JPH1081586A - 気相合成ダイヤモンドおよびその製造方法 - Google Patents

気相合成ダイヤモンドおよびその製造方法

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JPH1081586A
JPH1081586A JP25387396A JP25387396A JPH1081586A JP H1081586 A JPH1081586 A JP H1081586A JP 25387396 A JP25387396 A JP 25387396A JP 25387396 A JP25387396 A JP 25387396A JP H1081586 A JPH1081586 A JP H1081586A
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thermal conductivity
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貴浩 今井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒートシンクなどに適する高い熱伝導率を有
するダイヤモンド膜とその低コストの製造方法を提供す
る事。 【構成】基板の上にダイヤモンドを初め低速度で気相合
成して粒径の大きい結晶を核発生させ、次いで高速度で
気相合成して厚み方向に柱状結晶の粒径を増大させ、基
板を除去することによってダイヤモンドの自立膜を作
る。基板側を研削して基板側の結晶粒の小さい部分を除
くとさらに良い。結果として結晶粒の大きい柱状結晶の
集合としてのダイヤモンドが得られる。柱状の結晶であ
って粒径が大きく、厚み方向には粒界が少ないので厚み
方向の熱伝導率κtが13W/cmK以上になる。2段
階目での成長速度は大きいので成長速度はかなり大きく
合成のコストも下げられる。従来のように熱伝導率を上
げるには成長速度を下げるという方法によらないので、
膜厚方向に高熱伝導率を持つダイヤモンドを低コストで
作製することができる。ラマン散乱の1332cm-1
ークの半値幅が4cm-1以上であっても熱伝導率は13
W/cmK以上の高いものが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱伝導率に特に優れ
た気相合成ダイヤモンドおよびその製造方法に関する。
特にヒートシンクなどに適する膜厚方向に高い熱伝導率
を有するダイヤモンド膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは高硬度、高熱伝導率など
優れた特性を有する卓越した材料である。ダイヤモンド
の気相合成法は、このように優れた性質を有するダイヤ
モンドを大面積のウエハ−として比較的安価に製造する
ことを可能にした。ダイヤモンドは多くの美点を有する
から多様な応用の途が開けている。ダイヤモンドの優れ
た性質の内、何を利用するかによってその用途も異なっ
てくる。ここでは熱伝導率が高いという性質を利用す
る。
【0003】ダイヤモンドの工業製品への応用として最
も有望なものに半導体素子のヒートシンクがある。特に
発熱著しい半導体レ−ザ(LD)の冷却のためダイヤモ
ンドのヒートシンクは最良のものである。ダイヤモンド
は特に熱伝導率が高いから放熱性に優れている。素子で
発生する熱を低温側(ヒートシンクの他面)へ迅速に導
き他の材料に伝えあるいは空気中に放射する。
【0004】ところがここに問題がある。同じようにダ
イヤモンドといっても製造法によってその熱伝導率が甚
だしく異なる。試料によって、2倍あるいは3倍の違い
があることもある。この点で温度が同じであれば熱伝導
率がほぼ同じになる金属などとは違う。
【0005】どうして熱伝導率の値がそのようにばらつ
くのか?大面積のダイヤモンドは現在のところ気相合成
法によって作製される。気相合成法といってもさまざま
の方法がある。おなじ方法であっても基板温度、基板の
表面状態、ガスの圧力、ガスの流量などの条件によって
も製品のダイヤモンドの膜質は大きく異なる。硬度、靱
性、耐摩耗性、絶縁性などが違う。レ−ザなどの冷却素
子として利用しようとする場合は特に熱伝導率が問題に
なる。熱伝導率が低いダイヤモンドではあまり有用でな
い。熱伝導率の値は特に重要な因子になる。ダイヤモン
ドの熱伝導率を厳密に評価しなければならない。
【0006】ところがダイヤモンドのような熱伝導率の
高い物質の熱伝導率評価は非常に困難である。熱伝導率
が高いことや形状的制約のため直接測定が困難である。
そこでもっと測定し易い他の性質と関連づけて熱伝導率
を評価したいものである。
【0007】ダイヤモンドの熱伝導率は、ダイヤモンド
の結晶性によって影響されると考えられている。ダイヤ
モンドの結晶性は一般にラマン散乱分光法によって評価
される。ラマン散乱分光法において、ダイヤモンド結晶
は1332cm-1にピークを有する。ダイヤモンドの結
晶性が優れているほどこのピークは鋭く半値幅(FWH
M)が狭くなる。ピークの高さと半値幅の狭さによって
ダイヤモンド結晶性を評価できる。熱伝導率を下げる要
因について明確な知見が得られていないが、結晶性と熱
伝導率には相関があると考えられている。そこでラマン
散乱の半値幅と熱伝導率の間には強い関係があるとし、
ラマン散乱半値幅によって熱伝導率の大体の評価が可能
であるとする意見も出されている。
【0008】 Physical Review vol.50 No.6,pp3702
-3713 これは合成速度を極力抑えることによって時間を掛けて
ダイヤモンド結晶を作製している。そして、ラマン散乱
の1332cm-1ピークの半値幅が1.5cm-1〜1.
9cm-1という高品質のダイヤモンドを作製できたとい
う。その熱伝導率が20W/cmKであったと述べてい
る。すばらしく高い熱伝導率のダイヤモンドである。こ
の結果からも結晶性に優れると熱伝導率も高くなるらし
い。さらにこの文献は、熱伝導率の異方性についても指
摘している。面方向の熱伝導率と厚み方向の熱伝導率と
は値が違う、というのである。
【0009】単結晶であるのならともかく多結晶のダイ
ヤモンドであるのに熱伝導率の異方性があるのは奇妙で
ある。これは結晶方位による異方性ではなく基板との関
係による異方性である。
【0010】その理由として文献は気相合成ダイヤモ
ンドは成長方向(厚み方向)に長く延びた柱状結晶とな
る、それで厚み方向と面方向(厚みと直交する)では熱
伝導率が相違するのであると説明している。つまり厚み
方向には粒界をあまり越えずに熱が伝わるので熱伝導率
が高くなり、面方向には多くの粒界を越えなくてはなら
ないので熱が伝わり難いというものである。これは結晶
そのものの異方性でなく結晶形状の異方性による熱伝導
率異方性である。通常の気相合成ダイヤモンドはそのよ
うな高い熱伝導率を示さないし等方性の熱伝導率を持
つ。しかし高い熱伝導率の場合異方性が現れるというこ
とである。それは新しい発見であった。
【0011】 特願平5−192118号 これは本発明者らのダイヤモンドの発明である。ラマン
散乱の半値幅が7cm-1〜15cm-1のダイヤモンドを
作製したところ、熱伝導率が10W/cmK以上であっ
たということを述べている。またラマン散乱の半値幅に
よって熱伝導率のおおよそを評価できるという考えをと
っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ラマン散乱の半値幅の
狭い高品質のダイヤモンドが高い熱伝導率を持つという
ことはほぼ事実のようである。しかし高品質ダイヤモン
ドを気相合成によって作るには合成速度を極端に遅くす
るしかない。原料ガス中の炭化水素の濃度を低くし励起
源のパワーも抑えつつ時間を掛けて薄いダイヤモンド膜
を合成すると品質の優れたダイヤモンドを気相合成でき
る。しかし低速合成は当然に製造のコストを押し上げ
る。ダイヤモンドはもともと高価であるが、そのような
方法によって作ったものはより一層高価になる。レ−ザ
など比較的安価な半導体素子のヒートシンクにはとても
使えない。高品質のダイヤモンドをより安価に作るとい
うことが強く望まれる。
【0013】もう一つの問題がある。本出願人はにお
いて熱伝導率が10W/cmKを越えるダイヤモンドの
製造方法を提案している。しかしその後ヒートシンクな
ど半導体基板に対する熱伝導率の要求はますます厳しく
なってきた。現在では13W/cmK以上の熱伝導率が
要求されている。
【0014】つまり、より高熱伝導率のダイヤモンドを
より安価に製造する事が希求されているのである。高熱
伝導率ダイヤモンドをより安価に製造する方法を提供す
る事が本発明の目的である。本発明者は、より高熱伝導
率のダイヤモンドをより安価に得るために鋭意検討実験
を重ねた。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の方法において
は、合成速度の指標として単位時間当たりの成長膜厚
(μm/hr)ではなく、単位時間単位投入電力量当た
りの合成重量(g/hrkW)を採用する。たとえ同一
の条件で合成しても、基板の大きさ、投入電力によって
成長膜厚は変動する。合成コストの指標としては役に立
たない。合成コストを評価するには、一定エネルギーに
よってどれだけの分量のダイヤモンドが合成できるのか
という値によらなければならない。エネルギーは時間と
パワー(電力)の積である。それで単位時間単位投入電
力でダイヤモンド重量を割った値g/hrkWがコスト
の指標になるのである。
【0016】本発明者は、様々の方法、多様な条件によ
ってダイヤモンドの合成実験を行い、合成したダイヤモ
ンドを様々の角度から評価した。そして適当な条件にお
いて、基板の上にダイヤモンドの多結晶が柱のように成
長するが、その柱状結晶は成長と共に次第に数が減り寸
法が大きくなってくるという事が分かった。そして結晶
の粒子が小さいほど熱伝導率が低いということも分かっ
てきた。つまり結晶粒子を大きくすると熱伝導率も大き
くできるのである。
【0017】本発明のダイヤモンド合成法は、次のよう
な手順よりなる。 (1)基板を用意する工程と、(2)気相合成法により
ダイヤモンドを基板の上に成長させる工程と、(3)ダ
イヤモンド成長面を研磨する工程と、(4)基板を除去
する工程と、(5)ダイヤモンドの基板側の一部を5μ
m以上研削する工程。
【0018】基板の上にダイヤモンドを気相合成法によ
って成長させ、成長面側Gのダイヤモンドをまず機械研
削あるいはレ−ザによって研削する。つぎに基板を除去
する。これは基板をエッチングなどによって化学的に除
くか、或いは基板を研削し機械的に除去するか何れであ
っても差し支えない。ダイヤモンドの自立膜になる。基
板面側Bが露呈する。これを機械的研削あるいはレ−ザ
による研削によって、底面の部分を少なくとも5μm除
去する。
【0019】成長面側Gは既に研削してあり最後に基板
面側Bも研削するから両面が平坦平滑なダイヤモンド板
になる。ここで基板面側Bというのは基板に付着してい
た方の面ということであり、基板を除去する事によって
初めて露出する面である。既に基板は取り除かれている
が基板が付いていた面ということで基板面側Bというこ
とにする。反対側の面が成長面側Gである。
【0020】特に(5)の基板側Bを研削する工程が本
発明の特徴を顕著に示している。その理由を述べる。基
板の上に柱状の多結晶が成長するが結晶の直径が基板か
ら遠ざかるに従って大きくなる。基板側は結晶粒が小さ
いが徐々にこれが大きくなるのである。そこで一旦ダイ
ヤモンドを成長させ基板から取り除いた後、基板に付着
していた側を研削し除去すると粒径の小さい部分のダイ
ヤモンドがなくなる。
【0021】粒径の大きいダイヤモンドばかりになる。
粒界が熱伝導率を下げているのであるから粒界を減らす
と熱伝導率を上げることができる。本発明は基板側を削
る事によって結晶粒の小さい部分を除去し熱伝導率を上
げるようにしている。前記の(5)の工程にはそのよう
な意味がある。図2は、本発明のダイヤモンド膜の柱状
結晶の断面図である。図1の従来例のダイヤモンド膜と
比較すると基板面側の粒径がかなり大きくなっているこ
とが分かる。
【0022】さらに(2)の気相合成のステップにおい
て、次の条件を課すと一層良い。 (a)窒素ガス濃度を全ガス中に於いて原子比で50p
pm以下に抑える。 (b)最初の10μm〜50μmの厚みまでは、単位時
間単位投入電力当たり4mg/hrkW以下で成長さ
せ、それ以後の成長速度を5mg/hrkW以上の速度
で成長させる。つまり成長速度をVとすると、前期速度
Viと後期速度Veがあって、Vi≦4mg/hrk
W、Ve≧5mg/hrkWとするのである。
【0023】(c)気相合成法はマイクロ波プラズマC
VD法が最適である。窒素ガスはダイヤモンドの性質を
劣化させるので原料ガス中に全く含まれないというのが
最も望ましい。しかし窒素ガスは市販の水素や炭化水素
ガスには必ず含まれる不純物である。(a)は不純物で
ある窒素を50ppm以下にして劣化を抑制する事とい
う意味である。(b)は成長速度を速くしてコストを下
げるため後半での速度を高めるということである。
【0024】基板側の面を研削する(5)の工程におい
て、特に、 (d)基板面側を20μm以上研削するとより熱伝導率
を増加させることができる。 (e)レ−ザ光線による平面研削がより望ましい。
【0025】本発明の方法によって製造されたダイヤモ
ンドは次の性質を持つ。 (イ)膜厚方向の熱伝導率κtが13W/cmK以上で
ある。 (ロ)基板側のダイヤモンド結晶の粒径σbが4μm以
上である。より好ましくは10μm以上である。 (ハ)ラマン散乱分光法におけるダイヤモンドのピーク
(1332cm-1)の半値幅が4cm-1以上であっても
良い。 (ニ)さらにκt≧17W/cmK、κl≧14W/c
mKであることが望ましい。κt>1.2κlという強
い異方性を持つと更に良い。
【0026】
【発明の実施の形態】気相合成法によって作ったダイヤ
モンドをヒートシンクを初めとする半導体基板製品に利
用しようとする時、熱伝導率が大きいということが重要
である。特に膜厚方向の熱伝導率の高い事が必須であ
る。本発明は既に述べたように、高熱伝導率のダイヤモ
ンドを低コストで製造する事を目的にしている。膜厚方
向と面平行方向の熱伝導率異方性がどうして発生するの
か?これに対する考察から膜厚方向の熱伝導率をさらに
増進するような改良の方途を見つけることができよう。
【0027】気相合成ダイヤモンドは、基板に直角な柱
状の結晶の集合である。それぞれの柱状結晶は徐々に太
く成長してゆく。もちろん結晶の数は成長方向に減少し
てゆく。つまり初め存在した柱状結晶は次第に姿を消
し、いくつかの柱状結晶が有力になってさらに肥大して
行く傾向にある。つまり基板近くでの結晶粒径は小さく
結晶の密度が高い。基板から離れるに従って結晶粒径は
大きくなり結晶の数は減ってくる。柱状であるという性
質は保存される。柱状であるから基板に直交する方向の
熱伝導率κtは、基板平行な方向の熱伝導率κlよりも
大きい。κt>κlである。
【0028】そこで本発明者は基板面側Bの結晶粒径に
着目した。B側の結晶粒径を制御する事によって、κt
を向上させることができるのではないか?さらにB側に
結晶粒径の問題を克服すればより高速により安価に高熱
伝導率ダイヤモンドを合成できるのではないかと考え
た。
【0029】多結晶の粒径が小さいことが熱伝導を抑制
しており、基板側Bで結晶粒が小さいという事が分かれ
ば、基板側Bでの結晶粒を大きくすれば良いはずであ
る。基板側の結晶粒径を制御する事によってκtの大き
いダイヤモンドを得る事ができるはずである。
【0030】基板側Bの結晶粒径σbが平均4μm以上
であれば、κt≧13W/cmKとする事ができる、と
いうことを本発明者は発見した。基板側平均粒径σbを
さらに大きくする事によってκt≧17W/cmKにす
ることすら可能である。好ましくは基板側Bでの粒径σ
bを10μm以上とする。粒径はSEM(走査型電子顕
微鏡)観察によって求める事ができる。
【0031】σb≧4μmならば、κt≧13W/cm
Kというふうに本発明の内容を単純に表現する事ができ
る。σb≧10μmなら更に良い。基板から成長し始め
るときは粒径が小さい。4μm以上という訳にいかな
い。柱状成長するから多結晶の粒径は次第に大きくな
る。そこで成長後に基板側を研削して除去し小さい粒径
の多結晶を除くのである。
【0032】さらに本発明はラマン散乱の半値幅と熱伝
導率の相関が従来考えられているものほどには強くない
ということをも明らかにする。従来法は、半値幅(FW
HM)が小さい程結晶性が優れ、それが高熱伝導率と等
価であるとしていた。結晶性に優れたダイヤモンドは低
速度で時間を掛けて合成する他に途はなかった。しかし
本発明者はそのような思想が全面的には正しくないと思
う。ヒートシンクとして使うためにはκtが大きければ
良い。つまり膜厚方向に結晶性が大きく長くあれば良
い。面方向にはたくさんの粒界があってもκtにはあま
り影響しない。
【0033】ラマン散乱の1332cm-1ピークの半値
幅が小さいということは膜厚方向にも面方向にも結晶性
が優れていることを意味する。しかし高熱伝導率は膜厚
方向だけでよいのである。するとラマン散乱の半値幅が
それほど小さくなくても(前記の1.5〜1.9cm
-1等と比べて)、厚み方向には高い熱伝導率を賦与でき
る。だから本発明では、ラマン散乱1332cm-1のピ
ーク半値幅が4cm-1より大きくても良いという事が分
かった。
【0034】これは熱伝導率の異方性によるものであ
る。κtもκlも大きくなくてはいけないということで
あればのように半値幅は2cm-1より小さくなければ
いけないであろう。しかし本発明は特にκtだけ大きけ
れば良いから、半値幅が4cm-1以上であることを許容
する。結晶性に対する制限が緩和されるから成長速度を
より高くできる。
【0035】4cm-1より大きくても良いと言ってもあ
まりに結晶性質が悪いとκtも小さくなってしまう。半
値幅FWHMの許される上限は10cm-1である。つま
り、4cm-1≦FWHM≦10cm-1である。本発明は
基板に関するダイヤモンドの熱伝導率の異方性を利用す
る。異方性を利用するから、当然にκt>κlである
が、より望ましくは、2割以上κtが大きくなるのがよ
い。κt>1.2κlである。
【0036】ダイヤモンドの膜厚tは、薄すぎると膜厚
方向の熱伝導率が高いことによる熱伝導率向上効果が小
さくなる。厚すぎるとコストが上がり好ましくない。2
50μm〜1000μmが好ましい。これは基板側を研
削して除去した後の厚みである。
【0037】本発明のダイヤモンド合成法は既に述べた
ように次のような手順よりなる。 (1)基板を用意する工程と、(2)気相合成法により
ダイヤモンドを基板の上に成長させる工程と、(3)ダ
イヤモンド成長面を研磨する工程と、(4)基板を除去
する工程と、(5)ダイヤモンドの基板側の一部を5μ
m以上研削する工程。以下にそれぞれの工程について詳
細に述べる。
【0038】[1.基板を用意する工程(図3)]基板
は気相合成法によってその上にダイヤモンドを成長させ
ることができるものであればどのようなものであっても
良い。例えば、シリコン、モリブデン、Ni、Pt、I
r等を基板とすることができる。単結晶でも多結晶でも
よい。
【0039】[2.気相合成によってダイヤモンドを成
長させる工程(図4、図5)]この工程はできるだけ高
純度、高品質のダイヤモンドを安価に合成できる方法で
なければならない。合成方法は熱フィラメントCVD
法、火炎法、マイクロ波プラズマCVD法などが適す
る。特に高純度のダイヤモンドを合成できることからマ
イクロ波プラズマCVD法が最適である。
【0040】本発明においては品質は落とさずに基板面
側Bのダイヤモンド粒径をできる限り大きくする必要が
ある。こうした要求に応えるためには次のような2段階
成長が好適である。
【0041】ダイヤモンド膜が10μm〜50μmの厚
さになるまで、単位時間(hr)単位電力(kW)当た
り4mg/hrkW以下の低速で成長させる(図4)。
それ以後は5mg/hrkW以上の高速で成長させる
(図5)。Vi≦4mg/hrkW、Ve≧5mg/h
rkWとするのは次の理由による。
【0042】もしも初めから終わりまで高速成長すると
コストは下がる。しかし成長初期の基板上に発生する結
晶粒が極めて小さくなる。結晶粒が小さいと熱伝導率が
低くヒートシンクとして適さない。少なくとも成長の初
期は低速で成長させる必要がある。しかし反対に終始低
速成長させるとコストが嵩むのでやはりヒートシンクに
は使い難い。
【0043】そこで多少コストは上がるものの、初期は
低速成長させ基板に粒径の大きい結晶からなる膜を付け
て置く。これは基板と垂直な方向に延びる柱状の結晶の
集合である。一旦粒径の大きい膜ができると成長速度を
上げても結晶粒が小さくはならない。柱状を保持したま
ま結晶粒径は増加し続ける。この切り替えが巧妙なとこ
ろである。結果として高速成長であるにも拘らず粒径の
大きい柱状の結晶粒よりなる稠密な膜を生成することが
できる。高速成長によって膜厚を増やすことができるか
ら製膜のコストを下げることができる。
【0044】1段目の成長速度Viはより好ましくは、
1mg/hrkW≦Vi≦4mg/hrkWが望まし
い。2段目の成長速度Veはより好ましくは5mg/h
rkW≦Ve≦15mg/hrkWである。
【0045】さらに窒素ガスの問題がある。高品質高熱
伝導率のダイヤモンドを合成するには、ガスに窒素ガス
ができるだけ含まれない方が良い。窒素は気相合成ダイ
ヤモンドの品質を落とすということに本発明者は気づい
た。メタンガスなどの炭化水素ガスや水素ガスを原料ガ
スとして使うが、その中には幾ばくかの窒素を含む。市
販のガスには窒素が不純物としてかなり含まれる。窒素
は一般に不活性であるから不純物として多少含まれてい
ても差し支えないように感じられている。しかしそうで
ない。窒素はダイヤモンド合成には悪影響を及ぼす。市
販のガスが多くの窒素を含む場合は更に精製して50p
pm以下にする必要がある。
【0046】[3.ダイヤモンド成長面を研磨する工程
(図6)]気相合成法によって作られたダイヤモンドは
表面が結晶粒の自形(本来の結晶形状)に象られている
ため、夥しい起伏がある。凹凸が甚だしいのでそのまま
では使用できない。そこでダイヤモンド砥粒を分散させ
た回転する研磨板を有する研磨装置によってダイヤモン
ド成長面側Gを研磨する。ダイヤモンドを研磨するので
あるからダイヤモンド砥粒を使うしかない。この研磨に
よって表面粗さがRmax1μm以下に仕上げる。
【0047】[4.基板を除去する工程(図7)]例え
ば酸によって基板を溶解除去する。酸の種類は基板に依
存する。或いは基板を研磨によって除去する事も可能で
ある。ダイヤモンドだけからなる自立膜を得る。最終的
な厚みが250μm〜1000μmになるのであるか
ら、それに削り代を加えたものがこの時のダイヤモンド
厚みになっている。
【0048】[5.ダイヤモンドの基板側を研削する工
程(図8)]以上に述べた方法で作ったダイヤモンドは
基板から直角に延びる柱状の結晶の集合である。基板に
接触する部分Bの結晶粒は比較的小さく基板から離れる
にしたがって粒径が大きくなる。結晶粒密度は減ってい
く。そこで基板に近い部分を除去すると結晶粒の大きい
基板から離れて生成された部分だけが残る。基板側の除
去厚みが大きい程、残った結晶の粒径は大きい。つまり
熱伝導率が高い。熱伝導率を高くするだけなら、基板側
Bの除去量が多い方が良い。しかしそうするとダイヤモ
ンドの損失も増える。除去量はは少なくとも5μmとす
る。より好ましくは25μm〜100μm除去する。
【0049】研削の手法としては、機械研削も可能であ
る。しかし硬質のダイヤモンドを機械研削するのは工具
の制約もあり時間も掛かる。レ−ザ光線を線状に集光し
てダイヤモンド基板側をスキャンすることによって光学
的に研削することもできる。YAGレ−ザによって光学
的に研削できる。加工精度の観点から最も良いのはエキ
シマレ−ザである。
【0050】
【実施例】本発明の効果を調べるために5つの試料A〜
Eを異なる方法によって作製した。そしてこれらの試料
の基板側の結晶粒径σb、基板面側Bと成長面側Gでの
ラマン散乱の1332cm-1のピークの半値幅、膜厚方
向熱伝導率κt、面方向熱伝導率κl、κt/κl比、
ダイヤモンド膜厚、除去量等を測定した。
【0051】
【表1】
【0052】Mはマイクロ波プラズマCVD法、Fはフ
ィラメントCVD法による合成を意味する。試料AとB
は速度を2段階に分けている。成長速度を変える為に基
板温度とメタンの濃度を変動させる。速度を速くする為
には基板温度を上げメタン濃度を上げる。ここではCO
も原料に使うのでCO濃度も速度制御の為に利用され
る。試料C、D、Eは成長速度が一定である。
【0053】
【表2】
【0054】試料Bについては製造方法は同じである。
基板側を削るのであるがその深さが違う。もともとの厚
みが300μmであり研削量が0μm、15μm、45
μmとなるから、最終的な厚みが300μm、285μ
m、255μmになる。個々の例について説明する。
【0055】[試料A]Si基板の上にマイクロ波プラ
ズマCVD法により条件を2段階に切り替えてダイヤモ
ンド膜を成長させた。1段階は基板温度が900℃、メ
タンガス量が18sccm、CO量が6sccmであ
る。ガス中の窒素濃度は50ppm以下であることを確
かめた。基板温度が比較的低く供給炭素濃度も低い。た
めに成長速度が遅くなる。この条件で50hr成長させ
た。実測によると単位時間単位電力あたり成長速度は
1.5mg/hrkWで低速の成長であった。
【0056】2段階目は基板温度が980℃でメタンガ
ス量が42sccm、CO量が18sccmである。基
板温度が高く炭素の量も多い。この条件で90hr成長
させた。成長速度は9mg/hrkWの高速の成長であ
った。成長面側(表面)を研磨した。この状態で膜厚が
300μmである。Si基板を酸によって溶解除去し
た。こうしてダイヤモンドは自立膜になる。基板側の研
削を行わなかった。つまり基板側というのは最初に核発
生した部分である。
【0057】自立膜になったダイヤモンドをラマン散
乱、結晶粒径測定、熱伝導率測定を行った。結晶粒径の
測定はSEM(走査型電子顕微鏡)によって基板側面を
観察し、平均粒径を計算した。熱伝導率の測定は、膜厚
方向(κt)にはレ−ザフラッシュ法によって行い、面
平行方向(κl)には定常比較法の原理によって測定し
た。
【0058】ラマン散乱の1332cm-1のピークの半
値幅(FWHM)は基板側Bで4.4μm、成長面側G
で5.1μmであった。FWHMは結晶の質を反映し小
さいほど質が良いという事である。成長面側は最終段階
で成長した部分である。高速成長しているにも拘らずそ
れほど結晶性が低下していない。
【0059】SEMによって基板面側の結晶粒径を測定
すると平均が7μmであった。かなり大きい結晶粒が多
いということである。基板側を研削しなかったにも拘ら
ず結晶粒が大きい。これは1.5mg/hrkWという
低速の成長に起因するものであろう。
【0060】最も重要な熱伝導率は面直角方向のκtが
19.3W/cmKと極めて大きい。レ−ザヒートシン
クに対する最新の要求である13W/cmKを軽く凌駕
する。面方向のκlは14.2W/cmKでありこれも
十分に高い値である。κt/κlは1.359であって
熱伝導率に強い異方性のある事が分かる。
【0061】試料Aは基板側を削る事なく十分なκtを
与えることができる。これは成長の条件を適切な2段階
に分けているからである。1段階でゆっくりと大きい結
晶粒のものを成長させているので熱伝導率が大きいので
ある。2段階は高速成長させてコストを下げている。こ
のようなものであれば基板側を研削する必要がない。
【0062】[試料B]Si基板の上に、マイクロ波プ
ラズマCVD法によって2段階法によりダイヤモンド膜
を合成した。1段階は基板温度は850℃でメタン量は
16sccm、CO量は4sccmであって炭素量が少
ない。これで30hr成長させた。速度は3.2mg/
hrkWであり低速の成長である。次の2段階は基板温
度を980℃に上げる。メタン量は42sccm、CO
量は18sccmである。これで80hr成長させた。
速度は8.3mg/hrkWであり高速の成長である。
【0063】ダイヤモンド成長面に凹凸があるから機械
的に研磨して平滑にした。酸によってSi基板を溶解除
去した。ダイヤモンド自立膜を得た。これの厚みは30
0μmであった。裏面(基板側)を研削することの効果
を確かめるために同じ条件で作った300μm厚みのダ
イヤモンド膜をそれぞれ研削深さ0μm、15μm、4
5μmになるように研削した。研削はエキシマレ−ザを
線集光し表面をスキャンすることによって行った。ラマ
ン散乱のピークのFWHMは基板側で約4.2cm-1
成長面側(表面側)で4.8cm-1であって裏面研削の
影響はあまりない。
【0064】しかし基板側の粒径には研削の著しい影響
が現れる。研削しないとき基板面側の結晶の平均粒径は
2μmである。基板側を15μm削り取ると露呈下部分
の平均粒径は5μmに増える。約2倍以上にもなる。基
板側を45μm削り取ると新たに露出した部分の平均粒
径は12μmにもなる。裏面研削の顕著な効果が如実に
分かる。
【0065】粒径の増加は熱伝導率の増加を引き起こ
す。裏面を削らないときκt=15.7W/cmK、κ
l=14.8W/cmKである。異方性は1.061で
小さい。これ自体要求水準の13W/cmKを越えてい
るから満足できる値である。しかし裏面を研削除去する
とさらに熱伝導率を上げることができる。基板面側を1
5μm研削除去すると、κt=17.4W/cmK、κ
l=15.4W/cmKに増える。異方性も1.130
に増える。裏面を45μm削り取るとκt=20.9W
/cmK、κl=16.7W/cmKとなる。異方性も
1.251に増える。
【0066】[試料C]Siウエハ−に、マイクロ波プ
ラズマCVD法によって、1段階でダイヤモンド膜を作
った。基板温度を低く炭素の濃度も低くし時間を掛けて
成長させた。基板温度は880℃、メタン流量は16s
ccmである。CO流量は6sccmである。ガス流
量、温度、圧力は終始一定である。成長速度は遅い。7
00時間(hr)かけて製膜した。成長面側を研磨して
平坦にした。酸によって基板からダイヤモンド膜だけを
除いた。膜厚は300μmである。成長速度は1.5m
g/hrkWである。基板側を研削しなかった。
【0067】時間を掛けてじっくり成長させたので、結
晶の性質は優れている。ラマン散乱の半値幅が基板側で
3.2cm-1、成長面側で3.6cm-1であった。基板
側の結晶粒の大きさは6μmでかなり大きい。熱伝導率
は大きくκt=19W/cmK、κl=16.5W/c
mKで優れている。κt/κl=1.152である。時
間を掛けた成長であるので結晶粒が大きい良質のダイヤ
モンド膜を得る事ができるが時間が掛かりすぎてコスト
高になる。
【0068】[試料D]Siウエハ−に、マイクロ波プ
ラズマCVD法によって、1段階でダイヤモンド膜を成
長させた。試料Cとは反対の条件を選んだ。基板温度は
高くし炭素濃度も高め成長速度を速くした。メタン供給
量は48sccm、CO量は22sccm、水素量は5
76sccmである。基板温度は1000℃にして40
時間製膜した。短時間の合成である。表面を研磨し平坦
平滑にした。酸によってSiを溶解除去しダイヤモンド
の自立膜を得た。厚みは300μmであった。
【0069】基板側の研削をしない。平均の成長速度は
11.8mg/hrkWである。ラマン散乱の1332
cm-1ピークの半値幅は基板側で10.8cm-1、成長
面側で7.4cm-1である。結晶品質が劣る。基板側の
結晶粒の平均直径は0.5μmで極めて小さい。熱伝導
率はκt=12.8W/cmK、κl=10.5W/c
mKである。面方向の熱伝導率が特に悪い。異方性も強
くてκl/κt=1.219である。成長が速すぎて結
晶粒が小さく、粒界が多いので熱伝導が良くないのであ
る。
【0070】[試料E]Siウエハ−にフィラメントC
VD法によって1段階でダイヤモンド膜を製膜した。基
板温度を低くしメタン量も減らす。成長速度はこれによ
って下がる。しかし水素量も減らすので成長速度は試料
Cよりも速い。メタン流量は4sccm、水素量は20
0sccmとガス量が少ない。基板温度は750℃でこ
れらの試料では最低の温度である。圧力は100Tor
rである。製膜時間は250時間である。表面を研磨し
て平滑にした。
【0071】酸によってSiを溶かして除去した。厚み
は300μmである。基板側の研削をしなかった。平均
成長速度は3.3mg/hrkWである。基板側の結晶
平均粒径は1.3μmであり小さい結晶から成り立って
いる事が分かる。半値幅は基板側も成長面側も5.8c
-1である。熱伝導率はκt=13.8W/cmK、κ
l=13.9であった。κt/κl=0.993であっ
て、異方性が殆どない。
【0072】これらの試料A〜Eを検討する。試料Dの
ように高温で高濃度のメタンを流して高速成長させたも
のはラマン散乱半値幅からしても結晶性が悪い。結晶性
が悪いと熱伝導率も低い。ダイヤモンドヒートシンクに
要求される13W/cmK以上という条件を満足しにく
い。反対に試料Cのように低メタン濃度、低基板温度で
成長させるとラマン散乱半値幅(4cm-1以下)からみ
て優れた結晶ができているという事が分かる。熱伝導率
も大きくてヒートシンクに使える。しかし製造コストが
高くなりすぎて、実際にはヒートシンクなどには使えな
い。試料EはフィラメントCVD法によるがこれも熱伝
導率はあまり高くない。
【0073】これらの結果からラマン散乱半値幅が小さ
い(結晶性が良い)ということと、熱伝導率が大きいと
いう事は相関があるが、それだけではなくて、粒径が大
きいということが重要である。結晶性を高めるには時間
を掛けてゆっくり製膜するしかない。しかし熱伝導率κ
tに直接関係するのは面垂直方向に存在する粒界の数で
あってこれを減らすためには必ずしも結晶性そのものを
高める必要がない。試料A、Bのように初め低速成長で
大きい粒径の核を発生させ、次いで高速成長して柱状成
長の幅を広げてゆくと、面と直角の方向には高い熱伝導
率を持つものが得られる。2段階では高速の成長を行う
から全体としての時間は短縮される。
【0074】2段階製造によって比較的低コストで高熱
伝導率のダイヤモンドを製造する事ができる。2段階の
高速の成長はコストを下げるだけでなく熱伝導率の異方
性κt/κlをも高めることができる。
【0075】そして基板除去後に基板側を研磨すると、
小さい結晶粒の部分を除き大きい結晶粒の部分を露呈さ
せるから、さらに熱伝導率を上げることができる。試料
Bの基板側面研削は顕著な熱伝導率増加を示す。試料A
でも基板側を除去すればさらに熱伝導率を上げることが
できる。
【0076】
【発明の効果】本発明は、基板の上にダイヤモンドを初
め低速度で気相合成して粒径の大きい結晶を核発生さ
せ、次いで高速度で気相合成して厚み方向に柱状結晶の
粒径を増大させ、基板を除去した後、基板側を研削する
ので、基板側の結晶粒の小さい部分が除かれる。結果と
して結晶粒の大きい柱状結晶の集合としてのダイヤモン
ドが得られる。
【0077】厚み方向には粒界が少なく、厚み方向の熱
伝導率κtが13W/cmK以上になる。2段階目での
成長速度は大きいので成長速度はかなり大きく合成のコ
ストも下げられる。従来のように熱伝導率を上げるには
成長速度を下げるという方法によらないので、膜厚方向
に高熱伝導率を持つダイヤモンドを低コストで作製する
ことができる。
【0078】柱状結晶形成による熱伝導率異方性を巧み
に利用し厚み方向の熱伝導率を特に高めるようにした。
結晶性そのものを高揚するのではないから低速成長でな
くても良い。結晶性を強く反映するラマン散乱のピーク
の半値幅が4cm-1〜10cm-1であってもκtは十分
な大きさになり得る。
【0079】発熱する半導体素子、例えばレ−ザのヒー
トシンクなどは板厚方向の熱伝導率が高いという事が特
に重要であるが、本発明のダイヤモンドはそのような用
途にぴったりである。レ−ザの冷却能力を増強できるか
ら結果としてレ−ザの高性能化、低価格化に大きく貢献
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の気相合成法によって製作したダイヤモン
ド膜の柱状成長を示す断面図。
【図2】2段階に条件を変える本発明の気相合成法によ
って製作したダイヤモンド膜の柱状成長を示す断面図。
【図3】ダイヤモンド膜をその上に成長させるべき基板
の断面図。
【図4】基板の上に第1の条件によってダイヤモンド膜
を低速に成長させたものの断面図。
【図5】さらに第2の条件によってダイヤモンド膜を高
速に成長させたものの断面図。
【図6】成長面側を研磨した後の試料の断面図。
【図7】基板を除去しダイヤモンド自立膜としたものの
断面図。
【図8】基板側を一部研削除去した試料の断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊澤 佳明 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号住友電 気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラマン散乱分光法における波数1332
    cm-1のダイヤモンドのピークの半値幅が4cm-1以上
    であって、厚み方向の熱伝導率をκtとし、面内方向の
    熱伝導率をκlとした時、κt≧κlかつκt≧13W
    /cmKであることを特徴とする気相合成ダイヤモン
    ド。
  2. 【請求項2】 κt≧κl×1.2であることを特徴と
    する請求項1に記載の気相合成ダイヤモンド。
  3. 【請求項3】 成長面側の面と基板側の面とに露出する
    結晶粒の平均粒径を比較して小さい方の面において、そ
    の平均粒径が4μm以上であることを特徴とする請求項
    1に記載の気相合成ダイヤモンド。
  4. 【請求項4】 κt≧17W/cmKかつκl≧14W
    /cmKであることを特徴とする請求項1に記載の気相
    合成ダイヤモンド。
  5. 【請求項5】 基板を用意する工程と、気相合成法によ
    りダイヤモンドを基板上に成長させる工程と、ダイヤモ
    ンド成長面を研磨する工程と、基板を除去する工程と、
    ダイヤモンドの基板側の一部を5μm以上研削する工程
    を含む事を特徴とする気相合成ダイヤモンドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 気相合成法によりダイヤモンド膜を成長
    させる工程において、窒素ガス濃度が全ガス中に原子比
    50ppm以下であり、最初の10μm〜50μmの膜
    厚までは投入電力あたりの成長速度が4mg/hrkW
    以下で成長させ、それ以後を投入電力あたり成長速度5
    mg/hrkW以上で成長させることを特徴とする請求
    項5に記載の気相合成ダイヤモンドの製造方法。
  7. 【請求項7】 ダイヤモンドの基板面側を20μm以上
    研削することを特徴とする請求項5に記載の気相合成ダ
    イヤモンドの製造方法。
  8. 【請求項8】 レ−ザ光線を用いた平面研削によってダ
    イヤモンド基板面側を研削する事を特徴とする請求項5
    に記載の気相合成ダイヤモンドの製造方法。
  9. 【請求項9】 ダイヤモンドを成長させる気相合成法
    が、マイクロ波プラズマCVD法であることを特徴とす
    る請求項5に記載の気相合成ダイヤモンドの製造方法。
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