JPH1088660A - 大架構塔状建築物 - Google Patents

大架構塔状建築物

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Publication number
JPH1088660A
JPH1088660A JP26353496A JP26353496A JPH1088660A JP H1088660 A JPH1088660 A JP H1088660A JP 26353496 A JP26353496 A JP 26353496A JP 26353496 A JP26353496 A JP 26353496A JP H1088660 A JPH1088660 A JP H1088660A
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JP
Japan
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floor
members
dwelling unit
outer shell
column
Prior art date
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Pending
Application number
JP26353496A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroki Sugiyama
寛紀 杉山
Masatoyo Matsuzaki
真豊 松崎
Takayuki Kobayashi
高行 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Construction Co Ltd
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Publication date
Application filed by Mitsui Construction Co Ltd filed Critical Mitsui Construction Co Ltd
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Publication of JPH1088660A publication Critical patent/JPH1088660A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大地震に対して安全で、平面計画の自由度を向
上させ、外壁面開口率を向上させ、しかも複数層に亙っ
た住戸内吹き抜け空間を設けた複層住戸を、建築物の強
度を失わせない形で、極力自由な位置に設置すること。 【解決手段】複数の面状耐震要素部材50により形成さ
れた鉛直方向筒枠構造体16と、その周囲の外殻構造物
3と、これらの間の複数の水平方向耐震構造体15で大
架構柱梁構造を構成し、複数のフロア空間25における
複数の住戸27のうち、少なくとも1つは、上下に隣接
する2つのフロア空間25、25に亙って配置された複
層住戸27Bとなっており、各複層住戸27Bに、上下
に隣接した2つのフロア空間25、25を上下に貫通す
る形で住戸内吹き抜け空間27wを設けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高層マンションなどに
適用するのに好適な大架構塔状建築物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高層の塔状建築物が高層マンショ
ン等として構築されており、このような建築物は、柱、
梁部材により構成される純ラーメン構造とすることが多
い。その他、超高層の事務所ビル等の例ではあるが、純
ラーメン構造ではなく大架構柱梁(メガストラクチャ
ー)を採用することもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな純ラーメン構造による建築物では、該建築物が高層
化すればするほど、その分、柱部材等が支持すべき鉛直
荷重や水平荷重が大きくなるため、単位水平面積内にお
いて設置すべき柱部材の本数が増加する。これにより、
各フロア空間における平面計画の自由度が制約され都合
が悪かった。特に、マンション等である塔状建築物で
は、平常時に発生する微弱な振動を極力防止して居住性
を向上させる目的から鉄骨鉄筋コンクリート等が採用さ
れている。この場合、大地震時における柱部材の崩壊等
を防止し、安全性を確保するためには、柱部材の部材断
面を極力大きくして塑性率を低く抑えることが必要とな
って来る。よって、上述したような、各フロア空間にお
ける平面計画の自由度の制約は更に大きくなる。
【0004】一方、超高層の事務所ビル等ではあるが、
上述したような大架構柱梁を採用することにより、単位
水平面積内において設置すべき柱部材の本数を極力減少
させることができ、よって各フロア空間における平面計
画の自由度を極力向上させることができた。しかしその
構造上、大架構柱を建物の外周部に配置する必要が生
じ、この大架構柱(通常この大架構柱はコアや設備等の
スペースとしてしか使用できない)の存在により、バル
コニや窓などの設置が制約されていた(即ち、外壁面開
口率の向上が困難であった。)。そのため、マンション
等の集合住宅である場合には、このような大架構柱梁を
採用することは計画上不可能であった。
【0005】また、高層マンション等において、上下に
隣接した2つの階(2層)に亙って形成された複層住戸
が設けられることがある。そして、このような複層住戸
において、該複層住戸が配置されている2つの階に亙っ
て貫通した住戸内吹き抜け空間を設けたいという要望が
あった。しかし、高層マンション等においては床強度の
確保の点で、このような住戸内吹き抜け空間を、特に中
間層等においては計画しにくかった。
【0006】そこで本発明は上記事情に鑑み、高層マン
ション等の塔状建築物において、大地震等に対して安全
で、かつ各フロア空間における平面計画の自由度を極力
向上させることができ、外壁面開口率を極力向上させる
ことができ、しかも複数層に亙った住戸内吹き抜け空間
を設けた複層住戸を、建築物の強度を失わせない形で、
極力自由な位置に設置することができる大架構塔状建築
物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、内部に複
数のフロア空間(25)が上下層状に設けられた塔状建
築物(1)において、上下方向に伸延した筒枠状構造体
(16)を有し、前記筒枠状構造体(16)は、面状に
形成された複数の面状耐震要素部材(50)により閉鎖
水平断面形状を形成する形で形成されており、前記筒枠
状構造体(16)の周囲に、前記塔状建築物(1)の構
造上の外周面(3a)を形成する形で外殻構造体(3、
60)を設け、前記複数のフロア空間(25)は、前記
筒枠状構造体(16)と前記外殻構造体(3、60)の
間に形成されており、前記筒枠状構造体(16)と前記
外殻構造体(3、60)との間に、面状に形成された複
数の耐震要素構造体(15)を、これら筒枠状構造体
(16)と外殻構造体(3、60)とを接続する形で上
下方向に所定の間隔(L1)で配設し、前記複数の耐震
要素構造体(15)は、水平方向においては、前記筒枠
状構造体(16)を中心とする放射方向に、前記筒枠状
構造体(16)と前記外殻構造体(3、60)とを接続
する形で配置し、前記複数のフロア空間(25)に複数
の住戸(27)を設置し、前記複数の住戸(27)のう
ち、少なくとも1つの住戸(27)は、前記複数のフロ
ア空間(25)のうち、上下に隣接する複数のフロア空
間(25)に亙って配置された複層住戸(27B)とな
っており、前記各複層住戸(27B)に、該複層住戸
(27B)が配置された前記上下に隣接する複数のフロ
ア空間(25)を上下に貫通する形で、住戸内吹き抜け
空間(27w)を設けて構成される。
【0008】なお、括弧内の番号等は、図面における対
応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。以下の
「作用」の欄についても同様である。
【0009】
【作用】上記した構成により本発明では、筒枠状構造体
(16)と耐震要素構造体(15)と外殻構造体(3、
60)により大架構柱梁を構成する構造となっている。
また、常時荷重(鉛直荷重)は主に外殻構造体(3、6
0)側によって支持させ、また、地震等の際に発生する
水平力は主に筒枠状構造体(16)側で抵抗させる構造
になっている。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1は、本発明による大架構塔状建築物の一例であ
るマンションにおける、梁部材や柱部材によるフレーム
構造物を示した模式斜視図、図2は、図1のフレーム構
造物を示した水平断面図、図3は、図1のフレーム構造
物を示した側断面図、図4(a)は、図1のフレーム構
造物に設置された制震梁を示した側面図、図4(b)
は、図4(a)のX1−Y1線断面図、図5は、図2の
S1−T1線断面図であり、フロア空間内等の様子を示
したもの、図6は、本発明による大架構塔状建築物の別
の一例であるマンションにおける、梁部材や柱部材によ
るフレーム構造物を示した模式斜視図、図7は、図6に
示すフレーム構造物を示した水平断面図、図8は、別の
形のトラス構造を示した側面図、図9は、別の形のトラ
ス構造を示した側面図、図10は、別の形の水平方向耐
震構造体及び鉛直方向筒枠構造体を示した側面図であ
る。
【0011】本発明による大架構塔状建築物の一例であ
るマンション1は、図1乃至図3に示すように、地盤2
中に構築された図示しない基礎構造物上に立設された梁
部材6、10や柱部材5、9等からなるフレーム構造物
100を有しており、フレーム構造物100は、外殻構
造物3と中核構造物7等から構成されている。外殻構造
物3は、図1乃至図3に示すように、前記基礎構造物上
に立設された複数の柱部材5を有している。なお、本実
施例ではこれら柱部材5は鋼管コンクリートとなってい
るが、その他の実施例としてH鋼などによるもの又は鉄
筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートなどでも可能
である(しかし、鋼管コンクリートの採用により柱部材
の部材断面の縮小と工期短縮が容易に実現するので、鋼
管コンクリートを採用することが望ましい。)。そし
て、外殻構造物3の複数の柱部材5のうち、8本の柱部
材5A(なお、柱部材5Aは、前記複数の柱部材5のう
ちの特定のものを区別して表記したものとする)は、図
2に示すように、水平断面において、対向した辺どうし
が平行且つ等しい長さである所定の8角形の頂点に位置
する形でそれぞれ配置されている。また、この8角形の
所定の1辺(図2の紙面で最も上側の辺)には、該1辺
の両端に配置された2つの柱部材5A、5Aの他に、こ
れら柱部材5A、5Aの間の位置において2つの柱部材
5B、5B(なお、柱部材5Bは、前記複数の柱部材5
のうちの柱部材5A以外の特定のものを区別して表記し
たものとする)が配置されており、該1辺と対向する別
の1辺(図2の紙面で最も下側の辺)においても、該別
の1辺の両端に配置された2つの柱部材5A、5Aの他
に、これら柱部材5A、5Aの間の位置において2つの
柱部材5B、5Bが配置されている。更に、これら1辺
及び別の1辺の間に挟まれた2辺(図2の紙面で最も右
側の辺及び最も左側の辺)においても、該各辺の両端に
配置された2つの柱部材5A、5Aの他に、これら柱部
材5A、5Aの間の位置において2つの柱部材5B、5
Bが配置されている。そして、水平方向である図の矢印
A、B方向(即ち図2の紙面上下方向)及び、該矢印
A、B方向に直角な水平方向である図の矢印C、D方向
(即ち図2の紙面左右方向)に、互いに対向した辺どう
しでは、その対向方向に各柱部材5B、5Bが対応して
位置しており、従って、これら対応した柱部材5B、5
Bどうしを結んだ線は、井の字型の格子状に交差してい
る。
【0012】上述した8角形の周方向に隣接する柱部材
5A、5A間、柱部材5A、5B間、柱部材5B、5A
間には、水平方向に伸延した複数の梁部材6がそれぞれ
接続されており、隣接する各柱部材5、5間では、これ
らを接続する梁部材6は上下方向に複数となっている。
即ち、これら柱部材5A、5B、梁部材6によりラーメ
ン構造を構成する外側構造体41が形成されており、こ
の外側構造体41の外周面により、前記マンション1の
構造上の外周面である構造外周面3aが形成されてい
る。また、各柱部材5、5間の複数の梁部材6は、後述
する複数のフロア空間25の位置に対応して上下方向に
配置されている。なお、本実施例では、この梁部材6は
鉄骨コンクリート(鋼管コンクリート等)によるもので
あるが、その他の実施例としてH鋼などによるもの又は
鉄筋コンクリートなどでも可能である。また、隣接する
各柱部材5B、5B間には梁部材6が接続されていな
い。更に、外殻構造物3の複数の柱部材5のうち、上記
柱部材5A、5B以外の8つの柱部材5C(なお、柱部
材5Cは、前記複数の柱部材5のうちの柱部材5A、5
B以外のものを区別して表記したものとする)は、上述
した柱部材5Bのうち、水平断面において、互いに対応
した柱部材5B、5Bどうしを結んだ格子状に交差した
井の字型の線上に存在し、かつ8つの各柱部材5Bより
もやや内側に位置した形で、また各柱部材5Bと1対1
で対応した形で配置されている。これら8つの柱部材5
Cのうち、図の矢印A、B方向或いは矢印C、D方向に
隣接した2本1組の柱部材5C、5Cにおいて、各組の
柱部材5C、5C間には水平方向に伸延した複数の梁部
材6がそれぞれ接続されており、隣接する各柱部材5
C、5C間では、これらを接続する梁部材6は上下方向
に複数となっている。これら梁部材6の配置位置は、前
記外側構造体41における複数の梁部材6の配置位置と
対応している。これら柱部材5C、5C、梁部材6によ
り、ラーメン構造を構成する内側構造体40が形成され
ている。
【0013】以上のように構成された外側構造体41と
内側構造体40の間、具体的には互いに対応配置されて
いる柱部材5Bと柱部材5Cの間は、例えば図1乃至図
4に示すような複数の所定の制震梁17で接続されてい
る。なお、この制震梁17は、各柱部材5B、5C間に
複数設置されており、これら制震梁17の配置位置は、
前記外側構造体41及び内側構造体40における複数の
梁部材6の配置位置と対応している。各制震梁17は、
図4(a)及び図4(b)に示すように、柱部材5B、
5C間を接続した形のH型鋼からなる梁部材ユニット1
9を有しており、該梁部材ユニット19はその中央付近
を境界とする形で柱部材5C側の梁部材片20Pと、柱
部材5B側の梁部材片20Qとに分割されている。つま
り、これら梁部材片20P、20Qはそれぞれの先端を
突き合わした形で配置されている。なお、これら梁部材
片20P、20Qの先端部位では、これらの相対的変位
を妨げないように、各ウェブ20aにおいて切欠き21
がそれぞれ形成されている。更にこれら梁部材片20
P、20Qは、互いに突き合わされた先端部位におい
て、適宜な接続プレート22及びボルト、ナットを介し
て、互いのフランジ20b、20bを接続する形で、か
つ、低降伏点鋼からなるダンパ用プレート23及びボル
ト、ナットを介して、互いのウェブ20a、20aを接
続する形で接合されている。外殻構造物3は以上の外側
構造体41、内側構造体40、制震梁17で構成されて
いる。なお、他の実施例として外殻構造物3は任意の外
形をもち得る。
【0014】以上のように構成された外殻構造物3の内
側には、図1乃至図3に示すように、上述した中核構造
物7が設けられている。中核構造物7は、前記図示しな
い基礎構造物上に立設された4つの柱部材9を有してい
る(なお、本発明ではこれら柱部材9は鋼管コンクリー
トとなっているが、その他の実施例としてH鋼などによ
るもの又は鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリート
などでも可能である)。これら4つの柱部材9は、上述
した外殻構造物3の柱部材5のうち、水平断面におい
て、互いに対応した柱部材5B、5Bどうしを結んだ格
子状に交差した線での4つの交差点に対応した位置に配
置されている。これら各柱部材9と、上述した外殻構造
物3の柱部材5Cうち、図の矢印A、B方向或いは矢印
C、D方向に該柱部材9と隣接対向した柱部材5Cの間
には、水平方向に伸延した複数の梁部材10がそれぞれ
接続されており、隣接する各柱部材9、5C間では、こ
れらを接続する梁部材10は上下方向に複数となってい
る。また、これら複数の梁部材10は、上述した外殻構
造物3の複数の梁部材6或いは制震梁17の位置に対応
して配置されている。一方、図の矢印A、B方向或いは
矢印C、D方向に隣接した柱部材9、9間にも、水平方
向に伸延した複数の梁部材10がそれぞれ接続されてお
り、隣接する各柱部材9、9間では、これらを接続する
梁部材10は上下方向に複数となっている。しかし、各
柱部材9、9間の複数の梁部材10は、各柱部材9、5
C間における複数の梁部材10の上下方向の配置間隔と
は基本的に異なった配置間隔(後述)で配置されている
(なお本発明における柱部材9、9間の梁部材10の配
置間隔は、本実施例における配置間隔に限定されな
い。)。なお、本実施例では、この梁部材10はH鋼に
よるものであるが、その他の実施例として鉄筋コンクリ
ート又は鉄骨鉄筋コンクリートなどでも可能である。
【0015】ところで上述した複数の梁部材10のう
ち、各柱部材9、5C間の梁部材10における上下間隔
(従って、上述した外殻構造物3の複数の梁部材6或い
は制震梁17における上下間隔)は、図3に示すよう
に、基本的には所定の間隔H1である。つまり、これは
基準階に相当する。しかし、特定の位置の上下間隔、例
えば図3に示す10階及び20階に相当する位置での上
下間隔は、前記間隔H1の1.5倍の大きさである間隔
H2となっている。また、各柱部材9、9間の梁部材1
0における上下間隔は、図3に示すように、基本的には
前記間隔H1の3倍に相当する所定の間隔H3であり、
これは例えば図3に示すように1階〜3階に亙る上下間
隔、4階〜6階に亙る上下間隔、7階〜9階に亙る上下
間隔、或いは11階〜13階に亙る上下間隔、14階〜
16階に亙る上下間隔、17階〜19階に亙る上下間
隔、或いは21階〜23階に亙る上下間隔、24階〜2
6階に亙る上下間隔、27階〜29階に亙る上下間隔…
…という形で梁部材10が配置されている。ところが、
特定の位置での梁部材10、10間の上下間隔は前記間
隔H2と等しい大きさになっている。これは、10階及
び20階に相当する位置であり、従って10階及び20
階に相当する位置では、各柱部材9、9間の梁部材1
0、10の上下間隔は、上述した各柱部材9、5C間の
梁部材10の上下間隔と対応している。なお、図3に示
すように、このマンション1は30階建であり、30階
の位置での、柱部材9、9間の梁部材10、10の上下
間隔は間隔H2より小さい所定の間隔になっている。
【0016】上述したように、図3の10階及び及び2
0階の位置において、間隔H2で配置された上側或いは
下側の梁部材10に関しては、柱部材9、9間の梁部材
10と、柱部材9、5C間の梁部材10とが同一の高さ
位置にあることから、矢印A、B方向或いは矢印C、D
方向に柱部材9、9を介して接続された3つの梁部材1
0によって梁ユニット11がそれぞれ構成されていると
見做せる。また、図3の30階の位置において、所定の
間隔で配置された上側或いは下側の梁部材10に関して
は、柱部材9、9間の梁部材10と、柱部材9、5C間
の梁部材10とが同一の高さ位置にあることから、矢印
A、B方向或いは矢印C、D方向に柱部材9、9を介し
て接続された3つの梁部材10によって梁ユニット11
がそれぞれ構成されていると見做せる。ここで、図3の
10階及び及び20階及び30階の位置において、上下
に隣接した梁ユニット11、11間には、上下方向の複
数の接続柱12が適宜接続され、これら梁ユニット1
1、11間には、隣接する接続柱12、12間、或いは
隣接する接続柱12と柱部材9の間等において斜め方向
のブレース材13が設置されている。つまり、上下に隣
接した梁ユニット11、11、接続柱12、ブレース材
13により水平方向に伸延したトラス梁14が構成され
ている。なお、このトラス梁14の位置(10階と20
階)では梁部材10、10の間隔H2が通常の間隔H1
よりも大きくなっているので、その分、トラス梁14の
上下幅が大きくなり鉛直方向の剪断力に対する剛性が向
上されている。
【0017】また、矢印A、B方向或いは矢印C、D方
向に隣接した柱部材9、9間には、上下に隣接した梁部
材10、10の間(但し、図3の10階及び及び20階
及び30階の位置は除く)において斜め方向のブレース
材13が設置されている。つまり、4つの柱部材9及
び、隣接した柱部材9、9間の梁部材10、ブレース材
13等により上下方向に伸延した鉛直方向筒枠構造体1
6が構成されている。なお、図3の10階及び及び20
階及び30階の位置では、各トラス梁14と鉛直方向筒
枠構造体16が、各々の一部分を共有する形で交差接合
されている。以上のようにマンション1には、上下方向
に伸延した鉛直方向筒枠構造体16が設けられており、
該鉛直方向筒枠構造体16は、面状に形成された4つの
面状耐震要素部材50(図2の四角形断面における各辺
の位置に相当する部位であり、本実施例の場合には、隣
接する2本の柱部材9、9(又は隣接する柱部材9と接
続柱12)と上下に隣接する2本の梁部材10、10に
よって囲まれた4角形状構造に斜め方向のブレース材1
3、13を設置して構成した面状のトラス構造18が上
下方向等に複数個接続した形で構成されている。なお、
各面状耐震要素部材50が有するトラス構造18の大き
さ、数、配置状態は、この実施例だけに限定されな
い。)により閉鎖水平断面形状(即ち、面状のトラス構
造18により観念的に閉鎖された水平断面形状)を形成
する形で形成されている。この鉛直方向筒枠構造体16
の周囲には、マンション1の構造上の構造外周面3aを
形成する形で外殻構造物3が設けられている。また、鉛
直方向筒枠構造体16と外殻構造物3との間には、面状
に形成された複数の水平方向耐震構造体15、即ち上述
したトラス梁14のうち鉛直方向筒枠構造体16との共
有部位を除いた部分(なお、1つのトラス梁14は、鉛
直方向筒枠構造体16の両側に位置する形で2つの水平
方向耐震構造体15を有している。また、本実施例の場
合には、隣接する柱部材9と接続柱12(又は柱部材5
と接続柱12又は接続柱12、12)と上下に隣接する
2本の梁部材10、10によって囲まれた4角形状構造
に斜め方向のブレース材13、13を設置して構成した
面状のトラス構造18が水平方向等に複数個接続した形
で構成されている。なお、各水平方向耐震構造体15が
有するトラス構造18の大きさ、数、配置状態は、この
実施例だけに限定されない。)が、これら鉛直方向筒枠
構造体16と外殻構造物3とを接続する形で図3に示す
上下方向に所定の間隔L1(即ち上下に隣接する水平方
向耐震構造体15、15間には間隔H1の9倍に相当す
る間隔L1が形成されている)で配設されており、これ
ら水平方向耐震構造体15は、水平方向においては図2
に示すように、鉛直方向筒枠構造体16を中心とする放
射方向(矢印A、B、C、Dの各方向に向かってそれぞ
れ2本づつ)に、鉛直方向筒枠構造体16と外殻構造物
3とを接続する形で配置されている。
【0018】フレーム構造物100は、上述したように
外殻構造物3及び中核構造物7からなっており、このフ
レーム構造物100には、上述した複数の梁部材6、1
0等に支持された形で複数のスラブ102が、図5に示
すように、上下層状に設置されている。また、鉛直方向
筒枠構造体16内には、前記複数のスラブ102を上下
方向に貫通する形で、従って前記複数のフロア空間25
を上下に貫通した形で吹き抜け空間16aが設けられて
いる。そして、これら上下に隣接するスラブ102、1
02の間には、前記複数の梁部材6、10の上下間隔に
対応した形で複数のフロア空間25が上下層状に形成さ
れている。各フロア空間25の階高は、10階と20階
では、該フロア空間25の上下の梁部材6、6(10、
10)の間隔H2に等しい間隔H2であり(図5では図
示せず)、10階或いは20階以外の階、即ち基準階で
は、該フロア空間25の上下の梁部材6、6(10、1
0)の間隔H1に等しい間隔H1である。つまり、10
階と20階ではフロア空間25の階高が、それ以外の基
準階の階高よりも大きくなっている(本実施例では1.
5倍になっているが、その他にも、1.2倍や2倍など
の様々な大きさが可能である。)。
【0019】各フロア空間25内には、図5等に示すよ
うに、吹き抜け空間16aに隣接する形で配置された共
用廊下26や、該共用廊下26或いは吹き抜け空間16
aに隣接する形で配置された複数の住戸27が設けられ
ている。これら複数のフロア空間25に設けられた複数
の住戸27のうち、あるものは単層住戸27A(図5の
紙面下方に一部のみ図示)であり、その他は複層住戸2
7Bである。即ち、単層住戸27Aは単一のフロア空間
25内にのみ存在している住戸27であり、複層住戸2
7Bは上下に隣接する2つのフロア空間25、25に亙
って配置された住戸27である。これら各単層住戸27
A及び各複層住戸27Bは、隣接する柱部材5B、5C
の間の位置に対応し、かつ外殻構造物3の構造外周面3
aに沿った形で配置されたバルコニ27c(なお、複層
住戸27Bの場合は上階側のバルコニ27cと下階側の
バルコニ27cとを有している)及び、該バルコニ27
cの前記吹き抜け空間16a側に隣接配置された室内部
27a(なお、複層住戸27Bの場合は上階側の室内部
27aと下階側の室内部27aとを有している)等を有
している。即ち、隣接する柱部材5B、5Cの間に設け
られている制震梁17はバルコニ27cに隣接している
ことから、該制震梁17のメンテナンスや交換などの作
業は室内部27a内等で行わずに済み、しかもバルコニ
27c自体を作業の足場として行えるので都合がよい。
【0020】一方、各単層住戸27Aと吹き抜け空間1
6aとの間には、上述したように共用廊下26が配置さ
れており、複層住戸27Bの下階側の部位と吹き抜け空
間16aとの間にも共用廊下26が配置されている。つ
まり、各共用廊下26と、該共用廊下26に隣接した単
層住戸27A及び複層住戸27Bとの間は、玄関部27
tを介して通行自在になっている。また、複層住戸27
Bの上階側の室内部27aと吹き抜け空間16aとの間
には共用廊下26が存在せず、その代わりに第2バルコ
ニ27dが、該複層住戸27Bの一部として配置されて
いる。更に、複層住戸27B内には、該複層住戸27B
が配置されている上下に隣接したフロア空間25、25
に亙って(従って上階側の室内部27aと下階側の室内
部27aに亙って)貫通形成された形の、従ってスラブ
102を上下に貫通した形の住戸内吹き抜け空間27w
が設けられている。また、複層住戸27Bの上階側の室
内部27aと下階側の室内部27aの間には通行用の階
段27kが設置されている。
【0021】マンション1は以上のように鉛直方向筒枠
構造体16と水平方向耐震構造体15と外殻構造物3に
より大架構柱梁を構成する構造となっているので、純ラ
ーメン構造による建築物等に比べて、単位水平面積内に
おいて設置すべき柱部材5、9の本数を極力減少させる
ことができ、よって各フロア空間25における平面計画
の自由度を極力向上させることができる。しかも、大架
構柱である鉛直方向筒枠構造体16をフレーム構造物1
00の外周部に配置せず内部中央に配置し、該鉛直方向
筒枠構造体16を囲む形で、従って該フレーム構造物1
00の外周部には、外殻構造物3を配置したので、外壁
面開口率を極力向上させることができる。なお、大架構
柱である鉛直方向筒枠構造体16をフレーム構造物10
0の内部中央に配置しているので、該鉛直方向筒枠構造
体16のみでは地震等による水平力に対する転倒スパン
が比較的小さい。しかし、鉛直方向筒枠構造体16が水
平力を受けた場合には、その力の一部は複数の水平方向
耐震構造体15を介して、転倒スパンの比較的大きな外
殻構造物3側に鉛直方向力として伝達される仕組みにな
っており、鉛直方向筒枠構造体16の柱脚に過大な軸力
がかかることが防止され(フレーム構造体100の崩壊
等が防止され)安全性が高い。またこのようにマンショ
ン1では、常時荷重(鉛直荷重)は主に外殻構造物3側
によって支持させ、また、地震等の際に発生する水平力
は主に鉛直方向筒枠構造体16側で抵抗させる構造にな
っている。従って、外殻構造物3の外側構造体41等に
おける複数の柱部材5は、その単位水平面積内において
設置すべき本数を極力減少させることができるばかりで
なく、これら柱部材5を鉄骨鉄筋コンクリート等で形成
した場合でも、それらの部材断面を極力小さくすること
ができるので、各フロア空間25における平面計画の自
由度は向上する。更に外殻構造物3では、鉛直方向筒枠
構造体16側からの力を水平方向耐震構造体15から直
接受ける内側構造体40と、外側構造体41との間が制
震梁17により接続されているので、大地震等による水
平力の一部は、鉛直方向筒枠構造体16側から外殻構造
物3に伝達され、該外殻構造物3内で内側構造体40か
ら外側構造体41に伝達されようとする間に制震梁17
により効果的に吸収されるようになる。よって、特に外
側構造体41等の柱部材5や梁部材6が損傷を受けるこ
とは極力防止される。また、制震梁17が外殻構造物3
内にのみ設置されており、しかもこのような設置態様に
より地震エネルギーの吸収が効果的に行われ得るように
なっている。従って、従来のように多数の制震手段を建
物内の多様な箇所に設置することと異なり、限定された
設置場所に集中させることができるので、平面計画上の
自由度が向上する。また、これら制震梁17はマンショ
ン1の外周部である外殻構造物3に設置されているの
で、メンテナンスを行う上でマンション1の内部での工
事を極力避けることができ都合がよい。
【0022】更に本実施例では、上下に隣接した2つの
フロア空間25、25に亙って形成された複層住戸27
Bには、該複層住戸27Bが配置されている2つのフロ
ア空間25、25に亙って貫通した住戸内吹き抜け空間
27wが設けられている。ところで、上述したようにマ
ンション1では、該マンション1内の上下方向等におけ
る構造的な負荷は、主に、鉛直方向筒枠構造体16と水
平方向耐震構造体15と外殻構造物3による大架構柱梁
により負担させているので、その分、各フロア空間25
におけるスラブ102等にかかる負担は極力低減されて
いる。つまり、住戸内吹き抜け空間27wが設けられる
ため床強度が比較的小さくなっているが、上述したよう
にスラブ102等にかかる負担が極力低減されているの
で、結果的に該マンション1の強度を失わせることはな
い。従って、このような住戸内吹き抜け空間27wを、
マンション1の中間層等など極力自由な位置に設置する
ことができるようになっている。
【0023】なお上述した実施例では、鉛直方向筒枠構
造体16の各面状耐震要素部材50は、上下方向の柱部
材9或いは接続柱12、梁部材10、ブレース13から
なる複数のトラス構造18を有する形で構成されてい
る。しかし、各面状耐震要素部材50は、図10に示す
ように、ブレース13等を採用せず、柱部材9及び梁部
材10に設置された複数の耐震壁32を有する形で構成
してもよい。なお、各面状耐震要素部材50の有するト
ラス構造18や耐震壁32の個数等は任意であってよ
い。また上述した実施例では、各水平方向耐震構造体1
5は、上下方向の柱部材9或いは接続柱12、梁部材1
0、ブレース13からなる複数のトラス構造18を有す
る形で構成されている。しかし、各水平方向耐震構造体
15は、図10に示すように、ブレース13等を採用せ
ず、柱部材9及び梁部材10に設置された複数の耐震壁
32を有する形で構成してもよい。なお、各水平方向耐
震構造体15の有するトラス構造18や耐震壁32の個
数等は任意であってよい。
【0024】また上述した実施例では、外殻構造物3の
内側構造体40と外側構造体41を接続する制震手段と
して、図4(a)及び図4(b)に示す制震梁17を採
用したが、制震手段はこのような鋼材ダンパ(弾塑性ダ
ンパ)を採用したもの以外にも、合成樹脂系ダンパ(粘
弾性ダンパ)、オイルダンパ(粘性ダンパ)、鉛ダンパ
(摩擦ダンパ)等のパッシブ系エネルギー吸収型のダン
パを採用可能である。
【0025】更に上述した実施例では、鉛直方向筒枠構
造体16の有するブレース材16は、単純な線状の鋼材
からなるものであったが、このようなブレース材16の
代わりに制震機能をもったものを採用することも可能で
ある。即ち、地震の大部分を負担する鉛直方向筒枠構造
体16に高い靭性と履歴性状を有する制震ブレースユニ
ット(後述)を使用し、大地震時に降伏することにより
大きな履歴エネルギーを吸収するようにする。これによ
り構造体の損傷が極力防止され、大地震に際しても安全
性が高い。また、大架構構造と該制震ブレースユニット
を組み込むことで、建物全体の水平剛性と耐力を設計上
想定する地震レベルに対し制御することが可能になり、
高い耐震安全性と経済性をもつ建築物とすることが可能
である。更に、制震ブレースユニットの組込み位置が居
室内ではないので、メンテナンスや交換においても便利
である。
【0026】例えば制震ブレースユニットは、例えば図
8に示す制震ブレースユニット43のように構成され
る。制震ブレースユニット43は、格子状に接続された
柱部材9、9及び梁部材10、10の4つの接続位置S
Zのうち、対向する2つの接続位置SZ、SZどうしを
連絡するX字型の形状に形成されている。即ち、制震ブ
レースユニット43は、前記各接続位置SZにそれぞれ
接合された4つのブラケット部45及び、1つの中央部
パネル部46を有しており、各ブラケット部45と中央
部パネル部46の間は、線状の低降伏点鋼材47及びジ
ョイント部材49、49(即ち、中央部パネル部46と
低降伏点鋼材47の間及び、ブラケット部45と低降伏
点鋼材47の間にそれぞれジョイント部材49が介在し
ている)によりそれぞれ接続されている。
【0027】また例えば制震ブレースユニットは、例え
ば図9に示す制震ブレースユニット53のように構成さ
れる。制震ブレースユニット53は、格子状に接続され
た柱部材9、9及び梁部材10、10の4つの接続位置
SZのうち、対向する2つの接続位置SZ、SZどうし
を連絡するX字型の形状に形成されている。即ち、制震
ブレースユニット53は、前記各接続位置SZにそれぞ
れ接合された4つのブラケット部55及び、1つの中央
部パネル部56を有しており、各ブラケット部55と中
央部パネル部56の間は、線状鋼材57によりそれぞれ
接続されている。そして、中央パネル部56は低降伏点
鋼材でできている。なお、構造計画平面上平面的に複数
箇所ある鉛直方向筒枠構造体16のトラス構造18のう
ち、上述したような制震ブレースユニット43、53に
するものと、弾性状態を維持するブレース材16等のよ
うなブレースを用いたものとを混在させることも可能で
あり、建築物全体の水平剛性を弾性時から塑性化した後
も制御可能になる。
【0028】また別の実施例として、上述した外殻構造
物3の代わりに、図6及び図7に示すように外殻構造物
60を設けてもよい。即ち、上述した外殻構造物3で
は、外側構造体41の柱部材5Bと、内側構造体40の
柱部材5Cとが制震梁17で接続された構成をなしてい
たが、外殻構造物60では、図6及び図7に示すよう
に、柱部材5B、5Cと制震梁17による組立構造体の
位置に、これととってかわる形で柱部材61が設けられ
ている(つまり外殻構造物60では、外側構造体41と
内側構造体40が柱部材61を共有した形になってい
る。また、外殻構造物60における柱部材61以外の構
成は外殻構造物3と同様である。)。なお、柱部材61
は、柱部材5等よりも部材断面が十分大きなものになっ
ており、これにより制震手段がなくとも外殻構造物60
の損傷を極力少なくし得るようになっている。外殻構造
物60を採用することにより、マンション1は、風や小
規模地震などによって生じる微弱な水平力に対しては極
力振動しないようになっており、高い居住性を実現する
ことができる。
【0029】また上述した各実施例では、大架構塔状建
築物の一例としてマンション1が示されているが、大架
構塔状建築物は、マンション等の集合住宅以外の建築
物、例えばオフィスビルや商店ビル、或いはこれら異種
用途のものが雑居したビル等に採用することも可能であ
る(この場合、上述した住戸27のかわりに事務所や商
店が設けられてもよい。)。更に、上述した複層住戸2
7Bは、上下に隣接する2つのフロア空間25、25に
亙って設置されているが、その他の実施例として、3つ
以上のフロア空間25に亙って設置された複層住戸27
Bを設けてもよい。従って、住戸内吹き抜け空間27w
も3つ以上のフロア空間25に亙って設けられてもよ
い。なお、住戸内吹き抜け空間27wの水平面内での大
きさ、即ちスラブ102を貫通する開口部の大きさは任
意であってよい。つまり、住戸内吹き抜け空間27w
は、フロア空間25に対して部分的に形成されたもので
あってもよいし、略全体的に形成されたものであっても
よい。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明のうち第1の
発明は、内部に複数のフロア空間25等のフロア空間が
上下層状に設けられた塔状建築物において、上下方向に
伸延した鉛直方向筒枠構造体16等の筒枠状構造体を有
し、前記筒枠状構造体は、面状に形成された複数の面状
耐震要素部材50等の面状耐震要素部材により閉鎖水平
断面形状を形成する形で形成されており、前記筒枠状構
造体の周囲に、前記塔状建築物の構造上の構造外周面3
a等の外周面を形成する形で外殻構造物3、60等の外
殻構造体を設け、前記複数のフロア空間は、前記筒枠状
構造体と前記外殻構造体の間に形成されており、前記筒
枠状構造体と前記外殻構造体との間に、面状に形成され
た複数の水平方向耐震構造体15等の耐震要素構造体
を、これら筒枠状構造体と外殻構造体とを接続する形で
上下方向に間隔L1等の所定の間隔で配設し、前記複数
の耐震要素構造体は、水平方向においては、前記筒枠状
構造体を中心とする放射方向に、前記筒枠状構造体と前
記外殻構造体とを接続する形で配置し、前記複数のフロ
ア空間に複数の住戸27等の住戸を設置し、前記複数の
住戸のうち、少なくとも1つの住戸は、前記複数のフロ
ア空間のうち、上下に隣接する複数のフロア空間に亙っ
て配置された複層住戸27B等の複層住戸となってお
り、前記各複層住戸に、該複層住戸が配置された前記上
下に隣接する複数のフロア空間を上下に貫通する形で、
住戸内吹き抜け空間27w等の住戸内吹き抜け空間を設
けて構成される。つまり本発明による大架構塔状建築物
では、筒枠状構造体と耐震要素構造体と外殻構造体によ
り大架構柱梁を構成する構造となっているので、純ラー
メン構造による建築物等に比べて、単位水平面積内にお
いて設置すべき柱部材の本数を極力減少させることがで
き、よって各フロア空間における平面計画の自由度を極
力向上させることができる。しかも本発明では、大架構
柱である筒枠状構造体(この部位はボイド空間として使
用)を建築物の外周部に配置せず内部中央に配置し、該
筒枠状構造体を囲む形で、従って該建築物の外周部に
は、外殻構造体を配置したので、外壁面開口率を極力向
上させることができる。なお、本発明では大架構柱であ
る筒枠状構造体を建築物の内部中央に配置しているの
で、該筒枠状構造体のみでは地震等による水平力に対す
る転倒スパンが比較的小さい。しかし、筒枠状構造体が
水平力を受けた場合には、その力の一部は複数の耐震要
素構造体を介して、転倒スパンの比較的大きな外殻構造
体側に鉛直方向力として伝達される仕組みになってお
り、筒枠状構造体の柱脚に過大な軸力がかかることが防
止され(建築物の崩壊等が防止され)安全性が高い。ま
たこのように本発明では、常時荷重(鉛直荷重)は主に
外殻構造体側によって支持させ、また、地震等の際に発
生する水平力は主に筒枠状構造体側で抵抗させる構造に
なっている。従って、外殻構造体における複数の柱部材
5等は、その単位水平面積内において設置すべき本数を
極力減少させることができるばかりでなく、これら柱部
材を鉄骨鉄筋コンクリート等で形成した場合でも、それ
らの部材断面を極力小さくすることができるので、各フ
ロア空間における平面計画の自由度は向上する。また、
水平荷重に抵抗する大架構では、各要素の断面と形状の
調整により建物の強度と水平剛性を適正に制御でき、安
全性と経済性を両立させた設計が可能となる。更に本発
明による大架構塔状建築物では、上下に隣接した複数の
フロア空間に亙って形成された複層住戸が設けられてお
り、この複層住戸には、該複層住戸が配置されている複
数のフロア空間に亙って貫通した住戸内吹き抜け空間が
設けられている。また、上述したように本発明による大
架構塔状建築物では、該建築物内の上下方向等における
構造的な負荷は、主に、筒枠状構造体と耐震要素構造体
と外殻構造体による大架構柱梁により負担させているの
で、その分、各フロア空間における床スラブ等にかかる
負担は極力低減されている。つまり、住戸内吹き抜け空
間が設けられるため床強度が小さくなるが、床スラブ等
にかかる負担が極力低減されているので、結果的に大架
構塔状建築物の強度を失わせることはない。従って、こ
のような住戸内吹き抜け空間を、建築物の中間層等など
極力自由な位置に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による大架構塔状建築物の一例
であるマンションにおける、梁部材や柱部材によるフレ
ーム構造物を示した模式斜視図である。
【図2】図2は、図1のフレーム構造物を示した水平断
面図である。
【図3】図3は、図1のフレーム構造物を示した側断面
図である。
【図4】図4(a)は、図1のフレーム構造物に設置さ
れた制震梁を示した側面図、図4(b)は、図4(a)
のX1−Y1線断面図である。
【図5】図5は、図2のS1−T1線断面図であり、フ
ロア空間内等の様子を示したものである。
【図6】図6は、本発明による大架構塔状建築物の別の
一例であるマンションにおける、梁部材や柱部材による
フレーム構造物を示した模式斜視図である。
【図7】図7は、図6に示すフレーム構造物を示した水
平断面図である。
【図8】図8は、別の形のトラス構造を示した側面図で
ある。
【図9】図9は、別の形のトラス構造を示した側面図で
ある。
【図10】図10は、別の形の水平方向耐震構造体及び
鉛直方向筒枠構造体を示した側面図である。
【符号の説明】
1……塔状建築物、大架構塔状建築物(マンション) 3……外殻構造体(外殻構造物) 3a……外周面(構造外周面) 15……耐震要素構造体(水平方向耐震構造体) 16……筒枠状構造体(鉛直方向筒枠構造体) 25……フロア空間 27……住戸 27B……複層住戸 27w……住戸内吹き抜け空間 50……面状耐震要素部材 60……外殻構造体(外殻構造物) L1……間隔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に複数のフロア空間が上下層状に設け
    られた塔状建築物において、 上下方向に伸延した筒枠状構造体を有し、 前記筒枠状構造体は、面状に形成された複数の面状耐震
    要素部材により閉鎖水平断面形状を形成する形で形成さ
    れており、 前記筒枠状構造体の周囲に、前記塔状建築物の構造上の
    外周面を形成する形で外殻構造体を設け、 前記複数のフロア空間は、前記筒枠状構造体と前記外殻
    構造体の間に形成されており、 前記筒枠状構造体と前記外殻構造体との間に、面状に形
    成された複数の耐震要素構造体を、これら筒枠状構造体
    と外殻構造体とを接続する形で上下方向に所定の間隔で
    配設し、 前記複数の耐震要素構造体は、水平方向においては、前
    記筒枠状構造体を中心とする放射方向に、前記筒枠状構
    造体と前記外殻構造体とを接続する形で配置し、 前記複数のフロア空間に複数の住戸を設置し、 前記複数の住戸のうち、少なくとも1つの住戸は、前記
    複数のフロア空間のうち、上下に隣接する複数のフロア
    空間に亙って配置された複層住戸となっており、 前記各複層住戸に、該複層住戸が配置された前記上下に
    隣接する複数のフロア空間を上下に貫通する形で、住戸
    内吹き抜け空間を設けて構成した大架構塔状建築物。
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