JPH1095910A - 半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物とその成形方法 - Google Patents

半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物とその成形方法

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JPH1095910A
JPH1095910A JP8254036A JP25403696A JPH1095910A JP H1095910 A JPH1095910 A JP H1095910A JP 8254036 A JP8254036 A JP 8254036A JP 25403696 A JP25403696 A JP 25403696A JP H1095910 A JPH1095910 A JP H1095910A
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unsaturated polyester
polyester resin
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molding
resin
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JP8254036A
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Yasuo Oikawa
安夫 及川
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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    • H01L23/28Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection
    • H01L23/29Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection characterised by the material, e.g. carbon
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    • H01L23/295Organic, e.g. plastic containing a filler

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  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Encapsulation Of And Coatings For Semiconductor Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】成形性、速硬化性で、高温電気性能、耐水性、
耐湿性の良い半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成
物およびその半導体装置などへの成形方法を提供する。 【解決手段】半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成
物は低収縮剤、難燃化剤、触媒、無機充填剤、補強材、
離型剤および表面処理材全てを含有し、ガラス転移温度
が150 ℃以上のビスフエノール系不飽和ポリエステル樹
脂が結合媒体とする。半導体装置構造部材を上記の組成
物を用いて半導体装置に封止、成形する成形方法におい
て、前記半導体装置構造部材の樹脂との界面にあたる部
位に、予め付加反応形のシリコーンゴム系のコート材を
塗布し、硬化処理した後に、成形封止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体封止用樹脂組
成物とその成形方法に関するもので、詳しくは優れた成
形性、速硬化性をもち、かつ多量生産性に適し、性能面
では優れた電気性能、耐蒸気性、耐湿性レベルを有する
半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物とその成形
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂封止法による半導体のパッケージン
グは、多量生産方式に最も適していること、比較的低コ
スト封止方法であることなどから今日広く採用されてい
る。半導体装置は、典型的には例えば金属からなるリー
ドフレームの所定の位置に半導体ペレット(チップ) を
配置し、このペレットの電極をリードフレームに金属細
線を用いて接続し、必要によっては放熱板などをペレッ
トの背面に配置して構成し、この構成物をモールド用金
型に予め装着し、例えば、無機充填剤を含むエポキシ樹
脂成形材料からなる封止成形材料を高温、適圧の成形条
件下で金型内に注入し、硬化させて製造される。
【0003】この封止樹脂材料としては、一般に、要求
仕様や使用用途に応じて、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂
などの有機系や無機系の高分子を使用することが可能で
あり、これらの樹脂をマトリックスとした種々の充填剤
などを含む樹脂組成物が使用できる。上記の有機系高分
子(樹脂)としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などの
熱硬化性樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジ
エン・スチレン重合体)、PPS樹脂(ポリフェニレン
サルファイド)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、
シリコーン樹脂に代表される無機系高分子などが挙げら
れる。なかでも無機系充填剤を含んだエポキシ樹脂組成
物が一般に広く使用されている。
【0004】この樹脂組成物には電気特性、耐水性、耐
水蒸気性などの特性が優れ、また上記構成物との密着
性、かつ低圧成形性にも優れたものがあり、一般にトラ
ンスファ成形法が採用され広く用いられている。しかし
問題がないわけではなく、製造上、性能上には以下に示
す問題がある。 (1) 成形収縮率が大きく且つ剛性が高いため成形品内部
に内部応力(内部歪み)が発生し封止後の半導体装置成
形品に反り変形が生じ、時には成形品あるいは半導体チ
ップなどの内部の部材の破断を招く。また、ヒートショ
ック試験などでの発生熱的応力に対しても同様な現象が
発生する。
【0005】(2) 硬化時間が比較的長く、ハイサイクル
化の達成が困難である。また、求める性能の発現には長
時間のアフタキュア処理が必要となるケースが多い。 (3) 自動化、成形サイクルの短縮化、多量生産方式に最
も適している射出成形法の採用は未だ実施の状況下には
ない。 これらは、エポキシ樹脂成形材料が以下の難点を有して
いることに起因している。
【0006】・本質的に硬化反応が遅く、成形後の熱剛
性に難があり高温金型からの離型時の剛性に難がある。
また、材料性能の発現するためには長時間のアフタキュ
ア処理は必須である。 ・成形後の離型に難があり、金型汚れがある。 一方本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、上記
のように熱硬化性の封止樹脂材料としては特に新規なも
のではないが、エポキシ樹脂材料と硬化反応の機構が異
なることにより速硬化性に優れかつ低圧成形加工性に優
れるなど成形加工上に優れた特長を有している。
【0007】しかし、不飽和ポリエステル樹脂組成物に
は、以下に示す問題点があり、時には半導体などの電子
製品の保護封止材料として挙げられることはあってもそ
の具体的な適用実績例は全くといってよいほどみられな
い。 (1) 上述のエステル結合を含むため耐湿性(耐水・耐水
蒸気性)が劣り、加水分解を起こす。
【0008】(2) エポキシ樹脂に比較し密着性に乏し
く、例えばリードフレームと封止樹脂の密着界面におけ
る水分の侵入が発生し易い。 (3) 高温時における電気特性が劣る (4) その他に、従来の不飽和ポリエステル樹脂組成物で
は、エポキシ樹脂成形材料と同様に、性能上つぎのよう
な問題がある。
【0009】・成形収縮率が大きく、成形品の反り変形
が大きく、部材への応力負荷が発生する。 ・リードフレーム、半導体ペレット、金属細線などの半
導体構成物との熱膨張差が大きく、また熱伝導率が小さ
いため放熱性が悪い。 ・この種の用途に必要な組成物の高純度化が困難であ
る。例えば、プレッシャークカーテスト後の組成物の溶
出した水すなわち抽出液中に、Na+ 、K + 、Cl-、Br-
などの不純物残渣イオンが存在する。
【0010】・高温時の抵抗値 (例えば高温 150℃にお
ける体積抵抗値) が低い。例えば、エポキシ樹脂組成物
では、150 ℃で 1012 〜 1013 Ωcmのレベルにあるが不
飽和ポリエステル樹脂組成物では 109〜 1010 Ωcmのレ
ベルにある ・上述したように高温耐湿性能がエポキシ樹脂組成物に
比べ劣る。この種の一般的試験としてプレッシャクッカ
ーテスト( 以後PCTと略記する)が行われているが、
121 ℃・2 気圧×100 h のレベルで体積抵抗値の参考例
を示すと、エポキシ樹脂組成物は1013Ωcmレベル、不飽
和ポリエステル樹脂組成物は109 〜1010Ωcmレベルにあ
る。
【0011】・難燃化は難燃剤の添加によって容易に達
成が可能であるが、要求する性能との関連で、上述の性
能に影響を及ぼし、必ずしも技術的に確立をみていな
い。例えば、燃焼性試験UL−94規格(Underwriter's
Laboratories Standards)の耐燃性のレベルV−0は達
成できても、高温時の抵抗の低下や、PCT特性が低下
する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の問題点を改善または解消し、優れた成形性、速硬化性
でかつ多量生産性に適し、性能面では優れた高温電気性
能、耐水蒸気性、耐湿性を有する半導体封止用不飽和ポ
リエステル樹脂組成物およびこれを用いる半導体装置な
どにおける成形方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物は低
収縮剤、難燃化剤、触媒、無機充填剤、補強材、離型剤
および表面処理材全てを含有し、ガラス転移温度が150
℃以上のビスフエノール系不飽和ポリエステル樹脂が結
合媒体として用いられていることとする。
【0014】前記低収縮剤はポリスチレンであると良
い。前記無機充填剤は球状アルミナであると良い。前記
球状アルミナは平均粒子径10〜30μm 最大粒径75
μm 以下であると良い。前記表面処理剤としてシランカ
ップリング剤を組成物中に0.3 重量%〜1 重量%含むと
良い。
【0015】前記無機充填剤は球状アルミナであり、前
記補強材はガラス繊維であると良い。前記球状アルミナ
と前記ガラス繊維の添加量は半導体封止用不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物の75重量%以上85重量%以下であっ
て、前記球状アルミナは前記添加量の70重量%以上80重
量%以下であると良い。
【0016】前記難燃化剤は臭素化不飽和ポリエステル
樹脂と三酸化アンチモンからなると良い。前記難燃化剤
は臭素化ポリスチレンと三酸化アンチモンからなると良
い。前記難燃化剤のガラス転移温度が150 ℃以上である
と良い。前記離型剤は天然油脂(カルナバワックス)お
よびステアリン酸からなると良い。
【0017】リードフレーム、ヒートシンク、半導体チ
ップ(素子)などの半導体装置構造部材を上記の半導体
封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて半導体装
置に封止成形する成形方法において、前記半導体装置構
造部材の樹脂との界面にあたる部位に、予め付加反応形
のシリコーンゴム系のコート材を塗布し、硬化処理した
後に、成形封止することとする。
【0018】前記硬化処理が加熱硬化処理または紫外線
硬化処理であると良い。前記封止成形は射出成形方法で
あると良い。
【0019】
【発明の実施の形態】この発明に係る封止用不飽和ポリ
エステル樹脂組成物(以下、これを指すことが明らかな
場合、組成物と略記する場合もある)の原材料および構
成は上記の通りであるが、注意すべき点を説明する。樹
脂マトリックスとして不飽和ポリエステル樹脂なかでも
ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂(ここではイ
ソフタール酸─水素化ビスフェノール系も含むこととす
る) を単独またはビニルエステル系不飽和ポリエステル
樹脂を一定量併用混合して用い、この前者の樹脂のガラ
ス転移点は低くとも150 ℃以上であって、ビニルエステ
ル樹脂併用系の場合はこの併用系としてのガラス転移点
は少なくとも150 ℃以上であるように併用比を設定す
る。ここで、ガラス転移温度は、樹脂注型板(樹脂と触
媒系より成り充填剤は含まない、含んでも離型剤程度)
の線膨張率の変曲点の測定によって求めた値であり、以
下Tgと表す。
【0020】無機充填剤として、化学組成上Na20の含有
率が 0.01 % 以下のアルミナを用いることが好ましい。
これにより、PCT処理後の抽出液中のNa+ を100ppm以
下とすることができる。補強材としての、ガラスチョッ
プドストランドの化学組成上Na20、K2O の含有率が 0.5
% 以下であることが好ましい。これにより、PCT処理
後の抽出液中のNa+ およびK + を10ppm 以下とすること
ができる。
【0021】難燃剤としてガラス転移点が150 ℃以上の
臭素化ポリスチレンを用い、あるいは臭素化不飽和ポリ
エステル樹脂を用い、難燃助剤として三酸化アンチモン
を併用し、主樹脂と混合し樹脂マトリックスとして、Tg
を150 ℃以上にすることができる。この不飽和ポリエス
テル樹脂組成物への無機系充填剤としては、一般に使用
されているものが使用できるが、例えば、熱膨張率の低
減には炭酸カルシウム、クレー、タルク、アルミナ、水
和アルミ、カオリン、ガラス粉末などが使用可能であ
り、また熱伝導率の向上には、窒化アルミニウム、窒化
ホウ素、炭化ケイ素、酸化ベリリウムなどの粉末が有効
である。
【0022】本発明に係る組成物には、球状アルミナを
用いることにより、樹脂マトリックス中の混合性や価
格、熱膨張率、熱伝導率さらに半導体封止用樹脂として
の成形性の向上、および半導体ペレット、成形機、金型
などの摩擦磨耗の減少ができる。また、補強繊維基材と
して、ガラス短繊維(チョップドストランド)を添加し
補強および高温成形時の熱剛性を向上させている。
【0023】また、不飽和ポリエステル樹脂組成物を構
成する上で必要な、触媒、離型剤、着色剤などを添加す
る。触媒としては各種の有機過酸化物を用いることが可
能であるが、組成物の硬化温度(≒160 ℃)と低収縮化
等の点から、高温系の触媒が適しており、以下に例とし
て挙げる触媒を単独または複数併用ができる。 t-ブチオルパーオキシベンゾエート(t-BPZ) 、t-ブ
チオルパーオキシ2-ヘキサノエート、t-ブチオルパー
オキシイソプロピルカーボネート、1,1-ビス(t- ブチ
オルパーオキシ)3,3,5トリメチルシクロヘキサンなどで
あり、混合使用の場合はと、との組み合わせが
良い。
【0024】これらの組成物は、不飽和ポリエステル樹
脂組成物(プリミックス、BMC(Bulk Molding Compo
und)と一般に呼称される)の常法により混練機によって
混練製造する。このようにして製造した組成物を成形材
料として、半導体構成物を予め金型内に装着した後、射
出成形法(トンスファ成形も可能である)により金型内
に注入し封止成形を行って半導体封止製品を得ることが
できる。
【0025】高温、高湿仕様を満たすために問題となる
樹脂マトリックスの耐水・耐水蒸気性、いいかえると加
水分解性については、いわゆる一般タイプのオルソフタ
ール酸系樹脂やイソフタール酸系樹脂 (グリコールはた
とえばプロピレングリコールなどを使用) では、高温高
湿下(例えばPCT121 ℃、2 気圧) における耐性は乏
しいが、グリコール類としてビスフェノール系(水素化
ビスフェノールも含む)を使用したイソフタール酸─ビ
スフェノール系やビニルエステル樹脂(別呼称はエポキ
シアクリレート樹脂)は分子構造的に耐性があり、例え
ばPCT 121℃、2 気圧下の試験に充分に耐える。
【0026】耐水・耐水蒸気性は、ビニルエステル樹脂
がイソフタール酸ビスフェノール樹脂に比べ優れてい
る。不飽和ポリエステル樹脂マトリックスにポリスチレ
ンを中心とする低収縮剤を添加することによりその独特
な低収縮機構によって、不飽和ポリエステル樹脂は硬化
時に発生する硬化収縮率(成形収縮率)は0%に近づき
低収縮化(無収縮化)が可能となる。
【0027】これにより不飽和ポリエステル樹脂─低収
縮剤の低収縮機構を組成物に用いることにより得られる
組成物の硬化物は成形収縮率≒0に近く、反りも極めて
少ない製品(成形品)が得られる。この場合の低収縮剤
としては、一般に、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポ
リスチレンと酢酸ビニルのブロック共重合体、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリウレタンなどがあり、低収縮効果
の点では酢酸ビニル系が優れるが加水分解性に難点があ
り、耐加水分解性に耐性があって且つ低収縮効果の大き
いことからポリスチレンが最も有効な低収縮剤である。
【0028】但し、イソフタール酸ビスフエノール系樹
脂は低収縮化を容易に実現するが、現状ではビニルエス
テル樹脂の低収縮化は困難であるが、ビニルエステル樹
脂へイソフタール酸ビスフエノール系樹脂を混合添加す
ることにより樹脂組成物の幾分かの低収縮化が可能とな
る。このビスフェノール系樹脂─低収縮化組成物の成形
収縮率(硬化収縮率)は0.05〜0.1%近傍にあり、かつ熱
膨張係数は以降に述べるように例えばリードフレーム材
質の熱膨張係数の近傍にすることが可能なため成形金型
中の高温適圧下でリードフレームと硬化した樹脂が形成
する接着面は、硬化収縮による歪みをほとんど受けるこ
とがなく、高温から室温までの熱的変化に対しても応力
や歪みを発生せず安定した界面を形成することができ
る。
【0029】樹脂組成物の硬化後の望む熱膨張係数と熱
伝導率は、樹脂組成物中に含む無機充填剤の配合量の多
量化によって得られる。無機系充填剤を70重量%以上配
合することにより膨張係数は小さくなり、例えば熱膨張
係数はリードフレーム(銅、アルミなど、およびそれら
の合金)に近づけることができる。熱伝導率は、無機充
填剤の量を多量にすることにより大きくなり、さらに熱
伝導率の大きな充填剤、例えば窒化アルミニウムなどを
使用することにより熱伝導率は更に増大する。
【0030】本発明に係る組成物では、樹脂との相溶
性、多量充填性、さらに不純物イオンなどの残留度、成
形性、摩擦磨耗性(半導体チップ、部品、成形機、金型
などの)、熱伝導率、熱膨張率を効果的に得る目的で球
状アルミナを使用する。このアルミナは平均粒径が10〜
30μm の球状アルミナを標準とし最大粒径75μm とす
る。これは半導体構成物や製品の寸法に依存し細い、間
隙などへの成形流動性を配慮し設定したものであり、詳
細には経験に基づいて設定するものである。
【0031】また封止用組成物として要求される不純物
イオンの低い含有率は化学組成上Na 20の含有率が 0.01
% 以下の球状アルミナを使用することで達成され、また
添加量を70%(重量)以上により、熱膨張率 2×10-5
℃以下が達成される。不純物イオンは、不飽和ポリエス
テル樹脂では、樹脂としては、製造過程などでCl- など
の残留イオンを含まないものを選定することによりエポ
キシ樹脂では問題となるCl- の問題はほとんどないとい
ってよい。むしろ、混合する無機充填剤、補強材などに
含まれるNa+ 、 K+ などのイオンが課題となる。
【0032】補強材として、一般に使用されている長さ
約 3mm以下のガラス短繊維を使用することにより、成形
時の低圧成形性( 例えば、ワイヤー細線などの破断など
の防止) が向上している。また、不純物イオンの点から
はNa +が問題となるが、化学組成上Na20、K2O の含有率
が 0.5% 以下の繊維を用いることにより解決している。
【0033】また、不飽和ポリエステル樹脂組成物の強
度はガラス繊維の添加量に依存するが、ガラス繊維を少
なくも5 %添加することにより成形時の離型は支障な
く、かつ製品としての必要な強度を保持できる。組成物
中に、無機系の添加剤を、すなわち無機質系充填剤や補
強ガラス繊維などを重量比率で75% 以上添加することに
より、熱膨張率を2.0 ×10-5以下にすることができる。
【0034】一般に半導体用では耐燃性はUL規格のV
−0レベルが求められるが、難燃剤については、ここで
は臭素化合物─難燃助剤(三酸化アンチモン)を用いる
ことにより、これをクリアしている。この臭素化合物と
しては、組成物の性能、高温、PCT 時の安定性を考慮し
低分子有機物を使用せず、有機高分子である臭素化ポリ
スチレン(Tgが150 ℃以上)を用いることを特徴とし、
かつ同様な観点から臭素化不飽和ポリエステル樹脂を用
いることを特徴とする。
【0035】臭素化不飽和ポリエステル樹脂はTgが150
℃以上が望ましいが、150 ℃以下であってもよく、上述
したマトリックス樹脂と混合したときにそのマトリック
ス樹脂としてのTgが150 ℃以上であることが後述する高
温時などの性能、抵抗その他を良好にする。なお、150
℃は半導体用封止材料としての1つの要求仕様であっ
て、製品が要求する温度値が例えば、120 ℃であればマ
トリックス樹脂のTgは120 ℃以上が要求される。
【0036】また、樹脂の難燃化剤としては一般に水酸
化アルミナなどの水酸化物に代表される無機系の難燃剤
があるが、いずれも不純物イオン、例えばCl- 、Na+
K+などの抽出が多く、且つ電気特性も劣るため半導体
装置用への配合剤としては問題があり、本発明に係る組
成物においてはこれを用いない。表面処理剤として、シ
ランカップリング剤を使用する。一般に無機質充填剤を
多量に含む組成物では、充填剤の表面を処理剤で濡らす
ことにより樹脂との密着性を向上し、強度などの性能向
上を図っている。ここでは強度特性のほか、無機充填
剤、補強材などの添加剤と樹脂の密着性を向上し、樹脂
と充填剤間の欠陥部を解消し水の物理的な侵入路を無く
し耐水性を向上する。シランカップリング剤の混合量は
一般には組成物の0.3 ないし1 重量%が適量であり、本
発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物においても同
様である。
【0037】シランカップリング剤には多く種類のもの
があるが、一般に、不飽和ポリエステル樹脂用として市
販されているものであればよく、例えば、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ンを使用することができる。離型剤はカルナバワックス
とステアリン酸の併用、ステアリン酸の単独使用が有効
である。通常、不飽和ポリエステル樹脂組成物で使用さ
れるステアリン酸亜鉛は離型性の点では最良な離型剤で
はあるが、抽出試験後の抽出液中に不純物イオンNa+
Cl- イオン などが多量に存在しこの種の用途の使用に耐え
ない。上記の離型剤はこの不純物イオンから開放される
一方良好な離型効果を発現する。
【0038】また、カルナバワックスはエポキシ樹脂組
成物に使用される離型剤ではある。しかし、不飽和ポリ
エステル樹脂組成物に単独使用した場合は良好な離型効
果は得られないが、ステアリン酸と併用することによっ
て目的とする離型効果が得られ、かつリードフレームや
ヒートシンクの表面との界面密着性を良好にする効果が
認められ不飽和ポリエステル樹脂の部材との密着性の悪
さの解消手段としての効果が、この組成物の収縮率の低
さとも相まって得られることを実験的に見出した。
【0039】これは、成形時、封止成形品の表面にカル
ナバワッツスが微小量存在し部材と密着性を向上してい
ることによると考えられる。本発明に係る組成物を用い
たモデル製品では、部材と樹脂間にコート層を配置せず
に行った半導体製品のPCT試験においては、その水分
の侵入性に対して100 h まで変化なしと良好な結果を得
ている。カルナバワックスを使用していない組成物は、
例えばステアリン酸亜鉛を使用した組成物では50h 以内
で、不良な結果となる。
【0040】この併用比はカルナバワックス/ステアリ
ン酸は、(0.3 〜0.5)/(0.7〜0.5)が適当である。不飽
和ポリエステル樹脂組成物は硬化反応が有機過酸化物
(触媒)による付加反応であるため、硬化時に余計な副
生成物を発生せず安定した硬化状態になり、かつその硬
化速度は用いる触媒の種類、温度に依存し、金型温度を
より高温化することにより著しく小さくなり、短サイク
ル成形化が実現する。また、触媒の選定により、100 ℃
以上約 170℃の範囲の温度での成形が可能であり、例え
ば半導体チップなどが高温下にさらされるのを嫌う場合
には適宜低温下での成形も可能となる。
【0041】また、本発明に係る組成物は、液状なので
混練後から成形硬化が開始されるまで、低圧成形可能な
低粘度の挙動を安定して維持するため極めて低圧成形性
に優れている。そのため、射出成形はつぎの特徴を有す
る。シリンダー内での室温〜90℃程度で予備加熱により
可塑性を向上させることができる(予備加熱効果)。こ
のため、注入時の組成物の流入するときの粘度は低くな
り低圧成形性がさらに向上する。予備加熱効果によって
硬化時間が短縮する。すなわち速硬化性がさらに向上す
る。
【0042】従来のトランスファ成形法に比べ射出成形
は、自動化に適しており、本発明に係る組成物は、一般
的に半導体封止樹脂材料としてのエポキシ樹脂組成物に
比べ材料価格は安価であり、射出成形法の適用とも相ま
って樹脂封止型半導体装置の封止に係わる費用は格段に
低下する。一般に、不飽和ポリエステル樹脂組成物の密
着性はエポキシ樹脂組成物に比べ劣っている。半導体装
置構成部材(チップ、リードフレーム、ヒートシンクな
ど)を処理せずにそのまま樹脂封止すると部材との密着
性が悪く、例えば、PCT試験(121 ℃×2気圧)や耐
湿性に供すると部材/樹脂の境界面より水分の侵入があ
り製品仕様を満足するものが得られない。またこの部材
/樹脂の間にコート層を設けるとすると(部材/コート
層/樹脂)、部材─コート層に対する密着性は良好なも
のが選択できるが、コート層/樹脂に対する密着性の良
好なコート材はない。例えば、エポキシ樹脂系、ポリイ
ミド系などの樹脂系は部材との密着性は良好ではある
が、不飽和ポリエステル樹脂との密着性は良好とはいえ
ない。
【0043】本発明の組成物を用いれば、この境界面に
シリコーンゴム系のコート材、特に付加反応形のシリコ
ーンゴムコート材(加熱硬化形、紫外線硬化形)を部材
に予め塗布し硬化処理後、樹脂封止成形を行うことによ
り、上記のPCT試験、耐湿試験に対して境界面におけ
る水分の侵入はほとんど観察されず良好な結果を得た。
【0044】これは、付加反応形のコート材に対しやは
り付加反応形の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いる
ことにより、予め加熱処理などによって硬化が進んでい
るコート材に対して次工程の封止成形時の不飽和ポリエ
ステル樹脂の硬化時の発熱反応による高温度下でさらに
コート材の硬化が進行すること、この反応がコート材と
樹脂の界面で進行すること、かつコート材がゴム弾性を
有するものであることから、成形時に発生する樹脂の収
縮に伴って発生する応力を吸収し樹脂と部材に対して緩
衝効果を発揮し、境界面で内部応力(歪み)量を低下さ
せること、さらに低圧ではあるが成形時の成形圧力の伝
達を受けゴムの変形によって樹脂と部材の表面によく馴
染むこと、などが良好な密着性を発現している理由と考
えられる。
【0045】不飽和ポリエステル樹脂組成物を半導体封
止樹脂組成物として使用するためには、本来の密着性の
悪さをこのコート材の付与によって解決しておくことが
望ましく、不飽和ポリエステル樹脂組成物はシリコーン
ゴム系コート材と併用することにより、半導体封止用樹
脂組成物としての信頼性の向上を図ることができる。以
下に、本発明の実施例、比較例を示し詳細に説明する。 実施例1 市販のイソフタール酸─ビスフェノール系樹脂(Tg≒22
0 ℃、高反応性)12重量部低収縮剤(ポリスチレン)5
重量部、臭素化ポリスチレン(Tg=170 ℃) 3重量部、
三酸化アンチモン 1.5重量部、無機充填剤 球状アルミ
ナ(平均粒径20μm ) 70重量部、ガラス短繊維(長さ約
3mm)を5 重量部、表面処理剤1 重量部、その他離型剤
(カルナバワックス/ステアリン酸、重量比≒0.3/0.
7)、着色材、触媒を適当量添加し、BMC混練機を使用
し常法により不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造し
た。
【0046】得られた組成物を、成形温度 160〜165
℃、 1 minで成形し、試験片を作成し、半導体装置の代
表的な製品をモデルに製品試作を行って下記の試験、評
価を実施した。 (1) 耐湿性試験として、プレッシャークッカー試験(12
1 ℃×2気圧、100 hr)を行い、封止樹脂材料の吸水
性と劣化の判定を行った。モデル製品についてはリード
フレームと封止樹脂の密着面における水の侵入度合を判
定した。
【0047】(2) 封止後の装置について寸法を測定し、
反りの度合、成形収縮の度合を判定した。 (3) 射出成形後の成形品(製品)の観察、成形条件など
から速硬化性や低圧成形性を判定した。 また、材料特性として、PCT試験処理後の外観変化、
吸水率、線膨張率、熱伝導率、常温体積抵抗、高温体積
抵抗(150 ℃における)、成形収縮率などを測定した。
【0048】これらの結果について、材料特性、モデル
製品試作による評価結果については、以降に示す他の実
施例とともに表1に示す。
【0049】
【表1】 実施例2 混合した状態の樹脂のガラス転移温度が150 ℃以上にな
るように選んだ樹脂、ビスフエノール系樹脂6 部とビニ
ルエステル樹脂(グリコール類がビスフェノールA、別
名エポキシアクリレート樹脂)5 部を使用した以外は実
施例1と同様にして、混練機を使用し常法により不飽和
ポリエステル樹脂組成物を製造し、同様な試験、評価を
行った。 実施例3 実施例1において、離型剤をカルナバワックス/ステア
リン酸の混合重量比を0.5/0.5 とした以外は全く同じ配
合組成の組成物を作り、試験と評価を行った。 実施例4 実施例1の組成の難燃剤の臭素化ポリスチレンに変え
て、臭素化不飽和ポリエステル樹脂を使用し、主樹脂
(ビスフエノール系樹脂)と混合した状態でのガラス転
移温度が150 ℃以上になるように選定した臭素化樹脂を
3.5 部添加した以外は実施例1と同様な組成物を作り、
同様な試験、評価を行った。 実施例5 市販のイソフタール酸−ビスフェノール系樹脂(Tg≒22
0 ℃、高反応性)7 重量部、低収縮剤としてポリスチレ
ン5 重量部、臭素化ポリエステル樹脂3 重量部、三酸化
アンチモン 1.5重量部、無機充填剤として球状アルミナ
(平均粒径20μm ) 75重量部および80重量部の2種、補
強材としてガラス短繊維(長さ約 3mm)を5 重量部、表
面処理剤1 重量部、その他に離型剤(カルナバワックス
/ステアリン酸を重量比≒0.3/0.7 )、着色材、触媒を
適当量添加し、BMC混練機を使用し常法により2種の
不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造し、上記実施例と
同様な試験、評価を行った。 実施例6 無機充填剤として球状アルミナ45重量部、水酸化アルミ
ナ30重量部を使用し、難燃剤として実施例4の臭素化不
飽和ポリエステル樹脂3.5 重量部を用いた以外は実施例
1と同様な組成物を作り、試験、評価を行った。 比較例1 市販のイソフタール酸−ビスフェノール系樹脂(Tg≒22
0 ℃、高反応性)12重量部、臭素化ポリエステル樹脂3.
5 重量部、三酸化アンチモン 1.5重量部、球状アルミナ
(平均粒径20μm ) 70重量部、ガラス短繊維(長さ約 3
mm)5 部、離型剤としてステアリン酸亜鉛1 部、その他
着色材、触媒を適当量添加し、BMC混練機を使用し、
常法により不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造し、試
験を行った。
【0050】これらの結果については以下の比較例と共
に表2に示す。
【0051】
【表2】 比較例2 市販のイソフタール酸−ビスフェノール系樹脂(Tg≒12
0 ℃) 12重量部、低収縮剤としてポリスチレン1 重量
部、その他は比較例1に同じ組成の組成物を製造し、試
験を行った。 比較例3 市販のビニルエステル樹脂(Tg≒ 120〜130 ℃)16重量
部、臭素化ポリエステル樹脂 4重量部、三酸化アンチモ
ン 1.5重量部、球状アルミナ(平均粒径20μm) 70重量
部、ガラス短繊維( 長さ約 3mm) 5 部、離型剤としてス
テアリン酸1 重量部以下、その他着色材、触媒などを適
当量添加し組成物を製造し、試験を行った。 比較例4 市販のイソフタール酸−ビスフェノール系樹脂(Tg≒22
0 ℃、高反応性)12重量部難燃剤−テトラ無水フタール
酸3.0 重量部、三酸化アンチモン 1.5重量部、球状アル
ミナ(平均粒径20μm ) 70重量部、ガラス短繊維( 長さ
約 3mm )5 部、離型剤−ステアリン酸1部その他着色
材、触媒を適当量添加し、BMC混練機を使用し常法に
より不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造し、試験を行
った。 比較例5 市販のイソフタール酸−ビスフェノール系樹脂(Tg≒22
0 ℃、高反応性)12重量部低収縮剤(ポリスチレン)5
重量部、無機充填剤(難燃剤兼用)、水酸化アルミナ70
重量部、ガラス繊維( 長さ約 3mm )5 重量部、その他着
色剤、触媒を適当量添加した組成物を製造し、試験、評
価を行った。 比較例6 実施例4の配合組成の低収縮剤が、酢酸ビニルとポリス
チレンの共重合体である低収縮剤を6 重量部添加した以
外は、実施例4に同じ組成物を製造し、試験、評価を行
った。 比較例7 実施例4の無機充填剤として炭酸カルシウム73重量部添
加した以外は実施例4の配合組成に同じ組成物を製造し
試験、評価を行った。
【0052】表1に上記実施例の試験、評価結果を、表
2には上記比較例の試験、評価結果を示す。次に、本発
明にかかる不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いた半導
体装置の構成材を封止、成形した実施例を説明する。 実施例7 上述の実施例1の不飽和ポリエステル樹脂組成物を常法
により作成し、モデル製品を構成するリードフレーム、
ヒートシンク、半導体チップなどの部材の表面に付加反
応形 シリコーンゴムコート材を塗布し150 ℃、1〜2
h加熱処理した後、これを成形金型に設置し、シリンダ
ー温度 50 〜60℃、金型温度 160〜165℃で射出成形し
た。硬化時間は1min とした。この製品をPCT試験
(121 ℃、2 気圧、100 〜200 h)したところ、製品の初
期特性は維持され良好結果を得た。
【0053】この製品を切断解体し観察した結果、樹脂
/コート材/部材の密着性が良好で問題とした水分の侵
入量も極めて微量であるという結果を得た。 比較例8 上述の実施例1の不飽和ポリエステル樹脂組成物を常法
により作成し、コート処理をなしに、実施例7と同様の
条件で成形して供試サンプルを作製し、PCT試験に供
した。その結果 100h までは良好な結果を得た。但し、
200hの結果は供試サンプルのいくつかに不良品が発生す
る結果となった。 実施例8 上述の実施例1の不飽和ポリエステル樹脂組成物を常法
により作成し、モデル製品を構成するリードフレーム、
ヒートシンク、半導体チップなどの部材の表面に紫外線
硬化形シリコーンゴムコート材を塗布し、高圧水銀灯に
よる光源により約20秒間照射し硬化せしめた後で、これ
を成形金型に設置し実施例8と同様な条件で封止成形を
行いPCT試験に供した。200 h を経ても製品の初期特
性は維持され良好結果を得た。
【0054】この製品を切断解体し観察した結果、樹脂
/コート材/部材の密着性が良好で問題とした水分の侵
入量も極めて微量であるという結果を得た。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、硬化反応様式が付加反
応でありかつ硬化反応時に副生成物を生成しない不飽和
ポリエステル樹脂を使用し、かつこの不飽和ポリエステ
ル樹脂としてイソフタール酸ビスフェノール系樹脂、ビ
ニルエステル樹脂を用いたことにより、半導体装置が要
求する耐湿性や水の侵入性に対する耐性は、樹脂マトリ
ックスの耐加水分解性の向上やさらに離型剤としてのカ
ルナバワックス効果、および製品時のシリコーンゴム系
コート付与の効果も手伝って良好な結果を得、半導体装
置が要求する仕様を満足させると同時に、低収縮剤を添
加し樹脂マトリックスを構成したことにより、封止樹脂
の成形時の製品の収縮率は0に近づき、部材と樹脂層の
界面が収縮応力から開放された安定した界面が得られる
ことから、成形後に往々にして問題となる製品の反り変
形防止や界面の剥離に対して効果を発揮する。
【0056】また、無機系充填剤の多量の添加により熱
膨張係数を低下させ半導体構成物に近づけたことも相ま
って、収縮時やヒートサイクル試験、ヒートショック試
験時の熱時の応力(歪み)挙動より、半導体構成物は従
来技術に較べ開放され、安定した半導体装置が得られ
る。さらに、樹脂マトリックス相のガラス転移温度を15
0 ℃以上とする樹脂、低収縮剤、難燃剤を選定、設計す
ることにより、高温時の電気抵抗や組成物の剛性向上、
水分吸収性能の低減化が達成でき、かつ、添加する配合
剤の不純物残渣イオンに対しては、無機充填剤、離型
剤、ガラス繊維などを中心に材料選択および含有不純物
成分を規制することにより要求される不純物イオンの低
減化が可能となる。
【0057】また、不飽和ポリエステル樹脂の選択によ
りエポキシ樹脂材料では問題となっているCl- イオンか
ら開放される。また、不飽和ポリエステル樹脂の液状か
ら硬化物となるまでの粘度履歴などに、この樹脂がもつ
本来的な性質によって安定した成形性なかでも低圧成形
性と硬化時の急激な粘度上昇と固化物化が得られるた
め、また上述の硬化反応様式が付加反応であることも手
伝って射出成形が可能となる。
【0058】かつ、射出成形では、自動化、高温成形が
可能であるため極めて短サイクルな成形が可能となるた
め成形加工費は安価となり、かつ多量自動化生産方式の
封止成形を可能きなる。材料価格も手伝いかなり安価な
樹脂封止型半導体装置を提供することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 23/29 H01L 23/30 R 23/31 //(C08L 67/06 25:06) (C08K 13/04 7:18 7:14 5:54 3:22 5:09) B29K 67:00 B29L 31:34

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低収縮剤、難燃化剤、触媒、無機充填剤、
    補強材、離型剤および表面処理材全てを含有し、ガラス
    転移温度が150 ℃以上のビスフエノール系不飽和ポリエ
    ステル樹脂が結合媒体として用いられていることを特徴
    とする半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記低収縮剤はポリスチレンであることを
    特徴とする請求項1に記載の半導体封止用不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記無機充填剤は球状アルミナであること
    を特徴とする請求項1に記載の半導体封止用不飽和ポリ
    エステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記球状アルミナは平均粒子径10〜30μm
    最大粒径75μm 以下であることを特徴とする請求項3に
    記載の半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】前記表面処理剤としてシランカップリング
    剤を組成物中に0.3重量%〜1 重量%含むことを特徴と
    する請求項1に記載の半導体封止用不飽和ポリエステル
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】前記無機充填剤は球状アルミナであり、前
    記補強材はガラス繊維であることを特徴とする請求項3
    に記載の半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】前記球状アルミナと前記ガラス繊維の添加
    量は半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物の75重
    量%以上85重量%以下であって、前記球状アルミナは前
    記添加両の70重量%以上80重量%以下であることを特徴
    とする請求項5に記載の半導体封止用不飽和ポリエステ
    ル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】前記難燃化剤は臭素化不飽和ポリエステル
    樹脂と三酸化アンチモンからなることを特徴とする請求
    項1に記載の半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】前記難燃化剤は臭素化ポリスチレンおよび
    三酸化アンチモンからなることを特徴とする請求項1に
    記載の半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  10. 【請求項10】前記臭素化ポリスチレンのガラス転移温
    度が150 ℃以上であることを特徴とする請求項8に記載
    の半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  11. 【請求項11】前記離型剤は天然油脂(カルナバワック
    ス)とステアリン酸からなることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  12. 【請求項12】リードフレーム、ヒートシンク、半導体
    チップ(素子)などの半導体装置構造部材を請求項1な
    いし10に記載の半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂
    組成物を用いて半導体装置に封止成形する成形方法にお
    いて、前記半導体装置構造部材の樹脂との界面にあたる
    部位に、予め付加反応形のシリコーンゴム系のコート材
    を塗布し、硬化処理した後に、成形封止することを特徴
    とする半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物の成
    形方法。
  13. 【請求項13】前記硬化処理が加熱硬化処理または紫外
    線硬化処理であることを特徴とする請求項11に記載の
    半導体封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物の成形方
    法。
  14. 【請求項14】前記封止成形は射出成形方法であること
    を特徴とする請求項11または12に記載の半導体封止
    用不飽和ポリエステル樹脂組成物の成形方法。
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