JPH1180092A - 液晶化合物 - Google Patents

液晶化合物

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JPH1180092A
JPH1180092A JP10002428A JP242898A JPH1180092A JP H1180092 A JPH1180092 A JP H1180092A JP 10002428 A JP10002428 A JP 10002428A JP 242898 A JP242898 A JP 242898A JP H1180092 A JPH1180092 A JP H1180092A
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JP
Japan
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liquid crystal
phase
ferrielectric
crystal compound
compound
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JP10002428A
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English (en)
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Takakiyo Mine
高清 峰
Tomoyuki Yui
知之 油井
Masahiro Kino
正博 城野
Hironori Motoyama
裕規 本山
Hiroshi Mineta
浩 嶺田
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な構造を有する液晶化合物を得る。 【解決手段】 下記一般式(1) で表される液晶化合物。 【化1】 (式中、Rは炭素数 6〜12の直鎖アルキル基、Xおよび
Yは共に水素原子であるか或いは一方が水素原子で他方
がフッ素原子であり、mは 0〜5 の整数、nは 1〜5 の
整数、C*は不斉炭素である。) 【効果】 新規な液晶化合物が得られた。本液晶化合物
は、反強誘電相またはフェリ誘電相が液晶相系列中で最
も広い温度範囲で存在しているので反強誘電性液晶化合
物またはフェリ誘電性液晶化合物と称することができ
る。そして、反強誘電相またはフェリ誘電相は、広い実
用的温度範囲を有し、かつ、低い融点を有し、液晶表示
素子材料の主成分或いは液晶組成物の一成分として優れ
た価値を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光学活性部を有
する液晶化合物であり、主に該光学活性部の種類によ
り、反強誘電性液晶またはフェリ誘電性液晶として好適
に使用できる液晶化合物にに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子 (LCD) は、従来のブラ
ウン管ディスプレイ(CRT)に代わるフラットパネル
ディスプレイとして、既にポータブル機器を中心に普及
しつつある。最近のパーソナルコンピュータやワードプ
ロセッサの機能拡大、および処理情報の大量化にともな
い、LCDにもより高い機能、すなわち大表示容量化、
フルカラー表示、広視野角、高速応答、高コントラスト
化等の機能が要求されている。
【0003】しかしながら、現在のネマチック液晶を使
用する限りにおいては、液晶テレビ用に採用されている
アクテイブマトリックス駆動液晶表示素子(TFT)で
も、製造プロセスの複雑さと歩留りの低さにより、その
大型化、低コスト化は容易ではない。一方、単純マトリ
ックス駆動のSTN型液晶表示素子(STN)にして
も、大容量駆動は必ずしも容易ではなく、応答時間にも
限界があり動画表示は困難である。従って、ネマチック
液晶表示素子は、上記の高機能大型液晶表示素子への要
求を満足するものとはいい難いのが実状である。
【0004】さらに表示品質の面では、ネマチック液晶
を用いるTFTおよびSTNのいずれの表示素子におい
ても視野角の狭さが大きな問題となっている。種々の改
善策が提案されているが、ネマチック液晶を用いている
限りにおいてその抜本的改善策を見いだすことは困難で
ある。
【0005】このような状況のなかで、高速、広視野角
液晶表示素子として注目されてきたのが、強誘電性液晶
を用いた液晶表示素子である。クラークとラガバールに
より発表された表面安定化型強誘電性液晶 (SSFL
C) 素子は、その従来にない速い応答速度と広い視野角
を有する事が注目され、そのスイッチング特性は詳細に
検討され、種々の物性定数を最適化するため多くの強誘
電性液晶化合物が合成されてきた。
【0006】しかしながら、強誘電性液晶はしきい値特
性が不十分である、層の構造がシェブロン構造をしてい
るなどから実用上問題のないコントラストを得るために
は、液晶の配向に関して特別な工夫が必要である。さら
に、液晶分子の配向制御が極めて困難であり、SSFL
Cの最大の特徴の1つである双安定性を再現性良く実現
するのは容易でない。また、機械的衝撃に依って配向が
破壊されそれの回復が困難であるなどの問題があり、素
子の実用化には当たってはこれらの問題の克服が必要で
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、液晶
素子の大型化、高精細化のために新しいモードの開発を
含め様々な努力がなされているが、そのような状況の中
でこれらとはまったく別のスイッチング機構の素子の開
発も同時に進められている。その一つは、反強誘電相を
有する液晶化合物の反強誘電相における三安定状態間の
スイッチングが、これらの新しいスイッチング機構の1
つである(JapaneseJournal of Applied Physics, Vol.2
7, pp.L729, (1988))。
【0008】反強誘電性液晶素子(または反強誘電相を
用いた液晶素子)は3つの安定な状態を有する。すなわ
ち、強誘電性液晶素子で見られる2つのユニフォ−ム状
態(Ur, Ul)と第三状態である。この第三状態が反強誘電
相であることを Chandani らが報告している〔Japanese
Journal of Applied Physics, Vol.28, pp.L1261, (19
89) 、Japanese Journal of Applied Physics, Vol.28,
pp.L1265, (1989) 〕。このような三安定状態間のスイ
ッチングが反強誘電性液晶素子の第1の特徴である。
【0009】反強誘電性液晶素子の第2の特徴は印加電
圧に対して明確なしきい値が存在することである。更に
メモリー性を有しておりこれが反強誘電性液晶素子の第
3の特徴である。これらの優れた特徴を利用することに
より応答速度が速く、コントラストが良好な液晶表示素
子を実現できる。もう一つの大きな特徴として層構造が
電界により容易にスイッチングする事があげられる〔Ja
panese Journal of AppliedPhysics, Vol.28, pp.L119,
(1989)、Japanese Journal of Applied Physics, Vol.
29, pp.L111, (1990)〕。このことにより欠陥が極めて
少なく配向の自己修復能力のある液晶表示素子の作製が
可能となりコントラストに優れた液晶素子を実現でき
る。
【0010】反強誘電性液晶化合物としては、特開平1-
213390号公報、同1-316339号、同1-316367号、同1-3163
72号、同2-28128 号の各公報、及びLiquid Crystals, V
ol.6, pp.167, (1989)に記載のものが知られている。現
在までに知られている反強誘電性液晶化合物の数は強誘
電性液晶化合物に比べ多くはないが、研究の進展にとも
なって次第にその数を増している。
【0011】一方、強誘電性液晶化合物の分野におい
て、光学活性源として不斉炭素上にフッ素置換した下記
の光学活性アルコールを使用し強誘電性液晶を合成する
試みが盛んに行われている(例えば、特開昭64-3154 号
公報、特開平1-316339号公報、同1-316367号、同1-3163
72号、同2-225434号および同2-229128号の各公報)。 (1):CF3C*H(OH)CH2COOC2H5 (2):CF3C*H(OH)CH2CH2OC2H5 (2):CF3C*H(OH)CH2CH2CH2OC2H5 (4):CF3C*H(OH)C6H13 (5):CF3C*H(OH)C8H17 (6):C2F5C*H(OH)C8H17
【0012】これらの光学活性アルコールを用いて誘導
された強誘電性液晶化合物はいずれも不斉炭素上に電気
陰性度の大きいフルオロアルキル基が置換されているた
めに大きい自発分極を与えかつ比較的速い応答速度を与
える。更にこれらのうち、上記(4), (5) および(6) 等
の化合物を用いて誘導された液晶化合物は、反強誘電相
を有する液晶化合物或いはフェリ誘電相を有する液晶化
合物を与え易いことが認められている。しかしながら、
実用化を考えたとき、反強誘電性液晶化合物の数はなお
不十分であり、新しい反強誘電性液晶化合物が求められ
ていた。
【0013】また、反強誘電性液晶化合物である 4-(1-
メチルヘプチロキシカルボニル)フェニル=4-(4'-オク
チルオキシビフェニル)カルボキシレート (略称 MHPOB
C)において、フェリ誘電相 (SCγ* 相)が、1989年に初
めて発見された(JapaneseJournal of Applied Physics,
Vol.29, No.1, pp.L131-137 (1990)) 。
【0014】MHPOBCの構造式ならびに相転移温度(℃)
を次に示した。 構造式 : C8H17-O-Ph-Ph-COO-Ph-COO-C*H(CH3)-C6H13 但し、Phは1,4-フェニレン基、C*は不斉炭素を表す。 相系列 : Cr(30)SIA*(65)SCA*(118)SCγ*(119)SC*(12
1)SCα*(122)SA(147)I 但し、Crは結晶相、SIA*はカイラルスメクチックIA
相、SCA*はカイラルスメクチックCA相(反強誘電
相)、SCγ* はカイラルスメクチックCγ相(フェリ誘
電相)、SC* はカイラルスメクチックC相(強誘電
相)、SCα* はカイラルスメクチックCα相、SAはスメ
クチックA相、I は等方相を示す。
【0015】フェリ誘電相を説明するために、図1にフ
ェリ誘電相における分子配列状態を、図2にフェリ誘電
相における三角波に対する光学応答を示した。フェリ誘
電相では図1の FI(+)(印加電圧が正の場合)あるいは
FI(-)(印加電圧が負の場合)の分子配列状態をしてい
る。電場のない状態では FI(+)とFI(-)とは等価である
ので共存している。従って、平均的な光軸は層法線方向
となり、図1に示した偏光板の条件下では暗状態とな
る。この状態は、図2において電圧0で透過光強度が0
のところに相当する。
【0016】また、 FI(+)およびFI(-) は、分子配列状
態から明らかなようにそれぞれ自発分極を有するが、こ
れらの共存状態では自発分極を打ち消し合うため、平均
的な自発分極は零となる。このことから、フェリ誘電相
では、反強誘電相と同様に強誘電相に見られる焼き付き
現象から逃れられる。
【0017】フェリ誘電相において、電場を印加してい
くと、強誘電状態に達するよりも低い電圧で、まず、消
光位を持つ領域(ドメイン)が現れる。この領域は、強
誘電状態ほどではないが、法線方向より傾いた方向に光
軸を有していることを示している。この中間的な状態が
FI(+)またはFI(-) と考えられる。なお、この場合、図
2において、電圧 0Vと 4Vの間で連続的な透過光強度
の変化ではなく、階段上の透過光強度が観測されるはず
である。しかし、図2では連続的な透過光強度が観測さ
れた。これは FI(+)→FO(+) 、または FI(-)→FO(-) へ
のしきい値電圧が明確でないことによると考えられる。
本発明の対象である液晶化合物については、以上説明し
た中間状態が必ず観測される液晶相をフェリ誘電相と、
該フェリ誘電相がその相系列中で最も広い液晶化合物を
フェリ誘電性液晶化合物と呼ぶ。
【0018】さらに、印加電圧を高くすると、電場の向
きに応じ安定な状態である強誘電相FO(+) またはFO(-)
に相転移する。すなわち、図2において透過光強度が飽
和状態(左右の平坦部)となったものが FO(+)またはFO
(-) である。この強誘電状態 FO(+)あるいはFO(-) で
は、フェリ誘電状態 FI(+)あるいはFI(-) より更に大き
な自発分極が発現することが図1より分かる。以上のよ
うに、フェリ誘電相では、 FI(+)とFI(-) の共存状態を
暗、強誘電状態 FO(+)およびFO(-) を明として使用でき
る。
【0019】従来の強誘電相では FO(+)とFO(-) との間
のスイッチングであったのに対し、フェリ誘電相では F
O(+), FI(+), FI(-)およびFO(-) の4状態間でスイッチ
ングをするという大きな特徴を有している。しかしなが
ら、その表示原理はいずれも液晶の複屈折性を利用した
ものであり、視角依存性の小さな表示素子の作製が可能
である。
【0020】フェリ誘電相では図2に示されているよう
に、一般的にフェリ誘電状態から強誘電状態へ変化する
電圧と、強誘電状態からフェリ誘電状態へ変化する電圧
の差が小さい、即ちヒステリシスの幅が非常にせまい傾
向が強く、V字形の光学応答性を示すのが特徴で、アク
ティブマトリックス駆動(AM駆動)及びAM駆動にお
ける階調表示に適した性質を持っている。また、フェリ
誘電相では、フェリ誘電状態と強誘電状態との間の相変
化に必要な電圧 (相変化電圧) は、反強誘電相に比べて
はるかに小さい傾向を有し、フェリ誘電相はAM駆動に
適しているといえる。
【0021】しかしながら、現在まで合成されたフェリ
誘電性液晶化合物の数はきわめて少なく、更に従来知ら
れていたフェリ誘電性液晶化合物はAM駆動素子への応
用を考えたとき、ヒステリシス、相変化電圧の面で未だ
満足すべきものは見いだされていない。本発明はこの様
な観点から行われたものであり、不斉炭素上にトリフル
オロメチル基を有し、端部に等鎖長の分岐アルキル基を
有する新規な光学活性アルコールから誘導されたビフェ
ニルエステル型の液晶化合物は、広い温度範囲で反強誘
電相またはフェリ誘電相を有する液晶化合物が得られる
ことを見出し、本発明に到達したものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は下記
一般式(1) で表される液晶化合物である。本発明の一般
式(1) おいて、mは 0〜5 の整数、好ましくは0〜4の
整数であって、また、nは 1〜5 の整数、好ましくは1
〜3の整数である。
【0023】
【化2】 (式中、Rは炭素数 6〜12の直鎖アルキル基、Xおよび
Yは共に水素原子であるかまたは一方が水素原子で他方
がフッ素原子であり、mは 0〜5 の整数、nは 1〜5 の
整数、C*は不斉炭素である。)
【0024】前記一般式(1) において、mが1、3のと
きに、その液晶相系列中に反強誘電相が最も広い反強誘
電性液晶化合物を与える傾向にあり、また、一般式(1)
のmが2のときに、その液晶相系列中でフェリ誘電相が
最も広いフェリ誘電性液晶化合物を与える傾向がある。
このような傾向はmの値によって、明確に区別されるわ
けではなく、nの値、その他の基や置換基の種類によっ
て変わることがある。
【0025】本発明の液晶化合物のうち、反強誘電性液
晶化合物は、適宜、その1種または2種以上をもちいて
反強誘電性液晶組成物のベース用液晶化合物としてまた
はその改質のための添加用として好適に使用できる。そ
して、その反強誘電性液晶組成物は、特に単純マトリッ
クス液晶表示素子に好適に使用できる。また、本発明の
液晶化合物のうち、フェリ誘電性液晶化合物は、適宜、
その1種または2種以上をもちいてフェリ誘電性液晶組
成物のベース用液晶化合物としてまたはその改質のため
の添加用として好適に使用できる。そして、そのフェリ
誘電性液晶組成物は、各画素毎に薄膜トランジスタある
いはダイオード等の非線形能動素子を設置した基板間に
狭持することによって、アクティブマトリクス液晶表示
素子を形成することができる。
【0026】本発明で用いられる光学活性アルコール
は、本発明者らが既に明らかにした方法で容易に製造す
ることができる。その製造法の概略を n=2, n=2 の場
合について示せば、次の通りである。 (a) Br(CH2)2CH(C2H5)2 + Mg → MgBr(CH2)2CH(C2H5)2 (b) (a) + CF3COOH → CF3CO(CH2)2CH(C2H5)2 (c) (b) + (LiAlH4) → CF3CH(OH)(CH2)2CH(C2H5)2 (d) (c) + (CH3CO)2O → CF3CH(OCOCH3)(CH2)2CH(C2H5)2 (e) (d) + (リパーゼ) → R-(+) CF3C*H(OH)(CH2)2CH(C2H5)2 + S-(-) CF3C*H(OCOCH3)(CH2)2CH(C2H5)2
【0027】上記反応を簡単に説明すると、(a) はグリ
ニヤー試薬の調製である。(b) はグリニヤー試薬とトリ
フルオロ酢酸との反応による増炭反応である。(c) はケ
トンの還元反応である。(d) はラセミアルコールの無水
酢酸によるアセチル化である。(e) は、アセテートのリ
パーゼ (例えばリパーゼMY) による不斉加水分解反応
である。この反応により、R−体の目的光学活性アルコ
ールとS−体のアセテートが得られる。このS−体のア
セテートの加水分解により、S−体の光学活性アルコー
ルが得られる。
【0028】また、本発明における液晶化合物は、前記
光学活性アルコールを使用して、例えば、本発明者らが
既に明らかにした方法(特開平3-292388号公報) を準用
して容易に製造できる。その製造法の概略を m=2, n=
2 の場合について示せば、次の通りである。 (1) AcO-Ph(X)-COOH + SOCl2 → AcO-Ph(X)-COCl (2) (1) + CF3C*H(OH)(CH2)2CH(C2H5)2 → AcO-Ph(X)-COO-C*H(CF3)(CH2)2CH(C2H5)2 (3) (2) + Ph-CH2NH2 → HO-Ph(X)-COO-C*H(CF3)(CH2)2CH(C2H5)2 (4) R-O-Ph-Ph-COOH + SOCl2 → R-O-Ph-Ph-COCl (5) (3) + (4) → 目的液晶化合物 式中の Ac はアセチル基、-Ph(X)- は3-位にフッ素置換
していてもよい1,4-フェニレン基、Ph- はフェニル基、
-Ph-は1,4-フェニレン基、R は炭素数 6〜12の直鎖アル
キル基、C*は不斉炭素をそれぞれ示す。
【0029】上記製造法を簡単に説明すると次の通りで
ある。(1) はp−アセトキシ安息香酸の塩化チオニルに
よる塩素化反応である。(2) は塩化物(1) と光学活性ア
ルコールとの反応によるエステルの生成である。(3) は
エステル(2) の脱アセチル化である。(4) は 4'-アルキ
ルオキシビフェニル−4-カルボン酸の塩素化である。
(5) はフェノール(3) と塩化物(4) との反応による液晶
化合物の製造である。
【0030】
【発明の効果】本発明は、新規な構造を有する液晶化合
物を提供することができる。本発明により提供された液
晶化合物は、反強誘電相またはフェリ誘電相が液晶相系
列中で最も広い温度範囲で存在しているので反強誘電性
液晶化合物またはフェリ誘電性液晶化合物と称すること
ができる。反強誘電相またはフェリ誘電相は、広い実用
的温度範囲を有し、かつ、低い融点を有し、液晶表示素
子材料の主成分或いは液晶組成物の一成分として優れた
価値を有している。さらに、本発明の液晶化合物の中に
は、その液晶相系列を調べてみると極めてユニークなも
のが見出された。例えば、後述する実施例から明らかな
ように、その液晶相系列中にフェリ誘電相のみ有してい
るフェリ誘電性液晶化合物(実施例1、3、12、19およ
び23参照) または反強誘電相のみ有している反強誘電性
液晶化合物 (実施例2および21参照) が含まれている。
このような反強誘電相のみまたはフェリ誘電相のみを有
し、他の液晶相を有しない液晶化合物は、特異的であ
り、新しい材料としての利用が期待できる。
【0031】
【実施例】次に、実施例及び比較例を掲げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はもちろんこれに限定さ
れるものではない。
【0032】実施例1 (式(1): R=C9H19, X=H, Y=
F, m=2, n=1) R-(+)-3-フルオロ-4-(1-トリフル
オロメチル−4-メチル−ペンチルオキシカルボニル)フ
ェニル=4'−n-ノニルオキシビフェニル−4-カルボキシ
レートの製造。
【0033】(1) 4-(4'-n-ノニルオキシ)ビフェニルカ
ルボン酸の製造。 4-(4'-ヒドロキシ)ビフェニルカルボン酸 10.0gとn-オ
クチルブロマイド 14.0gとを、エタノール 1,500ml(ミリリ
ットル)と水 200mlとの混合液に加え、還流下で10時間反応
させた。更に、水 500mlを加え3時間攪拌した。反応終
了後、濃塩酸を加えて酸性としてから、溶媒を 500ml留
去して室温まで冷却し白色固体を得た。これを充分水洗
してから、クロロホルムより再結晶し、目的物を白色結
晶として 11.0g得た。
【0034】(2) 2-フルオロ−4-アセトキシ安息香酸の
製造。 2-フルオロ−4-ヒドロキシ安息香酸 4.3g と無水酢酸
8.4g とを2口フラスコに取り混合した。水冷下硫酸を
5滴添加した。発熱がおさまってから、80℃で30分間加
熱した。その後、反応混合物を冷水中にあけ、析出した
結晶をろ過した。結晶は真空乾燥した後、次の工程で使
用した。収量は 4.7g であった。
【0035】(3) R-(+)-2-フルオロ−4-アセトキシ-1-
(1-トリフルオロメチル−4-メチル−ペンチルオキシカ
ルボニル)ベンゼンの製造。 2-フルオロ−4-アセトキシ安息香酸 1.0g を塩化チオニ
ル 7mlに加え、還流下で5時間反応させた。次に過剰の
塩化チオニルを留去してから、ピリジン 1ml、乾燥エー
テル 4mlおよび R-(+)−1,1,1-トリフルオロ−2-ヒドロ
キシ−5-メチル−ヘキサン 0.6g の混合物を滴下した。
滴下後1昼夜室温で攪拌し、エーテル 200mlで希釈し
て、有機層を希塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液、水の
順で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去
して粗製の目的物をヘキサン/酢酸エチルを溶媒とする
シリカゲルカラムクロマトで精製して目的物を 1.1g 得
た。
【0036】(4) R-(+)-2-フルオロ−4-ヒドロキシ-1-
(1-トリルオロメチル−4-メチル−ペンチルオキシカル
ボニル)ベンゼンの製造。 上記(3) で得た化合物 1.0g を、エタノール 30ml に溶
解させて、ベンジルアミン 3g を滴下した。更に、室温
で1昼夜攪拌した後、エーテル 300mlで希釈して、希塩
酸、水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶
媒を留去してから、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで単離精製し、目的物 0.5g を得た。
【0037】(5) R-(+)-3-フルオロ-4-(1-トリフルオロ
メチル−4-メチル−ペンチルオキシカルボニル)フェニ
ル=4'−n-ノニルオキシビフェニル−4-カルボキシレー
トの製造。 上記(1) で得た化合物 1.0g に塩化チオニル 10ml を加
え、10時間加熱還流した。過剰の塩化チオニルを留去し
た後、ピリジン 10ml とトルエン 25ml とを加えてか
ら、上記(4) で得た化合物 0.5g を含むベンゼン溶液 2
5ml を滴下し、室温で10時間反応させた。反応終了後、
エーテル 300mlで希釈し、希塩酸、1N炭酸ナトリウム水
溶液、水の順で洗浄して、有機層を硫酸マグネシウムで
乾燥した。次に、溶媒を留去してから、シリカゲルクロ
マトグラフィーで単離した。ついでエタノールで再結晶
して目的物を 0.7g 得た。
【0038】実施例2〜23 実施例1において、 R-(+)−1,1,1-トリフルオロ−2-ヒ
ドロキシ−5-メチル−ヘキサン(m=2, n=1)に代えて、
R-(+)-1,1,1-トリフルオロ−2-ヒドロキシ−3-エチル−
ペンタン(m=0, n=2)、R-(+)-1,1,1-トリフルオロ−2-
ヒドロキシ−3-プロピル−ヘキサン(m=0, n=3)、R-
(+)-1,1,1-トリフルオロ−2-ヒドロキシ−4-メチル−ペ
ンタン(m=1, n=1)、R-(+)-1,1,1-トリフルオロ−2-ヒ
ドロキシ−4-エチル−ヘキサン(m=1, n=2)、R-(+)-1,
1,1-トリフルオロ−2-ヒドロキシ−4-プロピル−ヘプタ
ン(m=1, n=3)、R-(+)-1,1,1-トリフルオロ−2-ヒドロ
キシ−5-エチル−ヘプタン(m=2, n=2)、R-(+)-1,1,1-
トリフルオロ−2-ヒドロキシ−6-メチル−ヘプタン(m=
3, n=1)、R-(+)-1,1,1-トリフルオロ−2-ヒドロキシ−
6-エチル−オクタン(m=3, n=2)、R-(+)-1,1,1-トリフ
ルオロ−2-ヒドロキシ−7-メチル−オクタン(m=4, n=
1)、またはR-(+)-1,1,1-トリフルオロ−2-ヒドロキシ−
7-エチル−ノナン(m=4, n=2)を用いること、4-(4'-ノ
ニルオキシビフェニル)カルボン酸の代えて、4-(4'-ヘ
キシルオキシビフェニル)カルボン酸、4-(4'-ヘプチル
オキシビフェニル)カルボン酸、4-(4'-オクチルオキシ
ビフェニル)カルボン酸、4-(4'-デシルオキシビフェニ
ル)カルボン酸、4-(4'-ウンデシルオキシビフェニル)
カルボン酸、または4-(4'-ドデシルオキシビフェニル)
カルボン酸を用いること、2-フルオロ−4-ヒドロキシ安
息香酸の代えて、p-ヒドロキシ安息香酸、または3-フル
オロ−4-ヒドロキシ安息香酸を用いること、以外はそれ
ぞれ実施例1とまったく同様にして、一般式(1) のR、
X、Y、m、およびnをそれぞれ表2に記載のように代
えて目的物を製造した。
【0039】上記実施例1〜23で得た目的物の 1H-NM
R スペクトルデーターおよびその式をそれぞれ下記の化
3および表1に示した。液晶相の同定を行った結果を表
2に示した。液晶相の同定は、テクスチャヤー観察、コ
ノスコープ像の観察、及びDSC(示差走差熱量計)の
測定により行なった。コノスコープ像の観察はフェリ誘
電相の同定に有力な手段である。コノコスコープ像の観
察は文献(J.Appl.Phys.31,793,(1992))にしたがって行
った。
【0040】
【化3】
【0041】
【表1】 実施例1〜23の化合物の1H-NMRスペクトルデーター (δ(ppm)) 化3中の番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 実施例1-3 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 - 7.2 8.1 5.6 - 〃 4 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 - 7.2 8.1 5.7 1.5 〃 5 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 - 7.2 8.0 5.6 1.8 〃 6 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.4 8.2 7.4 8.2 5.6 1.8 〃 7 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 - 7.2 8.0 5.6 1.8 〃 8-13 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 - 7.2 8.1 5.6 1.8 〃 14 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.4 8.2 7.4 8.2 5.5 1.8 〃 15 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 - 8.0 7.4 8.0 5.6 1.8 〃 16 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.4 8.2 7.2 8.2 5.6 1.8 〃 17 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.4 8.2 7.4 8.2 5.6 1.8 〃 18-23 4.0 7.0 7.6 7.7 8.2 7.2 - 7.2 8.1 5.6 1.8
【0042】
【表2】一般式(1) の液晶化合物およびその相系列 実施例No. R X Y m n 相 系 列 1 9 H F 2 1 I(114)SCγ*(-7)Cr 2 9 H F 0 2 I(104)SCA*(98)Cr 3 9 H F 0 3 I(87) SCγ*(58)Cr 4 9 H F 1 1 I(118)SA(118)SCA*(85)Cr 5 9 H F 1 2 I(96)SC*(90)SCA*(55)Cr 6 9 H H 1 2 I(107)SA(102)SC*(91)SCA*(35)Cr 7 9 H F 1 3 I(74)SC*(59)SCA*(-21)Cr 8 6 H F 2 1 I(134)SA(128) SCγ*(75)SCA*(58)Cr 9 7 H F 2 1 I(125)SA(120) SCγ*(48)Cr 10 8 H F 2 1 I(121)SA(120) SCγ*(65)SCA*(30)Cr 11 10 H F 2 1 I(110)SCγ*(50)SCA*(-9)Cr 12 11 H F 2 1 I(104)SCγ*(-8)Cr 13 12 H F 2 1 I(102)SA(102) SCγ*(28)Cr 14 9 H H 2 1 I(125)SA(119) SCγ*(35)Cr 15 9 F H 2 1 I(104)SA(85)SCγ*(47)Cr 16 12 H H 2 1 I(106)SA(100) SCγ*(36)Cr 17 9 H H 2 2 I(103)SA(98)SCγ*(15)SX(0)Cr 18 8 H F 2 2 I(101)SA(101) SCγ*(<-20)Cr 19 9 H F 2 2 I(95) SCγ*(<-30)Cr 20 9 H F 3 1 I(103)SC*(101)SCA*(26)Cr 21 9 H F 3 2 I(84)SCA*(<-20)Cr 22 9 H F 4 1 I(96) SCγ*(78)SCA*(-8)Cr 23 9 H F 4 2 I(87) SCγ*(<-30)Cr 上表において、括弧内の数値は降温過程における転移温
度 (℃) を表し、Iは等方相、SAはスメクチックA相、
SC* は強誘電相、SCA*は反強誘電相、SCγ* はフェリ誘
電相、SXは未同定の液晶相、Crは結晶相を示す。
【0043】次に得られた実施例1、10、11、13、14の
フェリ誘電性液晶化合物の光学応答を調べた。セルは以
下の手順で作製した。絶縁膜(SiO2,膜厚 50nm)、 ITO電
極付きのガラス基板をポリイミドコーティング後(膜厚
約 80nm)、一対のガラス基板の片方のみをラビング処理
した。粒径 1.6μmのスペーサーを介し、一対のガラス
基板を貼り合わせテストセルとした。セル厚は 2μmで
あった。液晶が等方相となる温度まで加熱し、毛細管現
象によりテストセル中に前記液晶を注入した。その後、
1℃/分の速度で徐冷し液晶を平行配向させた。
【0044】光透過率は、透過光強度が最低を光透過率
0%、最高を光透過率 100%と定義した。相転移電圧
は、光透過率が90%における電圧とした。テストセルに
±10V, 5Hzの三角波電圧を印加し、フェリ誘電相から強
誘電相へ転移するときの電圧(相転移電圧I ) および強
誘電相からフェリ誘電相へ転移するときの電圧(相転移
電圧II) を表3に記載の温度で求めた。
【0045】
【表3】フェリ誘電性液晶の相転移電圧 実施例No. 1 10 11 13 14 相転移電圧I (V/μm) 2.4 2.2 2.0 1.8 1.9 相転移電圧II (V/μm) 2.1 1.7 1.3 1.4 1.5 測定温度 (℃) 60 110 100 90 109
【図面の簡単な説明】
【図1】フェリ誘電相の分子配列状態を示す図である。
FI(+), FI(-)はフェリ誘電状態、FO(+), FO(-)は強誘電
状態を表す。
【図2】フェリ誘電相における三角波電圧に対する光学
応答を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本山 裕規 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内 (72)発明者 嶺田 浩 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) で表される液晶化合物。 【化1】 (式中、Rは炭素数 6〜12の直鎖アルキル基、Xおよび
    Yは共に水素原子であるか或いは一方が水素原子で他方
    がフッ素原子であり、mは 0〜5 の整数、nは 1〜5 の
    整数、C*は不斉炭素である。)
  2. 【請求項2】 該一般式(1) において、mは 0〜4 であ
    る請求項1記載の液晶化合物。
  3. 【請求項3】 該一般式(1) において、nは 1〜3 であ
    る請求項1記載の液晶化合物。
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