JPH1057011A - 青色色素の製造方法 - Google Patents

青色色素の製造方法

Info

Publication number
JPH1057011A
JPH1057011A JP8177101A JP17710196A JPH1057011A JP H1057011 A JPH1057011 A JP H1057011A JP 8177101 A JP8177101 A JP 8177101A JP 17710196 A JP17710196 A JP 17710196A JP H1057011 A JPH1057011 A JP H1057011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
blue
alliinase
pecso
allicin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8177101A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2957948B2 (ja
Inventor
Hiroshi Sawada
博 澤田
Shinsuke Imai
真介 今井
Muneaki Asatake
宗明 朝武
Ko Akita
香 秋田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
House Foods Corp
Original Assignee
House Foods Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by House Foods Corp filed Critical House Foods Corp
Priority to JP8177101A priority Critical patent/JP2957948B2/ja
Priority to US08/874,409 priority patent/US5788758A/en
Publication of JPH1057011A publication Critical patent/JPH1057011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2957948B2 publication Critical patent/JP2957948B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Cosmetics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 水溶液中でトランス−(+)−S−(1
−プロペニル)−L−システイン スルホキシド(Pe
CSO)とアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリ
シンを共存させ、加温保持することを特徴とする青色色
素の製造方法。 【効果】 従来、開発が強く求められていた、食品等へ
使用することが可能な天然青色色素を効率的に製造する
ことができる。また、比較的澄んだ色調の青色色素を簡
便に製造することができる。得られた青色色素は、食品
色素、入浴剤用色素、化粧品用色素、おもちゃ用色素、
衣類用色素等として好適に利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来、開発が強く
求められていた、食品等へ使用することが可能な天然青
色色素の効率的な製造方法に関するものであり、安全な
食用作物成分のみを用いて青色色素を製造する方法に関
するもので、更に詳しくは、ニンニクや玉ねぎ等アリウ
ム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物
等に含まれているようなPeCSOとアリイナーゼの反
応物と、同じくニンニクや玉ねぎ等アリウム(Alli
um)属及びその交配種から選ばれる植物等に含まれて
いるようなアリインとアリイナーゼの反応により生成さ
れるアリシンと、アミノ酸とを共存させることによって
効率的に青色色素を製造する方法、及びそれによって得
られた青色色素を粉末化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然に存在する青色色素は、ツユクサや
紫陽花の花の色のようにアントシアン系の色素が多い
が、酸性では赤く変化してしまったり、安定性が著しく
悪いため、食品などへの利用は難しく、その利用はわず
かなものしかなかった。そのため、従来、数々の天然の
青色色素が研究されてきたが、天然の青色色素の利用に
ついては、クチナシやスピルナの青色がわずかに市販さ
れているに過ぎない。しかも、これらの天然の青色色素
は、価格も高く、特性的にもpH4以下の酸性条件下で
は沈殿してしまう場合もあるため、特に食品への利用に
は制限があり、これらの青色色素が利用できる食品分野
は決して広いものではなかった。
【0003】ところで、従来、ニンニク等の植物体を加
工処理した際に、その色調が変化することが知られてお
り、例えば、ニンニクをペースト状に加工処理して保存
した時に、該ペースト状のニンニクが緑変する場合があ
ることが知られている。
【0004】従来、このようなニンニクの緑変を防止す
る方法として、例えば、休眠状態のニンニク粒に脱皮、
加熱処理を施した後、磨砕してペースト状となし、必要
に応じて、冷凍して保存し、後解凍し、該ペースト状ニ
ンニクにアリイン分解酵素含有素材を添加混合し、pH
5.0以下のペーストを得ることを特徴とするニンニク
の緑変防止法(特開昭53−113051号公報)、が
提案されている。
【0005】しかしながら、これらの色調の変化につい
ては、元来、食品の変色現象ないし品質の劣化現象とし
て商品価値を低下させるものとのとらえ方がなされてお
り、上記特許公報にみられるように、食品を変色させな
いための変色防止法の研究はなされていたが、これを、
色素として利用しようという試みはなされていなかっ
た。
【0006】また、従来、生の玉ねぎペーストとニンニ
クペーストとを混合すると青〜緑色に発色することが現
象的には知られているが、ニンニクをペーストの形で使
用したものであるため、発色ペーストの臭いの問題も原
因となり、また、もとより調理や加工処理の過程で偶発
的に生起するものであることから、これを色素、特に食
用色素として利用しようとする考えは全くなかった。
【0007】また、仮に玉ねぎペーストとニンニクペー
ストとを混合して得られる色素を利用しようと考えたと
しても、この色素はペーストに強く吸着されるため抽出
効率が悪く、水では抽出されず、抽出に当たっては大量
の、例えば、アルコール等の溶媒を使用する必要がある
ため効率的ではなく、この点も色素としての利用の障害
になっていた。
【0008】そこで、本発明者らは、玉ねぎとニンニク
の混合により生成する青〜緑色の色素の製造方法に関す
る詳細な検討を進めた結果、玉ねぎ等のニンニクを除く
アリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれ
る植物の鱗茎の水抽出物とニンニクの鱗茎の水抽出物と
を所定割合で混合し、得られた混合物を所定温度に保つ
ことにより、効率よく青、青紫、青緑といった青色系の
色素が生成されることを見い出し、青色色素の製造方法
に係る発明を完成させるに至り、平成7年特許願第59
975号として特許出願を行った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記知
見を基に、更に研究を進め、玉ねぎ等のニンニクを除く
アリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれ
る植物の鱗茎の水抽出物の中からトランス−(+)−S
−(1−プロペニル)−L−システイン スルホキシド
〔trans−(+)−S−(1−propenyl)
−L−cysteine sulfoxide、以下P
eCSOという〕を抽出し、ニンニクの鱗茎の水抽出物
と混合・加温することにより、青色を呈するという事実
を確認した。しかし、得られた色の濃さが低いこと及び
当該色素の誘導時間が長いことを解決するために、更に
研究を進めた結果、水溶液中でPeCSOとアリイナー
ゼとの反応生成物、アミノ酸及びアリシンを共存させ、
加温保持することにより、上記問題を解決することがで
きることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明は、比較的短時間で、食品などへの
利用が可能な新しい青色色素を製造することを可能とす
る青色色素の効率的な製造方法を提供することを目的と
するものである。また、本発明は、不純物が除去された
状態で青色色素を製造することにより、比較的澄んだ青
色色素を製造することが可能な新しい青色色素の製造方
法を提供することを目的とするものである。また、本発
明は、再溶解した際の色合いが乾燥する前のものに比較
的近い青色を呈する高い安定性を有する濃縮青色色素の
製造方法を提供することを目的とするものである。更
に、本発明は、食品色素、入浴剤用色素、化粧品用色
素、おもちゃ用色素、衣類用色素等として有用な青色色
素を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の第1の態様は、水溶液中でPeCSOとアリ
イナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存さ
せ、加温保持することを特徴とする青色色素の製造方
法、である。
【0012】また、前記課題を解決するための本発明の
第2の態様は、PeCSOとアリイナーゼとの反応物を
水不溶性の有機溶媒で抽出処理した後、得られた成分に
アミノ酸を添加・反応させ、その後アリシンを添加・反
応させることを特徴とする上記第1の態様記載の青色色
素の製造方法、である。
【0013】また、前記課題を解決するための本発明の
第3の態様は、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼと
の反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させた後、加温
保持する前に加熱処理を施すことを特徴とする上記第1
の態様記載の青色色素の製造方法、である。
【0014】また、前記課題を解決するための本発明の
第4の態様は、前記第1乃至3の態様に記載の方法によ
って得られた青色色素溶液に糖類、糖アルコール類、還
元剤の1種又は2種以上を添加した後に乾燥することを
特徴とする青色色素濃縮物の製造方法、である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、水溶液中でPeCS
Oとアリイナーゼとの反応生成物(以下、反応物とい
う)、アミノ酸及びアリシンを共存させ、加温保持する
ことを特徴とするが、水溶液中でPeCSOとアリイナ
ーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させるた
めの方法としては、以下の様な方法を例示することがで
きる。
【0016】第1の方法としては、PeCSO、アリイ
ナーゼ、アミノ酸、アリインを水溶液中で共存させる方
法である。第2の方法としては、PeCSO、アリイナ
ーゼ、アミノ酸、アリシンを水溶液中で共存させる方法
である。第3の方法としては、PeCSOとアリイナー
ゼとの反応物、アミノ酸、アリイナーゼ、アリインを水
溶液中で共存させる方法である。第4の方法としては、
PeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸、アリ
シンを水溶液中で共存させる方法である。第5の方法と
しては、PeCSOとアリイナーゼとの反応物を水不溶
性の有機溶媒で抽出処理して得られた成分にアミノ酸、
アリイン、アリイナーゼを水溶液中で共存させる方法で
ある。第6の方法としては、PeCSOとアリイナーゼ
との反応物を水不溶性の有機溶媒で抽出処理して得られ
た成分にアミノ酸、アリシンを水溶液中で共存させる方
法である。
【0017】上記各方法において、PeCSOとアリイ
ンを共存させる場合のPeCSOとアリインの比率は重
量比で1:2以上であることが好ましい。また、上記各
方法において、共存させるアミノ酸の量としては、Pe
CSO1.0mgに対し5.2μmole以上であるこ
とが好ましい。
【0018】PeCSOは、玉ねぎ等のアリウム(Al
lium)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎に
存在する(Molecular formula:C6
11NO3 S、HRFAB−MS(m/z):foun
d 178.052892(M+H)+ 、calcd.
178.053790)。従って、当該鱗茎の水抽出物
をそのまま使用してもよく、あるいは当該水抽出物から
PeCSOを抽出して使用してもよいが、当該鱗茎には
アリイナーゼのような酵素が含まれているために、Pe
CSOを抽出して使用する際にはこれらを予め失活させ
ておくか、あるいはアリイナーゼのような酵素が活性を
示さないようにしておく必要がある。上記酵素を失活さ
せるために加熱処理を施す場合は、加熱条件として、上
記酵素を失活させることができる条件であれば、特に限
定されない。電子レンジによる加熱を例にとると、60
0Wで5〜10分加熱処理するが、必要に応じて、その
程度を調節することが可能である。また、電子レンジ以
外の加熱方法、例えば、蒸したり、煮たりといった方法
をとることも可能である。一方、酵素活性を抑制するた
めの方法としては、アルコール中で磨砕処理する方法を
例示することができる。
【0019】玉ねぎ等のアリウム(Allium)属及
びその交配種から選ばれる植物の鱗茎のPeCSOを含
む水抽出物は、例えば、以下の手法により製造すること
ができる。本発明において、アリウム(Allium
属としては、ねぎ、分葱、万能ねぎ、玉ねぎ、エシャロ
ット、ニンニク等が代表的なものとして例示されるが、
これらのアリウム属及びその交配種のうち、玉ねぎを例
に説明すると、まず、玉ねぎの水抽出液は、生の玉ねぎ
の外皮を取り除き、丸ごと、又は、適当な大きさに切り
分け、例えば、ラップで包んだ後、電子レンジで加熱処
理する。このようにして得られる加熱処理した玉ねぎを
ミキサーで粉砕し、続いて同重量の水を加えて一晩放置
後、ろ過又は遠心分離など不溶物を取り除く操作をして
水抽出物を得る。
【0020】次に、こうした水抽出物から更にPeCS
Oを抽出する方法としては、当該水抽出物を陽イオン交
換樹脂で処理した後、アンモニアで溶出させ、塩酸等で
pH3程度に調整後、逆相カラムを用いた中圧液体クロ
マトグラフィーで分離した後、エバポレーターで乾燥粉
末化する方法を例示することができる。
【0021】アリイナーゼは、アリウム(Alliu
)属及びその交配種から選ばれる植物、殊にニンニク
の鱗茎に多く存在する。従って、当該鱗茎から粗酵素液
として抽出するか、あるいは当該粗酵素液を更に分画精
製して精製されたアリイナーゼを抽出してもよい。
【0022】アリイナーゼの粗酵素液の抽出方法として
は、当該鱗茎を水とともに磨砕した後、遠心分離して得
た上澄液をpH4.0に調整して等電点沈澱させ、更に
遠心分離して沈澱物を得、それを緩衝液に再溶解させる
方法を例示することができる。そして、精製されたアリ
イナーゼは、当該粗酵素液にハイドロキシアパタイトを
加えて吸着させた後、遠心分離してハイドロキシアパタ
イトを回収し、その後、高濃度の緩衝液に酵素を溶出さ
せ、遠心分離によりハイドロキシアパタイトを除去して
酵素溶出液を得、次に、当該酵素溶出液をConA−S
epharose 4Bカラムに吸着させ、更にα−D
−mannopyranosideを加えた緩衝液で溶
出後、活性のある画分を回収することにより得ることが
できる。 参考文献:Nock,L.and Mazelis,
M.(1987)Plant Physiol.,8
5,1079−1083
【0023】アミノ酸としては、例えば、グリシン、グ
ルタミン、セリン、スレオニン、アスパラギン、エチル
システイン、グルタミン酸、アルギニン、バリン、メチ
オニン、2−アミノ酪酸、ロイシン、イソロイシン、フ
ェニルアラニン、リジン、3−アミノ酪酸を好適なもの
として掲げることができる。これらアミノ酸の1種又は
2種以上を適宜使用することができる。
【0024】アリインは、ニンニクの鱗茎に存在する。
従って、当該鱗茎の水抽出物をそのまま使用してもよ
く、あるいは当該水抽出物からアリインを抽出して使用
してもよいが、上記したPeCSOの場合と同様に、当
該鱗茎にはアリイナーゼのような酵素が含まれており、
これらを予め失活させておくか、あるいはアリイナーゼ
のような酵素が活性を示さないようにしておく必要があ
る。上記酵素を失活させるために加熱処理を施す場合
は、加熱条件として、上記酵素を失活させることができ
る条件であれば、特に限定されない。電子レンジによる
加熱を例にとると、600Wで5〜10分加熱処理する
が、必要に応じて、その程度を調節することが可能であ
る。また、電子レンジ以外の加熱方法、例えば、蒸した
り、煮たりといった方法をとることも可能である。一
方、酵素活性を抑制するための方法としては、アルコー
ル中で磨砕処理する方法を例示することができる。
【0025】ニンニクの鱗茎のアリインを含む水抽出物
は、例えば、以下の手法により製造することができる。
まず、ニンニクの水抽出物は、生のニンニクの外皮を取
り除き、丸ごと、又は、適当な大きさに切り分け、例え
ば、ラップで包んだ後、電子レンジで加熱処理する。こ
のようにして得られる加熱処理したニンニクをミキサー
で粉砕し、続いて同重量の水を加えて一晩放置後、ろ過
又は遠心分離など不溶物を取り除く操作をして水抽出物
を得る。
【0026】次に、こうした水抽出物から更にアリイン
を抽出する方法としては、当該水抽出物を陽イオン交換
樹脂で処理した後、アンモニアで溶出させ、塩酸等でp
H3程度に調整後、逆相カラムを用いた中圧液体クロマ
トグラフィーで分離した後、エバポレーターで乾燥粉末
化する方法を例示することができる。
【0027】アリシンは、アリインとアリイナーゼとの
反応によって生成される。従って、アリシンの抽出方法
としては、上記した方法により抽出したアリインをアリ
イナーゼで分解した後、エーテル等の有機溶媒で抽出
し、更にエバポレーターで乾燥した後、当該乾燥物を水
に再溶解させる方法を例示することができる。
【0028】PeCSOとアリイナーゼとの反応物は、
上記した方法により抽出したPeCSOとアリイナーゼ
を反応させることにより得ることができるが、玉ねぎ等
のアリウム(Allium)属及びその交配種から選ば
れる植物の鱗茎には、PeCSOとアリイナーゼが存在
しており、従って、当該鱗茎の水抽出物から得ることも
できる。
【0029】次に、本発明においては、水溶液中でのP
eCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリ
シンとの共存下において、特定時期に加熱処理を施すこ
とにより、青色の発色効果を向上させることができる。
すなわち、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反
応物、アミノ酸及びアリシンを共存させた後、加温保持
する前に加熱処理を施すことにより、青色の発色効果を
向上させることができる。
【0030】更には、PeCSOとアリイナーゼとの反
応物にアミノ酸を添加して共存させた後に加熱処理を施
し、それにアリシンを共存させ、更に加熱処理を施した
後に加温保持することにより、青色の発色効果を更に向
上させることができる。当該加熱処理の条件は、例え
ば、100℃程度の高温であれば10分間以内で青色を
誘導することができ、加熱温度を更に高く設定すること
によりより短い時間で青色を誘導することが可能とな
る。また、加温保持の条件としては、30〜40℃程度
を例示することができ、この場合は1〜3日で良好に発
色する。
【0031】次に、水溶液中でPeCSOとアリイナー
ゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンとを共存させ、加
温保持することにより、青色を発色させるが、この場合
の溶液のpHとしては、4.5〜7以上、更には5〜6
以上であることが好ましい。これにより、加温保持によ
る青色の発色効果を更に向上させることができる。
【0032】上記方法により得られた青色色素溶液は、
鮮やかな青色を呈し、そのままでも食用色素として使用
することができるが、当該青色色素溶液を濃縮すること
もできる。具体的な方法としては、得られた青色色素溶
液に糖類、糖アルコール類、還元剤の1種又は2種以上
を添加した後に濃縮する方法を例示することができる。
その好適なものを例示すると、糖類としては、グルコー
ス、シュークロース等があり、糖アルコール類として
は、ソルビトール、マンニトール等があり、還元剤とし
ては、アスコルビン酸ナトリウム等がある。
【0033】また、他の方法としては、青色色素溶液を
多孔質樹脂、例えばダイヤイオンHP−20に吸着さ
せ、水で洗浄後、メタノール等のアルコール溶液で溶出
する方法がある。この方法によると、上記青色色素溶液
中の不純物を除去することができるので、濃縮処理によ
る安定性の高いものを得ることができる。
【0034】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1 pH5.6の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液5.5ml
にPeCSO粉末2.5mgを添加し、更にアリイン粉
末をPeCSO粉末に対し重量比で1:1、1:2、
1:3、1:4、1:5となるように添加した後、2M
のグリシン0.5mlとアリイナーゼ0.5mlを添加
し、37℃で2日間加温保持した。次いで、上記によっ
て得られた青色の発色効果を590nm吸光度で評価し
た。その結果を図1に示す。なお、PeCSO粉末は前
記方法によって玉ねぎから抽出し粉末化した。また、ア
リイン粉末は、前記方法によってニンニクから抽出し粉
末化した。また、アリイナーゼは、前記方法によってニ
ンニクから抽出した粗酵素液を使用した。
【0035】図1から明らかなように、アリインをPe
CSOの2倍量以上を添加することにより、青色色素の
生成を飛躍的に向上させることができる。従って、前記
した第1の方法により水溶液中でPeCSOとアリイナ
ーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させ、加
温保持するに当たっては、アリインをPeCSOの2倍
量以上を共存させることが本発明の目的を達成する上か
ら有効である。
【0036】実施例2 pH5.6の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液2.2ml
にPeCSOとアリインをそれぞれ1mg、2mg添加
した。これにアリイナーゼの粗酵素液0.2mlと所定
量のグリシンを添加し、37℃で3日間加温保持した。
次いで、上記によって得られた青色の発色効果を590
nm吸光度で評価した。その結果を図2に示す。
【0037】図2から明らかなように、グリシンの添加
量がPeCSO1mg(5.6μmole)に対し5.
2μmole以上の場合に、無添加の物に比べ590n
m吸光度が大幅に上がっており、青色の発色効果の向上
が認められる。
【0038】実施例3 PeCSO(10mg/ml)溶液1.5mlと精製ア
リイナーゼ(400u/ml)溶液0.5mlを混合し
37℃で1分間反応させた後、エーテル抽出を3回行い
エバポレーターで乾燥した。その後、pH5.6の酢酸
ナトリウム緩衝液30mlに再溶解してPeCSOとア
リイナーゼとの反応物溶液(以下、反応物溶液という)
を得た。アリイン(10mg/ml)溶液20mlとア
リイナーゼ(400u/ml)6.5mlを混合し37
℃で1分間反応させた後、エーテル抽出を行いエバポレ
ーターで乾燥した。その後、蒸留水20mlに再溶解し
てアリシン溶液を得た。
【0039】次に、反応物溶液3ml、0.1Mのグリ
シン0.3ml、アリシン溶液0.3mlを、以下に示
す(1)〜(4)の要領で反応させて青色を発色させ
た。次いで、上記によって得られたそれぞれの青色の発
色効果を590nm吸光度で評価した。その結果を図3
に示す。尚、加熱処理は、沸騰水中で10分間という条
件で行った。
【0040】(1)反応物溶液とグリシンとアリシン溶
液を混合した後に37℃で加温保持した。 (2)反応物溶液とグリシンとアリシン溶液を混合した
後に加熱処理し、その後に37℃で加温保持した。 (3)反応物溶液とグリシンを混合した後に加熱処理
し、それにアリシン溶液を混合した後に37℃で加温保
持した。 (4)反応物溶液とグリシンを混合した後に加熱処理
し、それにアリシン溶液を混合した後に再び加熱処理
し、次いで37℃で加温保持した。
【0041】図3から明らかなように、反応物溶液とグ
リシンとアリシン溶液を添加した後に加熱処理を施すこ
とにより、速やかに青色色素が生成されることがわか
る。また、反応物溶液とグリシンを混合した後に加熱処
理し、それにアリシン溶液を混合した後に再び加熱処理
を施すことにより、上記効果を更に促進させることがわ
かる。
【0042】実施例4 PeCSO(10mg/ml)1mlとpH5.6の
0.1M酢酸ナトリウム緩衝液1mlを混合した後、ア
リイナーゼ溶液(400u/ml)0.33mlを添加
し、37℃で1分間反応させた後、エーテルで3回抽出
後、エバポレーターで乾燥してPeCSOとアリイナー
ゼとの反応物を得た。その後、蒸留水2mlに再溶解
し、1mlずつに分割し、一方の1mlにはpH5.6
の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液9mlを添加し、他の
一方の1mlには蒸留水9mlを添加して、それぞれ1
0mlの反応物溶液を得た。
【0043】その後、それぞれを更に3mlずつ分割し
て6つの反応物溶液を得、それぞれの反応物溶液を以下
に示す(1)〜(3)及び(A)〜(C)の要領で反応
させて青色を発色させた。次いで、上記によって得られ
たそれぞれの青色の発色効果を590nm吸光度で評価
した。その結果を図4に示す。尚、(1)〜(3)は酢
酸ナトリウム緩衝液を使用して得たpH5.6の反応物
溶液であり、(A)〜(C)は蒸留水を使用して得たp
H3.5の反応物溶液である。また、(2)、(3)及
び(B)、(C)における加熱処理は、100℃、10
分間という条件で行った。
【0044】(1)反応物溶液3mlに0.1Mのグリ
シン溶液0.3mlとアリシン溶液0.3mlを混合
し、37℃で加温保持した。 (2)反応物溶液3mlに0.1Mのグリシン溶液0.
3mlとアリシン0.3ml溶液を混合した後に加熱処
理し、その後に37℃で加温保持した。 (3)反応物溶液3mlに0.1Mのグリシン溶液0.
3mlを混合した後に加熱処理し、それにアリシン溶液
0.3mlを混合した後に再び加熱処理し、次いで37
℃で加温保持した。
【0045】(A)酢酸ナトリウム緩衝液に代えて蒸留
水を使用した他は、上記(1)と同様にして、37℃で
加温保持した。 (B)酢酸ナトリウム緩衝液に代えて蒸留水を使用した
他は、上記(2)と同様にして、37℃で加温保持し
た。 (C)酢酸ナトリウム緩衝液に代えて蒸留水を使用した
他は、上記(3)と同様にして、37℃で加温保持し
た。
【0046】図4から明らかなように、緩衝液を使用し
た溶液、すなわちpH5.6の溶液の方が、蒸留水を使
用した溶液、すなわちpH3.5の溶液よりも青色の発
色効果において優れている。
【0047】実施例5 7.5mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に粉末Pe
CSO25mgとアリイン50mgを溶解し、精製アリ
イナーゼ(400u/ml)溶液を2.5ml添加し、
37℃で1分間反応させた後、エーテルで3回抽出し、
エバポレーターで乾燥した。次いで、上記によって得ら
れた乾燥物を上記と同様の緩衝液50mlに再溶解し、
更に1Mのグリシン溶液を0.5ml加え、37℃で3
日間加温保持して青色色素溶液を得た。
【0048】次に、上記青色色素溶液に、同量のグルコ
ース溶液、ソルビトール溶液、アスコルビン酸ナトリウ
ム溶液、グルコースとアスコルビン酸ナトリウムの混合
溶液を添加混合した後、それぞれの溶液の590nmの
吸光度を測定した。その後、当該溶液をエバポレーター
で乾燥させた後、水で再溶解させて上記乾燥処理前と同
量の溶液に戻し、それぞれの溶液の590nmの吸光度
を測定した。その結果を表1に示す。表中、安定性
(%)は乾燥後の590nmの吸光度/乾燥前の590
nmの吸光度×100(%)により算出された値であ
る。尚、上記青色色素溶液に、同量の蒸留水を添加混合
したものをコントロールとして用いた。
【0049】
【表1】
【0050】表1から明らかなように、グルコース、ソ
ルビトール、アスコルビン酸Naを添加したものはコン
トロールよりも青色色素の濃縮処理による安定性におい
て優れており、また、併用によって更にその効果を向上
させることができる。
【0051】実施例6 3mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に粉末PeCS
O15mgとアリイン30mgを溶解し、精製アリイナ
ーゼ(400u/ml)溶液を0.75ml添加し、3
7℃で1分間反応させた後、エーテルで3回抽出し、エ
バポレーターで乾燥した後、上記と同様の緩衝液3ml
に再溶解した。その後、当該溶液2mlに、上記と同様
の緩衝液16mlと0.5Mのグリシン溶液を2ml加
え、37℃で3日間加温保持して青色色素溶液を得た。
【0052】次いで、上記によって得られた青色色素溶
液5mlを1mlのダイヤイオンHP−20カラムに通
して吸着させた後、当該カラムを蒸留水で洗浄後、メタ
ノール5mlで溶出させ、その溶液の590nmの吸光
度を測定した。その後、当該溶液をエバポレーターで乾
燥させた後、水で再溶解させて上記乾燥処理前と同量の
溶液に戻し、590nmの吸光度を測定した。
【0053】その結果を表2に示す。表中、安定性
(%)は乾燥後の590nmの吸光度/乾燥前の590
nmの吸光度×100(%)により算出された値であ
る。
【0054】
【表2】
【0055】表2から明らかなように、得られた青色色
素を多孔質樹脂で処理することによってその不純物を除
去することにより、当該青色色素は、その乾燥処理前と
乾燥処理後の吸光度において、ほとんど変化がなく、安
定性において優れていることがわかった。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、水溶液
中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及
びアリシンを共存させ、加温保持することを特徴とする
青色色素の製造方法に係るものであり、本発明によれ
ば、従来、開発が強く求められていた、食品等へ使用す
ることが可能な天然青色色素を効率的に製造することが
できる。また、比較的澄んだ色調の青色色素を簡便に製
造することができる。得られた青色色素は、食品色素、
入浴剤用色素、化粧品用色素、おもちゃ用色素、衣類用
色素等として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PeCSOとアリインの量比と青色の発色効果
との関係を示す。
【図2】グリシンの添加量と青色の発色効果との関係を
示す。
【図3】加熱処理と青色の発色の促進効果との関係を示
す。
【図4】pH5.6の反応物溶液(1〜3)及びpH
3.5の反応物溶液(A〜C)と青色の発色効果との関
係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋田 香 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液中でトランス−(+)−S−(1
    −プロペニル)−L−システイン スルホキシド(Pe
    CSO)とアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリ
    シンを共存させ、加温保持することを特徴とする青色色
    素の製造方法。
  2. 【請求項2】 PeCSOとアリイナーゼとの反応物を
    水不溶性の有機溶媒で抽出処理して、得られた成分にア
    ミノ酸を添加・反応させ、その後アリシンを添加・反応
    させることを特徴とする請求項1記載の青色色素の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 水溶液中でPeCSOとアリイナーゼと
    の反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させた後、加温
    保持する前に加熱処理を施すことを特徴とする請求項1
    記載の青色色素の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3に記載の方法によって得
    られた青色色素溶液に糖類、糖アルコール類、還元剤の
    1種又は2種以上を添加した後に、濃縮することを特徴
    とする青色色素濃縮物の製造方法。
JP8177101A 1996-06-13 1996-06-17 青色色素の製造方法 Expired - Fee Related JP2957948B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8177101A JP2957948B2 (ja) 1996-06-13 1996-06-17 青色色素の製造方法
US08/874,409 US5788758A (en) 1996-06-17 1997-06-13 Method for manufacturing blue pigment

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17411896 1996-06-13
JP8-174118 1996-06-13
JP8177101A JP2957948B2 (ja) 1996-06-13 1996-06-17 青色色素の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1057011A true JPH1057011A (ja) 1998-03-03
JP2957948B2 JP2957948B2 (ja) 1999-10-06

Family

ID=26495836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8177101A Expired - Fee Related JP2957948B2 (ja) 1996-06-13 1996-06-17 青色色素の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2957948B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2957948B2 (ja) 1999-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
IE882213L (en) Method for the recovery of steviosides from plant raw material
CN109757600B (zh) 一种紫苏肽的制备方法
JP2006008665A (ja) 甘藷茎葉の抽出物
JP2619298B2 (ja) 無塩濃厚粉末調味料の製造法
JP2000063827A (ja) 抗酸化剤の製造方法
JP2957948B2 (ja) 青色色素の製造方法
KR20050090041A (ko) 녹용 또는 녹각으로부터 유효성분을 추출하는 방법
De Iseppi et al. Garlic greening: Pigments’ biosynthesis and control strategies
US5788758A (en) Method for manufacturing blue pigment
JPH0253456A (ja) 塩辛味増強剤
JP2002186449A (ja) アリウム属植物エキスの製造方法
CN113875964B (zh) 一种二肽和其美拉德反应产物以及制法和应用
WO1995019716A1 (fr) Procede de production d'extrait embryonnaire
JP3330305B2 (ja) 玉葱の催涙性物質生成酵素
JP2667791B2 (ja) 紫サツマイモ色素と食品原料の同時製造方法
CN101554222A (zh) 香菇味素及提取方法
JP2000270806A (ja) 昆布エキス及びその製造法
JP2934393B2 (ja) 青色色素の製造方法
JPH1060003A (ja) ポルフィランを製造する方法
JP3636694B2 (ja) ヤーコンを用いた食品の製造方法
KR101333667B1 (ko) 나트륨 섭취량을 저감화하는 천연 아미노산 추출물이 코팅된 소금 가공품
JPH0851950A (ja) 野菜抽出エキス含有製剤
JPH07135936A (ja) サフラン飲料
KR930008105B1 (ko) 멸치와 미역을 이용한 천연식품의 제조방법
JPS596867A (ja) 冷水用麦茶の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080723

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080723

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090723

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100723

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100723

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110723

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees