JPH1072406A - 反強誘電性液晶化合物 - Google Patents

反強誘電性液晶化合物

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JPH1072406A
JPH1072406A JP8228447A JP22844796A JPH1072406A JP H1072406 A JPH1072406 A JP H1072406A JP 8228447 A JP8228447 A JP 8228447A JP 22844796 A JP22844796 A JP 22844796A JP H1072406 A JPH1072406 A JP H1072406A
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liquid crystal
antiferroelectric liquid
antiferroelectric
crystal compound
compound
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Takakiyo Mine
高清 峰
Tomoyuki Yui
知之 油井
Masahiro Kino
正博 城野
Teruyo Tomiyama
照予 冨山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な反強誘電性液晶を見いだす。 【解決手段】 下記一般式(1) で表される反強誘電性液
晶化合物。 【化1】 (式中Rは直鎖アルキル基、X, Yは一方がフッ素原子で
他方が水素原子、mは 5以上の整数、nは2以上の整
数、C*は不斉炭素である。) 【効果】 チルト角が大きく、応答速度が比較的速い反
強誘電性液晶化合物が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な反強誘電性液晶物
質に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、低電圧作動性、低消費
電力性、薄型表示が可能である事等により、現在までに
各種の小型表示素子に利用されてきた。しかし、昨今の
情報、OA関連機器分野、あるいは、テレビ分野への液
晶表示素子の応用、用途拡大に伴って、これまでのCR
T表示素子を上回る表示容量、表示品質を持つ高性能大
型液晶表示素子の要求が、急速に高まってきた。
【0003】しかしながら、現在のネマチック液晶を使
用する限りにおいては、液晶テレビ用に採用されている
アクテイブマトリックス駆動液晶表示素子(TFT)で
も、製造プロセスの複雑さと歩留りの低さにより、その
大型化、低コスト化は容易ではない。又、単純マトリッ
クス駆動のSTN型液晶表示素子(STN)にしても、
大容量駆動は必ずしも容易ではなく、応答時間にも限界
があり動画表示は困難である。従って、ネマチック液晶
表示素子は、上記の高性能大型液晶表示素子への要求を
満足するものとはいい難いのが実状である。
【0004】さらに表示品質の面では、ネマチック液晶
を用いるTFT、STN表示素子のいずれにおいても視
野角の狭さが大きな問題となっている。種々の改善策が
提案されているが、ネマチック液晶を用いている限りに
おいてその抜本的改善策を見いだすことは困難である。
【0005】このような状況のなかで、高速,広視野角
液晶表示素子として注目されてきたのが、強誘電性液晶
を用いた液晶表示素子である。クラ−クとラガバ−ルに
より発表された表面安定化型強誘電性液晶(SSFL
C)素子は、その従来にない速い応答速度と広い視野角
を有する事が注目され、そのスイッチング特性は詳細に
検討されおり、種々の物性定数を最適化するため多くの
強誘電性液晶が合成されてきた。しかしながらしきい値
特性が不十分である、層の構造がシェブロン構造をして
いるなどから実用上問題のないコントラストを得るため
には、液晶の配向に関して特別な工夫が必要である。さ
らに液晶分子の配向制御が極めて困難で、SSFLCの
最大の特徴の1つである双安定性を再現性良く実現する
のは容易でない。また機械的衝撃に依って配向が破壊さ
れそれの回復が困難であるなどの問題があり、素子の実
用化には当たってはこれらの問題の克服が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、液晶
素子の大型化、高精細化のために新しいモードの開発を
含め様々な努力がなされているが、そのような状況の中
でこれらとはまったく別のスイッチング機構の素子の開
発も同時に進められている。反強誘電相を有する液晶物
質(以下、反強誘電性液晶物質と呼ぶ)の三安定状態間
のスイッチングが、これらの新しいスイッチング機構の
1つである(Japanese Journal of AppliedPhysics, Vo
l.27, pp.L729,1988)。
【0007】反強誘電性液晶素子は3つの安定な状態を
有する。すなわち、強誘電性液晶素子で見られる2つの
ユニフォ−ム状態(Ur, Ul)と第三状態である。この第三
状態が反強誘電相であることをChandaniらが報告してい
る(Japanese Journal ofApplied Physics, Vol.28, pp.
L1261, 1989、Japanese Journal of AppliedPhysics, V
ol.28, pp.L1265, 1989)。このような三安定状態間のス
イッチングが反強誘電性液晶素子の第1の特徴である。
【0008】反強誘電性液晶素子の第2の特徴は印加電
圧に対して明確なしきい値が存在することである。更に
メモリ−性を有しておりこれが反強誘電性液晶素子の第
3の特徴である。これらの優れた特徴を利用することに
より応答速度が速く、コントラストが良好な液晶表示素
子を実現できる。又、もう一つの大きな特徴として層構
造が電界により容易にスイッチングする事があげられる
(Japanese Journal of Applied Physics, Vol.28, pp.L
119,1989、Japanese Journal of Applied Physics, Vo
l.29, pp.L111, 1990) 。このことにより欠陥が極めて
少なく配向の自己修復能力のある液晶表示素子の作製が
可能となりコントラストに優れた液晶素子を実現でき
る。
【0009】反強誘電性液晶物質としては、特開平1-21
3390、同1-316339、同1-316367、同1-316372、同2-2812
8 の各公報、及びLiquid Crystals, Vol.6, pp.167, 19
89に記載のものが知られている。反強誘電性液晶に関す
る研究の歴史が浅いために現在までに知られている反強
誘電性液晶物質の数は強誘電性液晶に比べ多くはない
が、研究の進展にともなって次第にその数を増してい
る。
【0010】一方実用上の観点から反強誘電性液晶を見
た場合、次(1)-(4) のような特性を持つことが望まし
い。 (1) 素子の走査線数を多くするために(高精細化)、応
答速度が速いこと。 (2) 駆動のための電圧が低いこと。 (3) 高輝度の画面を実現するためにできるだけチルト角
が大きいこと。 (4) 反強誘電相が室温を中心として広い温度範囲で存在
すること。 一般的に上記の諸条件を単一の液晶で満たすことは困難
で、上記の条件の少なくとも1つの条件に優れた液晶
(主成分液晶)にその他の特性を補完する液晶を混合し
て液晶組成物を調製し実用材料とする。
【0011】現在まで合成されている反強誘電性液晶の
一般的な傾向として、応答速度が速く、しきい値電圧が
低い液晶はチルト角が小さく、またチルト角が大きい液
晶は応答速度が遅く、しきい値電圧が高い傾向が認めら
れている。また、反強誘電相の温度範囲に関しては、反
強誘電相の下限温度が室温付近であることが多い。一般
的に主成分液晶は、上記条件のうち特に(3) の条件を満
たしていることが望ましい。何故なら、チルト角は液晶
固有の値であり、添加物などによって大きくすることは
不可能であるからである。
【0012】一方、しきい値電圧は既に本発明者らが特
開平6-1845536 号で明らかにしたようにある種の液晶化
合物を混合することによって低下させることが可能であ
り、また、反強誘電相の温度範囲を室温付近を中心とす
ることは同じく本発明者らが特開平5-65486 号で明らか
にしたような方法で可能である。従って、できるだけチ
ルト角が大きく応答速度の早い液晶材料が求められる。
本発明はこの様な観点から行われたものであり、不斉炭
素上にトリフルオロメチル基、末端にエトキシ基を有す
る光学活性アルコールを用いてフッ素原子でジ置換され
たフェニル基を有するフェニルエステル液晶を製造した
とき、主成分液晶として用いるに十分に大きなチルト角
を有し、高速な応答速度を示す反強誘電性液晶が得られ
ることを見いだし本発明を完成したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(1) で表される反強誘電性液晶化合物である。
【0014】
【化2】 (式中Rは直鎖アルキル基、X, Yは一方がフッ素原子で
他方が水素原子、m は5以上の整数 n は2以上の整
数、C*は不斉炭素である。)
【0015】該一般式(1) において、Rで示される直鎖
アルキル基の炭素数が8〜10であることが、チルト角と
応答速度のバランスの上から好ましい。また、mが5、
nが2である場合が反強誘電相の温度範囲等の点から好
ましい。
【0016】本発明で用いられる光学活性アルコール
は、すでに本発明者らが特願平5-126086号の光学活性ア
ルコールの製造法については明らかにしている。その製
造を式にて CF3C*H(OH)(CH2)5OC2H5について示すと下記
で表される。 (イ) Br(CH2)5Br + NaOEt → C2H5O(CH2)5Br (ロ) C2H5O(CH2)5Br + Mg → C2H5O(CH2)5MgBr (ハ) CF3COOH + (ロ) → CF3CO(CH2)5OC2H5 (ニ) (ハ) + NaBH4 → CF3CH(OH)(CH2)5OC2H5 (ホ) (ニ) + AcCl → CF3CH(OAc)(CH2)5OC2H5 (ヘ) (ホ) + (リパーゼ) → (R) CF3CH(OH)(CH2)5OC2H5 + (S) CF3CH(OAc)(CH2)5OC2H5
【0017】
【発明の効果】本発明は、新規な反強誘電性液晶物質を
提供する事ができるものである。本発明の新規な反強誘
電性液晶化合物は、大きなチルト角を有し、かつ応答速
度が早いので実用液晶材料の主成分として用いることが
できる。
【0018】
【実施例】次に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はもちろんこれに限定され
るものではない。 実施例1 (一般式(1) : R=C9H19, X=F, Y=H, m=5, n=2 (E1)) R-(+)-2,5-ジフルオロ-4-(1-トリフルオロメチル−6-エ
トキシ−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル=4-(4'-
n-ノニルオキシビフェニル)カルボキシレートの製造。
【0019】(1) 4-(4'-n-ノニルオキシビフェニル) カ
ルボン酸の製造。 4-(4'-ヒドロキシビフェニル) カルボン酸 10gとn-ノニ
ルブロマイド 14.0gとをエタノール 1,500ml(ミリリット
ル)、水 200mlの混合液に加え、還流下で10時間反応させ
た。更に水 500mlを加え3時間攪拌した。反応終了後、
濃塩酸を加えて酸性としてから、溶媒を 500ml留去して
室温まで冷却し白色固体を得た。これを充分水洗してか
ら、クロロホルムより再結晶し、目的物(1) を白色結晶
として14.2gを得た。
【0020】(2) 2,5-ジフルオロ−4-アセトキシ安息香
酸の製造。 2,5-ジフルオロ−4-ヒドロキシ安息香酸 5.8g と無水酢
酸 8.1g とを2口フラスコに取り混合した。水冷下、硫
酸を5滴添加した。発熱がおさまってから80℃で30分間
加熱した。その後、反応混合物を冷水中にあけ、析出し
た結晶をろ過した。結晶は真空乾燥した後、次の工程で
使用した。収量は 5.4g であった。
【0021】(3) R-(+)-2,5-ジフルオロ−4-アセトキシ
-1-(1-トリフルオロメチル−6-エトキシ−ヘキシルオキ
シカルボニル)ベンゼンの製造。 2,5-ジフルオロ−4-アセトキシ安息香酸 1.8g を塩化チ
オニル 10ml に加え、還流下で5時間反応させた。次に
過剰の塩化チオニルを留去してから、ピリジン1ml、乾
燥エーテル 4ml、R-(+)-7-エトキシ−1,1,1-トリフルオ
ロヘプタン−2-オール 1.7g の混合物を滴下した。滴下
後、1昼夜室温で攪拌し、エーテル 200mlで希釈して、
有機層を希塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液、水の順で
洗浄し、硫酸マグネシュウムで乾燥した。溶媒を留去し
て粗製の目的物をヘキサン/酢酸エチルを溶媒とするシ
リカゲルカラムクロマトで精製して目的物を 2.1g 得
た。
【0022】(4) R-(+)-2,5-ジフルオロ−4-ヒドロキシ
-1-(1-トリフルオロメチル−6-エトキシ−ヘキシルオキ
シカルボニル)ベンゼンの製造。 (3) で得た化合物 0.9g を、エタノール 30ml に溶解さ
せて、ベンジルアミン3g を滴下した。更に、室温で1
昼夜攪拌した後、エーテル 300mlで希釈して、希塩酸、
水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
留去してから、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで
単離精製し、目的物 0.55gを得た。
【0023】(5) 4-(4'-n-ノニルオキシビフェニル) カ
ルボン酸クロライドの製造。 (1) で製造した4-(4'-n-ノニルオキシビフェニル) カル
ボン酸 10g に塩化チオニルを大過剰加え5時間還流し
た。過剰の塩化チオニルを留去し粗製の目的化合物を得
た。
【0024】(6) R-(+)-2,5-ジフルオロ-4-(1-トリフル
オロメチル−6-エトキシ−ヘキシルオキシカルボニル)
フェニル=4-(4'-n-ノニルオキシビフェニル)カルボキ
シレートの製造。 (5) で得た粗製の4-(4'-n-ノニルオキシビフェニル) カ
ルボン酸クロライド0.7gと (4)で得たフェノール誘導体
0.5g とをトルエン 25ml に溶解し、ピリジン 3mlを加
えて、室温で1昼夜攪拌した。反応混合物をジクロロメ
タン 150mlで希釈し、1N塩酸水、1N水酸化ナトリウム水
溶液、水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、溶媒を留去した。得られた粗製物をシリカゲルカラ
ムクロマト(ヘキサン/ 酢酸エチル=9/1)で精製し、0.
5gの目的液晶化合物を得た。
【0025】実施例2 (一般式(1) : R=C9H19, X=H, Y=F, m=5, n=2 (E2)) R-(+)-3,5-ジフルオロ-4-(1-トリフルオロメチル−6-エ
トキシ−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル=4-(4'-
n-ノニルオキシビフェニル)カルボキシレートの製造。 実施例1において 2,5−ジフルオロ−4-ヒドロキシ安息
香酸に代えて、2,6-ジフルオロ−4-ヒドロキシ安息香酸
を用いた以外は実施例1とまったく同様に操作して目的
物を得た。
【0026】実施例3、4 (一般式(1) : R=C8H17, X=H, Y=F, m=5, n=2 (E3)) R-(+)-3,5-ジフルオロ-4-(1-トリフルオロメチル−6-エ
トキシ−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル=4-(4'-
n-オクチルオキシビフェニル)カルボキシレート、およ
び (一般式(1) : R=C10H21, X=H, Y=F, m=5, n=2 (E4)) R-(+)-3,5-ジフルオロ-4-(1-トリフルオロメチル−6-エ
トキシ−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル=4-(4'-
n-デシルオキシビフェニル)カルボキシレートの製造。
【0027】実施例2における4-(4'-n-ノニルオキシビ
フェニル) カルボン酸の代わりに、それぞれ、4-(4'-n-
オクチルオキシビフェニル) カルボン酸 (実施例3 E
3)、4-(4'-n-デシルオキシビフェニル) カルボン酸 (実
施例4 E4)を用いた以外は、実施例2とまったく同様に
操作して目的物を得た。
【0028】比較例1、2 (一般式(1) : R=C8H17, X=F, Y=H, F→H, m=5, n=2 (CE1)) (注) [F→H]は一般式(1) でベンゼン核の3-位のフッ素
置換がないことを示す。R-(+)-2-フルオロ-4-(1-トリフ
ルオロメチル−6-エトキシ−ヘキシルオキシカルボニ
ル)フェニル=4-(4'-n-オクチルオキシビフェニル)カ
ルボキシレート、および (一般式(1) : R=C9H19, X=H, Y=H, m=5, n=2 (CE2)) R-(+)-3-フルオロ-4-(1-トリフルオロメチル−6-エトキ
シ−ヘキシルオキシカルボニル) フェニル=4-(4'-n-ノ
ニルオキシビフェニル)カルボキシレートの製造
【0029】実施例1において、2,5-ジフルオロ−4-ヒ
ドロキシ安息香酸の代わりに、それぞれ、3-フルオロ−
4-ヒドロキシ安息香酸 (比較例1 CE1)、2-フルオロ−4-
ヒドロキシ安息香酸 (比較例2 CE2)を用いた以外は実施
例1と全く同様にして目的物を得た。
【0030】実施例1〜4及び比較例1、2で得た目的
物の 1H-NMR スペクトルデーターを表1に、その式を化
3に示した。液晶相の同定は、テクスチャー観察、及び
DSC(示差走差熱量計)の測定により行なった。その
結果を表2に示した。また、応答時間およびチルト角
(θ)を測定した結果を表3に示した。
【0031】光学応答の測定は以下のようにした。ラビ
ング処理したポリイミド薄膜を有する、ITO 電極付の液
晶セル(セル厚 2μm)に、上記化合物を等方相の状態
で充填した。このセルを、毎分 1.0℃で徐冷して、液晶
を配向させた。実施例1(E1)の化合物について、49℃で
光学応答を測定した結果を図1に示した。反強誘電相に
特有なダブルヒステリシスの応答履歴が認められた。測
定は、セルを直交する偏向板間に液晶の層方向がアナラ
イザーまたはポラライザーと平行になるように設置し、
セルに±30V, 0.5Hzの三角波電圧を印加して、透過光量
の変化をフォトマルチプライヤーにより測定することに
よった。なお、図中の○印の点は透過率が10%、90%で
あることをそれぞれ示す。
【0032】応答時間の測定は下記によった。光透過率
の最小を0%、最大を 100%と定義し、測定に用いる三
角波電圧は、〔しきい値電圧+セルギャップ(μm)×
5 (V/μm)〕よりの電圧とした。そして、応答時間
I: 反強誘電から強誘電状態へ変化する際に光透過率が
10%から90%に達するに要する時間 (μ秒) 、応答時間
II: 強誘電状態から反強誘電状態へ変化する際に光透過
率が90%から10%に達するに要する時間をと定義し応答
時間 (μ秒) とした。チルト角 (θ) は、30Vの電圧を
印加して暗視野が出るまでサンプルを回転しその角度か
ら求めた。測定温度は、反強誘電相の高温側転移温度よ
り10℃低い温度とした。
【0033】表3から、フェニル基の2位置にのみフッ
素置換された比較例1(CE1)の化合物は、応答速度は極め
て速いが、チルト角が極端に小さいので、主成分液晶と
して使うのは困難である。フェニル基の3位置にのみフ
ッ素置換された比較例2(CE2)の化合物は、チルト角、応
答速度の比較的バランスの取れた液晶であるが、チルト
角をもっと大きくするか、応答速度を速くできれば、更
に有効な主成分液晶となる。
【0034】実施例1(E1) は、比較例1(CE1)の化合物の
フェニル基の5位置にもフッ素置換をした化合物に相当
し、この場合、応答速度Iをそれほど遅くせず、チルト
角を大きくできる。実施例2-4(E2-4) は、比較例2(CE2)
の化合物のフェニル基の5位置にもフッ素置換をした化
合物であり、この場合、応答速度をそれほど遅くするこ
となく、チルト角を大きくできる。
【0035】
【発明の効果】本実施例で得られた反強誘電性液晶は、
反強誘電の温度範囲が広く、チルト角が大きく、応答速
度も比較的早い。従って、主成分液晶として有用であ
る。
【0036】
【化3】
【0037】
【表1】 1H 2H 3H 4H 5H 6H 7H 8H 実施例1 (E1) 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 7.8 5.6 実施例2 (E2) 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.0 7.0 5.6 実施例3 (E3) 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.0 7.0 5.6 実施例4 (E4) 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.0 7.0 5.6 比較例1 (CE1) 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.4 7.9 5.6 比較例2 (CE2) 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 8.0 5.6
【0038】
【表2】 相 系 列 実施例1 (E1) Cr(43)SCA*(59)SX(61)SA(68)I 実施例2 (E2) Cr(23)SCA*(69)I 実施例3 (E3) Cr(40)SCA*(73)Cr 実施例4 (E4) Cr(32)SCA*(69)Cr 比較例1 (CE1) Cr(43)SCA*(69)SA(88)I 比較例2 (CE2) Cr(<-50)SCA*(77)SC*(83)I 表の相系列記載中の () 内の数値は転移温度 (℃) 、Iは等方相、SAはスメク チックA相、SXは未同定の相、SC* は強誘電相、SCA*は反強誘電相、Crは結晶相 を示す。
【0039】
【表3】 測定温度 応答時間 (μ秒) チルト角 (℃) I II 測定電圧(V) (°) 実施例1 (E1) 49 52 21000 17.5 31 実施例2 (E2) 59 232 3800 22 41 実施例3 (E3) 63 96 1900 27 39 実施例4 (E4) 59 281 5700 25 42 比較例1 (CE1) 59 24 24 14 24 比較例2 (CE2) 67 106 7700 13.5 35
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た液晶化合物に三角波電圧を印加
した時の光学応答を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨山 照予 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) で表される反強誘電性液
    晶化合物。 【化1】 (式中Rは直鎖アルキル基、X, Yは一方がフッ素原子で
    他方が水素原子、m は5以上の整数 n は2以上の整
    数、C*は不斉炭素である。)
  2. 【請求項2】 該一般式(1) のRの炭素数が8〜10であ
    る請求項1記載の反強誘電性液晶化合物。
  3. 【請求項3】 mが5である請求項1記載の反強誘電性
    液晶化合物。
  4. 【請求項4】 nが2である請求項1記載の反強誘電性
    液晶化合物。
JP8228447A 1996-08-29 1996-08-29 反強誘電性液晶化合物 Pending JPH1072406A (ja)

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