JPH1098864A - 永久磁石式２相回転電機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 従来の永久磁石型ステッピングモータの低価
格をそのまま維持しながら、小形で高トルクが得られる
永久磁石式２相回転電機を提供する。 【解決手段】 円筒状の内外面夫々各同数に、Ｎ極とＳ
極を交互に着磁し回転子軸３に平行に形成し結合した円
筒状永久磁石１を備えた回転子Ｒと、回転子軸３に平行
に形成した環状コイル７を相互に逆方向から包含し、夫
々先端部を反対方向から交互に前記永久磁石１の内周面
と所定幅のエアギャップを介して形成したインナクロー
ポール８、９と、前記永久磁石１の端部位置に回転子軸
３に平行に形成した環状コイル１１を相互に逆方向から
包含し、先端部を同一方向に前記永久磁石１の外周面と
所定幅のエアギャップを介して交互に形成したアウタク
ローポール１２、１３とを備えて構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＯＡ機器のプリン
ター等に使用される永久磁石式ステッピングモータ等に
最適な、小形、軽量に形成して所望の性能を発揮できる
永久磁石式２相回転電機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図６は従来の環状コイル式２相回転電機
の一例である回転子の周囲に、永久磁石をＮ極、Ｓ極交
互に着磁したインナロータ型クローポール式２相永久磁
石式ステッピングモータの構成を示すものである。同図
において、３０は回転子で回転子軸３１と一体に構成さ
れ、表面に回転方向に着磁した同一幅の磁極３２が表面
Ｎ極（Ｎと記載）と表面Ｓ極（Ｓと記載）を交互に所定
数装着している。また、固定子３３はその一部を切り取
って展開して示したように、第１、第２の２個の固定子
ユニット３３Ａ、３３Ｂによって構成されている。各固
定子ユニット３３Ａ、３３Ｂは同一構造であって、互い
にπ／２（後述の櫛歯状磁歯３４ａのピッチの１／４）
ずれて位置し、夫々、両側を櫛歯状磁歯３４ａ、３４ｂ
に形成した磁性鉄板３４によって回転子３０の周囲を所
定間隙を設けて巻き回した巻線３５ａ、３５ｂを覆って
いる。

【０００３】上述の構造において、巻線３５ａ、３５ｂ
に夫々所定方向に電流を流すと、この電流を流した固定
子ユニットの櫛歯状磁歯３４ａと３４ｂは、その電流方
向によってＮ極又はＳ極に励磁されて磁極を形成する。
従って、第１の固定子ユニット３３Ａと第２の固定子ユ
ニット３３Ｂ夫々の巻線３５ａ、３５ｂに、所定のステ
ップに従ってパルス電流を供給することによって回転磁
界が形成され、この回転磁界に吸引されて回転子３０の
磁極３２が回転する。従って、この回転電機は回転し、
また停止する。

【０００４】また、特開昭５８−２０７８５６号公報に
示すように、永久磁石で形成される回転子の内周側にエ
アギャップを介して１相分のクローポール式固定子をア
ウタロータ型に形成し、回転子の外周側にエアギャップ
を介してもう１相分のクローポール式固定子をインナロ
ータ型に形成したステッピングモータもある。即ち、例
えば、図７において、４０は回転子であって表面に回転
方向に同一幅のＮ極とＳ極を交互に着磁した永久磁石４
１が、中子４２によって回転子軸４３に固定されてい
る。また、永久磁石４１の内部に、永久磁石４１の内周
表面と所定幅のエアギャップを介して、第１の環状コイ
ル４４を覆って両側から交互に噛み合わせた櫛歯状磁歯
４６ａと４６ｂによって内部固定子４７を形成し、永久
磁石４１の外部に、永久磁石４１の外周表面と所定幅の
エアギャップを介して第２の環状コイル４５を覆って両
側から交互に噛み合わせた櫛歯状磁歯４８ａと４８ｂに
よって外部固定子４９を形成している。上述の構造にお
いて、図６に示した例と同様、第１の環状コイル４４と
第２の環状コイル４５に順次適切に励磁電流を供給する
ことによって、このモータは回転する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の従来
のものは、その構成上、次のような問題点があった。 （１）図６に示した構造のものは、回転子を形成する永
久磁石の外周部のみを利用し、２個の固定子が軸方向に
並列するので、得られるトルクは比較的小さく、軸方向
に長い構造になる。 （２）図７に示した構造のものは、回転子は永久磁石の
内外周に着磁し、その内側と外側に固定子を形成するの
で小形で高トルクが得られるが、法線方向の寸法が大き
くなり、外径の小形のものは回転子の内側の固定子クロ
ーポールの歯幅が小さくなり過ぎて製作困難であるとい
う問題を有していた。本発明は従来のものの上記課題
（問題点）を解決し、従来の永久磁石型ステッピングモ
ータの環状コイル、クローポール固定子、フェライト等
の円筒状永久磁石を利用して、低価格をそのまま維持し
ながら径方向に、大形にならないで高トルクが得られる
永久磁石式２相回転電機を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の永久磁石式２相
回転電機は上記の課題（問題点）を解決するために、所
定厚さの円筒状の内外面夫々各同数に、Ｎ極とＳ極を交
互に着磁し回転子軸に平行に形成し結合した円筒状永久
磁石を備えた回転子、この回転子軸に平行に形成した環
状コイルを相互に逆方向から包含し、夫々先端部を反対
方向から交互に永久磁石の内周面と所定幅のエアギャッ
プを介して形成したインナクローポール及び永久磁石の
端部位置に回転子軸に平行に形成した環状コイルを相互
に逆方向から包含し、先端部を同一方向に前記永久磁石
の外周面と所定幅のエアギャップを介して交互に形成し
たアウタクローポールを備えて構成した。この場合、円
筒状に形成した永久磁石の内部に着磁した所定磁極と、
この永久磁石の外部に着磁した同一磁極とを同一法線
上、又は、電気角でπ／２（永久磁石の着磁対ピッチ角
度の１／４）の偏位位置又は電気角でπ（永久磁石の着
磁対ピッチ角度の１／２）の偏位位置に配置し、この時
は内外が反対極性磁極となるような着磁形態が可能とな
る。また、これに代え、円筒状に形成した永久磁石の内
部に着磁した所定磁極と、この永久磁石の外部に着磁し
た同一磁極とを同一法線上、又は、電気角でπ（永久磁
石の着磁対ピッチ角度の１／２）の偏位位置に配置し、
内外が反対極性磁極となるようにした永久磁石式２相回
転電機において、永久磁石の内周側に形成したインナク
ローポールと、外周側に形成したアウタクローポールと
を互いに電気角でπ／２（永久磁石の着磁対ピッチ角度
の１／４）だけ偏位するように形成しても良い。上記の
ように構成すると、永久磁石の両面を使用するので高ト
ルクが得られる。さらに、図７に示した構造に対して、
アウタクローポールを備えた外部固定子のコイル部を軸
方向に形成すると、図７に示した構造よりも径方向の寸
法を小さくし、図６に示した構造よりも軸方向の長さを
短く形成でき、全体に小形とできる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図１乃至図５によって本発
明を具体的に説明する。図１乃至図５は本発明の一実施
の形態を示し、図１は本発明に基づく回転電機の縦断側
面図、図２は縦断正面図であって、ケース、回転子軸の
軸受等本発明の説明に直接関係のない要素機能の図示は
省略している。図３は図２とは別の永久磁石の着磁例を
示し、図４は内部固定子の概略構造を示す斜視図、図５
は外部固定子の概略構造を示す斜視図である。図１にお
いて、回転子Ｒは回転子軸３に平行に形成した円筒状の
永久磁石１に、図２に示すように、内外面夫々各同数に
Ｎ極とＳ極を交互に所定幅に着磁し、中子２によって回
転子軸３に固定して形成している。回転子軸３は図示し
ないケーシングに固定した軸受４と５によって回転自在
に支承されている。

【０００８】内部固定子Ｓ１は、図１及び図４に示すよ
うに、回転子軸３に平行に形成したボビン６に巻き回し
た環状コイル（以下単にコイルという）７を相互に逆方
向からインナクローポール用のインナピース８とアウタ
ピース９によって包含し、夫々の先端部に形成した櫛歯
状磁歯８ａ、９ａを反対方向から交互に永久磁石１の内
周面と所定幅のエアギャップを設けるように折り曲げて
インナクローポールを形成している。インナピース８と
アウタピース９の回転子軸側は、図に示すように、夫々
が異なった径の円筒構造で、例えば、アウタピース９の
円筒構造部９ｂに、インナピース８の円筒構造部８ｂが
嵌合して磁気的に結合している。なお、コイル７に電流
を供給する接続線１５は図４に示すように設けられる。

【０００９】外部固定子Ｓ２は図１及び図４に示すよう
に、内部固定子Ｓ１と同様に、回転子軸３に平行に形成
したボビン１０に巻き回した環状コイル（以下単にコイ
ルという）１１を相互に逆方向からアウタクローポール
用のインナピース１２とアウタピース１３によって包含
しているが、インナピース１２とアウタピース１３夫々
の先端部に形成した櫛歯状磁歯１２ａ、１３ａは、同一
方向に交互に永久磁石１の内周面と所定幅のエアギャッ
プを設けるように折り曲げてアウタクローポールを形成
している。インナピース１２とアウタピース１３の回転
子軸側は、図に示すように、夫々が異なった径の円筒構
造で、例えば、インナピース１２の円筒構造部１２ｂに
アウタピース１３の円筒構造部１３ｂが嵌合して磁気的
に結合している。なお、コイル１１に電流を供給する接
続線１６は図５に示すように設けられる。

【００１０】図３に図２とは別の着磁例を示している。
即ち、図２は、永久磁石１の内外とも同一磁極にしたも
の、即ち、同一法線上に同一磁極を着磁した例を示した
のに対して、図３（Ａ）は永久磁石の内部に着磁した磁
極と外部に着磁した同一磁極とを電気角でπ／２だけ偏
位して着磁したもので、即ち、永久磁石の着磁対のなす
角度をピッチ角度として、そのピッチ角の１／４偏位さ
せた例を示している。この場合は永久磁石内外のクロー
ポール位置はπ／２ずらさず、同位置とすれば良い。ま
た、図３（Ｂ）は永久磁石の内部に着磁した磁極と外部
に着磁した同一磁極とを電気角でπだけ偏位して着磁し
たもの、即ち、永久磁石の内側と外側が反対極磁に形成
している例を示している。上述した永久磁石の磁極の着
磁ピッチと着磁幅は、この回転電機の所望される特性に
対応し、クローポールの幅と共に適切に設定すれば良
い。

【００１１】上記の円筒状に形成した永久磁石の内部に
着磁した所定磁極と外部に着磁した同一磁極とを同一法
線上、又は、電気角でπ（永久磁石の着磁対ピッチ角度
の１／２）の偏位位置に形成した永久磁石式２相回転電
機において、内部固定子Ｓ１のコイル７に励磁電流を流
すとインナクローポールの８ａと９ａは互に異磁極に励
磁され、外部固定子Ｓ２のコイル１１に励磁電流を流す
とアウタクローポールの１２ａと１３ａは互に異磁極に
励磁される。従って、同一法線上のアウタクローポール
とインナクローポールとを互いに電気角でπ／２（永久
磁石の着磁対ピッチ角度の１／４）だけ偏位するよう
に、内部固定子Ｓ１のコイル７と外部固定子Ｓ２のコイ
ル１１とに相互にπ／２の位相差を有する交流電流を流
すと同期電動機として機能する。また、同一効果が得ら
れるように直流電流を切り換えて、内部固定子Ｓ１のコ
イル７と外部固定子Ｓ２のコイル１１に供給すると、ス
テッピングモータとして機能する。

【００１２】本発明は以上述べた実施の形態に限定され
るものではなく、上記に説明した技術思想を適用して各
種構造と２相の回転電機を構成させることができる。例
えば、上述の説明では、内部固定子Ｓ１のコイル７と外
部固定子Ｓ２のコイル１１とに相互にπ／２の位相差を
有する交流電流を供給するように説明したが、インナク
ローポールとアウタクローポールとを互いに電気角でπ
／２ずらして構成し、内部固定子Ｓ１のコイル７と外部
固定子Ｓ２のコイル１１に適切に励磁電流を供給するよ
うにしても良い。また、永久磁石の内側と外側の着磁磁
極は上述とは異ならせて、適切な偏位を構成するように
しても良く、この偏位角度とも対応させて、インナクロ
ーポールとアウタクローポールとの偏位角も、励磁交流
電流の位相差又は直流電流の切り換えタイミングとの対
応で適切に設定しても良い。

【００１３】

【発明の効果】本発明の永久磁石式２相回転電機は、上
記のように構成されるから、次のような優れた効果を有
する。 （１）円筒型永久磁石の内外両周面を磁化し、両側に固
定子を形成し、さらに１相分の固定子を円筒磁石の内側
に、他の１相分の固定子のコイル部を略回転子の側面に
配置するようにしたため、外形を小形化し、高トルクの
２相回転電機が得られる。 （２）ボビンに巻き回した環状コイル、クローポール固
定子、フェライト等の円筒状永久磁石が利用できるの
で、従来の永久磁石型ステッピングモータの低価格がそ
のまま維持できる。 （３）円筒状に形成した永久磁石の内部に着磁した所定
磁極と、この永久磁石の外部に着磁した同一磁極とを同
一法線上、又は、電気角でπ（永久磁石の着磁対ピッチ
角度の１／２）の偏位（反対極性）位置に形成した永久
磁石式２相回転電機において、永久磁石の内周側に形成
したインナクローポールと、外周側に形成したアウタク
ローポールとが、互いに電気角でπ／２（永久磁石の着
磁対ピッチ角度の１／４）だけ偏位するように交流電流
を供給すると、小形で高トルクの同期電動機として機能
し、供給される直流電流を切り換えると同等機能のステ
ッピングモータとして機能させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に基づく一実施の形態を説明する永久磁
石式２相回転電機の縦断側面図である。

【図２】図１に示す永久磁石式２相回転電機の永久磁石
の着磁例を説明する縦断正面図である。

【図３】図２に示す永久磁石着磁例とは別の着磁例の説
明図で、同図（Ａ）は永久磁石の内外着磁極性を電気角
でπ／２だけ偏位して着磁した例、同図（Ｂ）は永久磁
石の内外着磁極性を電気角でπだけ偏位して着磁した例
を夫々示している。

【図４】図１に示す永久磁石式２相回転電機の内部固定
子の概略構成を示す斜視図である。

【図５】図１に示す永久磁石式２相回転電機の外部固定
子の概略構成を示す斜視図である。

【図６】従来の永久磁石式２相回転電機であるインナロ
ータ型クローポール式２相永久磁石式ステッピングモー
タの構成を一部展開して示した斜視図である。

【図７】内部固定子、永久磁石、外部固定子を同心円状
に構成した図６とは別の従来の永久磁石式２相回転電機
の斜視図である。

【符号の説明】

１：永久磁石 ２：中子 ３：回転子軸 ７、１１：環状コイル ８：インナクローポール用インナピース ９：インナクローポール用アウタピース １２：アウタクローポール用インナピース １３：アウタクローポール用アウタピース Ｒ：回転子 Ｓ１：内部固定子 Ｓ２：外部固定子

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定厚さの円筒状の内外面夫々各同数
   に、Ｎ極とＳ極を交互に着磁し回転子軸に平行に形成し
   結合した円筒状永久磁石を備えた回転子、 この回転子軸に平行に形成した環状コイルを相互に逆方
   向から包含し、夫々先端部を反対方向から交互に前記永
   久磁石の内周面と所定幅のエアギャップを介して形成し
   たインナクローポール、 前記永久磁石の端部位置に回転子軸に平行に形成した環
   状コイルを相互に逆方向から包含し、先端部を同一方向
   に前記永久磁石の外周面と所定幅のエアギャップを介し
   て交互に形成したアウタクローポール、を備えたことを
   特徴とする永久磁石式２相回転電機。
2. 【請求項２】 請求項１記載の永久磁石式２相回転電機
   において、 円筒状に形成した永久磁石の内部に着磁した所定磁極
   と、 この永久磁石の外部に着磁した同一磁極とを同一法線
   上、又は、電気角でπ／２（永久磁石の着磁対ピッチ角
   度の１／４）の偏位位置、又は、電気角でπ（永久磁石
   の着磁対ピッチ角度の１／２）の偏位位置に配置し、内
   外が反対極性磁極となるようにした永久磁石式２相回転
   電機。
3. 【請求項３】 請求項１記載の円筒状に形成した永久磁
   石の内部に着磁した所定磁極と、この永久磁石の外部に
   着磁した同一磁極とを同一法線上、又は、電気角でπ
   （永久磁石の着磁対ピッチ角度の１／２）の偏位位置に
   配置し内外が反対極性磁極となるようにした永久磁石式
   ２相回転電機において、 上記永久磁石の内周側に形成したインナクローポール
   と、 外周側に形成したアウタクローポールとを互いに電気角
   でπ／２（永久磁石の着磁対ピッチ角度の１／４）だけ
   偏位するように形成した永久磁石式２相回転電機。