JPH1094631A - 氷雪滑走具 - Google Patents

氷雪滑走具

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JPH1094631A
JPH1094631A JP27176396A JP27176396A JPH1094631A JP H1094631 A JPH1094631 A JP H1094631A JP 27176396 A JP27176396 A JP 27176396A JP 27176396 A JP27176396 A JP 27176396A JP H1094631 A JPH1094631 A JP H1094631A
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JP
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ice
snow
layer
optical semiconductor
water
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JP27176396A
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English (en)
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Masakazu Kogo
雅一 古後
Masato Kurihara
正人 栗原
Tetsuo Furudono
鉄雄 古殿
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スケートやスキー、そり等の氷雪滑走具であ
って、手間をかけなくても滑りの良さが長持ちする氷雪
滑走具を提供する。 【解決手段】 本発明の氷雪滑走具は、その滑走面に光
半導体含有層が形成されており、該光半導体の光励起に
応じて該滑走面が高度に親水性を呈する。滑走面が高度
に親水性のため、滑走面と氷雪表面との間に水膜が保た
れ易く、その水膜の潤滑効果によって摩擦が低下する。
また、光半導体含有層は、硬質のセラミック膜や強靭な
樹脂マトリックス複合層として得ることもできるため、
摩耗しずらく滑りの良さが長持ちする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スケートやスキ
ー、スノーボード、そり等の氷雪滑走具に関する。特に
は、手間をかけなくても滑りの良さが長持ちする滑走面
を有する氷雪滑走具に関する。
【0002】
【従来の技術】スキーを例にとって従来技術を説明す
る。スキー板の下面(滑走面)には、ワックスを塗布し
てスキーを滑り易くしている。このワックスは、滑って
いると次第に摩耗して消耗されるため、適当な頻度で再
びワックス掛けをすることとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のスキーのワック
ス掛けは、かなり面倒な作業である。このような手間を
かけなくても良く滑るスキー板があれば、非常に好まし
いことである。さらに目を広げれば、手間をかけなくて
も滑りの良さが長持ちする滑走面に対する要望は、スキ
ー以外の、スケートやスノーボード、そり等の氷雪滑走
具全般について共通するものである。
【0004】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たものであって、スケートやスキー、スノーボード、そ
り等の氷雪滑走具であって、手間をかけなくても滑りの
良さが長持ちする滑走面を有する氷雪滑走具を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の氷雪滑走具は、氷雪上を滑走するのに用い
る氷雪滑走具であって、その滑走面に光半導体含有層が
形成されており、該光半導体の光励起に応じて該滑走面
が高度に親水性を呈することを特徴とする。滑走面が高
度に親水性のため、滑走面と氷雪表面との間に水膜が保
たれ易く、その水膜の潤滑効果によって摩擦が低下す
る。また、光半導体含有層は、硬質のセラミック膜や強
靭な樹脂マトリックス複合層として得ることもできるた
め、摩耗しずらく滑りの良さが長持ちする。なお、スキ
ーの上面のような氷雪滑走具の滑走面以外の部分に光半
導体含有層を形成することも、後述する洗浄性向上の観
点から好ましい。
【0006】光半導体含有層と親水性との関係について
説明する。本発明者らは、PCT/JP96/0073
3号において、以下の知見を見出したことを開示した。
すなわち、基材表面に光半導体含有層を形成すると、光
半導体の光励起に応じて前記層表面が、水との接触角に
換算して10°以下という高度の親水性を呈することを
見出し、さらにそれによりガラス、レンズ、鏡等の透明
部材の防曇・視界確保性向上、物品表面の水洗浄性・降
雨洗浄性向上等の効果が得られることを見出した。
【0007】この現象は以下に示す機構により進行する
と考えられる。すなわち、光半導体の価電子帯上端と伝
導帯下端とのエネルギーギャップ以上のエネルギーを有
する光が光半導体に照射されると、光半導体の価電子帯
中の電子が励起されて伝導電子と正孔が生成し、そのい
ずれか又は双方の作用により、おそらく表面に極性が付
与され、水や水酸基等の極性成分が集められる。そして
伝導電子と正孔のいずれか又は双方と、上記極性成分と
の協調的な作用により、表面と前記表面に化学的に吸着
した汚染物質との化学結合を切断するとともに、表面に
化学吸着水が吸着し、さらに物理吸着水層がその上に形
成されるのである。また、一旦部材表面が高度に親水化
されたならば、部材を暗所に保持しても、表面の親水性
はある程度の期間持続する。
【0008】
【発明の実施の形態】親水性とは、表面に水を滴下した
ときになじみやすい性質をいい、一般的に水濡れ角が9
0°未満の状態をいう。本発明における高度な親水性と
は、表面が水を滴下したときに非常になじみやすく、水
滴を形成せずにむしろ水膜化してしまう性質をいい、よ
り具体的には、水濡れ角(水との接触角)が10°以
下、好ましくは5°以下となる状態をいう。
【0009】光半導体とは、その結晶の伝導電子帯と価
電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネル
ギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したと
きに、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝
導電子と正孔を生成しうる物質をいい、例えば、アナタ
ーゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化錫、酸化
亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第
二鉄、チタン酸ストロンチウム等が好適に利用できる。
【0010】光半導体の光励起に用いる光源としては、
蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、水銀ランプ
のような室内照明、太陽、それらの光源からの光を低損
失のファイバーで誘導した光源等が好適に利用できる。
一般に、本発明の対象とする氷雪滑走具は屋外で使用さ
れるので、太陽を利用できる。光半導体の光励起によ
り、基材表面が高度に親水化されるためには、励起光の
照度は、0.001mW/cm2以上あればよいが、0.01
mW/cm2以上だと好ましく、0.1mW/cm2以上だとより好
ましい。
【0011】光半導体含有層には、シリカ、固体超強
酸、シリコーンのうちの1種以上が含有されていること
が望ましい。シリカ、固体超強酸が含有されていると、
より低い励起光照度で高度の親水性を呈しやすく、かつ
その状態をかなり長期にわたり維持できる。シリコーン
が含有されていても、光半導体の光励起によりシリコー
ン中のシリコン原子に結合する有機基の少なくとも一部
が水酸基に置換される。そして一旦水酸基に置換される
と、シリカ添加の場合と同様に低い励起光照度で高度の
親水性を呈しやすく、かつその状態をかなり長期にわた
り維持できる。
【0012】ここで超強酸とは、ハメットの酸度関数H
o≦−11.93なる固体酸化物を構成要素に含む強酸
をいい、具体的には、硫酸担持Al23 、硫酸担持T
iO2 、硫酸担持ZrO2 、硫酸担持Fe23 、硫酸
担持SiO2 、硫酸担持HfO2 、TiO2 /WO3
WO3 /SnO2 、WO3 /ZrO2 、WO3 /Fe2
3 、SiO2 ・Al23 等が好適に利用できる。
【0013】また、シリコーンとしては、ポリオルガノ
シロキサンなら全般的に利用できるが、例えば、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチ
ルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシ
シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニ
ルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラ
ン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシ
ラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキ
シシラン、ジエチルジブトキシシラン、フェニルメチル
ジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、
フェニルメチルジプロポキシシラン、フェニルメチルジ
ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、及びそれらの加水分解物、加水分解後部分縮
重合したもの、それらの混合物等を前駆体として、必要
に応じて加水分解し、脱水縮重合したもの等が好適に利
用できる。
【0014】光半導体含有層の膜厚は、0.4μm 以下
にするのが好ましい。そうすれば、光の乱反射による白
濁を防止することができ、光半導体含有層は実質的に透
明となる。さらに、光半導体含有層の膜厚を、0.2μ
m 以下にすると一層好ましい。そうすれば、光の干渉に
よる層の発色を防止することができる。また、光半導体
含有層は薄ければ薄いほどその透明度は向上する。さら
に、膜厚を薄くすれば、層の耐摩耗性が向上する。上記
表面層の表面に、さらにシリカ、アルミナ、シリコー
ン、固体超強酸等の親水化可能な耐摩耗性又は耐食性の
保護層や他の機能膜を設けてもよい。
【0015】上記光半導体含有層には、Ag、Cu、Z
nのような金属を添加することができる。前記金属を添
加した層は、暗所においても表面に付着した細菌を死滅
させることができる。さらに、この層は、黴、藻、苔の
ような微生物の成長を抑制する。したがって、微生物起
因による汚れ付着が抑制される。光半導体含有層にA
g、Cu、又はZnをドーピングするためには、光半導
体粒子の懸濁液にこれらの金属の可溶性塩を添加し、得
られた溶液を用いて光半導体性コーティングを形成する
ことができる。あるいは、光半導体性コーティングを形
成後、これらの金属の可溶性塩を塗布し、光照射により
光還元析出させてもよい。
【0016】上記光半導体含有層には、Pt、Pd、R
u、Rh、Os、Irのような白金族金属を添加するこ
とができる。前記金属を添加した層は、光半導体の光半
導体作用による酸化反応活性を増強させることができ、
屋内空気の脱臭浄化作用、屋外空気中に含有される汚染
物質の分解浄化作用等が向上する。添加方法は上述の光
還元析出や可溶性塩の添加によることができる。
【0017】本発明の氷雪滑走具の基体を構成する材料
は、 金属材料;鉄、ステンレス、アルミニウム合金、チタン
合金、 FRP;ガラス繊維強化、炭素繊維強化、ポリアミド繊
維強化、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、 プラスチックス;ポリプロピレン、ウレタン、ABS、
ナイロン、 塗装材;ポリエチレン等を含む。
【0018】ここで上記氷雪滑走具が、Fe、Ni、C
oの少なくとも1種を含有する金属材料からなる基体の
場合は、上記光半導体含有層が、該基体表面に、上記金
属の原子の拡散を防止する層を介して形成される。
【0019】本発明者らの実験によれば、光半導体を含
有する表面層にCo、Ni、Feが添加されると、光半
導体の光励起による親水化作用が著しく低下してしまう
ことが判明した。そこでCo、Ni、Fe原子の表面層
への拡散を防止する層を設けることにより、光半導体を
含有する表面層はCo、Ni、Fe原子の影響を受けな
くなり、Co、Ni、Fe原子の少なくとも1種を含有
する基材上に固定した場合においても、光半導体の光励
起による親水化作用が充分に発揮され、したがって物品
表面の水洗浄性・降雨洗浄性向上等の効果が充分に発揮
されるようになる。
【0020】Co、Ni、Fe原子の少なくとも1種を
含有する基材とは、例えばステンレス基材、炭素鋼、鋳
鉄、鋳物、強磁性材料等をさす。Co、Ni、Feの拡
散を防止する層は、例えば、下地の色を意匠上活用した
い場合には、シリカ、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、
水ガラスなどのケイ酸化合物等の透明な材料が好適に利
用できる。
【0021】またCo、Ni、Feの拡散を防止する層
に、着色性の材料を用い、この層により意匠性を持たせ
てもよい。その場合には、釉薬;Ag、PtなどのC
o、Ni、Fe以外の着色金属;等の材料が好適に利用
できる。Co、Ni、Feの拡散を防止する層の膜厚
は、0.02μm 以上であるのが好ましい。そうすれ
ば、基材から表面層へのCo、Ni、Feの拡散を有効
に防止できる。
【0022】次に、表面層の形成方法について説明す
る。まず、表面層が光半導体のみからなる場合の製法に
ついて、光半導体がアナターゼ型酸化チタンの場合を例
にとり説明する。この場合の方法は、大別して3つの方
法がある。1つの方法はゾル塗布焼成法であり、他の方
法は有機チタネート法であり、他の方法は電子ビーム蒸
着法である。 (1)ゾル塗布焼成法 アナターゼ型酸化チタンゾルを、基材表面に、スプレー
コーティング法、ディップコーティング法、フローコー
ティング法、スピンコーティング法、ロールコーティン
グ法等の方法で塗布し、焼成する。
【0023】(2)有機チタネート法 チタンアルコキシド(テトラエトキシチタン、テトラメ
トキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキ
シチタン等)、チタンアセテート、チタンキレート等の
有機チタネートに加水分解抑制剤(塩酸、エチルアミン
等)を添加し、アルコール(エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等)などの非水溶媒で希釈した後、部分
的に加水分解を進行させながら又は完全に加水分解を進
行させた後、混合物をスプレーコーティング法、ディッ
プコーティング法、フローコーティング法、スピンコー
ティング法、ロールコーティング法等の方法で塗布し、
乾燥させる。乾燥により、有機チタネートの加水分解が
完遂して水酸化チタンが生成し、水酸化チタンの脱水縮
重合により無定型酸化チタンの層が基材表面に形成され
る。その後、アナターゼの結晶化温度以上の温度で焼成
して、無定型酸化チタンをアナターゼ型酸化チタンに相
転移させる。
【0024】(3)電子ビーム蒸着法 酸化チタンのターゲットに電子ビームを照射することに
より、基材表面に無定型酸化チタンの層を形成する。そ
の後、アナターゼの結晶化温度以上の温度で焼成して、
無定型酸化チタンをアナターゼ型酸化チタンに相転移さ
せる。
【0025】次に、表面層が光半導体とシリカからなる
場合について、光半導体がアナターゼ型酸化チタンの場
合を例にとり説明する。この場合の方法は、例えば、以
下の3つの方法がある。1つの方法はゾル塗布焼成法で
あり、他の方法は有機チタネート法であり、他の方法は
4官能性シラン法である。 (1)ゾル塗布焼成法 アナターゼ型酸化チタンゾルとシリカゾルとの混合液
を、基材表面にスプレーコーティング法、ディップコー
ティング法、フローコーティング法、スピンコーティン
グ法、ロールコーティング法等の方法で塗布し、焼成す
る。
【0026】(2)有機チタネート法 チタンアルコキシド(テトラエトキシチタン、テトラメ
トキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキ
シチタン等)、チタンアセテート、チタンキレート等の
有機チタネートに加水分解抑制剤(塩酸、エチルアミン
等)とシリカゾルを添加し、アルコール(エタノール、
プロパノール、ブタノール等)などの非水溶媒で希釈し
た後、部分的に加水分解を進行させながら又は完全に加
水分解を進行させた後、混合物をスプレーコーティング
法、ディップコーティング法、フローコーティング法、
スピンコーティング法、ロールコーティング法等の方法
で塗布し、乾燥させる。乾燥により、有機チタネートの
加水分解が完遂して水酸化チタンが生成し、水酸化チタ
ンの脱水縮重合により無定型酸化チタンの層が基材表面
に形成される。その後、アナターゼの結晶化温度以上の
温度で焼成して、無定型酸化チタンをアナターゼ型酸化
チタンに相転移させる。
【0027】(3)4官能性シラン法 テトラアルコキシシラン(テトラエトキシシラン、テト
ラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメ
トキシシラン等)とアナターゼ型酸化チタンゾルとの混
合物を基材の表面にスプレーコーティング法、ディップ
コーティング法、フローコーティング法、スピンコーテ
ィング法、ロールコーティング法等の方法で塗布し、必
要に応じて加水分解させてシラノールを形成した後、加
熱等の方法でシラノールを脱水縮重合に付す。
【0028】次に、表面層が光半導体と固体酸からなる
場合について、光半導体がアナターゼ型酸化チタン、固
体酸がTiO2 /WO3 の場合を例にとり説明する。こ
の場合の方法は、タングステン酸のアンモニア溶解液と
アナターゼ型酸化チタンゾルとを混合し、必要に応じて
希釈液(水、エタノール等)で希釈した混合物を基材の
表面にスプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロ
ールコーティング法等の方法で塗布し、焼成する。
【0029】次に、表面層が光半導体とシリコーンから
なる場合について、光半導体がアナターゼ型酸化チタン
の場合を例にとり説明する。この場合の方法は、未硬化
の若しくは部分的に硬化したシリコーン又はシリコーン
の前駆体からなる塗料とアナターゼ型酸化チタンゾルと
を混合し、シリコーンの前駆体を必要に応じて加水分解
させた後、混合物を基材の表面にスプレーコーティング
法、ディップコーティング法、フローコーティング法、
スピンコーティング法、ロールコーティング法等の方法
で塗布し、加熱等の方法でシリコーンの前駆体の加水分
解物を脱水縮重合に付して、アナターゼ型酸化チタン粒
子とシリコーンからなる表面層を形成する。形成された
表面層は、紫外線を含む光の照射によりアナターゼ型酸
化チタンが光励起されることにより、シリコーン分子中
のケイ素原子に結合した有機基の少なくとも一部を水酸
基に置換され、さらにその上に物理吸着水層が形成され
て、高度の親水性を呈する。ここでシリコーンの前駆体
には前述の物質を用いることができる。
【0030】
【実施例】実施例1:ウレタン板を基体とする滑走具 まず、10cm角のウレタン板表面に、プライマー塗料
(東芝シリコーン、PH93をトルエン溶媒で6倍に希
釈した塗料)をスプレーコーティング法にて塗布後室温
で乾燥させて、基板をプライマー樹脂層で被覆した。次
に、シリコーン系ハードコーティング剤(東芝シリコー
ン、トスガード)をフローコーティング法にて塗布し、
90℃で3時間乾燥し、プライマー樹脂層の上にハード
コート層を形成した。
【0031】さらに、ハードコート層表面を、コロナ表
面処理装置(春日電機)により、電極にワイヤー電極を
用い、電極先端と試料表面とのギャップ2mm、電圧26
kV、周波数39kHz 、試料送り速度4.2m/分の条件
で、高周波コロナ放電処理して#1試料を得た。
【0032】一方、アナターゼ型酸化チタンゾル56重
量部(日産化学、TA−15、平均粒径12nm)とシリ
カゾル33重量部(日本合成ゴム、グラスカA液)を混
合し、エタノールで希釈後、さらにメチルトリメトキシ
シラン11重量部(日本合成ゴム、グラスカB液)を添
加し、酸化チタン含有塗料組成物を調整した。上記塗料
組成物を、#1試料に、フローコーティング法にて塗布
し、90℃で3時間熱処理して硬化させ、#2試料を得
た。
【0033】この#2試料を、紫外線光源(三共電気、
ブラックライトブルー(BLB)蛍光灯)を用いて試料
の表面に0.6mW/cm2の紫外線照度で約48時間紫外線
を照射し、#3試料を得た。比較のため、10cm角のP
MMA板試料も準備した。
【0034】まず、#3試料とウレタン板試料に水滴を
滴下し、滴下後の様子の観察及び水との接触角の測定を
行った。ここで水との接触角は接触角測定器(協和界面
科学、CA−X150)を用い、滴下後30秒後の水と
の接触角で評価した。その結果#3試料はマイクロシリ
ンジから試料表面に水滴を滴下されると、水滴が一様に
水膜状に試料表面を拡がる様子が観察された。また30
秒後の水との接触角は約0°まで高度に親水化されてい
た。それに対し、ウレタン板試料ではマイクロシリンジ
から試料表面に水滴を滴下されると、水滴は表面にやや
なじむものの、一様に水膜状になるまでには至らなかっ
た。また30秒後の水との接触角は70°であった。
【0035】実施例2:ステンレス板を基体とする滑走
エタノールの溶媒86重量部に、テトラエトキシシラン
(和光純薬)6重量部と純水6重量部とテトラエトキシ
シランの加水分解抑制剤として36%塩酸2重量部を加
えて混合し、シリカコーティング溶液を調製した。この
溶液をフローコーティング法により10cm四角のステン
レス板の表面に塗布し、80℃の温度で乾燥させた。乾
燥に伴い、テトラエトキシシランは加水分解を受けてま
ずシラノールになり、続いてシラノールの脱水縮重合に
より、無定型シリカの薄膜がステンレス板の表面に形成
された。
【0036】次に、テトラエトキシチタン(Merc
k)1重量部とエタノール9重量部との混合物に加水分
解抑制剤として36%塩酸0.1重量部添加して酸化チ
タンコーティング溶液を調製し、この溶液を上記無定型
シリカの薄膜に乾燥空気中でフローコーティング法によ
り塗布した。塗布量は酸化チタンに換算して45μg/cm
2 とした。テトラエトキシチタンの加水分解速度は極め
て早いので、塗布の段階でテトラエトキシチタンの一部
は加水分解され、水酸化チタンが生成し始めた。
【0037】次に、このステンレス板を1〜10分間約
150℃の温度に保持することにより、テトラエトキシ
チタンの加水分解を完了させるとともに、生成した水酸
化チタンを脱水縮重合に付し、無定型酸化チタンがコー
ティングされたステンレス板を得た。この試料を500
℃の温度で焼成して、無定型酸化チタンをアナターゼ型
酸化チタンに結晶化させて、光半導体含有層を有する試
料を得た。
【0038】この試料と、比較のためステンレス板につ
いて、以下の2つの評価を行った。 (1)紫外線照射時の表面親水性回復性能の評価 試料表面にオレイン酸を塗布し、中性洗剤(ママレモ
ン)でこすり、水道水及び蒸留水で濯いだ後、乾燥器に
より50℃で30分乾燥させることにより、表面を故意
に汚染させ、その後、BLB蛍光灯を0.5mW/cm2で5
時間照射して試料表面の水との接触角の変化を調べた。
その結果、ステンレス板では、汚染後及びBLB蛍光灯
照射後の水との接触角は共に70°と変化が認められな
かったのに対し、光半導体含有層を形成した試料では、
汚染後50°であった水との接触角は、BLB蛍光灯照
射後にはほぼ0°まで高度に親水化された。
【0039】(2)オレイン酸の水浸漬洗浄効果 (1)の試験で使用した試料表面に、オレイン酸を塗布
し、試料表面を水平姿勢に保持しながら、試料を水槽に
満たした水の中に浸漬した。その結果。ステンレス板で
は、オレイン酸は試料の表面に付着したままであり、水
中で軽く指でこすっても油が試料上で延びるだけであっ
たのに対し、光半導体含有層を形成した試料では、オレ
イン酸は丸まって油滴状になり、水中で軽く指でこする
程度で、試料表面から釈放されて浮上した。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の氷雪滑走具は、その滑走面に光半導体含有層が形成さ
れており、該光半導体の光励起に応じて該滑走面が高度
に親水性を呈するので、滑走面と氷雪表面との間に水膜
が保たれ易く、その水膜の潤滑効果によって摩擦が低下
し、良好な滑走状態を得ることができる。また、光半導
体含有層は、硬質のセラミック膜や強靭な樹脂マトリッ
クス複合層として得ることもできるため、摩耗消耗しず
らく滑りの良さが長持ちする。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 氷雪上を滑走するのに用いる氷雪滑走具
    であって、その滑走面に光半導体含有層が形成されてお
    り、該光半導体の光励起に応じて該滑走面が高度に親水
    性を呈することを特徴とする氷雪滑走具。
  2. 【請求項2】 上記光半導体含有層が、さらに、シリ
    カ、固体超強酸、シリコーンのうちの少なくとも1種を
    含有することを特徴とする請求項1記載の氷雪滑走具。
  3. 【請求項3】 上記親水性の程度が水との接触角に換算
    して10°以下であることを特徴とする請求項1又は2
    記載の氷雪滑走具。
  4. 【請求項4】 上記親水性の程度が水との接触角に換算
    して5°以下であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の氷雪滑走具。
  5. 【請求項5】 上記氷雪滑走具が、Fe、Ni、Coの
    少なくとも1種を含有する金属材料からなる基体を有
    し、 上記光半導体含有層が、該基体表面に、上記金属の原子
    の拡散を防止する層を介して形成されていることを特徴
    とする請求項1〜4いずれか1項記載の氷雪滑走具。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008509265A (ja) * 2004-08-13 2008-03-27 ホルメンコル スポルト−テクノロジーズ ゲーエムベーハー ウント コーポレーション カーゲー スポーツ用品のための潤滑剤
JP2010024358A (ja) * 2008-07-18 2010-02-04 Admatechs Co Ltd 滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具

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