同61-271308号、同61-272216号、
同62-252406号および同62-252407号などの公報において
本出願人が提案した方法に従い、適宜条件を選択するこ
とにより製造することができる。
【0044】[A-1]エチレン・環状オレフィンランダム
共重合体は、エチレンと上記環状オレフィンとがランダ
ムに結合した共重合体であり、この共重合体中における
エチレンから誘導される構成単位を通常は20〜95モ
ル%、好ましくは30〜90モル%の量で、そして、環
状オレフィンから誘導される構成単位を通常は5〜80
モル%、好ましくは10〜70モル%の量で含有してい
る。なおエチレンおよび環状オレフィンの組成比は、13
C-NMRによって測定される。
【0045】この[A-1]エチレン・環状オレフィンラン
ダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導され
る構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位と
が、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有
している。この共重合体が実質的に線状であって、実質
的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合
体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含ま
れていないことにより確認することができる。たとえば
極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135
℃のデカリンに完全に溶解することにより確認すること
ができる。
【0046】また本発明で用いられる[A-1]エチレン・
環状オレフィンランダム共重合体は、本発明の目的を損
なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマー
から誘導される構成単位を有していてもよい。
【0047】このような他のモノマーとしては、上記の
ようなエチレンまたは環状オレフィン以外のオレフィン
を挙げることができ、具体的には、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-
メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1
-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセンおよび1-エイコセンなどの炭素数3〜20のα-
オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘ
キセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロ
ヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよ
びシクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタ
ノ-1H-インデンなどのシクロオレフィン、1,4-ヘキサジ
エン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキ
サジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンお
よび5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を
挙げることができる。
【0048】これらの他のモノマーは、単独であるいは
組み合わせて用いることができる。 [A-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体にお
いて、上記のような他のモノマーから誘導される構成単
位は、通常は20モル%以下、好ましくは10モル%以
下の量で含有されていてもよい。
【0049】本発明で用いられる[A-1]エチレン・環状
オレフィンランダム共重合体は、エチレンと式[I]また
は[II]で表される環状オレフィンとを用いて上記公報に
開示された製造方法により製造することができる。これ
らのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で行い、触
媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物お
よび有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用い
て[A-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体を
製造することが好ましい。
【0050】また、この共重合反応では固体状IVB族メ
タロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状IV
B族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格
を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニ
ウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミ
ニウム化合物とからなる触媒である。ここでVI族の遷移
金属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウム
であり、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペ
ンタジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、
シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としてはア
ルキル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基
またはインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロ
オレニル基を挙げることができる。これらの基は、アル
キレン基など他の基を介して結合していてもよい。ま
た、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位
子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基等である。
【0051】さらに有機アルミニウムオキシ化合物およ
び有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の
製造に使用されるものを用いることができる。このよう
な固体状IVB族メタロセン系触媒については、例えば特
開昭61-221206号、同64-106号および特開平2-173112号
公報等に記載されている。
【0052】[A-2]環状オレフィンの開環重合体または
共重合体は、前記公報に開示された製造方法により製造
することができ、例えば、上記式[I]または[II]で表さ
れる環状オレフィンを開環重合触媒の存在下に、重合ま
たは共重合させることにより製造することができる。
【0053】このような開環重合触媒としては、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウム
または白金のような金属の、ハロゲン化物、硝酸塩また
はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、
あるいは、チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモ
リブテンのような金属の、ハロゲン化物またはアセチル
アセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる
触媒を用いることができる。
【0054】[A-3]開環重合体または共重合体の水素化
物は、上記のようにして得られる開環重合体または共重
合体[A-2]を、従来公知の水素添加触媒の存在下に水素
化して得られる。
【0055】[A-4]環状オレフィン系樹脂のグラフト変
性物は、上記の[A-1]エチレン・ 環状オレフィンランダ
ム共重合体、[A-2]環状オレフィンの開環重合体または
共重合体、または[A-3]開環重合体または共重合体の水
素化物のグラフト変性物である。
【0056】この変性剤としては、通常は不飽和カルボ
ン酸類が用いられる。ここで使用される不飽和カルボン
酸類の例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラ
コン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびエンドシス
-ビシクロ[2.2.1] ヘプト-5- エン-2,3-ジカルボン酸
(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、ならびに、
これらの不飽和カルボン酸の誘導体、たとえば不飽和カ
ルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カ
ルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび不飽和
カルボン酸のエステル化合物などを挙げることができ
る。
【0057】上記不飽和カルボン酸の誘導体の具体的な
例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化
マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどを挙げること
ができる。
【0058】これらの変性剤のうちでも、α,β-不飽和
ジカルボン酸およびα,β-不飽和ジカルボン酸無水物、
たとえばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水
物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上
を組合わせて用いることもできる。
【0059】本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂
のグラフト変性物[A-4]における変性率は、10モル%
以下であることが望ましい。このような環状オレフィン
系樹脂のグラフト変性物は、所望の変性率になるように
環状オレフィン系樹脂に変性剤を配合してグラフト重合
させて製造することもできるし、予め高変性率の変性物
を調製し、次いでこの変性物と未変性の環状オレフィン
系樹脂とを混合することにより製造することもできる。
【0060】環状オレフィン系樹脂と変性剤とから環状
オレフィン系樹脂のグラフト変性物を得るには、従来公
知のポリマーの変性方法を広く適用することができる。
たとえば溶融状態にある環状オレフィン系樹脂に変性剤
を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あるいは
環状オレフィン系樹脂の溶媒溶液に変性剤を添加してグ
ラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得る
ことができる。
【0061】このようなグラフト反応は、通常60〜3
50℃の温度で行われる。またグラフト反応は、有機過
酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下
に行うことができる。
【0062】本発明では、環状オレフィン系樹脂とし
て、上記のような[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]のい
ずれかを単独で用いることができ、またこれらを組み合
わせて用いることもできる。
【0063】これらのうち、エチレン・環状オレフィン
ランダム共重合体[A-1]が好ましく用いられる。また、
本発明で使用される環状オレフィン系樹脂は、上記[A-
1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]の樹脂に加えて、この環
状オレフィン系樹脂の特性を損なわない範囲内において
他の樹脂、例えばポリ塩化ビニル、ゴムなどの軟質重合
体などを配合することができる。
【0064】本発明では、環状オレフィン系樹脂[A]
として、上記のような[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]
のいずれかを単独で用いることができ、またこれらを組
み合わせて用いることもできる。
【0065】これらのうちでもエチレン・環状オレフィ
ンランダム共重合体[A-1]が好ましく用いられる。上記
のような環状オレフィン系樹脂[A]は、メルトフロー
レート(MFR;ASTM D1238、260℃、
2.16kg荷重下)は、0.01〜200g/10分、好ま
しくは0.1〜100g/10分であることが望ましく、
軟化温度(TMA;サーマル・メカニカルアナライザー
で測定)は30℃以上、好ましくは70℃以上であるこ
とが望ましく、X線回折法によって測定される結晶化度
は、0〜20%、好ましくは0〜2%であることが望ま
しい。
【0066】[B] 生理活性物質 本発明で使用される生理活性物質とは、生物の営む精妙
な生命現象に微量で関与し、影響を与える物質であり、
たとえば、天然物、天然物から抽出精製される成分また
はその誘導体、人工的に合成した生理活性物質、遺伝子
操作・品種改良により生産された成分またはその抽出物
および誘導体などである。
【0067】本発明では、生理活性物質として、香料と
して使用されるものが好ましい。このような香料の例と
しては、テルペン系化合物、芳香族合成香料、大環状ケ
トン、大環状ラクトン、大環状エステル、大環状オキサ
イドなどの大環状化合物が挙げられる。他の生理活性物
質の例としては、プロスタグランジン誘導体、脊椎動
物、無脊椎動物、植物の各種ホルモン、誘因物質、忌避
物質などが挙げられる。
【0068】また、香料として、アニス油、アビエス
油、イランイラン油、イリス油、ウイキョウ油、オーク
モス、オレンジ油、カシヤ油、キャラウェ油、カユブテ
油、黒文字油、コリアンデル油、シトロネラ油、ショウ
ノウ油、シンナモン油、ジャスミン花精油、ジンジャグ
ラス油、スペアミント油、セダー油、ゼラニウム油、ダ
イキョウ油、チミアン油、丁字油、ツベロース油、テレ
ビン油、夏みかん油、ネロリ油、ハッカ油、パルマロー
ザ油、ヒバ油、ビャクダン油、ベイ油、ベチバ油、ベル
ガモット油、芳ショウ油、芳油、ポアドロース油、ラベ
ンダー油、リナロエ油、ルー油、レモングラス油、ロー
ズ油、ローズマリー油などの精油、これらの精油から抽
出される成分またはその誘導体、さらにこれらに含まれ
る成分を人工的に合成した物質を使用することもでき
る。
【0069】[C]紫外線吸収剤および/または耐熱安定
紫外線吸収剤 紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベン
ゾトリアゾール系化合物、ニッケル系化合物、ヒンダー
ドアミン系化合物があり、具体的には、2,2',4,4'- テ
トラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2'-ヒドロキシ-3'-
t-ブチル-5'-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ
ール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド
ロキシベンゾイルフォスフォリックアシッドエチルエス
テルのニッケル塩、ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピ
ペリジン)セバケイトなどが挙げられる。
【0070】耐熱安定剤 耐熱安定剤としては、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-
t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ
ピオン酸アルキルエステル、2,2'-オキザミドビス[エチ
ル-3-(3,5-ジ- t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オネートなどのフェノール系酸化防止剤、ジステアリル
ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニル-4,
4'-イソプロピリデンジフェノール-ペンタエリスリトー
ルジフォスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル
フェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ト
リス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトなどの
リン系安定剤が挙げられる。
【0071】[環状オレフィン系成形体]本発明に係る
環状オレフィン系成形体は、前記環状オレフィン系樹脂
[A]100重量部に対し、前記生理活性物質[B]を
0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜30重量
部、さらに好ましくは0.1〜20重量部の量で含んで
いる。
【0072】またこのような環状オレフィン系成形体
は、[C]紫外線吸収剤および/または耐熱安定剤を、
環状オレフィン系樹脂[A]100重量部に対し、0.
01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さ
らに好ましくは0.05〜1重量部の量で含んでいても
よい。
【0073】さらに、本発明に係る環状オレフィン系成
形体には、本発明の目的を損なわない範囲で帯電防止
剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇
剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有
機、あるいは無機の充填剤などが配合されていてもよ
い。
【0074】本発明に係る環状オレフィン系樹脂成形体
の形状は、ペレット、繊維、発泡体、パウダー、フィル
ム、シートであることが好ましい。このようなペレット
の平均粒径は、特に制限はないが、通常0.1〜2cm
であることが好ましい。ペレットは、2種以上の大きさ
のペレットの混合であっても良い。また2種以上の環状
オレフィン樹脂の混合であっても良い。このような平均
粒径のペレットを用いると、生理活性物質の効果が顕著
である。
【0075】パウダーの粒径は、通常0.01mm〜3
mmであることが望ましい。パウダーは、2種以上の大
きさのパウダーの混合であっても良い。また2種以上の
環状オレフィン樹脂の混合であっても良い。またペレッ
トとパウダーの混合であっても良い。
【0076】フィルム、シートとしては通常、厚みが1
μmから5mmのものが望ましい。またこのようなフィ
ルム、シートは2種以上を積層して用いてもよく、さら
に他の樹脂フィルム、シートと積層して用いてもよい。
その際には外気と接触する少なくとも1つの面は環状オ
レフィン系樹脂フィルム、シートであることが望まし
い。
【0077】成形体の製造方法 本発明に係る成形体は、前記[A-1]、[A-2]、[A-3]およ
び[A-4]よりなる群から選ばれる少なくとも1つの環状
オレフィン系樹脂[A]と、生理活性物質[B]と、必
要に応じて紫外線吸収剤および/または耐熱安定剤
[C]とを混合し、成形することによって製造すること
ができる。
【0078】このような成形方法としては、押出機を用
いて環状オレフィン系樹脂を溶融しながら、添加される
成分(生理活性物質など)を押出機内に注入し、混練し
ペレットを得た後、公知の熱成形方法を用いて成形品を
得る方法、あるいは、上記の押出機よりシートやフィル
ム、ブロー成形品等を直接得る方法がある。
【0079】たとえばペレットを成形する場合、環状オ
レフィン系樹脂を押出機などで溶融押出し、ストランド
カッターなどでカットすることにより製造することがで
きる。パウダーは、上記ペレットを粉砕しても得ること
ができる。
【0080】繊維を成形する場合、従来公知の紡糸方法
を用いることが可能であり(たとえば特開平8−144
165号公報参照)、具体的には、乾式紡糸法、湿式紡
糸法、溶融紡糸法、エマルジョン紡糸法等を挙げること
ができる。
【0081】フィルム、シートの成形方法としては、公
知のTダイ法、インフレーション法、プレス成形法など
の方法で成形することができる。本発明に係る発泡体の
製造方法としては、環状オレフィン系樹脂[A]と生理
活性物質[B]と必要に応じて紫外線吸収剤および/ま
たは耐熱安定剤[C]とを溶融混練して得られた混合物
に、発泡剤を添加し、樹脂の軟化点以上、発泡剤の分解
温度以下の温度で、発泡剤の分解温度以上に加熱し、常
圧で発泡させる常圧発泡法、発泡剤を含む環状オレフィ
ン系樹脂を溶融状態でダイから押し出すことにより、高
圧状態から常圧へ変化させて発泡させる押し出し発泡
法、発泡剤を含む樹脂を密閉金型中に充填し、加圧下で
加熱して発泡剤を分解し、放圧による圧力変化により急
激に膨張させる加圧発泡法、均一に発泡したコア層と発
泡しないスキン層とを形成する射出発泡法、易揮発有機
液体を含む微粒状ポリマーを発泡させた後、発泡剤の沸
点以上の温度でポリマーが軟化するまで加温し、多孔質
成形体を製造する型内発泡法、などの方法が挙げられ
る。このときの発泡倍率は通常1.1〜50倍、好まし
くは1.5〜30倍であることが望ましい。
【0082】また、本発明では前記[A-1]、[A-2]、[A-
3]および[A-4]よりなる群から選ばれる少なくとも1つ
の環状オレフィン系樹脂[A]と必要に応じて紫外線吸
収剤および/または耐熱安定剤[C]とから作製した成
形体を、生理活性物質[B]と接触させて、生理活性物
質を環状オレフィン系樹脂[A]に含浸させることによ
って環状ポリオレフィン系樹脂成形体を得ることができ
る。
【0083】成形体と生理活性物質[B]と接触方法と
しては、 (i)生理活性物質[B]からなる液体に、成形体を浸漬
する (ii)生理活性物質[B]の蒸気中に、成形体を放置する などが挙げられる。
【0084】用途 本発明の環状オレフィン系樹脂成形体は、徐放性材料と
して好適に使用することが可能であり、たとえば以下の
用途に使用することができる。
【0085】 1.環境に香りを放出する樹脂成形品 2.殺虫作用を有する樹脂成形品 3.殺菌作用を有する樹脂成形品 4.特定の生物に、誘因あるいは、忌避作用を有する樹
脂成形品 5.動植物内に埋め込み、活性物質を徐放する樹脂成形
品 6.溶液中で活性物質を徐放する樹脂成形品 などが挙げられる。
【0086】また、このような成形体に紫外線線吸収
剤、熱安定剤を配合されていると、熱、光に対して不安
定な生理活性物質の保存安定性も伸び、極微量ずつ、薬
品を徐放する材料として優れている。
【0087】また、本発明によれば、成形体中に、生理
活性物質が含有保持されているので、取り扱い上の不注
意による損失も防ぎやすくすることができる。さらにま
た、成形体の表面積を調整することによって、また環状
オレフィン系樹脂を変性させることによって、生理活性
物質の放出速度を調整することが可能となる。
【0088】
【発明の効果】本発明の生理活性物質を含有する環状オ
レフィン系樹脂成形体は、生理活性物質、特に香料など
を安定に長期間保存でき、かつ環境に徐放することがで
きるので、生理活性物質の効果を長期間持続させること
ができる。
【0089】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0090】
【実施例1】原料樹脂として、イソプロピリデン(シク
ロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロ
リドを用いて得られた[A-1]のエチレン・ノルボルネン
ランダム共重合体(ノルボルネン単位含量:50モル
%、MFR:5g/10分、Tg:145℃)を用いた。
【0091】上記エチレン・ノルボルネンランダム共重
合体から成形したペレット4g (約100個)を、窒素気流
中で、80℃のゲラニオール50ccに、48hr浸漬した。浸漬
後、ゲラニオールを除去し、ペレットをエチルアルコー
ル20ccで2回洗浄し、40℃中で2時間乾燥した後、63℃
の空気中に1週間放置したサンプルの香りを調べた。
【0092】香りの評価方法は、パネラー5人各々が、
香料の香りを以下の評価基準で評点を付け、平均をとっ
た。 評価基準 1.香りを感知しない、あるいは香りが変質する。
【0093】 2.僅かに香りを感知する。 3.香りを感知する。 4.香りを強く感知する。
【0094】
【実施例2】実施例1で使用したエチレン・ノルボルネ
ンランダム共重合体に、紫外線吸収剤として2-(2'-ヒド
ロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニル)-5-クロロベン
ゾトリアゾールを0.2重量%、耐熱安定剤としてテトラ
キス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタンを0.2重量%を添加し、混
練して、ペレットを成形した。得られたペレットを、実
施例1と同様にして、ゲラニオール中に浸漬し、洗浄・
乾燥した後、浸漬後のペレット4gを、石英セル内に入
れ、ブラックパネル温度63℃、雨無しにて1週間サンシ
ャインウェザ−メーターで暴露試験を実施し、香りを評
価した。
【0095】
【実施例3】実施例1で使用したエチレン・ノルボルネ
ンランダム共重合体を、サーモプラスチック社製30φの
押出機を用いて、シリンダー温度270℃、ダイス温度
250℃で押出成形し、厚さ0.1mmのフィルムを得た。
得られたフィルムを1cm角に切断し、4g採取して、実施
例1と同様にゲラニオール中に浸漬したのち、洗浄・乾
燥を行い、香りを評価した。
【0096】
【実施例4】実施例2において、エチレン・ノルボルネ
ンランダム共重合体に、耐熱安定剤としてテトラキス
[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]メタンを0.2重量%加えて混練しペレッ
トを作成した。得られたペレットを、ゲラニオール中に
浸漬したのち、洗浄・乾燥し、実施例2と同様に香りの
評価を行った。
【0097】
【比較例1】環状ポリオレフィンの代わりに、ポリプロ
ピレンを用いて実施例1と同様に成形体を作成したの
ち、処理を行い、香りを評価した。
【0098】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 51/06 C08L 51/06 51/08 51/08 65/00 65/00 D01F 6/04 D01F 6/04 Z 6/58 6/58

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A] 下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A
    -4]よりなる群から選ばれる少なくとも1つの環状オレ
    フィン系樹脂と、[B] 生理活性物質とからなる環状
    オレフィン系樹脂成形体であって、 環状オレフィン系樹脂[A]100重量部に対し、生理
    活性物質[B]を0.01〜50重量部の量で含むこと
    を特徴とする環状オレフィン系樹脂成形体: [A-1]エチレンと下記式[I]または[II]で示される環状オ
    レフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレ
    フィンランダム共重合体、 [A-2]下記式[I]または[II]で示される環状オレフィンの
    開環重合体または共重合体、 [A-3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、
    および [A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物; 【化1】 (式[I]中、nは0または1であり、mは0または正の
    整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならび
    にRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲ
    ン原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結
    合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単
    環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15
    とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形
    成していてもよい。)、 【化2】 (式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であ
    り、mおよびnは0、1または2であり、R1 〜R19
    それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水
    素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアル
    コキシ基であり、R9(またはR10)が結合している炭
    素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは
    直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合
    していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12
    たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
    香族環を形成していてもよい。)。
  2. 【請求項2】前記生理活性物質[B]が香料であること
    を特徴とする、請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂
    成形体。
  3. 【請求項3】[C]紫外線吸収剤および/または耐熱安
    定剤を、 環状オレフィン系樹脂[A]100重量部に対し、0.
    01〜10重量部の量で含むことを特徴とする請求項1
    または2に記載の環状オレフィン系樹脂成形体。
  4. 【請求項4】成形体がペレット、パウダー、繊維、シー
    ト、フィルム、発泡体のいずれかであることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系樹
    脂成形体。
  5. 【請求項5】前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]より
    なる群から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系
    樹脂[A]と、 生理活性物質[B]とを混合し、成形することを特徴と
    する環状オレフィン系樹脂成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]より
    なる群から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系
    樹脂[A]と、 生理活性物質[B]と、 紫外線吸収剤および/または耐熱安定剤[C]とを混合
    し、成形することを特徴とする環状オレフィン系樹脂成
    形体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]より
    なる群から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系
    樹脂[A]からなる成形体を、 生理活性物質[B]と接触させて、成形体中に生理活性
    物質を含浸させることを特徴とする環状オレフィン系樹
    脂成形体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]より
    なる群から選ばれる少なくとも1つの環状オレフィン系
    樹脂[A]と、紫外線吸収剤および/または耐熱安定剤
    [C]とからなる成形体を、 生理活性物質[B]と接触させて、成形体中に生理活性
    物質を含浸させることを特徴とする環状オレフィン系樹
    脂成形品の製造方法。
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