JPH105843A - H形鋼の冷却方法 - Google Patents

H形鋼の冷却方法

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JPH105843A
JPH105843A JP16756896A JP16756896A JPH105843A JP H105843 A JPH105843 A JP H105843A JP 16756896 A JP16756896 A JP 16756896A JP 16756896 A JP16756896 A JP 16756896A JP H105843 A JPH105843 A JP H105843A
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JP
Japan
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flange
cooling
induction heating
temperature
section steel
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JP16756896A
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English (en)
Inventor
Akira Onishi
晶 大西
Michiharu Hannoki
道春 播木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】仕上圧延後の冷却過程において発生する左右方
向の曲がり、上下方向の反り、フランジ倒れ、ねじれ変
形などのH形鋼の変形を防止できるH形鋼の冷却方法を
提供する。 【解決手段】仕上圧延機3により仕上圧延されたH形鋼
を誘導加熱装置4により加熱してフランジをキューリー
点以上の温度に昇温することにより、フランジの温度を
均一化する。次いで、冷却装置5によりフランジの外表
面を強制冷却してフランジとウェブの温度差を小さくす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、H形鋼の冷却方
法、特に仕上圧延後の冷却過程において発生する左右方
向の曲がり、上下方向の反り、フランジ倒れ、ねじれ変
形などの変形を抑えることができるH形鋼の冷却方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】H形鋼は一般に加熱炉にて加熱した棒状
素材(ビレットやブルームなど)を粗圧延機で粗成形
し、仕上圧延機で仕上成形する方法で量産される。
【0003】H形鋼は、2枚のフランジの中央部を1枚
のウェブで連結した断面形状をした鋼材であり、断面係
数や断面2次モーメントを効率良く高めるためにウェブ
を薄くフランジを厚くした形状がJIS(日本工業規
格)で定められている。
【0004】H形鋼の製造においては、一般にフランジ
を垂直にウェブを水平にして圧延される。圧延後の冷却
においては、厚肉垂直面のフランジ部にくらべ薄肉水平
面のウェブ部の放冷速度が大きいため、この温度差によ
って仕上圧延後にウェブの波打ち等の変形が発生する。
【0005】最近、このウェブ波打ち防止のため、フラ
ンジの外面を強制的に冷却してウェブとフランジの温度
差を減少させる方法が採用されている。例えば特開平5
−317948号公報には、ノズルからの冷却水の噴射
領域のフランジ幅方向の間隙が0〜5mmとなる範囲で
フランジ幅方向にノズルを多段配列することによりフラ
ンジの外面を均一に冷却する方法が記載されている。
【0006】しかし、水によるフランジの外面の冷却は
沸騰冷却であり、温度分布の不均一が生じやすい冷却で
ある。特に、冷却前のフランジの温度分布が不均一であ
る場合には、フランジの外面の冷却条件が均一であった
としても、温度分布の不均一が増大しやすく、その後の
冷却過程で変形が発生する。特にウェブが極端に薄い鋼
種やフランジが厚い鋼種では、冷却前のフランジの温度
分布のわずかな不均一によりウェブの波打ちやフランジ
の変形が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、圧延
後の冷却過程で生じるフランジの変形を抑えることがで
きるH形鋼の冷却方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のH形鋼の冷却方
法は、誘導加熱法によりH形鋼のフランジをキューリー
点以上の温度に加熱した後、前記フランジの外面を冷却
することを特徴としている。
【0009】なお、誘導加熱法によりH形鋼のフランジ
をキューリー点以上の温度に加熱する工程とH形鋼のフ
ランジの外面を冷却する工程は、必ずしも連続して行う
必要はなく、その間に仕上圧延の工程などを挟んでも良
い。
【0010】一般にフランジの左右の温度偏差によって
左右曲がり、フランジ幅方向の温度偏差によってフラン
ジ上下反りや倒れ、フランジ幅方向の温度偏差と長手方
向の温度偏差の組み合わせによってねじれが発生する。
【0011】前述したように、フランジの外面の水によ
る強制冷却が均一な冷却であったとしても、冷却前のフ
ランジの温度分布が不均一であると、フランジの冷却は
不均一になり、変形が発生する。これは、水による冷却
が沸騰冷却であり、鋼材の表面温度が高温ほど熱伝達率
が小さく(膜沸騰冷却)、低温ほど熱伝達率が大きい
(核沸騰冷却)、すなわち高温ほど冷えにくく低温ほど
冷えやすい発散型の冷却であるためである。
【0012】そこで、フランジの外面の強制冷却前にフ
ランジの温度分布を均一にしておくことが重要になる。
【0013】図6は、炭素鋼板の誘導加熱する場合の電
気効率を示すグラフであり、(a)は非磁性領域のグラ
フであり、(b)は磁性領域のグラフである(上野定
洋:第2回電気加熱炉研究小委員会講演資料”誘導加
熱”p.98(1988)参照)。なお、縦軸は電気効率η
(%)、横軸は鋼板の板厚(mm)である。LF(Long
itudinal Flux)方式は磁力線が鋼板表面に平行となる
加熱方式であり、TF(Transverse Flux)方式は磁力
線が鋼板表面に垂直となる加熱方式である。μは比透磁
率であり、図中の周波数は誘導加熱コイルに通流する電
流の周波数である。
【0014】この図からわかるように、非磁性領域にお
ける電気効率のグラフと磁性領域における電気効率のグ
ラフとは大きく異なっている。特にLF方式の誘導加熱
の場合、非磁性領域における電気効率のグラフは、磁性
領域における電気効率のグラフに比べて、板厚の厚い方
に大きくシフトしている。
【0015】鉄鋼材料では磁気変態点であるキューリー
点を超えると透磁率が大幅に低下する。そこで、LF方
式の誘導加熱を用いて、適切な周波数を選択すれば、キ
ューリー点の前後での電気効率を変化させることができ
る。例えば、板厚20〜30mmの鋼板に対して周波数
を180Hzとすれば、キューリー点以下の温度では電
気効率が80〜90%、キューリー点以上の温度では電
気効率が10〜30%と変化する。
【0016】なお、鉄鋼材料のキューリー点はほぼ72
4〜768℃の範囲にあり、化学組成により変動する。
また、H形鋼の場合はほぼ750〜768℃の範囲にあ
る。
【0017】一方、H形鋼の仕上圧延前後の温度が70
0〜720℃程度であり、キューリー点よりやや低い温
度領域にある。また、H形鋼のフランジの厚さは通常1
6〜22mmであり、所定の誘導加熱の周波数を選択す
れば磁性領域と非磁性領域とで電気効率が大きく変化す
る板厚領域にある。
【0018】したがって、例えばLF方式の誘導加熱装
置であるソレノイド型コイルを用いて走行中のH形鋼の
フランジをキューリー点以上の温度に加熱すると、既に
キューリー点に到達している部分はほとんど加熱され
ず、キューリー点以下の部分は急速に加熱されて、H形
鋼のフランジの温度はほぼ均一になる。
【0019】図4は、H形鋼の各部分の誘導加熱時の温
度変化のシミュレーション結果を示すグラフである。磁
性領域および非磁性領域での電気効率の値を用いて、H
形鋼の各部分の誘導加熱時の温度変化をシミュレーショ
ンした。H形鋼の各部分の誘導加熱前の温度を仮定し、
それぞれの部分が温度のみで決まる加熱効率に従い昇温
されると仮定した。また、電気効率は、キューリー点以
下の温度で100%、キューリー点を過ぎた部分で25
%、さらに高温領域で12%と仮定した。また、ウェブ
部の電気効率は、ウェブ上下面で渦電流が打ち消し合う
こととウェブがフランジに比べてコイルから離れている
ことを考慮して15%と仮定した。H形鋼の熱容量は、
単位長さ(1m)当たり12kcal/℃、H形鋼の供
給する電力は、単位長さ(1m)当たり1200kWと
仮定した。
【0020】このシミュレーションによれば、フランジ
の各部温度(図中、B、C、D)が約2秒で均一化され
ることがわかる。
【0021】図5は、誘導加熱前後のH形鋼断面の温度
分布を説明する模式図であり、(a)は誘導加熱前の温
度分布、(b)は誘導加熱後の温度分布である。誘導加
熱を施すことにより、フランジの温度分布がこのように
均一化される。
【0022】すなわち、所定の条件でH形鋼を誘導加熱
することにより、フランジの温度は均一化されるので、
フランジの外面の強制冷却においても、フランジの外面
は均一な温度分布を保ったまま冷却されることになる。
その結果、フランジの外面を強制冷却したとしても、そ
の後の自然放冷の過程でフランジの変形が発生すること
がなくなる。
【0023】なお、誘導加熱によりフランジを加熱する
温度はキューリー点以上の温度でありさえすれば良い
が、誘導加熱装置で消費される電力を考慮すると、フラ
ンジの中で最も温度が低い部分であるフランジ角部の温
度がキューリー点から10℃の範囲内にすることが好ま
しい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて以下に説明する。
【0025】図1は、本発明のH形鋼圧延ラインの誘導
加熱装置および冷却装置の代表的な配置図である。
(a)では、仕上圧延機の直後に誘導加熱装置と冷却装
置が配置されている。(b)では、仕上圧延機の直前に
誘導加熱装置が設けられ、仕上圧延機の直後に冷却装置
が配置されている。(c)では、仕上圧延機の直前に誘
導加熱装置および冷却装置が設けられ、仕上圧延機の直
後にさらに冷却装置が配置されている。1は粗圧延機、
2はエッジャーミル、3は仕上圧延機、4は誘導加熱装
置、5、5a、5bは冷却装置である。
【0026】図1(a)では、仕上圧延機3により仕上
圧延されたH形鋼を誘導加熱装置4により加熱してフラ
ンジ温度をキューリー点以上に昇温することにより、フ
ランジ温度を均一化する。次いで、冷却装置5によりフ
ランジ外表面を強制冷却してフランジとウェブの温度差
を小さくする。そして、自然放冷させる。こうすること
により、フランジの変形を抑えつつ、またウェブ波打ち
の発生も抑えることができる。
【0027】図1(b)では、誘導加熱装置4によりH
形鋼を加熱してフランジ温度をキューリー点以上に昇温
することにより、フランジ温度を均一化する。次いで、
仕上圧延機3によりこのH形鋼に仕上圧延を施す。そし
て、冷却装置5によりフランジ外表面を強制冷却してフ
ランジとウェブの温度差を小さくした後、自然放冷させ
る。こうすることにより、圧延寸法および形状が良好な
圧延を施すことができる。また、フランジの変形を抑え
つつ、またウェブ波打ちの発生も抑えることができる。
【0028】図1(c)では、誘導加熱装置4によりH
形鋼を加熱してフランジ温度をキューリー点以上に昇温
させH形鋼のフランジ温度を均一化し、冷却装置5aに
よりフランジ外表面を強制冷却してフランジとウェブの
温度差を小さくする。次いで、仕上圧延機3によりこの
H形鋼に仕上圧延を施す。そして、冷却装置5bにより
フランジ外表面を強制冷却してフランジとウェブの温度
差をさらに小さくした後、自然放冷させる。
【0029】こうすることにより、フランジ厚みに対す
るウェブ厚みの比が小さく、そのためウェブ波打ちが発
生しやすいH形鋼に対しても、圧延寸法および形状が良
好な圧延を施すとともに、ウェブ波打ちの発生も抑える
ことができる。
【0030】次に、本発明の方法に用いる誘導加熱装置
および冷却装置の1例について説明する。
【0031】図2は、本発明の方法に用いる誘導加熱装
置の1例であるソレノイド型の装置を示す模式図であ
り、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
【0032】誘導加熱コイルはH形鋼を取り囲むように
して設けられる。誘導加熱コイルとH形鋼との隙間aお
よびbは、50mm以下程度とすれば良い。誘導加熱コ
イルが配置されるゾーン長さは6m程度とし、このコイ
ルゾーン内を3m/secの速度でH形鋼が走行するよ
うにすれば良い。誘導加熱コイルは直径20〜30mm
φで肉厚3〜4mm程度の銅管を30ターン程度巻いて
作製すれば良い。誘導加熱コイルの冷却は、誘導加熱コ
イルである銅管中に冷却水を通流させることにより、行
えば良い。
【0033】例えばフランジ厚さが20〜30mmでフ
ランジ幅が200〜300mmのH形鋼の場合、コイル
に通電する交流電流の周波数を180Hz程度にすれば
良い。また、誘導加熱コイルに供給する電力量は700
0kW程度とすれば良い。
【0034】誘導加熱コイルに供給する電力量は、コイ
ルゾーン手前で赤外線放射温度計によりフランジ外表面
の温度分布を測定し、この温度分布のばらつきとフラン
ジの熱容量などを考慮して決めても良い。
【0035】また、誘導加熱コイルを複数分割した部品
から構成するようにすれば、サイズの異なる誘導加熱コ
イルへの組み代えが容易になり、サイズの異なるH形鋼
に対しても、誘導加熱コイルを迅速に組み代えることに
より対応することができる。
【0036】図3(a)は、本発明の方法に用いる冷却
装置の1例である多段ノズルを用いる冷却装置の模式図
であり、図3(b)はこの冷却装置によるH形鋼のフラ
ンジ外表面の冷却水衝突域を示す模式図である。
【0037】この多段ノズルを有する冷却装置では、ノ
ズル31が、H形鋼のフランジ12の幅方向に多段(図
中では6段)設けられ、またH形鋼の進行方向に複数設
けられている。そして、ノズル31から噴射させた冷却
水30がH形鋼のフランジ12の外表面を冷却する。
【0038】この多段ノズルを用いる冷却装置は、個々
のノズルによる冷却水衝突域のフランジ幅方向間隙を調
整しておくことにより、フランジ幅方向の温度むらを容
易に抑えることができる。また、異なるフランジ幅を有
するH形鋼に対してもフランジ幅サイズに合わせてノズ
ルをオンオフ制御するだけで対応することができる。
【0039】なお、H形鋼進行方向のノズル間隔dpは
一般には200〜300mm程度であるが、冷却水の衝
突域34の広がりwpがこのノズル間隔dpの90%以
上となる噴射広がり角度をもつフラットまたはフルコー
ンノズルを用いることが好ましい。これは冷却水が鋼材
表面に直接衝突する衝突域の方が非衝突部である流水部
に比べて、冷却能が大きく冷却水が効率的に使用できる
ためであり、またH形鋼の搬送速度やスケールの影響を
受けにくく冷却能の制御が容易であるためである。
【0040】上述したように、上記のような誘導加熱装
置および冷却装置を用いて、H形鋼のフランジをキュー
リー点以上の温度に加熱してフランジ温度を均一化した
後、フランジ外表面を強制冷却することにより、フラン
ジの温度むらに起因する冷却過程でのフランジの変形を
抑えることができる。
【0041】
【発明の効果】本発明のH形鋼の冷却方法によれば、仕
上圧延後の冷却過程において発生する左右方向の曲が
り、上下方向の反り、フランジ倒れ、ねじれ変形などの
H形鋼の変形を防止することができる。その結果、これ
らの変形の修正工程を必要とする製品の割合いが減少
し、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のH形鋼圧延ラインの誘導加熱装置およ
び冷却装置の代表的配置図である。(a)では、仕上圧
延機の直後に誘導加熱装置と冷却装置が配置されてい
る。(b)では、仕上圧延機の直前に誘導加熱装置が設
けられ、仕上圧延機の直後に冷却装置が配置されてい
る。(c)では、仕上圧延機の直前に誘導加熱装置およ
び冷却装置が設けられ、仕上圧延機の直後にさらに冷却
装置が配置されている。
【図2】本発明の方法に用いる誘導加熱装置の1例であ
るソレノイド型の装置を示す模式図であり、(a)は斜
視図であり、(b)は断面図である。
【図3】(a)は、本発明の方法に用いる冷却装置の1
例である多段スプレーノズルを用いる冷却装置の模式図
であり、(b)はこの冷却装置によるH形鋼のフランジ
外表面の冷却水衝突域を示す模式図である。
【図4】H形鋼の各部分の誘導加熱時の温度変化のシミ
ュレーション結果を示すグラフである。
【図5】H形鋼断面の温度分布を説明する模式図であ
り、(a)は誘導加熱前の温度分布、(b)は誘導加熱
後の温度分布である。
【図6】炭素鋼板の誘導加熱による電気効率を示すグラ
フであり、(a)は非磁性領域のグラフであり、(b)
は磁性領域のグラフである。
【符号の説明】
1 粗圧延機 2 エッジャーミル 3 仕上圧延機 4 誘導加熱装置 5、5a、5b 冷却装置 11 H形鋼 12 フランジ 13 ウェブ 21 誘導加熱コイル 30 冷却水 31 ノズル 32 ヘッダ 33 冷却水給水管 34 冷却水の衝突域

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘導加熱法によりH形鋼のフランジをキュ
    ーリー点以上の温度に加熱した後、前記フランジの外面
    を冷却することを特徴とするH形鋼の冷却方法。
JP16756896A 1996-06-27 1996-06-27 H形鋼の冷却方法 Pending JPH105843A (ja)

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JP16756896A JPH105843A (ja) 1996-06-27 1996-06-27 H形鋼の冷却方法

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