JPH1069984A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

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JPH1069984A
JPH1069984A JP34809896A JP34809896A JPH1069984A JP H1069984 A JPH1069984 A JP H1069984A JP 34809896 A JP34809896 A JP 34809896A JP 34809896 A JP34809896 A JP 34809896A JP H1069984 A JPH1069984 A JP H1069984A
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JP
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layer
thin film
film layer
anode
tin
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Application number
JP34809896A
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English (en)
Inventor
Katsuhiko Koike
小池  勝彦
Fumiharu Yamazaki
文晴 山▲崎▼
Tomoyuki Okamura
友之 岡村
Shin Fukuda
福田  伸
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/81Anodes
    • H10K50/816Multilayers, e.g. transparent multilayers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光輝度が高く、耐久性に優れた有機エレク
トロルミネッセンス素子を提供する。 【解決手段】 透明な基体(A)80、陽極(B)2
0、有機化合物からなる発光層(D)30、及び陰極
(E)をA/B/D/Eなる順序で形成した有機エレク
トロルミネッセンス素子において、陽極(B)20が、
実質的にインジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層
(a)23、金属薄膜層(b)22、実質的にインジウ
ムとスズとの酸化物からなる薄膜層(c)21をa/b
/cなる順序で形成した積層体であることを特徴とする
有機エレクトロルミネッセンス素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電流の注入によっ
て発光する有機物質のエレクトロルミネッセンスを利用
した発光素子であり、かかる有機物質を陽極と陰極との
間に層状に構成した発光層を備える有機エレクトロルミ
ネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子は、面状
の発光素子が形成できるため液晶ディスプレイのバック
ライト、時計や携帯情報機器といった小型電子機器の照
明用光源に広く利用されている。また、面状である形状
を活かし、エレクトロルミネッセンス素子そのものを、
フラットパネルディスプレイとして利用することも実用
化されつつある。
【0003】エレクトロルミネッセンス素子には、発光
層に硫化亜鉛や硫化ストロンチウム等を用いた、いわゆ
る無機エレクトロルミネッセンス素子と、発光層に有機
物質を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子とがあ
る。無機エレクトロルミネッセンス素子が通常交流電界
を印加して発光させるのに対し、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子は直流で発光するため、発光させるための
駆動電源の選択が容易となる。
【0004】有機エレクトロルミネッセンス素子は、タ
ング(Tang)とバンスリケ(VanSlyke)ら
の報告(アプライド・フィジクス・レターズ(Appl
ied Physics Letters)、51巻、
913ページ、1987年)以来、その豊富な材料数と
分子レベルの合成技術で、安価な大画面カラー表示デバ
イスを実現するものとして注目され、その発光特性が検
討されている。
【0005】有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽
極から注入された正孔と陰極から注入された電子が発光
層内で再結合し、励起状態を経て発光する現象を利用す
るものである。発光層の発光材料によって様々な素子構
成が検討されているが、基本的には強い蛍光を発する有
機発光層を陽極と陰極の間に挟むことで素子が完成でき
る。さらに、発光の高効率化や安定駆動のためには、正
孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、及び電子輸送層を
設けたり、有機発光層へのゲスト分子をドーピングする
ことが有効とされている。
【0006】有機エレクトロルミネッセンス素子として
は、(図1)に示すように、陰極10と陽極20との間
に、有機化合物からなる発光層30、及び有機化合物か
らなる正孔輸送層40が積層された2層構成のものや、
(図2)に示すように、陰極10と陽極20との間に、
有機化合物からなる電子輸送層50、有機化合物からな
る発光層30、及び有機化合物からなる正孔輸送層40
が積層された3層構成のものが知られている(特開平2
−216790号公報)。これらの有機エレクトロルミ
ネッセンス素子は陽極20の外側に、これを支持するた
めの透明な基体80が配置される。
【0007】正孔輸送層40は陽極から正孔を輸送する
機能と電子をブロックする機能とを有し、電子輸送層5
0は陰極から電子を輸送する機能を有している。これら
有機エレクトロルミネッセンス素子では、陰極10から
注入された電子と陽極20から発光層30へ注入された
正孔との再結合によって励起子が生じ、この励起子が放
射失活する過程で光を放出する。放出された光は、透明
陽極と透明な基体を透して外部へ取り出される。
【0008】陽極には通常、導電性と透明性とを兼ね備
えている、インジウムとスズとの酸化物(Indium
Tin Oxide:ITO)が用いられる。陰極に
は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、イ
ンジウム(In)、銀(Ag)、あるいはこれらの合
金、例えば、Mg−Al、Mg−Ag等が用いられる。
陰極材料の重要な条件としては、効率良く電子を発光層
へ導入するために仕事関数が小さいことであり、上記の
材料はその条件を満たしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述した有機エレクト
ロルミネッセンス素子は、他の発光素子では達成できな
かった低電力駆動、高輝度、高効率発光を示す。しか
し、素子を定電圧または定電流駆動すると電流が流れに
くくなり、発光効率が経時に減少する問題がある。これ
は、他の発光素子に比較して顕著であり、素子が局部的
に変色したり、全く発光しなくなるといった劣化が生じ
る。本発明者らが見いだしたところによると、この問題
はITO膜の品質が良くないことが大きな理由であり、
透明な基体に高分子成形体を用いた場合に顕著である。
これは、ITOの成膜温度が高分子成形体の耐久温度に
よって制限されるため、成膜過程において、十分な温度
がかけられず、高品質のITO膜が得られないためであ
る。また、その場合、ITO膜の電気抵抗が十分低くな
らないため、正孔の注入効率がよくなく、高電圧で駆動
しなければ高輝度発光を得ることができない。
【0010】本発明の目的は、有機エレクトロルミネッ
センス素子において、高輝度発光を達成し、それを長時
間にわたって維持するために、低電気抵抗かつ高品質の
新規の陽極を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子
を提供すること、また、基体として高分子成形体を用い
ても、高輝度発光、発光耐久性に優れる有機エレクトロ
ルミネッセンス素子を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、有機エレク
トロルミネッセンス素子の透明陽極に、インジウムとス
ズを主成分とする薄膜層(a)、金属薄膜層(b)、イ
ンジウムとスズを主成分とする薄膜層(c)を順次積層
した3層構成とすること及びインジウムとスズを主成分
とする薄膜層(c)を特定の条件で形成することによっ
て、長時間にわたって高輝度発光を得ることができる有
機エレクトロルミネッセンス素子が得られることを見い
だした。
【0012】すなわち本発明は、(1) 透明な基体
(A)、陽極(B)、有機化合物からなる発光層
(D)、及び陰極(E)をA/B/D/Eなる順序で形
成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、陽
極(B)が、実質的にインジウムとスズとの酸化物から
なる薄膜層(a)、金属薄膜層(b)、実質的にインジ
ウムとスズとの酸化物からなる薄膜層(c)をa/b/
cなる順序で形成した積層体であることを特徴とする有
機エレクトロルミネッセンス素子、(2) 透明な基体
(A)、陽極(B)、有機化合物からなる正孔輸送層
(C)、有機化合物からなる発光層(D)、及び陰極
(E)をA/B/C/D/Eなる順序で形成した有機エ
レクトロルミネッセンス素子において、陽極(B)が、
実質的にインジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層
(a)、金属薄膜層(b)、実質的にインジウムとスズ
との酸化物からなる薄膜層(c)をa/b/cなる順序
で形成した積層体であることを特徴とする有機エレクト
ロルミネッセンス素子、(3) 少なくとも実質的にイ
ンジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層(c)が、高
酸素濃度雰囲気下でのスパッタリング法により形成され
た、非晶質膜であることを特徴とする(1)または
(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
(4) 透明な基体(A)が、高分子成形体であること
を特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エ
レクトロルミネッセンス素子、(5) 金属薄膜層
(b)が、銀、銀と金の合金、銀と銅の合金または銀と
パラジウムの合金からなることを特徴とする(1)〜
(4)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセン
ス素子である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の有機エレクトロルミネッ
センス素子は、陽極(B)が、実質的にインジウムとス
ズとの酸化物からなる薄膜層(a)、金属薄膜層
(b)、実質的にインジウムとスズとの酸化物をからな
る薄膜層(c)をa/b/cなる順序で形成した積層体
からなるものであり、高輝度発光、発光耐久性に優れた
ものである。
【0014】本発明を添付図面でもって説明する。(図
3)は本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一
例を示す断面図である。図中の10は陰極(E)、20
は陽極(B)、30は有機化合物からなる発光層
(D)、80は透明な基体(A)、21は実質的にイン
ジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層(c)、22は
金属薄膜層(b)、23は実質的にインジウムとスズと
の酸化物からなる薄膜層(a)である。そして、陽極
(B)は実質的にインジウムとスズとの酸化物からなる
薄膜層(a)、金属薄膜層(b)、実質的にインジウム
とスズとの酸化物からなる薄膜層(c)がa/b/cな
る積層体から成っている。また、(図4)に示したよう
に、陽極(B)20と有機化合物からなる発光層(D)
30との間に、有機化合物からなる正孔輸送層(C)4
0をいれてもよい。さらに、正孔を効率よく陽極(B)
から正孔輸送層(C)へ注入するために陽極(B)と正
孔輸送層(C)との間に正孔注入層をいれてもよい。
(図4)に示した有機エレクトロルミネッセンス素子で
は、発光層(D)が電子輸送の役割を果たしているが、
電子輸送層を設け、正孔輸送層または電子輸送層に発光
材をドープしたり、正孔輸送層と電子輸送層との間に発
光層を設けたりしても良い。更に、陰極から発光層また
は電子輸送層への電子の注入効率を上げるために陰極と
発光層または電子輸送層との間に電子注入層を入れても
良い。
【0015】陽極(B)は発光層(D)より発光した光
を外部に取り出すために透明な電極が用いられる。この
陽極に用いられる透明な電極の条件としては、(1)正
孔を効率よく正孔輸送層、さらには発光層へ注入するた
めに電気抵抗値が低いこと、(2)発光層で発光した光
を効率よく外部へ取り出すために可視光透過率が高いこ
と、(3)寿命を長くするために、陽極と正孔輸送層と
の間に界面劣化が生じないこと、が挙げられる。
【0016】従来これらの条件を満足する電極として代
表的な材料としては、インジウムとスズとの酸化物(以
下、ITOという)が用いられてきた。ITOは通常、
透明な板状のガラス表面に、真空蒸着法、あるいはイオ
ンプレーティング法、あるいはスパッタリング法等によ
り形成される。その成膜中には、電気抵抗値を低くする
ためにガラス基材を加熱することが一般的に行われてい
る。有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極として要
求される電気抵抗値は、その大きさや構成によっても異
なるが、素子の耐久性を保つための電荷注入効率を考慮
すると、例えば5cm×5cmの大きさでは、シート抵
抗値で20Ω/□以下であることが必要とされ、より好
ましくは10Ω/□、さらに好ましくは5Ω/□以下で
ある。ITOの成膜時の基板温度を200℃以上にする
ことで、比抵抗2×10-4(Ωcm)程度のITO膜を
形成することができるので、ITO膜厚を200nm程
度とすることで、シート抵抗値10Ω/□以下の電気抵
抗値の低いITO薄膜を得ることができる。しかしなが
ら、陽極には、透過率は70%以上が必要とされ、より
好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上で
あるので、前述した膜厚200nm程度ITO膜では、
十分な透過率を得ることができないのである。
【0017】また、ITO薄膜を支持するための基体と
してはガラス板が用いられるのが一般的であるが、これ
を高分子成形体に代替する検討も行われている。ガラス
板に比べて高分子成形体を基体とすると、(1)割れな
い、(2)より薄くできる、(3)曲げられる、(4)
軽い、等のガラス基体にはない特徴が得られる。しかし
ながら、高分子成形体を用いるとITO薄膜の成膜温度
が基体の耐熱温度によって制限され、その耐熱温度は一
般的には200℃以下であるため、十分に低いシート抵
抗値を得られる成膜温度に設定することができない。
【0018】本発明者らは、比抵抗の低い金属薄膜層を
ITO薄膜で挟み込んだ積層体が、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の陽極に必要な条件を満たすこと、さら
にこのことが高分子成形体を支持体として用いる場合に
特に有効であることを見いだしたのである。
【0019】すなわち、陽極を、ITO、金属薄膜層、
ITOを順次積層した構成にすることにより、低い成膜
温度でも十分に電気抵抗値の低い陽極が得られ、なおか
つ有機化合物からなる発光層(D)や有機化合物からな
る正孔輸送層(C)などの有機層に接するのは、従来か
ら用いられているITOであるため正孔の注入には影響
しない。金属薄膜層をITO薄膜で挟み込むのは、金属
薄膜層の安定性向上と、金属薄膜層による可視光の反射
を抑制するためである。
【0020】本発明において金属薄膜層に用いることの
できる材料としては、比抵抗が低く薄膜としたときの安
定性が優れているものが好ましい。具体的な材料として
は銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、コバル
ト、ロジウム、イリジウム、鉄、マンガン、クロム、モ
リブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタ
ル、チタン、ジルコニウム、スカンジウム、イットリウ
ム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、亜鉛
等もしくは、それらの合金が挙げられる。中でも、銀、
銀と金の合金、銀と銅の合金または銀とパラジウムの合
金を用いると著しくシート抵抗が低く、高透過率で、さ
らには耐久性のある陽極を備えた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子が得られるので好ましく用いられる。合金
の銀以外の成分の重量濃度としては、1〜30%程度が
好ましい。
【0021】金属薄膜層の厚さは、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の陽極として必要とされるシート抵抗と
可視光透過率とが得られる範囲に設定すればよい。使用
する金属の材料によっても異なるが、その厚さは通常5
nm〜30nmである。厚さが薄すぎると電気抵抗値が
陽極として使用できる値を超えてしまい、逆に厚すぎる
と可視光透過率が低下して透明性が損なわれるので好ま
しくない。
【0022】金属薄膜層を挟み込む、ITO層の厚さ
は、金属薄膜層の安定性が得られ、可視光の反射が抑制
できる厚さに設定すればよい。その厚さは金属薄膜層の
厚さによっても左右されるが、具体的には10nm〜4
00nmである。厚さが薄すぎると金属薄膜層の安定性
向上がみられず、逆に厚すぎると可視光透過率が低下し
たり、基体にフィルム状の高分子成形体を用いた場合に
は屈曲性が低下したりするので、いたずらに成膜時間を
かけ該層を厚くするのは好ましくない。
【0023】ITO層の原子組成に特に制限はない。通
常、酸化インジウム(化学式:In 2 3 )と酸化スズ
(化学式:SnO2 )との重量比は、97:3〜40:
60程度である。
【0024】本発明における金属薄膜層、及びインジウ
ムとスズとの酸化物からなる薄膜層の形成方法は、真空
蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等
の従来公知の手法によればよい。真空蒸着法は金属薄膜
層を形成するのに適しており、所望の金属を蒸着源に使
用し、抵抗加熱、電子ビーム加熱等により加熱蒸発させ
ることで簡便に金属薄膜層を得ることができる。また、
イオンプレーティング法では酸素プラズマ中で蒸着する
ため、原料にインジウムとスズとの合金、あるいはイン
ジウムとスズとの酸化物を使用し、電子ビーム等で加熱
蒸発させ、その酸化物からなる薄膜層を得ることができ
る。スパッタリング法を使用する場合には、ターゲット
に所望の材料を使用し、スパッタリングガスにアルゴ
ン、ネオン等の不活性ガスを用いた直流スパッタリング
法や高周波スパッタリング法が使用できる。
【0025】ITO膜をスパッタリング法で形成する際
には、電気抵抗値を低下させるために酸素ガスをスパッ
タリングガス中に混合する。ターゲットにインジウム・
スズ合金、または酸化インジウム・酸化スズ焼結体のい
ずれを使用しても、適量の酸素ガスを混合することで、
形成されたITO膜の電気抵抗値は最小値となる。この
様子を(図5)に掲げる。基体にポリエチレンテレフタ
レートフィルム、ターゲットにIn2 3 :SnO
2 (重量比80:20)、スパッタリングガスにアルゴ
ンと酸素の混合ガスを用い、酸素の混合量を変化させた
時に形成されたITO膜の比抵抗の変化をプロットした
図である。この場合は、アルゴン・酸素混合ガスの全圧
力は0.266Pa(2mTorr)で、特に基体は加
熱していない。このグラフから、比抵抗が最小の時の酸
素分圧の割合は、0.004Pa(0.03mTor
r)であることがわかる。
【0026】また、(図6)は同様の検討を別のスパッ
タリング装置を用いて行った結果である。基体にポリエ
チレンテレフタレートフィルム、ターゲットにIn2
3 :SnO2 (重量比80:20)、スパッタリングガ
スにアルゴンと酸素の混合ガスを用い、酸素の混合量を
変化させた時に形成されたITO膜の比抵抗の変化をプ
ロットした図である。この場合は、アルゴン・酸素混合
ガスの全圧力は0.6Paで、特に基体は加熱していな
い。このグラフから、この形成条件では、3%のとき
が、最小の比抵抗を得られることがわかる。
【0027】本発明におけるITO膜は、通常行われる
電気抵抗値が最小となる量の酸素ガスを混合してもよ
い。しかしながら、その場合、ITO膜中の酸化インジ
ウムは通常、酸素欠損を含んでおり、In2 3-X とな
って、xだけ酸素が欠損した状態になっている。酸素欠
損の多い状態では、そのITO層は、不安定であり、該
層と接している有機層との間に劣化が生じ易い。そのた
め、該層の安定性を増し、界面での劣化を抑制するため
に、酸素欠損を少なくした方がよい。
【0028】本発明者らの検討したところによると、酸
素欠損の少ないITO膜を得るためには、スパッタリン
グガスに混合させる酸素ガスの量を以下のように十分多
くする、すなわち「高酸素濃度雰囲気下」にすることが
望ましいのである。本発明にいう、「高酸素濃度雰囲気
下」とは、少なくとも最小の電気抵抗値の得られる酸素
濃度よりも高い酸素濃度を有する雰囲気を意味する。高
い酸素濃度の雰囲気下でスパッタリングして形成したI
TO膜は電気抵抗値は高くなるものの、高い安定性を有
する非晶質膜ができることを見いだした。(図5)の場
合では、ITO膜の最小の電気抵抗値、すなわち比抵抗
は、酸素分圧が0.004Pa(0.03mTorr)
の時であるので、[高酸素雰囲気下」とは酸素分圧が
0.004Pa(0.03mTorr)を超える雰囲気
をいう。(図6)の場合では、ITO膜の最小の電気抵
抗値、すなわち比抵抗は、酸素分圧が全圧に占める割合
が3%の時最小であるので、「高酸素濃度雰囲気下」と
は、その割合が3%を越える雰囲気をいう。それらの雰
囲気下で形成したITO膜は、有機層との界面での劣化
を抑制する効果が得られる。このとき、陽極全体の電気
抵抗値に関しては、金属薄膜層との積層により十分に低
い陽極が得られるため、ITO膜自体の電気抵抗値を低
くする必要は特にない。
【0029】本発明においては少なくとも有機層に接す
るITO膜(c)は、非晶質であることが好ましい。I
TO膜が結晶質となっていると電流分布にムラが生じ、
電流が多く流れる部分からの劣化が、発光継続時の早い
時期に生じてしまう。上記した「高酸素雰囲気下」での
成膜では、成膜温度を高くしない限り、得られるITO
膜は非晶質となることを見いだしたのである。ITO膜
が結晶質となる成膜温度は、約200℃以上である。な
お、透明な基体と接するITO膜(a)も、「高酸素濃
度雰囲気下」での成膜でもよい。
【0030】ここで「非晶質」とは、ITO膜をθ−2
θ法により測定したX線回折(X−ray Diffr
action:XRD)パターンに、θ−2θ=30゜
〜31゜にIn2 3 (222)ピーク、あるいはθ−
2θ=35゜〜36゜にIn 2 3 (400)ピークが
観察されない膜、を意味する。ここで(222)及び
(400)は結晶学でいう面指数を表す。結晶質、及び
非晶質のITO膜のXRDパターンを(図7)に掲げる
(CuKα線で測定)。ここでは基体にガラス板を用
い、結晶質のITO膜は成膜温度250℃、非晶質のI
TO膜は室温で成膜したものである。またITO膜の厚
さはいずれも50nmである。
【0031】有機化合物からなる正孔輸送層、有機化合
物からなる発光層、及び陰極に使用する材料は、従来公
知の材料を使用できる。これらについては例えば「電子
材料:1996年2月号、22頁〜26頁」に詳細に記
載されている。
【0032】それぞれの層に使用できる材料を具体的に
挙げれば、 (1)有機化合物からなる正孔輸送層 ・ジアミン系の化合物は、正孔輸送能に優れるため、そ
の多くを正孔輸送層として用いることができる。中で
も、特にN,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチ
ルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジア
ミン(略称:TPD)は、正孔輸送能に優れ、広く正孔
輸送材として使われている。
【0033】(2)有機化合物からなる発光層 低分子系 ・アルミニウムキノリノール錯体(8−ハイドロキシキ
ノリン アルミニウム)(略称:Alq3 ) ・1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シク
ロペンタジエン(略称:PPCP) ・2−(4−ビフェニィリル)−5−(4−t−ブチル
フェニイル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:
PBD) ・N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)
−3,4,9,10−ペリレンジカルボキシイミド(略
称:BPPC) 共役高分子系 ・ポリパラフェニレンビニレン(略称:PPV) ・ポリ(2−メトキシ−5−(2’エチルエキソキシ)
−1,4−パラフェニレンビニレン(略称:MEH−P
PV) ・ポリ(3−アルキルチオフェン)(略称:PAT) ・ポリ(9,9−ジアルキシルフルオレン)(略称:P
DAF) ・ポリ(パラフェニレン)(略称:PPP) 高分子分散系 ・ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK) ・2,5−ビス(5−t−ブチル−2,5−ベンゾオキ
サゾイル)チオフェン(略称:BBOT) ・ジンク ビス−ベンゾチアゾール フェノレイト(略
称:ZnBTZ)
【0034】(3)陰極 ・マグネシウムと銀の合金 ・マグネシウムとアルミニウムの合金等がある。これら
の層の形成は、従来公知の真空蒸着法やイオン化蒸着法
等の物理気相成長法や、適当な溶媒に所望の材料を分散
させ、スピンコート等の手法で塗布した後乾燥させる湿
式法等によればよい。これらの層の厚さは、(1)正孔
輸送層:30nm〜200nm、(2)発光層:30n
m〜200nm、(3)陰極:5nm〜500nm程度
である。また、発光効率をさらに向上させるために発光
層と陰極との間に適当な電子輸送層を挿入してもよい。
【0035】本発明において透明な基体は、可視光の領
域で透明であれば特に制限されない。具体的には、ガラ
スと高分子成形体が好適に使用できる。高分子成形体を
用いた場合には前述したように、割れない、軽い、薄
い、屈曲可能といった利点を有するので特に好適に使用
できる。
【0036】好ましい高分子成形体を例示すれば、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサル
フォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PE
EK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン
(PP)、ポリイミド、アクリル等が挙げられる。これ
ら高分子基体は透明導電層を形成する面がある程度平滑
であれば、板状であってもフィルム状であってもよい。
板状の高分子基体は寸法安定性と機械的強度に優れてい
るため特にそれが要求される場合には好適に使用でき
る。また高分子フィルムは可撓性を有しており透明導電
層をロールツロール法で連続的に形成することができる
ため、これを使用した場合には効率よく透明導電性基体
を生産できる故にこれもまた好適に使用できる。この場
合フィルムの厚さは通常10〜250μmのものが用い
られる。フィルムの厚さが10μm以下では、基材とし
ての機械的強度に不足し、250μm以上では可撓性が
不足するためフィルムをロールで巻きとって利用するの
に適さない。
【0037】これら基体には、その表面に予めスパッタ
リング処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照射、電子
線照射などのエッチング処理や、下塗り処理を施してこ
の上に形成される薄膜層の上記フィルムに対する密着性
を向上させる処理を施してもよい。また、薄膜層を成膜
する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などの防
塵処理を施してもよい。
【0038】なお、本発明のように別種の元素からなる
薄膜層を積層した場合、その界面は明確に区別されるも
のではなく、通常相互拡散を生じている。しかしなが
ら、そのような相互拡散が生じても、それは通常性能に
は影響しない範囲である。
【0039】また、基体と薄膜層との密着力、もしくは
薄膜層間の密着力を向上させるために適当な中間層をさ
らに性能を損なわない範囲で層間に挿入してもよい。ま
た、耐擦傷性を向上させたり、水蒸気バリア性を向上さ
せるために、性能が損なわれない範囲で積層構成を形成
する主面とは逆側の基体の面に、適当なハードコート層
等を形成してもよい。
【0040】上記の方法により得られた透明導電性フィ
ルムを、耐環境性を向上させるために、熱処理(アニー
リング)を施してもよい。熱処理温度は通常、100〜
250℃程度である。
【0041】上記の方法により形成した透明導電層の原
子組成は、オージェ電子分光法(AES)、誘導結合プ
ラズマ法(ICP)、ラザフォード後方散乱法(RB
S)等により測定できる。またこれらの膜厚は、オージ
ェ電子分光の深さ方向観察、透過型電子顕微鏡による断
面観察等により測定できる。
【0042】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により具体的に説明
する。 (実施例1)透明基体にポリエチレンテレフタレートフ
ィルム〔帝人(株)製テトロンO(商標名)厚さ100
μm〕を使用し、その一方の主面に、以下の形成条件に
より、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層[4
0nm]/銀薄膜層[10nm]/インジウムとスズと
の酸化物からなる薄膜層[40nm](以上までが陽
極)/ジアミン層[60nm](有機化合物からなる正
孔輸送層)/アルミニウムキノリノール錯体(略称:A
lq3 )層[30nm](有機化合物からなる発光層)
/マグネシウム・銀合金層[80nm](陰極)を順次
積層し、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し
た。尚、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の
結晶性をX線回折で評価したところ、非晶質であった。
【0043】・形成方法 (1)インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層 ・手法:マグネトロン直流スパッタリング法 ・ターゲット:In2 3 :SnO2 (重量比80:2
0)焼結体 ・スパッタリングガス:アルゴン:酸素〔圧力比0.2
59Pa(1.15mTorr):0.007Pa
(0.05mTorr)〕混合ガス[ 本発明における高
酸素濃度雰囲気下] ・成膜速度:10nm/min (2)銀薄膜層 ・手法:マグネトロン直流スパッタリング法 ・ターゲット:銀(純度99.9%) ・スパッタリングガス:アルゴン〔圧力0.266Pa
(2mTorr)〕 ・成膜速度:20nm/min (3)ジアミン層 ・手法:真空加熱蒸着法 ・蒸着源:ジアミン ・成膜速度:120nm/min (4)アルミニウムキノリノール錯体層 ・手法:真空加熱蒸着法 ・蒸着源:アルミニウムキノリノール錯体 ・成膜速度:120nm/min (5)マグネシウム・銀合金層 ・手法:真空加熱蒸着法 ・蒸着源:マグネシウム、銀の二元蒸着源 ・成膜速度:200nm/min なお、それぞれの層の厚さは成膜時間を制御することで
変化させた。
【0044】(実施例2)インジウムとスズとの酸化物
層を形成するのに、スパッタリングガスに、アルゴン・
酸素〔圧力比0.253Pa(1.90mTorr):
0.013Pa(0.10mTorr)〕混合ガス[ 本
発明における高酸素濃度雰囲気下] を用いた以外は実施
例1と同じ手法により有機エレクトロルミネッセンス発
光体を作製した。尚、インジウムとスズとの酸化物から
なる薄膜層の結晶性をX線回折で評価したところ、非晶
質であった。
【0045】(実施例3)インジウムとスズとの酸化物
層を形成するのに、スパッタリングガスに、アルゴン・
酸素〔圧力比0.262Pa(1.97mTorr):
0.004Pa(0.03mTorr)〕混合ガスを用
いた以外は、実施例1と同じ手法により有機エレクトロ
ルミネッセンス発光体を作製した。尚、インジウムとス
ズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性をX線回折で評価
したところ、非晶質であった。
【0046】(比較例1)積層構成を、インジウムとス
ズとの酸化物層[80nm]陽極)/ジアミン層[60
nm](有機化合物からなる正孔輸送層)/アルミニウ
ムキノリノール錯体(略称:Alq3 )層[30nm]
(有機化合物からなる発光層)/マグネシウム・銀合金
層[80nm](陰極)とし、インジウムとスズとの酸
化物からなる薄膜層のスパッタリングガスを、抵抗率が
最も小さくなる条件(アルゴン・酸素〔圧力比0.26
2Pa(1.97mTorr):0.004Pa(0.
03mTorr)〕とした以外は実施例1と同じ手法で
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0047】上記の如く作製した有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の性能を以下の手法により評価した。 (1)発光輝度 陽極と陰極との間に10Vの直流電圧を印加し有機エレ
クトロルミネッセンス素子を発光させ、発光輝度をミノ
ルタ(株)製の輝度計:LS−110で測定した。 (2)発光耐久性 室温40℃、相対湿度80%の雰囲気中で、陽極と陰極
との間に10Vの直流電圧を印加し有機エレクトロルミ
ネッセンス素子を発光を継続した。発光輝度が初期輝度
の1/2となる時間を発光輝度の半減時間とし、その素
子の寿命とした。以上の結果を(表1)に掲げる。
【0048】
【表1】
【0049】(表1)より本発明品の有機エレクトロル
ミネッセンス素子は、初期輝度が高く、輝度半減時間も
長い耐久性に優れたものであることがわかる。また、実
施例1、2のごとく、少なくとも有機層と接する、イン
ジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層を、高酸素濃度
雰囲気下で形成した安定な非晶質膜とすることにより、
より耐久性の優れたものが得られることがわかる。
【0050】(実施例4)透明基体にポリエチレンテレ
フタレートフィルム〔帝人(株)製HSA(商標名)厚
さ125μm〕を使用し、その一方の主面に、以下の形
成条件により、インジウムとスズとの酸化物からなる薄
膜層[40nm]/銀薄膜層[10nm]/インジウム
とスズとの酸化物からなる薄膜層[40nm](以上ま
でが陽極)/TPD層[75nm](有機化合物からな
る正孔輸送層)/アルミニウムキノリノール錯体(略
称:Alq3 )層[60nm](有機化合物からなる発
光層)/マグネシウム・銀合金層[80nm](陰極)
を順次積層し、有機エレクトロルミネッセンス素子を作
製した。なお、陽極はシート抵抗5Ω/□、透過率90
%であり、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層
の結晶性をX線回折によって評価したところ、非晶質で
あった。
【0051】・形成方法 (1)インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層 ・手法:マグネトロン直流スパッタリング法 ・ターゲット:In2 3 :SnO2 (重量比80:2
0)焼結体 ・スパッタリングガス:アルゴン:酸素(全圧0.6P
aに対する酸素分圧の割合3%)混合ガス ・成膜速度:15nm/min (2)銀薄膜層 ・手法:マグネトロン直流スパッタリング法 ・ターゲット:銀(純度99.9%) ・スパッタリングガス:アルゴン(圧力0.6Pa) ・成膜速度:16nm/min (3)TPD層 ・手法:真空加熱蒸着法 ・蒸着源:TPD ・成膜速度:0. 3nm/min (4)アルミニウムキノリノール錯体層 ・手法:真空加熱蒸着法 ・蒸着源:アルミニウムキノリノール錯体 ・成膜速度:0. 3nm/min (5)マグネシウム・銀合金層 ・手法:真空加熱蒸着法 ・蒸着源:マグネシウム、銀の二元蒸着源 ・成膜速度:1nm/min なお、それぞれの層の厚さは成膜時間を制御することで
変化させた。
【0052】(実施例5)インジウムとスズとの酸化物
層を形成するのに、スパッタリングガスに、アルゴン・
酸素(全圧0.6Paに対する酸素分圧の割合4%)混
合ガス[ 本発明における高酸素濃度雰囲気下] を用いた
以外は実施例1と同じ手法により有機エレクトロルミネ
ッセンス発光体を作製した。なお、陽極はシート抵抗6
Ω/□、透過率87%であり、インジウムとスズとの酸
化物からなる薄膜層の結晶性をX線回折によって評価し
たところ、非晶質であった。
【0053】(実施例6)インジウムとスズとの酸化物
層を形成するのに、スパッタリングガスに、アルゴン・
酸素(全圧0.6Paに対する酸素分圧の割合5%)混
合ガス[ 本発明における高酸素濃度雰囲気下] を用いた
以外は実施例1と同じ手法により有機エレクトロルミネ
ッセンス発光体を作製した。なお、陽極はシート抵抗8
Ω/□、透過率82%であり、インジウムとスズとの酸
化物からなる薄膜層の結晶性をX線回折によって評価し
たところ、非晶質であった。
【0054】(実施例7)銀薄膜層の替わりに銀−金
(重量比95:5)合金を用いた、成膜速度を18nm
/minにした以外は実施例4と同じ手法により有機エ
レクトロルミネッセンス発光体を作製した。なお、陽極
はシート抵抗8Ω/□、透過率88%であり、インジウ
ムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性をX線回折
によって評価したところ、非晶質であった。
【0055】(実施例8)銀薄膜層の替わりに銀−金
(重量比95:5)合金を用いた、成膜速度を18nm
/minにした以外は実施例5と同じ手法により有機エ
レクトロルミネッセンス発光体を作製した。なお、陽極
はシート抵抗9Ω/□、透過率87%であり、インジウ
ムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性をX線回折
によって評価したところ、非晶質であった。
【0056】(実施例9)銀薄膜層の替わりに銀−金
(重量比95:5)合金を用いた、成膜速度を18nm
/minにした以外は実施例6と同じ手法により有機エ
レクトロルミネッセンス発光体を作製した。なお、陽極
はシート抵抗11Ω/□、透過率85%であり、インジ
ウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性をX線回
折によって評価したところ、非晶質であった。
【0057】(実施例10)銀薄膜層の替わりに銀−銅
(重量比90:10)合金を用いた、成膜速度を20n
m/minにした以外は実施例4と同じ手法により有機
エレクトロルミネッセンス発光体を作製した。なお、陽
極はシート抵抗13Ω/□、透過率79%であり、イン
ジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性をX線
回折によって評価したところ、非晶質であった。
【0058】(実施例11)銀薄膜層の替わりに銀−銅
(重量比90:10)合金を用いた、成膜速度を20n
m/minにした以外は実施例5と同じ手法により有機
エレクトロルミネッセンス発光体を作製した。なお、陽
極はシート抵抗14Ω/□、透過率78%であり、イン
ジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性をX線
回折によって評価したところ、非晶質であった。
【0059】(実施例12)銀薄膜層の替わりに銀−銅
(重量比90:10)合金を用いた、成膜速度を20n
m/minにした以外は実施例6と同じ手法により有機
エレクトロルミネッセンス発光体を作製した。なお、陽
極はシート抵抗16Ω/□、透過率78%であり、イン
ジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性をX線
回折によって評価したところ、非晶質であった。
【0060】(実施例13)銀薄膜層の替わりに銀−パ
ラジウム(重量比95:5)合金を用いた、成膜速度を
19nm/minにした以外は実施例4と同じ手法によ
り有機エレクトロルミネッセンス発光体を作製した。な
お、陽極はシート抵抗9Ω/□、透過率77%であり、
インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶性を
X線回折によって評価したところ、非晶質であった。
【0061】(実施例14)銀薄膜層の替わりに銀−パ
ラジウム(重量比95:5)合金を用いた、成膜速度を
19nm/minにした以外は実施例5と同じ手法によ
り有機エレクトロルミネッセンス発光体を作製した。な
お、陽極はシート抵抗10Ω/□、透過率77%であ
り、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶
性をX線回折によって評価したところ、非晶質であっ
た。
【0062】(実施例15)銀薄膜層の替わりに銀−パ
ラジウム(重量比95:5)合金を用いた、成膜速度を
19nm/minにした以外は実施例6と同じ手法によ
り有機エレクトロルミネッセンス発光体を作製した。な
お、陽極はシート抵抗11Ω/□、透過率76%であ
り、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の結晶
性をX線回折によって評価したところ、非晶質であっ
た。
【0063】(比較例2)積層構成を、インジウムとス
ズとの酸化物層[80nm](陽極)/TPD層[75
nm](有機化合物からなる正孔輸送層)/アルミニウ
ムキノリノール錯体(略称:Alq3 )層[65nm]
(有機化合物からなる発光層)/マグネシウム・銀合金
層[80nm](陰極)とした以外は実施例1と同じ手
法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。な
お、陽極はシート抵抗61Ω/□、透過率91%であっ
た。
【0064】上記の如く作製した有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の性能を以下の手法により評価した。 (1)発光輝度 陽極と陰極との間に電流密度が10mA/ cm2 となる
ように直流電圧を印加し有機エレクトロルミネッセンス
素子を発光させ、発光輝度をミノルタ(株)製の輝度
計:LS−110で測定した。 (2)発光耐久性 室温40℃、相対湿度80%の雰囲気中で、陽極と陰極
との間に電流密度が10mA/ cm2 となるように直流
電圧を印加し有機エレクトロルミネッセンス素子を発光
を継続した。発光輝度が初期輝度の1/2となる時間を
発光輝度の半減時間とし、その素子の寿命とした。以上
の結果を(表2)及び(表3)に掲げる。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】(表2)より、本発明の有機エレクトロル
ミネッセンス素子は初期輝度が高いことが分かる。ま
た、(表3)より、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子は、輝度半減時間も長い耐久性に優れたもので
あることが分かる。特に、(表2)、(表3)より、金
属薄膜層に銀を用いた場合は、初期輝度の優れた有機エ
レクトロルミネッセンス素子が、銀と金の合金を用いた
場合は、初期輝度及び発光耐久性に優れた有機エレクト
ロルミネッセンス素子が、そして、銀と銅の合金または
銀とパラジウムの合金を用いることによって、特に発光
耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得
られたことがわかる。
【0068】
【発明の効果】本発明においては有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の陽極に、実質的にインジウムとスズとの
酸化物からなる薄膜層(a)、金属薄膜層(b)、実質
的にインジウムとスズとの酸化物をからなる薄膜層
(c)をa/b/cなる順序で形成した積層体とするこ
とで、高分子成形体を基体とした場合においても初期輝
度が高く発光耐久性にも優れた有機エレクトロルミネッ
センス素子を得ることができる。
【0069】また、インジウムとスズの酸化物層を形成
する時のスパッタリングガスを、アルゴンガスに含有さ
せる酸素の濃度を増加させた高酸素濃度雰囲気下にする
ことにより、より発光耐久性に優れる有機エレクトロル
ミネッセンス素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示
す断面図
【図2】有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示
す断面図
【図3】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の
一例を示す断面図
【図4】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の
一例を示す断面図
【図5】スッパタリングにより作製したITO膜の比抵
抗と、スパッタリングガス酸素濃度との関係を示すグラ
【図6】スッパタリングにより作製したITO膜の比抵
抗と、スパッタリングガス酸素濃度との関係を示すグラ
【図7】非晶質のITO膜と結晶質のITO膜のX線回
折パターンの図
【符号の説明】
10 陰極 20 陽極 21 インジウムとスズの酸化物からなる薄膜層(c) 22 金属薄膜層(b) 23 インジウムとスズの酸化物からなる薄膜層(a) 30 有機化合物からなる発光層 40 有機化合物からなる正孔輸送層 50 有機化合物からなる電子輸送層 80 透明な基体
フロントページの続き (72)発明者 福田 伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な基体(A)、陽極(B)、有機化
    合物からなる発光層(D)、及び陰極(E)をA/B/
    D/Eなる順序で形成した有機エレクトロルミネッセン
    ス素子において、陽極(B)が、実質的にインジウムと
    スズとの酸化物からなる薄膜層(a)、金属薄膜層
    (b)、実質的にインジウムとスズとの酸化物からなる
    薄膜層(c)をa/b/cなる順序で形成した積層体で
    あることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素
    子。
  2. 【請求項2】 透明な基体(A)、陽極(B)、有機化
    合物からなる正孔輸送層(C)、有機化合物からなる発
    光層(D)、及び陰極(E)をA/B/C/D/Eなる
    順序で形成した有機エレクトロルミネッセンス素子にお
    いて、陽極(B)が、実質的にインジウムとスズとの酸
    化物からなる薄膜層(a)、金属薄膜層(b)、実質的
    にインジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層(c)を
    a/b/cなる順序で形成した積層体であることを特徴
    とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 少なくとも実質的にインジウムとスズと
    の酸化物からなる薄膜層(c)が、高酸素濃度雰囲気下
    でのスパッタリング法により形成された、非晶質膜であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 透明な基体(A)が、高分子成形体であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有
    機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】 金属薄膜層(b)が、銀、銀と金の合
    金、銀と銅の合金または銀とパラジウムの合金からなる
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
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