JPH1071403A - 深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH1071403A JPH1071403A JP22704296A JP22704296A JPH1071403A JP H1071403 A JPH1071403 A JP H1071403A JP 22704296 A JP22704296 A JP 22704296A JP 22704296 A JP22704296 A JP 22704296A JP H1071403 A JPH1071403 A JP H1071403A
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- Japan
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- rolling
- stainless steel
- ferritic stainless
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 精錬コストの増加や成分変更、工程の付加等
を行わずに、深絞り性に優れたフェライト系ステンレス
鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼板の製造方法
において、熱間圧延工程で粗圧延材の板厚中心部のＮＤ
//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強度比を３以下と
し、次いで仕上げ圧延を摩擦係数０．２以下で行うこと
を特徴とする深絞り性に優れたフェライト系ステンレス
鋼板の製造方法。
を行わずに、深絞り性に優れたフェライト系ステンレス
鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼板の製造方法
において、熱間圧延工程で粗圧延材の板厚中心部のＮＤ
//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強度比を３以下と
し、次いで仕上げ圧延を摩擦係数０．２以下で行うこと
を特徴とする深絞り性に優れたフェライト系ステンレス
鋼板の製造方法。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り性に優れた
フェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関する。
フェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼は、耐食性に
優れており、厨房用、自動車排気系材料用など多くの用
途に用いられている。近年では、家電用に代表されるよ
うに、深絞り用としての用途が広がってきている。深絞
り性を向上させる手法として、普通鋼においては固溶
Ｃ，Ｎの低減や組織の細粒化が有効であることが知られ
ており、この知見を活かして高深絞り用の普通鋼薄板が
製造されている。フェライト系ステンレス鋼板において
も上記普通鋼の知見を活かして高深絞り用鋼板が製造さ
れている。
優れており、厨房用、自動車排気系材料用など多くの用
途に用いられている。近年では、家電用に代表されるよ
うに、深絞り用としての用途が広がってきている。深絞
り性を向上させる手法として、普通鋼においては固溶
Ｃ，Ｎの低減や組織の細粒化が有効であることが知られ
ており、この知見を活かして高深絞り用の普通鋼薄板が
製造されている。フェライト系ステンレス鋼板において
も上記普通鋼の知見を活かして高深絞り用鋼板が製造さ
れている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現状の高深絞
り用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、
次のような問題点がある。まず、フェライト系ステンレ
ス鋼はＣｒを多量に含有しているために、普通鋼に比べ
て鋼中のＣ，Ｎを低減しにくく、脱炭・脱窒のために精
錬コストが高くつくという問題がある。さらに完全変態
（γ→α、α→γ）が無いことに起因して結晶粒径が大
きくなるために、細粒化によって深絞り性を向上させる
には数度の加工と焼鈍とを繰り返す必要があり、生産性
を低下させるという問題が生じる。
り用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、
次のような問題点がある。まず、フェライト系ステンレ
ス鋼はＣｒを多量に含有しているために、普通鋼に比べ
て鋼中のＣ，Ｎを低減しにくく、脱炭・脱窒のために精
錬コストが高くつくという問題がある。さらに完全変態
（γ→α、α→γ）が無いことに起因して結晶粒径が大
きくなるために、細粒化によって深絞り性を向上させる
には数度の加工と焼鈍とを繰り返す必要があり、生産性
を低下させるという問題が生じる。
【０００４】そこで、本発明は、製造コストを増加させ
ることなく、また工程を付加することなく現状の製造工
程プロセスにおいて、さらに深絞り性を向上させるフェ
ライト系ステンレス鋼板の製造方法を提供することを目
的とするものである。
ることなく、また工程を付加することなく現状の製造工
程プロセスにおいて、さらに深絞り性を向上させるフェ
ライト系ステンレス鋼板の製造方法を提供することを目
的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、一般的な
普通鋼の熱延工程を経てフェライト系ステンレス鋼板の
深絞り性を向上させる方法として、潤滑仕上げ圧延に着
目してその影響を調査した。その結果、潤滑仕上げ圧延
による深絞り性の向上効果は、仕上げ圧延前の粗圧延材
の集合組織に強く影響されること及び粗圧延材の板厚中
心部におけるＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強
度比が低いほど深絞り性が向上することを知見した。
普通鋼の熱延工程を経てフェライト系ステンレス鋼板の
深絞り性を向上させる方法として、潤滑仕上げ圧延に着
目してその影響を調査した。その結果、潤滑仕上げ圧延
による深絞り性の向上効果は、仕上げ圧延前の粗圧延材
の集合組織に強く影響されること及び粗圧延材の板厚中
心部におけるＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強
度比が低いほど深絞り性が向上することを知見した。
【０００６】本発明は、上記知見に基づくものであっ
て、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、
熱間圧延工程で粗圧延材の板厚中心部のＮＤ//｛１０
０｝面Ｘ線強度のランダム強度比を３以下とし、次いで
仕上げ圧延を摩擦係数０．２以下で行うことを特徴とす
る深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造
方法である。
て、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、
熱間圧延工程で粗圧延材の板厚中心部のＮＤ//｛１０
０｝面Ｘ線強度のランダム強度比を３以下とし、次いで
仕上げ圧延を摩擦係数０．２以下で行うことを特徴とす
る深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造
方法である。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下に本発明の限定理由を述べ
る。本発明では粗圧延材の板厚中心部のＮＤ//｛１０
０｝面Ｘ線強度のランダム強度比を３以下とする。板厚
中心部のＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強度比
が３を超えると、潤滑圧延による深絞り性の向上効果は
現れない。このＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム
強度比は高深絞り性確保の点で２以下とするのが好まし
い。なお、本発明において粗圧延材の板厚中心部とは、
板厚中心±板厚×０．０１の板厚範囲内を指すものとす
る。また、ＮＤ//｛１００｝とは板面に垂直な方向に
｛１００｝面が向いていることを示している。粗圧延材
において板厚中心部のＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のラ
ンダム強度比を３以下とするには、鋼片の加熱温度、粗
圧延時の各パスの圧下率及び全圧下率を適宜組み合わせ
ればよい。
る。本発明では粗圧延材の板厚中心部のＮＤ//｛１０
０｝面Ｘ線強度のランダム強度比を３以下とする。板厚
中心部のＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強度比
が３を超えると、潤滑圧延による深絞り性の向上効果は
現れない。このＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム
強度比は高深絞り性確保の点で２以下とするのが好まし
い。なお、本発明において粗圧延材の板厚中心部とは、
板厚中心±板厚×０．０１の板厚範囲内を指すものとす
る。また、ＮＤ//｛１００｝とは板面に垂直な方向に
｛１００｝面が向いていることを示している。粗圧延材
において板厚中心部のＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のラ
ンダム強度比を３以下とするには、鋼片の加熱温度、粗
圧延時の各パスの圧下率及び全圧下率を適宜組み合わせ
ればよい。
【０００８】次に上記の条件を満たす粗圧延材を仕上げ
圧延する際には、深絞り性向上のために圧延時の摩擦係
数を０．２以下とする。摩擦係数が０．２を超えると深
絞り性の向上効果は得られなくなる。なお、摩擦係数は
０．１５以下とするとより一層好ましい。仕上圧延時の
摩擦係数を０．２以下、好ましくは０．１５以下とする
方法は、特に限定するものではないが、一般的には所定
の濃度を有する潤滑油（ロール冷却水に混合させた状態
であってもよい）を板に塗布、または噴射して潤滑圧延
する方法を採用するのが良い。
圧延する際には、深絞り性向上のために圧延時の摩擦係
数を０．２以下とする。摩擦係数が０．２を超えると深
絞り性の向上効果は得られなくなる。なお、摩擦係数は
０．１５以下とするとより一層好ましい。仕上圧延時の
摩擦係数を０．２以下、好ましくは０．１５以下とする
方法は、特に限定するものではないが、一般的には所定
の濃度を有する潤滑油（ロール冷却水に混合させた状態
であってもよい）を板に塗布、または噴射して潤滑圧延
する方法を採用するのが良い。
【０００９】上記の条件で仕上げ圧延をした後は、通常
の方法によって巻き取る。本発明の製造方法によって得
られた熱延板は、そのままの熱延板状態で、必要に応じ
てさらに熱延板焼鈍した後に深絞り用途に供される。ま
た、熱延板を冷延、焼鈍した後に深絞り用途に供するこ
ともできる。
の方法によって巻き取る。本発明の製造方法によって得
られた熱延板は、そのままの熱延板状態で、必要に応じ
てさらに熱延板焼鈍した後に深絞り用途に供される。ま
た、熱延板を冷延、焼鈍した後に深絞り用途に供するこ
ともできる。
【００１０】上述した本発明法を適用するフェライト系
ステンレス鋼は、ＪＩＳ規格等で定められた汎用の鋼種
や極低炭素系（ＩＦ系）の鋼種等いずれでもかまわず、
本発明の深絞り性向上効果を得ることができる。
ステンレス鋼は、ＪＩＳ規格等で定められた汎用の鋼種
や極低炭素系（ＩＦ系）の鋼種等いずれでもかまわず、
本発明の深絞り性向上効果を得ることができる。
【００１１】
【実施例】以下、実施例で本発明の方法を詳しく説明す
る。表１に示すフェライト系ステンレス鋼を、２０mm厚
まで粗圧延した。その際、スラブ加熱温度と粗圧延のパ
ススケジュール（圧下率配分）を変えることによって、
粗圧延材の板厚中心部におけるＮＤ//｛１００｝面Ｘ線
強度のランダム強度比Ｉ｛１００｝を変化させた。これ
ら粗圧延片のＩ｛１００｝強度比は表２に示す通りであ
った。次に、粗圧延に引き続いて６パスの仕上げ圧延を
行い、３．０mm厚とした。仕上げ圧延は、潤滑圧延と無
潤滑圧延とし、摩擦係数を変化させた。摩擦係数は、圧
延最終パスの通板速度より測定し、その測定値を表２に
示した。仕上げ圧延後は７５０℃で巻き取った。熱延板
の一部は９００℃の熱延板焼鈍を追加した。そして、熱
延板および熱延焼鈍板から引張試験片を切り出し、深絞
り性評価のためにｒ値を測定した。また熱延板は、酸洗
後、０．６mm厚まで冷延し、８５０℃で６０秒の焼鈍を
行った後に引張試験片を切り出し、ｒ値を測定した。そ
れぞれのｒ値測定結果を表２に示した。
る。表１に示すフェライト系ステンレス鋼を、２０mm厚
まで粗圧延した。その際、スラブ加熱温度と粗圧延のパ
ススケジュール（圧下率配分）を変えることによって、
粗圧延材の板厚中心部におけるＮＤ//｛１００｝面Ｘ線
強度のランダム強度比Ｉ｛１００｝を変化させた。これ
ら粗圧延片のＩ｛１００｝強度比は表２に示す通りであ
った。次に、粗圧延に引き続いて６パスの仕上げ圧延を
行い、３．０mm厚とした。仕上げ圧延は、潤滑圧延と無
潤滑圧延とし、摩擦係数を変化させた。摩擦係数は、圧
延最終パスの通板速度より測定し、その測定値を表２に
示した。仕上げ圧延後は７５０℃で巻き取った。熱延板
の一部は９００℃の熱延板焼鈍を追加した。そして、熱
延板および熱延焼鈍板から引張試験片を切り出し、深絞
り性評価のためにｒ値を測定した。また熱延板は、酸洗
後、０．６mm厚まで冷延し、８５０℃で６０秒の焼鈍を
行った後に引張試験片を切り出し、ｒ値を測定した。そ
れぞれのｒ値測定結果を表２に示した。
【００１２】
【表１】
【００１３】
【表２】
【００１４】表２より明らかなように、粗圧延材の板厚
中心部のＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強度比
Ｉ｛１００｝が３以下で、かつ仕上げ圧延時の摩擦係数
が０．２以下であると、ｒ値が０．２〜０．４程高くな
り、深絞り性を向上させることができる。
中心部のＮＤ//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強度比
Ｉ｛１００｝が３以下で、かつ仕上げ圧延時の摩擦係数
が０．２以下であると、ｒ値が０．２〜０．４程高くな
り、深絞り性を向上させることができる。
【００１５】
【発明の効果】本発明の製造方法では、粗圧延材の板厚
中心部におけるＮＤ//｛１００｝集合組織の発達を抑制
し、かつ仕上げ圧延時の摩擦係数を低くするようにした
ので、フェライト系ステンレス鋼板の深絞り性をさらに
向上させることができる。従って、本発明の深絞り性向
上方法を適用することによって、精錬コストを削減で
き、また圧延−焼鈍の繰返し工程を付加しなくても済
む。
中心部におけるＮＤ//｛１００｝集合組織の発達を抑制
し、かつ仕上げ圧延時の摩擦係数を低くするようにした
ので、フェライト系ステンレス鋼板の深絞り性をさらに
向上させることができる。従って、本発明の深絞り性向
上方法を適用することによって、精錬コストを削減で
き、また圧延−焼鈍の繰返し工程を付加しなくても済
む。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 哲郎 北九州市戸畑区飛幡町１番１号 新日本製 鐵株式会社八幡製鐵所内
Claims (1)
- 【請求項１】 フェライト系ステンレス鋼板の製造方法
において、熱間圧延工程で粗圧延材の板厚中心部のＮＤ
//｛１００｝面Ｘ線強度のランダム強度比を３以下と
し、次いで仕上げ圧延を摩擦係数０．２以下で行うこと
を特徴とする深絞り性に優れたフェライト系ステンレス
鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22704296A JPH1071403A (ja) | 1996-08-28 | 1996-08-28 | 深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22704296A JPH1071403A (ja) | 1996-08-28 | 1996-08-28 | 深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1071403A true JPH1071403A (ja) | 1998-03-17 |
Family
ID=16854621
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP22704296A Withdrawn JPH1071403A (ja) | 1996-08-28 | 1996-08-28 | 深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1071403A (ja) |
-
1996
- 1996-08-28 JP JP22704296A patent/JPH1071403A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20031104 |