JPH1074723A - 超音波洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は振動板に気泡が付着してその振動板
が局部的に高温度になるのを防止した超音波洗浄装置を
提供することにある。 【解決手段】 被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動
を付与するための超音波洗浄装置において、下面に開口
した空間部１８が形成されこの空間部内に供給された上
記洗浄液を上記開口から流出させる装置本体１１と、こ
の装置本体の上部に設けられ上記空間部に供給された上
記洗浄液と接触するとともにその板面に取着された振動
子２４によって超音波振動しその振動を上記洗浄液に付
与する振動板２１と、上記装置本体に設けられ上記空間
部の幅方向一側から上記振動板に向けて上記洗浄液を供
給する分岐供給路３２と、上記装置本体に設けられ上記
分岐供給路３２から上記空間部に供給された洗浄液の一
部を上記空間部の幅方向他端側から排出する分岐排出路
３４とを具備したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は被洗浄物を洗浄す
る洗浄液に超音波振動を付与する超音波洗浄装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】たとえば液晶表示装置や半導体装置の製
造工程においては、被洗浄物としての液晶用ガラス基板
や半導体ウエハを高い清浄度で洗浄することが要求され
る工程がある。このような被洗浄物を洗浄する方式とし
ては、洗浄液中に複数枚の被洗浄物を浸漬するデイップ
方式や被洗浄物に向けて洗浄液を噴射して一枚づつ洗浄
する枚葉方式があり、最近では高い清浄度が得られると
ともに、コスト的に有利な枚葉方式が採用されることが
多くなってきている。

【０００３】枚葉方式の１つとして被洗浄物に噴射され
る洗浄液に振動を付与し、その振動作用によって上記被
洗浄物から微粒子を効率よく除去するようにした洗浄方
式が実用化されている。

【０００４】洗浄液に振動を付与する洗浄方式におい
て、従来は20〜50ｋＨｚ程度の超音波が用いられていた
が、最近では600 〜2000ｋＨｚ程度の極超音波帯域の音
波を用いる超音波洗浄装置が開発されている。

【０００５】振動が付与された洗浄液を被洗浄物に噴射
すると、その振動の作用によって被洗浄物に付着した微
粒子の結合力が低下するため、振動を付与しない場合に
比べて洗浄効果を向上させることができる。

【０００６】従来、上記超音波洗浄装置は、図５に示す
ように洗浄液が供給される空間部２が形成された装置本
体１を有する。この空間部２は上記装置本体１の下面に
開口していて、その開口であるノズル口３から上記洗浄
液が噴出されるようになっている。

【０００７】上記装置本体１には上記空間部２に供給さ
れた洗浄液が接触する状態で振動板４が設けられ、この
振動板４には振動子５が取着されている。この振動子５
には電圧が印加されるようになっており、それによって
振動子５とともに上記振動板４が超音波振動するように
なっている。

【０００８】上記振動板４が超音波振動すると、この振
動板４に接触する洗浄液には超音波振動が付与されるか
ら、超音波振動が付与されて上記ノズル口３から流出す
る洗浄液によって上記被洗浄物を洗浄することができる
ようになっている。

【０００９】上記空間部２への洗浄液の供給は、この空
間部２の幅方向両側から行なわれている。すなわち、上
記装置本体１の上記空間部２の幅方向両側部には一対の
供給路６が上記装置本体１の長手方向に沿って形成され
ている。各供給路６には噴出路７が一端を連通させてい
る。噴出路７の他端は上記空間部２の上部に開口してい
る。

【００１０】したがって、上記供給路６に供給された洗
浄液は上記噴出路７から振動板５に向けて噴出し、この
振動板５によって超音波振動が付与されてノズル口３か
ら被洗浄物に向かって噴出するようになっている。な
お、空間部２に供給される洗浄液の流量はノズル口３か
ら流出する流量よりも多く設定されており、それによっ
て空間部２の内部で洗浄液の圧力が高められてノズル口
３から噴出するようになっている。

【００１１】ところで、上記構成の超音波洗浄装置によ
ると、洗浄液が空間部２の幅方向両側の噴出路７から上
記空間部２に供給されると、洗浄液は図５に矢印で示す
ように流れてノズル口３から流出する。すなわち、空間
部２の幅方向両側の噴出路７から供給された洗浄液は矢
印のごとく流れることで、同図にＸで示す振動板４の下
面の幅方向ほぼ中央部分で衝突するため、その部分では
洗浄液が流れにくい、つまり滞留し易いということがあ
った。

【００１２】その結果、洗浄液中に含まれる気体が気泡
となって振動板４に付着すると、洗浄液の滞留が生じて
いる部分では振動板４に付着した気泡が除去されず、次
第に成長するということがある。気泡が成長すると、超
音波振動によって発熱した振動板が洗浄液によって冷却
されにくくなるから、その発熱によって振動板４が変形
したり、振動板４に接着剤によって取着された振動子５
が剥離するなどのことがあった。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来の超
音波振動装置は空間部に供給される洗浄液が振動板の下
面側で滞留し易いため、その滞留によって振動板に付着
した気泡が除去されずに成長し、振動板のその部分が洗
浄液によって冷却されにくくなって異常に温度上昇する
ということがあった。

【００１４】この発明は上記事情に基づきなされたもの
で、その目的とするところは、装置本体の空間部に供給
された洗浄液が振動板の下面側で滞留しにくいようにし
た超音波振動装置を提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
にこの発明は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動
を付与するための超音波洗浄装置において、下面に開口
した空間部が形成されこの空間部内に供給された上記洗
浄液を上記開口から流出させる装置本体と、この装置本
体の上部に設けられ上記空間部に供給された上記洗浄液
と接触するとともにその板面に取着された振動子によっ
て超音波振動しその振動を上記洗浄液に付与する振動板
と、上記装置本体に設けられ上記空間部の幅方向一側か
ら上記振動板に向けて上記洗浄液を供給する供給部と、
上記装置本体に設けられ上記供給部から上記空間部に供
給された洗浄液の一部を上記空間部の幅方向他端側から
排出する排出部とを具備したことを特徴とする。

【００１６】請求項１の発明によれば、装置本体の空間
部の幅方向一側に形成された供給部から空間部に供給さ
れた洗浄液の一部は上記空間部の幅方向他側に形成され
た排出部から排出される。それによって、振動板の下面
には洗浄液の流れが生じるから、振動板の下面に気泡が
付着しても、その気泡は洗浄液の流れによって除去され
る。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態を図
１乃至図３を参照して説明する。図１に示すこの発明の
超音波洗浄装置は装置本体１１を有する。この装置本体
１１は上面が開放した凹部１２が長手方向に沿って形成
された上部材１３と、この上部材１３の下面に第１のシ
−ル材１４を介して液密に接合固定された下部材１５と
によって細長い角柱状に形成されている。

【００１８】上記上部材１３の下部壁には長手方向に沿
って嵌合孔１６が穿設され、上記下部材１５の上面の幅
方向中央部分には上記嵌合孔１６に嵌合した凸部１７が
形成されている。

【００１９】上記下部材１５の凸部１７が形成された幅
方向中央部分には、一端を上面に開口させ、他端を下面
に開口させた空間部１８が長手方向に沿って形成されて
いる。この空間部１８の断面形状は、一端（上端）から
他端（下端）にゆくにつれて幅寸法が小さくなるテ−パ
状をなしていて、その下端開口は狭幅なノズル口１９と
なっている。

【００２０】上記空間部１８の開口した上端は矩形状の
薄い金属板からなる振動板２１によって液密に閉塞され
ている。つまり、この振動板２１は、その下面周辺部が
所定の厚さを有する枠状の第２のシ−ル材２２を介して
上記上部材１３の凹部１２の内底面に接合されている。
それによって、振動板２１は上記空間部１８の上部に下
面を臨ませて設けられている。

【００２１】上記振動板２１の上面には同じく枠状の押
え板２３が接合され、上記上部材１３に固定されてい
る。それによって、上記空間部１８の上端開口は液密に
閉塞されている。

【００２２】上記振動板２１の上面の幅方向中央部分、
つまり上記空間部１８と対応する部位には圧電素子から
なる複数の振動子２４（図２に示す）が上記振動板２１
の長手方向に沿って所定間隔で取着されている。

【００２３】上記振動板２１の上方には給電板２５が上
記押え板２３に保持部材２６を介して取り付けられてい
る。この給電板２５には上記振動子２４と弾性的に接触
した接触子２７が設けられている。上記給電板２５には
コイル２８が設けられ、このコイル２８を介して上記振
動子２４に給電されるようになっている。それによっ
て、上記振動子２４が超音波振動し、その超音波振動に
上記振動板２１が連動するようになっている。

【００２４】上記装置本体１１の下部材１５には、上記
空間部１８の幅方向一側に位置する主供給路３１が上記
装置本体１１の長手方向に沿って形成されている。この
主供給路３１の一端は上記装置本体１１の長手方向一端
面に開口し、そこには図示しない純水や薬液などの洗浄
液の供給源が接続される。

【００２５】上記主供給路３１には装置本体１１の長手
方向に所定間隔で形成された複数の分岐供給路３２が一
端を連通させている。この分岐供給路３２は上記装置本
体１１の上部材１３と下部材１５とにわたって形成され
ていて、他端を上記上部材１３の凹部１２の内底面の上
記振動板２１によって覆われた部分、つまり上記空間部
１８の上端側の幅方向一側に連通するよう開口させてい
る。

【００２６】上記空間部１８の幅方向他側で、装置本体
１１の下部材１５には主排出路３３が長手方向ほぼ全長
にわたって形成されている。この主排出路３３には、装
置本体１１の長手方向に所定間隔で形成された分岐排出
路３４の下端が連通している。この分岐排出路３４の上
端は上記空間部１８の上端側の幅方向他側に連通するよ
う開口している。

【００２７】上記分岐供給路３２と分岐排出路３４と
は、図２に示すように装置本体１１の長手方向において
位置をずらして形成されている。上記分岐供給管３２か
ら空間部１８に供給される洗浄液の量はノズル口１９と
分岐排出路３４から流出する量よりも多くなるよう設定
されている。

【００２８】それによって、分岐供給路３２から空間部
１８に供給された洗浄液は、この空間部１８内で圧力が
上昇して上記ノズル口１９から噴出するとともに、一部
は上記分岐排出路３４から排出されるようになってい
る。

【００２９】つぎに、上記構成の超音波洗浄装置の作用
について説明する。装置本体１１の空間部１８には、主
供給路３１から分岐供給路３２を通じて洗浄液が供給さ
れる。洗浄液が空間部１８内に供給される量は、ノズル
口１９と分岐排出路３４からの流出量よりも多く設定さ
れているから、空間部１８内は所定の圧力に上昇する。

【００３０】空間部１８内の圧力が上昇することで、洗
浄液はノズル口１９から図示しない被洗浄物に向かって
勢いよく噴出する。また、分岐供給管３２から空間部１
８へ供給された洗浄液の一部は分岐排出路３４へ流入
し、主排出路３３から排出されることで、振動板２４の
下面には図３に矢印Ｚで示すようにその幅方向に沿う流
れが生じる。

【００３１】空間部１８に供給された洗浄液には気体が
含まれていて、その気体は気泡となって空間部１８を上
昇し、振動板２４の下面に付着する。しかしながら、振
動板２４の下面に付着した気泡は、洗浄液の一部が分岐
供給路３２から分岐排出路３４に向かって流れること
で、その流れにより振動板２４から除去される。

【００３２】そのため、空間部１８内に洗浄液が供給さ
れることで気泡がつぎつぎに発生しても、その気泡が振
動板２４に付着して成長するということがなくなるか
ら、振動板２４が部分的に洗浄液によって冷却されなく
なって異常に温度上昇して熱変形したり、振動板２４に
接着された振動子２４が温度上昇によって剥離するなど
のことを防止できる。さらに、振動板２４に気泡が付着
することで、気泡により超音波振動が減衰されるとうこ
とがなくなるから、振動板２４の超音波振動が洗浄液に
効率よく伝播させることができる。

【００３３】この発明は上記一実施形態に限定されず、
種々変形可能である。たとえば、図４に示すように主排
出路３３に排液管４１を介して廃液ポンプ４２を接続
し、空間部１８内の洗浄液を強制的に排出させること
で、振動板２４の下面側にその幅方向に沿う流れを生じ
させるようにしてもよい。その場合、上記排液管４１に
流量の調整弁４３を設ければ、振動板２４の下面側に沿
う洗浄液の流れの速度を制御することができる。

【００３４】

【発明の効果】以上述べたように請求項１の発明は、装
置本体の空間部の幅方向一側に形成された供給部から空
間部に供給された洗浄液の一部は上記空間部の幅方向他
側に形成された排出部へ排出される。

【００３５】それによって、振動板の下面には洗浄液の
流れが生じ、その流れで振動板の下面に付着した気泡が
除去されるから、振動板に付着した気泡によって洗浄液
による振動板の冷却作用が妨げられたり、超音波振動の
伝播効率が低下するなどのことがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施形態を示す超音波洗浄装置の
縦断面図。

【図２】同じく図１のＡ−Ａ線に沿う横断面図。

【図３】同じく空間部における洗浄液の流れを説明する
ための拡大図。

【図４】この発明の他の実施形態を示す超音波洗浄装置
の縦断面図。

【図５】従来の超音波洗浄装置を示す縦断面図。

【符号の説明】

１１…装置本体 １８…空間部 ２１…振動板 ２４…振動子 ３１…主供給路 ３２…分岐供給路 ３３…主排出路 ３４…分岐排出路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動
   を付与するための超音波洗浄装置において、 下面に開口した空間部が形成されこの空間部内に供給さ
   れた上記洗浄液を上記開口から流出させる装置本体と、 この装置本体の上部に設けられ上記空間部に供給された
   上記洗浄液と接触するとともにその板面に取着された振
   動子によって超音波振動しその振動を上記洗浄液に付与
   する振動板と、 上記装置本体に設けられ上記空間部の幅方向一側から上
   記振動板に向けて上記洗浄液を供給する供給部と、 上記装置本体に設けられ上記供給部から上記空間部に供
   給された洗浄液の一部を上記空間部の幅方向他端側から
   排出する排出部とを具備したことを特徴とする超音波洗
   浄装置。