JPH1082344A - シリンダブロックの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 シリンダブロックの構造に関し、剛性を向上
させることができ、同ブロックを基本構造体とするエン
ジン全体での曲げ剛性の改善を図ることができ、固有振
動数を上げることができ、運転時に体感する低周波の振
動・騒音を効果的に低減することができる一方、ブロッ
クの前端部付近の各部材の接合部分のオイル密封性を向
上させ、オイル密封の信頼性を向上させることができる
と共に、同部分に塗布していた液状ガスケットを不要な
ものとしてコストダウンを図ることができるものを提供
する。 【解決手段】 複数の気筒が横方向に配列され、下方に
オイルパンが配置され、気筒配列方向の一端側にカバー
部材が配置されるシリンダブロック１において、カバー
部材の左右の側壁に相当する部分１４を、同ブロックの
一端面１ａから一体的に突出して形成すると共に、シリ
ンダブロック１に一体的に形成された左右の側壁部分１
４を、その下端部で連結部分１５を介して一体的に連結
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの基本構
造体であるシリンダブロックの構造に関し、特に、スカ
ート部を深く形成してその下端にオイルパンを取り付け
るようにしたディープスカートタイプのシリンダブロッ
クの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】シリンダブロックを基本構造体とするエ
ンジンにおいては、図５に示すような、複数のシリンダ
ボア１１を横方向に配列した上方部分から下方両側に延
びるスカート部１２を比較的深く形成した、所謂ディー
プスカートタイプのシリンダブロック１Ａに対して、図
７に示すように、該シリンダブロック１Ａの下側（スカ
ート部１２の下端）にオイルパン２を取り付けると共
に、該シリンダブロック１Ａの前側（以下、オイルポン
プやカムチェーン等が配置される側をシリンダブロック
の前側として説明する。）に、オイルポンプハウジング
やチェーンカバーやフロントカバーのような部材の何れ
かを、該前側を覆うようなカバー部材３として取り付け
るということが従来から一般的に行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来のディープスカートタイプのシリンダブロック１
Ａについては、オイルポンプハウジングやチェーンカバ
ーやフロントカバーの何れかをカバー部材３として取り
付けるシリンダブロック１Ａの前端面１ａにおいて、図
６に示すように、クランク軸４を軸支するためクランク
ベアリング５が連結されるジャーナル軸受上部１３の両
側から、左右のスカート部１２が下方に向かってその間
隔を広げるように延びていて、該シリンダブロック１Ａ
の前端面１ａの下部が開放形状となっているため、当該
部分の構造が、シリンダブロック１Ａ全体の剛性を低下
させるものになると共に、低周波の振動を増加させるも
のとなって、ＮＶＨ（エンジン運転時に体感する振動・
騒音の軽減化）改善を妨げるものとなっている。

【０００４】また、図７に示すように、シリンダブロッ
ク１Ａの前側の下端付近では、シリンダブロック１Ａと
オイルパン２とカバー部材３とが三面合わせの状態で連
結されているため、当該部分の合わせ目でオイル漏れが
発生しやすいものとなって、エンジンのオイル密封の信
頼性が低いものになると共に、該三面合わせ部分にＦＩ
ＰＧ（液状ガスケット）などを施すことが必要となっ
て、コストアップを招くことともなる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために、上記の請求項１に記載したよう
に、複数の気筒が横方向に配列されていて、その下方に
オイルパンが配置され、その気筒配列方向の一端側にカ
バー部材が配置されるようなエンジンのシリンダブロッ
クにおいて、該カバー部材の左右の側壁に相当する部分
が、シリンダブロックの一端面から一体的に突出して形
成されていると共に、該シリンダブロックに一体的に形
成された左右の側壁部分が、その下端部で連結部分を介
して一体的に連結されていることを特徴とするものであ
る。

【０００６】また、上記の請求項１に記載したシリンダ
ブロックの構造において、上記の請求項２に記載したよ
うに、シリンダブロックに一体的に形成された左右の側
壁部分が、その上端部でも連結部分を介して一体的に連
結されていることを特徴とするものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明のシリンダブロック
の構造の実施形態について図面に基づいて説明する。

【０００８】図１〜図３は、本発明の一実施形態に係る
４気筒エンジンのシリンダブロックを概略的に示すもの
で、図１は、シリンダブロックの前端部付近を斜め前方
から見たものであり、図２は、シリンダブロックの前端
部を正面から見たものであり、図３は、シリンダブロッ
クの下方にオイルパンを連結した状態を側方から見たも
のである。

【０００９】シリンダブロック１の上部には、縦方向の
各シリンダボア１１が横方向に一列に形成されており、
シリンダブロック１の上面には、各シリンダボア１１の
上端が開口されていると共に、図示していないが、シリ
ンダブロック内に形成されたウォータージャケットのシ
リンダヘッド側への各連通部や、シリンダヘッドを連結
するためのヘッドボルトを螺合させるための各ボルト孔
の上端や、シリンダヘッドの上面に溜まった潤滑オイル
をオイルパンに戻すための各オイル戻し通路の上端など
がそれぞれ開口されていて、該シリンダブロック１の上
面に対してシリンダヘッド（図示せず）が取り付けられ
ることとなる。

【００１０】シリンダブロック１の下部には、各シリン
ダボア１１の下端位置から下方に、シリンダブロック１
の左右両側でシリンダボア１１の配列方向に沿ってそれ
ぞれ連続する左右のスカート部１２が、両側のスカート
部１２の間隔が下方に向かって広がるようにそれぞれ一
体的に形成されていて、該スカート部１２の下端に対し
てオイルパン２が取り付けられることとなる。

【００１１】また、シリンダブロック１の気筒列両端部
と各気筒の間のそれぞれには、シリンダボア１１の下方
で左右のスカート部１２の間に、クランク軸４のジャー
ナル軸受上部１３がシリンダブロック１に一体的に形成
されていて、各ジャーナル軸受上部１３に対して、その
下方に別体のクランクベアリング５がボルトでそれぞれ
連結されることにより、クランク軸４を支承するジャー
ナル軸受部がそれぞれ形成されることとなる。

【００１２】そのようなシリンダブロック１において、
本実施形態では、ジャーナル軸受上部１３が一体的に形
成されたシリンダブロック１の前端面１ａの左右両側
に、それぞれ側壁部分１４が一体的に前方に突出して形
成されていると共に、該シリンダブロック１から一体的
に突出された左右の側壁部分１４同士が、それぞれの側
壁部分１４の下端部前側に位置する連結部分１５を介し
て、一体成型により互いに一体的に連結されている。

【００１３】なお、上記のようにシリンダブロック１の
前端面１ａから一体的に突出して形成されている左右の
側壁部分１４は、図５および図６に示すような従来のシ
リンダブロック１Ａに対し、図７に示すように、その前
端面１ａに対して取り付けられるオイルポンプハウジン
グやチェーンカバーやフロントカバーの何れかによるカ
バー部材３において、該カバー部材３の左右の側壁とな
る部分に相当するものであって、該左右の側壁部分１４
と連結部分１５のそれぞれの前側端面に対して、更に、
図３に示すように、シリンダブロック１の前端面１ａの
前方を覆うようにカバー蓋１６が取り付けられることと
なる。

【００１４】上記のようにシリンダブロック１の前端面
１ａから一体的に形成された左右の側壁部分１４の下端
部が連結部分１５によって互いに一体的に連結されてい
る本実施形態のシリンダブロック１の構造によれば、シ
リンダブロック１がディープスカートタイプであって、
その前端面１ａの下部で左右のスカート部１２自体が開
放形状となっていても、該シリンダブロック１の前端面
１ａから一体的に突出した左右の側壁部分１４と、その
下端部の連結部分１５を介して、左右のスカート部１２
の下端同士が強固に連結されているため、当該部分の構
造がシリンダブロック１全体の剛性を低下させるものと
はならず、シリンダブロック１単体での剛性を向上させ
ることができると共に、その固有振動数を上げることが
できて、エンジンの運転時に体に感じる低周波の振動・
騒音を低減することができる。

【００１５】また、上記のような構造によりシリンダブ
ロック１自体の剛性を向上させることにより、該シリン
ダブロック１を基本構造体とするエンジン本体に対して
トランスミッション系を一体的に組み立てたエンジンに
ついて、該エンジン全体での曲げ剛性の改善を図ること
ができる。

【００１６】さらに、上記のようにシリンダブロック１
の前端面１ａから左右の側壁部分１４と連結部分１５が
一体的に形成されている本実施形態のシリンダブロック
１の構造によれば、図３に示すように、シリンダブロッ
ク１の前側の下端付近では、左右の側壁部分１４と連結
部分１５を含むシリンダブロック１とオイルパン２とが
二面合わせの状態で接合されることとなるため、当該部
分の密閉性が向上してオイル漏れ等が発生し難いものと
なり、エンジンのオイル密封の信頼性が向上すると共
に、当該部分にＦＩＰＧ（液状ガスケット）などを施す
ことが不必要となって、コストダウンを図ることができ
る。

【００１７】以上、本発明のシリンダブロックのオイル
戻し通路構造の一実施形態について説明したが、本発明
は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではな
く、例えば、図４に示すように、シリンダブロック１の
前端面１ａから一体的に突出させた左右の側壁部分１４
を、その下端部で連結部分１５によって一体的に連結す
るだけでなく、さらに、その上端部でも連結部分１７を
介して一体的に連結することにより実施することも可能
であり、そのようなものでは、シリンダブロック１自体
の剛性をよりいっそう向上させることができ、その固有
振動数もより効果的に上げることができる。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したような本発明のシリンダブ
ロックの構造によれば、シリンダブロック自体の剛性を
向上させることができて、該シリンダブロックを基本構
造体とするエンジン全体での曲げ剛性の改善を図ること
ができ、また、シリンダブロック自体の固有振動数を上
げることができて、エンジン運転時に体感する低周波の
振動・騒音を効果的に低減することができる一方、シリ
ンダブロックの前端部付近における各部材の接合部分の
オイル密封性を向上させて、エンジンのオイル密封の信
頼性を向上させることができると共に、当該部分に塗布
していた液状ガスケットを不要なものとすることによっ
てコストダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシリンダブロックの構造の一実施形態
に係るシリンダブロックを概略的に示す斜視図。

【図２】図１に示したシリンダブロックの前面図。

【図３】図１に示したシリンダブロックに対して、その
下方にオイルパンを取り付けると共に、その前側にカバ
ー蓋を取り付けた状態を示す側面図。

【図４】本発明のシリンダブロックの構造の他の実施形
態に係るシリンダブロックを概略的に示す斜視図。

【図５】従来のシリンダブロックを概略的に示す斜視
図。

【図６】図５に示した従来のシリンダブロックの前面
図。

【図７】図５に示した従来のシリンダブロックに対し
て、その下方にオイルパンを取り付けると共に、その前
側にカバー部材を取り付けた状態を示す側面図。

【符号の説明】

１ シリンダブロック １ａ （シリンダブロックの）前端面（一端面） ２ オイルパン １１ シリンダボア １２ スカート部 １４ 側壁部分 １５ 連結部分 １７ 連結部分

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の気筒が横方向に配列されていて、
   その下方にオイルパンが配置され、その気筒配列方向の
   一端側にカバー部材が配置されるようなエンジンのシリ
   ンダブロックにおいて、該カバー部材の左右の側壁に相
   当する部分が、シリンダブロックの一端面から一体的に
   突出して形成されていると共に、該シリンダブロックに
   一体的に形成された左右の側壁部分が、その下端部で連
   結部分を介して一体的に連結されていることを特徴とす
   るシリンダブロックの構造。
2. 【請求項２】 シリンダブロックに一体的に形成された
   左右の側壁部分が、その上端部でも連結部分を介して一
   体的に連結されていることを特徴とする請求項１に記載
   のシリンダブロックの構造。