JPH10196068A - 着雪防止性屋根材 - Google Patents

着雪防止性屋根材

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Publication number
JPH10196068A
JPH10196068A JP1591097A JP1591097A JPH10196068A JP H10196068 A JPH10196068 A JP H10196068A JP 1591097 A JP1591097 A JP 1591097A JP 1591097 A JP1591097 A JP 1591097A JP H10196068 A JPH10196068 A JP H10196068A
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JP
Japan
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surface layer
water
photocatalyst
sample
snow
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Pending
Application number
JP1591097A
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English (en)
Inventor
Makoto Hayakawa
信 早川
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
Application filed by Toto Ltd filed Critical Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない電力量で着雪を防止することの可能な
ヒ−タ−付屋根材の提供。 【解決手段】 ヒ−タ−付屋根材基材表面に、実質的に
透明な光触媒粒子を含有する表面層を備えた着雪防止性
屋根材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着雪防止性を有す
る屋根材に関する。
【0002】
【従来の技術】屋根に氷雪が付着すると、その重みによ
って、例えば、屋根の変形等が生じるおそれがある。そ
のため、降雪地域では雪おろしが頻繁に行われている。
しかし雪おろしは重労働であり大変である。そこで、近
年、ヒ−タ−等の融雪手段を備えた屋根材が提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、屋根材
に単にヒ−タ−等の融雪手段を組込むだけでは、以下の
問題点がある。 (1)ヒ−タ−による電力消費が大きくコスト高にな
る。 (2)屋根材に融雪後の水滴が残留すると、ヒ−タ−O
FFにしたときに降雪すると、残留水滴を核として着雪
が早く進行する。そのため着雪量が多くなり、それを除
去するには多くの電力消費が必要となり、よりコスト高
になる。そこで本発明では、残留水滴が残留しにくく、
融雪効率の高いヒ−タ−付屋根材を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、光触媒を含有
する表面層を形成した部材において、光触媒を光励起す
ると、部材の表面が高度に親水化されるという発見であ
る。この現象は以下に示す機構により進行すると考えら
れる。すなわち、光触媒の価電子帯上端と伝導帯下端と
のエネルギ−ギャップ以上のエネルギ−を有する光が光
触媒に照射されると、光触媒の価電子帯中の電子が励起
されて伝導電子と正孔が生成し、そのいずれかまたは双
方の作用により、おそらく表面に極性が付与され、水や
水酸基等の極性成分が集められる。そして伝導電子と正
孔のいずれかまたは双方と、上記極性成分との協調的な
作用により、表面と前記表面に化学的に吸着した汚染物
質との化学結合を切断すると共に、表面に化学吸着水が
吸着し、さらに物理吸着水層がその上に形成されるので
ある。また、一旦部材表面が高度に親水化されたなら
ば、部材を暗所に保持しても、表面の親水性はある程度
の期間持続する。
【0005】本発明では、ヒ−タ−付屋根基材表面に、
光触媒粒子を含有する表面層を備えてなる着雪防止性屋
根材を提供する。光触媒を含有する表面層を備えること
により、光触媒の光励起に応じて、表面層の表面は親水
性を呈するようになるので、融雪後の水は水滴を形成せ
ずに前記層の表面に一様に広がり、融雪後の水滴の残留
が生じにくくなる。従って、残留水滴を核として着雪が
進行しにくくなるので、着雪速度を低減することが可能
となり、引いては着雪量を低減可能となる。従ってより
少ない電力消費で着雪防止することが可能となる。さら
に、本発明者は、光触媒を含有する表面層を備える部材
では、水中に浸漬したときに、部材表面に気泡が生じに
くいという現象を発見した。従って、この事実に基づけ
ば、光触媒を含有する表面層を備える部材では、光触媒
の光励起に応じて、表面層の表面は親水性を呈するよう
になるので、部材表面と着雪とは、その間に気泡を生じ
ずに、密に接するようになるので、融雪効率が向上し、
従ってより少ない電力消費で着雪防止することが可能と
なる。
【0006】本発明の好ましい態様においては、表面層
には、さらにシリカが含有されているようにする。シリ
カが含有されることにより、表面が水濡れ角0゜に近い
高度の親水性を呈しやすくなると共に、暗所に保持した
ときの親水維持性が向上する。その理由はシリカは構造
中に水を蓄えることができることと関係していると思わ
れる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、表面層
には、さらに固体酸が含有されているようにする。固体
酸が含有されることにより、表面が水濡れ角0゜に近い
高度の親水性を呈しやすくなると共に、暗所に保持した
ときの親水維持性が向上する。その理由は表面層に固体
酸が含有されると、表面の極性が、光の有無にかかわら
ず大きな状態にあるために、疎水性分子よりも極性分子
である水分子を選択的に吸着させやすい。そのため安定
な物理吸着水層が形成されやすく、暗所に保持しても、
表面の親水性をかなり長期にわたり高度に維持できる。
【0008】本発明の好ましい態様においては、表面層
には、さらにシリコ−ンが含有されているようにする。
シリコ−ンが含有されることにより、光触媒の光励起に
よって、シリコ−ン中のシリコン原子に結合する有機基
の少なくとも一部が水酸基に置換され、さらにその上に
物理吸着水層が形成されることにより、表面が水濡れ角
0゜に近い高度の親水性を呈するようになると共に、暗
所に保持したときの親水維持性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の具体的な構成例に
ついて説明する。本発明における着雪防止性屋根材表面
には、図1又は図2に示すように、基材の表面に光触媒
を含む層が形成されている。ヒ−タ−は、例えば、基材
と光触媒を含む層との間に薄膜状に形成されているよう
にする。
【0010】図1においては、表面層が光触媒のみから
なる場合には、光触媒は酸化物であることが好ましい。
そうすることにより、酸化物は環境中の汚染物質が吸着
していない状態では親水性を示すので、光励起作用によ
りその汚染物質を排斥させ、吸着水層を形成させること
で、親水性を呈しやすく、一様な水膜が形成できる。図
2において、Mは金属元素を示す。従って、図2の場
合、最表面は一般の無機酸化物からなる。この場合も、
酸化物は環境中の汚染物質が吸着していない状態では親
水性を示すので、上記無機酸化物以外に表面層に混入す
る光触媒性酸化チタンの光励起作用によりその汚染物質
を排斥させ、吸着水層を形成させることで、一様な水膜
が形成できる。
【0011】本発明における屋根基材には、瓦、スレ−
ト、トタン等の周知の基材が利用できる。基材と表面層
との間には、密着性向上、意匠性向上等の目的で、シリ
カ、水ガラス、釉薬、グレ−ズ、シリコ−ン、アクリル
シリコン、モルタル、セメント、コンクリ−ト等からな
る中間層を設けてもよい。
【0012】光触媒とは、その結晶の伝導帯と価電子帯
との間のエネルギ−ギャップよりも大きなエネルギ−
(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したとき
に、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導
電子と正孔を生成しうる物質をいい、例えば、アナタ−
ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化錫、酸化亜
鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二
鉄、チタン酸ストロンチウム等が好適に利用できる。こ
こで光触媒の光励起に用いる光源としては、太陽光、街
灯、常夜灯等の環境にある光源を利用してもよいし、及
び付属設備や携帯設備として、励起光を照射しうる光源
を使用してもよい。その場合使用する光源には、例え
ば、蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、殺菌灯等が好適に利用できる。
光触媒の光励起により、基材表面が高度に親水化される
ためには、励起光の照度は、0.001mW/cm2
上あればよいが、0.01mW/cm2以上だと好まし
く、0.1mW/cm2以上だとより好ましい。
【0013】上記表面層は、下地の意匠性を活用するた
めには透明であるのが好ましく、そのためには光触媒を
含有する表面層の膜厚は、0.4μm以下にするのが好
ましい。そうすれば、光の乱反射による白濁を防止する
ことができ、表面層は実質的に透明となる。さらに、光
触媒を含有する表面層の膜厚を0.2μm以下にすると
一層好ましい。そうすれば、光の干渉による表面層の発
色を防止することができる。また、表面層が薄ければ薄
いほどその透明度は向上する。更に、膜厚を薄くすれ
ば、表面層の耐摩耗性が向上する。上記表面層の表面
に、更に、親水化可能な耐摩耗性又は耐食性の保護層や
他の機能膜を設けても良い。
【0014】上記表面層は、下地の意匠性を活用するた
めには透明であるのが好ましく、そのためには基材と比
較して屈折率があまり高くないのが好ましい。好ましく
は表面層の屈折率は2以下であるのがよい。そうすれ
ば、基材と表面層との界面、及び表面層と空気との界面
における光の反射を抑制できる。表面層の屈折率を2以
下にするには、光触媒に2以下の屈折率を有する物質を
用いるか、或いは光触媒が屈折率2以上の場合には、屈
折率2以下の他の物質を表面層に添加する。2以下の屈
折率を有する光触媒としては、酸化錫(屈折率1.9)
等が利用できる。2以上の屈折率を有する光触媒には、
アナタ−ゼ型酸化チタン(屈折率2.5)やルチル型酸
化チタン(屈折率2.7)があるが、この場合には屈折
率2以下の他の物質、例えば、炭酸カルシウム(屈折率
1.6)、水酸化カルシウム(屈折率1.6)、炭酸マ
グネシウム(屈折率1.5)、炭酸ストロンチウム(屈
折率1.5)、ドロマイト(屈折率1.7)、フッ化カ
ルシウム(屈折率1.4)、フッ化マグネシウム(屈折
率1.4)、シリカ(屈折率1.5)、アルミナ(屈折
率1.6)、ケイ砂(屈折率1.6)、モンモリロナイ
ト(屈折率1.5)、カオリン(屈折率1.6)、セリ
サイト(屈折率1.6)、ゼオライト(屈折率1.
5)、酸化錫(屈折率1.9)等を表面層に添加すれば
よい。
【0015】上記表面層には、Ag、Cu、Znのよう
な金属を添加することができる。前記金属を添加した表
面層は、表面に付着した細菌や黴を暗所でも死滅させる
ことができる。
【0016】上記表面層には、Pt、Pd、Ru、R
h、Ir、Osのような白金族金属を添加することがで
きる。前記金属を添加した表面層は、光触媒の酸化還元
活性を増強でき、脱臭浄化作用等が向上する。また、光
触媒以外に固体酸を添加した場合には、白金族金属の添
加により固体酸の酸度が向上するので、親水維持性も向
上し、付着水の水膜化がより促進されると共に、ある程
度長期間光触媒に励起光が照射されない場合の親水維持
性も向上する。上記表面層には、Moを添加することが
できる。光触媒以外に固体酸を添加した場合に、Moを
添加すると固体酸の酸度が向上するので、親水維持性も
向上し、付着水の水膜化がより促進されると共に、ある
程度長期間光触媒に励起光が照射されない場合の親水維
持性も向上する。
【0017】基材がナトリウムのようなアルカリ網目修
飾イオンを含む基材の場合には、基材と表面層との間に
シリカ等の中間層を形成してもよい。そうすれば、焼成
中にアルカリ網目修飾イオンが基材から表面層へ拡散す
るのが防止され、光触媒機能がよりよく発揮される。
【0018】親水性とは、表面に水を滴下したときにな
じみやすい性質をいい、一般に水濡れ角が90゜未満の
状態をいう。本発明における高度の親水性とは、表面に
水を滴下したときに非常になじみやすい性質をいい、よ
り具体的には水濡れ角が10゜以下程度になる状態をい
う。特に、防曇性にはPCT/JP96/00734に
開示したように、水濡れ角が10゜以下であると好まし
く、5゜以下ではより好ましい。
【0019】本発明における固体酸には、硫酸担持Al
23、硫酸担持TiO2、硫酸担持ZrO2、硫酸担持S
nO2、硫酸担持Fe23、硫酸担持SiO2、硫酸担持
HfO2、TiO2/WO3、WO3/SnO2、WO3/Z
rO2、WO3/Fe23、SiO2・Al23、TiO2
/SiO2、TiO2/Al23、TiO2/ZrO2等が
好適に利用できる。
【0020】次に、表面層の形成方法について説明す
る。まず表面層が光触媒のみからなる場合の製法につい
て、光触媒がアナタ−ゼ型酸化チタンの場合を例にとり
説明する。この場合の方法は、大別して3つの方法があ
る。1つの方法はゾル塗布焼成法であり、他の方法は有
機チタネ−ト法であり、他の方法は電子ビ−ム蒸着法で
ある。 (1)ゾル塗布焼成法 アナタ−ゼ型酸化チタンゾルを、基材表面に、スプレ−
コ−ティング法、ディップコ−ティング法、フロ−コ−
ティング法、スピンコ−ティング法、ロ−ルコ−ティン
グ法等の方法で塗布し、焼成する。 (2)有機チタネ−ト法 チタンアルコキシド(テトラエトキシチタン、テトラメ
トキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキ
シチタン等)、チタンアセテ−ト、チタンキレ−ト等の
有機チタネ−トに加水分解抑制剤(塩酸、エチルアミン
等)を添加し、アルコ−ル(エタノ−ル、プロパノ−
ル、ブタノ−ル等)などの非水溶媒で希釈した後、部分
的に加水分解を進行させながら又は完全に加水分解を進
行させた後、混合物をスプレ−コ−ティング法、ディッ
プコ−ティング法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−
ティング法、ロ−ルコ−ティング法等の方法で塗布し、
乾燥させる。乾燥により、有機チタネ−トの加水分解が
完遂して水酸化チタンが生成し、水酸化チタンの脱水縮
重合により無定型酸化チタンの層が基材表面に形成され
る。その後、アナタ−ゼの結晶化温度以上の温度で焼成
して、無定型酸化チタンをアナタ−ゼ型酸化チタンに相
転移させる。 (3)電子ビ−ム蒸着法 酸化チタンのタ−ゲットに電子ビ−ムを照射することに
より、基材表面に無定型酸化チタンの層を形成する。そ
の後、アナタ−ゼの結晶化温度以上の温度で焼成して、
無定型酸化チタンをアナタ−ゼ型酸化チタンに相転移さ
せる。
【0021】次に、表面層が光触媒とシリカからなる場
合について、光触媒がアナタ−ゼ型酸化チタンの場合を
例にとり説明する。この場合の方法は、例えば、以下の
3つの方法がある。1つの方法はゾル塗布焼成法であ
り、他の方法は有機チタネ−ト法であり、他の方法は4
官能性シラン法である。 (1)ゾル塗布焼成法 アナタ−ゼ型酸化チタンゾルとシリカゾルとの混合液
を、基材表面にスプレ−コ−ティング法、ディップコ−
ティング法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−ティン
グ法、ロ−ルコ−ティング法等の方法で塗布し、焼成す
る。 (2)有機チタネ−ト法 チタンアルコキシド(テトラエトキシチタン、テトラメ
トキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキ
シチタン等)、チタンアセテ−ト、チタンキレ−ト等の
有機チタネ−トに加水分解抑制剤(塩酸、エチルアミン
等)とシリカゾルを添加し、アルコ−ル(エタノ−ル、
プロパノ−ル、ブタノ−ル等)などの非水溶媒で希釈し
た後、部分的に加水分解を進行させながら又は完全に加
水分解を進行させた後、混合物をスプレ−コ−ティング
法、ディップコ−ティング法、フロ−コ−ティング法、
スピンコ−ティング法、ロ−ルコ−ティング法等の方法
で塗布し、乾燥させる。乾燥により、有機チタネ−トの
加水分解が完遂して水酸化チタンが生成し、水酸化チタ
ンの脱水縮重合により無定型酸化チタンの層が基材表面
に形成される。その後、アナタ−ゼの結晶化温度以上の
温度で焼成して、無定型酸化チタンをアナタ−ゼ型酸化
チタンに相転移させる。 (3)4官能性シラン法 テトラアルコキシシラン(テトラエトキシシラン、テト
ラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメ
トキシシラン等)とアナタ−ゼ型酸化チタンゾルとの混
合物を基材の表面にスプレ−コ−ティング法、ディップ
コ−ティング法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−テ
ィング法、ロ−ルコ−ティング法等の方法で塗布し、必
要に応じて加水分解させてシラノ−ルを形成した後、加
熱等の方法でシラノ−ルを脱水縮重合に付す。
【0022】次に、表面層が光触媒と固体酸からなる場
合について、光触媒がアナタ−ゼ型酸化チタン、固体酸
がTiO2/WO3の場合を例にとり説明する。この場合
の1つの方法は、タングステン酸のアンモニア溶解液と
アナタ−ゼ型酸化チタンゾルとを混合し、必要に応じて
希釈液(水、エタノ−ル等)で希釈した混合物を基材の
表面にスプレ−コ−ティング法、ディップコ−ティング
法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−ティング法、ロ
−ルコ−ティング法等の方法で塗布し、焼成する。他の
方法は、電子ビ−ム蒸着や、チタンアルコキシド、チタ
ンアセテ−ト、チタンキレ−ト等の有機チタネ−トの加
水分解及び脱水縮重合により、無定型酸化チタン被膜を
形成後、タングステン酸を塗布し、無定型酸化チタンが
結晶化し、かつTiO2/WO3複合酸化物が生成する温
度で熱処理する。
【0023】次に、表面層が光触媒とシリコ−ンからな
る場合について、光触媒がアナタ−ゼ型酸化チタンの場
合を例にとり説明する。この場合の方法は、未硬化の若
しくは部分的に硬化したシリコ−ン又はシリコ−ンの前
駆体からなる塗料とアナタ−ゼ型酸化チタンゾルとを混
合し、シリコ−ンの前駆体を必要に応じて加水分解させ
た後、混合物を基材の表面にスプレ−コ−ティング法、
ディップコ−ティング法、フロ−コ−ティング法、スピ
ンコ−ティング法、ロ−ルコ−ティング法等の方法で塗
布し、加熱等の方法でシリコ−ンの前駆体の加水分解物
を脱水縮重合に付して、アナタ−ゼ型酸化チタン粒子と
シリコ−ンからなる表面層を形成する。形成された表面
層は、紫外線を含む光の照射によりアナタ−ゼ型酸化チ
タンが光励起されることにより、シリコ−ン分子中のケ
イ素原子に結合した有機基の少なくとも一部を水酸基に
置換され、さらにその上に物理吸着水層が形成されて、
高度の親水性を呈する。ここでシリコ−ンの前駆体に
は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキ
シシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエト
キシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリプ
ロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、
フェニルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシ
シラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメト
キシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジブ
トキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、フェニル
メチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシ
ラン、フェニルメチルジブトキシシラン、フェニルメチ
ルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、及びそれらの加水分解物、それらの混
合物が好適に利用できる。
【0024】その他、上記コ−ティングを塗布したフィ
ルムを基材表面にセッケン水等の透明接着剤で貼着して
もよい。ここでフィルム基材には、ポリエチレンテレフ
タレ−ト、ポリエステル、ポリエチレン等のプラスチッ
ク製フィルムが好適に利用できる。
【0025】
【実施例】
実施例1.(+無定型シリカ) テトラエトキシシラン(和光純薬)0.69gとアナタ
−ゼ型酸化チタンゾル(日産化学、TA−15、平均粒
径10nm)1.07gとエタノ−ル29.88gと、
純水0.36gを混合し、コ−ティング液を調製した。
このコ−ティング液をフロ−コ−ティング法により、1
0cm角のスレ−ト板基材上に塗布した。このガラス板
を約20分間約150℃の温度に保持することにより、
テトラエトキシシランを加水分解と脱水縮重合に付し、
アナタ−ゼ型酸化チタン粒子が無定型シリカで結着され
たコ−ティングをガラス板表面に形成した。このコ−テ
ィング中の、酸化チタンとシリカとの重量比は1であっ
た。この板を数日間暗所に放置した後、紫外線光源(三
共電気、ブラックライトブル−(BLB)蛍光灯)を用
いて試料の表面に0.5mW/cm2の紫外線照度で約
1時間紫外線を照射し、#1試料を得た。比較のため、
10cm角のスレ−ト板を数日間暗所に放置した#2試
料も準備した。まず、#1試料と#2試料に水滴を滴下
し、滴下後の様子の観察及び水との接触角の測定を行っ
た。ここで水との接触角は接触角測定器(協和界面科
学、CA−X150)を用い、滴下後30秒後の水との
接触角で評価した。その結果#1試料はマイクロシリン
ジから試料表面に水滴を滴下されると、水滴が一様に水
膜状に試料表面を拡がる様子が観察された。また30秒
後の水との接触角は約0゜まで高度に親水化されてい
た。それに対し、#2試料ではマイクロシリンジから試
料表面に水滴を滴下されると、水滴は表面になじんでい
くものの、一様に水膜状になるまでには至らず、水滴状
に残留する様子が観察された。また30秒後の水との接
触角は60゜であった。さらに、#1試料を、その後2
日間暗所に放置し、#3試料を得た。そして#3試料に
ついて、同様に水との接触角を接触角測定器により測定
した。その結果、#3試料にマイクロシリンジから試料
表面に水滴を滴下されると、#1試料と同様に、水滴が
一様に水膜状に試料表面を拡がる様子が観察された。ま
た水との接触角は約3゜に維持された。
【0026】実施例2.(+TiO2/WO3) 10cm角のスレ−ト板の表面に電子ビ−ム蒸着法によ
り無定型酸化チタン膜を被着し、その後500℃の温度
で焼成することにより、無定型酸化チタンを結晶化させ
てアナタ−ゼ型酸化チタンを生成させた。アナタ−ゼ型
酸化チタン被膜の膜厚は100nmであった。さらに、
その上に25%アンモニア水に溶解させたタングステン
酸を、タングステン酸重量に換算して0.6μg/cm
2を塗布後、500℃の温度で焼成した。 この板を数
日間暗所に放置した後、BLB蛍光灯を用いて試料の表
面に0.5mW/cm2の紫外線照度で約1時間紫外線
を照射し、#4試料を得た。比較のため、10cm角の
ガラス板を数日間暗所に放置した実施例1で用いた#2
試料も準備した。まず、#4試料と#2試料に水滴を滴
下し、滴下後の様子の観察及び水との接触角の測定を行
った。その結果#4試料はマイクロシリンジから試料表
面に水滴を滴下されると、水滴が一様に水膜状に試料表
面を拡がる様子が観察された。また30秒後の水との接
触角は約0゜まで高度に親水化されていた。それに対
し、#2試料ではマイクロシリンジから試料表面に水滴
を滴下されると、水滴は表面になじんでいくものの、一
様に水膜状になるまでには至らず、水滴状に残留する様
子が観察された。また30秒後の水との接触角は60゜
であった。さらに、#4試料を、その後2日間暗所に放
置し、#5試料を得た。そして#5試料について、同様
に水との接触角を接触角測定器により測定した。その結
果、#5試料にマイクロシリンジから試料表面に水滴を
滴下されると、#4試料と同様に、水滴が一様に水膜状
に試料表面を拡がる様子が観察された。また水との接触
角は約1゜に維持された。
【0027】実施例3.(+TiO2/無定型シリカ、
フィルム貼着) まず、10cm角のポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)フィルムを、コロナ放電処理後、プライマ−(信越
化学、PC−7A)をフロ−コ−ティング法で塗布し、
120℃で5分熱処理することにより、プライマ−層を
形成した。次に、プライマ−層をコロナ放電処理後、シ
リコ−ンハ−ドコ−ティング液をフロ−コ−ティング法
で塗布し、120℃で10分熱処理することにより、ハ
−ドコ−ティング層を形成した。次に、ハ−ドコ−ティ
ング層をコロナ放電処理後、光触媒コ−ティング液(酸
化チタン13重量部とテトラエトキシシラン7重量部を
水とアルコ−ルの混合溶媒中に分散させた混合液)をフ
ロ−コ−ティング法で塗布し、常温で10分乾燥させて
光触媒性フィルムを得た。このフィルムの裏側にセッケ
ン水を塗布し、10cm角のシリカ被覆したスレ−ト板
基材表面に貼着した。この板を数日間暗所に放置した
後、BLB蛍光灯を用いて試料の表面に0.5mW/c
2の紫外線照度で約1時間紫外線を照射し、#6試料
を得た。比較のため、10cm角のポリエチレンテレフ
タレ−ト(PET)フィルムを、裏側にセッケン水を塗
布し、10cm角のシリカ被覆したスレ−ト板基材表面
に貼着した#7試料も準備した。まず、#6試料と#7
試料に水滴を滴下し、滴下後の様子の観察及び水との接
触角の測定を行った。ここで水との接触角は接触角測定
器(協和界面科学、CA−X150)を用い、滴下後3
0秒後の水との接触角で評価した。その結果#6試料は
マイクロシリンジから試料表面に水滴を滴下されると、
水滴が一様に水膜状に試料表面を拡がる様子が観察され
た。また30秒後の水との接触角は約0゜まで高度に親
水化されていた。それに対し、#7試料ではマイクロシ
リンジから試料表面に水滴を滴下されると、水滴は水滴
状のまま止まった。また30秒後の水との接触角は80
゜であった。さらに、#6試料を、その後2日間暗所に
放置し、#7試料を得た。そして#7試料について、同
様に水との接触角を接触角測定器により測定した。その
結果、#7試料にマイクロシリンジから試料表面に水滴
を滴下されると、#6試料と同様に、水滴が一様に水膜
状に試料表面を拡がる様子が観察された。また水との接
触角は約3゜に維持された。さらに、#6試料と#7試
料を水を満した透明容器に浸漬させた。その結果、#7
試料表面には気泡の付着が観察されたのに対し、#6試
料表面では気泡の付着は観察されなかった。
【0028】
【発明の効果】本発明では、ヒ−タ−付屋根材表面に、
光触媒粒子を含有する表面層を備えることにより、光触
媒の光励起に応じて、表面層の表面は親水性を呈するよ
うになるので、融雪後の水滴の残留が生じず、それを核
として着雪が進行しなくなるので、着雪量が低減され
る。かつ光触媒の光励起に応じて、表面層の表面は親水
性を呈するようになるので、部材表面と着雪との間は気
泡を生じずに密に接するようになるので、融雪効率が向
上する。従って、より少ない電力量で着雪を防止するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る屋根材の表面構造を示す図。
【図2】本発明に係る屋根材の他の表面構造を示す図。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒ−タ−付屋根基材表面に、光触媒粒子
    を含有する表面層を備えてなる着雪防止性屋根材。
  2. 【請求項2】 前記表面層には、さらにシリカが含有さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の着雪防止性
    屋根材。
  3. 【請求項3】 前記表面層には、さらに固体酸が含有さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の着雪防止性
    屋根材。
  4. 【請求項4】 前記表面層には、さらにシリコ−ンが含
    有されていることを特徴とする請求項1に記載の着雪防
    止性屋根材。
  5. 【請求項5】 前記表面層の表面は、前記光触媒の光励
    起に応じて、水との接触角に換算して10゜以下の親水
    性を呈することを特徴とする請求項1〜4に記載の着雪
    防止性屋根材。
  6. 【請求項6】 前記表面層の表面は、前記光触媒の光励
    起に応じて、水との接触角に換算して5゜以下の親水性
    を呈することを特徴とする請求項1〜4に記載の着雪防
    止性屋根材。
  7. 【請求項7】 前記表面層の膜厚は0.4μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜6に記載の着雪防止性屋
    根材。
  8. 【請求項8】 前記表面層の膜厚は0.2μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜6に記載の着雪防止性屋
    根材。
  9. 【請求項9】 前記表面層の表面に、さらに親水化可能
    な保護層が設けられていることを特徴とする請求項1〜
    6に記載の着雪防止性屋根材。
  10. 【請求項10】 前記表面層の屈折率は2以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5に記載の着雪防止性屋根
    材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003206601A (ja) * 2002-01-15 2003-07-25 Taisei Laminator Co Ltd 屋根材
JP2006111680A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Ube Nitto Kasei Co Ltd 滑雪用塗膜形成コーティング組成物、滑雪用塗膜および滑雪用部材

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