JPH106199A - 曲面研磨方法、及び曲面研磨装置 - Google Patents

曲面研磨方法、及び曲面研磨装置

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JPH106199A
JPH106199A JP15782696A JP15782696A JPH106199A JP H106199 A JPH106199 A JP H106199A JP 15782696 A JP15782696 A JP 15782696A JP 15782696 A JP15782696 A JP 15782696A JP H106199 A JPH106199 A JP H106199A
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arc
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剛和 塩谷
Kimihiro Wakabayashi
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工精度の向上を図ること。 【解決手段】 加工面34Aの研磨走査によって加工面
34Aの法線の方向が変化したとき、研磨工具60の荷
重軸が法線に一致するように研磨工具60の加工面34
A上の接触点を中心にして荷重軸の姿勢を制御するよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は曲面形状、特に、回
転対称軸を持たない非球面形状を有したレンズ、ミラー
等の光学素子や、これらを射出成形するための成形金型
等を研磨する曲面研磨方法、及び曲面研磨装置に関し、
特に、研磨工具の走査速度を適切化し、加工精度の向上
を図った曲面研磨方法、及び曲面研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】曲面形状、特に、回転対称軸を持たない
非球面形状を有したレンズ、ミラー等の光学素子や、こ
れらを射出成形するための成形金型を研磨する、従来の
曲面研磨装置として、例えば、特開平5−57606号
公報に開示されるものがある。
【0003】図8には、上記曲面研磨装置が示されてい
る。この曲面研磨装置は、定盤2上において加工物3に
所定の水平運動を行わせる水平駆動部1Aと、水平駆動
部1Aによって移動されてきた加工物3の加工面3Aの
面形状を計測する形状計測部1Bと、形状計測部1Bの
計測によって得られた加工面3Aの面形状データに基づ
いて水平駆動部1Aによって移動されてきた加工物3の
加工面3Aの研磨加工を行う研磨加工部1Cを備えて構
成されている。
【0004】水平駆動部1Aは、定盤2上にY軸方向に
移動可能に設けられたY軸テーブル4と、Y軸方向に沿
って配置され、Y軸テーブル4のナット(図示せず)と
螺合したボールネジ5と、ボールネジ5を回転させてY
軸テーブル4をY軸方向に移動させるモータ6と、Y軸
テーブル4上にX軸方向に移動可能に設けられたX軸テ
ーブル7と、X軸方向に沿って配置され、X軸テーブル
7のナット(図示せず)と螺合したボールネジ8と、ボ
ールネジ8を回転させてX軸テーブル7をX軸方向に移
動させるモータ9と、X軸テーブル7上に配置され、図
示しないモータによって回転するθテーブル10を有し
て構成されている。
【0005】研磨加工部1Cは、定盤2に設けられたL
字形の研磨フレーム11A、11B、11Cと、研磨フ
レーム11A、11B、11Cの先端に取付板12を介
して取り付けられ、下部に取り付けられた研磨ヘッド1
4を自在に傾斜させると共に昇降させるZチルティング
装置13を有している。
【0006】図9には、Zチルティング装置13の構成
が示されている。Zチルティング装置13は、3つの角
15aが取付板12にそれぞれ固定される三角取付板1
5と、三角取付板15上に各辺にそれぞれ平行に固着さ
れた軸16A〜16C(16Cは図示せず)と、軸16
A〜16Cにそれぞれ回動自在に取り付けられたブロッ
ク17A〜17Cと、ブロック17A〜17CのZ軸方
向に伸びる一対の側部に、Z軸方向に伸びる一対の内側
部がそれぞれスライド自在に係合したロ字形の研磨アー
ム18A〜18Cと、それぞれZ軸方向に伸びて、研磨
アーム18A〜18Cに軸支されると共に、ブロック1
7A〜17Cのナット(図示せず)に螺合したボールネ
ジ19A〜19Cと、ボールネジ19A〜19Cを回転
させて研磨アーム18A〜18CをZ軸方向に移動させ
るモータ20A〜20Cと、研磨アーム18A〜18C
の下端にユニバーサルジョイント21A〜21Cを介し
て取り付けられた三角形の研磨ヘッド取付板22を有し
て構成されている。
【0007】図10には、研磨ヘッド14の構成が示さ
れている。研磨ヘッド14は、加工物3の加工面3Aを
研磨する円柱状の研磨工具23と、研磨工具23を保持
する研磨工具保持装置24と、荷重軸25を介して研磨
工具23に加圧力を付加する定圧装置26と、研磨工具
23を矢印D方向に往復運動させる揺動装置27を有し
て構成されている。
【0008】定圧装置26は、荷重軸25に取り付けら
れたボイスコイルモータ、板ばね、及び荷重センサ(何
れも図示せず)によって常に設定された加圧力を保つよ
うに構成されている。また、荷重軸25には、荷重軸2
5の軸方向の変位量を検出する変位センサ(図示せず)
が取り付けられている。
【0009】揺動装置27は、モータ28の回転軸28
Aに接続されたクランク29と、クランク29の回転運
動を往復運動に変換するコンロッド30と、定圧装置2
6のケーシングに固着され、コンロッド30から往復運
動を入力してスライド軸31上をスライドするスライダ
32を有して構成されている。
【0010】以上の構成において、加工物3の研磨加工
を行う場合には、まず、加工物3の加工面3Aに研磨剤
を塗布し、Zチルティング装置14によって研磨ヘッド
13を下降させて研磨工具23を加工面3Aに接触させ
る。次に、揺動装置27により研磨工具23を矢印D方
向に往復運動させると共に、定圧装置26により研磨工
具23に所定の加圧力を加え、研磨工具23の研磨面と
加工物3の加工面3Aとで摺擦を行わせる。このとき、
研磨工具23の加圧方向と加工面3Aの法線方向が常に
一致するように、また、変位センサによって計測される
荷重軸25の変位量が一定になるように、走査パター
ン、及び後述する走査速度分布に従ってY軸テーブル
4、X軸テーブル7、θテーブル10、及びZチルティ
ング装置14が同期制御され、これによって研磨ヘッド
13が加工面3Aの形状に倣った走査を行って加工面3
Aの研磨加工を行う。ここで、研磨量は、研磨工具23
の加圧力、加工物との相対速度、滞留時間に比例し、加
工面3Aの形状を目標面形状に近づけるための滞留時間
分布、つまり、研磨工具23の走査速度分布は、研磨工
具23の加圧力と相対速度を一定に保ったときに研磨工
具23が加工面3Aを単位時間あたり除去する単位除去
形状と、形状計測部1Bで計測した加工面3Aの形状と
目標面形状との差から求められる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の曲面研
磨装置によると、研磨工具と加工面の接触点から離れた
位置を中心に研磨ヘッドの姿勢を変化させているため、
研磨ヘッドの姿勢変化と共に研磨工具の水平方向位置や
垂直方向位置が変化し、加工物、或いは研磨ヘッドの水
平方向位置や垂直方向位置を補正しなければならないと
いう問題がある。特に、加工面の法線方向の変化が大き
い箇所ではその補正量も大きくなり、制御機構の計算速
度や駆動機構の追従速度の限界から研磨工具の走査速度
が指令走査速度に追従できなくなる。このため、滞留時
間分布が指令値から外れることになり、加工精度が低下
するという問題が生じる。
【0012】従って、本発明の目的は研磨工具を指令走
査速度で走査できるようにして、加工精度の向上を図る
ことができる曲面研磨方法、及び曲面研磨装置を提供す
ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点に鑑
み、研磨工具を指令走査速度で走査できるようにして、
加工精度の向上を図るため、研磨工具の荷重軸を加工物
の加工面の法線に一致させながら研磨工具を所定の押付
け力で加工面に押付け、加工面の法線方向に応じて研磨
工具の加工面上の接触点を中心にして荷重軸の姿勢を制
御することにより荷重軸を法線に一致させながら研磨工
具で加工面を走査して加工面を研磨する曲面研磨方法を
提供するものである。
【0014】上記荷重軸の姿勢は、所定の平面に形成さ
れ、接触点を中心とする第1の円弧に基づく荷重軸の姿
勢の変位と、所定の平面と直交する他の平面に形成さ
れ、3次元座標の2軸の値において接触点と一致する点
を中心とする第2の円弧に基づく荷重軸の姿勢の変位と
の合成によって制御されることが好ましい。
【0015】上記荷重軸の姿勢は、所定の平面に形成さ
れ、3次元座標の2軸の値において接触点と一致する点
を中心とする第1の円弧に基づく加工物の姿勢の変位
と、所定の平面と直交する他の平面に形成され、3次元
座標の2軸の値において接触点と一致する点を中心とす
る第2の円弧に基づく加工物の姿勢の変位との合成によ
って制御されることが好ましい。
【0016】また、本発明は以上述べた目的を実現する
ため、研磨工具に所定の押圧力を付与して、研磨工具を
加工物の加工面に所定の押付け力で押付ける押付け手段
と、加工面上で研磨工具に研磨運動を与える研磨運動手
段と、加工面と研磨工具の相対的な位置を調整する位置
調整手段と、研磨工具の加工面上の接触点を中心にして
研磨工具の荷重軸の加工面に対する相対的な姿勢を調整
する荷重軸姿勢調整手段と、位置調整手段、及び荷重軸
姿勢調整手段を制御して、荷重軸を法線に一致させなが
ら研磨工具で加工面上を走査して加工面を研磨させる制
御手段を備えた曲面研磨装置を提供するものである。
【0017】上記位置調整手段は、加工面と研磨工具の
相対的な水平方向位置を調整する水平方向位置調整手段
と、加工面と研磨工具の相対的な垂直方向位置を調整す
る垂直方向位置調整手段を含んでいることが好ましい。
【0018】上記荷重軸調整手段は、所定の平面に配置
され、接触点を中心とする円弧を有する第1の円弧ガイ
ドと、第1の円弧ガイドに基づいて荷重軸の姿勢を変位
させる第1の変位手段と、所定の平面と直交する他の平
面に配置され、3次元座標の2軸の値において接触点と
一致する点を中心とする円弧を有する第2の円弧ガイド
と、第2の円弧ガイドに基づいて荷重軸の姿勢を変位す
る第2の変位手段によって構成されることが好ましい。
【0019】上記荷重軸調整手段は、所定の平面に配置
され、3次元座標の2軸の値において接触点と一致する
点を中心とする円弧を有する第1の円弧ガイドと、第1
の円弧ガイドに基づいて加工物の姿勢を変位させる第1
の変位手段と、所定の平面と直交する他の平面に配置さ
れ、3次元座標の2軸の値において接触点と一致する点
を中心とする円弧を有する第2の円弧ガイドと、第2の
円弧ガイドに基づいて加工物の姿勢を変位させる第2の
変位手段によって構成されることが好ましい。
【0020】上記研磨工具は、球形状部材から構成さ
れ、上記第1、及び第2の円弧ガイドは、それぞれの円
弧中心が3次元座標の2軸の値において球形状部材の先
端の位置と一致している構成が好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の曲面研磨方法、及
び曲面研磨装置を添付図面を参照しながら詳細に説明す
る。
【0022】図1には、本発明の第1の実施の形態にお
ける曲面研磨装置の構成が示されている。この曲面研磨
装置は、支持定盤33上に設けられ、加工物34に所定
の運動を行わせる加工物駆動部35と、支持定盤33上
に設けられ、研磨ヘッド37を支持して加工物34の加
工面34A上に位置させる研磨ヘッド支持部36と、研
磨加工の駆動を制御する駆動制御部33Aを備えて構成
されている。
【0023】加工物駆動部35は、加工物34にY軸方
向の水平運動を行わせるY軸機構部38と、加工物34
にX軸方向の水平運動を行わせるX軸機構部39と、X
軸機構部39上に加工物34を固定する固定治具40を
備えている。
【0024】Y軸機構部38は、支持定盤33上にY軸
方向に伸びて配置された2本の平行なガイド41A、4
1Bと、ガイド41A、41Bにスライド自在に係合し
たY軸テーブル42と、ガイド41A、41B間に平行
に配置され、Y軸テーブル42に設けられたナット(図
示ぜす)と螺合したボールネジ43と、出力軸にボール
ネジ43の一端が接続され、ボールネジ43を回転させ
てY軸テーブル42をY軸方向に移動させ、且つ、所定
の位置で停止させて位置決めするサーボモータ44より
構成されている。
【0025】X軸機構部39は、Y軸テーブル42上に
X軸方向に伸びて配置された2本の平行なガイド45
A、45Bと、ガイド45A、45Bにスライド自在に
係合したX軸テーブル46と、ガイド45A、45B間
に平行に配置され、X軸テーブル46に設けられたナッ
ト(図示ぜす)と螺合したボールネジ47と、出力軸に
ボールネジ47の一端が接続され、ボールネジ47を回
転させてX軸テーブル46をX軸方向に移動させ、且
つ、所定の位置で停止させて位置決めするサーボモータ
48より構成されている。
【0026】研磨ヘッド支持部36は、支持定盤33上
に設けられた支柱49A、49Bにに支持され、Z軸方
向の垂直運動を行うZ軸機構部50と、Z軸機構部50
に支持され、研磨ヘッド37にX軸と平行な軸を中心と
した円弧方向(以下、α軸方向という)の回転運動を行
わせるα軸機構部51と、α軸機構部51に支持され、
Y軸と平行な軸を中心とした円弧方向(以下、β軸方向
という)の回転運動を行わせるβ軸機構部52を有して
構成されている。
【0027】Z軸機構部50は、図示しないガイドにス
ライド自在に係合し、図示しないサーボモータ、及びボ
ールネジによりZ軸方向に移動して、且つ、所定の位置
で停止して位置決めされるZ軸スライダ53を有してい
る。
【0028】α軸機構部51は、Z軸スライダ53に固
定され、X軸と平行な軸を曲率中心とした円弧ガイド5
4と、図示しないサーボモータにより円弧ガイド54に
沿って移動して、所定の位置で位置決めされるα軸スラ
イダ55を有して構成されている。
【0029】β軸機構部52は、α軸スライダ55に固
定され、Y軸と平行な軸を曲率中心とした円弧ガイド5
6と、図示しないサーボモータにより円弧ガイド56に
沿って移動して、所定の位置で位置決めされるβ軸スラ
イダ57を有して構成されている。
【0030】研磨ヘッド37は、β軸スライダ57に取
り付けられ、図示しない電空変換レギュレータとドライ
バにより空気圧が制御されることにより後述する研磨工
具を加工面34Aに所定の力で押し付けるエアシリンダ
58と、エアシリンダ58のシリンダ部58Aに取り付
けられ、図示しないドライバによって駆動されることに
より回転トルクを発生するスピンドル59と、スピンド
ル59の回転軸59Aの先端に取り付けられ、回転運動
によって加工面34Aの研磨加工を行う略球形状の研磨
工具60より構成されている。
【0031】駆動制御部33Aは、図示しない駆動計算
部によって計算された駆動データに基づいて水平駆動軸
であるY軸機構部38、及びX軸機構部39と垂直駆動
軸であるZ軸機構部50と傾斜駆動軸であるα軸機構部
51、及びβ軸機構部52の合計5軸の駆動を同期制御
して、研磨工具60の荷重軸が加工面34Aの法線と一
致するように研磨工具60の走査を行わせる。
【0032】ここで、傾斜駆動軸であるα軸機構部5
1、及びβ軸機構部52について説明する。
【0033】図2は、図1のY、Z平面図を、また、図
3は、図1のX、Z平面図をそれぞれ示し、α軸機構部
51の円弧ガイド54は、その曲率中心O1 がY方向と
Z方向の位置において研磨工具60の先端と一致するよ
うに構成され、また、β軸機構部52の円弧ガイド56
は、その曲率中心O2 がX方向とZ方向の位置において
研磨工具60の先端と一致するように構成されている。
このため、α軸スライダ55、及びβ軸スライダ57を
それぞれの円弧ガイド54、56の曲率中心O 1 、O2
を軸にしてα軸方向、及びβ軸方向に回動運動させるこ
とにより、研磨ヘッド37を研磨工具60の先端を中心
に任意の方向に傾斜させることが可能になっている。
【0034】以下、上記曲面研磨装置を用いた曲面研磨
方法を説明する。
【0035】まず、加工物34の加工面34A上に研磨
剤を塗布した後、Z軸機構部50のZ軸スライダ53を
下降させて、研磨工具60を加工物34の加工面34A
の研磨開始点上に位置させると共に、エアシリンダ58
の空気圧を制御して研磨工具60を所定の力で加工面3
4A上に押し付ける。また同時に、スピンドル59によ
って研磨工具60を回転させると共に、駆動制御部33
Aが予め駆動計算部で計算された駆動データに基づい
て、Y軸機構部38のサーボモータ44、X軸機構部3
9のサーボモータ48、Z軸機構部50のサーボモー
タ、α軸機構部51のサーボモータ、及びβ軸機構部5
2のサーボモータの各ドライバに所定の制御信号を出力
して、Y軸テーブル42、及びX軸テーブル46の水平
方向位置とZ軸スライダ53の垂直方向位置とα軸スラ
イダ55、及びβ軸スライダ57の回転位置を同期制御
することにより、加工面34Aの法線と研磨工具60の
荷重軸(押付け方向)が一致するように研磨ヘッド37
の姿勢を変化させながら研磨工具60で加工面34Aを
走査して、加工面34Aを研磨する。このとき、研磨ヘ
ッド37が研磨工具60の先端、つまり、加工面34A
との接触点を中心に傾斜するようになっているため、研
磨ヘッド37の姿勢変化によって研磨工具60の水平方
向位置や垂直方向位置が変化することがない。このた
め、Y軸機構部38、及びX軸機構部39を研磨ヘッド
37の走査距離に応じて、また、Z軸機構部50を加工
面34Aの高さに応じてそれぞれ駆動するだけで良く、
このため、加工面34Aの法線方向の変化が大きい箇所
でも研磨工具60の走査速度を指令走査速度に追従させ
ることができる。その結果、滞留時間分布を指令値に一
致させることができ、加工精度の向上を図ることができ
る。
【0036】図4の(a),(b) は、加工面34Aの形状変
化に対応するように研磨ヘッド37の姿勢を変化させな
がら研磨工具60で加工面34Aを走査した時の水平駆
動部の動作を示す。ここで、研磨ヘッド37の長さLを
300mm、加工面34A上の走査距離D1 を2mm、
加工面34A上の指令走査速度を200mm/sec、
加工面34Aの形状変化に対する研磨ヘッド37の傾斜
角度の変化量θを4°とする。このとき、図4の(a) に
示すように、研磨工具60と加工面34Aとの接触点を
回転中心P1 として研磨ヘッド37の姿勢を変化させる
場合では、研磨ヘッド37の姿勢変化によって研磨工具
60の水平方向位置の変化がないため、水平駆動部の駆
動距離D2 を2mm、駆動速度を200mm/secと
指令値と同じ値にすれば良い。ところが、図4の(b) に
示すように、加工面34Aから離れた位置を回転中心P
2 として研磨ヘッド37を姿勢を変化させる場合では、
研磨ヘッド37の姿勢変化によって研磨工具60の水平
方向位置が変化するため、水平駆動部の駆動距離D2
約23mm、駆動速度を2300mm/secと指令値
の10倍以上の値にする必要がある。このため、駆動機
構の追従速度の限界等から指令走査速度に追従できなく
なり、加工精度が低下することになる。
【0037】なお、以上の実施の形態では、5軸同期制
御を行ったが、Z軸機構部50の制御を省略した4軸同
期制御を行っても良い。この場合、Z軸機構部50は研
磨ヘッド37を任意の一定の高さに保持するように構成
されており、また、エアシリンダ58は研磨工具60の
先端が所定の位置から十数mmの範囲で変化するように
シリンダ部58Aを所定の範囲で揺動させるように構成
されている。更に、円弧ガイド54は、その曲率中心O
1 が所定の位置に研磨工具60の先端がある時のその先
端位置とY方向とZ方向の位置において一致するように
構成され、また、円弧ガイド56は、その曲率中心O2
が所定の位置に研磨工具60の先端がある時のその先端
位置とX方向とZ方向の位置において一致するように構
成されている。
【0038】以上のように構成された曲面研磨装置で研
磨加工を行う場合には、まず、加工物34の加工面34
A上に研磨剤を塗布した後、研磨工具60が加工物34
の加工面34A上に接触する高さまでZ軸機構部50の
Z軸スライダ53を下降させてその高さに固定すると共
に、エアシリンダ58の空気圧を制御して研磨工具60
を所定の力で加工面34A上に押し付ける。また同時
に、スピンドル59によって研磨工具60を回転させる
と共に、駆動制御部33Aが予め駆動計算部で計算され
た駆動データに基づいて、Y軸機構部38のサーボモー
タ44、X軸機構部39のサーボモータ48、α軸機構
部51のサーボモータ、及びβ軸機構部52のサーボモ
ータの各ドライバに所定の制御信号を出力して、Y軸テ
ーブル42、及びX軸テーブル46の水平方向位置とα
軸スライダ55、及びβ軸スライダ57の回転位置の4
軸を同期制御することにより、加工面34Aの法線と研
磨工具60の荷重軸(押付け方向)が一致するように研
磨ヘッド37の姿勢を変化させながら研磨工具60で加
工面34Aを走査して、加工面34Aを研磨する。この
とき、加工面34Aの高低変化によって研磨工具60が
押し付けられる位置は変動するが、エアシリンダ58の
シリンダ部58Aが追従揺動することにより一定の押付
け力で研磨加工を行うことができる。また、研磨工具6
0が押し付けられる位置の変化分は、駆動データの計算
時に補正される。
【0039】図5は、X方向とZ方向の2次元において
本実施の形態の有効範囲を検討したもので、加工面の高
低変化量と傾斜変化量から有効範囲を示した一例であ
る。水平一方向に対し加工面の高低変化量が20mm以
内の加工物や、傾斜変化量が45°以内の加工物であれ
ば、研磨工具60の水平方向位置の変化量は加工面全面
にわたって10mm以内であり、容易に補正することが
できる。
【0040】このように4軸同期制御による研磨加工で
も、研磨ヘッド37の姿勢変化による研磨工具60の水
平方向位置や垂直方向位置の変化量が少ないため、研磨
工具60の走査速度を指令走査速度に追従させることが
できる。このため、滞留時間分布が指令値と一致するこ
とになり、加工精度を向上させることができる。また、
4軸同期制御のため、構成を簡素化することができ、コ
ストダウンを図ることができる。
【0041】図6には、本発明の第3の実施の形態の曲
面研磨装置が示されている。この図において、図1、図
2、及び図3と同一の部分には同一の引用数字、符号を
付したので、重複する説明は省略する。この曲面研磨装
置は、加工物駆動部35に加工物34にβ軸方向の回転
運動を行わせるβ軸機構部61と、加工物34にα軸方
向の回転運動を行わせるα軸機構部62と、加工物34
にZ軸方向の垂直運動を行わせるZ軸機構部68が付加
され、研磨ヘッド支持部36として支持定盤33上の設
けられた支柱70A、70Bと、支柱70A、70B間
に固定された粱71と、粱71に支持された垂直機構部
72が設けられた構成を有している。
【0042】β軸機構部61は、支持定盤33上に設け
られ、X軸と平行な軸を曲率中心とした凹状の円弧面6
3Aが形成された円弧ガイド63と、X軸と平行な軸を
曲率中心とした凸状の円弧面64Aが形成され、円弧ガ
イド63にβ軸方向の回転ができるように係合したβ軸
テーブル64と、β軸テーブル64に設けられたナット
(図示せず)と螺合したボールネジ(図示せず)と、出
力軸にボールネジの一端が接続され、ボールネジを回転
させてβ軸テーブル64をY軸方向に回動させ、且つ、
所定の位置で停止させて位置決めするサーボモータ(図
示せず)より構成されている。ガイド63の円弧面63
Aとβ軸テーブル64の円弧面64Aは、その曲率中心
1 がY方向とZ方向の位置において研磨工具60の先
端と一致するように構成されている。
【0043】α軸機構部62は、β軸テーブル64上に
設けられ、Y軸と平行な軸を曲率中心とした凹状の円弧
面65Aが形成された円弧ガイド65と、Y軸と平行な
軸を曲率中心とした凸状の円弧面66Aが形成され、円
弧ガイド65にα軸方向の回転ができるように係合した
α軸テーブル66と、α軸テーブル66に設けられたナ
ット(図示せず)と螺合したボールネジ(図示せず)
と、出力軸にボールネジの一端が接続され、ボールネジ
を回転させてα軸テーブル66をX軸方向に回動させ、
且つ、所定の位置で停止させて位置決めするサーボモー
タ67より構成されている。ガイド65の円弧面65A
とα軸テーブル66の円弧面66Aは、その曲率中心O
2 がY方向とZ方向の位置において研磨工具60の先端
と一致するように構成されている。
【0044】Z軸機構部68は、図示しないリフター
と、リフターによって加工物34の高さ方向に移動し、
且つ、所定の位置で位置決めされるZ軸テーブル69よ
り構成されている。
【0045】垂直機構部72は、スピンドル59が固定
された昇降自在なスライダ73Aを有し、研磨ヘッド3
7の姿勢が一定になるように研磨ヘッド37の昇降をガ
イドするスライド機構部73と、滑車74A、74Bに
掛けられ、一端にスライダ73Aが、他端にウェイト7
5が接続されたワイヤ76より構成されている。ウェイ
ト75の重量は、スライダ73Aとスピンドル59と研
磨工具60の合計重量より所定の重量だけ小になってお
り、研磨工具60が加工面34Aの形状に応じて下降し
たとき、その変位量に応じた距離だけウェイト75が上
昇し、研磨工具60が加工面34Aの形状に応じて上昇
したとき、ウェイト75の荷重によってその変位量に応
じた距離だけウェイト75が下降すると共に、研磨工具
60がスライダ73Aとスピンドル59と研磨工具60
の合計重量による力からウェイト75の荷重による力を
差し引いた力で加工面34Aに押し付けられるようにな
っている。
【0046】以下、本発明の第3の実施の形態の曲面研
磨方法を説明する。
【0047】まず、加工物34の加工面34A上に研磨
剤を塗布した後、ウェイト75の荷重を調整して研磨工
具60を微小な力で加工面34A上に押し付ける。また
同時に、スピンドル59によって研磨工具60を回転さ
せると共に、駆動制御部33Aが予め駆動計算部で計算
された駆動データに基づいて、Y軸機構部38のサーボ
モータ45、X軸機構部39のサーボモータ48、β軸
機構部61のサーボモータ、α軸機構部62のサーボモ
ータ67、Z軸機構部68のリフターの各ドライバに所
定の制御信号を出力して、Y軸テーブル42、及びX軸
テーブル46の水平方向位置とβ軸テーブル64、及び
α軸テーブル66の回転位置とZ軸テーブル69の垂直
方向位置を同期制御することにより、加工面34Aの法
線と研磨工具60の荷重軸(押付け方向)が一致するよ
うに、加工面34Aに対する研磨ヘッド37の姿勢を変
化させながら研磨工具60で加工面34Aを走査して、
加工面34Aを研磨する。このとき、加工面34Aの高
低変化によって研磨工具60が押し付けられる高さは変
動するが、スライド機構部73におけるスライダ73A
の昇降によって研磨工具60がその高さに応じて昇降す
るため、常にスライダ73Aとスピンドル59と研磨工
具60の合計重量による力からウェイト75の荷重によ
る力を差し引いた一定の押付け力で研磨加工を行うこと
ができる。また、加工物34が研磨工具60との接触点
を中心に任意の方向に傾斜するようになっているため、
加工面34Aの法線と研磨工具60の荷重軸を一致させ
るのに、加工物34の水平方向位置や垂直方向位置を補
正する必要がなく、研磨工具60の走査速度を指令走査
速度に追従させることができる。その結果、滞留時間分
布が指令値と一致することになり、加工精度の向上を図
ることができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の曲面研磨方
法、及び曲面研磨装置によると、加工面の研磨走査によ
って加工面の法線の方向が変化したとき、研磨工具の荷
重軸が法線に一致するように研磨工具の加工面上の接触
点を中心にして荷重軸の姿勢を制御するようにしたた
め、研磨工具を指令した走査速度で走査して、加工精度
の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す説明図。
【図2】図1のY、Z方向の平面図。
【図3】図1のX、Z方向の平面図。
【図4】研磨ヘッドの姿勢変化に基づく水平駆動部の動
作を示す説明図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る加工物の加工
有効範囲を示す説明図。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す説明図。
【図7】従来の曲面研磨装置を示す説明図。
【図8】従来の曲面研磨装置のZチルティング装置を示
す説明図。
【図9】従来の曲面研磨装置の研磨ヘッドを示す説明
図。
【符号の説明】
1A 形状計測部 1B 研磨加工部 2 定盤 3 加工物 4 Y軸テーブル 5 ボールネジ 6 モータ 7 X軸テーブル 8 ボールネジ 9 モータ 10 θテーブル 11A、11B、11C 研磨フレーム 12 取付板 13 Zチルティング装置 14 研磨ヘッド 15 三角取付板 16A、16B 軸 17A、17B、17C ブロック 18A、18B、18C 研磨アーム 19A、19B、19C ボールネジ 20A、20B、20C モータ 21A、21B、21C ユニバーサルジョイント 22 研磨ヘッド取付板 23 研磨工具 24 研磨工具保持装置 25 荷重軸 26 定圧装置 27 揺動装置 28 モータ 28A 出力軸 29 クランク 30 コンロッド 31 スライド軸 32 スライダ 33 支持定盤 33A 駆動制御部 34 加工物 34A 加工面 35 加工物駆動部 36 研磨ヘッド支持部 37 研磨ヘッド 38 Y軸機構部 39 X軸機構部 40 固定治具 41A、41B ガイド 42 Y軸テーブル 43 ボールネジ 44 サーボモータ 45A、45B ガイド 46 X軸テーブル 47 ボールネジ 48 サーボモータ 49A、49B 支柱 50 Z軸機構部 51 α軸機構部 52 β軸機構部 53 Z軸スライダ 54 円弧ガイド 55 α軸スライダ 56 円弧ガイド 57 β軸スライダ 58 エアシリンダ 58A シリンリ部 59 スピンドル 59A 回転軸 60 研磨工具 61 β軸機構部 62 α軸機構部 63 円弧ガイド 63A 円弧面 64 β軸テーブル 64A 円弧面 65 円弧ガイド 65A 円弧面 66 β軸テーブル 66A 円弧面 67 サーボモータ 68 Z軸機構部 69 Z軸テーブル 70A、70B 支柱 71 粱 72 垂直機構部 73 スライド機構部 73A スライダ 74A、74B 滑車 75 ウェイト 76 ワイヤ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 研磨工具の荷重軸を加工物の加工面の法
    線に一致させながら前記研磨工具を所定の押付け力で前
    記加工面に押付け、 前記加工面の法線方向に応じて前記研磨工具の前記加工
    面上の接触点を中心にして前記荷重軸の姿勢を制御する
    ことにより前記荷重軸を前記法線に一致させながら前記
    研磨工具で前記加工面を走査して前記加工面を研磨する
    ことを特徴とする曲面研磨方法。
  2. 【請求項2】 前記荷重軸の姿勢は、所定の平面に形成
    され、前記接触点を中心とする第1の円弧に基づく前記
    荷重軸の姿勢の変位と、前記所定の平面と直交する他の
    平面に形成され、3次元座標の2軸の値において前記接
    触点と一致する点を中心とする第2の円弧に基づく前記
    荷重軸の姿勢の変位との合成によって制御される請求項
    1記載の曲面研磨方法。
  3. 【請求項3】 前記荷重軸の姿勢は、所定の平面に形成
    され、3次元座標の2軸の値において前記接触点と一致
    する点を中心とする第1の円弧に基づく前記加工物の姿
    勢の変位と、前記所定の平面と直交する他の平面に形成
    され、3次元座標の2軸の値において前記接触点と一致
    する点を中心とする第2の円弧に基づく前記加工物の姿
    勢の変位との合成によって制御される請求項1記載の曲
    面研磨方法。
  4. 【請求項4】 研磨工具に所定の押圧力を付与して、前
    記研磨工具を加工物の加工面に所定の押付け力で押付け
    る押付け手段と、 前記加工面上で前記研磨工具に研磨運動を与える研磨運
    動手段と、 前記加工面と前記研磨工具の相対的な位置を調整する位
    置調整手段と、 前記研磨工具の前記加工面上の接触点を中心にして前記
    研磨工具の荷重軸の前記加工面に対する相対的な姿勢を
    調整する荷重軸姿勢調整手段と、 前記位置調整手段、及び前記荷重軸姿勢調整手段を制御
    して、前記荷重軸を前記法線に一致させながら前記研磨
    工具で前記加工面上を走査して前記加工面を研磨させる
    制御手段を備えていることを特徴とする曲面研磨装置。
  5. 【請求項5】 前記位置調整手段は、前記加工面と前記
    研磨工具の相対的な水平方向位置を調整する水平方向位
    置調整手段と、前記加工面と前記研磨工具の相対的な垂
    直方向位置を調整する垂直方向位置調整手段を含む請求
    項4記載の曲面研磨装置。
  6. 【請求項6】 前記荷重軸調整手段は、所定の平面に配
    置され、前記接触点を中心とする円弧を有する第1の円
    弧ガイドと、前記第1の円弧ガイドに基づいて前記荷重
    軸の姿勢を変位させる第1の変位手段と、前記所定の平
    面と直交する他の平面に配置され、3次元座標の2軸の
    値において前記接触点と一致する点を中心とする円弧を
    有する第2の円弧ガイドと、前記第2の円弧ガイドに基
    づいて前記荷重軸の姿勢を変位する第2の変位手段によ
    って構成される請求項4記載の曲面研磨装置。
  7. 【請求項7】 前記荷重軸調整手段は、所定の平面に配
    置され、3次元座標の2軸の値において前記接触点と一
    致する点を中心とする円弧を有する第1の円弧ガイド
    と、前記第1の円弧ガイドに基づいて前記加工物の姿勢
    を変位させる第1の変位手段と、前記所定の平面と直交
    する他の平面に配置され、3次元座標の2軸の値におい
    て前記接触点と一致する点を中心とする円弧を有する第
    2の円弧ガイドと、前記第2の円弧ガイドに基づいて前
    記加工物の姿勢を変位させる第2の変位手段によって構
    成される請求項4記載の曲面研磨装置。
  8. 【請求項8】 前記研磨工具は、球形状部材から構成さ
    れ、 前記第1、及び第2の円弧ガイドは、それぞれの円弧中
    心が3次元座標の2軸の値において前記球形状部材の先
    端の位置と一致している構成の請求項6、或いは7記載
    の曲面研磨装置。
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