JP2010024358A - 滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具 - Google Patents
滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010024358A JP2010024358A JP2008187677A JP2008187677A JP2010024358A JP 2010024358 A JP2010024358 A JP 2010024358A JP 2008187677 A JP2008187677 A JP 2008187677A JP 2008187677 A JP2008187677 A JP 2008187677A JP 2010024358 A JP2010024358 A JP 2010024358A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lubricant composition
- sliding surface
- fine particles
- amorphous silica
- silica fine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】持続性が高い滑走面用潤滑剤組成物を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】真球度が0.9以上の非晶質シリカ微粒子と、その非晶質シリカ微粒子を分散する潤滑剤基材とを有する。この滑走面用潤滑剤組成物は、長時間にわたって潤滑性能を発揮できる。スキーなどの滑走面には滑走面用潤滑剤組成物が浸透可能な凹部が形成され、滑走面用潤滑剤組成物はその凹部内にて潤滑性能を発揮する。滑走面用潤滑剤組成物は膨張・収縮を繰り返すことで凹部内から脱落し、潤滑性能が低下するが、含有する非晶質シリカ微粒子は熱膨張率が小さく、膨張・収縮が小さくなるため、滑走面の凹部内からの脱落が少なくなる。特に、非晶質シリカ微粒子の真球度が高いことより、凹部内へ大量に充填できるため、潤滑剤組成物全体としての熱膨張率を大きく低下できる。その結果、凹部内からの滑走面用潤滑剤組成物の脱落を効果的に防止でき、耐久性が向上する。
【選択図】なし
【解決手段】真球度が0.9以上の非晶質シリカ微粒子と、その非晶質シリカ微粒子を分散する潤滑剤基材とを有する。この滑走面用潤滑剤組成物は、長時間にわたって潤滑性能を発揮できる。スキーなどの滑走面には滑走面用潤滑剤組成物が浸透可能な凹部が形成され、滑走面用潤滑剤組成物はその凹部内にて潤滑性能を発揮する。滑走面用潤滑剤組成物は膨張・収縮を繰り返すことで凹部内から脱落し、潤滑性能が低下するが、含有する非晶質シリカ微粒子は熱膨張率が小さく、膨張・収縮が小さくなるため、滑走面の凹部内からの脱落が少なくなる。特に、非晶質シリカ微粒子の真球度が高いことより、凹部内へ大量に充填できるため、潤滑剤組成物全体としての熱膨張率を大きく低下できる。その結果、凹部内からの滑走面用潤滑剤組成物の脱落を効果的に防止でき、耐久性が向上する。
【選択図】なし
Description
本発明は、滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具に関する。
従来より、スノーボード、スキーなどの雪面滑走用器具の滑走面には、滑走性能向上や滑走面の保護などを目的として雪面との抵抗を低減させるためにワックス(滑走面用潤滑剤組成物)を塗布することが行われている。ワックスを塗布することにより、滑走面を被覆保護したり、撥水性を向上させて水の表面張力に由来する抵抗の低減ができる。また、ワックスを塗布することにより、雪面との間の摩擦が低減されて静電気の発生も抑制でき、摩擦や静電気に由来する抵抗が低減できる。
ところで、スキーやスノーボードによる滑走は長距離にわたるものや、非常に激しい動きを伴うものがある。その場合においても滑走面に塗布したワックスが耐久性良く残存することが望ましい。
従来の高耐久性化を目的とするワックスとしては基材中に窒化ホウ素を含有させる技術(特許文献1)や、マイクロカーボンを配合する技術(特許文献2)がある。
特開2007−161938号公報
特開2000−169796号公報
本発明は上記実情に鑑み為されたものであり、更なる滑走性能向上が実現できる滑走面用潤滑剤組成物及びその滑走面用潤滑剤組成物を滑走面に塗布した雪面滑走用器具を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、真球度が0.90以上の非晶質シリカ微粒子と、
前記非晶質シリカ微粒子を分散する潤滑剤基材と、を有することにある。
前記非晶質シリカ微粒子を分散する潤滑剤基材と、を有することにある。
上記課題を解決する請求項2に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項1において、前記非晶質シリカ微粒子は疎水性化剤で表面処理されていることにある。
上記課題を解決する請求項3に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項2において、前記疎水性化剤はヘキサメチルジシラザンであることにある。
上記課題を解決する請求項4に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記非晶質シリカ微粒子は金属ケイ素を酸素雰囲気下にて燃焼させて製造された物であることにある。
上記課題を解決する請求項5に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項1〜4の何れか1項において、前記非晶質シリカ微粒子の体積平均粒径は0.2μm〜2.0μmであることにある。
上記課題を解決する請求項6に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項1〜5の何れか1項において、前記潤滑剤基材はパラフィンワックスを含有することにある。
上記課題を解決する請求項7に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項6において、前記パラフィンワックスを構成するパラフィンの炭素数は17〜60であることにある。
上記課題を解決する請求項8に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項7において、前記炭素数が20〜28であることにある。
上記課題を解決する請求項9に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項1〜8の何れか1項において、全体の質量を基準として前記非晶質シリカ微粒子の含有率は5質量%〜50質量%であることにある。
上記課題を解決する請求項10に係る滑走面用潤滑剤組成物の特徴は、請求項9において、全体の質量を基準として前記非晶質シリカ微粒子の含有率は20質量%〜40質量%であることにある。
上記課題を解決する請求項11に係る雪面滑走用器具の特徴は、請求項1〜10の何れか1項に記載の滑走面用潤滑剤組成物を滑走面に塗布したことにある。
請求項1に係る滑走面用潤滑剤組成物は、真球度が高い非晶質シリカ微粒子を含有することにより、耐久性が高く、長時間にわたって潤滑性能を発揮することができるという効果が発揮できる。スキーやスノーボードの滑走面には滑走面用潤滑剤組成物が浸透可能な凹部が形成されるものがある。滑走面用潤滑剤組成物は滑走面に存在するナノメートルからマイクロメートルオーダーの凹部内に入り込んで潤滑性能を発揮していることが考えられている。凹部の形態は多孔質状、溝状などがある。滑走面用潤滑剤組成物は滑走により発生する摩擦熱による膨張・冷却による収縮を繰り返すことにより凹部内から脱落し、潤滑性能が低下するものと考えられるが、本発明の滑走面用潤滑剤組成物が含有する非晶質シリカ微粒子は一般的に採用される潤滑剤基材よりも熱膨張率が小さく、滑走に伴う膨張・収縮の程度が小さくなるため、滑走面用潤滑剤組成物が滑走面の凹部内から脱落する程度が少なくなるものと考えられる。特に、非晶質シリカ微粒子は真球度が高いことより、凹部内へ大量に充填することができるため、潤滑剤組成物全体としての熱膨張率を大きく低下することができる。その結果、凹部内から滑走面用潤滑剤組成物が脱落することを効果的に防止することができ、耐久性を向上することができる。特に請求項4に係る滑走面用潤滑剤組成物のように、非晶質シリカ微粒子として金属ケイ素を酸素雰囲気下にて燃焼させて製造された物を採用することで真球度が高く、耐久性に優れた滑走面用潤滑剤組成物を提供することができる。
請求項2に係る滑走面用潤滑剤組成物は、非晶質シリカ微粒子の表面を疎水性化剤にて修飾することにより、本滑走面用潤滑剤組成物の疎水性を向上させることができ、高い潤滑性能が発揮できる。また、非晶質シリカ微粒子の表面の疎水性が向上することにより、潤滑剤基材との親和性が向上し、更なる耐久性の向上が実現できる。特に請求項3に係る滑走面用潤滑剤組成物のように、疎水性化剤としてのヘキサメチルジシラザンにて処理することが効果的である。
請求項5に係る滑走面用潤滑剤組成物は、非晶質シリカ微粒子の体積平均粒径を前述の範囲にすることにより、滑走面に形成された凹部内に進入させやすくなる効果を発揮できる。
請求項6に係る滑走面用潤滑剤組成物は、潤滑剤基材としてパラフィンワックスを採用することにより高い耐久性が実現できる。特に請求項7及び8に係る滑走面用潤滑剤組成物のように炭素数を設定することが効果的である。
請求項9に係る滑走面用潤滑剤組成物は、非晶質シリカ微粒子の含有量を前述の範囲にすることにより高い潤滑性能と耐久性とを両立することが可能になる。特に請求項10に係る滑走面用潤滑剤組成物のような構成比を採用することにより更に高い性能が発揮できる。
請求項11に係る雪面滑走用器具は上述したような滑走面用潤滑剤組成物を滑走面に塗布することにより高い潤滑性能を長時間にわたって発揮できる雪面滑走用器具を提供できる。
本発明の滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具について実施形態に基づき、以下詳細に説明する。
(滑走面用潤滑剤組成物)
本実施形態の滑走面用潤滑剤組成物は雪面滑走用器具などの滑走用器具の滑走面に塗布することにより潤滑性能を発現する組成物である。滑走用器具としてはスノーボード、スキー、そりが例示できる。これらの滑走用器具は雪面の滑走に用いることができるほか、人工雪などからなる人工雪面の滑走用に用いるものであっても良い。本実施形態の滑走面用潤滑剤組成物は単独で用いるほか、公知の滑走面用潤滑剤と併せて使用することもできる。公知の滑走面用潤滑剤と併せて用いる場合には、滑走面に重ねて塗布することができる。重ねて塗布する場合には本実施形態の滑走面用潤滑剤組成物は滑走面に直接塗布されることが望ましい。
本実施形態の滑走面用潤滑剤組成物は雪面滑走用器具などの滑走用器具の滑走面に塗布することにより潤滑性能を発現する組成物である。滑走用器具としてはスノーボード、スキー、そりが例示できる。これらの滑走用器具は雪面の滑走に用いることができるほか、人工雪などからなる人工雪面の滑走用に用いるものであっても良い。本実施形態の滑走面用潤滑剤組成物は単独で用いるほか、公知の滑走面用潤滑剤と併せて使用することもできる。公知の滑走面用潤滑剤と併せて用いる場合には、滑走面に重ねて塗布することができる。重ねて塗布する場合には本実施形態の滑走面用潤滑剤組成物は滑走面に直接塗布されることが望ましい。
本実施形態の滑走面用潤滑剤組成物は潤滑剤基材と非晶質シリカ微粒子とを有する。必要に応じてその他の添加物を有することもできる。潤滑剤基材と非晶質シリカ微粒子との混合比は特に限定しないが、全体の質量を基準として非晶質シリカ微粒子の含有率が5質量%以上であることが望ましく、20質量%以上であることが更に望ましい。また、全体の質量を基準として非晶質シリカ微粒子の含有率が50質量%以下であることが望ましく、40質量%以下であることが更に望ましい。非晶質シリカ微粒子は潤滑剤基材中に分散されている。非晶質シリカ微粒子を潤滑剤基材中に分散させる方法については特に限定されない。例えば、両者を混合後、一般的な混練機などにより混合することができる。このときに潤滑剤基材が固体であれば加熱などにより溶融、液体化することが望ましい。
潤滑剤基材としては特に限定されず、滑走面用潤滑剤として一般に知られている化合物や組成物をそのまま採用することができる。潤滑剤基材として公知の滑走面用潤滑剤をそのまま採用することにより、採用した公知の滑走面用潤滑剤の効果に更なる効果を加えることができる。潤滑剤基材としては常温にて固体状乃至液体状のものが例示でき、特に固体状の物が望ましい。特に、水に対する親和性が低いものが望ましい。潤滑剤基材はパラフィン(アルカン、パラフィン蝋、石蝋など)、水素の一部がフッ素などの疎水基にて置換されたパラフィンなどを含む化合物乃至組成物が挙げられる。特に炭素数が17〜60のアルカンを含むことが望ましく、20〜28であることが更に望ましい。
非晶質シリカ微粒子は、主成分として非晶質のシリカを有するものである。なお、本明細書における非晶質シリカ微粒子とは主成分としてのシリカ以外にも他の金属元素の酸化物を含有することもできる。なお、シリカが主成分であるとは非晶質シリカ微粒子全体の質量を基準として50%以上シリカを含むことをいう。なお、非晶質シリカ微粒子は全体がシリカから構成されることが望ましい。
非晶質シリカ微粒子の真球度は0.90以上である。更に真球度は0.95以上であることが望ましく、0.98以上であることが更に望ましい。ここで、本明細書における「真球度」とは、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(シスメックス株式会社:FPIA−3000)を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。この画像処理装置を用いて平均粒径を求めることもできる。
非晶質シリカ微粒子か否かは結晶化度により判断する。結晶化度が5%以下である場合に非晶質であると判断することができる。結晶化度は2%以下であることが望ましく、0%であることが更に望ましい。結晶化度の測定はX線回折法により測定可能である。
非晶質シリカ微粒子の大きさは本滑走面用潤滑剤組成物を塗布する対象である滑走面に形成された凹部に侵入可能な大きさにすることが望ましい。例えば、非晶質シリカ微粒子の体積平均粒径は0.2μm〜2.0μmであることが望ましい。体積平均粒径の範囲として好ましい下限としては0.25μm、0.5μmが挙げられる。体積平均粒径の範囲として好ましい上限としては1.0μm、1.5μmが挙げられる。
非晶質シリカ微粒子を製造する方法としてはいわゆるVMC法、火炎熔融法が例示できる。VMC法は金属ケイ素(他の金属酸化物を含有する場合には対応する金属元素も含む)を酸素雰囲気(酸素を含む雰囲気。酸素以外には金属ケイ素と反応する気体が実質的に入っていないことが望ましい)下で燃焼させることでシリカとする方法である。金属ケイ素を粉末状とし、その粒度分布や燃焼条件を制御することにより、製造される非晶質シリカ微粒子の粒度分布を制御することができる。火炎熔融法はシリカから形成される微粒子を火炎中に投入し、熔融させた後、急冷することにより非晶質化する方法である。火炎熔融法は原料としてのシリカ微粒子の粒径、火炎中への投入濃度を制御することにより製造される非晶質シリカ微粒子の粒度分布を制御することができる。また、得られた非晶質シリカ微粒子を適正な分級方法により分級することにより適正な粒度分布を実現できる。
非晶質シリカ微粒子は表面が疎水性化剤にて処理されていることが望ましい。疎水性化剤としては界面活性剤(ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸及び塩など)、疎水性官能基をもつシランカップリング剤(ビニルシラン、フェニルシランなど)、チタネート系シランカップリング剤、シリコーン樹脂、シラザン類などが例示され、特にヘキサメチルジシラザンであることが望ましい。
(雪面滑走用器具)
本実施形態の雪面滑走用器具は雪面を滑走する器具である。本実施形態の雪面滑走用器具は雪面と滑走面との間の水膜形成による摩擦軽減により滑走を可能にする器具である。雪面としては人工雪面を含む。
本実施形態の雪面滑走用器具は雪面を滑走する器具である。本実施形態の雪面滑走用器具は雪面と滑走面との間の水膜形成による摩擦軽減により滑走を可能にする器具である。雪面としては人工雪面を含む。
本実施形態の雪面滑走用器具は滑走面に上述した実施形態の滑走面用潤滑剤組成物を塗布したものである。滑走面への塗布方法としては特に限定されない。例えば、加熱溶解させた滑走面用潤滑剤組成物を滑走面の表面に付着させる方法が挙げられる。必要に応じて余分に付着した滑走面用潤滑剤組成物を除去することが望ましい。
(試験試料の調製)
非晶質シリカ微粒子(アドマテックス製:アドマファイン25R:体積平均粒径0.5μm)についてヘキサメチルジシラザン(HMDS)にて表面処理を行った。表面処理の方法としては非晶質シリカ微粒子100質量部に対してHMDS2質量部を付着させて表面処理済み非晶質シリカ微粒子とした。
非晶質シリカ微粒子(アドマテックス製:アドマファイン25R:体積平均粒径0.5μm)についてヘキサメチルジシラザン(HMDS)にて表面処理を行った。表面処理の方法としては非晶質シリカ微粒子100質量部に対してHMDS2質量部を付着させて表面処理済み非晶質シリカ微粒子とした。
潤滑剤基材としての市販のパラフィンワックス(炭素数の平均値は25。以下同じ)に非晶質シリカ微粒子を添加した。添加量は全体の質量を基準として50質量%になるようにした。具体的にはパラフィンワックスを融点以上に加熱して溶融状態とし、その融液に所定量の非晶質シリカ微粒子を添加した後、融液状態で混練機にて混練し十分に分散させた。その後、型に流し込み、固化させた試験試料とした(試験例1)。
市販のパラフィンワックスに表面処理済み非晶質シリカ微粒子を添加した。添加量として全体の質量を基準として40質量%(試験例2)、50質量%(試験例3)になるようにした。具体的な製造方法は試験例1の試験試料と同様にした。市販のパラフィンワックスをそのまま試験例4の試験試料とした。
潤滑剤基材としての市販のフッ素系ワックスに表面処理済み非晶質シリカ微粒子を添加した。添加量は全体の質量を基準として40質量%になるようにした(試験例5)。具体的な製造方法は試験例1の試験試料と同様にした。市販のフッ素系ワックスをそのまま試験例6の試験試料とした。
(評価試験:その1)
各試験試料について、実際にスキーの滑走面に塗布した後、滑走したときの使用感を評価してもらった。使用感は滑走面用潤滑剤組成物の持続力について1〜6の順位を付けてもらった。つまり、試験例1〜6のうち、最も持続性が高い試験試料を評価1に、最も低いものを評価6とした場合の相対評価にて行った。
各試験試料について、実際にスキーの滑走面に塗布した後、滑走したときの使用感を評価してもらった。使用感は滑走面用潤滑剤組成物の持続力について1〜6の順位を付けてもらった。つまり、試験例1〜6のうち、最も持続性が高い試験試料を評価1に、最も低いものを評価6とした場合の相対評価にて行った。
その結果、試験例5の試験試料(フッ素系ワックスに表面処理済み非晶質シリカ微粒子を50質量%添加したもの)が最も持続性が高く評価1に、試験例3の試験試料(パラフィンワックスに表面処理済み非晶質シリカ微粒子を50質量%添加したもの)が評価2に、試験例2の試験試料(パラフィンワックスに表面処理済み非晶質シリカ微粒子を40質量%添加したもの)が評価3に、試験例1の試験試料(パラフィンワックスに非晶質シリカ微粒子を50質量%添加したもの)が評価4に、試験例6の試験試料(フッ素系ワックス)が評価5に、試験例4の試験試料(パラフィンワックス)が最も持続性が低く評価6となった。
つまり、潤滑剤基材としてはフッ素系ワックスの方がパラフィンワックスよりも高い持続性が実現できた。また、表面処理済み非晶質シリカ微粒子の方が表面処理を行っていない非晶質シリカ微粒子よりも高い持続性が実現できた。また、表面処理済み非晶質シリカ微粒子を50質量%になるように添加した方が40質量%添加するよりも高い持続性が実現できた。
(評価試験:その2)
次に試験試料1〜6を滑走面に塗布した後、斜度が20°〜25°程度である雪面上を一定区間滑走した際の滑走時間を測定した。なお、試験試料1〜4については、天候が晴れ、雪質としては湿雪の状態である同日に測定を行い、試験試料5及び6については、天候が晴れ時々曇り、雪質としては湿雪の状態である試験試料1〜4とは異なる他の日に測定を行った。
次に試験試料1〜6を滑走面に塗布した後、斜度が20°〜25°程度である雪面上を一定区間滑走した際の滑走時間を測定した。なお、試験試料1〜4については、天候が晴れ、雪質としては湿雪の状態である同日に測定を行い、試験試料5及び6については、天候が晴れ時々曇り、雪質としては湿雪の状態である試験試料1〜4とは異なる他の日に測定を行った。
その結果、表1に示すようなタイム(上段)及びタイムの変化率(塗布直後を100%としたときの変化の大きさ:下段)となった。測定は塗布直後、1時間後、2時間後、3時間後に行った。時間が経過するまでは自由滑走していた。
表1より明らかなように、非晶質シリカ微粒子又は表面処理済み非晶質シリカ微粒子を添加した試験試料1〜3及び5は添加していない試験試料4及び6と比べてタイムの低下が少ないことが明らかになった。
また、変化の大きさを試験日毎(試験試料1〜4と、試験5及び6とを別々に評価する)に評価すると、先に示した評価試験:その1における傾向と同様の傾向が認められた、すなわち、試験試料1〜4では、タイムの変化の大きさが小さい方から試験試料3、2、1、4の順となり、試験5及び6ではタイムの変化の大きさが小さい方から試験試料5、6となった。この傾向は3時間経過後のタイムの絶対値の小さい方からの順番とも一致していた。
つまり、潤滑剤基材としてはフッ素系ワックスの方がパラフィンワックスよりも高い持続性が実現できた。また、表面処理済み非晶質シリカ微粒子の方が表面処理を行っていない非晶質シリカ微粒子よりも高い持続性が実現できた。また、表面処理済み非晶質シリカ微粒子を50質量%になるように添加した方が40質量%添加するよりも高い持続性が実現できた。
Claims (11)
- 真球度が0.90以上の非晶質シリカ微粒子と、
前記非晶質シリカ微粒子を分散する潤滑剤基材と、を有することを特徴とする滑走面用潤滑剤組成物。 - 前記非晶質シリカ微粒子は疎水性化剤で表面処理されている請求項1に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 前記疎水性化剤はヘキサメチルジシラザンである請求項2に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 前記非晶質シリカ微粒子は金属ケイ素を酸素雰囲気下にて燃焼させて製造された物である請求項1〜3の何れか1項に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 前記非晶質シリカ微粒子の体積平均粒径は0.2μm〜2.0μmである請求項1〜4の何れか1項に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 前記潤滑剤基材はパラフィンワックスを含有する請求項1〜5の何れか1項に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 前記パラフィンワックスを構成するパラフィンの炭素数は17〜60である請求項6に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 前記炭素数が20〜28である請求項7に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 全体の質量を基準として前記非晶質シリカ微粒子の含有率は5質量%〜50質量%である請求項1〜8の何れか1項に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 全体の質量を基準として前記非晶質シリカ微粒子の含有率は20質量%〜40質量%である請求項9に記載の滑走面用潤滑剤組成物。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の滑走面用潤滑剤組成物を滑走面に塗布した雪面滑走用器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008187677A JP2010024358A (ja) | 2008-07-18 | 2008-07-18 | 滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008187677A JP2010024358A (ja) | 2008-07-18 | 2008-07-18 | 滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010024358A true JP2010024358A (ja) | 2010-02-04 |
Family
ID=41730474
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008187677A Pending JP2010024358A (ja) | 2008-07-18 | 2008-07-18 | 滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010024358A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013221205A (ja) * | 2012-04-19 | 2013-10-28 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 機械構造用鋼 |
WO2018182087A1 (ko) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 서울대학교 산학협력단 | 고성능 스키 왁스 조성물 및 그 제조방법 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6182772A (ja) * | 1984-09-29 | 1986-04-26 | 日東電工株式会社 | スキ−滑走材 |
JPS61118441A (ja) * | 1984-11-15 | 1986-06-05 | Kyogyo Kumiai Aomori Sukii Seisakusho | 登坂用スキ−のノ−ワツクス材 |
JPH03157494A (ja) * | 1989-11-15 | 1991-07-05 | Asics Corp | スキー用潤滑剤 |
JPH06271882A (ja) * | 1993-03-23 | 1994-09-27 | Haiosu Technol Kk | 石英超微粒子を使用する潤滑用材 |
JPH1094631A (ja) * | 1996-09-21 | 1998-04-14 | Toto Ltd | 氷雪滑走具 |
JP2003299762A (ja) * | 2002-04-10 | 2003-10-21 | Okamoto Machine Tool Works Ltd | 氷雪滑走体 |
JP2004224987A (ja) * | 2003-01-27 | 2004-08-12 | Mitsushi Endo | ワックス |
JP2005325305A (ja) * | 2004-05-17 | 2005-11-24 | Toyota Motor Corp | 潤滑剤組成物 |
-
2008
- 2008-07-18 JP JP2008187677A patent/JP2010024358A/ja active Pending
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6182772A (ja) * | 1984-09-29 | 1986-04-26 | 日東電工株式会社 | スキ−滑走材 |
JPS61118441A (ja) * | 1984-11-15 | 1986-06-05 | Kyogyo Kumiai Aomori Sukii Seisakusho | 登坂用スキ−のノ−ワツクス材 |
JPH03157494A (ja) * | 1989-11-15 | 1991-07-05 | Asics Corp | スキー用潤滑剤 |
JPH06271882A (ja) * | 1993-03-23 | 1994-09-27 | Haiosu Technol Kk | 石英超微粒子を使用する潤滑用材 |
JPH1094631A (ja) * | 1996-09-21 | 1998-04-14 | Toto Ltd | 氷雪滑走具 |
JP2003299762A (ja) * | 2002-04-10 | 2003-10-21 | Okamoto Machine Tool Works Ltd | 氷雪滑走体 |
JP2004224987A (ja) * | 2003-01-27 | 2004-08-12 | Mitsushi Endo | ワックス |
JP2005325305A (ja) * | 2004-05-17 | 2005-11-24 | Toyota Motor Corp | 潤滑剤組成物 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013221205A (ja) * | 2012-04-19 | 2013-10-28 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 機械構造用鋼 |
WO2018182087A1 (ko) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 서울대학교 산학협력단 | 고성능 스키 왁스 조성물 및 그 제조방법 |
US10604679B2 (en) | 2017-03-29 | 2020-03-31 | Seoul National University R&Db Foundation | High performance ski wax composition and preparation method thereof |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Binks et al. | Influence of the degree of fluorination on the behaviour of silica particles at air–oil surfaces | |
Kakar et al. | Effects of aging on asphalt binders modified with microencapsulated phase change material | |
KR101125811B1 (ko) | 실리콘 그리스 조성물 | |
Misra et al. | Surface energetics, dispersion, and nanotribomechanical behavior of POSS/PP hybrid nanocomposites | |
Azadi et al. | Enhancing the mechanical properties of an epoxy coating with rice husk ash, a green product | |
TW200819530A (en) | Thermally conductive grease | |
TW202014472A (zh) | 低耐熱性聚矽氧組成物 | |
CN103732536A (zh) | 球形硅石微粉末以及使用球形硅石微粉末的静电图像显影用调色剂外部添加剂 | |
JP2010024358A (ja) | 滑走面用潤滑剤組成物及び雪面滑走用器具 | |
Partyka et al. | Effect of addition of BaO on sintering of glass–ceramic materials from SiO 2–Al 2 O 2–Na 2 O–K 2 O–CaO/MgO system | |
Huang et al. | Rapid Synthesis of Wettability Gradient on Copper for Improved Drop‐Wise Condensation | |
Shamshiri et al. | An intelligent icephobic coating based on encapsulated phase change materials (PCM) | |
CN104130600A (zh) | 单填充型的改性二氧化硅膜及其制备方法 | |
Prasad et al. | Transparent hydrophobic and superhydrophobic coatings fabricated using polyamide 12–SiO2 nanocomposite | |
JP6501570B2 (ja) | 無機化合物を固着又は被覆させた、アルミニウムのリン酸塩組成物からなるフィラーおよびその製造方法、そのフィラーを配合した熱伝導性組成物 | |
JP6561220B1 (ja) | 粒子材料及び熱伝導物質 | |
TWI548516B (zh) | 用於製備改質二氧化矽膜的方法、用於該方法的塗布液及由該方法製得之改質二氧化矽膜 | |
JP2004217515A (ja) | シリカ微粒子 | |
Mahanta et al. | Wetting transition from lotus leaf to rose petal using modified fly ash | |
CN113416494A (zh) | 一种无氟减阻蜡及其制备方法和在滑雪板减阻中的应用 | |
Shankar et al. | A study on 3-body abrasive wear behaviour of aluminium 8011/graphite metal matrix composite | |
JP7181757B2 (ja) | 窒化ホウ素被覆粒子材料及びその製造方法並びに熱伝導材料 | |
JP6857820B1 (ja) | 粒子材料及びその製造方法、並びにフィラー材料 | |
US10604679B2 (en) | High performance ski wax composition and preparation method thereof | |
JP2018145037A (ja) | 樹脂組成物添加用球状結晶質シリカ粉体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110706 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130620 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20130702 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140311 |