JPH1072178A - ホームエレベータ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】車椅子を使用する人でも、容易に向きを変えて
かつ各階において異なる場所から便利に利用できる。 【解決手段】家屋の１以上の階に設ける複数のエレベー
タ家屋出入口９…を選択してともに開くエレベータカゴ
出入口３…を少なくとも２面に形成したエレベータカゴ
２の床面に、向き変え用の回転部４を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子等を使用し
て体の回転が困難である人であっても、各階の希望の部
屋、廊下等を選択して容易に移動でき、一般住宅に好適
に採用しうるホームエレベータ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、一般の複数階建の家屋にも、高齢
者、身体障害者等の人々にとって各階に楽に移動できる
いわゆるホームエレベータ装置を設置することが多くな
ってきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ホームエレベータ装置は、エレベータカゴの出入口が一
方向（一面）のみのものが一般的であり、各階において
定められた１つの場所でしか乗り降りできず、従って、
希望の場所から迅速に乗り降りしうる更に便利なホーム
エレベータ装置が求められている。

【０００４】又特に車椅子を使用する高齢者、身体障害
者等の人々にとっては、エレベータカゴ内で体の向きを
変えることが困難になりがちであり、その改善も強く要
請されている。

【０００５】本発明は、エレベータカゴの少なくとも２
面にエレベータカゴ出入口を形成し、かつエレベータカ
ゴの床面に、向き変え用の回転部を設けることを基本と
して、各階の希望の場所で選択して乗り降りでき、しか
も体の向きを容易に変えうる、特に車椅子を使用する人
にとって便利なホームエレベータ装置の提供を目的とし
ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明のホームエレベータ装置は、家屋の１以上の階
に設ける複数のエレベータ家屋出入口を選択してともに
開くエレベータカゴ出入口を少なくとも２面に形成した
エレベータカゴの床面に、向き変え用の回転部を設けた
ことを特徴としている。

【０００７】なおエレベータカゴに、前記回転部に沿う
手すり部を設けることが、昇降及び回動の際に手すりを
握って体を安定に保持することができ、安全性を高めう
る点で望ましい。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態の一例を
図面に基づき説明する。図において本発明のホームエレ
ベータ装置１は、家屋の１以上の階に設ける複数のエレ
ベータ家屋出入口９…を選択してともに開くエレベータ
カゴ出入口３を少なくとも２面に形成したエレベータカ
ゴ２の床面に、向き変え用の回転部４を設けている。又
本実施形態では、前記エレベータカゴ２は、前記回転部
４に沿う手すり部５を具える。

【０００９】前記家屋は、図１に１階部分を、図２に２
階部分を、図３に３階部分を夫々例示するように、本例
では３階建の建物であって、玄関Ｅに車椅子用のスロー
プＦを設けるとともに、１階部分のガレージＧ上の２、
３階部分に居室Ｈ１、Ｈ２を形成している。

【００１０】又１階部分から３階部分に貫通して設けら
れる平面矩形の空間に、前記エレベータカゴ２が配され
るエレベータ架構体１１が設置されるとともに、各階に
おいて、前記空間を囲む壁体の３面に、玄関Ｅ、廊下
Ｒ、部屋Ｉ（前記居室Ｈ、Ｈ２を含む）等に通じる前記
エレベータ家屋出入口９…を形成している。

【００１１】前記エレベータ架構体１１は、図４に示す
ように、Ｈ形鋼等からなる１対の柱１２、１２間に鋼製
の横架材１３…を水平に架け渡した基体１４を具えると
ともに、この基体１４に該基体１４の１面に取付けられ
る縦長の１対のレール１５、１５と、このレール１５、
１５の向き合う溝部に夫々車輪１７…が転動自在に挿入
されかつ直方体状の前記エレベータカゴ２を固着した支
持部材１６とを配設している。なおエレベータカゴ２
は、テレスコープ型のロッドの上端が前記支持部材１６
に固着される油圧ジャッキ１９によって、前記レール１
５、１５に沿って上下に昇降し、かつ各階で停止でき
る。

【００１２】エレベータ架構体１１の前記柱１２は、各
階の床部分において、鋼製の枠組上面に面材を添設し水
平力を負担しうるとともに家屋の床を形成する床パネル
（図示せず）の前記枠組に接続され、又小屋組部分にお
いては、屋根トラスの下弦材とブレース（ともに図示せ
ず）との接合部近傍に接続される。従って、エレベータ
架構体１１に作用する水平力を、前記床パネルの水平耐
力及びブレースと下弦材との軸力によって確実に支持で
き、エレベータ用の独立した鉄塔等の構築を不要としう
る。

【００１３】又前記エレベータカゴ２は、各階において
３面に設けられる前記エレベータ家屋出入口９…に対応
して、本例では、矩形箱状体の３面に、４枚の扉２０…
によって開閉される前記エレベータカゴ出入口３…を夫
々形成している。

【００１４】さらにエレベータカゴ２の床体２１は、図
５、図６に示すように、例えば断面コ字の溝形材からな
る枠材２２…をその溝部を向き合わせて矩形に接合した
外周枠２３を具えるとともに、この外周枠２３の内部
に、前記回転部４を配設している。

【００１５】回転部４は、図５〜９に示すように、垂直
な立片２４の上下端から水平なフランジ２５Ａ、２５Ｂ
を突出させかつこの突出端に垂直な上下のリップ２６
Ａ、２６Ｂを設けた円形の外枠体２７、この外枠体２７
と断面略同形を呈し外枠体２７の内周面に高さを揃えて
固着される円形の内枠体２９、この内枠体２９の内面に
外周縁部が固着されかつ前記外周枠２３上に添設される
床材３１と共にエレベータカゴ２の平坦な段差のない前
記床面を形成する床材３０、および前記外枠体２７下面
に周縁が添着される円板状の下材３２を具える回転構造
体３３を有する。

【００１６】なお前記下材３２は、中心に軸受部３２Ａ
を上方に突設しており、この軸受部３２Ａに、前記外周
枠２３下面に固定した底板３４の中心で立上がる軸３４
Ａを挿入することによって、前記回転構造体３３を回動
自在としている。

【００１７】又前記外枠体２７の立片２４外周には、前
記外周枠２３の内部かつ例えば１つの隅部に配設される
減速電動機（図示せず）に設けたピニオン３５に噛合す
るラック３６が全周に亘り固着されている。

【００１８】さらに回転部４の外周に沿う前記手すり部
５は、前記外枠体２７上に立設される外の手すり部３７
と、前記内枠体２９上に立設される内の手すり部３９と
を含む。

【００１９】外の手すり部３７は、前記外枠体２７の内
部かつ立片２４と上下のリップ２６Ａ、２６Ｂとに挟ま
れてこの間を周方向に転動する上下のローラ４０、４０
と、この上下のローラ４０、４０の中心から軸受（図示
せず）を介してかつ前記上のフランジ２５Ａに設けた周
方向孔２５ａを通って立上がる手すり子４１とから形成
される複数の手すり子部材４２…、およびこれらの手す
り子部材４２…の上端を継ぐ円弧状の手すり４３からな
る例えば４つの移動可能な手すり材４４…を具える。

【００２０】内の手すり部３９も、前記内枠体２９に沿
って移動できかつ前記手すり材４４と略同構成の４つの
手すり材４５…を具える。

【００２１】前記手すり材４４…、４５…は、図７に示
すように、回転部４を４等分した扇形部分の外縁に２つ
ずつ並べてかつ前記エレベータカゴ出入口３に対応させ
て配置されるとともに、隣り合う手すり材４４、４４及
び隣り合う手すり材４５、４５は、外端に設けた長孔４
６Ａに手すり子４１が挿入される棒状体４６、４６の内
端を前記回転構造体３３の内部で共に枢支することによ
り連結される。

【００２２】又隣り合う前記手すり材４４、４４及び隣
り合う前記手すり材４５、４５を連結する２つの前記棒
状体４６、４６には、内方に伸長しうるロッドを有する
シリンダ４７の該ロッドの先端に一端が夫々枢着される
２つの軸体４９、４９の各他端が枢着される。

【００２３】従って、図７に一点鎖線と二点鎖線とで示
すように、前記シリンダ４７のロッドの伸長によって、
隣り合う手すり材４４、４４及び手すり材４５、４５
を、選択して個別に両側に離間移動させることができ、
この隣り合う手すり材４４、４４又は手すり材４５、４
５を扉状に開けうる。

【００２４】なお図８（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）
は、外枠体２７及び内枠体２９の図７におけるＡ−Ａ、
Ｂ−Ｂ、Ｃ−Ｃ、Ｄ−Ｄ端面図であり、図８（Ａ）は手
すり材４４、４５を移動させる棒状体４６Ａ、４６Ｂが
共に動く部分、図８（Ｂ）は手すり材４５を移動させる
棒状体４６Ｂのみが動く部分、図８（Ｃ）は手すり材４
４を移動させる棒状体４６Ａのみが動く部分、図８
（Ｄ）は何れの棒状体４６Ａ、４６Ｂも配されない部分
を夫々示し、図８（Ｄ）に示されている部分では、外枠
体２７及び内枠体２９の各上下のリップ２６Ａ、２６Ｂ
を一体に連結して保持している。

【００２５】前記エレベータ家屋出入口９…を開閉する
扉５１…、前記扉２０…、回転部４を回動させる前記減
速電動機、および前記シリンダ４７…は、適宜の制御装
置を用いて統一して制御されるとともに、例えばエレベ
ータカゴ２の内部に設けたスイッチＳによって操作され
る。

【００２６】なおスイッチＳは、図１０に示すように、
各階の希望する場所に出るための本形態では９つのスイ
ッチ５２…を具える。

【００２７】以下、具体的な使用例の一つを図１１〜１
５に基づいて述べる。まず図１１に示すように、任意の
階の任意のエレベータ家屋出入口９の傍に設けたスイッ
チＰを、車椅子Ｊに座った使用者（以下使用者という）
が押す。

【００２８】エレベータカゴ２は、使用者の現在居る階
に来て止まり、図１２に示すように、前記スイッチＰが
傍に配されたエレベータ家屋出入口９の扉５１…、この
エレベータ家屋出入口９に向き合うエレベータカゴ出入
口３の扉２０…、およびこのエレベータカゴ出入口３に
対応する前記手すり材４４、４４又は手すり材４５、４
５（図示例では手すり材４４、４４）が開く。

【００２９】使用者が前記回転部４上に載り、かつスイ
ッチ５２…のうちの希望の階の希望の出場所を示すスイ
ッチ５２を押すと図１３に示すように、前記手すり材４
４、４４又は手すり材４５、４５、扉２０…、扉５１…
が閉まり、図１４に示すように、希望の出場所のエレベ
ータカゴ出入口３に向きを変えつつ希望の階に上昇又は
下降する。

【００３０】このように向きを変えながら同時に上昇又
は下降するように制御しておくと、ホームエレベータ装
置１の作動時間を短縮できる。なお上昇又は下降して希
望の階にエレベータカゴ２が止まった後、回転部４を回
転させて向き変えを行うようにしてもよい。

【００３１】希望の階に到着すると、図１５に示すよう
に、希望のエレベータ家屋出入口９の扉５１…、これに
対応するエレベータカゴ出入口３の扉２０…、およびこ
れに対応する手すり材４４、４４又は手すり材４５、４
５が開き、使用者は外に出ることが出来る。

【００３２】このように本発明によれば、車椅子Ｊを使
用する人にとっても、希望の階の希望の場所に（例えば
廊下Ｒを通らないで直接、部屋Ｉに）容易に向き変えし
て移動でき、便利なホームエレベータ装置１を提供しう
る。

【００３３】又本実施形態では、自動的に開閉する手す
り部５を設けているため、使用勝手を損ねることなく安
全性を向上しうる。なおこの手すり部５を自動開閉させ
る機構は、本実施形態に限らず、例えばチェーンを用い
るものなど、種々の機構を採用しうる。

【００３４】なお前記スイッチＳを前記スイッチＰに代
えて外に設けてもよく、又前記手すり部５は適宜省略す
ることも出来る。

【００３５】

【発明の効果】叙上の如く本発明のホームエレベータ装
置は、エレベータカゴ出入口を少なくとも２面に形成し
たエレベータカゴの床面に、向き変え用の回転部を設け
ているため、各階において少なくとも２つの場所、例え
ば廊下、部屋から乗り降りでき、便利性を向上しうると
ともに、前記回転部によって体の向きをエレベータ出入
口に合わせて容易に変えることができ、特に車椅子を使
用する人にとって更に便利に使用できる。

【００３６】又請求項２の発明において、エレベータカ
ゴが、前記回転部に沿う手すり部を具えるときには、昇
降及び回動の際に手すり部を握って安全性を高めること
ができ、高齢者、身体障害者等の人にとっても勝手よく
使用しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のホームエレベータ装置が採用されうる
家屋の１階部分を略示する平面図である。

【図２】本発明のホームエレベータ装置が採用されうる
家屋の２階部分を略示する平面図である。

【図３】本発明のホームエレベータ装置が採用されうる
家屋の３階部分を略示する平面図である。

【図４】エレベータ架構体を例示する斜視図である。

【図５】エレベータカゴを例示する部分破断斜視図であ
る。

【図６】エレベータカゴの床体を例示する部分断面図で
ある。

【図７】回転部と手すり部とを例示する平面図である。

【図８】（Ａ）は図７のＡ−Ａ線端端面図、（Ｂ）はＢ
−Ｂ線端面図、（Ｃ）はＣ−Ｃ線端面図、（Ｄ）はＤ−
Ｄ線端面図である。

【図９】回転部の構造を例示する部分斜視図である。

【図１０】スイッチを例示する正面図である。

【図１１】本発明のホームエレベータ装置の使用例を説
明するための線図である。

【図１２】本発明のホームエレベータ装置の使用例を説
明するための線図である。

【図１３】本発明のホームエレベータ装置の使用例を説
明するための線図である。

【図１４】本発明のホームエレベータ装置の使用例を説
明するための線図である。

【図１５】本発明のホームエレベータ装置の使用例を説
明するための線図である。

【符号の説明】

２ エレベータカゴ ３ エレベータカゴ出入口 ４ 回転部 ５ 手すり部 ９ エレベータ家屋出入口

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】家屋の１以上の階に設ける複数のエレベー
   タ家屋出入口を選択してともに開くエレベータカゴ出入
   口を少なくとも２面に形成したエレベータカゴの床面
   に、向き変え用の回転部を設けたことを特徴とするホー
   ムエレベータ装置。
2. 【請求項２】エレベータカゴは、前記回転部に沿う手す
   り部を具えることを特徴とする請求項１記載のホームエ
   レベータ装置。