JP2000344519A - チタン酸バリウム粉末の製造方法 - Google Patents
チタン酸バリウム粉末の製造方法Info
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Abstract
く、不純物の少ない、特に塩素分の少ない粒径が1μm
以下の均一な粒子からなる積層セラミックコンデンサを
構成するセラミック誘電体層の材料としてきわめて好適
なチタン酸バリウム粉末を製造すること。 【解決手段】 チタン化合物水溶液とバリウム化合物水
溶液をチタン化合物/バリウム化合物の化学当量比を
0. 8〜1. 2に制御しながら接触させ固体反応物を得
た後、該固体反応物を水蒸気と接触させながら加熱処理
する。
Description
特に塩素分の少ない粒径が1μm以下の一次粒子からな
る結晶性ペロブスカイト構造を有するチタン酸バリウム
粉末の製造方法に関する。
TCサーミスタ等の電子部品の誘電材料として広く応用
されており、特に、多層積層セラミックコンデンサの基
板用として有用である。この多層積層セラミックコンデ
ンサは、一般に、セラミック誘電体層と内部電極層とを
交互に層状に重ねて圧着し、これを焼成し一体化して製
造される。チタン酸バリウム粉末は、バインダー等でス
ラリー化された後、焼結してセラミック誘電体層を形成
する。特に最近では、セラミック誘電体層を薄層化させ
ることで小型化でかつ大容量化の要求に応じている。こ
の場合、耐電圧特性が良好で、焼成後に粒子の凝集が生
じず層の密度が均一となり、さらにコンデンサの容量が
十分に確保される必要があるが、このような要求を満足
するために、チタン酸バリウム粉末には具体的に次のよ
うな特性が求められている。
0. 05〜0. 5μm、さらには0.05〜0. 3μm
で、かつ粒度分布が狭いこと。 (2)結晶性が良好でり、ペロブスカイト構造を有する
こと。 (3)Ba/Tiの原子比が1.00にきわめて近く、
具体的には0. 99〜1. 01であること。 (4)スラリー化した際の分散性に優れていること。 (5)良好な焼結特性を有すること。 (6)不純物成分がなく高純度であること。
合物とバリウム化合物とを混合焼成して固相反応を起こ
させることによって製造されていた。しかしながら、こ
のような固相反応法では化合物を高温で反応させるた
め、得られるチタン酸バリウム粉末は、粒径が比較的大
きく(例えば平均粒子径が0.5μm程度が限度)、粒
度分布が広く、かつ形状が一定でないことから、スラリ
ー化した際の分散性に劣るものであった。この問題を解
消し得る製造方法として、液相反応法が知られている。
−73695号公報には、含水酸化チタン、バリウム塩
化物および/または硝酸塩、ならびにバリウム塩化物お
よび/または硝酸塩1molに対して2.1〜5mol
のアルカリ金属水酸化物とを、チタン換算で120〜1
0000倍モルの水の存在下において60〜110℃で
反応させる製造方法が開示されている。また、特公平5
−73696号公報には、含水酸化チタン、水酸化バリ
ウム及びアルカリ金属水酸化物を、チタン換算で120
〜10000倍モルの水の存在下において60〜110
℃で反応させる製造方法が開示されている。また、特公
平3−39014号公報には、チタン化合物の加水分解
生成物と水溶性バリウム塩とを、強アルカリ水溶液中で
反応させる製造方法が開示されている。また、特公平6
−649号公報には、チタン塩化物を水溶液中で加水分
解した後、該水溶液を一旦アルカリ性に戻して塩素イオ
ンを除去し、引き続きバリウムの水溶性塩のうち一つを
加え、強アルカリ性水溶液中で反応させる製造方法が開
示されている。
は、四塩化チタン等のチタン化合物とバリウム塩とが共
存する混合水溶液を、70〜100℃に予熱したアルカ
リ水溶液と接触させほぼ球状の結晶性ペロブスカイトを
得る方法が開示されている。
相反応法は、固相法に比べ、上述した(1)〜(5)の
誘電材料として要求される特性を満足するチタン酸バリ
ウムが得られるものの、上記のように塩化物や硝酸塩を
原料として使用するため、最終的に得られるチタン酸バ
リウム中にこれらが不純物として残留してしまう。結果
として高純度のチタン酸バリウムは得られず、これを誘
電材料として使用した際、特性が低下したり、他の電子
材料に悪影響を及ぼすという問題があった。そこで本発
明は、上記(6)の特性を十分満足する、即ち不純物成
分の少ない、特に塩素分の少ないチタン酸バリウム粉末
を効率よく製造する方法を提供することを目的としてい
る。
を達成し得る製造方法を鋭意検討した結果、出発原料と
して、四塩化チタン等のチタン化合物水溶液と塩化バリ
ウム等のバリウム化合物水溶液を接触して得られる固体
反応物を、水蒸気を接触させながら高温で処理すること
により不純物成分、特に塩素成分の少ないチタン酸バリ
ウム粉末が得られることを見出し本発明を完成するに至
った。したがって本発明はこのような知見に基づきなさ
れたものであって、本発明のチタン酸バリウム粉末の製
造方法は、チタン化合物水溶液とバリウム化合物水溶液
を接触させ固体反応物を得た後、該固体反応物を水蒸気
と接触させながら加熱処理することを特徴とする。
しては、ハロゲン化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、酢
酸塩、過塩素酸塩、しゅう酸塩およびアルコキシドから
選択される1種又は2種以上が用いられる。具体的な化
合物としては、四塩化チタン、三塩化チタン、水酸化チ
タン、硫酸チタニル等であり、これらの中でも四塩化チ
タンが好ましく用いられる。
水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、しゅ
う酸塩およびアルコキシドから選択される1種又は2種
以上が用いられる。具体的な化合物としては、塩化バリ
ウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、
酢酸バリウム等が挙げられ、この中でも塩化バリウム、
水酸化バリウムが好ましく用いられる。また、塩化バリ
ウムなどのハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の
バリウム塩化合物にNaOHあるいはKOH等のアルカ
リ金属の水酸化物を予め接触反応させ、水酸化バリウム
を生成させ、これを用いてもよい。
それぞれ1種又は2種以上組合せて用い、これらの水溶
液を接触させ固体反応物を先ず調製する。その組合せは
任意であるが、以下に好ましい組合せを示す。 (1)四塩化チタン及び塩化バリウム (2)四塩化チタン及び水酸化バリウム (3)四塩化チタン、塩化バリウム及び水酸化バリウム (4)四塩化チタン、三塩化チタン及び塩化バリウム (5)四塩化チタン、三塩化チタン、塩化バリウム及び
水酸化バリウム
(I)」ということがある。)とバリウム化合物水溶液
(以下「水溶液(II)」ということがある。)を接触さ
せて、固体反応物を得る際、水溶液(I)及び水溶液
(II)はアルカリ性状態で接触させることが望ましい。
具体的には、以下の方法が採用し得る。 (1)水溶液(I)及び水溶液(II)をアルカリ水溶液
中に添加し接触させる。 (2)水溶液(I)及び水溶液(II)を混合し、この混
合液をアルカリ水溶液と接触させる。 (3)水溶液(I)及びバリウム化合物のアルカリ水溶
液を接触させる。 (4)水溶液(I)及びバリウム化合物のアルカリ水溶
液を、アルカリ水溶液中に添加し接触させる。
性を考慮すると、(3)及び(4)の方法のように、予
めバリウム化合物をアルカリ水溶液として調製されたも
のを用いる方法が好ましい。このときアルカリ源として
はNaOHもしくはKOHのごときアルカリ金属の水酸
化物が用いられる。塩化バリウムのようなバリウム塩
は、特に酸性状態での溶解度が低く、四塩化チタンのよ
うな酸性のチタン化合物とバリウム塩の混合水溶液を出
発原料液とした場合、その混合水溶液の調整が困難であ
り、特に混合水溶液中のチタン化合物及びバリウム塩の
濃度には限界がある。具体的には、四塩化チタンと塩化
バリウム混合水溶液を調製した場合、金属イオンの合計
濃度は、1.2mol/l程度が限界であり、生産性に
限度がある。また、出発原料液中に炭酸塩が混入した場
合、Ba/Tiの原子比の制御が困難であり、反応生成
物である粉末中に炭酸塩が混入して品質の低下を招き、
最終的には焼成しなければ比誘電率が上がらないといっ
た問題もある。
触させることによって、例えば塩化バリウムなどのハロ
ゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等のバリウム塩化合
物を、一旦水酸化バリウムに変換させ、これをチタン化
合物の水溶液(I)と接触させ反応させる。例えば、四
塩化チタン水溶液と塩化バリウム水溶液をアルカリ水溶
液中に同時に接触させる方法や、あるいは四塩化チタン
と塩化バリウムの混合水溶液をアルカリ水溶液中に添加
し接触反応させる方法では、反応生成物であるチタン酸
バリウム中に塩素分が残留しやすい。しかしながら、バ
リウム化合物を予めアルカリ水溶液とし、バリウム化合
物を水酸化物に予め変換することによって、チタン化合
物との反応がより均一に進行し、塩素分の少ないより高
純度のチタン酸バリウムが製造できる。
物を使用せず、水酸化バリウムをアルカリ源として用い
てもよい。つまり、本発明の固体反応物は、バリウム化
合物のアルカリ水溶液の調製を、バリウム化合物として
水酸化バリウムのみから調製してもよく、また塩化バリ
ウムのような水酸化バリウム以外のバリウム化合物と水
酸化バリウムから調製してもよい。即ち、チタン化合物
の水溶液(I)とバリウム化合物と水酸化バリウムの水
溶液(II)を接触させ、固体反応物を調製する。これによ
って、チタン及びバリウム以外の金属成分は使用せず、
不純物金属の混入を防ぐことができるので、最終的によ
り高純度のチタン酸バリウム粉末を製造することができ
る。
物水溶液を接触させる際、チタン化合物/バリウム化合
物のモル比を0. 8〜1. 2に制御しながら接触させて
固体反応物を調製することが望ましい。このように供給
するチタン化合物とバリウム化合物の量比を制御するこ
とによって、反応が均一に起こり、結果としてBa/T
iの原子比が1.00にきわめて近いチタン酸バリウム
の製造が可能となる。
溶液とバリウム化合物のアルカリ水溶液とを、チタン化
合物/バリウム化合物のモル比を0. 8〜1. 2に制御
しながら接触させて固体反応物を調製することが特に望
ましい方法である。
り好ましい実施の形態を、チタン化合物が四塩化チタン
の場合について説明する。当該製造方法では、四塩化チ
タンの場合におけるチタン水溶液(I)と、ハロゲン化
物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、
しゅう酸塩およびアルコキシドから選択される1種又は
2種以上のバリウム化合物の水溶液(II)とを貯蔵容器に
それぞれ用意し、これら水溶液(I) 及び(II)を撹拌下に
接触させる。水溶液(I) 及び(II)は、次のような処方に
より調製される。
mol/l以上が適当であり、好ましくは0. 3mol
/l以上、純度向上の観点からは0. 4〜3.0mol
/lが好ましい。0. 1mol/l未満では反応速度が
極端に低下するので、生産性向上のためにはより高い濃
度が望ましく、四塩化チタンのようなチタン化合物の単
独の水溶液を使用することで、その原料水溶液の濃度を
より高くすることができ、その結果生産性を向上するこ
とが可能となる。
しくは40〜50℃に予熱して保持しておく方がよい。
60℃を超えると四塩化チタンが加水分解し固形物が析
出し、均一な水溶液が得られにくくなり、結果として生
成物のBa/Ti原子比の制御が困難になる。
化炭素などの溶存ガスを脱気処理した水を使用すること
が好ましい。なお、四塩化チタン水溶液(I) は、バリウ
ム化合物のアルカリ水溶液(II)と接触させる前に、アル
ゴンガスをバブリングさせる等の手段により脱塩素処理
を施しておくことが、得られるチタン酸バリウム粉末中
の塩素分が低下するので好ましい。
大気への接触を避けて保存しておくことが望ましい。ま
た、四塩化チタン水溶液(I) の溶存ガスを反応前に脱気
しておいた方がより好ましい。この脱気が不十分である
と、反応の際、液相に泡が発生し、生成粒子の形状が不
均一になる。
I) ・バリウム濃度 バリウム化合物のアルカリ水溶液(II)のバリウムイオン
濃度は、0. 05mol/l以上が適当であり、好まし
くは0. 1〜2.0mol/lに調整されるとよい。
0. 05mol/l未満では反応速度が極端に低下する
ので、生産性向上のためにはより高い濃度が望ましい。
このように、上記のチタン化合物の水溶液とは別にバリ
ウム化合物水溶液を調製し原料水溶液として使用するこ
とで、上記水溶液(I)と同様、バリウムイオン濃度を
より高くすることができ、その結果生産性を向上するこ
とが可能となる。
てはNaOHもしくはKOHのごときアルカリ金属の水
酸化物が用いられ、その濃度は、通常0. 2〜15mo
l/lであり、上記のバリウム化合物が水酸化物に変換
するのに十分な濃度であることが好ましく、即ち、バリ
ウムイオン濃度以上の濃度である。このようにバリウム
化合物を予めアルカリ化合物と接触させることによっ
て、例えば塩化バリウムなどのハロゲン化物、硝酸塩、
硫酸塩、酢酸塩等のバリウム塩化合物を、一旦水酸化バ
リウムに変換させ、これをチタン化合物の水溶液(I)
と接触させ反応する。例えば、四塩化チタン水溶液と塩
化バリウム水溶液をアルカリ水溶液中に同時に接触させ
る方法や、あるいは四塩化チタンと塩化バリウムの混合
水溶液をアルカリ水溶液中に添加し接触反応させる方法
では、反応生成物であるチタン酸バリウム中に塩素分が
残留しやすい。しかしながら、バリウム化合物を予めア
ルカリ水溶液とし、バリウム化合物を水酸化物に予め変
換することによって、チタン化合物との反応がより均一
に進行し、塩素分の少ないより高純度のチタン酸バリウ
ムが製造できる。さらに本発明では、上記のようなアル
カリ金属の水酸化物を使用せず、水酸化バリウムをアル
カリ源として用いてもよい。つまり、水溶液(II)は、バ
リウム化合物は水酸化バリウムのみから調製してもよ
く、また塩化バリウムのような水酸化バリウム以外のバ
リウム化合物と水酸化バリウムから調製してもよい。即
ち、チタン化合物の水溶液(I)とバリウム化合物と水
酸化バリウムの水溶液(II)を接触させ、チタン酸バリウ
ムを製造する。これによって、チタン及びバリウム以外
の金属成分は使用せず、不純物金属の混入を防ぐことが
できるので、より高純度のチタン酸バリウムを製造する
ことができる。
100℃、好ましくは実際の反応系と同じ温度に予熱し
て保持しておくことが、四塩化チタン水溶液(I) との反
応が促進されるので好ましい。さらに、水溶液(I) 及び
(II)の反応中は、温度の変動を±1℃以内におさめて反
応温度を一定に保持することが、得られるチタン酸バリ
ウムのBa/Ti原子比が安定するので好ましい。
用いる水 イオン交換樹脂等で脱イオン処理した水、さらには二酸
化炭素などの溶存ガスを脱気処理した水を使用すること
が好ましい。
水溶液(II)をそのまま用いてもよいが、その前にろ過処
理を行う方が、Ba/Tiの原子比制御の容易化や高純
度化に効果的であることから好ましい。例えばアルカリ
源としてNaOHを用いた場合、NaOH中に不純物と
して含まれる炭酸ナトリウムがバリウム化合物と反応し
て、炭酸バリウムが沈殿する。これは反応の際、汚染の
原因となるので、このようにろ過によって予め除去して
おくことが望ましい。この点において、バリウム化合物
のアルカリ水溶液とチタン化合物水溶液を別々に調製
し、これを接触反応させる方法は、例えば、チタン化合
物とバリウム化合物の混合溶液をアルカリ水溶液中に添
加する方法や、チタン化合物水溶液とバリウム化合物水
溶液を別々にまた同じにアルカリ水溶液中に添加する方
法に比べ、純度の高いチタン酸バリウムを得ることがで
きる。
溶液(II)は、四塩化チタン水溶液(I) と同様に大気への
接触を避けて保存しておくことが望ましい。また、バリ
ウム化合物のアルカリ水溶液(II)は、反応前に脱気処理
した方がより好ましい。
を接触させる方法について説明する。まず、接触時及び
反応時のpHが13以上、好ましくは13.5以上、よ
り好ましくは13.8以上に保持されるよう水溶液(II)
のアルカリ濃度を調整しておく。反応中、このように所
定のpHを保持するため、別系統からNaOH水溶液等
のアルカリ水溶液を必要量供給することも可能である。
好ましくは、予め反応容器に所定濃度に調整したアルカ
リ水溶液を装入し、このアルカリ水溶液中に、前記水溶
液(I) 及び(II)を添加し接触させる。この際のアルカリ
水溶液は、予め反応温度あるいは両水溶液(I) 及び(II)
を添加した後、所定の反応温度になるように高目に加熱
しておくことが望ましい。このように、反応中一定のp
Hを保持することによって、均一な反応が保持され、結
果としてBa/Ti原子比が制御された、均一なチタン
酸バリウムが製造できる。
応させる際、チタン化合物/バリウム化合物のモル比を
0. 8〜1. 2に制御することは必須であるが、モル比
だけではなく、チタン化合物あるいはバリウム化合物の
反応系内における絶対濃度を反応初期から反応終了まで
の間、なるべく一定に保つことも均一な反応を行うため
に好ましい態様である。そのために、例えば、上述した
ような反応容器中に予めアルカリ水溶液を装入してお
き、その中に水溶液(I)及び(II)を添加する方法にお
いては、反応初期の段階は、チタン化合物またバリウム
化合物の濃度が希釈され、希薄状態で反応するため所定
のBa/Ti原子比のチタン酸バリウムが生成されな
い。そこで、反応容器中のアルカリ水溶液に予め水溶液
(II)に使用したバリウム化合物あるいは水溶液(I)で
使用したチタン化合物を添加しておく。このうち、特に
バリウム化合物の濃度が生成するチタン酸バリウムのB
a/Ti原子に影響するため、前者のようにバリウム化
合物を反応容器中のアルカリ水溶液に添加することが望
ましい。
それぞれ貯蔵容器から配管を経て反応容器内にポンプ等
を利用して供給し、撹拌しながら接触させる。このと
き、チタン化合物/バリウム化合物のモル比が0. 8〜
1. 2、好ましくは1.0〜1. 2、より好ましくは
1. 07〜1. 12となるよう、一定の流量で瞬間的か
つ連続的に両水溶液(I) 及び(II)を反応容器内に供給す
る。供給する際、反応容器には撹拌器が具備され、撹拌
しておくことが必要である。あるいは撹拌器が具備され
ていなくとも、例えばラインミクシングのよううな方法
によって、乱流域を形成し、水溶液(I) 及び(II)を供給
した後均一に接触混合し反応させることができる。
る際の温度は、80〜100℃、好ましくは85〜95
℃の範囲内設定し、その設定温度±1℃に一定させて行
う。
接触させ、撹拌を例えば、数秒〜20分間の十分な時間
行うことにより粒子状の固体反応物が生成する。この固
体反応物の主な成分は、チタン酸バリウムである。生成
した固体反応物は反応中にスラリー状で連続的に抜き出
してもよく(連続反応)、あるいは反応容器で一旦反応
を終了した後、抜き出してもよい(バッチ反応)。
ー状態で加熱処理を行うことが望ましい。該加熱処理の
温度は通常、上記の反応温度と同じ80〜100℃かあ
るいはそれ以上の温度、例えば100〜200℃、また
加熱処理の時間は通常1分〜30時間、好ましくは1分
〜1時間で行われる。この加熱処理によって、未反応の
チタン化合物及びバリウム化合物を完全に反応させ、ま
た生成粒子を加熱処理することによって粒子の結晶性を
向上させることができる。その具体的な方法としては、
生成したチタン酸バリウムを含むスラリーを、反応容器
内、あるいは反応容器から熟成槽に移し、所定温度及び
所定時間処理する。加熱処理の後、固体反応物を洗浄
し、未反応の化合物及びアルカリ分また複成したアルカ
リ塩等を十分に除去し、固体反応物を分離する。この洗
浄、分離にはデカンテーション、遠心分離あるいはろ過
など一般的な方法が採用し得る。分離後、固体反応物を
空気中または不活性ガス中において50〜300℃で加
熱するか、もしくは真空下において20〜300℃で加
熱することにより乾燥させ、最終的にアルカリ成分を除
去し、固体反応物を精製する。
より得られた固体反応物を水蒸気と接触させながら加熱
処理をして、最終的にチタン酸バリウム粉末を得る。水
蒸気との接触方法については効率的な方法である限り制
限はないが、例えば、得られた固体反応物を流動層中に
導入し流動させ、その中に水蒸気を供給し接触させる方
法、またロータリーキルンのような回転式加熱炉に固体
反応物を装入し、その中に水蒸気を供給し接触させる方
法、あるいは固体反応物をカラムに充填し、そのカラム
に水蒸気を供給し接触させる方法などが採用し得る。こ
こで、供給する水蒸気は固体反応物と接触した後、排出
することが望ましく、即ち水蒸気との接触は密閉系では
なく流通系で行う。
として乾燥エアー、あるいは窒素、アルゴンなどの不活
性ガスを使用することもできる。このうち好ましくは窒
素、アルゴンなどの不活性ガスをキャリアガスとしても
ちいることが好ましい。
蒸気の量としては、十分に不純物が除去される限り特に
制限はないが、通常固体反応物1g当り、0.001〜
1000g、好ましくは 0.01〜500g、特に好
ましくは10〜200gである。また接触時間は通常3
0秒〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。ま
た、水蒸気と接触させる際、加熱処理の温度は通常70
0〜1300℃、好ましくは800〜1200℃、特に
好ましくは900〜1100℃で行う。
せながら高温下で加熱処理することによって、塩素など
の不純物成分が固体反応物から除去され、より高純度の
チタン酸バリウム粉末を得ることができる。さらに、同
時にチタン酸バリウムを焼成する効果もあるので、チタ
ン酸バリウムの結晶性がより一層向上する。
ム粉末は、一定形状の球状であり、粒径が0. 05〜
0. 5μm、さらには0. 05〜0. 3μmで、かつ粒
度分布が狭く、かつ結晶性も良好である。また、Ba/
Tiの原子比が0. 99〜1.01と1.00にきわめ
て近い。さらに高温下での水蒸気接触により塩素分など
の不純物成分が除去され、高純度のチタン酸バリウムが
得られる。したがって、本発明の方法で得られるチタン
酸バリウムは積層セラミックコンデンサにおけるセラミ
ック誘電体層の材料としてきわめて好適である。また、
上記製造方法は、出発原料として、四塩化チタンのよう
なチタン化合物と塩化バリウムのようなバリウム化合物
を水溶液とし、これら水溶液を瞬間的かつ連続的に撹拌
しながら接触させるといった容易な方法であり、その結
果、生産性の向上が図られる。
明する。 実施例1 撹拌装置を備えた2000ccのSUS製フラスコを反応
容器とし、この反応容器内に、濃度0.92規定のNa
OH水溶液を予め投入し、このNaOH水溶液を約90
℃に保持した。次いで、40℃に加熱保持したTiCl
4 水溶液(イオン交換水使用、TiCl4 濃度0. 47
2mol/l)と、予め未溶解分を除去し約95℃に加
熱保持したBaCl2 /NaOH水溶液(イオン交換水
使用、BaCl2 濃度0. 258mol/l、NaOH
濃度2. 73mol/l)とを、TiCl4 水溶液77
cc/分、BaCl2 /NaOH水溶液151cc/分
の流量で、それぞれポンプにより反応容器内に連続的に
供給した。その際、TiCl6 /BaCl2 のモル比は
1.07であった。また、反応容器内の混合水溶液の温
度を約90℃で一定とし、2分間撹拌して粒子状のチタ
ン酸バリウムを生成した。次に、生成したチタン酸バリ
ウムを含むスラリーを、TiCl4 水溶液とBaCl2
/NaOH水溶液の合計流量でポンプを用いて連続的に
反応容器から約90℃に保持してある熟成槽に抜き出し
た後、ポンプを停止して熟成槽にて5分間撹拌した。続
いて、デカンテーションを行って上澄みと沈殿物を分離
し、遠心分離を行い、その後、純水洗浄、デカンテーシ
ョン、遠心分離の操作を数回行い、固体反応物を回収し
た。回収した固体反応物を大気雰囲気下において100
℃で加熱することにより乾燥した。
熱ヒータを具備した石英製の加熱反応管に装入し、10
00℃に加熱しながら水蒸気を加熱反応管の一端から供
給し、接触した後加熱反応管のもう一端から排出した。
この操作を30分行い、チタン酸バリウム粉末を得た。
このとき供給した水蒸気の量は24gであった。得られ
たチタン酸バリウム粉末の塩素濃度、平均粒径及びBa
/Ti原子比を分析し、その結果を表1に示した。ここ
で、チタン酸バリウム中の塩素は、硝酸銀による電位差
滴定法(JIS H1615)により分析した。また、
平均粒径を電子顕微鏡写真によって測定(SEM径)
し、これに基づき、CV値(粒径の標準偏差/d50
(粒度分布のメジアン径))を求めた。さらに、Ba/
Tiの原子比(Ba/Ti比)を、次の方法に基づき求
めた。すなわち、バリウムは、試料を、硫酸、硫酸アン
モニウムおよび硝酸を加えて分解してから水を加えて溶
解し、バリウムを硫酸バリウムとして沈殿させた後、そ
の溶液をろ過し、灰化した後に灼熱して冷却し、硫酸バ
リウムとして秤量しバリウムを定量した。一方、チタン
は、試料を、硫酸、硫酸アンモニウムおよび硝酸を加え
て分解してから水を加えて溶解し、塩酸および硫酸を加
えた後、チタン(IV)を金属アルミニウムに還元し、冷却
後、チオシアン酸アンモニウム溶液を指示薬として硫酸
アンモニウム鉄(III)標準液で滴定してチタンを定量し
た。
た以外は実施例1と同様に実験を行った。得られたチタ
ン酸バリウム粉末を実施例1と同様に分析し、その結果
を表1に示した。
行った。得られたチタン酸バリウム粉末を実施例1と同
様に分析し、その結果を表1に示した。
に分析し、その結果を表1に示した。
タン酸バリウム粉末は、Ba/Tiの原子比が1.00
に極めて近く、かつ塩素分が極めて少なく高純度である
ことが確かめられた。
れば、Ba/Tiの原子比が1.00に極めて近く、不
純物の少ない、特に塩素分の少ない粒径が1μm以下の
均一な粒子からなる積層セラミックコンデンサを構成す
るセラミック誘電体層の材料としてきわめて好適なチタ
ン酸バリウム粉末を、容易に効率よく製造することがで
きる。
Claims (7)
- 【請求項1】 チタン化合物水溶液とバリウム化合物水
溶液を接触させ固体反応物を得た後、該固体反応物を水
蒸気と接触させながら加熱処理することを特徴とするチ
タン酸バリウム粉末の製造方法。 - 【請求項2】 前記固体反応物が、チタン化合物水溶液
とバリウム化合物のアルカリ水溶液とを、チタン化合物
/バリウム化合物のモル比を0. 8〜1. 2に制御しな
がら接触させて得られる請求項1に記載のチタン酸バリ
ウム粉末の製造方法。 - 【請求項3】 前記チタン化合物およびバリウム化合物
が、それぞれ、ハロゲン化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸
塩、酢酸塩、過塩素酸塩、しゅう酸塩およびアルコキシ
ドから選択される1種又は2種以上である請求項1に記
載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。 - 【請求項4】 前記チタン化合物が、四塩化チタンであ
る請求項1に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。 - 【請求項5】 前記バリウム化合物が、塩化バリウムと
水酸化バリウムから選ばれる少なくとも1種である請求
項1に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。 - 【請求項6】 前記固体反応物が、アルカリ水溶液中に
チタン化合物の水溶液とバリウム化合物のアルカリ水溶
液を添加し接触させて得られる請求項1に記載のチタン
酸バリウム粉末の製造方法。 - 【請求項7】 前記加熱処理を700〜1300℃で行
う請求項1に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2003004415A1 (fr) * | 2001-07-04 | 2003-01-16 | Toho Titanium Co., Ltd. | Poudre de titanate de baryum et procede de production associe |
JP2009209002A (ja) * | 2008-03-04 | 2009-09-17 | Nippon Chem Ind Co Ltd | ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法 |
KR20170042477A (ko) | 2015-10-09 | 2017-04-19 | 니폰 가가쿠 고교 가부시키가이샤 | 티타늄산바륨 분말의 제조 방법 |
CN114368779A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-04-19 | 新疆大学 | 一种合成钙钛矿型碱土金属钛酸盐的低温固相方法 |
-
1999
- 1999-06-02 JP JP15489699A patent/JP3794462B2/ja not_active Expired - Fee Related
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