JPH1087330A - チタン酸ジルコニウム析出物の製造方法 - Google Patents

チタン酸ジルコニウム析出物の製造方法

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JPH1087330A
JPH1087330A JP24317896A JP24317896A JPH1087330A JP H1087330 A JPH1087330 A JP H1087330A JP 24317896 A JP24317896 A JP 24317896A JP 24317896 A JP24317896 A JP 24317896A JP H1087330 A JPH1087330 A JP H1087330A
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zirconium
zirconium titanate
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Takeshi Yao
健 八尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な装置を用いて、水溶液から常温付近の
温度でチタン酸ジルコニムまたはチタン酸ジルコニウム
−酸化スズ固溶体の析出物を形成させる方法を提供す
る。 【解決手段】 チタンを有するフルオロ錯化合物とジル
コニウムを有するフルオロ錯化合物、またはさらにスズ
を有するフルオロ錯化合物を含む水溶液中に、フッ素イ
オン捕捉剤の存在下に基材を浸漬して、基材表面にチタ
ン酸ジルコニウム析出物またはチタン酸ジルコニウム−
酸化スズ固溶体析出物を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン酸ジルコニ
ウム析出物またはチタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶
体を形成させる方法に関し、さらに詳細には、析出物を
水溶液中から析出させる方法によって、チタン酸ジルコ
ニウムまたはチタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶体の
析出物を形成させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン酸ジルコニウムおよびチタン酸ジ
ルコニウム−酸化スズ固溶体は、多くの特異な性質を有
し、広範囲の機能的用途に用いられている。たとえば、
マイクロ波領域(0.3〜300GHz)で優れた誘電特性
を示し、誘電率が高く、誘電損失が低く、そのうえ共振
周波数の温度係数がほとんど0ppm/℃に近い低い値を有
する。このような性質は、誘電体共振器として用いるの
に好適なため、チタン酸ジルコニウムおよびチタン酸ジ
ルコニウム−酸化スズ固溶体は、マイクロ波フィルタ、
オッシレータ、アンテナなどとして用いられ、衛星放送
や携帯電話などのマイクロ波領域の無線通信機器にも組
み込まれている。さらに、チタン酸ジルコニウムは、高
温で安定であり、また触媒としても用いられる。
【0003】チタン酸ジルコニウムの合成法としては、
酸化チタンと酸化ジルコニウムを、たとえば(1)1,
000℃で焼成し、さらに焼結助剤を用いて、酸素雰囲
気中で1,600℃で焼結する方法;(2)酸化チタン
とケイ酸ジルコニウムを1,500℃以上で反応させる
方法;および(3)チタンイソプロポキシドのようなチ
タンアルコキシドと、ジルコニウムプロポキシドのよう
なジルコニウムアルコキシドを1−プロパノールのよう
な有機溶媒中で還流した後、アンモニア水で加水分解し
てチタン酸ジルコニウムの粉末を得る方法が知られてい
る。(2)によって、一方の原料である酸化チタンを基
材として、その表面に膜厚約50μm の厚膜が得られる
ことが報告されている(H.P. Steinerら; J. Am. Cera
m. Soc.,78(9), 2560-2562 (1995)参照)。
【0004】(1)と(2)はいずれも固相反応であっ
て高温を要するので、電気炉のような加熱装置が必要で
あり、また不純物の混入を避けるための注意が必要であ
る。焼結助剤を用いる場合は、生成物中にその混入が避
けられず、誘電特性に悪影響を与える。(3)は粒子径
0.3μm 程度の粉末状のチタン酸ジルコニウムが得ら
れているが、加水分解性の金属アルコキシドを取扱い、
煩雑な操作が必要である(S. Hirano ら; J. Am. Cera
m. Soc., 74(6), 1320-1324 (1991)参照)。
【0005】一方、チタン酸ジルコニウム−酸化スズ固
溶体は、チタン酸ジルコニウムの合成法(1)に準じ
て、原料にさらに酸化スズを用いるか、合成法(3)に
準じて、原料にさらにスズアルコキシドを用いることに
よって合成が可能であるが、上記(1)および(3)と
同じ問題点がある。(3)によって、混合アルコキシド
の希薄溶液の加水分解により、0.3μm 程度の球形の
微粒子が得られるが、それは結晶性が低く、高いQ値を
得るためには、約1,600℃に加熱する必要がある。
【0006】このほか、チタン酸ジルコニウムを形成さ
せる方法としては、CVD、イオンプレーティング、ス
パッタリングなどの方法がある。しかし、これらの方法
では、特殊で高価な装置が必要であるほか、大面積の基
材や、複雑な形状の基材の表面における析出物の形成は
困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、簡単
な装置を用いて、水溶液から常温付近の温度でチタン酸
ジルコニウム析出物を形成でき、特に複雑な形状の基材
表面にも容易に析出物を形成でき、さらに、これらの析
出物を結晶化させるための加熱工程を必要としない、チ
タン酸ジルコニウム析出物の製造方法を提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために鋭意研究を行った結果、チタンおよび
ジルコニウムをそれぞれ有するフルオロ金属錯化合物を
含む水溶液に、オルトホウ酸やニッケルのようなフッ化
物イオン捕捉剤を添加して、チタン酸ジルコニウム析出
物を容易に形成しうることを見出して、本発明を完成す
るに至った。
【0009】すなわち、本発明のチタン酸ジルコニウム
析出物の製造方法は、チタンを有する1種または2種以
上のフルオロ金属錯化合物、およびジルコニウムを有す
る1種または2種以上のフルオロ金属錯化合物を含む水
溶液中に、フッ化物イオン捕捉剤を添加して、チタン酸
ジルコニウム析出物を形成させることを特徴とする。ま
た、本発明のチタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶体析
出物の製造方法は、チタンを有する1種または2種以上
のフルオロ金属錯化合物、ジルコニウムを有する1種ま
たは2種以上のフルオロ金属錯化合物、およびスズを有
する1種または2種以上のフルオロ金属錯化合物を含む
水溶液中に、フッ化イオン捕捉剤を添加して、チタン酸
ジルコニウム−酸化スズ固溶体析出物を形成させること
を特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において原料として用いら
れるチタンを有するフルオロ金属錯化合物としては、一
般式(I): Aa Tibc (I) (式中、Aはたがいに同一でも異なっていてもよい水素
原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または配位水
を表し;a、bおよびcは、該錯化合物を電気的に中性
にする数である)で示される、水に溶解する酸または塩
が用いられる。Aとしては、水素原子のほか;リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのよ
うなアルカリ金属原子;ならびにアンモニウム基および
配位水が挙げられる。aは通常2であり、bが1のとき
cは通常6であり、すなわち、代表的にはA2 TiF6
で表されるが、複数のTi原子を有する多核錯化合物も
得られる。なお、これは本発明に用いられる他のフルオ
ロ金属錯化合物にも共通であるが、金属複合酸化物を溶
解させる際に、個々の金属原子を核原子とするフルオロ
金属錯化合物および/または核原子として複数種の原子
を同時に含有するフルオロ金属多核錯化合物が生成す
る。上記の一般式(I)で示されるチタンを有するフル
オロ金属錯化合物としては、H2 TiF6 、(NH4)2
TiF6 、Na2 TiF6 、K2 TiF6 、Rb2 Ti
6 、Cs2 TiF6 などが例示される。
【0011】本発明において原料として用いられるジル
コニウムを有するフルオロ金属錯化合物としては、一般
式(II): Ad Zref (II) (式中、Aは前述のとおりであり;d、eおよびfは該
錯合物を電気的に中性にする数である)で示される、水
に溶解する酸または塩が用いられる。Aとしては前述の
ようなものが挙げられ、dは通常2〜4であり、eが1
のときfはd+4であり、代表的にはA2 ZrF6 で表
されるが、複数のZr原子を有する多核錯化合物も得ら
れる。このような一般式(II)で示されるジルコニウム
を有するフルオロ金属錯化合物としては、H2 ZrF
6 、(NH4)2 ZrF6 、Na2 ZrF6 、K2 ZrF
6 、Rb2 ZrF6 、Cs2 ZrF6 、H3 ZrF7
(NH4)3 ZrF7 、Na3 ZrF7 、H4 ZrF8
(NH4)4 ZrF8 、Na4 ZrF8 などが例示され
る。
【0012】本発明に用いられる、チタンおよびジルコ
ニウムをそれぞれ有するフルオロ金属錯化合物は、どの
ような方法で製造されたものでもよい。たとえば、目的
とするチタン酸ジルコニウムを、フッ化水素またはその
水溶液で処理して、対応するフルオロチタン酸およびフ
ルオロジルコン酸を得ることができる。たとえば、酸化
チタンと酸化ジルコニウムから焼成によって得られたチ
タン酸ジルコニウム粉末をフッ化水素酸で処理して、フ
ルオロチタン酸およびフルオロジルコン酸としてもよ
い。またモル比1:1の酸化チタンと酸化ジルコニウム
を、同様にフッ化水素酸で処理してもよい。
【0013】あるいは、チタンまたはジルコニウムの水
酸化物もしくはオキシ水酸化物を、二フッ化水素アンモ
ニウム、または二フッ化水素ナトリウムのような二フッ
化水素アルカリ金属の水溶液に溶解させて、対応するチ
タンまたはジルコニウムをそれぞれ有するフルオロ金属
錯化合物を合成して、本発明の製造方法に用いてもよ
い。
【0014】チタンおよびジルコニウムをそれぞれ有す
るフルオロ金属錯化合物は、合計量として、通常、10
-9〜10mol/L 、好ましくは10-6〜10-1mol/L の濃
度の水溶液に調製して用いられる。ここに、水溶液と
は、前述のようなチタン酸ジルコニウムまたは酸化チタ
ンと酸化ジルコニウムとから前述の錯化合物を合成する
ために用いた過剰のフッ化水素を含む水溶液であっても
よい。また、チタンまたはジルコニウムをそれぞれ有す
るフルオロ金属錯化合物を含む水溶液(以下、上記の定
義による)に、さらに前述の金属酸化物の過剰量を添加
して、上記の錯化合物の飽和溶液にした後に、溶解しな
い金属酸化物をろ別して除いた水溶液を用いてもよい。
【0015】さらに、このようなチタンおよびジルコニ
ウムをそれぞれ有するフルオロ金属錯化合物の水溶液
に、チタン酸ジルコニウム析出物製造のための種結晶を
添加しても差支えない。用いる種結晶は、目的とするチ
タン酸ジルコニウムの結晶がよく、また酸化チタンおよ
び/または酸化ジルコニウムの結晶または両者の固溶体
の結晶でもよい。さらに、同一または類似の結晶系のも
のであれば、化学組成が目的物と異なるものも、種結晶
として使用できる。種結晶は0.001〜10μm ほど
の微少なものがよく、その添加量は任意であるが微量で
よい。種結晶の添加によって、析出速度を上げることが
できる。
【0016】本発明で用いられるフッ化物イオン捕捉剤
には、液相内に溶解させて用いる均一系と、固形物であ
る不均一系とがある。目的に応じて、これら両者の一方
を用いても、併用しても差し支えない。
【0017】均一系フッ化物イオン捕捉剤は、フッ化水
素と反応して安定なフルオロ錯化合物および/またはフ
ッ化物を形成することにより、チタン酸ジルコニウムを
析出させるようにフッ化イオンの平衡を移動させるもの
で、オルトホウ酸、メタホウ酸などのホウ酸のほか;塩
化アルミニウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水など
が例示される。たとえば、オルトホウ酸を用いてH2
iF6 とHd ZrFd+4 (式中、dは前述のとおり)か
らTiZrO4 を析出させる際には、式(IV)で示され
る平衡がF- を消費する方向に移動するので、式(III)
で示される平衡がF- を生成させる方向に移動し、その
結果、TiZrO4 からなる析出物が生成する。このよ
うな捕捉剤は、通常、水溶液の形で用いられるが、粉末
の形で添加して、系中に溶解させてもよい。該捕捉剤の
添加は、1回に、または数回に分けて間欠的に行っても
よく、制御された供給速度、たとえば一定の速度で連続
的に行ってもよい。
【0018】
【化1】
【0019】不均一系フッ化物イオン捕捉剤としては、
アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、マグネシウム、
銅、亜鉛などの金属;ガラスなどのセラミックス;およ
びケイ素、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アルミニ
ウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウムなどの化合物が
例示される。このような固形物を水溶液に添加または挿
入すると、固形物近傍のF- が消費されて、その濃度が
減少するので、その部分の化学平衡がシフトして、チタ
ン酸ジルコニウムが析出する。このような固形物を用い
ると、その添加または挿入する方法と反応条件により、
水溶液に浸漬した基材表面の全体にチタン酸ジルコニウ
ム析出物を析出させることも、その析出を選択された局
部、すなわち該固形物の存在する近傍に限定することも
可能である。あるいは、均一系と不均一系のフッ化物イ
オン捕捉剤を併用することにより、基材表面の析出物薄
膜を部分的に厚くすることもできる。
【0020】均一系フッ化物イオン捕捉剤は、析出物の
種類や形状によっても異なるが、溶液中のフッ化物イオ
ンの当量に相当する量に対して、通常、10-4〜1,0
00%であり、好ましくは10-2〜500%の範囲で用
いられる。
【0021】基材としては、形成されるチタン酸ジルコ
ニウムの析出物を担持するための、広範囲の物質を用い
ることができる。このような物質としては、金属、セラ
ミックス、有機高分子材料などが例示される。また、目
的に応じて、基材を用いずに、フルオロ金属錯化合物の
水溶液中にフッ化物イオン捕捉剤を添加して、該水溶液
中に析出物を形成させてもよい。
【0022】基材をチタンおよびジルコニウムをそれぞ
れ有するフルオロ金属錯化合物の水溶液に浸漬する時期
は、フッ化物捕捉剤を添加ないし挿入する前でも、同時
でも、後でも差し支えない。ただし、系によって侵され
るおそれのある基材を用いる場合は、溶液の組成、反応
条件、および浸漬する時期に注意する必要がある。基材
の形状は任意であり、板状に限定されず、複雑な形状の
ものも使用可能である。
【0023】反応温度は、系が水溶液を維持する範囲で
任意に設定できるが、10〜80℃の範囲が好ましい。
反応時間も任意であり、たとえば、目的とする析出物が
多いときは、それに応じて反応時間が長くなる。
【0024】このようにして、基材表面または水溶液中
にチタン酸ジルコニウムの析出物を形成できる。このよ
うにして形成された析出物は、特に焼成のような加熱工
程を経なくても、条件に応じて結晶化したチタン酸ジル
コニウム析出物として得られるが、目的に応じて加熱工
程を設けてもよい。
【0025】チタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶体の
析出物は、上述のチタンを有するフルオロ金属錯化合物
とジルコニウムを有するフルオロ金属錯化合物に、さら
にスズを有するフルオロ金属錯化合物を併用することに
よって製造される。上記の錯化合物の合計量、フッ化物
イオン捕捉剤の種類および添加量、ならびに析出条件
は、いずれもチタン酸ジルコニウム析出物の製造方法に
準ずることができる。
【0026】スズを有するフルオロ金属錯化合物として
は、一般式(V): Ag Snhi (式中、Aは前述のとおりであり;g、hおよびiは、
該錯合物を電気的に中性にする数である)で示される、
水に溶解する酸または塩が用いられる。Aとしては、前
述のようなものが挙げられ、gは通常2であり、hが1
のときiは通常6であり、すなわち、代表的にはA2
nF6 で表されるが、複数のSn原子を有する多核錯化
合物も得られる。このようなスズを有するフルオロ金属
錯化合物としては、H2 SnF6 、(NH4)2 SnF
6 、Na2 SnF6 、K2 SnF6 、Rb2 SnF6
Cs2 SnF6 などが例示される。
【0027】このようなスズを有するフルオロ金属錯化
合物は、前述のチタンおよびジルコニウムをそれぞれ有
するフルオロ金属錯化合物と同様、どのような方法で製
造されたものでもよい。フルオロ金属錯化合物を得るた
めに金属酸化物の粉末をフッ化水素酸で処理する場合、
該金属酸化物としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム
および酸化スズを併用しても、チタン酸ジルコニウムと
酸化スズを併用しても、あらかじめ他の方法で得られた
チタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶体を用いてもよ
い。
【0028】本発明の方法によって、通常、SnO2
モル分率が0.3以下の、チタン酸ジルコニウム−酸化
スズ固溶体の析出物を製造することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明によって、簡単な装置を用いて、
常温またはその付近の温度で、チタン酸ジルコニウムま
たはチタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶体を析出させ
ることができる。本発明の方法によると、焼結法のよう
に高温に加熱する必要がないばかりか、焼結助剤を必要
としないので、純度の優れたチタン酸ジルコニウムまた
はチタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶体を得ることが
できる。たとえ原料として、固相反応によって得られる
チタン酸ジルコニウムやその固溶体を用いる場合でも、
固相反応が完結する必要はない。
【0030】特に、基材表面に析出させることにより、
従来の形成法では得られなかった複雑な形状の基材表面
に、容易に析出物を形成できる。また、このようにして
得られた析出物を結晶化させるための加熱工程を特に必
要としない。
【0031】本発明によって得られたチタン酸ジルコニ
ウム析出物およびチタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶
体の析出物は、誘電体として有用であり、特に高周波用
誘電体として、マイクロ波フィルタ、オッシレータ、ア
ンテナなどの各種デバイスとして用いられる。そのほ
か、本発明のチタン酸ジルコニウム析出物は、触媒とし
ても用いられる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに詳細に
説明する。本発明は、これらの実施例によって限定され
るものではない。
【0033】実施例1 TiO2 とZrO2 を、モル比が正確にTi:Zr=
1:1になるように秤り取り、アルミナ製自動乳鉢で5
時間、混合しながら粉砕した。得られた混合粉末を加圧
成形した後、空気中において1,600℃で5時間焼成
し、ただちに水中に落下させて急冷して、TiZrO4
焼成体を得た。ついで、該焼成体を粉砕して粉末を得
た。このようにして得られたTiZrO4 をX線回折
(XRD)にかけたところ、斜方晶系であった。
【0034】5%HF水溶液500mlに、上記のように
作製したTiZrO4 粉末0.5gを加え、30℃で2
4時間攪拌して溶解させ、HF水溶液と反応させた。溶
解しないで残った粉末を、ろ紙によってろ別した。この
ようにして得られた水溶液を、3個のポリスチレン容器
に30mlずつとり、ポリエチレンテレフタレート(以下
PETという)基板を浸漬して、H3 BO3 粉末を0.
015mol 、0.019mol または0.023mol それ
ぞれ添加した。30℃で6日間静置したところ、それぞ
れ、PET基板表面に白色析出物の形成が認められた。
【0035】基板を取り出して、蒸留水で洗浄し、風乾
した後、XRDにかけたところ、XRDパターンは、斜
方晶系TiZrO4 のメインピークに一致する2θ=3
0.4°のピークが観測された。また、走査型電子顕微
鏡(SEM)により、基材表面に粒子径1〜6μm 、平
均3μm の粒子が存在することを確認した。さらに、エ
ネルギー分散X線分光分析(EDX)の結果も、基材表
面にTiとZrを含む結晶析出物が形成していることを
示した。これらの結果から、得られた析出物は、TiZ
rO4 であることが確認された。
【0036】実施例2 実施例1と同様にして得られたTiZrO4 焼成体の粉
末0.5gを、25%HF水溶液500mlに加え、30
℃で24時間攪拌して溶解、反応させた。溶解しないで
残った粉末を、ろ紙によってろ別し、ろ液を3個のポリ
スチレン容器に30mlずつとった。これに、PET基板
を浸漬して、H3 BO3 粉末を0.04mol 、0.08
mol または0.085mol それぞれ添加し、30℃で6
日間静置したところ、それぞれ、PET基板の表面に白
色析出物の形成が認められた。基板を取出して、実施例
1と同様の後処理と測定を行ったところ、XRDパター
ンは、同様に2θ=30.4°のTiZrO4 のメイン
ピークがわずかに観測された。SEMにより、基材表面
に粒子径約5μm の析出物が多数見出された。EDXに
より、析出物にTiとZrが含まれることを確認した。
これらの結果から、得られた析出物は、TiZrO4
あることが確認された。粒子数に比べてX線の強度が小
さいので、析出物は多くがアモルファスであると考えら
れる。
【0037】実施例3 TiO2 、ZrO2 およびSnO2 を、モル比がTi:
Zr:Sn=0.45:0.45:0.10になるよう
に混合しながら粉砕し、白金アンプルに入れて封着し
た。これを1,500℃で24時間、さらに続いて90
0℃で100時間焼成し、組成式Ti0.9 Zr0.9 Sn
0.24 の固溶体を得た。これを粉砕して粉末とし、X
RDにかけたところ、斜方晶系であった。
【0038】5%HF水溶液500mlに、上記のように
作製したTi0.9 Zr0.9 Sn0.24 粉末0.5gを
加え、30℃で24時間攪拌して溶解させ、HF水溶液
と反応させた。溶解しないで残った粉末を、ろ紙によっ
てろ別した。このようにして得られた水溶液を、3個の
ポリスチレン容器に30mlずつとり、PET基板を浸漬
して、H3 BO3 粉末を0.015mol 、0.019mo
l または0.023mol それぞれ添加した。30℃で6
日間静置したところ、それぞれ、PET基板表面に白色
析出物の形成が認められた。
【0039】基板を取り出して、蒸留水で洗浄し、風乾
した後、XRDにかけたところ、XRDパターンは、斜
方晶系Ti0.9 Zr0.9 Sn0.24 のメインピークに
一致する2θ=30.3°のピークが観測された。ま
た、SEMにより、基材表面に白色の析出物が存在する
ことを確認した。EDXの結果も、基材表面にTi、Z
rおよびSnを含む結晶析出物が形成していることを示
した。これらのことから、得られた析出物は、上記の組
成式を有する固溶体であることが確認された。
【0040】実施例4 TiO2 、ZrO2 およびSnO2 を、モル比がTi:
Zr:Sn=0.35:0.50:0.15になるよう
に用いたほかは実施例3と同様にして、基材表面に、組
成式Ti0.7 ZrSn0.34 の析出物が得られた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンを有する1種または2種以上のフ
    ルオロ金属錯化合物、およびジルコニウムを有する1種
    または2種以上のフルオロ金属錯化合物を含む水溶液中
    に、フッ化物イオン捕捉剤を添加して、チタン酸ジルコ
    ニウム析出物を形成させることを特徴とするチタン酸ジ
    ルコニウム析出物の製造方法。
  2. 【請求項2】 チタンおよびジルコニウムをそれぞれ有
    するフルオロ金属錯化合物の一部または全部が、チタン
    酸ジルコニウム、または酸化チタンと酸化ジルコニウム
    とを、フッ化水素酸と反応させて得られたものである、
    請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記の溶液中に、チタン酸ジルコニウム
    析出物製造のための種結晶を添加することにより、析出
    物を形成させる、請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 フッ化物イオン捕捉剤が、オルトホウ酸
    である、請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 基材表面に析出物を析出させる、請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 チタンを有する1種または2種以上のフ
    ルオロ金属錯化合物、ジルコニウムを有する1種または
    2種以上のフルオロ金属錯化合物、およびスズを有する
    1種または2種以上のフルオロ金属錯化合物を含む水溶
    液中に、フッ化イオン捕捉剤を添加して、チタン酸ジル
    コニウム−酸化スズ固溶体析出物を形成させることを特
    徴とするチタン酸ジルコニウム−酸化スズ固溶体析出物
    の製造方法。
JP24317896A 1996-09-13 1996-09-13 チタン酸ジルコニウム析出物の製造方法 Pending JPH1087330A (ja)

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