JPH1058207A - 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents
硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具Info
- Publication number
- JPH1058207A JPH1058207A JP22111196A JP22111196A JPH1058207A JP H1058207 A JPH1058207 A JP H1058207A JP 22111196 A JP22111196 A JP 22111196A JP 22111196 A JP22111196 A JP 22111196A JP H1058207 A JPH1058207 A JP H1058207A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- cemented carbide
- cutting
- cutting tool
- hard coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表
面被覆超硬合金製切削工具を提供する。 【解決手段】 WC基超硬合金基体の表面に、TiC
層、TiN層、TiCN層、TiO2 層、TiCO層、
TiNO層、およびTiCNO層からなるTi化合物層
のうちの1種または2種以上と、Al2 O3 層で構成し
た硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚で化学蒸着およ
び/または物理蒸着してなる表面被覆超硬合金製切削工
具において、前記Al2 O3 層とTi化合物層との界面
に、RuO2からなる不連続層を5〜80%の面積率で
介在させる。
面被覆超硬合金製切削工具を提供する。 【解決手段】 WC基超硬合金基体の表面に、TiC
層、TiN層、TiCN層、TiO2 層、TiCO層、
TiNO層、およびTiCNO層からなるTi化合物層
のうちの1種または2種以上と、Al2 O3 層で構成し
た硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚で化学蒸着およ
び/または物理蒸着してなる表面被覆超硬合金製切削工
具において、前記Al2 O3 層とTi化合物層との界面
に、RuO2からなる不連続層を5〜80%の面積率で
介在させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、硬質被覆層を構
成するTi化合物層と酸化アルミニウム(以下、Al2
O3 で示す)層がすぐれた層間密着性を有し、したがっ
て例えば鋼の高速連続切削や、高切込み断続切削などの
苛酷な条件での切削に際しても硬質被覆層に剥離の発生
なく、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮する表面被
覆超硬合金製切削工具(以下、被覆超硬工具という)に
関するものである。
成するTi化合物層と酸化アルミニウム(以下、Al2
O3 で示す)層がすぐれた層間密着性を有し、したがっ
て例えば鋼の高速連続切削や、高切込み断続切削などの
苛酷な条件での切削に際しても硬質被覆層に剥離の発生
なく、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮する表面被
覆超硬合金製切削工具(以下、被覆超硬工具という)に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、炭化タングステン基超硬
合金基体(以下、超硬基体という)の表面に、Tiの炭
化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じく
TiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)
層、酸化物(以下、TiO2 で示す)層、炭酸化物(以
下、TiCOで示す)層、窒酸化物(以下、TiNOで
示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示
す)層からなるTi化合物層のうちの1種または2種以
上と、Al2 O3 層とで構成された硬質被覆層を3〜2
0μmの平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着し
てなる被覆超硬工具が知られており、またこの被覆超硬
工具が鋼などの連続切削や断続切削に用いられているこ
とも知られている。
合金基体(以下、超硬基体という)の表面に、Tiの炭
化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じく
TiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)
層、酸化物(以下、TiO2 で示す)層、炭酸化物(以
下、TiCOで示す)層、窒酸化物(以下、TiNOで
示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示
す)層からなるTi化合物層のうちの1種または2種以
上と、Al2 O3 層とで構成された硬質被覆層を3〜2
0μmの平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着し
てなる被覆超硬工具が知られており、またこの被覆超硬
工具が鋼などの連続切削や断続切削に用いられているこ
とも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削装置
の高性能化および高出力化はめざましく、かつ省力化に
対する要求も強く、これに伴い、切削加工は高速化の傾
向にあるが、上記の従来被覆超硬工具においては、これ
を構成する硬質被覆層のうち、特にAl2 O3 層は耐酸
化性と熱的安定性にすぐれ、さらに高硬度を有するが、
他の構成層であるTi化合物層との層間密着性が不十分
なために、例えば鋼などの高速連続切削や高切込み断続
切削などの苛酷な切削条件で用いた場合には硬質被覆層
に剥離が発生し易く、これが原因で比較的短時間で使用
寿命に至るのが現状である。
の高性能化および高出力化はめざましく、かつ省力化に
対する要求も強く、これに伴い、切削加工は高速化の傾
向にあるが、上記の従来被覆超硬工具においては、これ
を構成する硬質被覆層のうち、特にAl2 O3 層は耐酸
化性と熱的安定性にすぐれ、さらに高硬度を有するが、
他の構成層であるTi化合物層との層間密着性が不十分
なために、例えば鋼などの高速連続切削や高切込み断続
切削などの苛酷な切削条件で用いた場合には硬質被覆層
に剥離が発生し易く、これが原因で比較的短時間で使用
寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、被覆超硬工具の硬質被覆層を構
成するAl2 O3 層に着目し、これと他の構成層である
Ti化合物層との層間密着性の向上を図るべく研究を行
った結果、いずれも化学蒸着法および/または物理蒸着
法を用いて上記硬質被覆層を形成するに際して、まず、
Al2 O3 層を形成するに先だって、予め形成してある
Ti化合物層の表面に、Arなどの不活性ガスをキャリ
アガスとして用いて塩化ルテニウム(以下、RuCl3
で示す)を面積率で5〜80%、望ましくは15〜50
%の割合の不連続層(一般に所定厚さの蒸着膜は、反応
面に核が生成し、この核を中心に成長して平面的に広が
り、この平面的広がりが相互に接触して膜となり、引き
続いて所定厚さに成長することにより形成されるが、前
記不連続層は前記核を中心として成長して平面的に広が
って行く途中段階、すなわちTi化合物層の反応面を1
0〜80%の面積率でRuCl3 が被覆した時点で蒸着
を中止することにより形成されるものである)として蒸
着し、この状態でAl2 O3 層を形成すると、前記Al
2 O3 層は、反応ガスを構成するAlCl3 とCO2 と
H2 が、 CO2 +H2 →H2 O+CO (1) AlCl3 +H2 O→Al2 O3 +HCl (2) 上記(1)および(2)式にしたがって反応することに
より形成されるが、上記RuCl3 不連続層はこのAl
2 O3 層の形成初期に酸化性雰囲気によって酸化ルテニ
ウム(以下、RuO2 で示す)不連続層となり、このR
uO2 不連続層が上記(1)式の水性ガス反応の触媒と
して作用し、この(1)式の反応を著しく促進すること
から、Al2 O3 の核生成が著しく活発になり、これに
よってTi化合物層上にRuO2 を介して緻密なAl2
O3 層が形成されるようになり、この結果形成されたA
l2 O3 層とTi化合物層は、前記RuO2 不連続層が
これら両層と著しく強固に密着する性質を具備すること
と相まって、高い層間密着性をもつようになるという研
究結果を得たのである。
上述のような観点から、被覆超硬工具の硬質被覆層を構
成するAl2 O3 層に着目し、これと他の構成層である
Ti化合物層との層間密着性の向上を図るべく研究を行
った結果、いずれも化学蒸着法および/または物理蒸着
法を用いて上記硬質被覆層を形成するに際して、まず、
Al2 O3 層を形成するに先だって、予め形成してある
Ti化合物層の表面に、Arなどの不活性ガスをキャリ
アガスとして用いて塩化ルテニウム(以下、RuCl3
で示す)を面積率で5〜80%、望ましくは15〜50
%の割合の不連続層(一般に所定厚さの蒸着膜は、反応
面に核が生成し、この核を中心に成長して平面的に広が
り、この平面的広がりが相互に接触して膜となり、引き
続いて所定厚さに成長することにより形成されるが、前
記不連続層は前記核を中心として成長して平面的に広が
って行く途中段階、すなわちTi化合物層の反応面を1
0〜80%の面積率でRuCl3 が被覆した時点で蒸着
を中止することにより形成されるものである)として蒸
着し、この状態でAl2 O3 層を形成すると、前記Al
2 O3 層は、反応ガスを構成するAlCl3 とCO2 と
H2 が、 CO2 +H2 →H2 O+CO (1) AlCl3 +H2 O→Al2 O3 +HCl (2) 上記(1)および(2)式にしたがって反応することに
より形成されるが、上記RuCl3 不連続層はこのAl
2 O3 層の形成初期に酸化性雰囲気によって酸化ルテニ
ウム(以下、RuO2 で示す)不連続層となり、このR
uO2 不連続層が上記(1)式の水性ガス反応の触媒と
して作用し、この(1)式の反応を著しく促進すること
から、Al2 O3 の核生成が著しく活発になり、これに
よってTi化合物層上にRuO2 を介して緻密なAl2
O3 層が形成されるようになり、この結果形成されたA
l2 O3 層とTi化合物層は、前記RuO2 不連続層が
これら両層と著しく強固に密着する性質を具備すること
と相まって、高い層間密着性をもつようになるという研
究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、超硬基体の表面に、TiC層、T
iN層、TiCN層、TiO2 層、TiCO層、TiN
O層、およびTiCNO層からなるTi化合物層のうち
の1種または2種以上と、Al2 O3 層とで構成された
硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚で形成してなる被
覆超硬工具において、前記Al2 O3 層とTi化合物層
との界面に、RuO2 不連続層を5〜80%の面積率で
介在させることにより硬質被覆層にすぐれた層間密着性
を具備せしめ、もって例えば鋼の高速連続切削や、高切
込み断続切削などの苛酷な条件での切削に際しても硬質
被覆層に剥離の発生なく、長期に亘ってすぐれた切削性
能を発揮するようにした表面被覆超硬合金製切削工具に
特徴を有するものである。
されたものであって、超硬基体の表面に、TiC層、T
iN層、TiCN層、TiO2 層、TiCO層、TiN
O層、およびTiCNO層からなるTi化合物層のうち
の1種または2種以上と、Al2 O3 層とで構成された
硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚で形成してなる被
覆超硬工具において、前記Al2 O3 層とTi化合物層
との界面に、RuO2 不連続層を5〜80%の面積率で
介在させることにより硬質被覆層にすぐれた層間密着性
を具備せしめ、もって例えば鋼の高速連続切削や、高切
込み断続切削などの苛酷な条件での切削に際しても硬質
被覆層に剥離の発生なく、長期に亘ってすぐれた切削性
能を発揮するようにした表面被覆超硬合金製切削工具に
特徴を有するものである。
【0006】なお、この発明の表面被覆超硬合金製切削
工具において、硬質被覆層を構成するRuO2 不連続層
の面積率を5〜80%としたのは、その面積率が5未満
ではAl2 O3 層とTi化合物層との間に所望の優れた
層間密着性を確保することができず、一方その面積率が
80%を越えると、RuO2 はきわめて硬質であるため
に切刃にチッピング(微小欠け)が発生し易くなるとい
う理由からであり、望ましくは15〜50%の面積率と
するのがよい。また、硬質被覆層の平均層厚を3〜20
μmとしたのは、その層厚が3μmでは所望のすぐれた
耐摩耗性を確保することができず、一方その層厚が20
μmを越えると、耐欠損性が低下するようになるという
理由からである。さらに、RuO2 不連続層の面積率
は、RuCl2 不連続層を形成した時点で、これの表面
をオージェ電子分光分析装置を用いて観察することによ
り求められるが、正確を期するために任意複数箇所、通
常は10箇所程度を観察し、これの平均値で表すのがよ
い。また、Al2 O3 層を形成した後においては、硬質
被覆層の縦断面におけるAl2 O3 層とTi化合物層の
界面を透過型電子顕微鏡で観察し、RuO2 の存在を線
の長さとして捕らえ、これを正確を期するために任意複
数箇所、通常は20箇所程度行い、この結果からRuO
2 不連続層の面積率を求めることもできる。
工具において、硬質被覆層を構成するRuO2 不連続層
の面積率を5〜80%としたのは、その面積率が5未満
ではAl2 O3 層とTi化合物層との間に所望の優れた
層間密着性を確保することができず、一方その面積率が
80%を越えると、RuO2 はきわめて硬質であるため
に切刃にチッピング(微小欠け)が発生し易くなるとい
う理由からであり、望ましくは15〜50%の面積率と
するのがよい。また、硬質被覆層の平均層厚を3〜20
μmとしたのは、その層厚が3μmでは所望のすぐれた
耐摩耗性を確保することができず、一方その層厚が20
μmを越えると、耐欠損性が低下するようになるという
理由からである。さらに、RuO2 不連続層の面積率
は、RuCl2 不連続層を形成した時点で、これの表面
をオージェ電子分光分析装置を用いて観察することによ
り求められるが、正確を期するために任意複数箇所、通
常は10箇所程度を観察し、これの平均値で表すのがよ
い。また、Al2 O3 層を形成した後においては、硬質
被覆層の縦断面におけるAl2 O3 層とTi化合物層の
界面を透過型電子顕微鏡で観察し、RuO2 の存在を線
の長さとして捕らえ、これを正確を期するために任意複
数箇所、通常は20箇所程度行い、この結果からRuO
2 不連続層の面積率を求めることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の被覆超硬工具
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、平
均粒径:2.8μmを有する中粒WC粉末、同4.9μ
mの粗粒WC粉末、同1.5μmの(Ti,W)C(重
量比で、以下同じ、TiC/WC=30/70)粉末、
同1.2μmの(Ti,W)CN(TiC/TiN/W
C=24/20/56)粉末、同1.2μmの(Ta,
Nb)C(TaC/NbC=90/10)粉末、および
同1.1μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末を表
1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間
湿式混合し、乾燥した後、ISO・CNMG12040
8(超硬基体A〜D用)および同SEEN42AFTN
1(超硬基体E用)に定める形状の圧粉体にプレス成形
し、この圧粉体を同じく表1に示される条件で真空焼結
することにより超硬基体A〜Eをそれぞれ製造した。さ
らに、上記超硬基体Bに対して、100torrのCH
4 ガス雰囲気中、温度:1400℃に1時間保持後、徐
冷の滲炭処理を施し、処理後、超硬基体表面に付着する
カーボンとCoを酸およびバレル研磨で除去することに
より、表面から11μmの位置で最大Co含有量:1
5.9重量%、深さ:42μmのCo富化帯域を基体表
面部に形成した。また、上記超硬基体AおよびDには、
焼結したままで、表面部に表面から17μmの位置で最
大Co含有量:9.1重量%、深さ:23μmのCo富
化帯域が形成されており、残りの超硬基体CおよびEに
は、前記Co富化帯域の形成がなく、全体的に均質な組
織をもつものであった。なお、表1には、上記超硬基体
A〜Eの内部硬さ(ロックウエル硬さAスケール)をそ
れぞれ示した。
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、平
均粒径:2.8μmを有する中粒WC粉末、同4.9μ
mの粗粒WC粉末、同1.5μmの(Ti,W)C(重
量比で、以下同じ、TiC/WC=30/70)粉末、
同1.2μmの(Ti,W)CN(TiC/TiN/W
C=24/20/56)粉末、同1.2μmの(Ta,
Nb)C(TaC/NbC=90/10)粉末、および
同1.1μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末を表
1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間
湿式混合し、乾燥した後、ISO・CNMG12040
8(超硬基体A〜D用)および同SEEN42AFTN
1(超硬基体E用)に定める形状の圧粉体にプレス成形
し、この圧粉体を同じく表1に示される条件で真空焼結
することにより超硬基体A〜Eをそれぞれ製造した。さ
らに、上記超硬基体Bに対して、100torrのCH
4 ガス雰囲気中、温度:1400℃に1時間保持後、徐
冷の滲炭処理を施し、処理後、超硬基体表面に付着する
カーボンとCoを酸およびバレル研磨で除去することに
より、表面から11μmの位置で最大Co含有量:1
5.9重量%、深さ:42μmのCo富化帯域を基体表
面部に形成した。また、上記超硬基体AおよびDには、
焼結したままで、表面部に表面から17μmの位置で最
大Co含有量:9.1重量%、深さ:23μmのCo富
化帯域が形成されており、残りの超硬基体CおよびEに
は、前記Co富化帯域の形成がなく、全体的に均質な組
織をもつものであった。なお、表1には、上記超硬基体
A〜Eの内部硬さ(ロックウエル硬さAスケール)をそ
れぞれ示した。
【0008】ついで、これらの超硬基体A〜Eの表面
に、ホーニングを施した状態で、通常の化学蒸着装置を
用い、表2(表中のl−TiCNは特開平6−8010
号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつものであ
り、また同p−TiCNは通常の粒状結晶組織をもつも
のである)に示される条件にて、表3、4に示される組
成および平均層厚のTi化合物層を形成し、ついで前記
Ti化合物層の表面に、 反応ガス組成(容量%):(RuCl3 :2%、Ar:
残り)、 雰囲気温度:980℃、 雰囲気圧力:300torr、 の条件でRuCl3 不連続層を形成し、あるいはこれの
形成を行わず、RuCl 3 不連続層を形成した場合に
は、これの面積率をオージェ電子分光分析装置を用いて
表面任意10箇所を測定して算出し、10箇所の平均値
として求め、引き続いて、 反応ガス組成(容量%):(AlCl3 :6%、CO
2 :10%、HCl:6%、H2 S:2%、H2 :残
り)、 雰囲気温度:980℃、 雰囲気圧力:50torr、 の条件で同じく表3、4に示される平均層厚のAl2 O
3 層を形成し、必要に応じてTiN層を形成することに
より本発明被覆超硬工具1〜13、およびRuO 2 不連
続層の形成がない従来被覆超硬工具1〜10をそれぞれ
製造した。
に、ホーニングを施した状態で、通常の化学蒸着装置を
用い、表2(表中のl−TiCNは特開平6−8010
号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつものであ
り、また同p−TiCNは通常の粒状結晶組織をもつも
のである)に示される条件にて、表3、4に示される組
成および平均層厚のTi化合物層を形成し、ついで前記
Ti化合物層の表面に、 反応ガス組成(容量%):(RuCl3 :2%、Ar:
残り)、 雰囲気温度:980℃、 雰囲気圧力:300torr、 の条件でRuCl3 不連続層を形成し、あるいはこれの
形成を行わず、RuCl 3 不連続層を形成した場合に
は、これの面積率をオージェ電子分光分析装置を用いて
表面任意10箇所を測定して算出し、10箇所の平均値
として求め、引き続いて、 反応ガス組成(容量%):(AlCl3 :6%、CO
2 :10%、HCl:6%、H2 S:2%、H2 :残
り)、 雰囲気温度:980℃、 雰囲気圧力:50torr、 の条件で同じく表3、4に示される平均層厚のAl2 O
3 層を形成し、必要に応じてTiN層を形成することに
より本発明被覆超硬工具1〜13、およびRuO 2 不連
続層の形成がない従来被覆超硬工具1〜10をそれぞれ
製造した。
【0009】この結果得られた本発明被覆超硬工具1〜
13の硬質被覆層の縦断面におけるAl2 O3 層とTi
化合物層の界面を透過型電子顕微鏡で観察し、RuO2
の存在を線の長さとして捕らえ、これを20箇所につい
て行い、この結果からRuO 2 不連続層の面積率を平均
値で求めた。なお、上記のRuCl3 不連続層の平均面
積率と前記RuO2 不連続層の平均面積率はほぼ同じ値
を示したので、表3、4には、さらにこれら両者の平均
値として示した。
13の硬質被覆層の縦断面におけるAl2 O3 層とTi
化合物層の界面を透過型電子顕微鏡で観察し、RuO2
の存在を線の長さとして捕らえ、これを20箇所につい
て行い、この結果からRuO 2 不連続層の面積率を平均
値で求めた。なお、上記のRuCl3 不連続層の平均面
積率と前記RuO2 不連続層の平均面積率はほぼ同じ値
を示したので、表3、4には、さらにこれら両者の平均
値として示した。
【0010】つぎに、上記本発明被覆超硬工具1〜12
および従来被覆超硬工具1〜9について、 被削材:JIS・SCM440(硬さ:HB 220)の
丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:3mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、 の条件での合金鋼の乾式高速連続切削試験、並びに、 被削材:JIS・SNCM439(硬さ:HB 230)
の角材、 切削速度:100m/min.、 切込み:3mm.、 送り:0.25mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での合金鋼の乾式高切込み断続切削試験を行い、
いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
これらの測定結果を表5に示した。また、上記本発明被
覆超硬工具13および従来被覆超硬工具10について、 被削材:JIS・S25C(硬さ:HB 150)、 切削速度:250m/min.、 切込み:3mm.、 送り:0.35mm/刃、 切削時間:40分、 の条件での軟鋼の乾式フライス切削試験を行い、切刃の
逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果も表5に示し
た。
および従来被覆超硬工具1〜9について、 被削材:JIS・SCM440(硬さ:HB 220)の
丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:3mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、 の条件での合金鋼の乾式高速連続切削試験、並びに、 被削材:JIS・SNCM439(硬さ:HB 230)
の角材、 切削速度:100m/min.、 切込み:3mm.、 送り:0.25mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での合金鋼の乾式高切込み断続切削試験を行い、
いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
これらの測定結果を表5に示した。また、上記本発明被
覆超硬工具13および従来被覆超硬工具10について、 被削材:JIS・S25C(硬さ:HB 150)、 切削速度:250m/min.、 切込み:3mm.、 送り:0.35mm/刃、 切削時間:40分、 の条件での軟鋼の乾式フライス切削試験を行い、切刃の
逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果も表5に示し
た。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【発明の効果】表3〜5に示される結果から、硬質被覆
層中にRuO2 不連続層が存在する本発明被覆超硬工具
1〜13は、これの存在しない従来被覆超硬工具1〜1
0に比して、Al2 O3 層とTi化合物層との層間密着
性にすぐれているので、苛酷な切削条件となる鋼の高速
連続切削や高切込み断続切削、さらにフライス切削(断
続切削)にも硬質被覆層に剥離の発生なく、すぐれた切
削性能を長期に亘って発揮するのに対して、従来被覆超
硬工具1〜10においては、Al2 O3 層とTi化合物
層との層間密着性が不十分なために比較的短時間で硬質
被覆層に剥離が発生し、使用寿命に至ることが明らかで
ある。上述のように、この発明の被覆超硬工具は、これ
の硬質被覆層を構成するAl 2 O3 層とTi化合物層と
がすぐれた層間密着性を有するので、例えば鋼などの連
続切削や断続切削は勿論のこと、特にこれらの切削を苛
酷な条件で行っても、長期に亘ってすぐれた切削性能を
発揮し、したがって切削加工の高速化に十分に対応で
き、かつ省力化にも寄与するものである。
層中にRuO2 不連続層が存在する本発明被覆超硬工具
1〜13は、これの存在しない従来被覆超硬工具1〜1
0に比して、Al2 O3 層とTi化合物層との層間密着
性にすぐれているので、苛酷な切削条件となる鋼の高速
連続切削や高切込み断続切削、さらにフライス切削(断
続切削)にも硬質被覆層に剥離の発生なく、すぐれた切
削性能を長期に亘って発揮するのに対して、従来被覆超
硬工具1〜10においては、Al2 O3 層とTi化合物
層との層間密着性が不十分なために比較的短時間で硬質
被覆層に剥離が発生し、使用寿命に至ることが明らかで
ある。上述のように、この発明の被覆超硬工具は、これ
の硬質被覆層を構成するAl 2 O3 層とTi化合物層と
がすぐれた層間密着性を有するので、例えば鋼などの連
続切削や断続切削は勿論のこと、特にこれらの切削を苛
酷な条件で行っても、長期に亘ってすぐれた切削性能を
発揮し、したがって切削加工の高速化に十分に対応で
き、かつ省力化にも寄与するものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 炭化タングステン基超硬合金基体の表面
に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、酸化物
層、炭酸化物層、窒酸化物層、および炭窒酸化物層から
なるTi化合物層のうちの1種または2種以上と、酸化
アルミニウム層とで構成された硬質被覆層を3〜20μ
mの平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着してな
る表面被覆超硬合金製切削工具において、前記酸化アル
ミニウム層とTi化合物層との界面に、酸化ルテニウム
からなる不連続層を5〜80%の面積率で介在させたこ
とを特徴とする硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有す
る表面被覆超硬合金製切削工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22111196A JPH1058207A (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22111196A JPH1058207A (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1058207A true JPH1058207A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=16761661
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22111196A Withdrawn JPH1058207A (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1058207A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010201575A (ja) * | 2009-03-04 | 2010-09-16 | Mitsubishi Materials Corp | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 |
CN102978611A (zh) * | 2012-12-24 | 2013-03-20 | 常州大学 | 以TiO2、乙酰胺、炭黑、甲烷和氮气为组元的激光诱导金属表层复合TiCN强化方法 |
-
1996
- 1996-08-22 JP JP22111196A patent/JPH1058207A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010201575A (ja) * | 2009-03-04 | 2010-09-16 | Mitsubishi Materials Corp | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 |
CN102978611A (zh) * | 2012-12-24 | 2013-03-20 | 常州大学 | 以TiO2、乙酰胺、炭黑、甲烷和氮气为组元的激光诱导金属表层复合TiCN强化方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH09174304A (ja) | 耐チッピング性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JP2867803B2 (ja) | 耐チッピング性にすぐれた表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JP2001009604A (ja) | 硬質被覆層が高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JP3282592B2 (ja) | 高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JP3266047B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JPH08118105A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JPH1058207A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JPH10204639A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JPH1076406A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JP3503658B2 (ja) | 表面被覆wc基超硬合金製切削工具 | |
JP2000218409A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JP3371796B2 (ja) | 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JP3230375B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性および耐欠損性を有する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JP3282600B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JPH1076405A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JPH11236671A (ja) | 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製スローアウエイ切削チップ | |
JP3887812B2 (ja) | 断続重切削で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JPH081408A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JP3371823B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JPH09277103A (ja) | 耐チッピング性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具 | |
JPH11236672A (ja) | 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製スローアウエイ切削チップ | |
JPH08118108A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性を有する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JPH10130842A (ja) | 耐チッピング性のすぐれた表面被覆サーメット製切削工具 | |
JP3230374B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた層間密着性および耐欠損性を有する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 | |
JPH1177405A (ja) | 高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20031104 |