JP3917166B1 - 建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】濡れ縁又はウッドデッキを敷設しなくても、高齢者等が日光浴や庭の景観を楽しみ、ストレスを和らげることができる建物を提供する。
【解決手段】この建物1は、部屋2の開口部を有する側壁3の外側に、開口部を塞ぐような垂直位置と開口部を開くような水平位置に保持可能とするものであって、両位置間で揺動可能であるように設けられる可動壁4と、天井材6に据えられた2台のウインチ61を有し、可動壁4の揺動を制御する揺動制御手段と、を備え、可動壁4は、水平位置に保持したとき、その表面が部屋2の床材5の表面と略面一になる。
【選択図】図4

Description

本発明は、高齢者等の使用に好適な建物に関する。
従来より、高齢者、病人、身障者等(以下、高齢者等)が快適に生活できるように色々と工夫された建物が提案又は実用化されてきた。例えば、特許文献1には、出入り可能で開閉可能な開口部である窓のサッシ下枠を室内の床材及び濡れ縁とほぼ同じ高さにし、高齢者等が車椅子に乗ったままでも楽に濡れ縁に移動して日光浴等ができる建物が記載されている。また、特許文献2には、屋内の床材と同じ高さにウッドデッキを敷設し、高齢者等が車椅子に乗ったままでも楽に中庭に出て庭の景観を楽しむことができる建物が記載されている。
特開平11−303511号公報 特開2001−349068号公報
しかし、特許文献1、2に記載されている濡れ縁又はウッドデッキは、高齢者等への配慮は認められるのであるが、それらを敷設することによりかなりの面積を占有することとなり、それらが敷設される庭は他の用途のために使える面積が狭くなる。また、敷設された濡れ縁又はウッドデッキは、その下方部分にごみが集まり易く、かつ、湿気が多くなり易いので、衛生的であるとは言えない場合もある。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、濡れ縁又はウッドデッキを敷設しなくても、高齢者等が日光浴や庭の景観を楽しみ、ストレスを和らげることができる建物を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の建物は、1の部屋の開口部を有する1つの側壁の外側に、開口部を塞ぐような垂直位置と開口部を開くような水平位置に保持可能とするものであって、両位置間で揺動可能であるように設けられる可動壁と、該可動壁の揺動を制御する揺動制御手段と、を備え、前記可動壁は、水平位置に保持したとき、その表面が前記部屋の床材の表面と略面一になり、前記床材の表面及び可動壁の表面にはガイドレールが設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の建物は、請求項1に記載された建物において、前記可動壁が水平位置に保持されたとき、床材の表面及び可動壁の表面と略面一になるように床材に固定された継ぎ床を更に備え、該継ぎ床と前記可動壁との間には下方に向かって直線的に広がる隙間が設けられていることを特徴とする。
本発明の建物によれば、1の部屋の開口部を有する1つの側壁の外側に、開口部を塞ぐような垂直位置と開口部を開くような水平位置に保持可能とするものであって、両位置間で揺動可能であるように設けられる可動壁を有しているので、庭の一部を常時占有することなく、また、その可動壁は、水平位置に保持したとき、その表面が前記部屋の床材の表面と略面一になりガイドレールが設けられることで、介護用ベッドの移動が容易になり、また、車椅子などによる移動が楽にできて高齢者等が日光浴や庭の景観を楽しむことができ、ストレスを和らげることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。本発明の望ましい実施形態に係る建物1は、1個の部屋2の開口部を有する1つの側壁3の外側に、開口部を塞ぐような垂直位置と開口部を開くような水平位置に保持可能とするものであって、両位置間で揺動可能であるように可動壁4が設けられている。図1及び図2は、可動壁4が垂直位置に保持されたときの(1の状態の)建物1を示す上面図及び右側面図である。図3及び図4は、可動壁4が水平位置に保持されたときの(他の状態の)建物1を示す上面図及び右側面図である。垂直位置に保持された可動壁4は、その表面が側壁3の外面にほぼ密着し、外からは可動壁4の裏面が観察される。一方、水平位置に保持された可動壁4は庭上に立設され、外からは可動壁4の表面が観察される。可動壁4を水平位置に保持したときには、高齢者等は側壁3の開口部を通って可動壁4の表面上に移動可能となる。そのとき、可動壁4の表面は、部屋2の床材5の表面と略面一になるようにしてある。なお、屋根部分は省略して示している。
可動壁4は、その基部4aが横長のほぼ長方形の平板状になっている。基部4aの横方向又は縦方向の大きさは、庭の広さ等に合わせて決められる。基部4aの床材5側の側方端部には、可動壁4を垂直位置と水平位置との間で揺動可能であるように、回転軸としての鋼製のシャフト41が一部を突出するようにして埋設されている。シャフト41の基部4aへの固定は、基部4aの左右に設けたシャフト固定具41a、41aによって行っている。また、側壁3の左右の柱32、32には、シャフト41を回転自在に支持する軸受31、31が固設されている。軸受31、31の垂直位置は、水平位置に保持された可動壁4の表面が床材5の表面と略面一になるように決められる。
この可動壁4の揺動は、揺動制御手段により制御される。すなわち、可動壁4は、揺動制御手段により、垂直位置と水平位置に保持可能とされ、両位置間で揺動可能となるのである。揺動制御手段は、2台のウインチ61、61と、それらに連結されて巻かれたり繰り出されたりし、かつ、先端に吊り金具62、62が取り付けられた2本のワイヤロープ63、63と、を有する。また、それぞれのワイヤロープ63用に、水平面での角度を変える滑車64と、垂直面での角度を変える滑車65と、を有する。2台のウインチ61、61は、部屋2の天井材6の上面左右に、側壁3の左右の柱にほぼ向かって斜めに据えられている。それぞれのワイヤロープ63は、滑車64により水平面での角度を変えられ、滑車65により垂直面での角度を変えられて吊り金具62によって可動壁4に結合されている。具体的には、吊り金具62は、後述の左右の可動壁支持体42、42に形成された側面突起部に係合されている。
ここで、2台のウインチ61、61を斜めに据え、滑車64によりワイヤロープ63、63の水平面での角度を変えることにより、ウインチ61、61を天井材6の上面の範囲にコンパクトに収めている。従って、ウインチ61、61のための特別なスペースも必要なく、ウインチ61、61も雨等に曝されることがない。また、比較的簡単な構成になっている。
揺動制御手段には他の構成として、シャフト41をモータにより回転させることも考えられる。
図5、図6及び図7はその構成を用いた変形例であり、可動壁4が垂直位置に保持されたときの(1の状態の)上面図、右側面図及び左側面図である。可動壁4の右側にはモータ用台座66aの上にモータ66が載置され、シャフト41は直接にモータ66により回転させられる。また、可動壁4の左側にはスプリングバランサ67が床梁50aに固定されて取り付けられ、内蔵のスプリング(図示せず)がシャフト41の回転に連動するように、アーム67a(図7において点線は可動壁4が水平位置の場合を示す)によりシャフト41に連結されている。可動壁4が垂直位置から水平位置に揺動するときにスプリングは縮む。そして、水平位置から垂直位置に揺動するときにスプリングが戻ることにより、可動壁4の重量負荷を軽減する。
図8、図9及び図10はもう1つの変形例であり、可動壁4が垂直位置に保持されたときの(1の状態の)上面図、右側面図及び左側面図である。可動壁4の左側と右側には、左右両側からシャフト41を回転させるようにモータ66A、66Bが設けられている。それぞれのモータ66A、66Bは、上記のモータ66に比べて軽量とすることができ、部屋2の左右の壁の外側に固定して取り付けられている。前述の独立した軸受31、31は設けなくてもよい。
シャフト41をモータにより回転させると、2本のワイヤロープ63、63を有さないという点で、外観が良く、また、簡単な構成になる。なお、スプリングバランサ67は、2本のワイヤロープ63、63を用いたものにも設けることは可能である。
可動壁4の基部4aの裏面には、左右2本の可動壁支持体42、42が固着されている。可動壁支持体42、42は、可動壁4が水平位置に保持されるようにこれを支持する。従って、可動壁4の基部4aは、2個の軸受31、31と2本の可動壁支持体42、42とによって支持されることになる。2本の可動壁支持体42、42の間に棒状の部材を渡すことで、可動壁4が垂直位置に保持されているとき、物干し等として利用することも可能である。なお、可動壁支持体42の数は3以上にしても構わない。
可動壁4は表面周辺に折りたたみ可能な手摺り7を有する。手摺り7は、可動壁4が水平位置に保持されるときに立設され、垂直位置に保持されるときに折りたたまれる。手摺り7は、可動壁4の表面の3辺に設けられた各手摺り部分7a、7b、7cからなる。立設されると、隣接する辺の手摺り部分同士(7aと7b、7bと7c)は結合される。折りたたまれるときは、床材5側の反対側に位置する辺の手摺り部分7bが他の2辺の手摺り部分7a、7cに被さるようになる。そのため、折りたたむための回転軸は、床材5側の反対側の辺の手摺り部分7bは他の2辺の手摺り部分7a、7cよりも可動壁4の表面から離れている。
図11は手摺り7の具体例を示す説明図である。手摺り7は複数の角パイプ71、71、・・・を主な部品として構成されており、所定の角パイプ71a、71aの付け根部分には孔部が設けられている。また、可動壁4に固定された取付具72、72に、孔部が設けられている。取付具72、72に所定の角パイプ71a、71aが嵌合され、取付具72、72の孔部と角パイプ71a、71aの孔部に軸部材73、73が通されている。この軸部材73、73が折りたたむための回転軸となる。床材5側と反対側の辺の手摺り部分7bの軸部材73、73、・・・は、他の2辺の手摺り部分7a、7cの軸部材73、73、・・・よりも可動壁4の表面から離れた位置に通されることになる。
次に、建物1の使用方法について説明する。垂直位置に保持された可動壁4を水平位置に揺動する手順は、先ず、庭のスペースに人や車などがないことを確認する。室内に設置された起動スイッチ(図示せず)を入力し、それにより側壁3の開口部が開かれ、可動壁4が水平位置に保持される。そして、手摺り部分7a、7cの上に手摺り部分7bが被さっている状態となっているので、それらを順に立設する。可動壁4を垂直位置に揺動する手順は、先ず、手摺りを折りたたみ、可動壁4の表面上に人や物がないことを確認する。起動スイッチを入力し、それにより側壁3の開口部が閉じられ、可動壁4が垂直位置に保持される。
以上説明した基本構造により、水平位置に保持された可動壁4は、濡れ縁又はウッドデッキと同様の機能を発揮することができる。しかも、庭上に一時的にしか存在せず、常時は存在しない。そのため、垂直位置に保持されているときは、水平位置に保持されているときに占有していた庭のスペースは他の用途に使うことができる。例えば、通勤用の車の車庫として用い、車のないときに水平位置に保持するようにする。また、可動壁4は、多くの時間は垂直位置に保持されているので、このスペースに特にごみが集まり易いということはなく、また、湿気が多いということもない。
高齢者等が寝たきりの場合、高齢者等は、介護者により介護用ベッドと一緒に可動壁4へ移動させられることで、外気に触れ、日光浴や庭の景観を楽しむことができる。介護者が女性であってもその移動は容易である。そのとき、介護者は、使用していた蒲団を手摺り7に掛けて軽く乾かすことも可能である。また、高齢者等が、例えば寝たきりの状態から車椅子使用の状態へ又は車椅子使用の状態から自律歩行の状態へのリハビリテーション中の場合、床材5と可動壁4から成る広いスペースを使用することができるので、リハビリテーションを効率的に行うことができる。
また、広いスペースは家族が集まり易く、家族団欒の場とも成り得る。これは、高齢者等の孤独感などのストレスを発散するのに効果的である。また、介護する親の後ろ姿を子供たちに見せることにより、昔の日本の家庭にあった家族の絆を深めたり子供たちへの躾や教育の場になったりすることができる。
建物は、市場において流通販売される組立家屋をも含む概念である。図12〜17に、組立家屋1’の外観を示す。建物1の構造は、多くの場合、組立家屋1’が床梁50aの上に設置されてなるものである。図12〜14は、可動壁4が垂直位置に保持されたとき(1の状態)の正面図、右側面図、上面図である。左側面図は右側面図と、背面図は正面図における可動壁4を除いた図と、それぞれ実質的に対称形なので左側面図及び背面図は省略している。また、入室用のドア部は省略しているが、いずれかの面に取り付けられている。また、図は、前述した可動壁4の左側と右側にモータを設けたものを記しているが、前述した他のものも同様に適用される。図15〜17は、可動壁4が水平位置に保持されたとき(他の状態)の正面図、右側面図、上面図である。左側面図及び背面図は省略している。
次に、可動壁4が水平位置に保持されたときにそれと部屋2とを車椅子や介護用ベッドが移動し易いようにする細部構造を説明する。
部屋2と可動壁4の間には継ぎ床が設けられる。継ぎ床の設け方には、それを可動壁4側に固定する形態と部屋2側に固定する形態とがある。図18は、継ぎ床を可動壁4側に固定する形態において、水平位置に保持された可動壁4と床材5の間付近の右側面視拡大断面図である。
可動壁4の基部4aは、裏面から表面に向かって順に、外装材44、鋼製又はアルミ製の溝型鋼45、構造用合板46、合板47、塩化ビニル床シート48が積層されている。溝型鋼45は基部4aのフレームを構成しており、その内側に鋼製のシャフト41が配置されている。合板47は、塩化ビニル床シート48の貼着を容易にするための下地用である。表面の塩化ビニル床シート48は、屋外に曝されたときの耐久性や耐水性を確保するためのものである。
床材5は、鉄骨の床梁50aの上に設置されており、裏面から表面に向かって順に、鋼製又はアルミ製のC型鋼51、パーティクルボード52、フローリング53が積層されている。C型鋼51の内側には断熱材51aが取り付けられている。また、床材5上の端部(より具体的には角部)には、側壁3の開口部に配設されるサッシ枠54及び硝子障子55(図18には示さず)が取り付けられる。なお、床梁50aの下には基礎50bが有る。
建物1の床材5と可動壁4との間には継ぎ床8A、8Bが設けられている。上方の継ぎ床8Aは、可動壁4の端部(より具体的には角部)に蝶番8Aaで揺動可能に連結されている。可動壁4が水平位置に保持されたとき、継ぎ床8Aはサッシ枠54による段差を覆い、その表面は床材5の表面および可動壁4の表面と略面一になる。継ぎ床8Aは、詳しくは、略長方形の平板状のプレート(例えば厚さ約4mmのアルミなどの金属製)の先端部(例えば10mm〜15mm程度)をほぼ90°に折り曲げた形状である。この折り曲げた先端部をサッシ枠54の最上段の溝に引っかけるようになっている。
このように、サッシ枠54による段差がほぼなくなるので、図20に示すように車椅子の移動が容易になり、安全性が向上する。なお、可動壁4が垂直位置に保持されたときは、継ぎ床8Aの表面は可動壁4の表面に対向する状態に揺動され、継ぎ床8Aには手摺り部分7a、7cが被さるようになる。継ぎ床8Aは、車椅子の移動のためには可動壁4の横方向の一部(例えば中央近傍)にのみ設ければよい。
また、継ぎ床8Aの下方の継ぎ床8Bは可動壁4側に固定され、継ぎ床8Aを支えると共に、床材5と可動壁4の間のスペースを埋める。継ぎ床8Bの横方向の長さは、側壁3の開口部よりも広く可動壁4の横方向の長さ程度である。継ぎ床8Bは、詳しくは、略コの字状のプレート8Ba(例えば厚さ約3mmのアルミなどの金属製)を可動壁4の側面(詳しくは、鋼製またはアルミ製の溝型鋼45)にボルトとナット等で締着したものである。また、コの字状のプレート8Baの内側に溶接された金属製のリブ補強材8Bbが、適宜適所(例えばピッチ約450〜500mm)に設けられる。
図19は、継ぎ床を部屋2側に固定する形態において、水平位置に保持された可動壁4と床材5との間付近の右側面視拡大断面図である。可動壁4と床材5の構造は前述と同様であるので説明は省略する。サッシ枠(図示せず)は、角部ではなく部屋2の内側にフローリング53の表面との段差ができるだけ少なくなるように取り付けられる。
床材5と可動壁4との間には継ぎ床8Cが設けられ、可動壁4が水平位置に保持されたとき、床材5の表面及び可動壁4の表面と略面一になるように床材5に固定される。継ぎ床8Cの横方向の長さは、側壁3の開口部よりも広く可動壁4の横方向の長さ程度である。継ぎ床8Cは、詳しくは、鉄骨の床梁50a’の上に設置されており、裏面から表面に向かって順に、C型鋼81、構造用合板82、合板83、塩化ビニル床シート84が積層されている。このC型鋼81と床材5のC型鋼51とがボルトとナット等により締着されることにより、継ぎ床8Cは床材5に固定される。
継ぎ床8Cと可動壁4との間には、可動壁4の位置合わせのための遊びとして、隙間80(例えば約1cm)が設けられている。この隙間80は、下方に向かって直線的に広がっている。すなわち、継ぎ床8Cの端は、下方に行くにつれ床材5側に傾斜している。これは、可動壁4が水平位置から垂直位置に又は垂直位置から水平位置に揺動するときに、可動壁4の角40が継ぎ床8Cに接触しないようにするためである。
介護用ベッドの移動を容易にするためには、部屋2の床材5の表面及び可動壁4の表面にガイドレール91が設置され、介護用ベッドの脚先にはガイドレール91に嵌合する複数の車輪92、92、・・・が設けられる。図21は、ガイドレール91と介護用ベッドを示す斜視図である。図においては、ガイドレール91に嵌合する車輪92、92、・・・は2個固まりが2個(計4個)片側に設けられている。床材5と可動壁4の間のスペースに段差ができ、ガイドレール91が切れている部分があっても、介護用ベッドの車輪92、92、・・・間の最小間隔をそれよりも大きくすれば、残りの車輪92、92、・・・が床材5の表面か可動壁4の表面のガイドレール91に嵌合するため、脱輪することなく介護用ベッドは容易に移動することができる。
次に、可動壁4が揺動することに対して安全性を向上させる細部構造を説明する。
側壁3の開口部の中央上方の軒部には、可動壁4が水平位置にあるときは可動壁4の表面が撮写でき、垂直位置にあるときは庭のスペースが撮写できるようにモニターカメラ(図示せず)が設置される。室内には、モニターカメラの映像を確認できる室内モニター(図示せず)が設置される。このモニターカメラと室内モニターにより、可動壁4を水平位置に揺動するときには庭のスペースに人や車などがないことが確認でき、可動壁4を垂直位置に揺動するときには可動壁4の表面上に人や物がないことが確認できる。可動壁4の揺動時の安全確認をより確実にするためには、室内モニターは起動スイッチの近辺に設置されるのが望ましい。
側壁3の開口部の中央下方には、可動壁4の揺動時に人や車などを感知するための物体センサ(例えば既知の人感センサ)(図示せず)が設置される。可動壁4の揺動前に人や車などを感知すると揺動動作を行わず、揺動途中に感知すると直ちに揺動動作を停止する。
図22に硝子障子55の位置を検知する硝子障子位置センサ93を示す。この硝子障子位置センサ93は、側壁3の部屋側(例えばサッシ枠54)に固着された部分93aと、硝子障子55に固着された部分93bと、配線(図示せず)と、からなる。部分93aと部分93bが合わさって初めて可動壁4が揺動可能とするものである。言い換えれば、硝子障子55が閉じられた状態でなければ可動壁4が揺動可能とならない。その結果、硝子障子55の閉め忘れによる事故を防止することができる。なお、硝子障子位置センサ93の内部機構は、例えば、一方が発する赤外線や磁界が他方により影響されることを利用するものである。
図23に手摺り7の折りたたみを検知する手摺り折りたたみ検知センサ94を示す。手摺り折りたたみ検知センサ94は、手摺り部分7bの手摺り部分7a(或いは手摺り部分7c)側の端面下部に固着された部分94aと可動壁4の側面に固着された部分94bと、配線(図示せず)と、からなる。部分94aと部分94bが合わさって初めて可動壁4が揺動可能とするものである。言い換えれば、手摺り7が折りたたまれなければ可動壁4が揺動可能とならない。このことは、可動壁4を垂直方向に揺動するときには手摺り7を折りたたんで準備する必要があることを意味し、その結果、事故の防止に寄与することができる。なお、手摺り折りたたみ検知センサ94の内部機構は、前述の硝子障子位置センサ93と同様である。
次に、可動壁4が揺動する際の衝撃を和らげる細部構造を説明する。
側壁3の開口部の中央上方には、図24に示すような可動壁ストッパ95が設置される。可動壁ストッパ95は、衝撃を吸収するために、略正方形のゴム製の吸収材95aがビス95b、95b、・・・によって取り付けられ、可動壁4を垂直位置に揺動するときに、仮にオーバーランしても可動壁4が側壁3を破壊しないようにするものである。なお、ビス95b、95b、・・・は埋め込まれている。また、可動壁ストッパ95の形状はこれに限らない。
可動壁支持体42の先端には、可動壁4を垂直位置から水平位置に揺動したときに可動壁支持体42にかかる衝撃を吸収するために、例えば油圧式のスプリングのような衝撃吸収体が設けられる。この衝撃吸収体の地面と接する箇所は弾力性のある素材(例えばゴム製)であるのが望ましい。
以上、本発明の望ましい実施形態に係る建物について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、可動壁4、床材5、継ぎ床8A、8B、8Cを構成する部材の材質、構造などは適宜変更可能である。また、可動壁4の基部4aの裏面に可動壁支持体42、42を固着するかわりに、可動壁4を水平に支持するために複数の支柱を地面に立設することも可能である。これらの支柱は、可動壁4が垂直位置のときに、通行などの障害とならないよう取り外し又は地中に収納可能なようにすることもできる。
また、建物の1階部分だけでなく2階部分にも可動壁を設けることが可能である。この場合、水平位置に安定して保持するための他の部材(例えば保持用ワイヤロープなど)が必要に応じて取り付けられる。また、戸建住宅のみならず介護施設等にも可動壁を設けることができるのは勿論である。
本発明の望ましい実施形態に係る建物の1の状態を示す上面図である。 同上の1の状態を示す右側面図である。 同上の他の状態を示す上面図である。 同上の他の状態を示す右側面図である。 同上の変形例の1の状態を示す上面図である。 同上の変形例の1の状態を示す右側面図である。 同上の変形例の1の状態を示す左側面図である。 同上の別の変形例の1の状態を示す上面図である。 同上の別の変形例の1の状態を示す右側面図である。 同上の別の変形例の1の状態を示す左側面図である。 同上の手摺りの具体例を示す説明図である。 同上の組立家屋の1の状態を示す正面図である。 同上の組立家屋の1の状態を示す右側面図である。 同上の組立家屋の1の状態を示す上面図である。 同上の組立家屋の他の状態を示す正面図である。 同上の組立家屋の他の状態を示す右側面図である。 同上の組立家屋の他の状態を示す上面図である。 同上の1の形態における可動壁と床材との間付近の右側面視拡大断面図である。 同上の別の形態における可動壁と床材との間付近の右側面視拡大断面図である。 同上の1の形態における車椅子の移動を表す斜視図である。 同上のガイドレールと介護用ベッドを示す斜視図である。 同上の硝子障子位置センサの説明図である。 同上の手摺り折りたたみ検知センサの説明図である。 同上の可動壁ストッパの外観図である。
符号の説明
1 建物
2 部屋
3 側壁
4 可動壁
5 床材
6 天井材
7 手摺り
8A、8B、8C 継ぎ床
42 可動壁支持体
54 サッシ枠
55 硝子障子
61 ウインチ
63 ワイヤロープ
64 水平面での角度を変える滑車
65 垂直面での角度を変える滑車
66、66A、66B モータ
91 ガイドレール
93 硝子障子位置センサ
94 手摺り折りたたみ検知センサ

Claims (2)

  1. 1の部屋の開口部を有する1つの側壁の外側に、開口部を塞ぐような垂直位置と開口部を開くような水平位置に保持可能とするものであって、両位置間で揺動可能であるように設けられる可動壁と、
    該可動壁の揺動を制御する揺動制御手段と、を備え、
    前記可動壁は、水平位置に保持したとき、その表面が前記部屋の床材の表面と略面一になり、
    前記床材の表面及び可動壁の表面にはガイドレールが設けられていることを特徴とする建物。
  2. 請求項1に記載された建物において、
    前記可動壁が水平位置に保持されたとき、床材の表面及び可動壁の表面と略面一になるように床材に固定された継ぎ床を更に備え、
    該継ぎ床と前記可動壁との間には下方に向かって直線的に広がる隙間が設けられていることを特徴とする建物。
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