JPH1099561A - ハサミおよびこれを備えたカッター機構並びにこれを備えた印刷装置 - Google Patents

ハサミおよびこれを備えたカッター機構並びにこれを備えた印刷装置

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JPH1099561A
JPH1099561A JP27891296A JP27891296A JPH1099561A JP H1099561 A JPH1099561 A JP H1099561A JP 27891296 A JP27891296 A JP 27891296A JP 27891296 A JP27891296 A JP 27891296A JP H1099561 A JPH1099561 A JP H1099561A
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Shigeo Furuhata
茂男 古畑
Tetsuo Kosakai
哲男 小堺
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HAYASHI CUTLERY Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接触圧を加味した固定刃および可動刃への支
軸の適切な取り付けを、簡単かつ迅速に行うことができ
るハサミ、およびこれを備えたカッター機構、並びにこ
れを備えた印刷装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 ハサミ14は、それぞれがハンドル部2
1b,22bを有し相対的に回動して切断動作する固定
刃21および可動刃22と、固定刃21および可動刃2
2を回動自在に連結する支軸23とを備え、固定刃21
は、支軸23が挿通される挿通孔37の周縁部をばね板
ナット状に形成したばね板ナット部38を有している。
またカッター機構11は、このハサミ14とこれを切断
動作させる切断操作手段15とを備えている。さらに印
刷装置1は、テープ状部材Tを切断するこのカッター機
構11と、テープ状部材Tに印刷を行う印刷手段9と、
テープ状部材Tを送るテープ送り手段10とを備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定刃および可動
刃が支軸により回動自在に連結されたハサミおよびこれ
を備えたカッター機構並びにこれを備えた印刷装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来の一般的なハサミを表し
ている。このハサミ81は、それぞれハンドル部82
a,83bを有する固定刃82と可動刃83とを支軸8
4により回動自在に連結して、構成されている。この場
合、支軸84が固定される側の切断刃が固定刃82であ
り、支軸84に回動自在に軸支される側の切断刃が可動
刃83である。このため支軸84は、可動刃83側から
固定刃82側に挿通し先端をかしめることで固定刃82
と可動刃83とが連結されている。支軸84のかしめ作
業は、固定刃82と可動刃83とを回動自在に連結する
だけでなく、対称物を良好に切断することができるよう
に、また刃82,83同士の擦れ合いに基づく切断トル
クが適切なものとなるように、固定刃82と可動刃83
との接触圧を調整するものである。したがって、かしめ
作業は、支軸84の先端部を広げるように潰して支軸8
4を固定刃82に固定するようにするが、その際、支軸
84を構成する材料の塑性変形により支軸84を固定刃
82に固定すると共に、変形後の弾性変形限度内におけ
るかしめ部のばね力で、適切な接触圧を得るようにして
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のハサ
ミ81では、かしめ作業において、支軸84の塑性変形
および弾性変形を加味した微妙な調整を行う必要がある
ため、全く同一のタイプのハサミでも個々にかしめ作業
を行う必要があり、自動化が不可能であるばかりでな
く、作業自体に熟練を要すると共に時間がかかる問題が
あった。
【0004】本発明は、接触圧を加味した固定刃および
可動刃への支軸の適切な取り付けを、簡単かつ迅速に行
うことができるハサミ、およびこれを備えたカッター機
構、並びにこれを備えた印刷装置を提供することをその
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のハサミは、それ
ぞれがハンドル部を有し相対的に回動して切断動作する
固定刃および可動刃と、固定刃および可動刃を回動自在
に連結する支軸とを備え、固定刃は、支軸が挿通される
挿通孔の周縁部をばね板ナット状に形成したばね板ナッ
ト部を有することを特徴とする。
【0006】この構成によれば、固定刃および可動刃を
揃えておいて、これに所定の圧力で支軸を挿通すると、
支軸の先端部が、ばね板ナット部に嵌り込むようにし
て、これに抜止め状態で係止される。その際、支軸を挿
通する圧力を調整すれば、固定刃と可動刃との接触圧を
自動的に調整することができる。またこの場合には、ば
ね板ナット部の弾性変形の範囲内において、そのばね性
により支軸の固定刃への固定を行うことができると共
に、固定刃と可動刃との接触圧を維持することができ
る。したがって、ばね板ナット部の変形量に対しばね力
の変化量を比較的小さくすることができ、接触圧の調整
を安定に行うことができる。しかも、ばね板ナット部
は、外側にわずかなに湾曲して可動刃に接触することが
ない。このため、支軸廻りにおける固定刃と可動刃との
接触面積は小さくなり、この部分の摩擦による切断トル
クのロスを軽減することができる。すなわち、切断性能
を損なうことなく、切断トルク(ハサミの開閉に要する
力)を小さくすることができる。なお、ここでいう固定
刃とは、フレームなどに固定されている切断刃の意味で
はなく、支軸が固定されている側の切断刃のことをい
う。
【0007】この場合、固定刃および可動刃が、それぞ
れ薄板状の焼入れ材で構成されていることが、好まし
い。
【0008】この構成によれば、固定刃および可動刃を
打ち抜きなどで形成した後、これらに対し焼き入れなど
の処理を行う必要がなく、簡単に製造することができ
る。また、ばね板ナット部に十分なばね性を持たせるこ
とができるため、より一層、接触圧の調整を安定に行う
ことができる。
【0009】これらの場合、支軸の軸部には、ばね板ナ
ット部の係止端が係止される環状溝が形成されているこ
と、或いはばね板ナット部の係止端が係止される雄ねじ
が形成されていることが、好ましい。
【0010】この構成によれば、ばね板ナット部の撓み
量(ばね力)を考慮して環状溝を形成しておけば、この
環状溝に周縁部の係止端が係止されるところまで、支軸
を押し込むことで、固定刃および可動刃間に所望の接触
圧を得ることができる。また、この環状溝により、支軸
の抜止めがより一層確実なものとなる。同様に、支軸の
軸部に雄ねじを形成しておけば、支軸の抜止めが確実に
なると共に、支軸を装着した後でも接触圧の微調整が可
能になる。すなわち、支軸の正逆回転により、接触圧の
強弱の微調整が可能になる。
【0011】また本発明のハサミは、それぞれがハンド
ル部を有し相対的に回動して切断動作する固定刃および
可動刃と、固定刃および可動刃を回動自在に連結する支
軸と、固定刃の外面に固着されると共に可動刃側から固
定刃側に挿通した支軸が係止されるばね板ナットとを備
えたことを特徴とする。
【0012】この構成にように、別部材としてばね板ナ
ットを設けるようにすれば、部品点数は増えるものの、
支軸が挿通される挿通孔の周縁部のばね性を利用し難い
厚手の固定刃および可動刃に対しても、接触圧の調整を
安定に行うことができる。また、ばね板ナットの選択に
より、接触圧を簡単かつ自在に調整することができる。
【0013】これらの場合、固定刃および可動刃が、板
材を打抜き加工して形成したプレス成形品であること
が、好ましい。
【0014】この構成によれば、支軸用の挿通孔やばね
板ナット部を含め、固定刃および可動刃の外形はプレス
打抜きにより、また刃面は斜めにプレス打抜き(切断)
して形成される。したがって、固定刃および可動刃を短
時間で極めて簡単に形成することができ、上記の支軸の
装着と相俟ってハサミ自体のコストダウンを図ることが
できる。
【0015】一方、本発明のカッター機構は、請求項1
ないし6のいずれかに記載のハサミと、両ハンドル部の
少なくとも一方に係合し、ハンドル部を介して固定刃お
よび可動刃を切断動作させる切断操作手段とを備えたこ
とを特徴とする。
【0016】この構成によれば、請求項1ないし6のい
ずれかに記載のハサミを用いることにより、切断操作手
段の切断動作に要する力(切断トルク)および非切断動
作に要する力を一定にすることができると共に、切断性
能を損なうことなく、この切断トルク自体を小さくする
ことができる。また、ハサミを簡単に製造することがで
きる。このため、カッターとして長期に安定した切断性
能を発揮するハサミの利点を活用することができるだけ
でなく、構造を単純化することができ、かつコストの削
減を図ることができる。
【0017】この場合、固定刃および可動刃が、回動面
内において支軸を中心に折曲げ形成されていることが、
好ましい。
【0018】この構成によれば、ハサミをコンパクトに
構成することができるため、ハサミを集約的に配設する
ことができ、カッター機構自体をコンパクトに構成する
ことができる。
【0019】また、本発明の印刷装置は、テープ状部材
を所定長に切断するための請求項7または8に記載のカ
ッター機構と、テープ状部材に所望の印刷を行う印刷手
段と、印刷手段により印刷されたテープ状部材を送って
カッター機構に臨ませるテープ送り手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0020】この構成によれば、カッター機構を低コス
トでコンパクトに構成することができる分、印刷装置自
体を低コストでコンパクトに構成することができる。ま
た、カッター機構が長期に安定した切断性能を発揮する
ため、印刷装置自体の信頼性を高めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して、本
発明の一実施形態に係るハサミ、カッター機構および印
刷装置をテープ印刷装置に適用した場合について説明す
る。このテープ印刷装置は、テープ状部材である印刷用
テープに所望の文字や図形などを印刷(印字)すると共
に、印刷した印刷用テープを所定の長さに切断してラベ
ル状の印刷用テープを構成するものである。
【0022】図1は、テープ印刷装置の平面図を示して
いる。同図に示すように、テープ印刷装置1は、各種部
品を収納する本体ケース2と、印刷情報を入力するため
の複数の入力キー3,3・・を備えた入力部4と、入力
部4から入力した文字列やその他の情報を表示する表示
部5と、開閉自在に構成された開閉蓋6とを備えてい
る。開閉蓋6の内部には、印刷用テープTを収容したテ
ープカートリッジ7が装着されており、テープカートリ
ッジ7は、開閉蓋6に形成した確認窓8を介して外部か
らその装着が確認できるようになっている。
【0023】さらに、開閉蓋6の内部には、テープカー
トリッジ7の近傍に位置して、印刷手段を構成する印刷
ヘッド9が、またテープカートリッジ7には、印刷ヘッ
ド9に対向するようにテープ送り手段を構成するプラテ
ンローラ10が、それぞれ配設されている。印刷用テー
プTは、プラテンローラ10によりテープカートリッジ
7から繰り出され、印刷ヘッド9により印刷されながら
更に装置外部に送り出されてゆく。一方、開閉蓋6の左
側には、後述するカッター機構11を作動させるテープ
カット用押釦12が配設されており、上記の印刷用テー
プTの送出し動作が停止したところで、このテープカッ
ト用押釦12を押釦すると、印刷用テープTが所定の長
さ(印刷部分+余白)にカットされる。また、本体ケー
ス2の左側部には、カッター機構11に隣接して、印刷
用テープTを装置外部に送り出すためのテープ排出口1
3が形成されている。
【0024】このテープ印刷装置1では、まず、開閉蓋
6を開いて本体ケース2内にテープカートリッジ7を装
着し、開閉蓋6を閉じる。次いで、本体ケース2の右側
部に配設された電源スイッチ(図示せず)を操作して電
源を投入し、入力部4から印刷しようとする文字を入力
する。必要に応じて入力した文字列を仮名漢字変換など
し、所定のキーを操作して印刷を指示すると、熱転写方
式の印刷ヘッド9が、テープカートリッジ7から繰り出
される印刷用テープTに印刷を行う。この印刷と並行し
て、印刷された印刷用テープTはプラテンローラ10に
よって送られ、テープ排出口13から外部に送り出され
てゆく。そして、印刷が完成すると印刷用テープTの送
りは停止する。ここで、テープカット用押釦12を押す
と、印刷用テープTは所定の長さにカットされてテープ
排出口13から排出される。
【0025】印刷用テープTは、いわゆる剥離紙付きの
粘着テープであり、インクの載りが良好になるように表
面が加工され、粘着材を塗布した裏面には剥離可能な剥
離テープが張り合わされている。したがって、切断され
た印刷用テープTの剥離テープを剥がせば、文字や記号
が印刷された印刷用テープTを、ラベルとして所望の対
象物に貼り付けることができる。また、このテープ印字
装置1では、テープ幅が6mm、9mm、12mmおよ
び18mmなどの各種の印刷用テープTが用意されてお
り、これらテープ幅の異なる各種の印刷用テープTは、
テープカートリッジ7内に巻回された状態で収容され、
それぞれ提供される。
【0026】図2および図3に示すように、カッター機
構11は、「L」字状に折曲げたハサミ14と、このハ
サミ14を切断動作させる切断操作手段15とを備えて
いる。ハサミ14は、全体として略「L」字状に形成し
た固定刃21および可動刃22と、この固定刃21およ
び可動刃22をその中間の曲げ部分で相互に回動自在に
連結する支軸23とを備えている。固定刃21は、支軸
23を挟んで略鉛直方向の上方に延びるブレード部21
aと、略水平方向に延びるハンドル部21bとで一体に
形成されており、同様に可動刃22は、支軸23を挟ん
で略鉛直方向の上方に延びるブレード部22aと、略水
平方向に延びるハンドル部22bとで一体に形成されて
いる。
【0027】この場合、固定刃21はそのハンドル部2
1bでシャーシ16に固定され(図3参照)、可動刃2
2はそのハンドル部22bで切断操作手段15に連結さ
れている(図2参照)。そしてハサミ14は、テープカ
ートリッジ7と本体ケース2の側板との間の狭い間隙に
配設され、かつ固定刃21のブレード21aが、テープ
カートリッジ7からテープ排出口13に送られる印刷用
テープTに臨むように配設されている(図1および図3
参照)。
【0028】切断操作手段15は、図2に示すように、
上記のテープカット用押釦12と、テープカット用押釦
12の側面に突設した係合ピン17と、可動刃22を非
切断方向に回動付勢するばね18とで構成されている。
テープカット用押釦12は本体ケース2に上下方向スラ
イド自在に取り付けられ、また係合ピン17の先端は可
動刃22のハンドル部22bの端部に形成した長溝31
に係合している。一方、ばね18は捻りコイルばねなど
で構成され、一端が本体ケース2に取り付けられ、他端
が可動刃22のハンドル部22bの下面に取り付けられ
ている。テープカット用押釦12を押釦すると、係合ピ
ン17を介して可動刃22が切断方向に回動し、この可
動刃22が固定刃21に擦れ合って切断動作が行われ
る。次に、テープカット用押釦12から手を離すと、ば
ね18により、可動刃22が非切断方向に回動すると共
に、係合ピン17を介してテープカット用押釦12が待
機位置に復帰する。
【0029】図4および図5に示すように、固定刃21
および可動刃22の各ブレード21a,22aには、刃
先32側の基部に棟側に切り込んだ切欠き部33が形成
され、この切欠き部33と切っ先との間に、刃先32と
平行に刃面(切り刃)34が形成されている。また、各
ブレード21a,22aには、切欠き部33と切っ先と
の間において、刃面34を含む刃先32側の部位を対向
する刃側に微小角度折曲げた折曲げ部35が形成されて
いる。折曲げ部35はその曲げ幅が、切欠き部33から
切っ先に向かって、刃先32と図示αの角度を為して拡
幅形成されている。すなわち、折曲げ部35は、幅方向
において、ブレード(ブレード本体)21a,22aに
対し図示βの角度で折曲げられ(図6参照)、長手方向
において、刃先32に対し図示αの角度で拡幅形成され
ている。このため、基部側に対して切っ先側が、対向す
る刃側により大きく突出している。
【0030】このように、固定刃21および可動刃22
の各ブレード21a,22aに折曲げ部35を設けるこ
とにより、各ブレード21a,22aに、刃物一般にい
う逃げ角、すなわちハサミ14における「裏すき」に類
似するものを簡単に設けることができる。これにより、
ハサミ14の切断性能が向上すると共に、固定刃21お
よび可動刃22の刃先32,32同士が接触する切断動
作において、その裏36,36同士は離間した状態とな
り、粘着材を塗布した印刷用テープTを切断しても、固
定刃21および可動刃22に粘着材がこびり付くことが
ない。例えば、印刷用テープTを切断(刃の閉動作)し
たときに、固定刃21(可動刃22)の裏36に粘着材
がはみ出すように回り込んでも、粘着材が可動刃22
(固定刃21)により強く押し付けられることがなく、
固定刃21の裏36に粘着材が付着することがない。粘
着材が弱く付着している場合でも、非切断動作(刃の開
動作)の際に、或いは切断された印刷用テープTを取り
去る際に、印刷用テープTに付着したまま剥がれる。
【0031】したがって、固定刃21および可動刃22
の裏36に粘着材が付着堆積し、固定刃21と可動刃2
2とが固着して切断動作不良となるのを防止することが
できる。特に、実施形態のようにハサミ14が装置に搭
載されている場合には、ユーザーが装置を分解して付着
した粘着材を取り去るのは不可能であり、実施形態のハ
サミ(カッター機構11)14は、装置搭載用として極
めて有用となる。
【0032】また、この場合の「裏すき」は、ハサミ1
4の裏36を研削して構成する本来の「裏すき」と異な
り、簡単に加工することができるだけでなく、ブレード
21a,22aを折曲げることでブレード21a,22
a自体の剛性を高めるように作用する。このため、切断
性能を犠牲にすることなく、ブレード21a,22aを
比較的薄手のもので構成することが可能になる。具体的
には、プレス加工が可能な焼入れ材(例えば0.8mm
厚以下)を用いて固定刃21および可動刃22を構成す
ることができる。すなわち、固定刃21および可動刃2
2の外形をプレス打抜きで形成すると共に、その各刃面
34も斜めにプレス打抜き(切断)して形成し、さらに
この刃面34の形成と相前後して折曲げ部35をプレス
曲げして形成する。かかる場合には、組立後の焼入れ
(熱処理)工程などを省略できると共にプレス加工によ
り、固定刃21および可動刃22を極めて簡単に作るこ
とができる。もちろん、固定刃21および可動刃22の
外形をプレス打抜きした後、刃面34のみ研磨仕上げで
形成してもよいことは、いうまでもない。したがって、
コンパクトで低コストのハサミ(カッター機構11)を
14構成することができ、ひいてはテープ印刷装置1の
コストダウンおよび小型化を促進することができる。
【0033】ところで、一般的なハサミでは(図10参
照)、固定刃および可動刃の刃先同士を切っ先に向かっ
て点接触させながら物を切断してゆくときに、刃先の接
触点が支軸から離れるほど、固定刃および可動刃が撓み
易くなり、切断不良が発生し易くなる。そこで、刃同士
の接触圧が支軸から離れるに従って大きくなるように、
予め、固定刃および可動刃に、相互に対向する方向にわ
ずかに湾曲させた「そり(おがみ)」、および棟側に対
し刃先側を対向する刃側に向かって捻った「ねじり(ひ
ねり)」が設けられている。
【0034】これに対し、本実施形態では、折曲げ部3
5を、刃先32に対し図示αの角度で拡幅形成し、基部
側に対して切っ先側が、対向する刃側により大きく突出
するようにしているため、刃21,22同士の接触圧が
支軸23から離れるに従って大きくなり、固定刃21お
よび可動刃22に「そり」および「ねじり」と同等の機
能を持たせることができる。これにより、ブレード21
a,22aに単に折曲げ部35を形成するだけで、ブレ
ード21a,22aに曲げ加工および捻り加工を行う必
要がなく、固定刃21および可動刃22を簡単に製造す
ることができる。なお、ブレード21a,22aに切欠
き部33を設けることで、折曲げ部35を簡単に加工で
きると共に、支軸23側にこの曲げの影響を及ぼすこと
がない。
【0035】次に、図5および図7を参照して、支軸2
3廻りの構造について説明する。支軸23は頭部41と
軸部42とから成り、軸部42を可動刃22の挿通孔3
7に挿通した状態で固定刃21に固定されている。すな
わち、この軸部42を介して支軸23の頭部41と固定
刃21とにより、可動刃22を回動自在に挟み込んだ構
造になっており、この鋏持力で固定刃21と可動刃22
との接触圧を維持している。支軸23はねじの構造を有
しており、その頭部41にはドライバー用に工具溝43
が形成され、軸部42には雄ねじが形成されている。
【0036】一方、支軸23が挿通する固定刃21の挿
通孔37の周縁部分には、ばね板ナット部38が形成さ
れている。ばね板ナット部38は、挿通孔37から周縁
部分に放射状に複数の切込みを入れてばね板ナット状に
形成したものであり、図7に示すように、これに支軸2
3を圧入すると、支軸23がばね板ナット部38を外側
に押し開くように挿入され、支軸23が固定刃21に固
定される。すなわち、支軸23の軸部42に形成した雄
ねじのねじ溝に、ばね板ナット部38の係止端が落ち込
んで(嵌り込んで)、ばね板ナット部38のばね力によ
り、支軸23が抜止め状態で強く挟持される。この場
合、固定刃21と可動刃22との接触圧を考慮して支軸
23の圧入を行うが、最終的に接触圧の微調整が必要な
場合には、支軸23を正逆回転させて調整を行う。な
お、接触圧の微調整を必要としない場合には、支軸23
の軸部に雄ねじに代えて、1条あるいは複数条の環状溝
を形成するようにしてもよい。もっとも、支軸23の材
質が極端に硬質でない限り、雄ねじや環状溝を形成しな
くてもよい。
【0037】このように、支軸23を受ける固定刃21
の挿通孔37部分にばね板ナット部38を作り込むよう
にしているため、揃えてセットした固定刃21および可
動刃22に、支軸23を所定の圧力で単純に圧入するだ
けで、ハサミ14の組立てと、固定刃21と可動刃22
との接触圧の調整とを同時に行うことができる。この場
合、支軸23をかしめて組み込む従来のハサミ14と異
なり、支軸23の固定刃21への取り付けと、上記の接
触圧の調整とを、ばね板ナット部38のばね力で行うよ
うにしているため、接触圧の調整を熟練を要することな
く機械的に簡単に行うことができ、かつ支軸23が緩む
(あまくなる)のを防止することができる。
【0038】したがって、切断性能が長期に亘って持続
するハサミ(カッター機構11)14を量産することが
でき、安定な切断性能を有するハサミ(カッター機構1
1)14を低コストで製造することができる。このた
め、テープ印刷装置1のコストダウンを達成することが
できると共に、耐久性を向上することができる。
【0039】次に、図8を参照して、本発明に係るハサ
ミの第2実施形態について説明する。このハサミ19は
一般的な洋バサミであり、「X」字状に交差させた固定
刃51および可動刃52と、この固定刃51および可動
刃52をその中間部分で相互に回動自在に連結する支軸
53とを備えている。固定刃51および可動刃52は、
第1実施形態と同様に、ブレード部51a,52aとハ
ンドル部51b,52bとで一体に形成されている。ま
た、各ハンドル部51b,52bには握りカバー54,
54が取り付けられている。
【0040】そして、第1実施形態と同様に、固定刃5
1および可動刃52の各ブレード51a,52aには、
刃先62側の基部に切欠き部63が形成され、この切欠
き部63と切っ先との間に、刃先62と平行に刃面(切
り刃)64が形成されている。また、各ブレード51
a,52aには、切欠き部63と切っ先との間において
折曲げ部65が形成されており、折曲げ部65はその曲
げ幅が、刃先62と図示αの角度を為して拡幅形成され
ている。すなわち、折曲げ部65は、幅方向において、
ブレード(ブレード本体)51a,52aに対し図示β
の角度で折曲げられ(図9参照)、長手方向において、
刃先62に対し図示αの角度で拡幅形成されている。同
様に、支軸53が挿通する固定刃51の挿通孔67の周
縁部分には、ばね板ナット部68が形成され、支軸53
の軸部72には雄ねじが形成されている。支軸53は可
動刃52を挿通して固定刃51に圧入され、ばね板ナッ
ト部68に抜止め状態で固定されている。
【0041】このようなハサミ19では、第1実施形態
のハサミ14と同様に、固定刃51および可動刃52に
折曲げ部65を設けることにより、「裏すき」に類似す
るものを簡単に構成することができる。これにより、ハ
サミ19の切断性能が向上すると共に、粘着材を塗布し
たテープやシートを切断しても、固定刃51および可動
刃52に粘着材がこびり付くことがなく、粘着テープ切
断用のハサミ19として極めて有用なものとなる。
【0042】また、折曲げ部65を、刃先62に対し図
示αの角度で拡幅形成しているため、固定刃51および
可動刃52に「そり」および「ねじり」と同等の機能を
持たせることができ、かつブレード51a,52aを比
較的薄手のもので構成することができる。しかも、固定
刃51および可動刃52を簡単に製造することができ
る。
【0043】さらに、支軸53を受ける固定刃51の挿
通孔67部分にばね板ナット部68を形成しているた
め、支軸53を所定の圧力で単純に圧入するだけで、ハ
サミ19の組立てと、固定刃51と可動刃52との接触
圧の調整とを同時に行うことができる。このため、接触
圧の調整を熟練を要することなく機械的に簡単に行うこ
とができ、低コストで切れ味の良好なハサミ19を構成
することができる。
【0044】なお、ばね板ナット部を固定刃に作り込む
ことなく、別部材としてばね板ナットを設けるようにし
てもよい。また、両実施形態では、ブレードが特殊な形
態を有するハサミについて説明したが、本発明の支軸廻
りの構造は、ブレードが一般的な形態のハサミ(図10
参照)にも適用可能である。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明のハサミによれば、
支軸による固定刃と可動刃の連結と、固定刃と可動刃の
接触圧の調整とを、熟練を要することなくかつ簡単に行
うことができる。したがって、量産が可能となると共に
コストダウンを図ることができる。
【0046】また、本発明のカッター機構によれば、長
期に安定な切断性能を発揮する上記のハサミを用いるこ
とにより、カッター機構自体の寿命を長くすることがで
きると共に、コストダウンを図ることができる。
【0047】さらに、本発明の印刷装置によれば、カッ
ター機構を低コストでコンパクトに構成することができ
る分、印刷装置自体を低コストでコンパクトに構成する
ことができる。また、カッター機構に基づく装置の故障
を極力少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るハサミおよびカッタ
ー機構を備えたテープ印刷装置の平面図である。
【図2】実施形態に係るテープ印刷装置の縦断断面図で
ある。
【図3】実施形態に係るカッター機構廻りの斜視図であ
る。
【図4】実施形態に係るカッター機構のハサミの構造図
である。
【図5】実施形態に係るカッター機構のハサミの分解斜
視図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】図4のB−B線断面図である。
【図8】第2実施形態に係るハサミの正面図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【図10】従来のハサミの構造図である。
【符号の説明】
1 テープ印刷装置 9 印刷ヘッド 10 プラテンローラ 11 カッター機構 12 テープカット用押釦 14,19 ハサミ 15 切断操作手段 21,51 固定刃 21a,51a ブレード部 21b,51b ハンドル部 22,52 可動刃 22a,52a ブレード部 22b,52b ハンドル部 23,53 支軸 37,67 挿通孔 38,68 ばね板ナット部 42 軸部 T 印刷用テープ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれがハンドル部を有し相対的に回
    動して切断動作する固定刃および可動刃と、当該固定刃
    および当該可動刃を回動自在に連結する支軸とを備え、 前記固定刃は、前記支軸が挿通される挿通孔の周縁部を
    ばね板ナット状に形成したばね板ナット部を有すること
    を特徴とするハサミ。
  2. 【請求項2】 前記固定刃および前記可動刃が、それぞ
    れ薄板状の焼入れ材で構成されていることを特徴とする
    請求項1に記載のハサミ。
  3. 【請求項3】 前記支軸の軸部には、前記ばね板ナット
    部の係止端が係止される環状溝が形成されていることを
    特徴とする請求項1または2に記載のハサミ。
  4. 【請求項4】 前記支軸の軸部には、前記ばね板ナット
    部の係止端が係止される雄ねじが形成されていることを
    特徴とする請求項1または2に記載のハサミ。
  5. 【請求項5】 それぞれがハンドル部を有し相対的に回
    動して切断動作する固定刃および可動刃と、当該固定刃
    および当該可動刃を回動自在に連結する支軸と、 前記固定刃の外面に固着されると共に前記可動刃側から
    前記固定刃側に挿通した支軸が係止されるばね板ナット
    とを備えたことを特徴とするハサミ。
  6. 【請求項6】 前記固定刃および前記可動刃が、板材を
    打抜き加工して形成したプレス成形品であることを特徴
    とする請求項1ないし5のいずれかに記載のハサミ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のハ
    サミと、 前記両ハンドル部の少なくとも一方に係合し、当該ハン
    ドル部を介して前記固定刃および前記可動刃を切断動作
    させる切断操作手段とを備えたことを特徴とするカッタ
    ー機構。
  8. 【請求項8】 前記固定刃および前記可動刃が、回動面
    内において前記支軸を中心に折曲げ形成されていること
    を特徴とする請求項7に記載のカッター機構。
  9. 【請求項9】 テープ状部材を所定長に切断するための
    請求項7または8に記載のカッター機構と、 テープ状部材に所望の印刷を行う印刷手段と、 当該印刷手段により印刷されたテープ状部材を送って前
    記カッター機構に臨ませるテープ送り手段とを備えたこ
    とを特徴とする印刷装置。
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CN97121406A CN1103660C (zh) 1996-09-27 1997-09-27 剪刀、带剪刀的剪切机构及带有剪切机构的印刷装置
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007319294A (ja) * 2006-05-31 2007-12-13 Sun-Star Stationery Co Ltd ピンキングハサミの製造方法
JP2016190291A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 ブラザー工業株式会社 切断装置及び印刷装置
JP2020535913A (ja) * 2017-10-05 2020-12-10 エシコン エルエルシーEthicon LLC 閉塞されたブレードを備えた外科用ツール
CN112297064A (zh) * 2020-11-09 2021-02-02 福建大利五金科技有限公司 弯折刀片及带有该刀片的纱剪及刀片制造方法

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