JPH1094229A - 回転電機の回転子 - Google Patents

回転電機の回転子

Info

Publication number
JPH1094229A
JPH1094229A JP24788196A JP24788196A JPH1094229A JP H1094229 A JPH1094229 A JP H1094229A JP 24788196 A JP24788196 A JP 24788196A JP 24788196 A JP24788196 A JP 24788196A JP H1094229 A JPH1094229 A JP H1094229A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotor
conductor bar
slot
mold
molten metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24788196A
Other languages
English (en)
Inventor
Kaoru Ogawa
薫 小川
Takashi Yasuhara
隆 安原
Akiji Yamada
旭司 山田
Hiromitsu Fuku
裕光 富久
Koichiro Ohara
光一郎 大原
Kanji Mizutani
完治 水谷
Yoshiharu Saito
嘉治 斉藤
Yukiro Endo
幸郎 遠藤
Yoichiro Asano
洋一郎 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP24788196A priority Critical patent/JPH1094229A/ja
Publication of JPH1094229A publication Critical patent/JPH1094229A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Induction Machinery (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 かご形巻線に銅を用いても、簡単かつ確実に
かご形巻線の形成が可能で、これにより充分に二次抵抗
損失が抑えられ、高トルクで高効率の電動機を容易に得
ることができるようにした回転電機の回転子を提供する
こと。 【解決手段】 回転子鉄板5bの積層体からなる回転子
鉄心5aの、かご形巻線収納用のスロット孔5c内に、
予め、このスロット孔5cよりも細い導体バー7aを挿
入し、一方のエンドリング7bをろー付け部Sにより取
付けた後、所定の鋳型Dの鋳型部分D1に装着し、鋳造
炉Tの空間部Gの雰囲気圧力を上げ、この鋳造炉Tから
溶湯管路Pと溶湯通路D2を介して、溶湯Mを鋳型Dの
鋳型部分D1に導入するという低圧鋳造法を用い、この
とき、更にこの鋳型部分D1から導体バー7aとスロッ
ト孔5cの隙間にも溶湯Mが満たされた状態で、鋳型部
分D1により他方のエンドリング7cが形成されるよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導型回転電機の
回転子に係り、特に比較的小容量の汎用かご形誘導電動
機の回転子に関する。
【0002】
【従来の技術】比較的小容量の汎用誘導電動機として
は、従来からかご形誘導電動機が広く使用されている。
ところで、当初、このような汎用小型誘導電動機の回転
子としては、電磁鋼板を積層して形成した回転子鉄心の
スロット(かご形巻線収納用の溝、又は孔)に、所定の断
面形状の銅製の導体バーを1本づつ挿入し、これら複数
本の導体バーの両端部にエンドリングをロー付け溶接し
てかご型巻線を形成させたものが、主として用いられて
いた。
【0003】しかしながら、このような回転子では、か
ご形巻線の製作に手間が掛るのでコストアップになり易
い上、電磁鋼板の積層体からなる回転子鉄心のスロット
に、後からかご形巻線用の導体バーを挿入しなければな
らないので、そのスロットの大きさよりかなり小さい断
面積の導体バーでないと挿入することができず、従っ
て、所望の充分に低い抵抗値のかご形巻線が得られず、
電動機としての電気特性が低下してしまうという不具合
があった。
【0004】一方、このような隘路の打開策として、か
ご形巻線の鋳造化が考えられるが、この場合には、銅の
融点がかなり高い点が新たな隘路となってしまう。すな
わち、銅の融点は約1100℃で、融点が約660℃の
アルミニウムよりもかなり高温なので、これによるダイ
キャスト鋳造では成形金型が高価につき、しかも耐久性
に乏しいと云う不具合があり、且つその保守点検が煩雑
になるという不具合も生じてしまうのである。
【0005】そこで、汎用小型誘導電動機としては、従
来から、導体バー及びエンドリングからなるかご形巻線
をアルミニウム材のダイカスト鋳造で形成した、いわゆ
るキャストロータが広く使用されている。
【0006】図7は、このようなキャストロータを用い
た従来技術によるかご形誘導電動機の一例を示したもの
で、この図において、1はハウジングで、鋳鉄など鉄系
材料やアルミニウムなどの軽金属材料の鋳造によりほぼ
筒状に形成され、電動機の外被を構成している。1aは
放熱フィンで、軸方向に沿って並んだ複数の条片とし
て、ハウジング1の外周に放射状に配列され、ハウジン
グ1と一体的に形成されている。2A、2Bはエンドブ
ラケットで、ハウジング1の両側の開口部にそれぞれイ
ンロー嵌合して取付けられている。
【0007】3は固定子で、ケイ素鋼板などの電磁鋼板
を複数枚積層して形成された固定子鉄心3aと、この固
定子鉄心3aの内周部に複数形成されているスロットに
巻回された固定子コイル3bとで構成され、ハウジング
1内に挿入した上で、その内周部に嵌合し、固定されて
いる。
【0008】5は回転子で、中心に軸孔を有する円板形
状に打ち抜かれたケイ素鋼板を複数枚積層して形成され
た回転子鉄心と、その両端面に配置されたエンドリング
部7及び図示されていない導体部からなるかご形巻線と
で構成されている。
【0009】そして、このエンドリング部7と、導体部
からなるかご形巻線がアルミニウムのダイキャスト鋳造
により形成され、さらに、このエンドリング7に内部冷
却用の内ファン8が一体的に形成されている。
【0010】回転軸6は回転子5に取付けられ、これを
保持した状態で、軸受4A、4Bにより、エンドブラケ
ット2A、2Bに対して回転自在に保持されている。そ
して、この回転軸6の一方の端部(図では右端部)はエン
ドブラケット2Bを挿通して外部に突出し、出力軸をな
しており、その他端部(図では左端部)で、エンドブラケ
ット2Aを挿通して外部に突出した部分には、外部冷却
用の外ファン9が装着されている。
【0011】10はエンドカバーで、外ファン9を覆う
ものであり、一方が開放された皿状の短い円筒形に形成
され、その底面に相当する一方の端面には外気を取り込
むための開孔10aが設けられ、その開放端は、このエ
ンドカバー10がエンドブラケット2Aに組み付けられ
たとき、エンドブラケット2A及びハウジング1の外径
部との間に径方向の隙間部10bが形成されるように形
成されている。
【0012】この誘導電動機は、予め固定子3をハウジ
ング1の内周壁に嵌合して固定しておき、その後、この
固定子3内に回転軸6を有する回転子5を挿入し、かつ
回転軸6にエンドブラケット2A、2B内の軸受4A、
4Bが嵌合するよう、エンドブラケット4A、4Bをハ
ウジング1の両端にそれぞれインロー嵌合させ、これら
を複数本のボルト(図示せず)により取付けることにより
組立られている。
【0013】そして、回転子5により外ファン9が回転
すると、エンドカバー10の開孔10aから、矢印イで
示すように外気が吸い込まれ、吸い込まれた空気は、隙
間部10bからエンドカバー10の他端側の外部に吹き
出され、エンドブラケット2A、ハウジング1の放熱フ
ィン1a、エンドブラケット2Bの表面を通風すること
により、冷却作用が得られるようになっている。
【0014】一方、電動機の内部では、回転子5が回転
すると、それに伴い内ファン8が回転して内部の空気に
流れを発生させ、発生した空気流が回転子5、エンドリ
ング7、固定子コイル3B及び固定子鉄心3Aを冷却し
ながら通過した後、ハウジング1に比べ、比較的温度上
昇の低いエンドブラケット2A、2Bの内側を通過する
ことにより冷却されるようにしている。
【0015】なお、この種の技術として、関連する公知
例としては、特開昭61−251440号公報等が挙げ
られる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、かご
形巻線に適用した際での、アルミニウムの導電材料とし
ての適格性について、充分な配慮がされているとは言え
ず、かご形誘導電動機の高性能化を促進する点で問題が
あった。
【0017】すなわち、かご形誘導電動機の高性能化の
一方途として、かご形巻線の低抵抗化があるが、アルミ
ニウムの導電率(約3.4μΩcm、75℃)は、銅の導
電率(約2.1μΩcm、75℃)よりもかなり低く、従
って、二次抵抗(かご形巻線の抵抗)の低減が充分に図れ
ず、この結果、従来技術では、充分な高性能化が得られ
ないのである。
【0018】また、二次抵抗損失が大きくなると、回転
子の温度上昇が著しくなるという問題が生じる上、この
回転子の温度上昇が二次抵抗値の増加をもたらし、更に
二次抵抗損失を増加させることになり、この結果、従来
技術では、電動機の滑りが増加して更なる性能の低下を
きたしてしまう。
【0019】一方、上記したように、回転子鉄心のスロ
ットに予め成形した銅製の導体バーを挿入し、挿入した
導体バーと、エンドリングとをロー付け溶接してかご形
巻線を形成するようにした従来技術では、これも上記し
たように、かご形巻線の製作上、手間が著しくかかり過
ぎ、しかも回転子鉄心が薄電磁鋼板を積層して形成され
るので、かご形巻線の導体バーを挿入しようとすると、
そのスロットよりかなり小さい径のものでないと挿入す
ることができず、従って、所望の径より遙かに小さい形
状の導体バーとなってしまうので、電動機としての電気
特性が低下する不具合があった。
【0020】しかして、要求される電気特性を得るの必
要な太さの導体バーを用いた場合には、今度は、挿入を
容易にするため、スロットの寸法を導体バーの寸法より
大きくしなければならないが、この場合には、回転子鉄
心の体積が少なくなるので磁束密度が増加し、この結
果、励磁電流が増え、電動機としての電気特性が低下す
るという問題があった。そして、この場合、導体バーに
スキューを付けようとすると、さらにかご形巻線用のス
ロットを大きくする必要があり、一層、不具合が増して
しまう。
【0021】また、誘導電動機を始動する場合には、一
般に大きな電流が導体バーに流れるが、このため、導体
バーには大きな電磁力が掛かり、この結果、導体バーに
大きな加振力、いわゆる電磁振動力が働いてしまう。こ
のとき導体バーとスロットの間に隙間があると、導体バ
ーがスロット内で動き、長時間の繰り返しにより導体バ
ーとエンドリングの接合部が破壊されるという問題があ
った。
【0022】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
なされたもので、その目的は、かご形巻線に銅を用いて
も、簡単かつ確実にかご形巻線の形成が可能で、これに
より充分に二次抵抗損失が抑えられ、高トルクで高効率
の電動機を容易に得ることができるようにした回転電機
の回転子を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的は、全閉形のス
ロットを有する回転子鉄心に、スロット内導体とエンド
リングからなるかご形巻線を備えた回転電機の回転子に
おいて、上記スロット内導体が、上記スロット内に予め
挿入した導体バーと、上記スロット内で上記導体バーと
の間の空隙部分に後から溶融状態で充填した導電性材料
とで形成ようにして達成される。
【0024】この結果、本発明では、導体バーを回転子
鉄心のかご形巻線用スロット内に軸方向に沿って挿通
し、該導体バーの任意の一方の端部にエンドリングを嵌
め合わせせた上で、例えば銀ローを用いた鑞付けなどの
固着手段により接合させた後、導体バーの他端側に所定
の形状の金型を装着し、導体バーと同じ材料で低圧鋳造
することより、導体バーの他端部にエンドリングが鋳込
み形成され、かご形巻線が得られるようにる。
【0025】従って、本発明によれば、導体バーとスロ
ットの間に空隙が有っても、そこには後から導電性材料
が充填されるので、スロットよりも細い導体バーを用い
ることができる。この結果、導体バーの挿入が容易にな
る上、エンドリングと導体バーの溶接作業が一方のエン
ドリングだけで済むので、製作が極めて容易となる。
【0026】さらに、他端のエンドリングを鋳込み形成
する際、導体バーと積層鉄心のスロットとの隙間には鋳
込み材が充填されるため、両者間の隙間は完全に塞が
り、この結果、導体バーが電磁振動力を受けても、該導
体バーがスロット内で振動することは無くなるので、従
来技術のように、長時間にわたって、始動が繰り返され
たとしても、導体バーとエンドリングとの接続部が破壊
される虞れはなくなる。
【0027】また、本発明では、低圧鋳造工法で鋳込む
ので、導体バーと鋳込み材を銅にすることができ、この
結果、以下の利点が得られる。すなわち、まず、銅の方
が、アルミニウムより約40%ほど固有抵抗が低いの
で、二次抵抗も40%、少なくすることができ、それだ
け温度上昇を抑えることができる。
【0028】また、このように、二次抵抗損失が40
%、少なくできる結果、電動機の効率を確実に向上させ
ることができ、例えば、出力3.7kWの4極汎用誘導
電動機での計算値において、最大出力を10%、最大ト
ルクは2%、それぞれ向上できるので、滑りを確実に低
減することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明による誘導電動機の
回転子について、図示の実施形態により詳細に説明す
る。図1は、本発明の一実施形態による回転子5を用い
た誘導電動機の一例で、図において、7aは導体バー、
7b、7cはエンドリングであり、その他、この回転子
5の構成以外は、図7で説明した従来の誘導電動機と同
じである。従って、以下、この回転子5について主とし
て説明する。
【0030】まず、この回転子5の回転子鉄心5aは、
電磁鋼板から図2に示す形状に打ち抜いた回転子鉄板5
bを所定枚数、積層して形成されている。次に、この回
転子鉄板5bには、図示のように、その外周部の近傍
に、周方向に並んで配置されたかご形巻線収納用のスロ
ット(孔)5cが所定個数、形成してあるり、この回転子
鉄板5bを所定枚数、図3に示すように積層して回転子
鉄心5aを形成する。
【0031】そして、この図1の本発明の実施形態によ
る回転子5が、従来技術と異なる点は、図4に示すよう
に、回転子鉄心5aに施されるかご形巻線のうち、スロ
ット5c内に挿通される部分を銅の導体バー7aと、こ
の導体バー7aとスロット5aとの間に存在する空隙内
に溶融した状態で鋳込み充填した銅で形成されている点
にある。
【0032】このため、まず回転子鉄心5aのスロット
5c内に、所定の太さの導体バー7aを軸方向に沿って
それぞれ挿通し、これら導体バー7aの一方の端部に、
予め所定の形状で、所定の位置に複数の孔が設けられて
いるエンドリング7bを嵌合させた上で、ろう付け部S
で示すように、両者をろう付け接合して一体化する。
【0033】次に、所定の鋳型を用い、銅の溶湯(溶解
している銅)による低圧鋳造を行い、これにより、導体
バー7aとスロット5aとの間に存在する空隙内に溶融
された銅が充填され、この状態で、この充填された部分
の銅と一体に、導体バー7aの他方の端部に銅のエンド
リング7cが鋳造されるようにしたものである。
【0034】次に、この実施形態での、低圧鋳造による
銅の鋳込みと、エンドリング7cを成形する方法につい
て、図5により詳細に説明する。図5において、Dは鋳
型、Tは鋳造炉であり、Mは鋳造炉内の銅の溶湯を、そ
してGは鋳造炉内の溶湯の上部に残されている空間を表
わしている。
【0035】図6は、鋳型Dを示したもので、図の(a)
は上面からみた図で、(b)は側面からみた断面図であ
り、この鋳型Dは、図示のように、エンドリングの形状
に合わせて作られたリング状の鋳型部分D1と溶湯通路
D2が形成してある金属性のもの(金型)で、図5に示す
ように、鋳造炉Tの上に設置されて使用される。
【0036】そして、このとき、溶湯通路D2の下側に
は溶湯管路Pが取り付けてあり、この溶湯管路Pの下端
は、図5に示すように、鋳造炉Tの上に設置されたと
き、鋳造炉T内の溶湯M内に入り込むようになってい
る。
【0037】鋳造炉Tは、密閉した容器として作られ、
図示してない加熱手段を備え、内部に溶解した銅の溶湯
Mを蓄える働きをすると共に、これも図示してない気体
加圧手段を備え、空間G内の圧力が必要に応じて高めら
れるように構成されている。
【0038】そこで、まず、図5に示すように、導体バ
ー7aを積層回転子鉄心5aのスロット孔5cに軸方向
に沿って挿通させ、導体バー7aにろう付け部Sで一方
のエンドリング7bが取り付けられた状態の回転子半完
成品を用意し、エンドリング7bが上側になるようにし
て、この回転子半完成品の下端を鋳型Dの鋳型部分D1
内に装着する。
【0039】そして、この後、上述のごとく、この半完
成品を装着した鋳型Dを鋳造炉T上に設置し、次いで、
上記した加圧手段により、鋳造炉T内を加圧してやり、
これにより、溶湯Mが溶湯管路Pを通って上方に押し上
げられ、鋳型Dの鋳型部分D1内に流れ込み、さらに導
体バー7aと、回転子鉄心5aのスロット5cとの間の
空隙部に流れ込んで行くようにするのである。
【0040】このとき、溶湯Mに掛かる圧力は、押し上
げられて行く溶湯Mの重量によるものだけとなって、ダ
イカスト工法の場合に比してかなり低い圧力で済み、こ
れが低圧鋳造法という名称の所以となっているものであ
る。
【0041】この結果、溶湯Mは、溶湯通路D2から鋳
型部分D1内に移動し、鋳造完了後この鋳型部分D1内
でエンドリング7cを形成することになる。そして、ま
た、溶湯Mは、鋳型部分D1から、さらに導体バー7a
の方へも移動し、導体バー7aとスロット5cの間の隙
間にも充填されて行くことになる。
【0042】従って、この実施形態によれば、エンドリ
ングの取付け作業が一方だけ、すなわち、上側のエンド
リング7bについてだけで済むので、製作が極めて容易
となる。
【0043】また、上述のように、導体バー7aと、回
転子鉄心5aのスロット孔5bの間に隙間があっても、
この隙間は、後で銅で塞がれてしまうので、導体バー7
aが大きな電磁振動力を受けたときでも、スロット孔5
b内で振動することが無くなり、このため、始動繰り返
しが長い期間にわたっても、導体バー7aとエンドリン
グ7b、7cの接続部が破壊される虞れがなく、高い信
頼性を容易に得ることができる。
【0044】さらに、回転子鉄心5aのスロット孔5b
の間に隙間があっても、後でこの隙間は銅で塞がれるの
で、残った導体バーの太さは、元の導体バー7aの太さ
とは特に関係無く、スロット孔5cの断面積一杯まで太
さにされたものとなるので、かご形巻線のスロット内の
部分での電気抵抗を低く抑えることができ、二次抵抗の
減少による性能向上を充分に得ることができる。
【0045】また、このように、最初、スロット孔5b
の中に挿入するときの導体バー7aの太さをスロット孔
5bの太さよりも細くできるので、導体バー7aの収納
作業が極めて簡単になり、この結果、導体バー7aの材
質として銅を用いることができる。
【0046】そこで、次に、上記実施形態において、上
述の如く、導体バー7aと、エンドリング7b、7cか
らなるかご形巻線を銅で形成したことによる効果につい
て説明する。まず、銅は、固有抵抗が約2.1μΩcm
(75℃)でるのに対して、アルミニウムの固有抵抗は、
同じく75℃で3.4μΩcmである。
【0047】従って、銅のかご形巻線の方が、アルミニ
ウムのものより約40%ほど固有抵抗を小さくすること
ができ、それだけ温度上昇が少なくなる。
【0048】この結果、例えば4極で出力が3.7kW
の汎用誘導電動機において、銅のかご形巻線を有する回
転子を用いた電動機では、アルミニウムのかご形巻線を
有する従来の電動機に比して、計算上、二次抵抗が約4
0%小さくなるので、二次抵抗損失も40%小さくな
り、従って、電動機の効率を確実に1%向上させること
ができる。
【0049】この効率向上1%という数値は、単純に考
えると少ないようであるが、アルミニウムをダイカスト
成形した誘導電動機においては顕著な効果といえ、且つ
上述の如く二次抵抗を40%小さくできることから、同
じく計算によると、最大出力で10%、最大トルクで2
%の向上が得られ、この結果、滑りを確実に低減するこ
とができる。
【0050】従って、この実施形態による回転子によれ
ば、信頼性が高く、二次抵抗損失が少なく、且つ高トル
クで高効率の誘導電動機を容易に提供することができ
る。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を得ること
ができる。
【0052】エンドリングの接合作業が、1回不要にな
るので、製作が容易になる。導体バーとスロットとの隙
間に鋳込み材が充填されるため、導体バーに電磁振動力
が加わっても動かないので、導体バーとエンドリングの
接合部が破壊される虞れがなく、従って、高い信頼性が
保てる。
【0053】かご形巻線を銅で作るのが容易になるの
で、アルミニウムより約40%ほど固有抵抗を小さくで
き、二次抵抗損失の減少により温度上昇が抑えられ、滑
りを確実に低減することができ、この結果、誘導電動機
の信頼性及び性能を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転電機の回転子の一実施形態が
適用された誘導電動機の一例を示す一部破断による側面
図である。
【図2】本発明の一実施形態で使用している回転子鉄板
の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態における積層された回転子
鉄心の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態による回転子の側面図であ
る。
【図5】本発明の一実施形態で採用されている回転子の
低温鋳造の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態で低温鋳造に使用されてい
る鋳型の説明図である。
【図7】従来技術による誘導電動機を示す一部破断によ
る側面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 1a 放熱フィン 2A、2B エンドブラケット 3 固定子 3a 固定子鉄心 3b 固定子コイル 4A、4B 軸受 5 回転子 5a 回転子鉄心 5b 回転子鉄板 5c スロット(かご形巻線収納用の孔) 6 回転軸 7a 導体バー 7b、7c エンドリング 8 内ファン 9 外ファン 10 エンドカバー D 鋳型(金型) D1 鋳型部分 D2 溶湯通路 G 空間部 M 溶湯(溶解した銅) P 溶湯管路 S ろう付け部 T 鋳造炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富久 裕光 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社日立製作所産業機器事業部内 (72)発明者 大原 光一郎 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社日立製作所産業機器事業部内 (72)発明者 水谷 完治 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社日立製作所産業機器事業部内 (72)発明者 斉藤 嘉治 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内 (72)発明者 遠藤 幸郎 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社日立製作所産業機器事業部内 (72)発明者 浅野 洋一郎 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全閉形のスロットを有する回転子鉄心
    に、スロット内導体とエンドリングからなるかご形巻線
    を備えた回転電機の回転子において、 上記スロット内導体が、上記スロット内に予め挿入した
    導体バーと、上記スロット内で上記導体バーとの間の空
    隙部分に後から溶融状態で充填した導電性材料とで形成
    されていることを特徴とする回転電機の回転子。
  2. 【請求項2】 請求項1の発明において、 上記導電材料が上記導体バーと同じ材質で、且つ低圧鋳
    造により充填されていることを特徴とする回転電機の回
    転子。
  3. 【請求項3】 請求項2の発明において、 上記エンドリングが、上記導電性材料の充填時、該導電
    性材料の低圧鋳造により形成されていることを特徴とす
    る回転電機の回転子。
JP24788196A 1996-09-19 1996-09-19 回転電機の回転子 Pending JPH1094229A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24788196A JPH1094229A (ja) 1996-09-19 1996-09-19 回転電機の回転子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24788196A JPH1094229A (ja) 1996-09-19 1996-09-19 回転電機の回転子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1094229A true JPH1094229A (ja) 1998-04-10

Family

ID=17170001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24788196A Pending JPH1094229A (ja) 1996-09-19 1996-09-19 回転電機の回転子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1094229A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107749699A (zh) * 2017-11-13 2018-03-02 安徽美芝精密制造有限公司 转子的加工方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107749699A (zh) * 2017-11-13 2018-03-02 安徽美芝精密制造有限公司 转子的加工方法
CN107749699B (zh) * 2017-11-13 2020-11-17 安徽美芝精密制造有限公司 转子的加工方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2632027B1 (en) Axial flux machine
JP5038595B2 (ja) 積層界磁巻線のホットスポット温度を低下させる方法及び装置
JP3801477B2 (ja) 同期誘導電動機のロータ及び同期誘導電動機及びファンモータ及び圧縮機及び空気調和機及び冷蔵庫
JP6832935B2 (ja) コンシクエントポール型の回転子、電動機および空気調和機
EP2879278B1 (en) Versatile cooling housing for an electrical motor
JP5019451B2 (ja) 回転子
US9130434B2 (en) Induction rotor end ring support device
US7109626B2 (en) Compact dynamoelectric machine
JP2023166527A (ja) モータ及びステータの製造方法
JP2006050853A (ja) モータ
JP2010268561A (ja) 回転電機の回転子及び回転電機
JP3658483B2 (ja) 回転電機の回転子
JPH1094229A (ja) 回転電機の回転子
JP3880692B2 (ja) 電動機の回転子
PL233086B1 (pl) Obudowa czół uzwojenia maszyny elektrycznej
JPH1032966A (ja) 誘導電動機の回転子
JPH1098858A (ja) 回転電機の回転子
JP5129518B2 (ja) 回転電機
JP6169496B2 (ja) 永久磁石式回転電機
KR100337391B1 (ko) 덕트 스페이서 및 이를 이용한 다이캐스팅 회전자에원주방향으로 이격공간을 형성하는 제조방법
JPH1098843A (ja) 回転電機
KR100434289B1 (ko) 농형 유도전동기의 회전자
JP2014128091A (ja) 誘導モータ
JP2019134573A (ja) 回転電機のステータ
US7675214B2 (en) Low profile motor