JPH1082095A - Rc造躯体の耐震補強構造 - Google Patents

Rc造躯体の耐震補強構造

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Publication number
JPH1082095A
JPH1082095A JP23553496A JP23553496A JPH1082095A JP H1082095 A JPH1082095 A JP H1082095A JP 23553496 A JP23553496 A JP 23553496A JP 23553496 A JP23553496 A JP 23553496A JP H1082095 A JPH1082095 A JP H1082095A
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JP
Japan
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frame
shear
shear resistance
steel plate
steel
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Application number
JP23553496A
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English (en)
Inventor
Masami Hanai
正実 花井
Kazuo Kondo
一夫 近藤
Hiroaki Tamai
宏章 玉井
Kiyoshi Eguchi
清 江口
Yasutake Fujinami
健剛 藤波
Tatsuji Yamazaki
達司 山崎
Shinichi Iwaoka
信一 岩岡
Satoshi Tsuda
聡史 津田
Hiroaki Tatsugami
弘明 龍神
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Maeda Corp
Original Assignee
Maeda Corp
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Publication date
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  • Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
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  • Vibration Dampers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 RC架構の内側に矩形状の枠体を取付け、こ
の枠体の内側にブレースとせん断抵抗材を設けているR
C造躯体の耐震補強構造において、良好な弾塑性挙動を
確保する。 【解決手段】 RC造躯体の耐震補強構造1は、RC造
躯体の柱と梁とで形成されている架構2の内側に鉄骨枠
部材3を設けている。ブレース4、4の軸心線4a、4
aは交叉点4bで交叉し、この交叉点4bは枠部材3の
梁3bの軸心線上に位置している。ブレース4、4の各
一端部側はつなぎ材5に固定されている。このつなぎ材
5と枠部材3の梁3bとはせん断抵抗部6により垂直方
向に連結されている。せん断抵抗部6の両側部ではリン
クプレート7、7がつなぎ材5と枠部材3の梁3bとを
垂直方向に連結している。せん断抵抗部6は、通常鋼
(SS400)からなるせん断パネル(せん断抵抗材)
を備えている。このせん断パネルの両面側にはスチフナ
を取り付けて座屈補剛している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄筋コンクリー
ト(RC)造躯体の耐震補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】RC構造において、耐震性能を向上させ
る技術としては、従来、RC造躯体の柱や梁の断面積を
大きくしたり、揺れを吸収する耐震壁を設けるなどが行
われていた。
【0003】しかしながら、RC造躯体の柱や梁の断面
積を大きくすれば居住空間が狭くなり、重量も増大する
という問題があり、また、耐震壁は靱性能が小さいので
強度向上のために重量が増大するという問題がある。
【0004】そこで、近年は、RC造躯体の柱と梁とか
らなる架構の内側に矩形状の鉄骨枠部材を取付け、この
鉄骨枠部材の内側にY形の靱性抵抗型のブレースとせん
断パネル(せん断抵抗材)を設ける技術が提案されてい
る(例えば、特開平125042号公報、特開平2−1
28035号公報、特開平2−144435号公報、特
開平2−186024号公報など参照)。
【0005】図4は、このような従来のRC造躯体の耐
震補強構造を示すものであり、RC造躯体の柱と梁で構
成されている架構11の内側には、矩形状の鉄骨枠部材
12が取り付けられている。この枠部材12の内側に
は、ブレース13、13をY型に配置している。すなわ
ち、この両ブレース13、13の一端側は枠材12の下
側部分に固定され、他端側は何れもせん断パネル(せん
断抵抗材)14の一端側に固定されている。このせん断
抵抗材14は枠部材12の梁12aに固定されている。
【0006】すなわち、鉄骨枠部材12で応力の分散を
おこなうことにより、RC造躯体11及び鉄骨枠部材1
2とRC造躯体11との接合部分の損傷低減を図ると共
に、ブレース13、13の強度と剛性を十分に高めてお
くことにより、過大な地震揺れを受けたときは、せん断
抵抗材14に損傷が集中するようにしたものである。
【0007】せん断抵抗材14には鉄骨枠部材12やブ
レース13、13に先だって座屈する程度の適度な強度
と大きな靱性能を確保していて、これによりせん断抵抗
材14は地震のときに大きなエネルギ吸収を行い、建物
の応答変形を小さくして建物の被害を低減させるダンパ
としての機能を発揮する。
【0008】また、せん断抵抗材14には極低降伏点鋼
も用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術では以下のような問題があった。
【0010】すなわち、極低降伏点鋼とは、降伏応力度
が5〜20kg/mm2程度、伸びが30%程度以上の鋼材
として従来より知られているが、高価な材料であり、よ
り安価な材料で同様の高価を奏する技術が求められてい
た。
【0011】極低降伏点鋼を、せん断抵抗材として用い
るのは、低応力度で降伏し、弾塑性性状を示しやすいか
らである。
【0012】そこで、通常鋼で同様の弾塑性性状を示す
ようにするには、比較的板厚の薄いせん断抵抗材を形成
すればよい。
【0013】しかしながら、このようなせん断抵抗材
は、板厚の薄さから、板面外に座屈しやすいという問題
がある。
【0014】そこで、この発明の目的は、RC架構の内
側に矩形状の枠体を取付け、この枠体の内側にブレース
とせん断抵抗材を設けているRC造躯体の耐震補強構造
において、通常鋼を用いてせん断抵抗材を形成しても、
せん断抵抗材の板面外に座屈することなく、かつ、良好
な断塑性性状を示すようにすることにある。
【0015】そこで、この発明の別の目的は、ブレース
を用いた前記RC造躯体の耐震補強構造において、さら
に、せん断抵抗材の抵抗性能を従来より向上させて、せ
ん断抵抗材の弾塑性挙動を良好とすることにある。
【0016】また、この発明の別の目的は、ブレースを
用いた前記RC造躯体の耐震補強構造において、さら
に、曲げがせん断抵抗材に加わることを防止して、せん
断抵抗材のさらに安定した弾塑性挙動を確保することに
ある。
【0017】さらに、この発明の別の目的は、ブレース
を用いた前記RC造躯体の耐震補強構造において、さら
に、せん弾抵抗材にせん断力のみ作用させることを可能
とし、せん断抵抗性能を従来より向上させることにあ
る。
【0018】また、前記のとおり、揺れを吸収する耐震
壁を設ける従来の技術では、強度向上のために重量が増
大するという問題がある。
【0019】また、RC架構の内側に矩形状の枠体を取
付け、この枠体の内側にブレースとせん断抵抗材を設け
ている前記従来のRC造躯体の耐震補強構造では、架構
の中央部側に通路用の開口部を設けようとすると、架構
内に配置されているブレースが障害となり、このブレー
スを避けて形成する必要上、通路用開口部は高さを制限
されてしまうという問題がある。
【0020】そこで、この発明の別の目的は、架構の内
側に耐震壁を設けたRC造躯体の耐震補強構造におい
て、強度向上のための重量の増大を防止できるように
し、しかも、架構の中央部側に十分な高さの通路用開口
部を設けることを可能とすることにある。
【0021】また、この発明の別の目的は、耐震壁を用
いた前記RC造躯体の耐震補強構造において、さらに、
せん断抵抗材の抵抗性能を従来より向上させて、せん断
抵抗材の弾塑性挙動を良好とすることにある。
【0022】さらに、この発明の別の目的は、耐震壁を
用いた前記RC造躯体の耐震補強構造において、さら
に、通常鋼を用いてせん断抵抗材を形成しても、せん断
抵抗材の板面外に座屈することなく、かつ、良好な断塑
性性状を示すようにすることにある。
【0023】そのうえ、この発明の別の目的は、耐震壁
を用いた前記RC造躯体の耐震補強構造において、さら
に、せん弾抵抗材に極低降伏点鋼を用いて、良好な弾塑
性挙動を確保することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段を、後述する発明の実施の形態における対応す
る部材や符号もカッコ書きで付記して説明する。
【0025】(1) 請求項1に記載の発明は、RC造躯
体の柱及び梁で形成されている架構(2)と、この架構
の内側に取り付けられている矩形状の枠体(鉄骨枠部材
3)と、この枠体の内側に配置され各一端側が前記枠体
に固定されている一対のブレース(4、4)と、この一
対のブレースの各他端側が固定されている所定のつなぎ
材(5)とを備え、前記枠体の梁(3a)と前記つなぎ
材とはせん断抵抗材(61)により垂直方向に連結され
ていて、このせん断抵抗材は、(スチフナ64、64
で)座屈捕剛された鋼板であり、その弾塑性により前記
架構の揺れを吸収するものである、RC造躯体の耐震補
強構造(1)である。
【0026】請求項1に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、所定の地震揺れを受けると、ブレースが座
屈する前にせん断抵抗材の弾塑性挙動で揺れを吸収す
る。
【0027】また、せん断抵抗材に普通鋼板を用いる
と、極低降伏点鋼を用いた場合に比べ、せん断抵抗材の
幅厚比が大きくなる傾向があり、そのため、大きな繰り
返しせん断変形に対してせん断座屈が生じ、履歴特性や
エネルギー吸収性能が劣化するという問題がある。
【0028】しかし、請求項1に記載のRC造躯体の耐
震補強構造によれば、せん断抵抗材である鋼板に座屈補
剛されているため、大きな繰り返しせん断変形によるせ
ん断座屈を防止し、せん断抵抗材に普通鋼板を用いても
安定した弾塑性挙動を示し、しかも、通常鋼を用いるこ
とにより、極低降伏点鋼を用いた場合に比べて架構の製
造コストを低減することができる。
【0029】(2) 請求項2に記載の発明は、前記せん
断抵抗材の両側には前記枠体の梁と前記つなぎ材とを連
結する案内部材(リンクプレート7、7)が設けられ、
この案内部材は前記架構が揺れを受けたときに前記つな
ぎ材を水平方向に挙動するよう案内する、請求項1に記
載のRC造躯体の耐震補強構造である。
【0030】請求項2に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、架構が揺れを受けたときに案内部材がつな
ぎ材を水平方向に挙動するよう案内するから、局部的な
曲げがせん断抵抗材に加わることを防止でき、もって、
せん断抵抗材は安定した弾塑性挙動を示す。
【0031】(3) 請求項3に記載の発明は、前記両ブ
レースの軸芯線(4a、4aが交叉する位置(交叉点4
b)は前記枠体の梁の軸芯線(3b)上にある、請求項
1又は請求項2に記載のRC造躯体の耐震補強構造であ
る。
【0032】請求項3に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、所定の地震揺れを受けると、ブレースが座
屈する前にせん断抵抗材の弾塑性挙動で揺れを吸収す
る。
【0033】また、一対のブレースの軸芯線が交叉する
位置は梁の軸芯線上にあるから、ブレースと枠体の梁と
の間に介在させるせん断抵抗材に曲げが生じず、せん断
力のみ作用することが可能であるため、せん断抵抗性能
を従来より向上させることができる。
【0034】(4) 請求項4に記載の発明は、RC造躯
体の柱及び梁で形成されている架構(2)と、この架構
の内側に取り付けられている矩形状の枠体(鉄骨枠部材
3)と、この枠体の内側に建築物の壁となる鋼板壁
(8)を設け、この鋼板壁の上端側にはつなぎ材(9)
が固定され、このつなぎ材と前記枠体の梁(3b)とは
せん断抵抗材(61)により垂直方向に連結されてい
て、このせん断抵抗材は、その弾塑性により前記架構の
揺れを吸収するものである、RC造躯体の耐震補強構造
(1´)である。
【0035】請求項4に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、鋼板壁が座屈する前に、せん断抵抗材が、
その弾塑性により前記架構の揺れを吸収して架構を弾性
のまま保つ設計が可能となるから、前記従来の耐震壁の
ように強度向上のための重量増大を生じない。
【0036】また、ブレースを用いた前記従来のRC造
躯体の耐震補強構造と異なり、鋼板壁に通路用開口部を
形成するようにすれば、この開口部を十分な高さに形成
することができる。
【0037】(5) 請求項5に記載の発明は、前記鋼板
壁の板中央部には出入口形成のための開口部(8a)が
設けられている、請求項4に記載のRC造躯体の耐震補
強構造である。
【0038】請求項5に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、請求項4に記載の発明と同様の作用、効果
を奏する。
【0039】(6) 請求項6に記載の発明は、前記せん
断抵抗材の両側には前記枠体の梁と前記つなぎ材とを連
結する案内部材(リンクプレート7、7)が設けられ、
この案内部材は前記架構が揺れを受けたときに前記つな
ぎ材を水平方向に挙動するよう案内する、請求項4又は
請求項5に記載のRC造躯体の耐震補強構造である。
【0040】請求項6に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、架構が揺れを受けたときに案内部材がつな
ぎ材を水平方向に挙動するよう案内するから、局部的な
曲げがせん断抵抗材に加わることを防止でき、もって、
せん断抵抗材は安定した弾塑性挙動を示す。
【0041】(7) 請求項7に記載の発明は、前記せん
断抵抗材は、(スチフナ64、64で)座屈捕剛された
鋼板である、請求項4〜請求項6の何れかに記載のRC
造躯体の耐震補強構造である。
【0042】せん断抵抗材に普通鋼板を用いると、前記
のとおり、大きな繰り返しせん断変形に対してせん断座
屈が生じ、履歴特性やエネルギー吸収性能が劣化すると
いう問題がある。
【0043】しかし、請求項7に記載のRC造躯体の耐
震補強構造によれば、せん断抵抗材である鋼板に座屈補
剛されているため、大きな繰り返しせん断変形によるせ
ん断座屈を防止し、せん断抵抗材に普通鋼板を用いても
安定した弾塑性挙動を示し、しかも、通常鋼を用いるこ
とにより、極低降伏点鋼を用いた場合に比べて架構の製
造コストを低減することができる。
【0044】(8) 請求項8に記載の発明は、前記せん
断抵抗材は、極低降伏点鋼により形成されている、請求
項4〜請求項6の何れかに記載のRC造躯体の耐震補強
構造である。
【0045】請求項8に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、せん断抵抗材として極低降伏点鋼(「極低
降伏点鋼」とは、降伏応力度が5〜20kg/mm2程度、
伸びが30%程度以上の鋼材として従来より知られてい
る)を用いているので、せん断抵抗材として通常鋼板を
従来どおり用いた場合に比べ、安定した弾塑性挙動を示
す。
【0046】
【発明の実施の形態】
〔発明の実施の形態1〕まず、構成について説明する。
【0047】図1に示すように、この発明の実施の形態
1であるRC造躯体の耐震補強構造1は、RC造躯体の
柱と梁とで形成されている架構2の内側に矩形形状の鉄
骨枠部材3を設けている。この鉄骨枠部材3の柱3a、
3aの下端側と梁3bとの結合部分には、ブレース4、
4の一端側が固定されている。
【0048】ブレース4、4は、何れも斜め上方に延び
ていて、ブレース4、4の軸心線4a、4aは交叉点4
bで交叉し、この交叉点4bは枠部材3の梁3bの軸心
線上の中央部に位置している。
【0049】ブレース4、4の他端部側は水平方向を長
さ方向とするつなぎ材5に固定されている。このつなぎ
材5の長さ方向中央部と枠部材3の梁3bとはせん断抵
抗部6により垂直方向に連結されている。また、このせ
ん断抵抗部6の両側部にはリンクプレート7、7が配置
され、このリンクプレート7、7もつなぎ材5と枠部材
3の梁3bとを垂直方向に連結している。
【0050】前記せん断抵抗部6は、図2に示すよう
に、通常鋼(例えばSS400)からなる矩形板状のせ
ん断パネル(せん断抵抗材)61を備えている。せん断
パネル61の左右上下辺には矩形のフランジ鋼板62、
62、63、63を取り付けている。また、矩形状のス
チフナ64、64を、せん断パネル61の両面側に取り
付けて座屈補剛している。すなわち、せん断パネル61
の各面側において、スチフナ64の長辺の一方をせん断
パネル61に取付け、スチフナ64の両短辺はフランジ
鋼板63、63に各々取り付けている。なお、梁2及び
つなぎ材5に対するせん断抵抗部6の固定は、上下のフ
ランジ鋼板62、62を、各々、梁2、つなぎ材5にボ
ルト留めすることにより行っている。
【0051】次に、作用について説明する。
【0052】このRC造躯体の耐震補強構造1は、所定
の地震揺れを受けると、ブレース4、4が座屈する前に
せん断抵抗材61が、その弾塑性挙動で揺れを吸収し、
RC造躯体2を弾性のまま保つような設計が可能とな
る。
【0053】また、一対のブレース4、4の軸芯線4
a、4aが交叉する交叉点4bは鉄骨枠部材3の軸芯線
3a上にあるから、ブレース4、4と枠体3の梁3bと
の間に介在させるせん断抵抗材61に曲げが生じず、せ
ん断力のみ作用することが可能であるため、せん断抵抗
性能を従来より向上させることができる。
【0054】さらに、架構2が揺れを受けたときにリン
クプレート7、7がつなぎ材5を水平方向に挙動するよ
う案内するから、局部的な曲げがせん断抵抗材61に加
わることを防止でき、もって、せん断抵抗材61は安定
した弾塑性挙動を示す。
【0055】前記のとおり、せん断抵抗材61に普通鋼
板を用いると、極低降伏点鋼(詳細は後述)を用いた場
合に比べ、せん断抵抗材61の幅厚比が大きくなる傾向
があり、そのため、大きな繰り返しせん断変形に対して
せん断座屈が生じ、履歴特性やエネルギー吸収性能が劣
化するという問題がある。
【0056】しかし、この耐震補強構造1によれば、せ
ん断抵抗材61は前記のとおりスチフナ64、64で座
屈補剛されているため、大きな繰り返しせん断変形によ
るせん断座屈を防止し、せん断抵抗材61に普通鋼板を
用いても安定した弾塑性挙動を示し、しかも、通常鋼を
用いることにより、極低降伏点鋼を用いた場合に比べて
低コストの耐震補強構造を提供することができる。
【0057】〔発明の実施の形態2〕まず、構成につい
て説明する。
【0058】図3に示すように、この発明の実施の形態
2であるRC造躯体の耐震補強構造1´は、RC造躯体
の柱と梁とで形成されている架構2の内側に矩形形状の
鉄骨枠部材3を設けている。この鉄骨枠部材3の柱3
a、3a、梁3b、3bで囲まれた内側には、鋼板壁8
が配置されている。この鋼板壁8の中央部分には、人が
出入りするための開口部8aが形成されている。
【0059】鋼板壁8の上端縁部分には、つなぎ材9が
固定されている。そして、このつなぎ材9と鉄骨枠部材
3の梁3bとは、せん断抵抗部6により垂直方向に連結
されている。また、このせん断抵抗部6の両側部にはリ
ンクプレート7、7が配置され、このリンクプレート
7、7もつなぎ材5と枠部材3の梁3bとを垂直方向に
連結している。
【0060】前記せん断抵抗部6は、図2に示す、前記
発明の実施の形態1のせん断抵抗部6と同様の構成であ
るため、詳細な説明は省略する。
【0061】次に、作用について説明する。
【0062】このRC造躯体の耐震補強構造1´は、所
定の地震揺れを受けると、鋼板壁8が座屈する前にせん
断抵抗材61が、その弾塑性挙動で揺れを吸収し、RC
造躯体2を弾性のまま保つような設計が可能となるか
ら、前記従来の耐震壁のように強度向上のための重量増
大を生じない。
【0063】また、ブレースを用いた前記従来のRC造
躯体の耐震補強構造と異なり、鋼板壁8に通路用開口部
8aを形成するようにすれば、この開口部8aを十分な
高さに形成することができる。
【0064】さらに、架構2が揺れを受けたときにリン
クプレート7、7がつなぎ材5を水平方向に挙動するよ
う案内するから、局部的な曲げがせん断抵抗材61に加
わることを防止でき、もって、せん断抵抗材61は安定
した弾塑性挙動を示す。
【0065】前記のとおり、せん断抵抗材61に普通鋼
板を用いると、大きな繰り返しせん断変形に対してせん
断座屈が生じ、履歴特性やエネルギー吸収性能が劣化す
るという問題がある。
【0066】しかし、この耐震補強構造1´によれば、
せん断抵抗材61は前記のとおりスチフナ64、64で
座屈補剛されているため、大きな繰り返しせん断変形に
よるせん断座屈を防止し、せん断抵抗材61に普通鋼板
を用いても安定した弾塑性挙動を示し、しかも、通常鋼
を用いることにより、極低降伏点鋼を用いた場合に比べ
て低コストの耐震補強構造を提供することができる。
【0067】なお、前記発明の実施の形態1、2の何れ
においても、前記せん断抵抗材61として、前記の通常
鋼板に代えて極低降伏点鋼を用いてもよい。この場合
は、前記のスチフナ64、64による座屈補剛を行わな
くても、せん断抵抗材61は安定した弾塑性挙動を示
す。しかし、極低降伏点鋼は高価な材料であり、前記の
ように通常鋼を用いた方が耐震補強構造を低コストで製
造することができる。
【0068】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、せん断
抵抗材に普通鋼板を用いても安定した弾塑性挙動を確保
でき、しかも、通常鋼を用いることにより、極低降伏点
鋼を用いた場合に比べて架構の製造コストを低減するこ
とができる。
【0069】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明と同様の効果を奏するほか、局部的な曲げ
がせん断抵抗材に加わることを防止してせん断抵抗材弾
塑性挙動を安定することができる。
【0070】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明又は請求項2に記載の発明と同様の効果を
奏するほか、ブレースと枠体の梁との間に介在させるせ
ん断抵抗材に曲げが生じず、せん断力のみ作用すること
が可能であるため、せん断抵抗性能を従来より向上させ
ることができる。
【0071】請求項4又は請求項5に記載の発明によれ
ば、従来の耐震壁のように強度向上のための重量増大を
鋼板壁に生じることなく耐震補強が行え、しかも、鋼板
壁に十分な高さの通路用開口部を形成することができ
る。
【0072】請求項6に記載の発明によれば、局部的な
曲げがせん断抵抗材に加わることを防止して、せん断抵
抗材の弾塑性挙動を安定化することができる。
【0073】請求項7に記載の発明によれば、せん断抵
抗材に普通鋼板を用いても安定した弾塑性挙動を確保
し、しかも、通常鋼を用いることにより、極低降伏点鋼
を用いた場合に比べて架構の製造コストを低減すること
ができる。
【0074】請求項8に記載のRC造躯体の耐震補強構
造によれば、せん断抵抗材として極低降伏点鋼を用い
て、せん断抵抗材として通常鋼板を従来どおり用いた場
合に比べ、安定した弾塑性挙動を確保することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1であるRC造躯体の耐
震補強構造を示す図。
【図2】この発明の実施の形態1、2であるRC造躯体
の耐震補強構造に用いられている補剛構造を示す図であ
り、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面
図。
【図3】この発明の実施の形態2であるRC造躯体の耐
震補強構造を示す図。
【図4】従来のY型ブレースを適用したRC造躯体の耐
震補強構造を示す図。
【符号の説明】
1 RC造躯体の耐震補強構造 2 RC造躯体 3 鉄骨枠部材 3a 梁 3b 軸心線 4 ブレース 4a 軸心線 4b 軸心線の交叉点 5 つなぎ材 6 せん断抵抗部 61 せん断パネル(せん断抵抗材) 62 フランジ鋼板 63 フランジ鋼板 64 スチフナ(補剛材) 7 リンクプレート 1´ RC造躯体の耐震補強構造 8 鋼板壁 8a 開口部 9 つなぎ材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E04B 2/56 611 E04B 2/56 611B 632 632B 632C 632J 643 643A 651 651D 651S 652 652J 652T E04H 9/02 311 E04H 9/02 311 321 321E F16F 7/12 F16F 7/12 15/02 8919−3J 15/02 K (71)出願人 596130886 玉井 宏章 広島県東広島市鏡山2−360 広大ががら 第2宿舎3−502 (72)発明者 花井 正実 広島県東広島市西条西本町1321−1 サン スクエア東広島506 (72)発明者 近藤 一夫 広島県東広島市西条町大字下三永向原354 −66 (72)発明者 玉井 宏章 広島県東広島市鏡山2−360 広大ががら 第2宿舎3−502 (72)発明者 江口 清 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 藤波 健剛 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 山崎 達司 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 岩岡 信一 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 津田 聡史 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 龍神 弘明 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】RC造躯体の柱及び梁で形成されている架
    構と、 この架構の内側に取り付けられている矩形状の枠体と、 この枠体の内側に配置され各一端側が前記枠体に固定さ
    れている一対のブレースと、 この一対のブレースの各他端側が固定されている所定の
    つなぎ材とを備え、 前記枠体の梁と前記つなぎ材とはせん断抵抗材により垂
    直方向に連結されていて、 このせん断抵抗材は、 座屈捕剛された鋼板であり、その弾塑性により前記架構
    の揺れを吸収するものである、RC造躯体の耐震補強構
    造。
  2. 【請求項2】前記せん断抵抗材の両側には前記枠体の梁
    と前記つなぎ材とを連結する案内部材が設けられ、 この案内部材は前記架構が揺れを受けたときに前記つな
    ぎ材を水平方向に挙動するよう案内する、請求項1に記
    載のRC造躯体の耐震補強構造。
  3. 【請求項3】前記両ブレースの軸心線が交叉する位置は
    前記枠体の梁の軸芯線上にある、請求項1又は請求項2
    に記載のRC造躯体の耐震補強構造。
  4. 【請求項4】RC造躯体の柱及び梁で形成されている架
    構と、 この架構の内側に取り付けられている矩形状の枠体と、 この枠体の内側に建築物の壁となる鋼板壁を設け、 この鋼板壁の上端側にはつなぎ材が固定され、 このつなぎ材と前記枠体の梁とはせん断抵抗材により垂
    直方向に連結されていて、 このせん断抵抗材は、その弾塑性により前記架構の揺れ
    を吸収するものである、RC造躯体の耐震補強構造。
  5. 【請求項5】前記鋼板壁の板中央部には出入口形成のた
    めの開口部が設けられている、請求項4に記載のRC造
    躯体の耐震補強構造。
  6. 【請求項6】前記せん断抵抗材の両側には前記枠体の梁
    と前記つなぎ材とを連結する案内部材が設けられ、 この案内部材は前記架構が揺れを受けたときに前記つな
    ぎ材を水平方向に挙動するよう案内する、請求項4又は
    請求項5に記載のRC造躯体の耐震補強構造。
  7. 【請求項7】前記せん断抵抗材は、 座屈捕剛された鋼板である、請求項4〜請求項6の何れ
    かに記載のRC造躯体の耐震補強構造。
  8. 【請求項8】前記せん断抵抗材は、 極低降伏点鋼により形成されている、請求項4〜請求項
    6の何れかに記載のRC造躯体の耐震補強構造。
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