JPH1084996A - 薬物活性測定法 - Google Patents

薬物活性測定法

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JPH1084996A
JPH1084996A JP26531996A JP26531996A JPH1084996A JP H1084996 A JPH1084996 A JP H1084996A JP 26531996 A JP26531996 A JP 26531996A JP 26531996 A JP26531996 A JP 26531996A JP H1084996 A JPH1084996 A JP H1084996A
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JP
Japan
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vascular endothelial
endothelial cells
activity
fxii
hmwk
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Pending
Application number
JP26531996A
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English (en)
Inventor
Yoji Shibayama
洋二 芝山
P Kaplan Allan
アラン・ピー・カプラン
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Nippon Zoki Pharmaceutical Co Ltd
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Nippon Zoki Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】血管内皮細胞を用いた生体内に近い反応系を用
いてFXIIの活性化を阻害又は増強する薬物の活性を測
定する方法を提供する。 【解決手段】血管内皮細胞を用いてFXIIの活性化を阻
害又は増強する薬物の活性を測定する方法である。 (1)HMWKと血管内皮細胞の結合を指標とする方
法。 (2)FXIIと血管内皮細胞の結合を指標とする方法。 (3)血管内皮細胞上のFXIIaの量を指標とする方
法。 (4)血管内皮細胞とHMWKの複合体に被験物質を加
え、血管内皮細胞からのHMWKの遊離を指標とする方
法。 【効果】FXIIaは血漿カリクレイン−キニン系並びに
内因系血液凝固系や線溶系の重要な開始因子であり、種
々の薬剤のスクリーニング法等として有用性の高いもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血管内皮細胞を用いて
血液凝固第XII因子の活性化に影響を及ぼす薬物の活性
を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血漿カリクレイン−キニン系は、種々の
生理活性を有するキニン類を生成させる一連の生体内反
応系である。この血漿カリクレイン−キニン系は、生体
内において他の様々な酵素反応系、例えばレニン−アン
ジオテンシン系、血液凝固系、線溶系、補体系並びにプ
ロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンを
中心とするアラキドン酸カスケードやカテコールアミン
等と密接な関連性をもって生体の機能調節に深く関わっ
ているものである。
【0003】カリクレイン−キニン系の生成産物である
ブラジキニン等のキニン類は、末梢血管拡張に伴う降
圧、血管透過性の亢進、平滑筋の収縮或いは弛緩、発
痛、白血球の遊走、副腎皮質からのカテコールアミンの
遊離作用など種々の生理活性を示すほか、アレルギー反
応を含めた炎症反応のメディエーターとしても知られて
おり、生体内における存在意義は大きい。従って、キニ
ン類の作用を抑制或いはその生成を阻害する物質は、抗
炎症剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤等の医薬品として有用
であると考えられている。
【0004】上述した血漿カリクレイン−キニン系の一
連の反応系の開始段階は、血液凝固第XII因子(以下、
FXIIと略称する)の活性化である。生体内において組
織に対する傷害や侵害刺激等によりFXIIが活性化され
ることによって、血漿カリクレイン−キニン系の一連の
酵素反応系が進行する。即ち、活性化されたFXII(活
性型血液凝固第XII因子:以下、FXIIaと略称する)
は同じく血漿中に存在する血漿プレカリクレインに作用
して、これを活性型酵素の血漿カリクレインに変換し、
次いでこの血漿カリクレインが血漿中の高分子量キニノ
ーゲン(以下、HMWKと略称する)に作用して、ブラ
ジキニンを遊離産生させる。
【0005】血漿カリクレイン−キニン系の開始段階で
あるFXIIの活性化が抑制されると、同反応系の最終産
物であるブラジキニンの生成が抑制されることになり、
従ってFXII活性化阻害剤は、上述したキニン生成阻害
物質などと同種の医薬品としての有用性が示唆されてい
る。またFXIIaは内因系血液凝固系や線溶系の重要な
開始因子でもあり、FXII活性化阻害剤は血液凝固・線
溶分野での薬剤としても期待できる。ゆえにFXIIの活
性化を阻害する薬物の作用を測定する方法を確立するこ
とは、上記のような薬剤を開発するうえで非常に有効な
手段となり得る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血管
内皮細胞を用いた生体内に近い反応系を用いてFXIIの
活性化を阻害又は増強する薬物の活性を測定する方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明測定法は、血管内
皮細胞を用いてFXIIの活性化を阻害又は増強する薬物
の活性を測定する方法である。かかる薬物の作用を測定
するためには、反応系におけるFXIIの活性化を定量的
に測定しなければならない。生体内におけるFXIIの活
性化は、FXII及びHMWKが血管内皮細胞上に結合し
複合体を形成することによって引き起こされる。従っ
て、血管内皮細胞へのFXII又はHMWKの結合が阻害
されれば、血管内皮細胞上でのFXII−HMWKの複合
体は形成されずFXIIの活性化が阻害されると考えられ
るため、この血管内皮細胞と両因子の結合状態を指標と
してFXIIの活性化を測定することができる。
【0008】本発明において、FXIIの活性化を測定す
るための具体的な指標として、例えば以下の方法を挙げ
ることができる。 (1)HMWKと血管内皮細胞の結合を指標とする方
法。 (2)FXIIと血管内皮細胞の結合を指標とする方法。 (3)血管内皮細胞上のFXIIaの量を指標とする方
法。 (4)血管内皮細胞とHMWKの複合体に被験物質を加
え、血管内皮細胞からのHMWKの遊離を指標とする方
法。
【0009】
【発明の実施の形態】上記方法(1)は、HMWKと血
管内皮細胞を試験管内にて結合試験を行う反応系であ
り、通常は被験薬を反応系に共存させた場合の血管内皮
細胞へのHMWKの結合量を被験薬を用いない場合の対
照(コントロール)と比較することによって、血管内皮
細胞へのHMWKの結合に対する被験薬の阻害活性を測
定できる。また既に該阻害活性を有することが確認され
ている対照薬との阻害活性の強弱を比較することによっ
ても被験薬の阻害活性を測定することが可能である。こ
れは以下の各方法を含む通常の被検薬の阻害又は増強活
性を測定し評価する場合に通常行われていることであ
り、このように被験薬の阻害活性を定量化する方法や比
較対照は当業者が自由に選択可能である。
【0010】被験薬の種類によっては、HMWKの血管
内皮細胞への結合を阻害する薬物の他にも、血管内皮細
胞へ結合したHMWKを遊離させる作用によってFXII
の活性化を阻害する薬物もあると考えられる(上記方法
(4)の試験系)。後者の活性を測定する際には、先ず
HMWKと血管内皮細胞を結合させておき、そこに被験
薬を添加して血管内皮細胞からのHMWKの遊離を測定
する。この場合、血管内皮細胞に結合して残存している
HMWKの量を測定してもよいし、HMWKからのFX
IIの遊離量を測定してもよい。
【0011】上記方法(2)は、方法(1)のHMWK
の代わりにFXIIを用いて血管内皮細胞へのFXIIの結
合量を測定する系であり、FXIIと血管内皮細胞を用い
て上記方法(1)と同様に行うことができる。FXIIは
血管内皮細胞に結合すると自ら活性化して活性型のFX
IIaとなるため、上記方法(3)の如く血管内皮細胞上
に結合したFXIIaの量を測定することによって、FX
IIと血管内皮細胞の結合を測定することも可能である。
例えば、FXIIと血管内皮細胞の結合実験を行った後、
血管内皮細胞を洗浄して未結合のFXIIを除去し、次い
でFXIIaをその酵素活性を利用して測定する方法など
が挙げられる。
【0012】上記各方法においては、HMWKそのもの
を用いて実施できるのは当然であるが、血管内皮細胞へ
の主たる結合活性を有すると考えられているHMWKの
L鎖やそのL鎖中の結合活性を有するフラグメントなど
も利用可能である。本発明において使用されるHMWK
(L鎖や部分フラグメントも含む)やFXII、その他プ
レカリクレイン等の蛋白類は各種動物の血漿や組織から
抽出して実質的に夾雑物を含有しない程度に精製したも
のを用いることができ、また遺伝子工学やペプチド合成
等の手法で製造された製品等も利用可能である。
【0013】本発明で用いる血管内皮細胞としては、各
種動物の各種組織から採取した血管内皮細胞を用いるこ
とができ、また市販されているキット製品も使用可能で
ある。例えばクラボウ社製の「エンドセルキット」に
は、臍帯静脈由来、大動脈由来、肺動脈由来等の正常ヒ
ト血管内皮細胞の各製品があり、また各種の血管内皮細
胞増殖用培地、ウシ脳抽出液、継代用試薬等の種々の試
薬類も揃っており利用しやすい。
【0014】血管内皮細胞に結合した或いは結合後に被
験薬によって遊離されたHMWKやFXIIの量を測定す
る方法としては、HMWKやFXIIの通常の定量法を利
用でき、例えばこれら蛋白質のラベル化体を用いる方法
が挙げられる。これらHMWKやFXIIのラベル化体と
して、ラジオアイソトープ、蛍光標識物質、発色標識物
質、酵素・抗体標識物質等でラベル化したものを用いる
ことができる。またHMWKやFXIIに対する特異的抗
体を用いて、血管内皮細胞への結合後にラベル化して測
定する方法もある。尚、上記の各種ラベル化の方法は、
当該分野で通常用いられている方法で行うことができ
る。
【0015】FXIIは血管内皮細胞に結合すると活性型
のFXIIaになり、この血管内皮細胞上で生成したFX
IIaの定量は、慣用の方法に従って行うことができる。
例えばFXIIaの酵素活性を利用してFXIIaに対する
基質を用いて測定することができ、血漿プレカリクレイ
ン、血液凝固第XI因子又はプラスミン等の天然基質の
他、D−Pro−Phe−Arg−pNA、D−Leu
−Gly−Arg−pNA等の発色合成基質やBoc−
Glu(OBz)−Gly−Arg−MCA、Boc−
Gln−Gly−Arg−MCA等の蛍光合成基質など
を用いる方法が簡便であり通常よく用いられている。ま
た上記の基質を用いる方法の他にも、ラジオイムノアッ
セイ法やエンザイムイムノアッセイ法等の免疫学的測定
法等を用いた定量分析法なども利用することができる。
【0016】上述の合成基質を用いたFXIIaの定量法
の場合は、例えば基質の分解反応が飽和に至る前、好ま
しくはFXIIaによる酵素反応と反応時間の間に実質的
に直線関係が生じる時間内に反応時間を定め、クエン酸
等の適切な反応停止剤を用いてFXIIaによる酵素反応
を停止させ、その時点における基質の分解量を測定する
ことによってFXIIa活性量を正確に定量できる。また
実質的に直線的な比例関係が生じている反応時間内にお
ける単位時間当たりの基質分解量を測定することによっ
て求められる反応速度を指標としても、FXIIa活性の
定量的な測定は可能である。このような基質を用いた酵
素蛋白の定量法に関しては、当該分野で採用されている
技術に従って設定すればよい。例えば他の一般的な定量
法の場合と同様に、このFXIIaの定量法においても種
々の濃度のFXIIaを用いて同様の試験を行い、定量用
の検量線を求めておくことも当然採用されうる。
【0017】FXIIの天然基質である血漿プレカリクレ
インを用いた場合には、FXIIaによってプレカリクレ
インは酵素活性を有するカリクレインに変換されること
を利用し、生成したカリクレインを定量することにより
FXIIaの活性量を測定可能である。これは上記のFX
IIaの合成基質の代わりに血漿プレカリクレインという
天然基質を用いた方法であり、反応時間は上述した合成
基質の場合と同様に設定可能である。反応時間を設定す
るために用いる反応停止剤としては、その時点でカリク
レインの生成を停止させ且つFXIIa活性の影響を除外
するため、好ましくは生成したカリクレイン活性には実
質的に無影響でFXIIa活性のみを特異的に阻害する阻
害剤、例えばリマ豆由来トリプシンインヒビター(LB
TI)やトウモロコシ由来ハーゲマンフラグメントイン
ヒビター(CHFI)などを挙げることができる。
【0018】生成したカリクレインの定量は通常の測定
方法を用いることができ、例えばカリクレインに対する
特異的な合成基質、例えばD−Pro−Phe−Arg
−pNA、Bz−Pro−Phe−Arg−pNA等の
発色合成基質やZ−Phe−Arg−MCA等の蛍光合
成基質などを用いる測定法が簡便で繁用されている。こ
れら合成基質を用いたカリクレインの定量は、上記の合
成基質を用いたFXIIaの定量法と同様に反応時間等を
設定して実施できる。
【0019】
【実施例】以下の実施例において、本発明を更に詳細に
説明する。尚、以下の実施例は本発明を具体的に説明す
るための一例であり、限定的な意味を有するものではな
い。
【0020】実施例1.ヒト臍帯静脈由来内皮細胞(H
UVEC)は第3継代のコンフルエントしたものを用
い、これを亜鉛イオンを含まない結合用緩衝液(10mMHE
PES, 11.7mMD-glucose, 157mMNaCl, 1mMCaCl2, 4mMKCl,
0.5mg/mlBSA, pH7.4)で4回洗浄後、50μMZnCl2を含ん
だ前記結合用緩衝液中で、ヨード(125I)ラベル化した
HMWK又はFXII (1μg/ml)と37℃で2時間イン
キュベートした。細胞は結合用緩衝液で洗浄した後、細
胞に結合しているラベル化蛋白質量を測定した。本反応
系に被験薬(ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出
液)を共存させて、ヨードラベル化蛋白質のHUVEC
への結合に対する阻害活性を測定した。
【0021】その結果、被験薬を用いない対照では 106
個のHUVEC当たり3.3pmoleのヨードラベル化HMW
Kが結合したが、被験薬を添加した場合(100μg/ml)
では0.5pmoleに結合量が減少した。この被験薬によるH
MWKのHUVECへの結合に対する阻害作用は0〜 1
00μg/mlの範囲において濃度依存的であった。また血
管内皮細胞への主たる結合活性を有すると考えられてい
るHMWKのL鎖を用いて試験した結果、HMWKの場
合と同様に上記被験薬の濃度依存性の阻害作用が認めら
れた。同様にヨードラベル化FXIIのHUVECへの結
合に対する被験薬の阻害活性を調べた結果、HMWKの
場合と同様の濃度依存性の阻害作用が見られた。
【0022】実施例2.FXIIは血管内皮細胞に結合す
ると活性化され酵素活性を有するFXIIaとなるため、
FXIIaの酵素活性を用いてFXIIの血管内皮細胞への
結合量を測定することができる。この場合は実施例1と
は異なり、ラベル化FXIIを用いる必要はない。上記と
同様にFXIIとHUVECの結合反応を行い、HUVE
Cを洗浄して未結合のFXIIを除いた後、FXIIaに対
する基質を用いてFXIIaの酵素活性量を測定した。基
質としてはFXIIaの天然基質である血漿プレカリクレ
インを用いた。不活性なプレカリクレインはFXIIaに
よって酵素活性を有するカリクレインとなるため、血漿
カリクレインに対する特異的合成基質(クロモザイムP
K)を用いて生成カリクレイン量を測定することによ
り、FXIIaの定量を行った。
【0023】FXIIと血漿プレカリクレインを酢酸緩衝
液中で(4-アミジノフエニル)メタンスルホニルフルオ
ライドで処理し活性型蛋白質を除いた後、実施例1と同
様の結合用緩衝液で10μg/mlの濃度に希釈した。HU
VECのコンフルエントした96穴プレートに10μlのF
XII溶液と70μlの結合用緩衝液を加え、亜鉛イオンの
存在下にて結合反応を行った。細胞を亜鉛イオンを含ん
だ緩衝液で洗浄し未結合のFXIIを除いた後、80μlの
同緩衝液、10μlのプレカリクレイン溶液及び10μlの
60mMクロモザイムPK溶液を加え、マイクロプレート測
定装置で 405nmの吸光度値を1分毎に測定して、血漿カ
リクレイン活性を測定した。上記被験薬をFXIIとHU
VECの結合反応系に共存させて、HUVEC上におけ
るFXIIの活性化に対する作用を調べた。被験薬(0〜
1mg/ml)を用いて試験した結果、HUVECに結合し
たFXIIa量は被験薬の濃度に依存して減少することが
認められた。
【0024】実施例3.血管内皮細胞に一度結合したH
MWKを遊離させる被験薬の活性を調べた。実施例1と
同様にヨードラベル化したHMWKとHUVECの結合
反応を行い、1時間インキュベーションした時点で上記
被験薬(100μg/ml)を添加した。さらに1時間インキ
ュベーションを行い、HUVECに結合したヨードラベ
ル化HMWK量を測定した。その結果、被験薬を添加し
た時点では 106個のHUVEC当たり6.3pmoleのヨード
ラベル化HMWKが結合していたが、被験薬の添加後1
時間では4.6pmoleに減少した。
【0025】
【発明の効果】本発明測定法は、血管内皮細胞を用いて
FXIIの活性化を阻害する薬物活性を測定する方法であ
る。詳細には、HMWK又はFXIIと血管内皮細胞の結
合を指標とする方法であり、上記の試験結果より明らか
なように、鎮痛作用、抗アレルギー作用等を有する被験
薬のFXII活性化に対する阻害作用を、本発明測定法に
よって測定することが可能である。本発明測定法によっ
て活性測定が可能な薬剤は、具体的には血管内皮細胞へ
のFXII又はHMWKの結合を阻害する作用を有するも
のである。
【0026】上述したように、血漿カリクレイン−キニ
ン系の一連の反応系の開始段階はFXIIの活性化反応で
あり、この反応は生体内ではFXII及びHMWKが血管
内皮細胞上に結合し複合体を形成することによって引き
起こされることが示唆されている。血管内皮細胞とHM
WKの結合は亜鉛依存性の特異的なものであり、1細胞
(HUVEC)あたり1×106 〜1×107 個の結合部位
があることが示されている。またFXIIと血管内皮細胞
の結合も亜鉛依存性であり、FXIIの結合をHMWKが
拮抗阻害することや、血管内皮細胞に結合したHMWK
が過剰量のFXIIで置換されることなどから、HMWK
とFXIIは同一の受容体を介して結合しているものと示
唆されている。
【0027】従って、血管内皮細胞へのFXII又はHM
WKの結合が阻害されれば、血管内皮細胞上のFXII−
HMWKの複合体は形成されずFXIIの活性化が阻害さ
れる。即ち、血管内皮細胞へのFXII又はHMWKの結
合が阻害されると、血漿カリクレイン−キニン系の開始
段階であるFXIIの活性化が抑制され、同反応系の最終
産物であるブラジキニンの生成が抑制されることとな
る。
【0028】血漿カリクレイン−キニン系の生成産物で
あるブラジキニン等のキニン類は、炎症、痛み、アレル
ギー症状等を誘因するメディエーターであり、これらキ
ニン類の作用を抑制或いはその生成を阻害する薬剤は、
抗炎症剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤等の医薬品として有
用である。従って血漿カリクレイン−キニン系の開始段
階であるFXIIの活性化を阻害する薬剤は、上述したキ
ニン生成阻害物質などと同種の医薬品としての有用性が
示唆される。またFXIIaは内因系血液凝固系や線溶系
の重要な開始因子でもあり、FXII活性化阻害・促進剤
は血液凝固・線溶分野での薬剤としても期待できるた
め、FXIIの活性化を阻害又は増強する薬物活性を測定
可能な本発明測定法は、薬剤のスクリーニング法等とし
て有用性の高いものである。

Claims (6)

    【整理番号】 PC−259 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血管内皮細胞を用いて血液凝固第XII因
    子の活性化を阻害又は増強する薬物活性を測定する方
    法。
  2. 【請求項2】 血管内皮細胞と高分子量キニノーゲンの
    結合に対する薬物の阻害又は増強活性を測定することに
    よる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 血管内皮細胞と高分子量キニノーゲンの
    L鎖の結合に対する薬物の阻害又は増強活性を測定する
    ことによる請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 血管内皮細胞と血液凝固第XII因子の結
    合に対する薬物の阻害又は増強活性を測定することによ
    る請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 血管内皮細胞に結合した活性型血液凝固
    第XII因子量を測定することによる請求項4記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 血管内皮細胞と高分子量キニノーゲンの
    結合体に被験物質を加え、血管内皮細胞からの高分子量
    キニノーゲンの遊離を測定することによる請求1記載の
    方法。
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