JP3769596B2 - 金属酸化物析出物の製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、希土類酸化物析出物を製造する方法に関し、さらに詳細には、水溶液中から、希土類酸化物、希土類酸化物相互の固溶体、または希土類酸化物を主成分とする固溶体からなる金属酸化物の析出物を製法する方法、たとえば基材表面に薄膜として形成させたり、液中に該希土類酸化物を析出させる方法に関する。
また本発明は、酸化ジルコニウムおよび/または酸化ジルコニウムの結晶からなる析出物を製造する方法に関し、さらに詳細には、種結晶の存在下に水溶液中から、酸化ジルコニウムおよび/または酸化ハフニウム、両者相互の固溶体、あるいはそれらを主成分とする固溶体からなる金属酸化物の結晶析出物を製法する方法、たとえば基材表面に結晶薄膜を形成させたり、液中に該金属酸化物結晶を析出させる方法に関する。
背景技術
酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムおよびそれらの固溶体、特にそれらの結晶は、耐熱性と耐食性に優れるうえ、高い酸素イオン伝導度および電子伝導度を有することから、燃料電池の電解質や電極、酸素サンサー、酸素富化膜、発熱体、触媒などに用いられており、特にこれらの用途においては、電子やイオンの移動距離を小さくして電気伝導度や感度を上げ、もしくはガス透過量を上げるために;または広い表面積や接触面積を得るため、もしくは軽量化のために、薄くて均一な結晶薄膜や、用途によっては基材表面に分散して存在する結晶析出物を、各種の基材表面に容易に形成させることが求められている。一方、酸化ジルコニウムは金属、半導体、セラミックスなどの表面保護膜としても用いられている。
これらの用途のうち、酸化ジルコニウムを例にとると、1,100℃以上、さらには2,370℃以上の高温領域で使用される場合は、常温から使用温度に昇温または冷却する途中の相転移に伴う体積変化で、酸化ジルコニウム層が破壊されることがある。この問題を解決するために、酸化ジルコニウムに酸化イットリウムのような希土類酸化物、または酸化カルシウムなどを固溶させて得られる、常温においても高温時と同じ立方晶蛍石型構造をとる固溶体の薄膜が、燃料電池の電解質や電極、酸素センサー、酸素富化膜、発熱体、触媒、表面保護膜などに用いられる。また、主成分の金属酸化物より原子価のより低い金属の酸化物を固溶させることにより、イオン導電性や酸素の移動度を高めた、電解質、電極、センサー、酸素富化膜、発熱体などが得られる。
一方、希土類酸化物やそれを含む固溶体は、炭化水素の分解反応や酸化反応の触媒として用いられるほか、高い酸素イオン伝導度を生かして、センサーや固体電解質としても用いられ、これらの用途において、薄くて均一な薄膜などの析出物としての利用が有利である。
このような金属酸化物薄膜を形成させる方法としては、CVD、イオンプレーティング、スパッタリングなどの方法がある。しかし、これらの方法では、特殊で高価な装置が必要であるほか、大面積の薄膜の形成や、複雑な形状の基材表面における薄膜の形成が困難であり、特に大型の燃料電池に必要な薄膜を容易に得ることができない。
一方、金属酸化物の粉末をバインダーおよび分散剤と混練して得られた混和物を基材表面に塗布し、乾燥させる方法がある。しかし、このような方法では、十分に薄くて強度のある薄膜を形成させることは困難である。
水熱処理によって形成された金属酸化物ゾルを用いる方法も提案されている。たとえば特開昭63−233088号公報および特開平2−38362号公報には、ジルコニウム塩とイットリウム塩の混合水溶液を飽和水蒸気圧のもとで水熱処理し、得られた混合酸化物ゾルを基材表面に塗布し、乾燥、焼成する金属酸化物薄膜の製造方法が開示されている。また、特開平5−319953号公報には、オキシ塩化ジルコニウムをエタノール中に懸濁させ、ホウ酸水溶液、ついでアンモニア水を添加してオキシ塩化ジルコニウムを加水分解することにより、ホウ素化合物を含む水和ジルコニアゾルを得て、これに基材を浸漬して該ゾルを付着させ、酸処理、乾燥によって酸化ジルコニウム被膜を形成させることが開示されている。また、大橋らは、電気化学協会講演要旨集(1994、仙台)3C01に、ジルコニウムプロポキシドのような金属アルコキシドから生成するゾルを用いる酸化ジルコニウム被膜の形成を開示している。
しかし、このような方法では、大面積や複雑な形状の基材表面における金属酸化物析出物の形成には限界があり、また、基材表面に塗布されたゲルを加熱して結晶化させる必要があり、その際に熱収縮や変形が起こる可能性があるほか、基材によってはそのような加熱に耐えられないという問題がある。
特開昭59−215421号公報には、ジルコニウムの錯化合物、たとえば六フッ化ジルコニウムアンモニウムを含む水溶液中で、ケイ素鋼板を陰極として電解を行うことによって、ケイ素鋼板の表面に酸化ジルコニウムの被膜を形成させることが開示されている。しかし、この方法では、基材が導電性のものに限定されるほか、複雑な形状の基板への適用が困難である。
下瀬らは、日本セラミックス協会1994年度年会(名古屋)講演予稿集1G26に、泳動電着法によって、酸化イットリウムで安定化した酸化ジルコニウム薄膜を得る方法を示している。しかしこの場合も、得られた薄膜を1,300℃まで加熱して焼成する必要がある。
特開昭63−179082号公報には、ジルコニウムフッ化水素酸の酸化ジルコニウム過飽和溶液に、塩化アルミニウムのような添加剤を加えて、基材表面に酸化ジルコニウムの膜を析出させることが開示されている。しかし、ここでは種結晶を用いることは開示されておらず、得られた析出物はアモルファス状の酸化ジルコニウムであって、結晶ではない。
本発明の目的は、簡単な装置を用いて、従来の金属酸化物析出物の形成法では得られなかった、大面積の基板表面などに、薄膜など各種形態の析出物を形成でき、また複雑な形状の基材表面にも容易に希土類酸化物の析出物、あるいは酸化ジルコニウムおよび/または酸化ハフニウムの結晶析出物を形成でき、しかもこれらの析出物を結晶化によって安定化させるための加熱工程を必要としない、金属酸化物析出物の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意研究を行った結果、目的とする金属酸化物に対応するフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物の水溶液またはフッ化水素酸溶液に、フッ化物イオン捕捉剤を存在させて、該金属酸化物またはその固溶体の析出物、たとえば基材表面にそれらの薄膜を容易に形成することを見出し、特に析出の際に種結晶を存在させることにより、結晶析出物を容易に形成されることを見出して、本発明を完成するに至った。
発明の開示
すなわち、本発明の金属酸化物析出物の製造方法は、希土類金属のフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物の水溶液またはフッ化水素酸溶液中に、フッ化物イオン捕捉剤を存在させて、希土類酸化物、あるいはそれらを主成分とする固溶体からなる析出物を形成させることを特徴とする。
さらに、第2の本発明の金属酸化物析出物の製造方法は、ジルコニウムおよび/またはハフニウムの結晶のフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物の水溶液またはフッ化水素酸溶液中に、酸化ジルコニウムおよび/または酸化ハフニウムの種結晶ならびにフッ化物イオン捕捉剤を存在させて、酸化ジルコニウムおよび/または酸化ハフニウムの結晶、あるいはそれらを主成分とする固溶体の結晶からなる析出物を形成させることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明によって形成される希土類酸化物の析出物としては、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化プロメチウム、酸化サマリウム、酸化ユーロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウムおよび酸化ルテチウムの析出物が挙げられる。このほか、それら金属酸化物を主成分とする固溶体、すなわち、希土類金属酸化物相互の任意の割合からなる固溶体;および希土類金属酸化物に少量のアルカリ土類金属または遷移金属の酸化物を含有する固溶体、たとえば(La230.9(CaO)0.1で示される固溶体の析出物も、本発明によって形成される。
これらの希土類酸化物系の析出物は、アモルファスでもよいが、高温で連続して、または繰返し使用される用途には、安定相である結晶状が好ましい。
さらに、本発明によって形成される金属酸化物の析出物としては、酸化ジルコニウムおよび/または酸化ハフニウムの結晶析出物が挙げられる。このほか、これら金属酸化物を主成分とする固溶体、すなわち、これらの金属酸化物相互の任意の割合からなる固溶体;およびそれらの金属酸化物に少量のアルカリ土類金属、遷移金属または3B族金属の酸化物を含有する固溶体、たとえば酸化ジルコニウムを主成分とし、酸化マグネシウム、酸化チタンまたは酸化アルミニウムを固溶させた固溶体の結晶析出物も、本発明によって形成される。
本発明において原料として用いられるフルオロ金属錯化合物は、一般式(I):
abc (I)
(式中、Aはたがいに同一でも異なっていてもよい水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または配位水を表し;Mはジルコニウム、ハフニウムおよび/または希土類金属を表し;a、bおよびcはそれぞれ1以上の数であって、該金属錯化合物を電気的に中性にする数である)で示される、水溶性の酸または塩である。Aとしては、水素原子のほか;リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのようなアルカリ金属原子;アンモニウム基;および配位水が挙げられ、1種または2種以上であってもよい。Mは上述の金属酸化物に対応する金属原子であり、1種または2種以上であってもよい。bが1の場合、aは1以上の数であって、cよりMの原子価を減じた数に相当する。cはMがジルコニウムやハフニウムのような4価金属では5以上、イットリウムのような3価金属では4以上の数である。
このようなフルオロ金属錯化合物としては、H2ZrF6、Na2ZrF6、K2ZrF6、Rb2ZrF6、Cs2ZrF6、(NH42ZrF6、Na3ZrF7、(NH43ZrF7、Na4ZrF8、(NH44ZrF8、Na5ZrF9、(NH45ZrF9のようなフルオロジルコニウム錯化合物;ならびに対応するフルオロハフニウム錯化合物、フルオロセリウム(IV)錯化合物などが例示される。また、HYF4、H2YF5、H3YF6、NaYF4、Na2YF5、Na3YF6、Na4YF7、Na5YF8、KYF4、K2YF5、K3YF6、NH4YF4、(NH42YF5、(NH43YF6、(NH44YF7、(NH45YF8のようなフルオロイットリウム錯化合物;ならびに対応するフルオロスカンジウム錯化合物、フルオロランタン錯化合物、フルオロセリウム(III)錯化合物などが例示される。これらのフルオロ金属錯化合物は、1種または必要に応じて2種以上の混合物として用いてもよい。
また、上記金属の金属フッ化物としては、フッ化水素酸に可溶なものが好ましく、フッ化ジルコニウム、フッ化ハフニウムおよびフッ化ガドリニウムが例示される。
このようなフルオロ金属錯化合物や金属フッ化物は、溶液中では、対応する錯イオンおよび/またはイオンの形で存在する。
本発明に用いられるフルオロ金属錯化合物や金属フッ化物は、どのような製法で製造されたものでもよいが、好ましくは目的とする析出物に相当する金属酸化物、もしくは相当する固溶体、またはその固溶体の各成分に相当する複数の金属酸化物を、フッ化水素酸中で反応させることによって、系内で該金属のフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物として生成させたものである。
また、フルオロ金属錯化合物は、対応する金属水酸化物またはオキシ水酸化物を、二フッ化水素アンモニウムまたは二フッ化水素ナトリウムのような二フッ化水素アルカリ金属の水溶液に溶解、反応させて製造してもよい。
フルオロ金属錯化合物は、化合物によっても異なるが、通常10-9〜10mol/L、好ましくは10-6〜10-1mol/Lの濃度の水溶液に調製して用いられる。調製されたフルオロ金属錯化合物の水溶液に、さらに過剰の金属酸化物を添加して、高濃度溶液または飽和溶液にした後に、溶解しない金属酸化物をろ別して除いた水溶液を用いてもよい。あるいは、通常、濃度0.005〜50重量%、好ましくは0.01〜50重量%のフッ化水素酸に、金属酸化物を溶解させ、系内でフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物が形成され、通常10-9〜10mol/L、好ましくは10-6〜10-1mol/Lの濃度で溶解したものを用いてもよい。
目的とする金属酸化物が酸化ジルコニウムおよび/または酸化ハフニウム、あるいはそれらを主成分とする固溶体の場合、上記のフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物の水溶液またはフッ化水素酸溶液に、種結晶を存在させる。そのことにより、得られる析出物は結晶となる。
一方、目的とする金属酸化物が希土類酸化物またはそれを主成分とする固溶体の場合、同様に熱安定性に優れた結晶析出物を得るために、同様に、上記の溶液に種結晶を存在させても差支えない。
このようにして得られた結晶析出物は、アモルファス析出物に比べて安定相であって、高温で連続的に、または反復して使用されても熱履歴によって結晶化のような状態変化を示さないので、熱安定性に優れている。また同様の理由により、電気伝導度などの物性が、高温での反応により変化することがなく一定している。そのうえ、原子の配列などの構造が明確であるため、理論との対応から精密な物性制御が可能である。さらに、結晶析出物は、アモルファス析出物に比べて緻密であり、強度などの力学的性質ならびに気密性にも優れている。
種結晶としては、目的とする金属酸化物の析出物、たとえば薄膜と同一の金属酸化物が好ましく、また目的とする析出物が固溶体の場合は、該固溶体でも、それを構成する1種または2種以上の金属酸化物でもよい。種結晶は、同一または類似の結晶系のものであれば、化学組成が目的とする析出物と異なっていてもよい。種結晶は、通常0.001〜10μmの微少なものがよく、その存在量は任意であるが微量でよい。種結晶の存在によって、析出速度を上げることができる。また、本発明者の見出したところによると、種結晶の存在によって、該種結晶の結晶系と同一の結晶系に属する析出物を形成させることができる。
種結晶を存在させるには、種結晶となる酸化物の粉末を、前述のフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物の水溶液またはフッ化水素酸溶液に懸濁させ、酸化物粉末をろ過などの手段によって除去する際に、微結晶が通過するようなろ紙またはろ過器を用いるなどの方法で、溶液中に微結晶を残存させて、種結晶として用いてもよい。また、溶液に基材を浸漬させる前に、あらかじめ種結晶を添加し、分散させてもよい。さらに、この両方の方法を併用してもよい。
本発明においては、フルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物の水溶液またはフッ化水素酸溶液に、フッ化物イオンによって安定な化合物を形成するフッ化物イオン捕捉剤を添加または挿入することにより、対応する金属酸化物またはそれらの固溶体を析出させる。このような金属酸化物またはそれらの固溶体は、溶液より微細結晶として析出させてもよく、基材を該溶液に浸漬して、その表面に薄膜などの形状に析出させてもよい。
本発明で用いられるフッ化物イオン捕捉剤には、液相内に溶解させて用いる均一系と、固形物である不均一系とがある。目的に応じて、これら両者の一方を用いても、併用しても差し支えない。
均一系フッ化物イオン捕捉剤としては、オルトホウ酸、メタホウ酸などのホウ酸のほか;水酸化ナトリウム、アンモニア水などが例示される。たとえば、オルトホウ酸を用いてNa2ZrF6から酸化ジルコニウムを析出させる際には、式(III)で示される平衡がF-を消費する方向に移動するので、式(II)で示される平衡が、F-を生成する方向に移動し、その結果、酸化ジルコニウムが析出する。このような捕捉剤は、通常、水溶液の形で用いられる。該捕捉剤の添加は、1回に、または数回に分けて間欠的に行ってもよく、制御された供給速度、たとえば一定の速度で、連続的に行ってもよい。
Figure 0003769596
不均一系フッ化物イオン捕捉剤としては、アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、マグネシウム、銅、亜鉛などの金属;ガラスなどのセラミックス;およびケイ素、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウムなどのその他の無機物が例示される。このような固形物を溶液に添加または挿入すると、固形物近傍のF-が消費されてその濃度が減少するので、化学平衡がシフトして、金属酸化物が析出する。このような固形物を用いると、その添加または挿入する方法と反応条件により、溶液に浸漬した基材表面の全体に金属酸化物の析出物、たとえば薄膜を析出させることも、その析出を選択された局部、すなわち該固形物の存在する近傍に限定することも可能である。あるいは、均一系と不均一系のフッ化物イオン捕捉剤を併用することにより、基材表面の析出物、たとえば薄膜を部分的に厚くすることもできる。
均一系フッ化物イオン捕捉剤は、析出物の種類や形状によっても異なるが、溶液中のフッ化物イオンの当量に相当する量に対して、通常10-4〜1,000%であり、析出により良好な薄膜を形成させる場合、好ましくは10-2〜500%の範囲で用いられる。該捕捉剤は、一度に大量に系に添加すると、急速に平衡の移動が起こって溶液中で結晶が生成して液が白濁し、基材表面における析出物の形成に有効に寄与しない分が生ずることがある。したがって、基材表面に析出物、たとえば薄膜を形成させることを目的とする場合は、該捕捉剤の添加は徐々に行うことが好ましい。
基材としては、形成される金属酸化物析出物、たとえば薄膜を担持し、または該析出物とともに多層構造を形成するため、あるいは形成された薄膜によって酸化などから保護されるための、広範囲の物質を用いることができる。このような物質としては、金属、セラミックス、有機高分子材料などが例示される。
基材をフルオロ金属錯化合物および/または金属フッ化物の溶液に浸漬する時期は、フッ化物捕捉剤を添加する前でも、同時でも、後でも差し支えない。ただし、系によって侵されるおそれのある基材を用いる場合は、溶液の組成、反応条件および浸漬する時期に注意する必要がある。たとえば、フッ化水素酸溶液を用いる場合は、フッ化物イオン捕捉剤を添加した後に基材を浸漬することが好ましい。この場合、基材を浸漬した後に、さらに追加のフッ化物イオン捕捉剤を添加してもよい。また、アルミニウムやガラスのような、不均一系フッ化物イオン捕捉剤を兼ねる基材を用いてもよい。基材の形状は任意であり、板状に限定されず、複雑な形状のものを使用可能である。
反応温度は、系が溶液を維持する範囲で任意に設定できるが、10〜80℃の範囲が好ましい。反応時間も任意であり、目的とする析出物の量、薄膜の場合は厚さに応じて反応時間が長くなる。
このようにして、基材表面に金属酸化物析出物、たとえば厚さ0.001〜10μmの薄膜、またはそれ以上の厚さを有する被膜を形成できる。このようにして形成された析出物は、特に焼成のような加熱工程を経なくても、結晶化した金属酸化物析出物として得られるが、目的に応じて加熱工程を設けてもよい。基材表面への析出状態は、基材の材質によっても異なる。プラスチックの場合、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という)およびポリエーテルサルホン(以下、PESという)の表面には、容易に薄膜が形成される。ポリスチレンの表面には、通常の条件では薄膜は形成されず、金属やガラスのような不均一系フッ化物イオン捕捉剤が近傍に存在すると、その部分に薄膜が形成される。
産業上の利用可能性
本発明によれば、簡単な装置を用いて、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムおよび/または希土類酸化物;あるいはこれらを主成分とする固溶体を析出させることができる。特にそれらを基材表面に析出させることにより、従来の形成法では得られなかった大面積の基材表面や、複雑な形状の基材表面に、薄膜などの形で析出物を容易に形成できる。このようにして得られた析出物は、結晶化するための加熱工程を特に必要としないので、歪や亀裂の発生がない。このことは、大面積や複雑な形状の薄膜を形成させる場合に特に有利である。
また本発明によって得られた金属酸化物の析出物は、燃料電池の電解質や電極、酸素センサー、酸素富化膜、発熱体、触媒などとして有用である。
特に、結晶状で得られた析出物は、高温で熱履歴による状態変化がなく、熱安定性に優れているので、高温で使用されるセンサーなどに適している。
特に酸化ジルコニウムなどの場合、燃料電池や酸素センサー、酸素富化膜などにおける固体電解質としての使用においては、高温安定性、気密性、ならびに機械的強度が要求されるため、結晶相が使用され、アモルファス相が使用されることはない。また、発熱体としての使用においても、熱的に不安定なアモルファス相は、そのままでは使用されることはなく、結晶相のみが使用される。したがって、アモルファス析出物は、加熱処理によって結晶化を行うことにより、はじめて使用が可能となる。
実施例
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
Na2ZrF61.0gを蒸留水400mlに加えて撹拌し、完全に溶解させて水溶液とした。これにZrO210gを加え、30℃で24時間撹拌し、溶解しないで残ったZrO2の粗粉末を、JIS P3801の5種C定量ろ紙を用いてろ別した。このろ紙は保留粒子径が1μmであり、それ以上の粒子径のものはろ別され、ろ液中に残った粒子径1μm未満のZrO2微結晶が分散した透明な溶液が得られた。このようにして得られた、微結晶を含む水溶液40mlをポリスチレン容器にとってガラス基材を浸漬し、ただちにH3BO3の水溶液を2.0×10-4mol添加した。さらに1時間後に、同量のH3BO3を添加し、基材を浸漬したまま、30℃で3日間静置した。
ガラス基材を取り出して、X線回析(XRD)によって測定したところ、ガラス基板の表面に単斜晶系のZrO2結晶薄膜が形成されていることを確認した。さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、基材の全表面に分散して粒子径5μm以上のZrO2の微粒子が存在し、その一部はくっつき合って、約40μm四方の薄膜を形成していた。エネルギー分散X線分光分析(EDX)によっても、基材表面の粒子および薄膜中にジルコニウムの存在が認められた。なお、H3BO3水溶液の添加を、1時間ごとに4.0×10-4molずつ5回行ったときも、同様にZrO2結晶薄膜の形成が認められ、その厚さは0.1μmであった。
実施例2
実施例1と同様な方法で得られた、ZrO2の微結晶が分散した透明な水溶液40mlをポリスチレン容器にとり、PES基材を浸漬した。ついで、H3BO3の水溶液を、1時間ごとに4.0×10-4molずつ5回添加し、基材を浸漬したまま、30℃で3日間静置した。
PES基材を取り出して、XRDによって測定したところ、PES基材の表面に単斜晶系のZrO2薄膜が形成されていることを確認した。X線回析のピークの指数と位置は表1のとおりであり、面間隔は単斜晶系ZrO2とよく一致していた。さらに、SEMによって、ZrO2の粒子がくっつき合った結晶析出物を形成していることを確認した。
Figure 0003769596
実施例3
ZrO20.50gを23%HF水溶液100mlに加え、30℃で24時間撹拌して溶解させた。溶解しないで残ったZrO2の粗粉末を、実施例1と同様にろ過によって取り除いた。このようにして得られた、ZrO2の微結晶が分散した透明な溶液40mlをポリスチレン容器にとってPES基材を浸漬し、ただちにH3BO3粉末を1.1×10-1mol添加した。基材を浸漬したまま、30℃で3日間静置したところ、基材表面に、実施例2で得られたのと同様のZrO2結晶析出物の形成が認められた。
実施例4
実施例1と同様な方法で得られた、ZrO2の微結晶が分散した透明な水溶液40mlをポリスチレン容器にとり、アルミニウム板を基材として浸漬した。ついでH3BO3の水溶液を、1時間ごとに4.0×10-4molずつ3回添加し、基材を浸漬したまま、30℃で3日間静置した。
厚さ約1μmの白色の被膜が、アルミニウム板の表面全体に密着して生成していた。XRDによって測定したところ、該被膜がZrO2の結晶であることを確認した。このことから、アルミニウム板がフッ素イオン捕捉剤として作用し、ZrO2の生成が促進されたことがわかる。
実施例5
ZrO2とHfO2をモル比9:1に混合して、1,400℃で24時間焼成することにより、0.9ZrO2・0.1HfO2固溶体を作製した。この固溶体の粉末0.50gを23%HF水溶液100mlに加え、30℃で24時間撹拌して溶解させた。溶解しないで残った固溶体粉末を、実施例1と同様にろ過によって取り除いた。このようにして得られた、固溶体の微結晶が分散した透明な溶液40mlをポリスチレン容器にとってPES基材を浸漬し、ただちにH3BO3を1.1×10-1mol添加した。基材を浸漬したまま、30℃で3日間静置した。
XRDにより、基材表面にZrO2やHfO2と同様の単斜晶系の結晶が存在することを確認した。このことと、SEMによる観察およびEDXによる分析の結果から、析出した結晶中にZrとHfが含まれており、基材表面にZrO2−HfO2固溶体の結晶薄膜が形成されていることを確認した。
実施例6
ZrO2の代わりにHfO20.5gを用いたほかは実施例3と同様にして、HfO2微結晶が分散した透明な溶液を得た。これにPES基材を浸漬して、実施例3と同じ条件で処理を行った。
XRDにより、基材表面に単斜晶系のHfO2結晶薄膜が形成されていることを確認した。
実施例7
ZrO2の代わりにY230.5gを用いたほかは実施例3と同様にして、Y23微結晶が分散した透明な溶液を得た。これにPES基材を浸漬して、実施例3と同じ条件で処理した。XRDにより、基材表面に立方晶系のY23結晶の析出物が形成されていることを確認した。
実施例8
ZrO2とY23をモル比98:2に混合して、1,400℃で24時間焼成することにより、0.98ZrO2・0.02Y23固溶体を作製した。この固溶体の粉末を用いて、実施例5と同様にして溶液を得た。これに上述の固溶体の微粉末0.01mgを水に懸濁させて添加して、PES基材を浸漬し、H3BO3の添加量を1.1×10-1molとしたほかは実施例5と同様にして、基材を処理した。
XRDにより、基材表面に単斜晶系ZrO2と同様の回析ピークを与える結晶の存在を確認した。このことと、SEMによる観察およびEDXによる分析の結果から、析出した結晶中にZrとYが含まれており、基材表面に単斜晶系のZrO2−Y23固溶体の薄膜が形成されていることを確認した。
実施例9
La230.5gを23%HF水溶液120mlに加え、30℃で40時間撹拌して溶解させた。溶解しなかったLa23粗粉末を、実施例1と同様にろ別して、La23微結晶が分散した透明な溶液を得た。この溶液を3個のポリスチレン容器に各30mlとり、PES基材を浸漬して、H3BO3をそれぞれ2.5×10-3mol(水溶液として)、5.0×10-3mol(水溶液として)または1.1×10-1mol(粉末として)加えて、30℃に60時間静置した。XRDの結果、いずれのH3BO3添加量においても、基材表面に六方晶系のLa23結晶の薄膜の形成が認められた。
実施例10
La231.0gを12%HF水溶液400mlに加え、30℃で24時間撹拌して溶解させた。溶解しないで残ったLa23粗粉末を、実施例1と同様にろ別して、La23微結晶が分散した透明なろ液を得た。ろ液30mlをポリスチレン容器にとり、PES基材を浸漬して、H3BO3粉末を4.0×10-2mol添加して、30℃に6日間静置した。
基材表面をXRDによって測定した結果、La23のピークが観察され、基材表面にLa23結晶が生成していることを確認した。SEMにより、粒子径約10μmの粒子が多数、基材表面に生成していた。EDXの結果、粒子とLaの存在領域が一致し、上記の粒子が六方晶系のLa23結晶であることを確認した。
実施例11
Na2ZrF62.0gを蒸留水400mlに加えて撹拌し、完全に溶解させてNa2ZrF6の水溶液とした。これにZrO210gを加え、30℃で24時間撹拌して溶解させ、溶けないで残ったZrO2粗粉末を、実施例1と同様にろ別して、ZrO2微結晶が分散した透明な溶液Aを得た。一方、HfO2粉末0.5gを23%HF水溶液100mlに加え、30℃で24時間攪拌した後、溶解せずに残ったHfO2粗粉末を、実施例1と同様にろ別して、HfO2微結晶が分散した透明な溶液Bを得た。溶液A30mlと溶液B10mlを混合してポリスチレン容器に入れ、PES基材を浸漬して、H3BO3粉末を2.5×10-2mol添加した。これを30℃で3日間静置した。
XRDにより、基材表面にZrO2はHfO2と同様の単斜晶系の結晶が存在することを確認した。このことと、SEMによる観察およびEDXによる分析の結果から、析出した結晶中にZrとHfが含まれており、基材表面にZrO2−HfO2固溶体の薄膜が形成されていることを確認した。
実施例12
実施例3と同様な方法で得られた、ZrO2微結晶が分散した透明な溶液各40mlを2個のポリスチレン容器にとり、それぞれPES基材を浸漬した。さらに、基材の一部分の上に、ソーダ石灰ガラスを重ねた。ついで、一方の溶液にH3BO3粉末を8.0×10-2mol添加した。これらを、基材を浸漬したまま30℃で3日間静置した。
両方の基材を取り出してXRDにかけたところ、いずれも基材表面に単斜晶系のZrO2の析出が認められた。ガラスを載せることによって、溶液にH3BO3を添加しない方の基材にも、その部分にZrO2の析出が観察された。H3BO3を添加した場合、析出物の厚さは、ガラスを載せた部分で、他の部分よりも厚かった。いずれの場合も、ガラスはかなり腐食しており、その成分がフッ素イオン捕捉剤として寄与したことが明らかである。
実施例13
ZrO25.0gを0.12%HF水溶液200mlに加え、30℃で24時間撹拌して溶解させた。溶け残ったZrO2粗粉末を、実施例1と同様にろ過によって取り除いて、ZrF6 2-錯イオンを含み、ZrO2微結晶が分散した透明な溶液を得た。この溶液各40mlを3個のポリスチレン容器にとり、試料13−1〜13−3とした。それぞれにガラス基材を浸漬し、表2のようにH3BO3水溶液を添加して、30℃で3日間静置した。
Figure 0003769596
いずれの試料においても、基材表面をXRDで測定したところ、単斜晶系のZrO2が生成していることを確認した。なお、試料13−1では、基材表面はフッ酸により、いくぶん侵食されているのが観察された。試料13−2および13−3では、侵食は観察されなかった。
実施例14
実施例1と同様な方法でNa2ZrF6とZrO2を蒸留水に加えて得られた、ZrO2微結晶が分散した透明な水溶液各40mlを、4個のポリスチレン容器にとった。これに、基材を浸漬せずに、H3BO3水溶液をそれぞれ4.0×10-4mol、1.2×10-3molまたは2.0×10-3mol添加し、残余の1個にはH3BO3を添加しないで、30℃で3日間静置した。H3BO3を添加した水溶液から、いずれも白色沈殿の生成が認められ、H3BO3を添加しない水溶液は、なんらの変化もなかった。沈殿のXRDを測定したところ、単斜晶系ZrO2のピークが観察され、該白色沈殿が単斜晶系ZrO2であることを確認した。
実施例15
実施例1と同様な方法でNa2ZrF6とZrO2を蒸留水に加えて得られた、ZrO2微結晶が分散した透明な水溶液各40mlを、3個のポリスチレン容器にとり、それぞれにポリスチレン、PESまたはPETを基材として浸漬し、H3BO3水溶液を4.0×10-4molずつ、1時間ごとに5回加えた。その後、30℃で3日間静置した。
各基材の表面のXRDを測定したところ、PES基材とPET基材の表面には、単斜晶系のZrO2結晶が形成されていることを確認した。PES表面よりもPET表面の方が、XRDのピーク強度が大きく、ZrO2結晶がより多く生成していることを示した。なお、ポリスチレン基材表面には、XRDによる測定の結果、ZrO2結晶は生成していなかった。
比較例1
Na2ZrF61.5gを蒸留水600mlに溶解させて、水溶液を得た。この水溶液40mlをポリスチレン容器にとり、ガラス基材を浸漬した。これにH3BO3水溶液を4.0×10-4molずつ、1時間の間隔を置いて9回添加し、30℃で5日間放置した。
ガラス基材を取り出して、各基材の表面をXRDによって測定したが、ピークは観察されず、ZrO2結晶は得られなかった。
比較例2
Na2ZrF61.0gを蒸留水400mlに溶解させて、水溶液を得た。この水溶液にZrO210gを加え、30℃で24時間撹拌し、溶けないで残ったZrO2を、実施例1と同様にろ別して、微結晶が分散した透明な水溶液を得た。これをさらに、孔径0.1μmのメンブランフィルターによってろ過して、微結晶を完全に取り除いた。この水溶液40mlをポリスチレン容器にとり、ガラス基材を浸漬した。これにH3BO3水溶液4.0×10-4molずつ5回添加し、30℃で3日間放置した。
ガラス基材を取り出して、各基材の表面をXRDによって測定したが、ピークは観察されず、ZrO2結晶は得られなかった。

Claims (18)

  1. 希土類金属のフルオロ金属錯化合物および金属フッ化物から選ばれた少なくとも1種の化合物の水溶液またはフッ化水素酸溶液中に、フッ化物イオン捕捉剤を存在させて、希土類酸化物、あるいはそれを主成分とする固溶体からなる析出物を形成させることを特徴とする、金属酸化物析出物の製造方法。
  2. 上記の溶液中に基材を浸漬して、基材表面に該析出物を形成させる、請求の範囲第1項記載の製造方法。
  3. 該析出物が薄膜である、請求の範囲第2項記載の製造方法。
  4. 上記フルオロ金属錯化合物および上記金属フッ化物から選ばれる少なくとも1種の化合物が、該金属酸化物をフッ化水素酸溶液中で反応させて生成させたものである、請求の範囲第1項記載の製造方法。
  5. 上記の溶液中に希土類酸化物の種結晶を存在させる、請求の範囲第1項記載の製造方法。
  6. 希土類酸化物をフッ化水素酸溶液中で反応させた後、微結晶を溶液中に残存させて種結晶とする、請求の範囲第5項記載の製造方法。
  7. フルオロ金属錯化合物が、一般式(1):
    abc (1)
    (式中、Aはたがいに同一でも異なっていてもよい水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または配位水を表し;Mは希土類金属を表し;a、bおよびcはそれぞれ1以上の数であって、該金属錯化合物を電気的に中性にする数である)で示される、請求の範囲第1項記載の製造方法。
  8. 金属酸化物が、酸化イットリウムおよび酸化ランタンから選ばれる少なくとも1種の酸化物である、請求の範囲第1項記載の製造方法。
  9. フッ化物イオン捕捉剤が、ホウ酸である、請求の範囲第1項記載の製造方法。
  10. ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の、フルオロ金属錯化合物および金属フッ化物から選ばれる少なくとも1種の化合物の水溶液またはフッ化水素酸溶液中に、酸化ジルコニウムおよび酸化ハフニウムから選ばれる少なくとも1種の酸化物よりなる種結晶ならびにフッ化物イオン捕捉剤を存在させて、酸化ジルコニウムおよび酸化ハフニウムから選ばれる少なくとも1種の酸化物の結晶、あるいはそれらを主成分とする固溶体の結晶からなる析出物を形成させることを特徴とする、金属酸化物結晶析出物の製造方法。
  11. ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の、フルオロ金属錯化合物および金属フッ化物から選ばれる少なくとも1種の化合物の水溶液またはフッ化水素酸溶液中に、目的とする析出物と同一または類似の結晶系の種結晶ならびにフッ化物イオン捕捉剤を存在させて、酸化ジルコニウムおよび酸化ハフニウムから選ばれる少なくとも1種の酸化物の結晶、あるいはそれらを主成分とする固溶体の結晶からなる析出物を形成させることを特徴とする、金属酸化物結晶析出物の製造方法。
  12. 種結晶と異なる化学組成の析出物を形成させる、請求の範囲第10項または第11項記載の製造方法。
  13. 請求の範囲第10項または第11項記載の溶液中に基材を浸漬して、基材表面に析出物を形成させる、請求の範囲第10項〜第12項記載の製造方法。
  14. 該析出物が薄膜である、請求の範囲第13項記載の製造方法。
  15. 上記フルオロ金属錯化合物および上記金属フッ化物から選ばれる少なくとも1種が、該金属酸化物をフッ化水素酸溶液中で反応させて生成させたものである、請求の範囲第10項〜第12項記載の製造方法。
  16. 酸化物をフッ化水素酸溶液中で反応させた後、微結晶を溶液中に残存させて種結晶とする、請求の範囲第10項〜第12項記載の製造方法。
  17. フルオロ金属錯化合物が、一般式(1):
    abc(1)
    (式中、Aはたがいに同一でも異なっていてもよい水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または配位水を表し;Mはジルコニウムおよびハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子を表し;a、bおよびcはそれぞれ1以上の数であって、該金属錯化合物を電気的に中性にする数である)で示される、請求の範囲第10項〜第12項記載の製造方法。
  18. フッ化物イオン捕捉剤が、ホウ酸である、請求の範囲第10項〜第12項記載の製造方法。
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