JPH1057330A - 心電図波形のドリフト除去装置 - Google Patents

心電図波形のドリフト除去装置

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JPH1057330A
JPH1057330A JP8218932A JP21893296A JPH1057330A JP H1057330 A JPH1057330 A JP H1057330A JP 8218932 A JP8218932 A JP 8218932A JP 21893296 A JP21893296 A JP 21893296A JP H1057330 A JPH1057330 A JP H1057330A
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稔道 石黒
Tetsuharu Yasue
徹治 安江
Shunji Takegami
俊次 竹上
Kizashi Hibino
萌 日比野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローパスフィルタのカットオフ周波数を高い
値に設定できてドリフト除去能力を高めると共にドリフ
ト除去後の心電図波形にほとんど歪みを生じさせない心
電図波形のドリフト除去装置を提供すること。 【解決手段】 3点メディアンフィルタ1は、ドリフト
成分を含んだ心電図波形信号xからR波とT波を除去す
るためのフィルタである。線形ディジタルLPF2は、
3点メディアンフィルタ1の出力信号yのうちドリフト
成分に対応する所定の低周波成分xd のみを通過させ
る。遅延回路3は、3点メディアンフィルタ1と線形デ
ィジタルLPF2の処理に要する時間だけ心電図波形信
号xを遅延させて出力する。減算器4は、遅延回路3か
ら出力されてくる心電図波形信号xから線形ディジタル
LPF2の出力信号xd を減算し、心電図波形信号xの
信号成分に対応する信号xS を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、心電図波形のドリ
フト成分を除去する心電図波形のドリフト除去装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】心電図を測定する際、体動などによって
心電図波形に混入したドリフト成分は、各種パラメータ
の計測誤差の要因となる。このため、従来から、図4に
示すように、ドリフト成分を含んだ心電図波形信号xか
らドリフト成分に対応する所定の低周波成分xd のみを
通過させる線形ディジタルローパスフィルタ(LPF)
2と、線形ディジタルLPF2の処理に要する時間だけ
心電図波形信号xを遅延させて出力する遅延回路3と、
遅延回路3から出力されてくる心電図波形信号xから線
形ディジタルLPF2の出力信号xd を減算し、心電図
波形信号xの信号成分に対応する信号xs を出力する減
算器4とを備え、心電図波形からドリフト成分を除去す
るようにした心電図波形のドリフト除去装置が知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
心電図波形のドリフト除去装置には、次のような問題が
あった。
【0004】通常、心電図波形は、図5に示すように、
P波、QRS波、T波から構成されており、P波とQR
S波は10HZ 程度の周波数成分、T波は数HZ の周波
数成分をもっている。一方、線形ディジタルLPF2は
カットオフ周波数を高い値に設定するほどドリフト除去
能力が向上する。このため、線形ディジタルLPF2の
ドリフト除去能力を高めつつ心電図波形の信号成分を抽
出しないよう、線形ディジタルLPF2のカットオフ周
波数を1HZ 以上であってT波の周波数成分よりも小さ
な値に設定することが考えられる。しかし、実際には図
6に示すように心電図波形に1HZ 以下の周波数成分も
含まれており、このため、カットオフ周波数を上記の値
に設定すると、図7に示すように従来のドリフト除去装
置10では、心電図波形のドリフト除去後のPQ部分と
ST部分の歪みが大きくなる。この点について考察する
と、線形ディジタルLPFはフーリエ変換、信号の重ね
合わせ等の理論にもとづいているため、所望する信号の
スペクトラムとノイズ(ドリフト成分)のスペクトラム
が周波数上で重なってしまう場合には、もはやノイズを
分離、除去することは不可能となる。例えば、QRS波
のような時間軸上で局所的に存在するインパルス信号も
フーリエの理論では直流から無限大の周波数までの正弦
波の無限時間幅にわたる重ね合わせと考えられる。この
ため、このような波形を線形ディジタルLPFで処理す
ると、時間軸方向に信号成分がしみだし、QRS波の周
辺部分に歪みを生じるのである。従って、従来のドリフ
ト除去装置では、線形ディジタルLPFのカットオフ周
波数を1HZ 以上の値に設定することができず、ドリフ
ト除去能力に限界があった。
【0005】本発明は、上記問題点を解決し、ローパス
フィルタのカットオフ周波数を高い値に設定できてドリ
フト除去能力を高めると共にドリフト除去後の心電図波
形にほとんど歪みを生じさせない心電図波形のドリフト
除去装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の心電図波形の
ドリフト除去装置は、ドリフト成分を含んだ心電図波形
信号からR波とT波を除去するためのメディアンフィル
タと、前記メディアンフィルタの出力信号のうち前記ド
リフト成分に対応する所定の低周波成分のみを通過させ
るローパスフィルタと、前記メディアンフィルタと前記
ローパスフィルタの処理に要する時間だけ前記心電図波
形信号を遅延させて出力する遅延回路と、前記遅延回路
から出力されてくる心電図波形信号から前記ローパスフ
ィルタの出力信号を減算し、前記心電図波形信号の信号
成分に対応する信号を出力する減算器とを備えることを
特徴とする。
【0007】請求項2の心電図波形のドリフト除去装置
は、請求項1の心電図波形のドリフト除去装置におい
て、前記メディアンフィルタは3点メディアンフィルタ
であることを特徴とする。
【0008】
【発明の作用効果】請求項1の心電図波形のドリフト除
去装置において、ドリフト成分を含んだ心電図波形信号
はメディアンフィルタによりR波とT波が除去され上記
心電図波形信号から信号成分が大まかにカットされた信
号、換言すると、ドリフト成分に振幅の小さな成分が部
分的に重畳された信号としてローパスフィルタに入力さ
れる。このため、ローパスフィルタのカットオフ周波数
を高い値に設定し、ローパスフィルタのドリフト除去能
力を高めることが可能になると共に、ドリフト除去後の
心電図波形にほとんど歪みを生じさせなくすることが可
能になる。
【0009】請求項2の心電図波形のドリフト除去装置
によると、メディアンフィルタとして処理が最も簡素な
3点メディアンフィルタを用いたため、メディアンフィ
ルタの構成が簡単になる、処理速度が速いなどの効果を
奏する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて説明する。
【0011】図1は一実施例による心電図波形のドリフ
ト除去装置のブロック図を示す。
【0012】図1において、線形ディジタルローパスフ
ィルタ(LPF)2の前段にはメディアンフィルタ1が
設けられている。メディアンフィルタ1は、ドリフト成
分を含んだ心電図波形信号xからR波とT波を除去する
ためのフィルタであり、例えば3点メディアンフィルタ
からなる。
【0013】3点メディアンフィルタ1の動作を図2に
基づいて説明すると、3点メディアンフィルタ1は、心
電図波形信号xを所定周期でサンプリングし、各々のサ
ンプリング時点nのサンプル値x(n) と、時点nから幅
d(例えば200msec)だけ前の時点(n−d)の
サンプル値x(n-d) と、時点nから幅dだけ後の時点
(n+d)のサンプル値x(n+d) との大小比較を行な
い、真ん中の大きさのサンプル値(図2の場合、サンプ
ル値x(n+d) )を時点nについての出力値y(n) として
設定する。すなわち、3点メディアンフィルタ1の時点
nの出力値y(n) は、下記の式で表わされる。
【0014】y(n) =MedIII{ x(n)}=median{ x(n-
d),x(n),x(n+d)} そして、3点メディアンフィルタ1は、上記のように設
定した出力値y(n) を出力信号yとして線形ディジタル
LPF2に出力する。ここで、出力信号yは、上述した
メディアンフィルタ1の処理により、ドリフト成分を含
んだ心電図波形信号xからR波とT波が除去された信
号、換言すると心電図波形信号xから信号成分が大まか
にカットされた信号であり、図1に示すように、ドリフ
ト成分に振幅の小さな成分が部分的に重畳された波形で
ある。
【0015】メディアンフィルタ1から信号yを入力し
た線形ディジタルLPF2は、信号yのうちドリフト成
分に対応する所定の低周波成分xd のみを通過させる。
ここで、線形ディジタルLPF2に入力される信号y
は、上述したように心電図波形信号xそのものではなく
心電図波形信号xがメディアンフィルタ1により処理さ
れた後の信号すなわちドリフト成分に振幅の小さな成分
が部分的に重畳された信号であるため、線形ディジタル
フィルタ2の出力信号xd は、心電図波形信号xそのも
のから低周波成分xd を抽出する従来装置のように時間
軸上に信号成分がしみだした出力信号xd とはならず、
信号成分をほとんど含まない出力信号xdとなる。
【0016】一方、遅延回路3は、メディアンフィルタ
1と線形ディジタルLPF2の処理に要する時間だけ心
電図波形信号xを遅延させて出力する。
【0017】減算器4は、遅延回路3から出力されてく
る心電図波形信号xから線形ディジタルLPF2の出力
信号xd を減算し、心電図波形信号xの信号成分に対応
する信号xs を出力する。ここで、信号xs は、上述し
たように線形ディジタルLPF2の出力信号xd に信号
成分がほとんど含まれていないため、心電図波形信号x
の信号成分にほぼ一致した信号となる。
【0018】図3は、本願装置による出力信号xs と従
来装置による出力信号xs との比較結果を示し、図3
(A)は心電図波形が原波形のみからなる場合の比較結
果、図3(B)は心電図波形が原波形にドリフト成分
(0.5HZ の正弦波)が重畳されたものである場合の
比較結果を示す。なお、本願装置のメディアンフィルタ
1としては3点メディアンフィルタを用い、その幅dは
200msecに設定した。また、従来装置としては、
系(図4)全体としてのカットオフ周波数を0.9HZ
に設定したものを用い、一方、本願装置としては、カッ
トオフ周波数を2.9HZ に設定した図4の系におい
て、線形ディジタルLPF2の前段にメディアンフィル
タ1を設けたものを用いた。
【0019】心電図波形が原波形のみからなる場合に
は、図3(A)から明らかなように、本願装置、従来装
置のいずれの場合にも歪みが生じないでほぼ忠実に原波
形を再現することができ、心電図波形が原波形にドリフ
ト成分が重畳されたものである場合には、図3(B)か
ら明らかなように、本願装置の方が出力信号xs に含ま
れるドリフト成分の割合が著しく低くなっており、原波
形に近い出力信号xs を得ることができた。
【0020】以上説明したように、本実施例による心電
図波形のドリフト除去装置においては、ドリフト成分を
含んだ心電図波形信号xはメディアンフィルタ1により
R波とT波が除去され心電図波形信号xから信号成分が
大まかにカットされた信号y、換言すると、ドリフト成
分に振幅の小さな成分が部分的に重畳された信号yとし
て線形ディジタルLPF2に入力される。このため、線
形ディジタルLPF2のカットオフ周波数を高い値に設
定し、線形ディジタルLPF2のドリフト除去能力を高
めることが可能になると共に、ドリフト除去後の心電図
波形XS にほとんど歪みを生じさせなくすることが可能
になる。また、メディアンフィルタ1として処理が最も
簡素な3点メディアンフィルタを用いたため、メディア
ンフィルタ1の構成が簡単になる、処理速度が速いなど
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例による心電図波形のドリフト除去装置
のブロック図
【図2】メディアンフィルタの動作説明図
【図3】本願装置と従来装置の比較結果を示す波形図
【図4】従来装置のブロック図
【図5】心電図波形図
【図6】心電図のスペクトラムと線形ディジタルLPF
の特性との関係についての説明図
【図7】従来装置による出力信号xs の波形歪みについ
ての説明図
【符号の説明】
1 3点メディアンフィルタ(メディアンフィルタ) 2 線形ディジタルLPF(ローパスフィルタ) 3 遅延回路 4 減算器 x 心電図波形信号 y メディアンフィルタの出力信号 xd ローパスフィルタの出力信号 xs 減算器の出力信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比野 萌 愛知県名古屋市緑区鳴海町伝治山1番地 株式会社中日電子内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドリフト成分を含んだ心電図波形信号か
    らR波とT波を除去するためのメディアンフィルタと、 前記メディアンフィルタの出力信号のうち前記ドリフト
    成分に対応する所定の低周波成分のみを通過させるロー
    パスフィルタと、 前記メディアンフィルタと前記ローパスフィルタの処理
    に要する時間だけ前記心電図波形信号を遅延させて出力
    する遅延回路と、 前記遅延回路から出力されてくる心電図波形信号から前
    記ローパスフィルタの出力信号を減算し、前記心電図波
    形信号の信号成分に対応する信号を出力する減算器とを
    備えることを特徴とする心電図波形のドリフト除去装
    置。
  2. 【請求項2】 前記メディアンフィルタは3点メディア
    ンフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の心
    電図波形のドリフト除去装置。
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