JPH1089053A - ハイブリッド型車両 - Google Patents
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Abstract
ハイブリッド型車両において、エンジン10の始動時
に、バッテリ19から電熱ヒータ43bへ通電して触媒
43aを暖機するときに、車両の走行性能とエミッショ
ンとを両立させる。 【解決手段】 エンジン10の始動要求を判定した後に
(ステップS106)、バッテリ19の充電量SOCに
応じて、触媒43aを加熱する電熱ヒータ43bへのヒ
ータ供給電力量Whを算出する(ステップS110)。
ヒータ供給電力量Whは、バッテリ19の充電量SOC
にかかわらず一定値とし、かつその充電量SOCが小さ
い場合に、ヒータ電流値ihを小さく、ヒータ通電時間
thを長く設定する。これにより、走行用モータ16へ
供給できるモータ供給電力量Wmが減っても、モータ電
流値imを大きな値にしたモータ供給電力Pmで供給で
きるから、車両の動力性能を損なうことがない。
Description
モータとを備えたハイブリッド型車両に関し、詳しくは
エンジンの排ガスを浄化する触媒を暖機する触媒温度制
御装置に関する。
て、例えば、特開平6−178401号公報等が知られ
ている。ハイブリッド型車両では、バッテリに蓄積され
た電力の供給により走行用モータだけで走行できるの
で、エンジンを停止させることが多い。エンジンの停止
状態からエンジンを始動させる場合に、触媒が所定温度
以下であると十分な浄化能力が得られない。こうした課
題を解決するために、従来の技術では、触媒に近接して
電熱ヒータを設け、この電熱ヒータに電力を供給するこ
とにより触媒を暖機している。
は、バッテリの充電量が所定以下の場合に、触媒の暖機
に十分な電力を供給すると、走行用モータへ供給できる
電力が少なくなり、車両の動力性能を損なう場合があ
る。逆に、動力性能を重視して走行用モータへの電力を
優先すれば触媒の暖機が不十分となり、エミッションの
低下を招くという問題があった。
るものであり、エンジンの排ガスを浄化する触媒を電熱
ヒータへの通電により暖機する装置において、車両の動
力性能とエミッションとの向上を両立させたハイブリッ
ド型車両を提供することを目的とする。
記課題を解決するためになされた第1の発明は、車輪側
の駆動軸に連結されかつ該駆動軸を少なくとも一方の出
力で走行させるエンジン及び走行用モータと、エンジン
の駆動力で発電する発電機と、発電機の発電電力を充電
すると共に走行用モータに電力を供給するバッテリと、
エンジンの排気通路に設けられ、該排気通路を通る排ガ
スを浄化する触媒と、該触媒を加熱するための電熱ヒー
タとを有する触媒コンバータと、を備え、エンジンの駆
動力で発電機を発電して、その発電電力をバッテリに充
電すると共にバッテリに充電した電力を走行用モータに
供給して得られた駆動力により走行するハイブリッド型
車両において、上記バッテリの充電量を検出する充電量
検出手段と、充電量検出手段により検出された充電量に
基づいて、上記走行用モータに供給するモータ供給電力
と、上記電熱ヒータに供給するヒータ供給電力との配分
を定めて、走行用モータ及び電熱ヒータを制御する供給
電力制御手段と、を備えていることを特徴とする。
は、エンジンまたは走行用モータの少なくとも一方の駆
動力により車輪に連結された駆動軸を駆動して走行す
る。このハイブリッド型車両のエンジンには、排ガスを
浄化するために排気通路に触媒が設けられている。触媒
は、所定温度以上で排ガスの浄化率を高めることができ
るから、エンジンの停止時やエンジンが駆動されていて
もその低出力時のように触媒の温度が低い場合に電熱ヒ
ータへの通電により加熱される。電熱ヒータへの通電
は、バッテリの充電量に基づいて供給電力制御手段によ
って行なわれる。すなわち、供給電力制御手段は、バッ
テリの充電量に基づいて、走行用モータへ供給するモー
タ供給電力と、電熱ヒータへ供給するヒータ供給電力と
の配分を定めて走行用モータ及び電熱ヒータを制御す
る。このような電力の配分として、充電量に基づいて、
車両の動力性能を損なわないための走行用モータへの電
力と、触媒の暖機に必要な電力とを定めることにより、
車両の動力性能とエミッションの両立を図ることができ
る。
結されかつ該駆動軸を少なくとも一方の出力で走行させ
るエンジン及び走行用モータと、エンジンの駆動力で発
電する発電機と、発電機の発電電力を充電すると共に走
行用モータに電力を供給するバッテリと、エンジンの排
気通路に設けられ、該排気通路を通る排ガスを浄化する
触媒と、該触媒を加熱するための電熱ヒータとを有する
触媒コンバータと、を備え、エンジンの駆動力で発電機
を発電してその発電電力をバッテリに充電し、該バッテ
リに充電した電力を上記電熱ヒータ及び走行用モータに
供給することにより該電熱ヒータを加熱するとともに走
行用モータで得られた駆動力により走行するハイブリッ
ド型車両において、上記バッテリの充電量を検出する充
電量検出手段と、エンジンの始動要求時に、充電量検出
手段により検出された充電量に基づいて、上記走行用モ
ータに供給するモータ供給電力と、上記電熱ヒータに供
給するヒータ供給電力との配分を定めて、走行用モータ
及び電熱ヒータを制御する供給電力制御手段と、供給電
力制御手段により電熱ヒータへ上記ヒータ供給電力が供
給された後にエンジンを始動するエンジン始動手段と、
を備えていることを特徴とする。
している。すなわち、エンジンが停止しているときに
は、触媒が排ガスにより加熱されず、触媒の温度が低い
状態になっている。この状態からエンジンを始動させる
とエミッションの低下を招きやすいから、バッテリから
電熱ヒータへ電力を供給して触媒を暖機する要求が大き
い。この場合に電熱ヒータへの供給電力を単に大きくす
ると、走行用モータへの供給電力が減少して車両の動力
性能が低下することになる。
段として供給電力制御手段により、エンジンの始動要求
時におけるヒータ供給電力とモータ供給電力との配分を
定めて、車両の動力性能とエミッションの両立を図って
いる。
分の好適な態様として、バッテリの充電量の大小にかか
わらず、所定時間当たりに供給されるヒータ供給電力量
をほぼ一定にし、上記充電量が小さくなるにしたがって
該所定時間当たりに供給されるモータ供給電力量を小さ
く設定する。よって、バッテリの充電量にかかわらず、
ほぼ一定の電力量が電熱ヒータに供給されるから、触媒
の暖機を十分に達成できる。
を減らしてヒータ通電時間を長くしたヒータ供給電力に
て電熱ヒータに供給され、モータ供給電力量は、ヒータ
電流値を減らした分の電流をモータ電流値に加えること
で、モータ電流値の配分を大きくしたモータ供給電力に
て走行用モータへ供給される。これにより、伝熱ヒータ
を加熱する時間は長くかかるが、ヒータ電流値を減らし
た分だけモータ電流値を大きくしたモータ供給電力が走
行用モータに供給されるから、車両の動力性能の低下を
防止することができる。
を、エンジン及び走行用モータの出力のうち少なくとも
一方で走行させるものであればよく、その構成は特に限
定されない。すなわち、ハイブリッド車は、車輪側の
駆動軸を直接駆動可能な駆動系が2系統(エンジンと走
行用モータ)である、いわゆるパラレルハイブリッド車
両のほか、駆動軸の駆動が走行用モータのみで、他方
の動力源(エンジンと発電機)が走行用モータへの動力
供給源として構成される、いわゆるシリーズハイブリッ
ド車両であってもよく、エンジンで発生した機械出力
を、駆動軸に駆動する出力と走行用モータを駆動する電
気エネルギとに分配する分配手段を備え、パラレルとシ
リーズの両機能を合わせ持つものであってもよい。な
お、上記分配手段は、エンジンの機械出力を1個の遊星
歯車を用いて分配する機械分配式のほか、エンジンの機
械出力をモータを用いて分配する電気分配式のいずれで
あってもよい。
を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例
について説明する。
ジンを搭載したハイブリッド型車両を表わす概略構成図
である。このハイブリッド型車両は、エンジンの出力を
プラネタリギア装置により分配して、駆動輪を直接駆動
すると共に、発電機を駆動してその発電電力で走行用モ
ータを駆動する機械分配式である。ハイブリッド型車両
は、図示しない燃料タンクから燃料の供給を受けて駆動
されるエンジン10を備えており、その出力軸はプラネ
タリギア装置12に接続されている。プラネタリギア装
置12は、3つの入出力軸を有し、その1つの軸がエン
ジン10に連結され、他の軸が発電機14と走行用モー
タ16とにそれぞれ連結されており、エンジン10の出
力軸の回転運動が、プラネタリギア装置12により発電
機14側、走行用モータ16側の一方あるいは双方側に
配分伝達される。走行用モータ16の出力軸は、ディフ
ァレンシャルギア17に接続され、最終的な目的である
車両の駆動輪18R,18Lに連結されている。また、
発電機14は、バッテリ19に接続されている。バッテ
リ19は、発電機14による発電電力で充電されると共
に走行用モータ16に電力を供給する。
図、図3はエンジン10を断面で示した概略構成図であ
る。エンジン10は、ガソリンにより運転されるガソリ
ンエンジンであり、多気筒のシリンダ20の上流側に吸
気系30と、下流側に排気系40を備えている。吸気系
30は、吸気管31と、吸気管31の上流側に装着した
エアクリーナ32と、吸気管31内に設けられたスロッ
トル弁33と、スロットル弁33を開閉駆動するスロッ
トル弁モータ34と、吸気管31の下流側に接続された
インテークマニホールド35とを備え、吸気弁21を介
してシリンダ20内の燃焼室22に接続されている。
気弁23を介して接続されたエキゾーストマニホールド
41と、エキゾーストマニホールド41に接続された排
気管42と、排気管42に装着されて排ガスを浄化する
触媒コンバータ43と、触媒コンバータ43の下流側に
設けられたマフラ44とを備えている。触媒コンバータ
43は、触媒43aと、バッテリ19からの通電で発熱
しかつ触媒43aを加熱する電熱ヒータ43bとを備え
ている。触媒43aは、排ガス中の炭化水素、一酸化炭
素、酸化窒素を浄化する三元触媒から構成されており、
電熱ヒータ43bの通電加熱により、約350℃以上の
温度で高い浄化率で排ガスを活性化するものである。
した空気と、燃料噴射弁24から噴射されたガソリンと
の混合気を燃焼室22に吸入し、この混合気の爆発によ
り押し下げられるピストン25の運動をクランクシャフ
トの回転運動に変換する。上記エンジン10、発電機1
4及び走行用モータ16の出力は、車両コントローラ6
0により制御される。図4は車両コントローラ60を中
心としたハイブリッド型車両の制御系のブロック図であ
る。
マイクロコンピュータを中心とする論理演算回路として
構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに
従って各種演算処理を実行するCPU61と、CPU6
1で各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラム
や制御データ等が予め格納されたROM62と、同じく
CPU61で各種演算処理を実行するのに必要な各種デ
ータが一時的に読み書きされるRAM63と、電源オフ
時においてもデータを保持可能なバックアップRAM6
4と、車両情報を入力するA/Dコンバータ65および
入力処理回路66と、CPU61での演算結果に応じて
エンジン10のスロットル弁モータ34等の各種アクチ
ュエータへの駆動信号を出力したり、電熱ヒータ43b
への電力を制御する制御信号を出力する出力処理回路6
7等を備えている。
検出するセンサやスイッチの検出信号やデータを読み込
んで制御を実行するが、センサ及びスイッチとして、次
のようなものが備えられている。すなわち、イグニッシ
ョンスイッチ70、運転者によるアクセルペダルの踏込
量を検出するアクセルセンサ71、車両の速度を検出す
る車速センサ72、スロットル弁33のスロットル開度
を検出するスロットルポジションセンサ73、エンジン
10の回転数を検出するエンジン回転数センサ75、吸
気管31の圧力を検出する吸気圧センサ76、バッテリ
19の充電量を検出するバッテリ容量センサ78、等が
備えられており、さらに、エンジン10の各種温度を検
出するためのセンサ、つまり、排ガスの温度を検出する
排気温センサ81、触媒43aの温度を検出する触媒温
センサ82が備えられている。これらセンサやスイッチ
等は、A/Dコンバータ65および入力処理回路66と
電気的に接続されており、車両情報が車両コントローラ
60に取り込まれる。
両走行制御処理について説明する。車両コントローラ6
0は、アクセルペダルの踏込量や車速等に基づいて、エ
ンジン10、発電機14、走行用モータ16の制御を実
行する。すなわち、車両コントローラ60は、アクセル
ペダルの踏込量や車速等に基づいて、車軸要求出力を算
出し、この車軸要求出力にバッテリ19への充電量を加
減算したエンジン駆動力を算出してエンジン10を駆動
し、この駆動出力をプラネタリギア装置12を介して駆
動輪18R,18Lに直接伝達させる。また、車両コン
トローラ60は、発電機14による発電出力を走行用モ
ータ16に供給したり、バッテリ19へ充電する制御を
行なっている。
10の始動時における触媒暖機処理を実行している。す
なわち、本処理は、エンジン10が停止している状態で
ありかつバッテリ19による電力で走行用モータ16に
より走行している場合等において、エンジン10の始動
前に、電熱ヒータ43bに通電して触媒43aを加熱す
る処理である。
暖機処理を説明するフローチャートである。図5におい
て、まず、ステップS102にて、イグニッションスイ
ッチ70がオンか否かの判定が実行される。イグニッシ
ョンスイッチ70のオンを判定条件としたのは、運転者
による走行意思がある場合におけるエンジン10の始動
要求をすべて考慮したものであり、つまり、走行用モー
タ16だけで走行している状態からエンジン10を始動
したい要求がある場合や、車両が一時停止している状態
からエンジン10を始動させたい要求がある場合等を考
慮したものである。
ッチ70がオンされていると判定されたときに、ステッ
プS104へ進み、エンジン10が停止しているか否か
が判定される。この判定は、エンジン回転数センサ75
からの検出信号に基づいて、エンジン10が所定回転数
以上で回転しているか否かで判定される。
が停止していると判定されると、ステップS106へ進
み、エンジン10の始動要求があるか否かが判定され
る。エンジン10の始動要求として、例えば、2つの場
合がある。 長い登坂走行の場合のように大きな駆動力を必要と
し、走行用モータ16の駆動力だけでは不足しており、
エンジン10の駆動力を加えたいと判定した場合であ
る。この場合におけるエンジン10の駆動力は、プラネ
タリギア装置12及び走行用モータ16を介して駆動輪
18R,18L側へ伝達される。 バッテリ19の充電量SOCが所定充電量(20〜
30%)以下になり、エンジン10の駆動力で発電機1
4を介して発電してバッテリ19に充電したいと判定し
た場合である。これらの始動要求及びは、図示しな
い他のルーチンで設定されるフラグにより判定される。
センサ78からの検出信号に基づいて充電量SOCが読
み込まれ、さらに、次のステップS110では、ステッ
プS108で読み込まれた充電量SOCに基づいて、電
熱ヒータ43bに供給する電流値であるヒータ電流値i
h及びその通電時間であるヒータ通電時間thが算出さ
れる。図6は横軸に充電量SOCを、縦軸にヒータ電流
値ih及びヒータ通電時間thをそれぞれ示す。図6に
おいて、充電量SOCが所定値SOC1より小さい範囲
にて、ヒータ電流値ihは充電量SOCの増大に比例し
て大きくなるとともにヒータ通電時間thは減少し、一
方、充電量SOCが所定値SOC1より大きい範囲で
は、ヒータ電流値ih及びヒータ通電時間thは一定値
に設定される。なお、充電量SOCの大小に応じて、ヒ
ータ電流値ih及びヒータ通電時間thを変える理由に
ついては後述する。
ヒータ43bにヒータ電流値ihの値で通電されて、電
熱ヒータ43bの加熱による触媒43aへの昇温が開始
される。続くステップS114にて、ステップS110
で算出されたヒータ通電時間thが経過したか否かが判
定される。ステップS114にてヒータ通電時間thが
経過したと判定されたときに、ステップS116へ進
む。そして、ステップS116にて、エンジン10が発
電機14により始動され、一旦、本処理を終了する。す
なわち、電熱ヒータ43bへ所定のヒータ供給電力量W
h(=V×ih×th)が供給されて、触媒43aが暖
機された後に、エンジン10が始動される。
S104にてエンジン10が駆動されたと判定されたと
きに、ステップS120へ移行する。ステップS120
では、触媒温センサ82からの検出信号に基づいて、触
媒温度Tcatが読み込まれ、ステップS122にて、
触媒温度Tcatが所定温度Tk(例えば、350℃)
以上か否かが判定される。そして、ステップS122に
て、触媒温度Tcatが所定温度Tk以下と判定された
ときに、ステップS124にて電熱ヒータ43bへの通
電が継続され、一方、触媒温度Tcatが所定温度Tk
以上と判定されたときに、ステップS126にて電熱ヒ
ータ43bへの通電が停止される。すなわち、ステップ
S104にて、エンジン10が駆動中と判定された場合
には、ステップS120からステップS126の処理に
て、触媒温度Tcatが所定温度Tk以上となるように
電熱ヒータ43bがフィードバック制御される。
すようにヒータ電流値ih及びヒータ通電時間thを、
充電量SOCの大小に応じて変更して電熱ヒータ43b
に供給しているのは、触媒43aの暖機を十分に行なわ
せると共に、車両の動力性能を低下させないためであ
る。以下、その理由を説明する。
電力量をそれぞれ示し、つまり、充電量SOCに対応し
たヒータ供給電力量Wh、モータ供給電力量Wm、ヒー
タ供給電力量Whとモータ供給電力量Wmを合計した総
電力量Wtをそれぞれ表わしている。図7において、総
電力量Wtは充電量SOCに対応してバッテリ19から
供給可能な電力量であり、充電量SOCに比例して増大
している。この総電力量Wtをモータ供給電力量Wmと
ヒータ供給電力量Whとに分配するが、分配の割合は、
充電量SOCの大小にかかわらずヒータ供給電力量Wh
を一定とし、充電量SOCの減少につれてモータ供給電
力量Wmを減らしている。図8は図7のヒータ供給電力
量Whとモータ供給電力量Wmとの割合(%)を示す。
ータ供給電力量Whを一定にして電熱ヒータ43bへ通
電する電力を優先的に確保することにより、つまり、伝
熱ヒータ43bに供給されるエネルギをほぼ一定に確保
することにより、触媒43aを所定温度まで加熱でき
る。よって、エンジン10の始動時にエミッションの低
下を招かない。
定値を確保する一方で、図6に示すように、充電量SO
Cが所定値SOC1以下の場合に、ヒータ通電時間th
を長くすると共にヒータ電流値ihを小さくして、触媒
43aを暖機するための時間を長くかけている。これ
は、ヒータ電流値ihを小さくして走行用モータ16に
供給できるモータ電流値imを大きくして、車両の動力
性能を低下させないためである。すなわち、図9は充電
量SOCと、ヒータ供給電力Ph(=V×ih)及びモ
ータ供給電力Pm(=V×im)との関係を示すグラフ
である。車両の走行用モータ16による走行駆動力は、
モータ供給電力Phに比例するが、バッテリ19の電圧
Vはほぼ一定であるから、モータ供給電力Phは、モー
タ電流値imに比例する。ここで、バッテリ19から供
給できる総電流値がitであるときに、走行用モータ1
6に流すことができる最大のモータ電流値imは、it
−ihである。この関係から、ヒータ電流値ihを、充
電量SOCが所定値SOC1以下で減らしており、この
減らした分だけモータ電流値imを大きくすることがで
き、つまり、モータ供給電力Phを大きくすることがで
きることから、車両の動力性能が低下しない。
モータ16に流せるモータ電流値imを大きくしたとき
に、走行用モータ16への通電時間が短くなるが、モー
タ供給電力量Wmは、モータ電流値imをヒータ通電時
間thだけ流せるだけの電力量であり、しかもその電力
量を供給できるように、最低の充電量SOCが20〜3
0%に維持されているから、ヒータ通電時間thの経過
前にモータ供給電力量Wmを消費して車両の動力性能が
低下することもない。また、ヒータ通電時間thが経過
した後には、エンジン10の駆動により発電機14を介
して発電電力が走行用モータ16に供給される。よっ
て、電熱ヒータ43bの通電により、バッテリ19から
走行用モータ16へ供給する電力が不足することもな
く、車両の駆動力が低下することもない。
値SOC1以上にて、ヒータ電流値ih及びヒータ通電
時間thを一定としたのは、触媒43aを暖機するに
は、その供給電力で十分であることを考慮したからであ
る。
0のタイミングチャートと共に説明する。いま、時点t
0にてイグニッションスイッチ70がオンされ(ステッ
プS102)、時点t1から走行用モータ16の駆動力
により車両が走行している。そして、時点t2にて、エ
ンジン10の始動条件が成立したときに(ステップS1
06)、電熱ヒータ43bへ通電される(ステップS1
12)。これにより、触媒43aが加熱されて触媒温度
Tcatが上昇する。電熱ヒータ43bにヒータ通電時
間thだけ通電されると(ステップS112)、時点t
3にてエンジン10が始動する(ステップS114)。
そして、時点t4にて触媒温度Tcatが高い浄化率で
触媒43aを活性化する所定温度Tkに達すると、電熱
ヒータ43bへの通電が停止される。
理において、ヒータ供給電力量Whは、エンジン10を
始動する際に、バッテリ19の充電量SOCが小さくな
るにつれてモータ供給電力量Wmに対して大きい割合で
優先されており、触媒43aを活性化するのに必要な電
力が電熱ヒータ43bに供給されるから、エミッション
が低下することがない。これと共に、充電量SOCが小
さい場合であっても、電熱ヒータ43bへのヒータ電流
値ihを減らして、その減らした分だけモータ電流値i
mを増加させているから、走行用モータ16の駆動力が
低下せず、車両の走行性能を損なうことがない。したが
って、触媒暖機性と車両の動力性能の両立を図ることが
できる。
値ihを小さくすることにより、車両の動力性能を確保
するためのモータ供給電力量Wmに加えて、小さい値の
ヒータ電流値ihを流せるだけのバッテリ19の容量だ
けでよいから、バッテリ19を小型にすることができ
る。
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の
態様において実施することが可能であり、例えば次のよ
うな変形も可能である。
間thとは、図6で説明したマップのように設定するほ
か、バッテリの容量、走行用モータなどの出力容量等の
車両の条件に応じて、各種のマップを設定することがで
き、また、それらの複数のマップを車両の運転状態に応
じて切り換えてもよい。例えば、図11に示すように、
充電量SOCの全範囲にわたって、充電量SOCと、ヒ
ータ電流値ih及びヒータ通電時間thとが比例して増
減するようなマップを採用してもよい。
ヒータ供給電力量Whとモータ供給電力量Wmとの分配
割合を示す図8に対応するグラフである。図12におい
て、実線A1は平地走行の場合に、2点鎖線A2が高地
走行の場合にとるそれぞれの割合を示す。この実線A1
と2点鎖線A1とは、大気圧センサからの検出信号に基
づいて、大気圧が所定以上となった場合に、つまり車両
が高地を走行していると判定した場合に切り替える。こ
のようにヒータ供給電力量Whとモータ供給電力量Wm
との割合を切り替え制御することにより、高地では、気
圧が低いために吸気速度と体積との比(S/V)が小さ
く、排ガスのエミッションが低下しやすい状況であって
も、電熱ヒータへの通電が一層優先され、高知走行の際
にも触媒の高い浄化率を確保することができる。
のハイブリッド型車両について説明したが、この形式の
ハイブリッド型車両に限らず、バッテリからの供給され
る電力で駆動される走行用モータと、排ガスの浄化のた
めに触媒を備えたエンジンを搭載したものであれば、電
気分配式のハイブリッド型車両や、いわゆるシリーズタ
イプのハイブリッド型車両でもよい。
との配分及びそれらの電流値を定めるについては、エン
ジンの暖機状態等の触媒の温度に影響のあるパラメータ
を考慮してもよい。この場合において、触媒の温度が高
い場合にヒータ供給電力を減らせば、モータ供給電力を
大きくとることができ、車両の動力性能を一層向上させ
ることができる。
きのエンジンを搭載したハイブリッド型車両を示す概略
構成図。
車両の制御系のブロック図。
関係を説明する説明図。
h、モータ供給電力量Wmとの関係を説明する説明図。
とモータ供給電力量Wmとの割合を説明する説明図。
供給電力Phとの関係を示すグラフ。
を説明するためのタイミングチャート。
値ih及びヒータ通電時間thとの関係を説明する説明
図。
するヒータ供給電力量Whとモータ供給電力量Wmとの
割合を説明する説明図。
Claims (3)
- 【請求項1】 車輪側の駆動軸に連結されかつ該駆動軸
を少なくとも一方の出力で走行させるエンジン及び走行
用モータと、 エンジンの駆動力で発電する発電機と、 発電機の発電電力を充電すると共に走行用モータに電力
を供給するバッテリと、 エンジンの排気通路に設けられ、該排気通路を通る排ガ
スを浄化する触媒と、該触媒を加熱するための電熱ヒー
タとを有する触媒コンバータと、 を備え、エンジンの駆動力で発電機を発電してその発電
電力をバッテリに充電し、該バッテリに充電した電力を
上記電熱ヒータ及び走行用モータに供給することにより
該電熱ヒータを加熱するとともに走行用モータで得られ
た駆動力により走行するハイブリッド型車両において、 上記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、充
電量検出手段により検出された充電量に基づいて、上記
走行用モータに供給するモータ供給電力と、上記電熱ヒ
ータに供給するヒータ供給電力との配分を定めて、走行
用モータ及び電熱ヒータを制御する供給電力制御手段
と、 を備えていることを特徴とするハイブリッド型車両。 - 【請求項2】 車輪側の駆動軸に連結されかつ該駆動軸
を少なくとも一方の出力で走行させるエンジン及び走行
用モータと、 エンジンの駆動力で発電する発電機と、 発電機の発電電力を充電すると共に走行用モータに電力
を供給するバッテリと、 エンジンの排気通路に設けられ、該排気通路を通る排ガ
スを浄化する触媒と、該触媒を加熱するための電熱ヒー
タとを有する触媒コンバータと、 を備え、エンジンの駆動力で発電機を発電してその発電
電力をバッテリに充電し、該バッテリに充電した電力を
上記電熱ヒータ及び走行用モータに供給することにより
該電熱ヒータを加熱するとともに走行用モータで得られ
た駆動力により走行するハイブリッド型車両において、 上記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、 エンジンの始動要求時に、充電量検出手段により検出さ
れた充電量に基づいて、上記走行用モータに供給するモ
ータ供給電力と、上記電熱ヒータに供給するヒータ供給
電力との配分を定めて、走行用モータ及び電熱ヒータを
制御する供給電力制御手段と、 供給電力制御手段により電熱ヒータへ上記ヒータ供給電
力が供給された後にエンジンを始動するエンジン始動手
段と、 を備えていることを特徴とするハイブリッド型車両。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2において、上記
供給電力制御手段による電力の配分は、バッテリの充電
量の大小にかかわらず、所定時間当たりに供給されるヒ
ータ供給電力量をほぼ一定にし、上記充電量が小さくな
るにしたがって上記所定時間当たりに供給されるモータ
供給電力量を小さく設定すると共に、上記ヒータ供給電
力量は、ヒータ電流値を小さくしたヒータ供給電力で通
電時間を長く設定して電熱ヒータに供給され、 上記モータ供給電力量は、ヒータ電流値を減らした分だ
けモータ電流値を大きくしたモータ供給電力で走行用モ
ータに供給されるハイブリッド型車両。
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