JPH107992A - 高分子樹脂の金属への接着方法 - Google Patents

高分子樹脂の金属への接着方法

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JPH107992A
JPH107992A JP8166334A JP16633496A JPH107992A JP H107992 A JPH107992 A JP H107992A JP 8166334 A JP8166334 A JP 8166334A JP 16633496 A JP16633496 A JP 16633496A JP H107992 A JPH107992 A JP H107992A
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metal
resin
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sulfur
organic compound
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Meiki Yonekura
明季 米倉
Yoshiyuki Miyaki
義行 宮木
Komoruniki Jack
コモルニキ ジャック
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Elf Atochem Japan KK
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    • B32B15/04Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、高分子材料と金属材料との
接着性を改善し、高分子材料と金属材料とからなる複合
材料の特性およびその長期安定性を改善する方法を提供
することである。 【構成】 高分子樹脂を金属材料へ接着するに先立っ
て、金属表面を、(A)カルボキシル基およびカルボン
酸無水物基のうちの少なくとも1つの官能基及び(B)
メルカプト基およびチオエーテル基のうちの少なくとも
1つの官能基を有する含硫黄有機化合物で処理すること
を特徴とする高分子樹脂の金属への接着方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属と高分子樹脂との
接着方法に関するもので、特に、金属表面を処理するこ
とによる改良された接着方法に関する。本発明の方法に
よって得られる金属と高分子樹脂との複合材料は、耐腐
食性、耐候性、および耐薬品性が要求される鋼管ライニ
ング、化学プラント部品等に応用される。さらに、本発
明の方法は、リチウムイオン二次電池における集電体と
結着剤との接着性の改善にも役立つ。
【0002】
【従来の技術】金属材料および高分子材料からなる複合
材料としては、金属と合成樹脂またはゴムとの接着物、
金属ワイヤーや金属繊維などで補強された強化高分子材
料、金属フィラーを含有する高分子材料、高分子材料で
塗装または被覆した金属材料などがあり、その用途は極
めて多岐に渡っている。
【0003】しかし、金属材料と高分子材料とは互いに
親和力が乏しいため、これらの接着面における接着強度
が低い。高分子材料にカルボン酸基などの金属結合性の
特定の官能基を導入することにより金属との接着性は改
善されるが、加熱冷却の繰り返し、金属材料の腐食、あ
るいは高分子材料の劣化などにより接着界面での剥離が
生じる。複合材料を形成する金属材料と高分子材料との
界面に剥離が生じた場合、複合材料の特性や機能が著し
く低下する原因となる。
【0004】また、リチウムイオン二次電池等の二次電
池において、炭素材料等の電極活性物質に結着剤を適当
量添加して電極が作製されるが、結着剤に通常用いられ
るポリオレフィン系樹脂やポリフッ化ビニリデン樹脂
は、元来、集電体に使用される金属との接着性が悪い。
このため、負極と正極いずれの場合も、活性物質を集電
体に圧着させた後、集電体と活性物質との接着力が十分
でないために、活性物質が集電体(銅、アルミニウムな
ど)から剥離し易く、電池のサイクル特性が悪くなると
いう問題があった。これを改善する方法として、集電体
表面を粗面化することが提案されたが(特開平5−67
66)、これにおいても接着性は十分とは言えず、さら
なる改良が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高分子材料と
金属材料との接着性を改善し、高分子材料と金属材料と
からなる複合材料の特性およびその長期安定性を改善す
る方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による、高分子樹
脂の金属材料への接着方法は、高分子樹脂を金属材料へ
接着するに先立って、金属表面を(A)カルボキシル基
およびカルボン酸無水物基のうちの少なくとも1つの官
能基および(B)メルカプト基およびチオエーテル基の
うちの少なくとも1つの官能基を有する含硫黄有機化合
物で処理することを特徴としている。
【0007】本発明で用いられる含硫黄有機化合物の例
として、チオエーテルカルボン酸類およびその無水物お
よびメルカプトカルボン酸類およびその無水物がある。
チオエーテルカルボン酸類およびその無水物の例とし
て、次式(a)
【化3】 (式中、R1、R2は炭素数1から20までの炭化水素
基、mとnはそれぞれ同一または異なり、1から6の整
数を示し、カルボキシル基はR1あるいはR2中のいずれ
の炭素原子に結合していても構わない。)で表わされる
チオエーテルカルボン酸あるいはその無水物がある。こ
の具体的例として、3,3’−チオジプロピオン酸、ヒ
ドロキシエチルチオプロピオン酸、カルボキシエチルチ
オコハク酸、カルボキシエチルチオコハク酸無水物が挙
げられる。
【0008】一方、メルカプトカルボン酸類は、次式
(b)
【化4】 (式中、R3は炭素数1から20までの炭化水素基、p
とqはそれぞれ同一または異なり、1から6の整数を示
し、カルボキシル基およびメルカプト基はR3中のいず
れの炭素原子に結合していても構わない。)で表わさ
れ、その具体例としては、チオグリコール酸、3−メル
カプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、チ
オサリチル酸、2−メルカプトニコチン酸、チオリンゴ
酸、3ーメルカプト−1,2,4−トリアゾール等があ
る。
【0009】本発明において用いられる金属材料の種類
は特に限定されないが、例えば、銅、鉄、銀、金、亜
鉛、アルミニウム、錫、鉛、ニッケル、チタン、アンチ
モン、カドミウムなどの金属およびそれらの合金が挙げ
られる。これら金属材料の形状は、板状、線状、粒状、
その他成形体であり、特に限定されない。
【0010】本発明において、金属材料は、含硫黄有機
化合物による処理に先立って、必要に応じて、集電体
に、常法に従い、酸洗浄、アルカリ洗浄、脱脂、あるい
は研磨等の前処理が行われる。また、金属材料の表面を
酸化処理し、該金属の酸化層を表面を形成させた後用い
てもよい。酸化処理の条件は、金属材料の種類や形状に
より適宜な方法を選んで行われる。
【0011】金属材料を上述の含硫黄有機化合物により
処理するには、該含硫黄有機化合物を金属材料に接触さ
せればよく、その方法は特に限定されない。例えば、該
含硫黄有機化合物を、適当な溶媒を用いて、溶解または
分散させて得られた液を金属材料に接触せしめる方法が
ある。この場合、溶液または分散液中の含硫黄有機化合
物の濃度は、0.02〜20重量%、好ましくは0.1
〜5重量%であればよく、それを、0〜200℃、好ま
しくは20〜100℃にて、1秒〜10時間、好ましく
は5秒〜1時間、金属材料に接触させた後、必要に応じ
て、適当な溶媒で洗浄し、乾燥すればよい。
【0012】ここで、使用される溶媒としては、水、ア
ルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、飽和
脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水
素、ハロゲン化炭化水素等から選ばれ、沸点が30〜2
00℃であるもの好ましく、さらに好ましくは50〜1
50℃である。
【0013】本発明に用いられる高分子樹脂としては、
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムから選ばれる各種の
高分子材料が挙げられる。その代表例として、ポリオレ
フィン系樹脂、含ハロゲン系樹脂(塩素系樹脂、フッ素
系樹脂等)、芳香族ビニル化合物の重合体、アクリル系
およびメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられ
る。
【0014】熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリ塩化
ビニル、アクリル変性ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化
ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共
重合体、EVA樹脂、ポリエチテン、ポリプロピレン、
エチレン−α−オレフィン共重合体、オレフィン−ビニ
ルアルコール共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、メ
タクリル−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリアミ
ド(ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド12、
ポリアミド11ポリアミド46、強化ポリアミドな
ど)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレ
フタレート、芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポ
リカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイ
ミド、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリイミド、セ
ルロースプラスチック、ポリビニルアルコールなどがあ
る。
【0015】また、フッ素系樹脂の例として、四フッ化
エチレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、
フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、六フッ化プロピレ
ン、パ−フルオロアルキルビニルエ−テル類から選ばれ
た少なくとも一種のモノマーを構成単位として含み、樹
脂全体に対するこれらモノマーの比率の和が50重量%
以上、さらに好ましくは70重量%以上である熱可塑性
フッ素樹脂が挙げられる。
【0016】さらに、アクリルおよびメタクリル系樹脂
の例として、C1〜C20のアルキルアクリレート類お
よびC1〜C12のアルキルメタクリレート類から選ば
れる少なくとも1種類以上のモノマーからなる単独重合
体あるいは共重合体がある。また、これらにはグラフト
化されたアクリル系またはメタクリル系エラストマーあ
るいはアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレ
ートから選ばれるモノマーの単独重合体あるいは共重合
体がグラフトされた共役ジエン系のエラストマーも含ま
れる。アクリルおよびメタクリル系のモノマーとして、
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル等が例示される。
【0017】上記アクリルおよびメタクリル系樹脂に
は、カルボン酸基あるいはカルボン酸無水物基を有する
モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸、マレイン酸、フマル酸、アルケニルコハク酸、ア
クリルアミドグリコール酸、1,2−シクロヘキサンジ
カルボン酸アリル等の不飽和カルボン酸、および無水マ
レイン酸、無水アルケニルコハク酸などの不飽和カルボ
ン酸無水物)が共重合されていてもよい。これらカルボ
ン酸基あるいはカルボン酸無水物基を有するモノマーの
アクリルおよびメタクリル系樹脂に対する含有量は、通
常、0.05〜30重量%である。
【0018】上記の高分子樹脂のうち、極性基を有する
ポリマーは元来金属との接着性に優れているが、本発明
の方法はその接着性をさらに強固なものとするために有
効である。ここで、有効な極性基としては、カルボキシ
ル酸基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、グリシジル
基、フェノール基、アミノ基、メルカプト基、スルフィ
ド基等がある。ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系
樹脂の場合、極性基を有するモノマー(アクリル酸、メ
タクリル酸、アルキルアクリレート、アルキルメタクリ
レート、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート
等)を共重合あるいはグラフトさせることにより極性基
を導入することができる。
【0019】本発明に用いられる熱硬化性樹脂として
は、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾ
グアナミン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂などがある。
【0020】本発明においては、上記高分子樹脂を単独
で用いてもよく、混合して用いてもよい。2種類以上の
樹脂を混合して用いる場合、極性基を有する樹脂と極性
基を有しない樹脂との混合、あるいは同一あるいは異な
る極性基を有する2種類以上の樹脂の混合が望ましい。
【0021】さらに、本発明の高分子樹脂には、従来公
知の酸化防止剤、熱分解防止剤、紫外線吸収剤、耐加水
分解改良剤、着色剤(染料、顔料)、帯電防止剤、導電
剤、結晶核剤、結晶促進剤、可塑剤、易滑剤、潤滑剤、
離型剤、難燃剤、難燃助剤、補強剤、充填剤、接着助
剤、粘着剤等を任意に含有せしめることが出来る。
【0022】本発明の好ましい実施態様例として、金属
材料を上記の含硫黄有機化合物で処理し、接着層として
極性基を有する樹脂を接着せしめ、その上に接着層に対
して接着性を有する樹脂を接着せしめて作製した複合材
料がある。
【0023】本発明で用いる高分子樹脂の形態や形状は
特に限定されず、板状、フィルム状、繊維状、布状、粒
子状、粉体状、溶液、乳化液、分散液などの状態のもの
が使用できる。これらを含硫黄有機化合物により処理さ
れた金属材料に接着させるには、それぞれの状態によっ
て異なり、液体(塗料など)の場合は、通常の方法で金
属材料に塗布し、必要に応じて加熱し、乾燥すればよ
い。個体の熱可塑性樹脂の場合は、加熱により溶融させ
た状態で、適切な条件(温度、圧力、時間)で、金属材
料に圧着させる方法が一般的である。高分子樹脂を含有
する市販の接着剤にも、本発明の方法は適用可能であ
る。
【0024】以下に、本発明を実施例および比較例を挙
げて、本発明を具体的に説明する。
【0025】
【実施例】以下の実施例と比較例において接着性の評価
は次の方法で行った。樹脂組成物(A)から作製したフ
ィルム(A)、必要に応じて、フィルム(A)と金属材
料に対して接着性の別の樹脂組成物(B)から作製した
フィルム(B)、および脱脂を行った金属板を用い、フ
ィルム(A)/フィルム(B)/金属板の順に重ね、高
分子樹脂の溶融する温度で、10分間、最大圧力約10
kg/cm2でプレスを行った。室温に冷却後、接着さ
れた樹脂フィルム上に1cm幅の切れ目を入れ、引張試験
器を用いて、23℃、200mm/分の引っ張り速度
で、高分子樹脂の層を金属板から引き剥がし、その力を
測定した。
【0026】
【実施例1】接着する高分子樹脂として、 ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)樹脂のペレット(エルフ・アト
ケム社製、カイナー710、230℃、2.16kg荷
重下でのメルトフローレイト(MFR)が12g/10
分)100重量部、無水マレイン酸とメタクリル酸メチ
ルの共重合体(住友化学工業(株)製、スミペックスT
R)30重量部、ポリメタクリル酸メチルがグラフト化
されたアクリル系エラストマー(呉羽化学工業(株)
製、パラロイドEXL2315)70重量部をブレンダ
ーに入れて混合後、シリンダー温度170〜240℃に
設定した二軸押出機を用いて、厚さ約0.2mmのフイル
ム(B)を作成した。
【0027】金属板として鉄(GIS.G.3141)
を用い、これと上記の方法で得られたフィルムとの接着
を次の様に行った。接着の際、鉄板を下式(c)で示さ
れる化合物、カルボキシエチルチオコハク酸(以下CE
TSAと略す)の1%水溶液中に浸漬し、50℃、15
分間で表面処理した。
【化5】 蒸留水で洗浄後、60℃で30分間乾燥を行い、接着試
験に供した。上記のフィルム(B)、別途PVDF樹脂
(カイナー710)から作製した厚さ約0.3mmのフ
ィルム(A)、および上記の鉄板を、フィルム(A)/
フィルム(B)/金属板の順に重ね、180℃で10分
間、最大圧力約10kg/cm2でプレスを行い、鉄板
とフッ素樹脂とが接着された複合材料を得た。上記の引
張試験器による接着性評価の結果を表1に示した。
【0028】さらに、接着強度の耐性を調べるため、樹
脂接着後の鉄板を沸騰水中に1時間放置した試験鉄板を
用いて、同様に引っぱり試験により接着強度を測定し
た。表1に示すように、沸騰水処理後も処理前と同程度
の接着性を有することが分かった。
【0029】
【比較例1】実施例1において、CETSA処理を行わ
ない鉄板を使用した他は、実施例1と同じ金属接着性フ
ィルム(B)を用いて、同様の条件で、金属材料と高分
子材料との接着を行った。次いで、接着強度を引っぱり
試験で測定した。表1に示すように、得られた鉄板/フ
ッ素樹脂の複合材料は、沸騰水処理前は、CETSA処
理の鉄板と同程度の接着性を有するが、沸騰水処理によ
り鉄板とフッ素樹脂層は剥離してしまった。
【0030】
【実施例2、3】実施例1において、鉄板を処理する含
硫黄有機化合物として、3−メルカプトプロピオン酸
(以下3−MPAと略す)(実施例2)あるいはチオグ
リコール酸(以下TGAと略す)(実施例3)を用いた
他は、実施例1と同様に、フッ素樹脂と鉄板との接着を
行った。これら含硫黄有機化合物による鉄板の処理の方
法は、実施例1と同じとした。
【0031】結果を表1に示した。本発明の処理方法を
用いた試験板は、いずれも良好な接着強度を示し、なお
かつ特徴的なのは沸騰水に晒されてもその接着性を維持
することである。
【0032】
【表1】
【0033】
【実施例4、5、6】金属板として上記実施例1と同じ
鉄板、金属接着性の高分子樹脂(B)としてポリプロピ
レンに無水マレイン酸をグラフトした樹脂(エルフ・ア
トケム社製、OREVAC PPC)を用い接着試験を
行った。鉄板は、CETSA(実施例4)、3−MPA
(実施例5)、あるいはTGA(実施例6)を用いて、
実施例1同じ条件で表面処理をした。
【0034】上記のフィルム(B)、別途ポリプロピレ
ン(東ソー(株)製、J5010B)から作製した厚さ
約0.3mmのフィルム(A)、および上記の鉄板を、
フィルム(A)/フィルム(B)/金属板の順に重ね、
170℃で10分間、最大圧力約10kg/cm2でプ
レスを行い、鉄板とポリプロピレン樹脂とが接着された
複合材料を得た。
【0035】次いで、接着強度を上述の引っぱり試験に
より測定した。さらに、接着強度の耐性を調べるため、
実施例1と同様に樹脂接着後の鉄板を沸騰水中に一定時
間放置した試験鉄板も用意し、引っぱり試験を行った。
これらの結果を表2に示した。いずれも複合材料も良好
な接着強度を示し、沸騰水に晒されてもその接着性は大
きく変化することはなかった。
【0036】
【比較例2】実施例4において、CETSA処理を行わ
ない鉄板を使用した他は、実施例4と同じ金属接着性フ
ィルム(B)を用いて、同様の条件で、金属材料とポリ
プロピレン樹脂との接着を行った。次いで、接着強度を
同様の方法で測定した。表2に示すように、得られた鉄
板/ポリプロピレン樹脂の複合材料は、沸騰水処理前
は、CETSA処理の鉄板と同程度の接着性を有する
が、沸騰水処理により鉄板とポリプロピレン樹脂層は剥
離してしまった。
【0037】
【実施例7、8、9】実施例4〜6において、金属板と
してSUS304を用いた他は、実施例4〜6と同じ金
属接着性フィルム(B)を用いて、同様にして金属材料
/ポリプロピレン樹脂の複合材料を作製し、接着性を測
定した。これらの結果を表3に示した。いずれも場合も
良好な接着強度を示し、沸騰水に晒されてもその接着性
は大きく変化することはなかった。
【0038】
【比較例3】実施例7において、含硫黄有機化合物での
処理を行わないSUS304板を使用した他は、実施例
7と同じ金属接着性フィルム(B)を用いて、同様の条
件で、金属材料とポリプロピレン樹脂との接着を行っ
た。次いで、接着強度を同様の方法で測定した。表3に
示すように、得られたSUS304板/ポリプロピレン
樹脂の複合材料は、沸騰水処理前は、強固な接着性を有
するが、沸騰水処理によりSUS304板とポリプロピ
レン樹脂層は剥離してしまった。
【0039】
【実施例10、11、12】実施例7〜9において、金
属板としてアルミニウム板を用いた他は、実施例7〜9
と同じ金属接着性フィルム(B)を用いて、同様にして
金属材料/ポリプロピレン樹脂の複合材料を作製し、接
着性を測定した。これらの結果を表4に示した。いずれ
も場合も良好な接着強度を示し、沸騰水に晒されてもそ
の接着性は大きく変化することはなかった。
【0040】
【比較例4】実施例10において、含硫黄有機化合物で
の処理を行わないアルミニウム板を使用した他は、実施
例10と同じ金属接着性フィルム(B)を用いて、同様
の条件で、金属材料とポリプロピレン樹脂との接着を行
った。次いで、接着強度を同様の方法で測定した。表4
に示すように、得られたアルミニウム板/ポリプロピレ
ン樹脂の複合材料は、実施例10〜12の場合と比べて
接着強度が弱く、沸騰水処理によりさらに接着強度が低
下した。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【実施例13、14、15】金属板として上記実施例1
と同じ鉄板、高分子樹脂(A)としてナイロン12樹脂
(エルフ・アトケム社製、リルサンAESN)を用い接
着試験を行った。鉄板は、CETSA(実施例13)、
3−MPA(実施例14)、あるいはTGA(実施例1
5)を用いて、実施例1同じ条件で表面処理をした。ナ
イロン12のフィルムと表面処理を行った鉄板を重ね、
210℃で10分間、最大圧力約10kg/cm2でプ
レスを行い、鉄板とナイロン12樹脂とが接着された複
合材料を得た。
【0045】次いで、接着強度を上述の引っぱり試験に
より測定した結果を表5に示した。これらの複合材料は
下記の比較例5に比べておよそ2倍の接着強度を示すこ
とが分かった。
【0046】
【比較例5】実施例13において、含硫黄有機化合物で
の処理を行わない鉄板を使用した他は、実施例13と同
様の条件で、金属材料とナイロン12樹脂との接着を行
った。次いで、接着強度を同様の方法で測定した。表5
に示すように、得られた鉄板/ナイロン12樹脂の複合
材料は、実施例13〜15の場合と比べて接着強度が約
半分であった。
【0047】
【表5】
【0048】
【実施例16、17、18】金属板として上記実施例1
と同じ鉄板、高分子樹脂(A)として共重合ポリアミド
系樹脂(エルフ・アトケム社製、プラタミドH104)
を用い接着試験を行った。鉄板は、CETSA(実施例
16)、3−MPA(実施例17)、あるいはTGA
(実施例18)を用いて、実施例1同じ条件で表面処理
をした。ここでは、このポリアミド系樹脂のフィルムと
表面処理を行った鉄板を重ね、150℃で10分間、最
大圧力約10kg/cm2でプレスを行い、鉄板とポリ
アミド系樹脂とが接着された複合材料を得た。
【0049】次いで、接着強度を上述の引っぱり試験に
より測定した結果を表6に示した。これらの複合材料は
下記の比較例6に比べて2倍以上のの接着強度を示すこ
とが分かった。
【0050】
【比較例6】実施例16において、含硫黄有機化合物で
の処理を行わない鉄板を使用した他は、実施例16と同
様の条件で、金属材料と共重合ポリアミド系樹脂との接
着を行った。次いで、接着強度を同様の方法で測定し
た。表6に示すように、得られた鉄板/ポリアミド系樹
脂の複合材料は、実施例16〜18の場合と比べて接着
強度が半分以下であった。
【0051】
【表6】
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によって、金属材料と高分
子樹脂樹脂材料との接着強度および接着の安定性が改善
される。本発明の方法によって得られる金属と高分子樹
脂との複合材料は、鋼管ライニングや化学プラント部品
等、耐腐食性、耐候性、および耐薬品性が要求される分
野に有用であるばかりでなく、リチウムイオン二次電池
等の二次電池における集電体と結着剤との接着性の改善
にも役立つ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャック コモルニキ 京都府京都市下京区中堂寺粟田町1番地 エルフ・アトケム・ジャパン株式会社京都 テクニカルセンター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属表面を、(A)カルボキシル基およ
    びカルボン酸無水物基のうちの少なくとも1つの官能基
    及び(B)メルカプト基およびチオエーテル基のうちの
    少なくとも1つの官能基を有する含硫黄有機化合物で処
    理することを特徴とする高分子樹脂の金属への接着方
    法。
  2. 【請求項2】 含硫黄有機化合物が次式 【化1】 (式中、R1、R2は炭素数1から20までの炭化水素
    基、mとnはそれぞれ同一または異なり、1から6の整
    数を示し、カルボキシル基はR1あるいはR2中のいずれ
    の炭素原子に結合していても構わない。)で表わされる
    チオエーテルカルボン酸類あるいはその無水物である請
    求項1記載の高分子樹脂の金属への接着方法。
  3. 【請求項3】 含硫黄有機化合物が次式 【化2】 (式中、R3は炭素数1から20までの炭化水素基、p
    とqはそれぞれ同一または異なり、1から6の整数を示
    し、カルボキシル基およびメルカプト基はR3中のいず
    れの炭素原子に結合していても構わない。)で表わされ
    るメルカプトカルボン酸あるいはその無水物である請求
    項1記載の高分子樹脂の金属への接着方法。
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