JP2004007968A - ハイブリッド磁石型直流機 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成で永久磁石から固定ヨーク側への磁束の漏れを確実に防止することができるハイブリッド磁石型直流機を提供する。
【解決手段】ハイブリッド磁石として構成された固定子30は、複数の電磁石31,32及び複数の永久磁石33,34を含む。各電磁石31,32の固定鉄心35,36は断面ほぼ円弧状をなすポールコア39,40を有する。固定コイル37,38に直流電流が供給されたとき、ポールコア39,40は周方向において交互に異なる極性に磁化される。各永久磁石33,34は極異方性の磁石であり、内周面は、周方向における一方側に設けられたS極の第1部分と、周方向における他方側に設けられたN極の第2部分とを有する。第1部分はS極に磁化されたポールコア40に接触し、第2部分はN極に磁化されたポールコア39に接触する。
【選択図】 図2
【解決手段】ハイブリッド磁石として構成された固定子30は、複数の電磁石31,32及び複数の永久磁石33,34を含む。各電磁石31,32の固定鉄心35,36は断面ほぼ円弧状をなすポールコア39,40を有する。固定コイル37,38に直流電流が供給されたとき、ポールコア39,40は周方向において交互に異なる極性に磁化される。各永久磁石33,34は極異方性の磁石であり、内周面は、周方向における一方側に設けられたS極の第1部分と、周方向における他方側に設けられたN極の第2部分とを有する。第1部分はS極に磁化されたポールコア40に接触し、第2部分はN極に磁化されたポールコア39に接触する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイルと永久磁石とを有する固定子を備えたハイブリッド磁石型直流機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、低消費電力で高トルク小型モータは、自動車、OA機器、自販機、医療・福祉機器分野などで幅広く利用されている。通常、この種の分野に用いられているモータは、永久磁石を用いたモータがほとんどで、技術的にかなり成熟している。このため、飛躍的な高効率化、小型高トルク化は難しい。この小型高トルク化のためにハイブリッド磁石を利用したモータがあり、高効率化、小型高トルク化を追求したハイブリッド磁石型の直流モータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。図6には、その直流モータ50の構成を示している。
【0003】
詳述すると、直流モータ50の電機子51は、モータ回転軸52に外嵌状態に固定された回転鉄心53と、回転鉄心53に巻回された回転コイル54とを有する。回転鉄心53には、その中央部から放射状に複数個のティース53aが延出形成されている。ヨーク55の内周面側には、略円環状の固定子56が固定されている。固定子56は、電磁石57,58と永久磁石59,60とを有するハイブリッド磁石として構成され、前記電機子51の外周面と所定のギャップで対向する状態に配置されている。このギャップは微少であるため、図6ではギャップが目視可能な程度には示されていない。
【0004】
前記電磁石57,58は、固定鉄心61,62と、その固定鉄心61,62に巻回された固定コイル63,64とを有している。固定鉄心61,62は断面略半円状の板材からなるポールコア65,66を備えており、固定コイル63,64はポールコア65,66以外の固定鉄心61,52の部分に巻回されている。ポールコア65,66は、前記電機子51のティース53aと所定のギャップで対向配置されている。ポールコア65,66は、電磁石57,58の両端から突出した延出部65a,66aを有し、延出部65a,66aの外周面に永久磁石59,60の内周面が接触している。
【0005】
永久磁石59,60は、断面扇状に形成された2つの磁気部59a,59b,60a,60bを備えている。一方の永久磁石59における磁気部59a,59bはそれぞれ磁気方向が相反するように配置され、他方の永久磁石60における磁気部60a,60bはそれぞれ磁気方向が相反するように配置されている。具体的には、磁気部59a,60aは、その内周面側がN極となり、その外周面側がS極となっている。また、磁気部59b,60bは、その内周面側がS極となり、その外周面側がN極となっている。両磁気部59a,59b間、及び両磁気部60a,60b間には、磁気絶縁体としての樹脂片Tが介在され、その樹脂片Tにより磁気離間されている。
【0006】
さらに、永久磁石59,60の外周面には、両磁気部59a,59b,60a,60bを跨る磁気透過板材としてのコアプレート67が接触しており、両磁気部59a,59b,60a,60bの磁気はコアプレート67により導通されるようになっている。また、コアプレート67の外周面側と、固定ヨーク55の内周面側との間には、樹脂製板材からなる絶縁材68が介装されている。この絶縁材68の介在によって、永久磁石59,60と固定ヨーク55との間は磁気離間し、この間の磁気絶縁を確保している。このような磁気絶縁を確保することで、永久磁石59,60の磁束がポールコア65,66を経由するように設定されている。
【0007】
上記のように構成した直流モータ50では、ヨーク55の直径を大きくすることなく、ポールコア65,66と永久磁石59,60との接触面積を増大することが可能となり、モータ出力の高トルク化を実現することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−247824
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、直流モータ50では、永久磁石59,60における2つの磁気部59a,59b,60a,60bの間ではコアプレート67を通して磁束が流れる。そのため、同磁束がヨーク55側へ漏れないように絶縁材68を配設している。しかし、永久磁石59,60の磁力を強めた場合には、永久磁石59,60の磁束が絶縁材68を通過しヨーク55側に漏れてしまい、永久磁石59,60の磁束が効果的に使われなくなってしまう。
【0010】
また、直流モータ50では、永久磁石59,60は2つの磁気部59a,59b,60a,60bと、両磁気部間を磁気離間するための樹脂片Tとにより構成されている。さらに、直流モータ50では、両磁気部の磁気を導通させるためのコアプレート67や永久磁石59,60と固定ヨーク55との間を磁気離間させるための絶縁材68が必要となっている。そのため、直流モータ50の部品点数が多くなり、モータ組み付け性が悪いといった問題も生じていた。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡素な構成で、永久磁石から固定ヨーク側への磁束の漏れを確実に防止することができるハイブリッド磁石型直流機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、整流装置と、回転鉄心と、その回転鉄心に巻かれた複数の回転コイルとを含み、前記各回転コイルに前記整流装置を通じて直流電流が供給される電機子と、ハイブリッド磁石として構成され、周方向に沿って交互に配置された複数の電磁石及び複数の永久磁石を含み、各電磁石は、固定鉄心と、その固定鉄心に巻かれた固定コイルとを含み、各固定鉄心は、前記回転鉄心に対向し且つ断面ほぼ円弧状をなすポールコアを有し、前記固定コイルに直流電流が供給されたとき、前記ポールコアが固定子の周方向において交互に異なる極性に磁化される、固定子と、前記永久磁石と磁気的に離間し且つ前記固定鉄心に接触する磁気透過性の固定ヨークとを備え、前記各永久磁石は極異方性の磁石であり、各永久磁石は第1湾曲面及びその第1湾曲面と反対側の第2湾曲面とを有し、第1湾曲面は着磁面であり、第2湾曲面は非着磁面であり、各永久磁石の第1湾曲面は、周方向両側に位置する極性の異なる2つのポールコアに接触し、その第1湾曲面は、周方向における一方側に設けられたS極部分と、周方向における他方側に設けられたN極部分とを有し、S極部分はS極に磁化されたポールコアに接触し、N極部分はN極に磁化されたポールコアに接触する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各永久磁石で発生する磁束は、前記第2湾曲面から洩れることなく、前記S極部分から永久磁石の内部を湾曲するように通過して前記N極部分に達する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各ポールコアは、その周方向両端に、該ポールコアの周方向両側に位置する2つの永久磁石に接触する延出部を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記永久磁石の軸方向長さは、前記ポールコアの軸方向長さと同じである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各固定鉄心は、ポールコアから固定子の径方向に延びる突部を有し、前記固定コイルはその突部に巻かれている。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記突部は前記固定ヨークに接触する。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記固定ヨークは筒状をなし、前記電機子及び前記固定子を収容する。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記固定子は、前記固定ヨークの内周面に固定されるとともに、前記電機子の周りに設けられる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各固定鉄心は、ポールコアの周方向中央から固定子の径方向外側に延びる突部を有し、前記固定コイルはその突部に巻かれている。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記突部は前記固定ヨークの内周面に接触する。
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各永久磁石の第1湾曲面は、径方向内側に位置する内側湾曲面であり、前記各永久磁石の第2湾曲面は、前記固定ヨークの内周面と対向する外側湾曲面である。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各永久磁石の外側湾曲面と固定ヨークの内周面との間には、磁気絶縁材よりなるスペーサが設けられる。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記電磁石の数は偶数である。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、N極及びS極となる一対の電磁石の間に永久磁石が設けられている。この永久磁石は、隣接するポールコアに接触する第1湾曲面を有する極異方性磁石であり、該湾曲面における周方向の一方側がN極、周方向の他方側がS極となるよう着磁されている。そして、永久磁石の第1湾曲面におけるN極部分がN極に磁化されたポールコアに接触され、第1湾曲面におけるS極部分がS極に磁化されるポールコアに接触される。この場合、磁束は、永久磁石の第1湾曲面におけるS極から同磁石内部を湾曲するように通過して同第1湾曲面のN極に到達する。よって、この極異方性の永久磁石を用いることにより、固定ヨーク側への磁束の漏れを確実に防止することができる。また、極異方性の永久磁石を用いることにより、図6の直流モータ50と比較して部品点数を削減することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、磁束はS極部分から永久磁石の内部を湾曲するように通過してN極部分に達する。即ち、第2湾曲面から発生する磁気が全くないので、更に磁束の漏れを確実に防止することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、永久磁石の中央がポールコアの境界に位置するので、永久磁石を最も有効利用できる配置になる。また、極の異なるポールコアの間に永久磁石が配置されるので、空間的に小型化できる。
【0025】
また、永久磁石とポールコアとの接触面積を増加させ強い磁気効果を得るためには、永久磁石の軸方向の長さを長くするのが望ましいが、ポールコアよりも長くしても磁気効果は変わらない。よって、請求項4に記載の発明のように、永久磁石の軸方向の長さを、ポールコアと同じ長さにすることにより、軽量で強い磁気効果を得ることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、ポールコアは巻線に邪魔されることなく、自由自在な位置に配置できる。
請求項6に記載の発明によれば、突部が固定ヨークに接触するため、巻線の巻装された突部と固定ヨークとの磁気回路が流れやすくなる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、筒状をなす固定ヨークに電機子及び固定子が収容され、電機子と固定子の磁気が外へ放出され難く、しかも外観上、すっきりする。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、インナ側に電機子が配置され、アウタ側に固定子が配置されるため、回転音が外に放出されないので、静粛性を高めることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、ポールコアは巻線に邪魔されることなく自由自在な位置に配置される。
請求項10に記載の発明によれば、突部が固定ヨークの内周面に接触するため、巻線の巻装された突部と固定ヨークとの磁気回路が流れやすくなる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、固定ヨークとポールコアが離れるので、より磁気漏れを少なくすることができる。
請求項12に記載の発明によれば、各永久磁石の外側湾曲面と固定ヨークの内周面との間に配設されるスペーサは磁気絶縁材よりなるため、更に、より磁気漏れが防止できる。
【0031】
請求項13に記載の発明によれば、電磁石の数は偶数であるため、N極とS極とが交互に現れるので、周方向の磁気バランスがよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、ハイブリッド磁石型直流機としての直流モータ1の構成を示す側断面図であり、図2は、同直流モータ1の正断面図である。
【0033】
図1に示すように、直流モータ1のモータハウジング2は、軟鉄を用いて筒状に形成された磁気透過性の固定ヨーク3と、同ヨーク3の両端に固定された2つのエンドフレーム4,5とからなる。エンドフレーム4,5には各々の中心部に軸受6,7が固設されている。ヨーク3とエンドフレーム4,5とで形成される空間にはロータ10が収容されている。ロータ10の回転軸11はエンドフレーム4の貫通孔4aからその先端部を一部突出させた状態で、両軸受6,7により回転可能に支持されている。
【0034】
直流モータ1はブラシ式直流モータであって、ロータ10は、回転軸11上に一体的に固定された電機子(アーマチャ)20と、整流子(コンミテータ)21とを有する。整流子21は、エンドフレーム5側の内部に位置するように配置されている。ヨーク3とエンドフレーム5との間を内部で略区画するように配置された略円環状の台板22には2つのブラシホルダ23が支持されている。各ブラシホルダ23に保持された2本のブラシ24は、整流子21を挟む両側から整流子21の外周面に接触している。このブラシ24には配線およびコネクタ(いずれも図示省略)を介して直流電流が給電されるようになっている。なお、整流子21、ブラシホルダ23およびブラシ24により、整流装置が構成される。
【0035】
図2に示すように、電機子20は、回転軸11に外嵌状態に固定された回転鉄心25と、回転鉄心25に巻回されたコイル(以下、回転コイルと称す)26とを有し、直流モータ1の軸中心に設けられている。回転鉄心25は、その外周面に複数の極歯としてのティース25aを有している。つまり、回転鉄心25には、その中央部から放射状にかつ等角度間隔に複数個(本実施形態では10個)のティース25aが延出形成されている。
【0036】
隣り合うティース25a間で形成される空間はスロット25bを構成することになる。回転コイル26は、ティース25aの軸部に巻回された状態でスロット25b内に収容されている。ティース25aに巻回されたコイル26には、図1で示した整流子21に接触するブラシ24を介して直流電流が通電される。
【0037】
また、ヨーク3の内周面において、全体として略円環状の固定子(ステータ)30が固定されている。固定子30は、電機子20の外周面と所定のギャップで対向する状態に配置されている。尚、ギャップは微少であるため、図2では目視可能な程度には示されていない。本実施形態の固定子30は、2つの電磁石31,32と永久磁石33,34とを有するハイブリッド磁石として構成される。このハイブリッド磁石と電機子20は固定ヨーク3に囲まれている。
【0038】
次に、固定子30の構造について詳述する。固定子30は、2つの電磁石31,32が電機子20を挟んで対向配置された状態で組付けられている。電磁石31,32は固定鉄心35,36と、その鉄心部に巻回されたコイル(以下、固定コイルと称す)37,38とを有している。また、電磁石31,32の固定鉄心35,36は、略半円筒状の板材からなり固定コイル37,38が巻回されない部分であるポールコア39,40を備える。
【0039】
ポールコア39,40は、電機子20のティース25aと所定のギャップで対向配置されている。固定鉄心35,36はポールコア39,40の外周面側中央(背面側中央)から径方向に延びるように設けられた突部(外周側突部)35a,36aを備えている。この固定鉄心35,36の突部35a,36aには、固定ヨーク3が接触している。そして、固定コイル37,38は、内空(コイル軸心方向)が前記電機子20を向く(つまり、固定コイル37,38の軸心方向が電機子20の略径方向となる)ように固定鉄心35,36の突部35a,36aに巻回されている。各固定コイル37,38の軸線は、電機子20の軸線と直交する方向、言い換えれば電機子20の径方向に沿って延びる。即ち、各コイル37,38の内空は電機子20に向いている。2つの固定コイル37,38はモータ軸方向から見たときに略半円弧をなす状態に対向配置されている。
【0040】
固定コイル37,38は、配線およびコネクタ(いずれも図示省略)を介して直流電流が給電される。直流モータ1を駆動させるためにその駆動用のスイッチがオンされると、電機子20の回転コイル26と、電磁石31,32の固定コイル37,38に直流電流が給電される。固定コイル37,38の巻回方向は、モータ外周面側から見たときに互いに逆巻きになるように設定されている。このため、固定コイル37,38が励磁された時は、図2において、上側に位置する電磁石31のポールコア39がN極に磁化し、下側に位置する電磁石32のポールコア40がS極に磁化するようになっている。
【0041】
ポールコア39,40は、円弧状に形成され、前記電磁石31,32の両端から突出した延出部39a,39b,40a,40bを有している。ポールコア39の延出部39a,39bとポールコア40の延出部40a,40bとは所定距離を隔して対向する状態にある。
【0042】
両永久磁石33,34は、電機子20を挟んで互いに対向している。永久磁石33,34は、湾曲板状をなし、前記ポールコア39,40の軸方向の長さと同じ長さ(図1に示す長さL1)となるよう形成されている。また、永久磁石33は、その内周面(内側湾曲面)がポールコア39の延出部39a及びポールコア40の延出部40aの外周面に接触した状態で配置されている。永久磁石34は、内周面(内側湾曲面)がポールコア39の延出部39b及びポールコア40の延出部40bの外周面に接触した状態で配置されている。
【0043】
また、永久磁石33,34の外周面(外側湾曲面)は、ヨーク3側を向き、同外側湾曲面とヨーク3内周面との間には、断面扇状のスペーサ41,42が配設されている。このスペーサ41,42とポールコア39,40とによって永久磁石33,34が挟持されている。なお、スペーサ41,42は、樹脂等の磁気絶縁材を用いて形成されている。
【0044】
本実施形態における永久磁石33,34は、ポールコア39,40が接触する内周面側にN極・S極がある極異方性永久磁石である。具体的に、図3に示すように、永久磁石33(34)では、その第1湾曲面としての内周面133(134)が着磁面(磁束が発生する面)となっており、内周面133(134)と反対側の永久磁石33(34)の外周面(第2湾曲面)は、非磁性面(非着磁面)となっている。各内周面133(134)において、周方向中央(図3における中心線Lo)を挟んで一方側(図3では左側)の第1部分133a(134a)がS極に着磁され、周方向中央を挟んで他方側(図3では右側)の第2部分133b(134b)がN極に着磁されている。つまり、永久磁石33,34における磁束は、第1部分133a(134a)に存在するS極から、同永久磁石33(34)の内部において周方向に湾曲するように通過して、第2部分133b(134b)に存在するN極に達し、そして同永久磁石33(34)から磁石外部に出る。
【0045】
これら永久磁石33,34は、図5の着磁装置44を用いて製造される。着磁装置44は、第1部分133a(134a)に対応する第1着磁ヨーク45と、第2部分133b(134b)に対応する第2着磁ヨーク46とを備えている。着磁ヨーク45,46は、その先端面が永久磁石33,34の内周面133,134と同じ半径(曲率)を有する円弧面として形成されている。また、第1着磁ヨーク45には第1コイル47が巻き付けられ、第2着磁ヨーク46には第2コイル48が巻き付けられている。
【0046】
永久磁石33(34)は、第1部分133a(134a)において第1着磁ヨーク45の先端面に接触させられ、第2部分133b(134b)において第2着磁ヨーク46の先端面に接触させられる。この状態で第1及び第2コイル47,48に電流を流すと、図5の矢印Pの方向に向かう磁束が両着磁ヨーク45,46間に発生する。この磁束は第1着磁ヨーク45から第1部分133a(134a)を通じて永久磁石33(34)に入り、永久磁石33(34)の内部を湾曲するようにして通過した後、第2部分133b(134b)から第2着磁ヨーク46に入る。これにより、S極に磁化された第1部分133a(134a)とN極に磁化された第2部分133b(134b)とを有する永久磁石33(34)が得られる。この永久磁石33(34)における磁束の向きは、図3に示すように、その内周面133(134)の近傍ではモータ1のほぼ径方向となり、永久磁石33(34)の内部ではモータ1のほぼ周方向となる。
【0047】
次に、このハイブリッド磁石型の直流モータ1の作用を図4に従って説明する。図4(a)は直流モータ1に直流電流を供給していない状態を示し、図4(b)は直流モータ1に直流電流を供給している状態を示す。
【0048】
駆動用のスイッチをオフし直流モータ1に電源を供給しない場合、回転コイル26にも固定コイル37,38にも直流電流は流されない。図4(a)に示すように両コイル26,37,38の励磁電流が「0」のときは、永久磁石33,34の磁力線Aは、実線で示すように固定子30及びヨーク3を通る閉回路を作る。よって、漏れ磁束を無視すればコギングトルクが「0」になる。この結果、直流モータ1が駆動開始するときのコギングが発生し難い。
【0049】
また、駆動用スイッチをオンし直流モータ1に電源を供給する場合には、ブラシ24及び整流子21を介して回転コイル26に直流電流が流され、固定コイル37,38にも直流電流が流される。電機子20側の回転コイル26に流れる直流電流の向きは、ロータ10の回転に同期して切り換わる。その結果、図4(b)における電機子20において、左側略半分に位置する各ティース25aがN極に磁化され、右側略半分に位置する各ティース25aがS極に磁化される。また固定子30側の固定コイル37,38に流れる直流電流によって、図4(b)における固定子30では、上側の第1電磁石31がN極の磁場を発生し、下側の第2電磁石32がS極の磁場を発生する。即ち、上側のポールコア39がN極に磁化し、下側のポールコア40がS極に磁化する。
【0050】
そして、ロータ10の左側略半分のN極に磁化した各ティース25aは、固定子30の上側略半分に位置するN極のポールコア39から反発力を受けるとともに、固定子30の下側略半分に位置するS極のポールコア40から吸引力を受ける。同様に、ロータ10の右側略半分のS極に磁化した各ティース25aは、固定子30の下側略半分に位置するS極のポールコア40から反発力を受けるとともに、固定子30の上側略半分に位置するN極のポールコア39から吸引力を受ける。このため、ロータ10には図4における反時計回り方向の回転駆動力が作用して、ロータ10が回転する。
【0051】
この際、図4(b)に示すように、固定コイル37,38が作る磁力線Bは、実線に示すような閉回路となる。このとき永久磁石33,34の磁力線Aは、固定コイル37,38の作る磁力線Bの影響によってポールコア39,40からティース25aを経由してロータ10側へ引き込まれる。その結果、磁力線Aの方向が対応する磁力線Bと同じ方向となる。よって、固定子30と電機子20との間を通る磁力線を増幅することとなり、直流モータ1は大きな駆動トルクで回転する。
【0052】
以上詳述したように本実施の形態は、以下の特徴を有する。
(1)永久磁石33,34は、該永久磁石33,34の両側に位置する2つの電磁石31,32と接触する。その結果、直流モータ1の回転時には、各永久磁石33,34によって生じる磁束の方向が、電磁石31,32によって生じ対応する磁束と同じ方向になる。そのため、固定子30と電機子20との間と通る磁束が大きくなり、直流モータ1は大きなトルクを発揮する。
【0053】
また、本実施形態の永久磁石33,34は、内周面(内側の湾曲面)133,134において、S極に着磁された第1部分133a,134aと、N極に着磁された第2部分133b、134bとを有する極異方性磁石であり、各永久磁石33,34の外周面は着磁されていない。各永久磁石33,34で発生する磁束は、第1部分133a,134aに存在するS極から、永久磁石33,34の内部を湾曲するように通過して、第2部分133b、134bに存在するN極に達する。従って、各永久磁石33,34の外周面から固定ヨーク3への磁束の漏れを防止することができる。
【0054】
また、極異方性の永久磁石33,34を用いることにより、図6の直流モータ50のように2つの磁気部と磁気透過部材とにより磁気通路を構成する場合と比較して部品点数を削減することができる。よって、直流モータ1の構成を簡素化することができ、モータ組み付け性を向上することができ、コストが削減される。
【0055】
(2)永久磁石33,34は、ポールコア39,40の軸方向の長さと同じ長さとなるよう形成されている。大きな磁気効果を得るためには、永久磁石33,34とポールコア39,40との接触面積が大きい方が望ましい。ここで、永久磁石33,34とポールコア39,40との接触面積を増加させ強い磁気効果を得るためには、永久磁石33,34の軸方向の長さを長くするのが望ましいが、ポールコア39,40よりも長くしても磁気効果は変わらない。従って、永久磁石33,34の軸方向の長さを、ポールコア39,40と同じ長さにすることにより、軽量及び小型化を図り、強い磁気効果を得ることができる。
【0056】
(3)本実施形態では、固定コイル37,38の内空(コイル軸心方向)は電機子20を向いているので、電磁石31,32の磁気の方向を電機子20側に向くように固定鉄心35,36を屈曲させるなどの形状をとる必要があまりない。このため、電磁石31,32で生じる磁束が電機子20に好適に導かれ、モータトルクの発生のために磁束が無駄なく用いられる。
【0057】
(4)固定ヨーク3への磁束の漏れを防止できることから、その漏れを防止した分だけ磁力の弱い永久磁石を用いることができ、また、部品点数が削減され組み付け性を向上できる。これにより、直流モータ1のコスト低減を図ることができる。
【0058】
なお、上記以外に次の形態にて具体化できる。
・上記実施形態では、永久磁石33,34とヨーク3との間にスペーサ41,42を介在させていたが、永久磁石33,34とヨーク3との間に空隙を設け、その空隙で十分に磁気絶縁が可能である場合には、それらスペーサ41,42を省略してもよい。
【0059】
・ハイブリッド磁石型直流機は、インナーロータ式に限定されるものではなく、アウターロータ式で構成することもできる。
・上記実施形態では、ティースの形状や数は、適宜変更できる。
【0060】
・上記実施形態では、固定子側の電磁石は2個に限定されない。つまり固定子側(ポールコア)の磁極は、周方向にN極とS極を交互に配置できるのであれば足り、この限りにおいて電磁石は偶数個であればよい。例えば固定子側に4個の電磁石を周方向に配列する構造を採ることもできる。もちろん電磁石を6個以上の複数個とすることもできる。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、簡素な構成で永久磁石から固定ヨーク側への磁束の漏れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の直流モータの側断面図。
【図2】同直流モータの正断面図。
【図3】永久磁石における磁束を説明するための説明図。
【図4】(a)(b)は、直流モータの作用を説明する断面図。
【図5】永久磁石の着磁方法を説明するための説明図。
【図6】従来のハイブリッド磁石型の直流モータを示す断面図。
【符号の説明】
1…ハイブリッド磁石型直流機としての直流モータ、3…固定ヨーク、20…電機子、25…回転鉄心、25a…極歯としてのティース、26…回転コイル、30…固定子(ステータ)、31,32…固定子を構成する電磁石、33,34…永久磁石、35,36…固定鉄心、35a,36a…突部、37,38…固定コイル、39,40…ポールコア、39a,39b,40a,40b…ポールコアの延出部、41,42…スペーサ、133,134…内周面。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイルと永久磁石とを有する固定子を備えたハイブリッド磁石型直流機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、低消費電力で高トルク小型モータは、自動車、OA機器、自販機、医療・福祉機器分野などで幅広く利用されている。通常、この種の分野に用いられているモータは、永久磁石を用いたモータがほとんどで、技術的にかなり成熟している。このため、飛躍的な高効率化、小型高トルク化は難しい。この小型高トルク化のためにハイブリッド磁石を利用したモータがあり、高効率化、小型高トルク化を追求したハイブリッド磁石型の直流モータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。図6には、その直流モータ50の構成を示している。
【0003】
詳述すると、直流モータ50の電機子51は、モータ回転軸52に外嵌状態に固定された回転鉄心53と、回転鉄心53に巻回された回転コイル54とを有する。回転鉄心53には、その中央部から放射状に複数個のティース53aが延出形成されている。ヨーク55の内周面側には、略円環状の固定子56が固定されている。固定子56は、電磁石57,58と永久磁石59,60とを有するハイブリッド磁石として構成され、前記電機子51の外周面と所定のギャップで対向する状態に配置されている。このギャップは微少であるため、図6ではギャップが目視可能な程度には示されていない。
【0004】
前記電磁石57,58は、固定鉄心61,62と、その固定鉄心61,62に巻回された固定コイル63,64とを有している。固定鉄心61,62は断面略半円状の板材からなるポールコア65,66を備えており、固定コイル63,64はポールコア65,66以外の固定鉄心61,52の部分に巻回されている。ポールコア65,66は、前記電機子51のティース53aと所定のギャップで対向配置されている。ポールコア65,66は、電磁石57,58の両端から突出した延出部65a,66aを有し、延出部65a,66aの外周面に永久磁石59,60の内周面が接触している。
【0005】
永久磁石59,60は、断面扇状に形成された2つの磁気部59a,59b,60a,60bを備えている。一方の永久磁石59における磁気部59a,59bはそれぞれ磁気方向が相反するように配置され、他方の永久磁石60における磁気部60a,60bはそれぞれ磁気方向が相反するように配置されている。具体的には、磁気部59a,60aは、その内周面側がN極となり、その外周面側がS極となっている。また、磁気部59b,60bは、その内周面側がS極となり、その外周面側がN極となっている。両磁気部59a,59b間、及び両磁気部60a,60b間には、磁気絶縁体としての樹脂片Tが介在され、その樹脂片Tにより磁気離間されている。
【0006】
さらに、永久磁石59,60の外周面には、両磁気部59a,59b,60a,60bを跨る磁気透過板材としてのコアプレート67が接触しており、両磁気部59a,59b,60a,60bの磁気はコアプレート67により導通されるようになっている。また、コアプレート67の外周面側と、固定ヨーク55の内周面側との間には、樹脂製板材からなる絶縁材68が介装されている。この絶縁材68の介在によって、永久磁石59,60と固定ヨーク55との間は磁気離間し、この間の磁気絶縁を確保している。このような磁気絶縁を確保することで、永久磁石59,60の磁束がポールコア65,66を経由するように設定されている。
【0007】
上記のように構成した直流モータ50では、ヨーク55の直径を大きくすることなく、ポールコア65,66と永久磁石59,60との接触面積を増大することが可能となり、モータ出力の高トルク化を実現することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−247824
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、直流モータ50では、永久磁石59,60における2つの磁気部59a,59b,60a,60bの間ではコアプレート67を通して磁束が流れる。そのため、同磁束がヨーク55側へ漏れないように絶縁材68を配設している。しかし、永久磁石59,60の磁力を強めた場合には、永久磁石59,60の磁束が絶縁材68を通過しヨーク55側に漏れてしまい、永久磁石59,60の磁束が効果的に使われなくなってしまう。
【0010】
また、直流モータ50では、永久磁石59,60は2つの磁気部59a,59b,60a,60bと、両磁気部間を磁気離間するための樹脂片Tとにより構成されている。さらに、直流モータ50では、両磁気部の磁気を導通させるためのコアプレート67や永久磁石59,60と固定ヨーク55との間を磁気離間させるための絶縁材68が必要となっている。そのため、直流モータ50の部品点数が多くなり、モータ組み付け性が悪いといった問題も生じていた。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡素な構成で、永久磁石から固定ヨーク側への磁束の漏れを確実に防止することができるハイブリッド磁石型直流機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、整流装置と、回転鉄心と、その回転鉄心に巻かれた複数の回転コイルとを含み、前記各回転コイルに前記整流装置を通じて直流電流が供給される電機子と、ハイブリッド磁石として構成され、周方向に沿って交互に配置された複数の電磁石及び複数の永久磁石を含み、各電磁石は、固定鉄心と、その固定鉄心に巻かれた固定コイルとを含み、各固定鉄心は、前記回転鉄心に対向し且つ断面ほぼ円弧状をなすポールコアを有し、前記固定コイルに直流電流が供給されたとき、前記ポールコアが固定子の周方向において交互に異なる極性に磁化される、固定子と、前記永久磁石と磁気的に離間し且つ前記固定鉄心に接触する磁気透過性の固定ヨークとを備え、前記各永久磁石は極異方性の磁石であり、各永久磁石は第1湾曲面及びその第1湾曲面と反対側の第2湾曲面とを有し、第1湾曲面は着磁面であり、第2湾曲面は非着磁面であり、各永久磁石の第1湾曲面は、周方向両側に位置する極性の異なる2つのポールコアに接触し、その第1湾曲面は、周方向における一方側に設けられたS極部分と、周方向における他方側に設けられたN極部分とを有し、S極部分はS極に磁化されたポールコアに接触し、N極部分はN極に磁化されたポールコアに接触する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各永久磁石で発生する磁束は、前記第2湾曲面から洩れることなく、前記S極部分から永久磁石の内部を湾曲するように通過して前記N極部分に達する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各ポールコアは、その周方向両端に、該ポールコアの周方向両側に位置する2つの永久磁石に接触する延出部を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記永久磁石の軸方向長さは、前記ポールコアの軸方向長さと同じである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各固定鉄心は、ポールコアから固定子の径方向に延びる突部を有し、前記固定コイルはその突部に巻かれている。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記突部は前記固定ヨークに接触する。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記固定ヨークは筒状をなし、前記電機子及び前記固定子を収容する。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記固定子は、前記固定ヨークの内周面に固定されるとともに、前記電機子の周りに設けられる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各固定鉄心は、ポールコアの周方向中央から固定子の径方向外側に延びる突部を有し、前記固定コイルはその突部に巻かれている。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記突部は前記固定ヨークの内周面に接触する。
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各永久磁石の第1湾曲面は、径方向内側に位置する内側湾曲面であり、前記各永久磁石の第2湾曲面は、前記固定ヨークの内周面と対向する外側湾曲面である。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記各永久磁石の外側湾曲面と固定ヨークの内周面との間には、磁気絶縁材よりなるスペーサが設けられる。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機において、前記電磁石の数は偶数である。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、N極及びS極となる一対の電磁石の間に永久磁石が設けられている。この永久磁石は、隣接するポールコアに接触する第1湾曲面を有する極異方性磁石であり、該湾曲面における周方向の一方側がN極、周方向の他方側がS極となるよう着磁されている。そして、永久磁石の第1湾曲面におけるN極部分がN極に磁化されたポールコアに接触され、第1湾曲面におけるS極部分がS極に磁化されるポールコアに接触される。この場合、磁束は、永久磁石の第1湾曲面におけるS極から同磁石内部を湾曲するように通過して同第1湾曲面のN極に到達する。よって、この極異方性の永久磁石を用いることにより、固定ヨーク側への磁束の漏れを確実に防止することができる。また、極異方性の永久磁石を用いることにより、図6の直流モータ50と比較して部品点数を削減することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、磁束はS極部分から永久磁石の内部を湾曲するように通過してN極部分に達する。即ち、第2湾曲面から発生する磁気が全くないので、更に磁束の漏れを確実に防止することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、永久磁石の中央がポールコアの境界に位置するので、永久磁石を最も有効利用できる配置になる。また、極の異なるポールコアの間に永久磁石が配置されるので、空間的に小型化できる。
【0025】
また、永久磁石とポールコアとの接触面積を増加させ強い磁気効果を得るためには、永久磁石の軸方向の長さを長くするのが望ましいが、ポールコアよりも長くしても磁気効果は変わらない。よって、請求項4に記載の発明のように、永久磁石の軸方向の長さを、ポールコアと同じ長さにすることにより、軽量で強い磁気効果を得ることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、ポールコアは巻線に邪魔されることなく、自由自在な位置に配置できる。
請求項6に記載の発明によれば、突部が固定ヨークに接触するため、巻線の巻装された突部と固定ヨークとの磁気回路が流れやすくなる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、筒状をなす固定ヨークに電機子及び固定子が収容され、電機子と固定子の磁気が外へ放出され難く、しかも外観上、すっきりする。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、インナ側に電機子が配置され、アウタ側に固定子が配置されるため、回転音が外に放出されないので、静粛性を高めることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、ポールコアは巻線に邪魔されることなく自由自在な位置に配置される。
請求項10に記載の発明によれば、突部が固定ヨークの内周面に接触するため、巻線の巻装された突部と固定ヨークとの磁気回路が流れやすくなる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、固定ヨークとポールコアが離れるので、より磁気漏れを少なくすることができる。
請求項12に記載の発明によれば、各永久磁石の外側湾曲面と固定ヨークの内周面との間に配設されるスペーサは磁気絶縁材よりなるため、更に、より磁気漏れが防止できる。
【0031】
請求項13に記載の発明によれば、電磁石の数は偶数であるため、N極とS極とが交互に現れるので、周方向の磁気バランスがよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、ハイブリッド磁石型直流機としての直流モータ1の構成を示す側断面図であり、図2は、同直流モータ1の正断面図である。
【0033】
図1に示すように、直流モータ1のモータハウジング2は、軟鉄を用いて筒状に形成された磁気透過性の固定ヨーク3と、同ヨーク3の両端に固定された2つのエンドフレーム4,5とからなる。エンドフレーム4,5には各々の中心部に軸受6,7が固設されている。ヨーク3とエンドフレーム4,5とで形成される空間にはロータ10が収容されている。ロータ10の回転軸11はエンドフレーム4の貫通孔4aからその先端部を一部突出させた状態で、両軸受6,7により回転可能に支持されている。
【0034】
直流モータ1はブラシ式直流モータであって、ロータ10は、回転軸11上に一体的に固定された電機子(アーマチャ)20と、整流子(コンミテータ)21とを有する。整流子21は、エンドフレーム5側の内部に位置するように配置されている。ヨーク3とエンドフレーム5との間を内部で略区画するように配置された略円環状の台板22には2つのブラシホルダ23が支持されている。各ブラシホルダ23に保持された2本のブラシ24は、整流子21を挟む両側から整流子21の外周面に接触している。このブラシ24には配線およびコネクタ(いずれも図示省略)を介して直流電流が給電されるようになっている。なお、整流子21、ブラシホルダ23およびブラシ24により、整流装置が構成される。
【0035】
図2に示すように、電機子20は、回転軸11に外嵌状態に固定された回転鉄心25と、回転鉄心25に巻回されたコイル(以下、回転コイルと称す)26とを有し、直流モータ1の軸中心に設けられている。回転鉄心25は、その外周面に複数の極歯としてのティース25aを有している。つまり、回転鉄心25には、その中央部から放射状にかつ等角度間隔に複数個(本実施形態では10個)のティース25aが延出形成されている。
【0036】
隣り合うティース25a間で形成される空間はスロット25bを構成することになる。回転コイル26は、ティース25aの軸部に巻回された状態でスロット25b内に収容されている。ティース25aに巻回されたコイル26には、図1で示した整流子21に接触するブラシ24を介して直流電流が通電される。
【0037】
また、ヨーク3の内周面において、全体として略円環状の固定子(ステータ)30が固定されている。固定子30は、電機子20の外周面と所定のギャップで対向する状態に配置されている。尚、ギャップは微少であるため、図2では目視可能な程度には示されていない。本実施形態の固定子30は、2つの電磁石31,32と永久磁石33,34とを有するハイブリッド磁石として構成される。このハイブリッド磁石と電機子20は固定ヨーク3に囲まれている。
【0038】
次に、固定子30の構造について詳述する。固定子30は、2つの電磁石31,32が電機子20を挟んで対向配置された状態で組付けられている。電磁石31,32は固定鉄心35,36と、その鉄心部に巻回されたコイル(以下、固定コイルと称す)37,38とを有している。また、電磁石31,32の固定鉄心35,36は、略半円筒状の板材からなり固定コイル37,38が巻回されない部分であるポールコア39,40を備える。
【0039】
ポールコア39,40は、電機子20のティース25aと所定のギャップで対向配置されている。固定鉄心35,36はポールコア39,40の外周面側中央(背面側中央)から径方向に延びるように設けられた突部(外周側突部)35a,36aを備えている。この固定鉄心35,36の突部35a,36aには、固定ヨーク3が接触している。そして、固定コイル37,38は、内空(コイル軸心方向)が前記電機子20を向く(つまり、固定コイル37,38の軸心方向が電機子20の略径方向となる)ように固定鉄心35,36の突部35a,36aに巻回されている。各固定コイル37,38の軸線は、電機子20の軸線と直交する方向、言い換えれば電機子20の径方向に沿って延びる。即ち、各コイル37,38の内空は電機子20に向いている。2つの固定コイル37,38はモータ軸方向から見たときに略半円弧をなす状態に対向配置されている。
【0040】
固定コイル37,38は、配線およびコネクタ(いずれも図示省略)を介して直流電流が給電される。直流モータ1を駆動させるためにその駆動用のスイッチがオンされると、電機子20の回転コイル26と、電磁石31,32の固定コイル37,38に直流電流が給電される。固定コイル37,38の巻回方向は、モータ外周面側から見たときに互いに逆巻きになるように設定されている。このため、固定コイル37,38が励磁された時は、図2において、上側に位置する電磁石31のポールコア39がN極に磁化し、下側に位置する電磁石32のポールコア40がS極に磁化するようになっている。
【0041】
ポールコア39,40は、円弧状に形成され、前記電磁石31,32の両端から突出した延出部39a,39b,40a,40bを有している。ポールコア39の延出部39a,39bとポールコア40の延出部40a,40bとは所定距離を隔して対向する状態にある。
【0042】
両永久磁石33,34は、電機子20を挟んで互いに対向している。永久磁石33,34は、湾曲板状をなし、前記ポールコア39,40の軸方向の長さと同じ長さ(図1に示す長さL1)となるよう形成されている。また、永久磁石33は、その内周面(内側湾曲面)がポールコア39の延出部39a及びポールコア40の延出部40aの外周面に接触した状態で配置されている。永久磁石34は、内周面(内側湾曲面)がポールコア39の延出部39b及びポールコア40の延出部40bの外周面に接触した状態で配置されている。
【0043】
また、永久磁石33,34の外周面(外側湾曲面)は、ヨーク3側を向き、同外側湾曲面とヨーク3内周面との間には、断面扇状のスペーサ41,42が配設されている。このスペーサ41,42とポールコア39,40とによって永久磁石33,34が挟持されている。なお、スペーサ41,42は、樹脂等の磁気絶縁材を用いて形成されている。
【0044】
本実施形態における永久磁石33,34は、ポールコア39,40が接触する内周面側にN極・S極がある極異方性永久磁石である。具体的に、図3に示すように、永久磁石33(34)では、その第1湾曲面としての内周面133(134)が着磁面(磁束が発生する面)となっており、内周面133(134)と反対側の永久磁石33(34)の外周面(第2湾曲面)は、非磁性面(非着磁面)となっている。各内周面133(134)において、周方向中央(図3における中心線Lo)を挟んで一方側(図3では左側)の第1部分133a(134a)がS極に着磁され、周方向中央を挟んで他方側(図3では右側)の第2部分133b(134b)がN極に着磁されている。つまり、永久磁石33,34における磁束は、第1部分133a(134a)に存在するS極から、同永久磁石33(34)の内部において周方向に湾曲するように通過して、第2部分133b(134b)に存在するN極に達し、そして同永久磁石33(34)から磁石外部に出る。
【0045】
これら永久磁石33,34は、図5の着磁装置44を用いて製造される。着磁装置44は、第1部分133a(134a)に対応する第1着磁ヨーク45と、第2部分133b(134b)に対応する第2着磁ヨーク46とを備えている。着磁ヨーク45,46は、その先端面が永久磁石33,34の内周面133,134と同じ半径(曲率)を有する円弧面として形成されている。また、第1着磁ヨーク45には第1コイル47が巻き付けられ、第2着磁ヨーク46には第2コイル48が巻き付けられている。
【0046】
永久磁石33(34)は、第1部分133a(134a)において第1着磁ヨーク45の先端面に接触させられ、第2部分133b(134b)において第2着磁ヨーク46の先端面に接触させられる。この状態で第1及び第2コイル47,48に電流を流すと、図5の矢印Pの方向に向かう磁束が両着磁ヨーク45,46間に発生する。この磁束は第1着磁ヨーク45から第1部分133a(134a)を通じて永久磁石33(34)に入り、永久磁石33(34)の内部を湾曲するようにして通過した後、第2部分133b(134b)から第2着磁ヨーク46に入る。これにより、S極に磁化された第1部分133a(134a)とN極に磁化された第2部分133b(134b)とを有する永久磁石33(34)が得られる。この永久磁石33(34)における磁束の向きは、図3に示すように、その内周面133(134)の近傍ではモータ1のほぼ径方向となり、永久磁石33(34)の内部ではモータ1のほぼ周方向となる。
【0047】
次に、このハイブリッド磁石型の直流モータ1の作用を図4に従って説明する。図4(a)は直流モータ1に直流電流を供給していない状態を示し、図4(b)は直流モータ1に直流電流を供給している状態を示す。
【0048】
駆動用のスイッチをオフし直流モータ1に電源を供給しない場合、回転コイル26にも固定コイル37,38にも直流電流は流されない。図4(a)に示すように両コイル26,37,38の励磁電流が「0」のときは、永久磁石33,34の磁力線Aは、実線で示すように固定子30及びヨーク3を通る閉回路を作る。よって、漏れ磁束を無視すればコギングトルクが「0」になる。この結果、直流モータ1が駆動開始するときのコギングが発生し難い。
【0049】
また、駆動用スイッチをオンし直流モータ1に電源を供給する場合には、ブラシ24及び整流子21を介して回転コイル26に直流電流が流され、固定コイル37,38にも直流電流が流される。電機子20側の回転コイル26に流れる直流電流の向きは、ロータ10の回転に同期して切り換わる。その結果、図4(b)における電機子20において、左側略半分に位置する各ティース25aがN極に磁化され、右側略半分に位置する各ティース25aがS極に磁化される。また固定子30側の固定コイル37,38に流れる直流電流によって、図4(b)における固定子30では、上側の第1電磁石31がN極の磁場を発生し、下側の第2電磁石32がS極の磁場を発生する。即ち、上側のポールコア39がN極に磁化し、下側のポールコア40がS極に磁化する。
【0050】
そして、ロータ10の左側略半分のN極に磁化した各ティース25aは、固定子30の上側略半分に位置するN極のポールコア39から反発力を受けるとともに、固定子30の下側略半分に位置するS極のポールコア40から吸引力を受ける。同様に、ロータ10の右側略半分のS極に磁化した各ティース25aは、固定子30の下側略半分に位置するS極のポールコア40から反発力を受けるとともに、固定子30の上側略半分に位置するN極のポールコア39から吸引力を受ける。このため、ロータ10には図4における反時計回り方向の回転駆動力が作用して、ロータ10が回転する。
【0051】
この際、図4(b)に示すように、固定コイル37,38が作る磁力線Bは、実線に示すような閉回路となる。このとき永久磁石33,34の磁力線Aは、固定コイル37,38の作る磁力線Bの影響によってポールコア39,40からティース25aを経由してロータ10側へ引き込まれる。その結果、磁力線Aの方向が対応する磁力線Bと同じ方向となる。よって、固定子30と電機子20との間を通る磁力線を増幅することとなり、直流モータ1は大きな駆動トルクで回転する。
【0052】
以上詳述したように本実施の形態は、以下の特徴を有する。
(1)永久磁石33,34は、該永久磁石33,34の両側に位置する2つの電磁石31,32と接触する。その結果、直流モータ1の回転時には、各永久磁石33,34によって生じる磁束の方向が、電磁石31,32によって生じ対応する磁束と同じ方向になる。そのため、固定子30と電機子20との間と通る磁束が大きくなり、直流モータ1は大きなトルクを発揮する。
【0053】
また、本実施形態の永久磁石33,34は、内周面(内側の湾曲面)133,134において、S極に着磁された第1部分133a,134aと、N極に着磁された第2部分133b、134bとを有する極異方性磁石であり、各永久磁石33,34の外周面は着磁されていない。各永久磁石33,34で発生する磁束は、第1部分133a,134aに存在するS極から、永久磁石33,34の内部を湾曲するように通過して、第2部分133b、134bに存在するN極に達する。従って、各永久磁石33,34の外周面から固定ヨーク3への磁束の漏れを防止することができる。
【0054】
また、極異方性の永久磁石33,34を用いることにより、図6の直流モータ50のように2つの磁気部と磁気透過部材とにより磁気通路を構成する場合と比較して部品点数を削減することができる。よって、直流モータ1の構成を簡素化することができ、モータ組み付け性を向上することができ、コストが削減される。
【0055】
(2)永久磁石33,34は、ポールコア39,40の軸方向の長さと同じ長さとなるよう形成されている。大きな磁気効果を得るためには、永久磁石33,34とポールコア39,40との接触面積が大きい方が望ましい。ここで、永久磁石33,34とポールコア39,40との接触面積を増加させ強い磁気効果を得るためには、永久磁石33,34の軸方向の長さを長くするのが望ましいが、ポールコア39,40よりも長くしても磁気効果は変わらない。従って、永久磁石33,34の軸方向の長さを、ポールコア39,40と同じ長さにすることにより、軽量及び小型化を図り、強い磁気効果を得ることができる。
【0056】
(3)本実施形態では、固定コイル37,38の内空(コイル軸心方向)は電機子20を向いているので、電磁石31,32の磁気の方向を電機子20側に向くように固定鉄心35,36を屈曲させるなどの形状をとる必要があまりない。このため、電磁石31,32で生じる磁束が電機子20に好適に導かれ、モータトルクの発生のために磁束が無駄なく用いられる。
【0057】
(4)固定ヨーク3への磁束の漏れを防止できることから、その漏れを防止した分だけ磁力の弱い永久磁石を用いることができ、また、部品点数が削減され組み付け性を向上できる。これにより、直流モータ1のコスト低減を図ることができる。
【0058】
なお、上記以外に次の形態にて具体化できる。
・上記実施形態では、永久磁石33,34とヨーク3との間にスペーサ41,42を介在させていたが、永久磁石33,34とヨーク3との間に空隙を設け、その空隙で十分に磁気絶縁が可能である場合には、それらスペーサ41,42を省略してもよい。
【0059】
・ハイブリッド磁石型直流機は、インナーロータ式に限定されるものではなく、アウターロータ式で構成することもできる。
・上記実施形態では、ティースの形状や数は、適宜変更できる。
【0060】
・上記実施形態では、固定子側の電磁石は2個に限定されない。つまり固定子側(ポールコア)の磁極は、周方向にN極とS極を交互に配置できるのであれば足り、この限りにおいて電磁石は偶数個であればよい。例えば固定子側に4個の電磁石を周方向に配列する構造を採ることもできる。もちろん電磁石を6個以上の複数個とすることもできる。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、簡素な構成で永久磁石から固定ヨーク側への磁束の漏れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の直流モータの側断面図。
【図2】同直流モータの正断面図。
【図3】永久磁石における磁束を説明するための説明図。
【図4】(a)(b)は、直流モータの作用を説明する断面図。
【図5】永久磁石の着磁方法を説明するための説明図。
【図6】従来のハイブリッド磁石型の直流モータを示す断面図。
【符号の説明】
1…ハイブリッド磁石型直流機としての直流モータ、3…固定ヨーク、20…電機子、25…回転鉄心、25a…極歯としてのティース、26…回転コイル、30…固定子(ステータ)、31,32…固定子を構成する電磁石、33,34…永久磁石、35,36…固定鉄心、35a,36a…突部、37,38…固定コイル、39,40…ポールコア、39a,39b,40a,40b…ポールコアの延出部、41,42…スペーサ、133,134…内周面。
Claims (13)
- 整流装置と、
回転鉄心と、その回転鉄心に巻かれた複数の回転コイルとを含み、前記各回転コイルに前記整流装置を通じて直流電流が供給される電機子と、
ハイブリッド磁石として構成され、周方向に沿って交互に配置された複数の電磁石及び複数の永久磁石を含み、各電磁石は、固定鉄心と、その固定鉄心に巻かれた固定コイルとを含み、各固定鉄心は、前記回転鉄心に対向し且つ断面ほぼ円弧状をなすポールコアを有し、前記固定コイルに直流電流が供給されたとき、前記ポールコアが固定子の周方向において交互に異なる極性に磁化される、固定子と、
前記永久磁石と磁気的に離間し且つ前記固定鉄心に接触する磁気透過性の固定ヨークとを備え、
前記各永久磁石は極異方性の磁石であり、各永久磁石は第1湾曲面及びその第1湾曲面と反対側の第2湾曲面とを有し、第1湾曲面は着磁面であり、第2湾曲面は非着磁面であり、各永久磁石の第1湾曲面は、周方向両側に位置する極性の異なる2つのポールコアに接触し、その第1湾曲面は、周方向における一方側に設けられたS極部分と、周方向における他方側に設けられたN極部分とを有し、S極部分はS極に磁化されたポールコアに接触し、N極部分はN極に磁化されたポールコアに接触することを特徴とするハイブリッド磁石型直流機。 - 前記各永久磁石で発生する磁束は、前記第2湾曲面から洩れることなく、前記S極部分から永久磁石の内部を湾曲するように通過して前記N極部分に達することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記各ポールコアは、その周方向両端に、該ポールコアの周方向両側に位置する2つの永久磁石に接触する延出部を有することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記永久磁石の軸方向長さは、前記ポールコアの軸方向長さと同じであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記各固定鉄心は、ポールコアから固定子の径方向に延びる突部を有し、前記固定コイルはその突部に巻かれていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記突部は前記固定ヨークに接触することを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記固定ヨークは筒状をなし、前記電機子及び前記固定子を収容することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記固定子は、前記固定ヨークの内周面に固定されるとともに、前記電機子の周りに設けられることを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記各固定鉄心は、ポールコアの周方向中央から固定子の径方向外側に延びる突部を有し、前記固定コイルはその突部に巻かれていることを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記突部は前記固定ヨークの内周面に接触することを特徴とする請求項9に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記各永久磁石の第1湾曲面は、径方向内側に位置する内側湾曲面であり、前記各永久磁石の第2湾曲面は、前記固定ヨークの内周面と対向する外側湾曲面であることを特徴とする請求項8〜10の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記各永久磁石の外側湾曲面と固定ヨークの内周面との間には、磁気絶縁材よりなるスペーサが設けられることを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド磁石型直流機。
- 前記電磁石の数は偶数であることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載のハイブリッド磁石型直流機。
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JP2003101732A JP2004007968A (ja) | 2002-04-04 | 2003-04-04 | ハイブリッド磁石型直流機 |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010098930A (ja) * | 2008-09-22 | 2010-04-30 | Asmo Co Ltd | ブラシ給電式ハイブリッド励磁モータ及びブラシ給電式ハイブリッド励磁モータの駆動方法 |
KR101748829B1 (ko) * | 2015-12-07 | 2017-07-03 | (주)대영전장시스템 | 융합형 직류 전동기 |
KR101880216B1 (ko) * | 2016-08-18 | 2018-07-19 | (주)와이드큐브 | 폐쇄망 연계 시스템 및 방법 |
-
2003
- 2003-04-04 JP JP2003101732A patent/JP2004007968A/ja active Pending
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