JPH1071812A - 滑り止めピン、その製造方法、ピン用ゴム組成物および雪氷上用タイヤ - Google Patents

滑り止めピン、その製造方法、ピン用ゴム組成物および雪氷上用タイヤ

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JPH1071812A
JPH1071812A JP9155596A JP15559697A JPH1071812A JP H1071812 A JPH1071812 A JP H1071812A JP 9155596 A JP9155596 A JP 9155596A JP 15559697 A JP15559697 A JP 15559697A JP H1071812 A JPH1071812 A JP H1071812A
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尚彦 菊地
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正人 駒月
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/14Anti-skid inserts, e.g. vulcanised into the tread band
    • B60C11/16Anti-skid inserts, e.g. vulcanised into the tread band of plug form, e.g. made from metal, textile

Abstract

(57)【要約】 【課題】 路面を損傷することなく、長期間にわたって
タイヤグリップ性を維持する、滑り止めピン、その製造
方法、ピン用ゴム組成物および雪氷上用タイヤを提供す
る。 【解決手段】 滑り止めピンは、加硫ゴムの成形物であ
って、短繊維によって強化されており、前記短繊維が、
直径1〜50μm、長さ100〜3000μm、アスペ
クト比10〜500の繊維であり、ピンの接地面に対し
てほぼ垂直に配向している。ゴム組成物はゴム成分中に
上記の短繊維を配合したものであり、製造方法はこのゴ
ム組成物を用い、雪氷上用タイヤは上記のピンを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行性に優れ、耐
久性も良い新規な滑り止めピン、このピンを製造する方
法、前記ピンの製造に使用されるゴム組成物、および、
前記ピンを使用した雪氷上用タイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車が、積雪したアスファルト舗装路
面や凍結したアスファルト舗装路面を走行するとき、ス
リップするのを防止するため、一般に、タイヤ本体の接
地面にスパイクピンを埋め込んだタイヤが用いられてい
る。スパイクピンは従来、金属製であった。
【0003】しかし、金属のスパイクピンは、舗装路面
を激しく削りとるため、短時間で路面を補修しなければ
ならないと言う問題や、削られた路面から生じる多量の
粉塵が著しく環境を汚染すると言う問題があった。その
ため、金属スパイクピンの使用が次第に厳しく規制され
るようになり、現在では、金属スパイクピンは事実上使
用禁止となっている。
【0004】金属ピンは、アスファルト舗装路面よりは
るかに硬いので、路面を削ることになる。そこで、この
問題を克服するために、ピンを構成する素材を金属より
も軟らかいゴム/樹脂に代えた、種々のゴム/樹脂ピン
の開発が進められている。ゴム/樹脂ピンは、路面を損
傷することがほとんどない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このゴ
ム/樹脂ピンは、軟らかいゴム/樹脂を含みタイヤトレ
ッドゴムよりも摩耗し易いため、トレッドより先に摩滅
してしまう。そのため、ゴム/樹脂ピンをスパイクした
タイヤは、積雪路面や凍結路面でのグリップ性を短期間
に失うと言うのが現状である。
【0006】そこで、本発明が解決しようとする課題
は、路面を損傷することなく、長期間にわたってタイヤ
グリップ性を維持する、滑り止めピン、その製造方法、
ピン用ゴム組成物および雪氷上用タイヤを提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる滑り止め
ピンは、加硫ゴムの成形物であって、短繊維によって強
化されており、前記短繊維が、直径1〜50μm、長さ
100〜3000μm、アスペクト比10〜500の繊
維であり、ピンの接地面に対してほぼ垂直に配向してい
ることを特徴とする。この場合、ほぼ垂直とは、補強用
の短繊維がピンの接地面に対する垂直線に対し最大±1
0°の傾斜角度範囲内で配向している繊維を含むことが
出来る。
【0008】本発明にかかる滑り止めピンの製造方法
は、ゴム組成物を口径8mm以下の口金から棒状に押し
出す工程と、得られた細い柱状物を9〜14.5mmの
長さに裁断する工程と、短い裁断物をモールド内に仕込
み加硫する工程とを含み、前記ゴム組成物は、ゴム成分
と補強用の短繊維とを含み、前記短繊維が、直径1〜5
0μm、長さ100〜3000μm、アスペクト比10
〜500の繊維である。
【0009】本発明にかかるピン用ゴム組成物は、前記
の滑り止めピンの製造に用いるゴム組成物であって、ゴ
ム成分と補強用の短繊維とを含み、前記短繊維が、直径
1〜50μm、長さ100〜3000μm、アスペクト
比10〜500の繊維であることを特徴とする。本発明
にかかる雪氷上用タイヤは、環状のタイヤ本体と、この
タイヤの接地面に間隔をおいて形成された穴と、この穴
から一部だけ突出する形で埋め込まれた滑り止めピンと
を備えた滑り止めタイヤにおいて、前記滑り止めピンと
して請求項1に記載のピンが用いられていることを特徴
とする。
【0010】
【発明の実施の形態】滑り止めピン 本発明にかかる滑り止めピン(以下では、単に「ピン」
ということもある。)は、加硫ゴムの成形物であって、
短繊維によって強化されており、この補強用の短繊維が
接地面に対してほぼ垂直に配向している。
【0011】図1〜3はその一例を示している。このピ
ン1は、図1に見るように、軸部11と鍔状の頭部12
からなる釘状の形状を有し、軸部11が路面に接触する
ことによってタイヤがグリップ性を発揮する。軸部11
は、その接地面に対してほぼ垂直に配向した短繊維1b
によって強化されているため、極めて緩やかに摩耗す
る。頭部12はタイヤ本体の接地面に間隔をおいて設け
られた穴に埋め込まれたときに前記穴の奥部に係止され
てピンがタイヤ本体から抜けないようになる。
【0012】図2は加硫ゴム1aからなるマトリックス
中に補強用の短繊維1bがピン1の接地面11aに対し
て垂直に配向している様子を良く表している。ただし、
この配向角度(垂直配向度)は接地面11aに対する垂
直線から最大±10°以内で傾くことを許容する。短繊
維この垂直配向度を測定する方法は、特に限定しない
が、たとえば、ピン1bの軸部11をその軸線に沿って
切断し、その断面をSEM(走査電子顕微鏡)で観察す
る等の方法で行う。
【0013】このピン1は、このように、補強用の短繊
維1bが接地面11aに対してほぼ垂直に配向している
ため、短繊維1bの補強作用と耐摩耗作用が十分に発揮
され、路面との接触による滑り止めピン1の磨耗が大幅
に抑制される。頭部の形状は、特に限定されず、例えば
塊状であってもよい。滑り止めピンは頭部のないもので
あってもよいが、頭部があると、ピンのタイヤ本体から
の脱落を防止することが確実となり、好ましい。滑り止
めピンの軸部の断面形状についても、特に限定はない。
上記実施例では、図3に見るように、真円形となってい
るが、多角形であっても楕円形であってもよい。
【0014】ピンの寸法関係を説明すると、図1に示
す、軸部長(l)、軸部径(r)、頭部長(L)および
頭部径(R)は、たとえば、l=7〜11mm、r=4
〜6mm、L=1〜2mm、R=7〜9mmの範囲であ
るが、特に限定はない。これらの寸法は、タイヤ本体の
材質、使用する自動車の種類等によって適宜設定され
る。
【0015】補強用の短繊維の寸法関係について説明す
ると、直径(D)、長さ(L)およびアスペクト比(L
/D)は、D=1〜50μm、L=100〜3000μ
m、L/D=10〜500である。短繊維の寸法は、直
径5〜20μm、長さ300〜1500μm、アスペク
ト比30〜200であることが好ましい。短繊維の直径
および/または長さは、上記範囲より大きいと、短繊維
の分散が悪くなり、加硫ゴムの破壊核となってゴムかけ
等が発生し、補強性が低下し、滑り止めピンの耐摩耗性
が低下する。上記範囲より小さいと、この場合も短繊維
の分散が悪くなり、品質が安定しない。アスペクト比が
10未満であると、短繊維を配向させることが困難とな
る。アスペクト比が500を超えると、この場合も短繊
維の分散が悪くなり、短繊維を所望の方向に配向させる
ことが困難となる。要するに、短繊維の寸法関係が上述
のようであると、短繊維の加硫ゴム内での分散度が良
く、短繊維がピンに十分な補強性を与えて耐摩耗性を大
いに向上させる。
【0016】加硫ゴムとなるゴム成分や補強用の短繊維
の材質は後述する。滑り止めピンの製造方法について
は、特に限定はないが、以下の方法によることが好まし
い。滑り止めピンの製造方法 以下に述べるピン用ゴム組成物を口径8mm以下の口金
から棒状に押し出し、得られた棒状物を短く裁断し、裁
断された物をモールド(金型)内で加硫する方法であ
る。この方法によれば、上記の滑り止めピンを容易に製
造できる。
【0017】押出機の構造については、特に限定はな
い。押出機の口金の口径が8mm以下であると、短繊維
を押し出し方向に配向させる(結果として、短繊維をピ
ンの接地面に対して垂直に配向させる)ことが容易かつ
確実となる。このようにして得られた押出物を、モール
ド寸法に合わせて裁断し、所望のピン形状を合わせた金
型に入れ、加熱、加圧することにより加硫し、ピンを得
る。加硫条件としては、たとえば、温度150℃、時間
30分間を挙げることができる。ピン用ゴム組成物 本発明のピン用ゴム組成物は、ゴム成分と補強用の短繊
維を必須成分として含む。
【0018】ゴム成分としては、天然ゴム;スチレン・
ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、
イソプレンゴム(IR)等のジエン系合成ゴム;ポリノ
ルボルネン樹脂等を挙げることができ、これらのゴム成
分は1種または必要に応じて2種以上を使用することが
できる。短繊維の素材としては、特に限定はないが、例
えば、ナイロン;ポリエステル;レーヨン;ケブラー等
のアラミド;ビニロン;コットン等を挙げることがで
き、これらの素材は1種または必要に応じ2種以上を使
用することができる。短繊維の寸法関係は前述した。短
繊維とゴム成分(加硫ゴム)との密着性(なじみ)を向
上させ、ピンの耐摩耗性を向上させるために、短繊維
は、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物/ラテックス混
合液(RFL)等で表面処理されていることが好まし
い。短繊維の表面処理は、たとえば、RFL中に浸漬し
た後、220〜240℃で5〜10分間乾燥すると言う
方法で行う。
【0019】短繊維の配合量は、特に限定はないが、た
とえば、ピン用ゴム組成物100重量部中、10〜30
重量部であることが好ましい。配合量20〜30重量部
であることがより好ましい。短繊維の配合量が10重量
部未満であると、耐摩耗性およびタイヤグリップ性が低
くなることがある。短繊維の配合量が30重量部を超え
ると、加工性が悪く、加硫して得られるピンの強度が低
くなり、ゴムかけが発生することがある。すなわち、短
繊維の配合量が上記の範囲内であると、加工性が良好で
あり、かつ、長期間にわたって耐摩耗性およびタイヤグ
リップ性を維持することができ易いのである。
【0020】本発明にかかるピン用ゴム組成物は、補強
性をさらに向上させるために、上記短繊維以外の補強充
填剤を含むものであってもよい。補強充填剤としては、
たとえば、カーボンブラックの他、シリカ、クレー、タ
ルク、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、アル
ミナ等の白色充填剤からなる粉体を挙げることができ
る。その配合量については、特に限定はなく、必要量を
適宜使用することができる。
【0021】本発明のピン用ゴム組成物には、必要に応
じて、たとえば、ナフテン系プロセスオイル等の軟化
剤;酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫助剤;メルカプト
ベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスル
フィド(MBTS)、N−tert−ブチル−2−ベン
ゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シク
ロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(C
BS)等のチアゾール系促進剤や、ヘキサメチレンテト
ラミン(HMT)などからなる加硫促進剤;イオウ;発
泡剤;老化防止剤;ワックス等の添加剤;ゴム用硬化剤
等の熱硬化性レジンを配合することができる。これらの
添加剤の配合量は、特に限定はなく、必要量を適宜使用
することができる。上記添加剤のなかでも、熱硬化性レ
ジンは、ピンの硬度を高くするために配合される。
【0022】本発明のピン用ゴム組成物の製造方法とし
ては、公知の方法を採用することができ、たとえば、上
記各原料成分をバンバリーミキサー、ニーダー等のゴム
混練装置を用い、JIS K6299に準じて混練する
方法が挙げられる。雪氷上用タイヤ 本発明にかかる雪氷上用タイヤは、環状のタイヤ本体
と、このタイヤの接地面に間隔をおいて形成された穴
と、一部が前記穴からわずかに突出した形で埋め込まれ
た滑り止めピンとを備え、前記滑り止めピンとして、上
述の本発明にかかるピンが用いられている。
【0023】図4、5は、上記本発明にかかる雪氷上用
タイヤの一実施例を示している。雪氷上タイヤ2は、環
状のタイヤ本体21を備え、その外周面が路面と接触す
る接地面22となっていて、ここに適当な間隔をおいて
多数のピン打ち込み穴23・・・が設けられており、前
述の滑り止めピン1が、その軸部11の一部を前記穴2
3からわずかに突出する形で埋め込まれている。穴23
・・・はタイヤ本体21を成形する金型のピン埋め込み
位置に突起を設けておく等の方法で形成することが出来
る。すでに開けておいた穴23・・・にピン1を埋め込
む方法は、特に限定しないが、例えば、滑り止めピン1
をスパイクガンを用いてタイヤ本体21の穴23・・・
に打ち込む方法である。ピン1の埋め込みは、タイヤ本
体に予め穴を形成しておくのでなく、タイヤ本体21の
成形と同時に一体化する方法などでも実現出来る。
【0024】図5の位置aでは、タイヤ本体21の接地
面22が路面3に接触しており、この位置aに来たとき
の滑り止めピン1の軸部11は路面3に対し垂直の位置
関係になっている。短繊維1b・・・は、軸部11内で
接地面22に対しほぼ垂直になっている(図2参照)の
で、路面3に対してもほぼ垂直になっている。すなわ
ち、滑り止めピン1では、短繊維1b・・・が路面3に
対して常にほぼ垂直になるため、短繊維1b・・・によ
る補強作用が確実にかつ十分に発揮され、ピン1の耐摩
耗性が大いに向上するのである。このようにして、路面
との接触によるピン1の摩耗削り取りが大幅に抑制され
るので、滑り止めピン1は、雪氷上用タイヤのグリップ
性を長期間にわたって高く維持することができる。
【0025】タイヤ接地面に埋め込まれる滑り止めピン
の本数は、特に限定する訳ではないが、接地面の単位面
積(約170cm2 )当たり4〜6本であることが好ま
しい。ピンが6本より多くなると、タイヤ接地面が路面
に直接に接触しにくくなり、タイヤグリップ性が低下す
る傾向があり、他方、ピンが4本より少なすぎると、ピ
ンによるタイヤグリップ性が十分に発揮されない傾向が
あるからである。ピン本数が4〜6本であると、タイヤ
トレッドゴムのグリップ性とピンのグリップ性の釣り合
いがとれ易い。
【0026】滑り止めピンがタイヤ接地面から突出する
長さは、特に限定する訳ではないが、0.2〜1.5m
mであることが好ましい。0.2mm未満であると、タ
イヤグリップ性が十分に発揮されないし、1.5mmを
超えると、タイヤ接地面が路面に直接に接触しにくくな
るため、タイヤグリップ性が低下する傾向があり、0.
2mm未満であると、ピンによるタイヤグリップ性が十
分に発揮されなくなる傾向があるからである。
【0027】雪氷上用タイヤの製造方法については、特
に限定はないが、一般的には、前述した第1の方法、す
なわち、型内周面に多数の穴形成用突起がある金型を用
いて、ピン打ち込み穴が接地面に開けられたタイヤ本体
を製造し、スパイクガン等を用いて、滑り止めピンを前
記の穴に打ち込み、ピンの打ち込み後、必要に応じ、ピ
ンを接着剤等で穴に固定すると言う方法による。
【0028】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例および比較
例を示すが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
ゴム組成物における原材料配合の単位は重量部である。 (実施例1)原材料を表1に示した配合で、バンバリー
ミキサーを用いて混練し、ピン用ゴム組成物を得た。
【0029】このピン用ゴム組成物を、小型押出機(中
田エンヂニアリング(株)製、4.5インチ押出機、回
転数:10rpm、押出温度:90℃、ラインスピー
ド:30m/分、口金口径:6mm)を用いて細い円柱
状に押し出し、長さ13mmに裁断し、裁断物を、電熱
式加硫プレス(神東金属製、加硫時間:30分間、加硫
温度:150℃)を用い、金型内で加硫して、滑り止め
ピンを得た。補強用の短繊維はタイヤ接地面に対してほ
ぼ垂直に配向していた。ピンの寸法は、軸部長l=1
0.5mm、軸部径r=4.8mm、頭部長L=1.5
mm、頭部径R=8.0mmであった。ピンの硬度をJ
IS−Aに従い室温下で測定すると、98であった。
【0030】上記で得られたピンをスパイクガンを用い
て175/70R13のスパイク用穴あきタイヤ本体に
打ち込んだ後、ピンを安定させるために、このタイヤを
1600cc級の前輪駆動車に装着して、低速で100
km走行した。タイヤ接地面からのピンの突出長さは
1.2mmであった。後述の評価方法で性能を評価し、
その結果を表1に併記する。
【0031】次に、加減速やコーナリングを取り入れた
モードで、上記のタイヤを装着した1600cc級の前
輪駆動車を乾燥路上で5000km走行させて、同様の
評価方法で性能を評価し、結果を表1に示す。 (比較例1)補強用短繊維を配合しないほかは実施例1
と同じ配合、同じ製造条件で、比較例となるピン用ゴム
組成物を得た。
【0032】この比較用のピン用ゴム組成物を用い、実
施例1と同様の条件で加硫して、比較用の滑り止めピン
を得た。このピンの硬度をJIS−Aに従い室温下で測
定すると、95であった。上記で得られた比較用のピン
を、上記実施例1と同様に打ち込み、比較用のタイヤを
作製して、その性能を上記実施例1と同様に評価し、結
果を表1に併記した。
【0033】次に、加減速やコーナリングを取り入れた
モードで、上記比較用のタイヤを装着した1600cc
級の前輪駆動車を乾燥路上で5000km走行させて、
同様の評価方法で性能を評価し、結果を表1に示す。 (比較例2)ピンを打ち込まないほかは実施例1と同様
にして雪氷上用タイヤを製造し、性能を評価して、結果
を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1の注の意味は以下のとおりである。 *1 補強用短繊維として、デュポン社製の商品名ケブ
ラー(KEVLAR、アラミド繊維)を使用したが、ケ
ブラー繊維単体で使用するのでなく、天然ゴム(NR)
との混合物であるKEVLAR M/B(商品名)を使
用した。KEVLAR M/Bにおけるケブラー繊維と
NRとの比率(ケブラー繊維/NR)は30/100で
ある。表1では、KEVLAR M/Bの組成をNRと
ケブラー繊維とに分離して、補強用短繊維としてはケブ
ラー繊維のみの重量で表し、M/Bに含まれるNRは別
に加えたNRとともに合計して表1に示した。なお、ケ
ブラー繊維の平均直径(D)は12μm、平均長(L)
は500μm、アスペクト比(L/D)は約50であ
る。
【0036】*2 昭和キャボット社製、カーボンブラ
ック N220 *3 住友デュレツ社製、スミライトレジン PR12
686 *4 TBBS N−tert−ブチル−2−ベンゾチ
アゾリルスルフェンアミド *5 ヘキサメチレンテトラミン 実施例、比較例のタイヤの評価は以下のようにして行っ
た。氷上制動指数 住友ゴム工業(株)の北海道名寄テストコース内の氷盤
計測路において初速度30km/hでロック制動した時
の減速度から求めた。比較例2のピンのないタイヤでの
指数を100とした。値が大きいほど制動力が大きいこ
とを意味する。なお、下記の氷盤硬度はCTIコンパク
ションゲージで測定した。
【0037】 測定時の氷盤温度: −5℃、 氷盤硬度:95氷上実車評価 上記テストコースにある、圧雪〜アイスバーン状態の周
回路および圧雪13%、氷4%の登坂路での実車フィー
リングテストを実施した。発進/制動性を周回路で、登
坂性を登坂路で評価した。比較例2のピンのないタイヤ
を基準(6点)として評点をつけた。値が大きいほど性
能が良好である。表1において、実施例1と比較例2の
評価結果を比較すると、実施例1のタイヤの雪氷上での
タイヤグリップ性は、ピンのない比較例2のタイヤより
も高いことが分かる。
【0038】実施例1と比較例1、2との評価結果の比
較から、初期性能において、実施例のタイヤが良好であ
るのに対し、比較例のタイヤは劣っていることが分か
る。次に、実施例1と比較例1の各5000km走行後
の評価結果の比較から以下のことが分かる、長期間使用
した後において、実施例1のタイヤは、ピン先が0.4
mm摩耗しているものの、それでも接地面からは十分に
突出している。このことから、ピンのゴム成分を短繊維
で強化すれば、ピンは、長期間にわたって性能を良好に
維持できることが分かる。それに対し、比較例1のタイ
ヤはピン先が少し埋没するほどに摩耗している。このこ
とから、補強用短繊維のないピンは、その耐磨耗性能が
悪く、長期間にわたって性能を維持することが不可能で
あり、タイヤグリップ性が極端に悪化してゆくことが分
かる。 (実施例2〜7と比較例3〜5)次に、ゴム組成物にお
ける短繊維の種類、ピンにおける短繊維垂直配向度を表
2のように変更し、実施例1と同様にして、ピンの性能
を試験した。原材料は、実施例7の補強用短繊維のみ、
(株)クラレ製のビニロンKIIを使用するようにした他
は実施例1と同様である。ゴム組成物は、それぞれ表2
に示す直径、長さ、アスペクト比を有する短繊維と天然
ゴムとを混合したマスターバッチ(短繊維/天然ゴム=
30/100)を用いて作製した。ただし、実地走行テ
ストコースはスケートリンクに変更した。今回はピンや
路面の損傷程度も評価した。結果を表2に併記する。表
中、ピンの本数は単位面積(170cm2 )当たりの本
数である。
【0039】
【表2】
【0040】*1 短繊維全体の80%が0°に配向、
残り20%は±10°以内の傾きで配向。 *2 短繊維全体の72%が0°に配向、残り28%は
±10°以内の傾きで配向。 *3 短繊維全体の100%が0°に配向。
【0041】*4 短繊維全体の68%が0°に配向、
25%は±10°以内の傾きで配向、残り7%は±10
°の範囲を外れて配向。 *5 短繊維全体の96%が0°に配向、残り4%は±
10°以内の傾きで配向。 氷上制動指数は実施例2を100(ブレーキングしてか
ら10mで停止)、氷上実車評価(発進/制動)は実施
例2を6点として評価した。数値が大きいほど性能がよ
い。短繊維の垂直配向度、ピンの損傷程度、路面の損傷
程度は下記のようにして測定した。短繊維の垂直配向度 短繊維の垂直配向度を測定する方法は、ピンの軸部をそ
の軸線に沿って切断し、その断面をSEM(走査電子顕
微鏡)で観察し、接地面から1mm、3mm、5mmの
各高さ位置で仮想の水平線を引き、これら水平線に接す
るか、横切る短繊維の数と各傾きを測定して、傾きの平
均値を求めるという方法で行った。短繊維を、0°に配
向しているもの、±10°以内の傾きで配向しているも
の、±10°の傾き範囲を外れて配向しているものに分
類し、それぞれの百分率を計算した。ピンの損傷程度 走行後にピンをタイヤから取り出して重量を測定し、新
品の重量(0.300g)と比較して、その差(単位
g)を摩耗量とした。例えば、実施例2で100km走
行後のピンの重量は0.290gであったので、その摩
耗量は0.010(g)である。路面の損傷程度 表面がサンドペーパーのように粗い住友3M社製「セー
フティーウオーク(タイプB)」(厚さ5.0mm)を
ドラム試験器のドラム上に貼りつけて走行させた後の、
「セーフティーウオーク」の残存厚さとの差(単位m
m)を路面の摩耗量とした。例えば、実施例2で100
km走行後の残存厚さは4.9mmであったので、その
摩耗量は0.1(mm)である。実施例2と比較例3と
の評価結果を比較すると、短繊維の配合されたピンで
は、短繊維がないピンに比べて、氷上制動指数および氷
上実車評価の点で優れていることが分かる。
【0042】実施例3と比較例4との評価結果の比較か
ら、短繊維が短かすぎ、アスペクト比が小さすぎると、
短繊維の垂直配向度が低下し、ピンの損傷程度が大き
く、ピンがよく摩耗することがわかる。また、氷上制動
指数および氷上実車評価が劣ることも分かる。実施例3
と比較例5との評価結果の比較から、短繊維が長すぎ、
アスペクト比が大きすぎると、短繊維の垂直配向度は向
上するものの、ピンの損傷程度が大きく、ピンは走行に
よりよく摩耗することがわかる。また、ピンが長い短繊
維で強く補強され過ぎているため、ピンが硬すぎて路面
の損傷程度が大きくなることも分かる。
【0043】それに対して、実施例3〜5にみるよう
に、短繊維のアスペクト比が10〜500の範囲内にあ
ると、走行後のピン突出長さ、氷上制動指数および路面
の損傷程度がいずれも、釣り合いがとれたものとなる。
実施例3と実施例6との評価結果を比較すると、表面処
理(RFL)した方がピンの損傷程度が少なく、走行に
よる摩耗が少ないことがわかる。
【0044】実施例3と実施例7との評価結果を比較す
ると、短繊維がビニロンであっても、アラミドに近い性
能が得られることがわかる。ただし、ビニロンはアラミ
ド(ケブラー)よりもモジュラスが小さいため、氷上制
動指数および氷上実車評価の点では若干劣ることが分か
る。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、路面を損傷することな
く、長期間にわたって、雪氷上用タイヤにおける滑り止
めピンの耐摩耗性を確保して、タイヤグリップ性を高く
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる滑り止めピンの斜視
図。
【図2】上記実施例の滑り止めピンを長手方向に沿って
切断した断面図。
【図3】上記実施例の滑り止めピンを軸部に垂直に切断
した断面図。
【図4】本発明にかかる雪氷上用タイヤの斜視図。
【図5】本発明にかかる雪氷上用タイヤが路面に接する
状態の部分的側断面図。
【符号の説明】
1 滑り止めピン 2 雪氷上用タイヤ 22 短繊維 4 接地面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 21:00 105:06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加硫ゴムの成形物であって、短繊維によっ
    て強化されており、前記短繊維が、直径1〜50μm、
    長さ100〜3000μm、アスペクト比10〜500
    の繊維であり、ピンの接地面に対してほぼ垂直に配向し
    ていることを特徴とする、滑り止めピン。
  2. 【請求項2】短繊維がピンの接地面に対する垂直線に対
    し最大±10°の傾斜角度範囲内で配向している請求項
    1に記載の滑り止めピン。
  3. 【請求項3】ゴム組成物を口径8mm以下の口金から押
    し出す工程と、得られた細い柱状物を9〜14.5mm
    の長さに裁断する工程と、短い裁断物をモールド内に仕
    込み加硫する工程とを含み、前記ゴム組成物は、ゴム成
    分と補強用の短繊維とを含み、前記短繊維が、直径1〜
    50μm、長さ100〜3000μm、アスペクト比1
    0〜500の繊維である、滑り止めピンの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の滑り止めピンの
    製造に用いるゴム組成物であって、ゴム成分と補強用の
    短繊維とを含み、前記短繊維が、直径1〜50μm、長
    さ100〜3000μm、アスペクト比10〜500の
    繊維であることを特徴とする、ピン用ゴム組成物。
  5. 【請求項5】環状のタイヤ本体と、このタイヤの接地面
    に間隔をおいて形成された穴と、この穴から一部だけ突
    出する形で埋め込まれた滑り止めピンとを備えた滑り止
    めタイヤにおいて、前記滑り止めピンとして請求項1ま
    たは2に記載のピンが用いられていることを特徴とす
    る、雪氷上用タイヤ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002096604A (ja) * 2000-09-26 2002-04-02 Bridgestone Corp 弾性ホイール
US7815932B2 (en) 2003-06-10 2010-10-19 Teikoku Seiyaku Co., Ltd. Patch containing fentanyl for mucous membrane of oral cavity
JP2011509320A (ja) * 2007-12-28 2011-03-24 ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン 特定の充填材料を含む空洞を備えたトレッドを有するタイヤ

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