JPH1059793A - 大結晶粒薄膜の製造方法 - Google Patents

大結晶粒薄膜の製造方法

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JPH1059793A
JPH1059793A JP8219581A JP21958196A JPH1059793A JP H1059793 A JPH1059793 A JP H1059793A JP 8219581 A JP8219581 A JP 8219581A JP 21958196 A JP21958196 A JP 21958196A JP H1059793 A JPH1059793 A JP H1059793A
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substrate
temperature
heating
crystal
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JP8219581A
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Masahiro Sakai
全弘 坂井
Hideaki Adachi
秀明 足立
Kentaro Setsune
謙太郎 瀬恒
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜素子に利用可能な大きさの単結晶粒が、
均一に分布した大結晶粒薄膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 基板上に密着した結晶性が不十分な薄膜
を、前記薄膜の表面の温度が、前記基板と前記薄膜の界
面の温度より高温となる、膜厚方向の温度勾配を与える
加熱手段により、基板に対し一定のエピタクシ配向関係
を有した状態で結晶化させ、従来得ることが困難であっ
た、薄膜素子に利用可能な大きさの単結晶粒が、均一に
分布した大結晶粒薄膜を得る。特に、加熱手段として、
薄膜の表面近傍における対流による温度降下を抑制する
加熱手段を用いることにより、上記の大結晶粒薄膜を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の熱処理によ
る固相反応結晶成長に関する。特に、酸化物高温超電導
薄膜の熱処理による固相反応結晶成長に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、薄膜の結晶性に対する要求は高ま
る一方である。従来、高結晶性薄膜の製造は、高度に最
表面を制御された基板上に、高度に制御された分子線エ
ピタクシ法(MBE法)や、レーザ・アブレーション
法、有機金属化学的気相蒸着法(MOCVD法)などに
より行われていた。しかし、例えば、酸化物薄膜におい
ては、得られる薄膜の結晶性および表面平坦性を上げる
ため島状結晶成長を抑制する成膜条件とすると、結晶粒
が小さくなるか、あるいは、組成ズレに起因する不純物
が多数析出するという原因で、デバイス化に必要なμm
サイズの高結晶配向性領域が確保できないという問題が
あった。
【0003】ところで、最近、本発明者たちは、結晶軸
異方性を示す化合物の薄膜を、結晶化温度以上で熱処理
し、薄膜中にデバイス化に必要なμmサイズの単結晶粒
を、基板の主面に対してあるエピタクシ配向性を有する
ように成長させ、その単結晶粒を微細加工することによ
り、前記結晶軸異方性を利用した薄膜素子を作製する方
法を提案した(特願平7−251228号)。この方法
は、熱処理により単結晶粒を形成するため、上述のよう
な高度に制御された薄膜作製法を用いることなく、機能
性薄膜素子を作製できる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】その後の検討により、
この方法において、本発明者らは、得られる単結晶粒の
大きさは、熱処理条件を最適化した場合、膜厚にほぼ比
例するという知見を得た。しかし、第1の課題として、
ある膜厚以上では、薄膜の結晶性および配向性が、熱処
理によっても完全には向上しなくなることがわかった。
詳しい考察の結果、この現象は、結晶成長が、膜厚が小
さい場合には、結晶成長点が主に薄膜と基板の界面に存
在するため、そこから成長が起こり、エピタクシ配向膜
が得られるが、膜厚が大きい場合には、薄膜内部や表面
からの結晶成長が相対的に増加し、エピタクシ配向膜と
ならないことに起因することがわかった。従って、一般
的に行われている、ほぼ温度勾配がゼロの電気炉中に薄
膜を置き、加熱する方法では、単結晶粒の大きさを再現
性よく5μm以上にすることは困難であることがわかっ
た。この、単結晶粒の成長が抑圧される現象により、熱
処理により単結晶粒を成長させ、その単結晶粒を利用し
て素子を作製する、上述の特開平7ー251228にお
いて提案された方法は、適用範囲を著しく狭められてい
た。
【0005】特に、酸化物高温超電導体の固有ジョセフ
ソン接合を利用した、トンネル型ジョセフソン素子を高
歩留まりに作製するためには、10μm程度の単結晶粒
が必要なため、新しい熱処理方法が必要とされていた。
【0006】さらには、第2の課題として、薄膜のエピ
タクシ成長において、格子定数のミスマッチが存在する
場合、上述の特開平7ー251228において提案され
た方法では、薄膜と基板の界面で生じた結晶欠陥が表面
にまで影響し、素子として利用できる結晶粒の成長を妨
げる要因となっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の第1の課題を克服
するため、本願の請求項1の発明は、薄膜の表面の温度
が、基板と前記薄膜の界面の温度より高温となる、膜厚
方向の温度勾配を与える加熱手段により、基板に対し一
定のエピタクシ配向関係を有した状態で薄膜を結晶化さ
せ、大結晶粒薄膜を得るものである。この製造方法によ
り、前記薄膜が前記基板との界面から結晶化するので、
膜厚が大きい場合にも、前記薄膜内部からの結晶成長を
抑制でき、良好なエピタクシ配向膜が得られ、素子化可
能な大きさの単結晶粒が、ほぼ均一に分布した大結晶粒
薄膜が得られる。
【0008】また、請求項2の発明は、加熱手段を、薄
膜の表面近傍における、対流による温度降下を抑制する
加熱手段とする製造方法である。この製造方法により、
請求項1に述べられている、薄膜の表面の温度が、基板
と前記薄膜の界面の温度より高温となる、膜厚方向の温
度勾配を与える加熱手段となる。従って、素子化可能な
大きさの単結晶粒が、ほぼ均一に分布した大結晶粒薄膜
が得られる。
【0009】また、請求項3の発明は、基板と嵌合する
窪みを有する基板保持器具を用い、前記窪みに、薄膜が
密着した面を対向させて前記基板を嵌合させ加熱を行う
ものであり、この基板保持器具が薄膜の表面と前記窪み
の底面の間隔がdとなる間隔維持手段を備えていること
を特徴とするものである。ここで、間隔dは0.5μm
以上、1mm以下である。この製造方法により、請求項
1に述べられている、薄膜の表面の温度が、基板と前記
薄膜の界面の温度より高温となる、膜厚方向の温度勾配
を与える加熱手段となる。従って、素子化可能な大きさ
の単結晶粒が、ほぼ均一に分布した大結晶粒薄膜が得ら
れる。
【0010】また、請求項4の発明は、請求項3の発明
において、基板保持器具の加熱により、窪みに嵌合させ
た基板に密着した薄膜を結晶化させるものである。薄膜
が密着した面が基板保持器具に対向しているので、基板
保持器具の加熱により薄膜の表面の温度が、前記基板と
前記薄膜の界面の温度より高温となる膜厚方向の温度勾
配が容易に得られる。従って、より確実に、薄膜の基板
との界面から結晶化が進行するので、素子化可能な大き
さの単結晶粒が、ほぼ均一に分布した大結晶粒薄膜が得
られる。
【0011】また、請求項5の発明は、請求項3に記載
の発明において、薄膜が密着していない面から基板の温
度を下げることにより、前記薄膜を結晶化させることを
特徴とする大結晶粒薄膜の製造方法である。
【0012】また、請求項6の発明は、請求項1の発明
において、独立に制御可能な複数の加熱手段により、温
度勾配を施した加熱を行う製造方法である。この製造方
法により、膜厚方向の温度勾配を与え易いように、前記
複数の加熱手段を制御することにより、一層確実に、薄
膜を基板との界面から結晶化させることができるので、
素子化可能な大きさの単結晶粒が、ほぼ均一に分布した
大結晶粒薄膜が得られる。
【0013】また、請求項7の発明は、加熱による結晶
化を、無重力環境あるいは低重力環境において行う製造
方法である。この製造方法により、請求項2に記載した
ように、薄膜の表面近傍における対流による温度降下を
抑制することができるので、薄膜が基板との界面から結
晶化するので、素子化可能な大きさの単結晶粒が、ほぼ
均一に分布した大結晶粒薄膜が得られる。
【0014】また、請求項8の発明は、請求項1から7
の発明において、薄膜の厚さを特に1μm以上に限定
し、本願発明の特徴を特に有効に利用するものである。
【0015】一方、請求項9の発明は、上記の第2の課
題を克服するためになされたものであり、請求項1から
8の製造方法において、加熱手段を、薄膜の結晶欠陥
が、基板との界面の近傍に集まるように調整するもので
ある。具体的には、薄膜の温度を、前記薄膜の結晶化温
度を複数回横切るように調整するものである。ここで、
結晶化温度とは、熱処理過程において、薄膜が結晶化を
開始する温度である。この製造方法により、前記基板と
前記薄膜の格子定数のミスマッチにより、熱処理過程で
前記薄膜に生じる応力に起因する結晶欠陥が、前記基板
との界面の近傍に閉じこめられる。従って、最終的に得
られる薄膜においても、前記薄膜の結晶欠陥が、前記基
板との界面の近傍に集まるので、素子として利用する表
面近傍には、結晶欠陥が少ない薄膜が得られ、素子化可
能な大きさの単結晶粒が、さらに均一に分布した大結晶
粒薄膜が得られる。
【0016】また、請求項9の発明は、請求項1から8
の発明において、薄膜として、酸化物高温超電導薄膜を
使用する。これにより、例えば、酸化物高温超電導体の
固有ジョセフソン接合を用いた、トンネル型ジョセフソ
ン素子などの超電導素子の作製に利用可能な大結晶粒薄
膜を得ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】(実施の形態1)本実施の形態では、材料
として、Bi2Sr2Ca1Cu28超電導薄膜を用いた
場合に関して記述する。しかし、本発明の大結晶粒薄膜
の製造方法は、固相反応結晶成長が可能な材料に対して
一般的に有効である考えられる。なぜならば、本実施の
形態で用いられたBi2Sr2Ca1Cu28超電導体の
化学的安定性は、あまり高くないことが知られており、
さらには、結晶成長の異方性が大きいため、固相反応結
晶成長が容易ではないことが知られていたからである。
なお、超電導薄膜の酸素量を厳密に決定することは不可
能であるが、ここでは、表記上、Bi2Sr2Ca1Cu2
8とした。
【0019】図1(a)から(c)は、本実施形態にか
かる大結晶粒薄膜の製造方法の工程順断面図である。
【0020】まず、第1の工程では、Bi2Sr2Ca1
Cu28超電導薄膜1を、例えば、SrTiO3などの
単結晶基板2上に形成する。膜厚は、例えば、1μmで
ある。成膜時の基板加熱は行っても行わなくても構わな
い。従って、薄膜1は非晶質状態でも構わない。薄膜1
の作製方法には制約が少なく、簡便、かつ、高速成膜が
可能なスパッタ蒸着法などが利用できる。一方、薄膜1
の金属元素組成は、正確にBi:Sr:Ca:Cu=
2:2:1:2であることが好ましいが、各元素に関
し、約10%までのズレは許容される。なぜならば、本
発明は、固相反応結晶成長により、薄膜内部に、素子化
可能な大きさの単結晶領域を得るものであり、この固相
反応結晶成長では、組成ズレに起因する不純物相を、結
晶粒内部から排除し、粒界領域に偏析させることが可能
だからである。
【0021】次に、第2の工程では、薄膜1の熱処理に
よる結晶化を行う。このとき、図1(b)に示すよう
に、結晶化が、単結晶基板2と薄膜1との界面から開始
され、未結晶化領域3が徐々に結晶化領域4に変化して
いくように、加熱手段を調整する。
【0022】この調整法に関しては、本発明者らの実験
によれば、例えば、図2に示されるような基板保持器具
を用いることにより達成される。まず、熱容量が大き
い、アルミナあるいはマグネシアなどでなる板21に、
薄膜22が密着した単結晶基板23を、板21の表面に
設けられた、単結晶基板23が丁度嵌合する窪みに設置
する。このとき、薄膜22は板21の方を向けて設置さ
れる。さらに、前記窪みは、間隔維持手段として、底面
が開口部分よりも若干小さくなっており、薄膜22と前
記窪みの底面は、接触することなく間隔d=100μm
隔てた状態になっている。この間隔dを調整することに
より、得られる結晶粒の大きさが制御可能であり、0.
5μm以上、1mm以下に設定すればよい。
【0023】このような基板保持器具を用い、電気炉に
基板保持器具と共に薄膜を入れて、熱処理を行うことに
より、固相反応結晶成長させる。反応条件は、薄膜22
の組成により適宜調整すればよい。代表的には、以下の
ようにする。酸素雰囲気中において、昇温速度400℃
・h-1で、温度840℃とする昇温過程と、その温度で
1時間保持する保持過程と、800℃まで5℃・h-1
ゆっくり降温する第1の降温過程と、その後、室温まで
400℃・h-1で降温する第2の降温過程からなる熱処
理方法とする。
【0024】以上のような加熱手段を用いることによ
り、薄膜表面がさらされる空間が微小体積に制限されて
いるため、対流による薄膜表面の温度降下が、制限され
ていない場合に比較して、非常に小さくなる。従って、
薄膜の膜厚方向に、表面の温度が、基板との界面の温度
よりも高温となる温度勾配を実現でき、降温過程をゆっ
くり行うことにより、薄膜は、界面側から結晶化して行
く。結果として、従来困難であった膜厚が1μm以上の
大結晶粒薄膜の作製に関して、薄膜内部からの結晶成長
が抑制され、図1に示された単結晶基板2と薄膜1の界
面近傍からのみ結晶化が進行するため、良好なエピタク
シ配向膜が得られる。さらに、発明が解決しようとする
課題の項で述べたように、結晶粒の大きさは、最適熱処
理条件では、膜厚にほぼ比例するため、従来より大きな
単結晶粒が、ほぼ均一に分布した大結晶粒薄膜が得られ
る。
【0025】なお、第2の工程の結晶化において、図3
に示されるような基板保持器具を用いると、前述の薄膜
表面と界面の温度勾配を増大させることが可能となる。
この基板保持器具は、内部に、発熱体34を具備してい
る。板31の上面の構造は、上述と同じであり、表面
に、基板と嵌合する溝と間隔維持手段を有している。薄
膜32、基板33の設置法は上述と同じである。すなわ
ち、薄膜が、その表面を発熱体の方に向けて設置されて
いる。外部から発熱体34に電流を流し、基板保持器具
を加熱することにより、薄膜を表面側から加熱すること
が可能となる。従って、前述の温度勾配が増大し、より
膜厚が大きい場合にも、薄膜内部からの結晶成長が抑制
され、単結晶基板と薄膜の界面近傍からのみ結晶化が進
行するため、良好なエピタクシ配向膜が得られる。
【0026】さらに、第2の工程の結晶化において、独
立に制御可能な複数の発熱体を用いると、上述の薄膜表
面と界面の温度勾配を制御することが可能となる。従っ
て、結晶成長が確実に基板と薄膜の界面から起こるよう
に、それぞれの発熱体の温度を調整することにより、一
層確実に大結晶粒薄膜を得ることができる。
【0027】(実施の形態2)本実施の形態は、薄膜と
基板の格子定数のミスマッチが大きい場合に、薄膜の結
晶欠陥が基板との界面の近傍に集まるように、加熱手段
を調整するものである。その具体的な方法として、薄膜
の温度が、その結晶化温度を複数回横切るように、加熱
温度を調整する方法をとる。ここで、結晶化温度とは、
薄膜を熱処理していった時、非晶質状態から、結晶化状
態へ変化し始める温度である。
【0028】図4(a)から(c)は、本実施形態にか
かる大結晶粒薄膜の製造方法の工程順断面図である。
【0029】第1の工程までは、実施の形態1と同様で
ある。また、基板保持器具等も同様のものを使用する。
【0030】次に、第2の工程の結晶化において、図5
に示されるように、薄膜41の温度が、熱処理の保持過
程において、薄膜の結晶化温度を複数回横切るように周
期的に変動する加熱条件に調整する。その後、熱処理温
度をゆっくり降下させると、薄膜41と単結晶基板42
の界面近傍において、結晶欠陥45が、温度変化に伴う
応力変化により凝集するので、薄膜41と単結晶基板4
2の格子定数のミスマッチによる歪みを完全に緩和す
る。熱処理温度の降下にともない、未結晶化領域43が
徐々に結晶化領域44に変化していき、最終的に、単結
晶粒46となる。以上により、結晶欠陥は、図4(c)
のように、主に単結晶粒46と単結晶基板42の界面近
傍に閉じ込められるため、素子として利用する表面近傍
には欠陥が少ない薄膜となる。結果として、素子化可能
な大きさの単結晶粒46がさらに均一に分布した大結晶
粒薄膜が得られる。
【0031】本実施の形態の方法によれば、薄膜と基板
の格子定数のミスマッチが大きい場合にも、大結晶粒薄
膜が得られる。例えば、Bi2Sr2Ca1Cu28大結
晶粒薄膜を、MgO(100)単結晶基板上に作製する
ことが可能である。高周波応用を考えた場合、低誘電率
で、比較的安価なMgO基板上に作製可能であること
は、本願発明の適用範囲を広げる上で、非常に重要であ
る。また、図5のような温度調整は、電気炉や、発熱体
の温度制御を調整することにより容易に達成される。こ
こで、周期的温度変動部のピークからピークの温度差
は、材料により、適宜調整が必要であるが、Bi2Sr2
Ca1Cu28超電導薄膜を用いた場合、約20℃が好
ましい。
【0032】なお、実施の形態1および2では、薄膜近
傍の対流を制限することにより、温度勾配を設ける方法
に関して記述したが、薄膜内部からの結晶成長を抑制
し、単結晶基板と薄膜の界面近傍からのみ結晶化を進行
させる加熱手段であれば、他の方法でもかまわない。例
えば、基板の表面からのみ赤外線あるいは高エネルギ密
度レーザを照射し加熱する、あるいは、温度分布を持つ
電気炉内で熱処理を行う、などの方法が考えられる。さ
らには、基板との界面近傍の結晶性のみ若干向上するよ
うに、薄膜作製時に、基板加熱を調整することにより、
薄膜と基板の界面近傍にのみ結晶成長の核を作製するな
どの方法が考えられる。
【0033】なお、本発明者らは、本発明が、酸化物高
温超電導体の固有ジョセフソン接合を利用した、トンネ
ル型ジョセフソン素子の作製に必要とされる、10μm
以上の単結晶粒を得ることに、特に有効であることを確
認した。
【0034】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、酸
化物薄膜の熱処理による固相反応結晶成長に関して、従
来困難であった、膜厚が大きい場合において、薄膜内部
からの結晶成長を抑制し、薄膜と基板の界面から結晶化
させることが可能である。従って、良好なエピタクシ配
向膜が得られる。結果として、素子化可能な大きさの単
結晶粒が均一に分布した大結晶粒薄膜が得られる。
【0035】さらに、本発明によれば、薄膜の結晶欠陥
が基板との界面の近傍に集まるように、加熱手段を調整
することにより、結晶欠陥を、薄膜と基板の界面近傍に
閉じこめることが可能となる。従って、素子として利用
する表面付近には、欠陥が非常に少ない薄膜となる。結
果として、素子化可能な大きさの単結晶粒がさらに均一
に分布した大結晶粒薄膜が得られる。さらに、格子定数
のミスマッチが大きい基板上にも、大結晶粒薄膜を作製
可能としたため、本願発明の固相反応結晶成長の適用範
囲を大幅に拡大した。
【0036】また、本発明の大結晶粒薄膜の製造方法
は、酸化物高温超電導体が有する固有ジョセフソン接合
を利用した、トンネル型ジョセフソン素子の作製に用い
る、酸化物高温超電導薄膜の製造に応用できる。
【0037】以上により、本発明によると、高度で複雑
な薄膜作製技術を用いることなく、大結晶粒薄膜を得ら
れる。従って、材料の結晶軸異方性を活用した素子が従
来より非常に簡便に作製可能となるので、本発明の産業
的価値は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる大結晶粒薄膜
の製造方法の、工程順断面図
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる大結晶粒薄膜
の製造に用いる、基板保持器具の第1の例を示す平面図
および断面図
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる大結晶粒薄膜
の製造に用いる、基板保持器具の第2の例を示す平面図
および断面図
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる大結晶粒薄膜
の製造方法の、工程順断面図
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる大結晶粒薄膜
の製造方法の、第2の工程における熱処理の温度制御法
の一部を示す概略図
【符号の説明】
1 薄膜 2 単結晶基板 3 未結晶化領域 4 結晶化領域 5 単結晶粒 21 板 22 薄膜 23 単結晶基板 31 板 32 薄膜 33 単結晶基板 34 発熱体 41 薄膜 42 単結晶基板 43 未結晶化領域 44 結晶化領域 45 結晶欠陥 46 単結晶粒

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に密着した薄膜に対し、前記薄膜
    の表面の温度が、前記基板と前記薄膜の界面の温度より
    高温となる、膜厚方向の温度勾配を与える加熱手段によ
    り、基板に対し一定のエピタクシ配向関係を有した状態
    で結晶化させる大結晶粒薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱手段が、薄膜の表面近傍における対
    流による温度降下を抑制する加熱手段である請求項1に
    記載の大結晶粒薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板と嵌合する窪みを有する基板保持器
    具が、前記窪みに薄膜が密着した面を対向させて前記基
    板を嵌合させた場合、前記薄膜の表面と前記窪みの底面
    の間隔がdとなる、間隔維持手段を具備し、加熱を、前
    記窪みに前記薄膜が密着した面を対向させて前記基板を
    嵌合させた状態で行う、請求項1に記載の大結晶粒薄膜
    の製造方法。但し、間隔dは0.5μm以上、1mm以
    下。
  4. 【請求項4】 基板保持器具の加熱により、窪みに嵌合
    させた基板に密着した薄膜を結晶化させる、請求項3に
    記載の大結晶粒薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 薄膜が密着していない面から基板の温度
    を下げることにより、前記薄膜を結晶化させることを特
    徴とする、請求項3に記載の大結晶粒薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 独立に制御可能な複数の加熱手段によ
    り、温度勾配を施した加熱を行う請求項1に記載の大結
    晶粒薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 加熱による結晶化を、無重力環境あるい
    は低重力環境において行う、請求項2に記載の大結晶粒
    薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 膜厚が、1μm以上の薄膜を用いる請求
    項1〜7のいずれかに記載の大結晶粒薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 薄膜の温度を、前記薄膜の結晶化温度を
    複数回横切るように調整する、請求項1〜8のいずれか
    に記載の大結晶粒薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 薄膜が酸化物高温超電導体である、請
    求項1〜9のいずれかに記載の大結晶粒薄膜の製造方
    法。
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JP8219581A Pending JPH1059793A (ja) 1996-08-21 1996-08-21 大結晶粒薄膜の製造方法

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