JP3330305B2 - 玉葱の催涙性物質生成酵素 - Google Patents

玉葱の催涙性物質生成酵素

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素アリイナーゼ
の共存下で、玉葱等に存在するPeCSOから生成した
前駆物質に作用して催涙性物質を生成する酵素に関する
ものであり、更に詳しくは、玉葱等に存在する含硫化合
物のPeCSOから酵素アリイナーゼの共存下で生成さ
れる催涙性物質Lachrymatory Factor (以下催涙性物質
LFという)を生成する新規催涙性物質生成酵素とその
製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】玉葱を切断したり、すり潰したりすると
揮発性の催涙性物質LFが生成される。玉葱におけるこ
の催涙性物質LFについて、Virtanenらは、玉葱からそ
の前駆物質の単離を行い、これを(+)−S−(1−プ
ロペニル)−L−システインスルフォキシド(PeCS
O、図9中、3で示される物質)と同定し、更に、催涙
性物質LFを1−プロペニルスルフェン酸(図9中、1
1で示される物質)と同定した(Spare, C. G. and Vir
tanen. A. I., Acta Chem. Scand., 17, 641, (196
3))。その後、Brodnitzらは、合成により、催涙性物質
LFがチオプロパナール−S−オキシド(図9中、12
で示される物質)であることを確認している(Brodnit
z, M. H., and Pascale, J. V., J. Agric. Food. Che
m., 19, 269, (1971) )。
【0003】玉葱における催涙性物質LFの形成及びそ
の分解については、これまで、多くの研究成果が報告さ
れているが、上記催涙性物質LFの生成メカニズムにつ
いては、上記前駆物質のPeCSOに酵素アリイナーゼ
が作用して生成されると考えられていた。即ち、催涙性
物質LFが生じるメカニズムとして、従来は、前駆物質
のPeCSOに酵素アリイナーゼが作用し、スルフェン
酸を経て非酵素的により安定な催涙性物質になると考え
られていた。しかし、本発明者の研究したところによれ
ば、実際に、上記成分は酵素アリイナーゼの作用だけで
は生じず、他の酵素の関与が不可欠であることが判明し
た。そこで、本発明者は更に鋭意研究を積み重ねた結
果、上記スルフェン酸を異性化して催涙性物質LFを生
成すると考えられる新しい酵素の存在することを見い出
すと共に、上記前駆物質は、当該酵素の作用の如何によ
って、催涙性物質LF(即ち、香り成分)あるいはこれ
と別の風味成分になることが分かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記新規な
知見に基づいて完成されたものであり、玉葱等に存在す
る催涙性物質LFの前駆物質に作用して当該催涙性物質
LFを生成する新規催涙性物質生成酵素及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、酵素ア
リイナーゼの共存下で玉葱等に存在するPeCSOから
催涙性物質を生成する催涙性物質生成酵素、である。 また、本発明は、以下の理化学的性質: (1)作用;玉葱等に存在する含硫化合物のPeCSO
から酵素アリイナーゼの共存下で催涙性物質Lachrymato
ry Factor を生成する作用を有する、 (2)基質特異性;酵素アリイナーゼの共存下で、玉葱
等に存在するPeCSOから生成した前駆物質に作用す
る、 (3)至適pH;pH5.0〜6.0、 (4)至適温度;15〜25℃、 (5)pH安定性;15〜25℃、10〜30分のイン
キュベートにおいてpH5.0〜9.0で安定、 (6)温度安定性;pH6.5、5分のインキュベート
において60℃以下で安定、 (7)分子量;約18000(SDS−PAGE電気泳
動法)、約25000〜28000(FPLCゲル濾過
法)、を有する前記の催涙性物質生成酵素、である。更
に、本発明は、玉葱に水を加えて破砕し、抽出すること
を特徴とする前記の催涙性物質生成酵素の製造方法、で
ある。また、本発明は、以下の方法により測定した場合
に、UVλhexane(max(e):254(51
60)nm)におけるチオプロパナール−S−オキシド
の生成を示す催涙性物質生成酵素、である。 1)アリイナーゼと本酵素を適当な割合で混合する。 2)PeCSOを添加し1分間、酵素反応をさせる。 3)クロロフォルムを加えて酵素反応を止め、同時に催
涙性成分をクロロフォルム層に転溶する。 4)HPLC(HPLC:高速液体クロマトグラフィ
ー)で測定する。 (条件) カラム:シリカゲル 温度:0℃ 流速:1ミリリットル/min 移動相:2%イソプロパノール/n−ヘキサン 検出器:UV254nm 更に、本発明は、アリイナーゼと催涙性物質生成酵素を
適当な割合で混合した後、PeCSOを添加して酵素反
応させ、チオプロパナール−S−オキシドの生成をHP
LC(HPLC:高速液体クロマトグラフィー)で測定
することを特徴とする催涙性物質生成酵素の活性の測定
方法、である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について更に詳細
に説明する。本発明の酵素は、好適には玉葱等を原料と
して、抽出、精製し、製造されるが、原料として、玉葱
と同様に、上記酵素含有材料であれば、玉葱以外のもの
を使用することができる。本発明の酵素の抽出、精製工
程として、以下の方法が好適なものとして例示される。
即ち、例えば、玉葱を原料とし、これを水で加水し、ミ
キサー等で破砕する。得られた破砕物を遠心し、その上
澄み液を塩析して蛋白質を沈澱させる。次いで、上記沈
澱物をリン酸バッファー等の緩衝液に溶解し、遠心し、
その上澄み液を粗酵素液として採取する。ここで、緩衝
液としては各種のものが使用できるが、例えば、リン酸
カリウムバッファー、クエン酸バッファー、酢酸バッフ
ァー、酒石酸バッファー、コハク酸バッファー、マレイ
ン酸バッファー、Tris−HClバッファー、クエン
酸−リン酸バッファー等が例示される。次に、上記方法
によって得られた粗酵素液を、例えば、ハイドロキシア
パタイト、硫安塩析、透析、陰イオン交換、ゲル濾過等
の手段を適宜組合わせて、精製処理することにより、精
製酵素標品とすることができる。粗酵素液からの本酵素
の精製は、上記方法に限らず、公知の分離、精製方法が
適用できるが、例えば、粗酵素液から硫安塩析法、有機
溶媒沈澱法などにより粗酵素蛋白を得て、更に、これを
イオン交換、ゲル濾過、アフィニティー等の各種クロマ
トグラフィーを適宜組合わせることによって精製処理す
ることができる。
【0007】本酵素は、酵素アリイナーゼの共存下で玉
葱等に存在する含硫化合物のPeCSOより生成される
前駆物質に作用し、催涙性物質LFを生成することか
ら、当該酵素の働きを、例えば、pH、温度条件の調
整、酵素活性阻害剤の適用等により調整することによ
り、上記前駆物質の反応経路を制御することが可能であ
り、これにより、スルフェン酸の催涙性物質LF(即
ち、香り成分)への移行又は別の風味成分への移行をコ
ントロールすることができる。したがって、酵素アリイ
ナーゼと本酵素を組合せることによって、例えば、玉葱
に存在する上記PeCSOから前駆物質、催涙性物質L
Fへの変化を制御して、玉葱及びその加工品の香味と刺
激性を調整することが可能となり、例えば、玉葱特有の
香味の増強されたオニオンパウダー、所望の風味、香り
を有するフレーバー、催涙作用を有する薬品などの玉葱
加工品を製造することが可能となる。
【0008】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1 (1)酵素の抽出粗精製 玉葱3個(790g)に蒸留水を1リットル加水し、ミ
キサーで破砕した。高速遠心機で5℃、8000rp
m、5分遠心し、その上澄み液(回収:1.5リット
ル)に硫酸アンモニウム709g加え(70%飽和)塩
析し、蛋白質を沈澱させた。高速遠心機で5℃、800
0rpm、5分遠心し、上澄み液は捨て、沈澱物をバッ
ファーA1リットルに溶解した(バッファーA:pH
6.5、50mMリン酸Kバッファー)。高速遠心機で
5℃、12000rpm、15分遠心し、上澄み液(回
収:1リットル)を粗精製液とした。
【0009】(2)ハイロドキシアパタイト処理 1.5cm×1.5cm×30cmのカラムにハイドロ
キシアパタイト高速流速タイプ(和光)をつめて、バッ
ファーAで平衡化した。次いで、上記粗精製液を流速
3.5ミリリットル/minでPassさせ、Pass
させた液(回収:900ミリリットル)をPass液と
した。
【0010】(3)濃縮及び透析 上記Pass液900ミリリットルに硫酸アンモニウム
424.8g加え(70%)塩析し、蛋白質を沈澱させ
た。高速遠心機で5℃、12000rpm、5分遠心
し、上澄み液は捨て、沈澱物をバッファーA100ミリ
リットルに溶解した。分子量10000以下の物質を通
す透析膜を用いて上記の溶解液を透析するために、まず
バッファーA1リットルを用いて4℃下1時間透析し
た。上記の操作を2回繰り返し、バッファーA1リット
ルを用いて4℃下17時間透析した。透析チューブから
液を取り出し(回収:105ミリリットル)、これを透
析後液とした。
【0011】(4)陰イオン交換処理と濃縮 1.0cm×1.0cm×25cmのカラムにDE52
(ワットマン)をつめた(78.5ミリリットル)。バ
ッファーAで平衡化し、透析後液を流速3.5ミリリッ
トル/minでDE52に吸着させた。次いで、バッフ
ァーA100ミリリットルで洗浄し、pH6.5のりん
酸Kバッファー(50mM→500mM:500ミリリ
ットル、500mM:120ミリリットル)で溶出し
た。その結果を図1に示す。次いで、図1の斜線の部分
を分取して(回収:120ミリリットル)、分取した液
に硫酸アンモニウム56.7g加え(70%)塩析し、
蛋白質を沈澱させた。高速遠心機で5℃、20000r
pm、5分遠心し、上澄み液は捨て、沈澱物をバッファ
ーA3ミリリットルに溶解し、陰イオン交換後液とし
た。
【0012】(5)ゲル濾過処理と保存 0.8cm×0.8cm×70cmのカラムにG−10
0(ファルマシア)をつめた(126ミリリットル)。
バッファーAで平衡化し、陰イオン交換後液を3ミリリ
ットルアプライした。流速0.33ミリリットル/mi
nでバッファーAを流した。その結果を図2に示す。次
いで、図2の斜線の部分を分取して(回収:25ミリリ
ットル)、−80℃で凍結保存した。
【0013】(6)本酵素の確認方法 単離精製したニンニク由来のアリイナーゼとPeCSO
を反応させた時、本酵素が存在しないと催涙性成分(チ
オプロパナール−S−オキシド)は全く生じない。この
ことを利用してHPLCで催涙性成分の生成の有無を測
定することで、本酵素の存在を確認することができる。
また、ニンニクアリイナーゼの代わりに、例えば、Ma
zelisの方法によって単離精製した玉葱由来アリイ
ナーゼを用いても催涙性成分は全く生じないが、本酵素
の確認を目的とするには、より安定なニンニクアリイナ
ーゼを用いるのが便利である。
【0014】以下の方法により、本酵素の確認を行っ
た。 1)アリイナーゼと本酵素を適当な割合で混合する。 2)PeCSOを添加し1分間、酵素反応をさせる。 3)クロロフォルムを加えて酵素反応を止め、同時に催
涙性成分をクロロフォルム層に転溶する。 4)HPLC(HPLC:高速液体クロマトグラフィ
ー)で測定する。 (条件) カラム:シリカゲル 温度:0℃ 流速:1ミリリットル/min 移動相:2%イソプロパノール/n−ヘキサン 検出器:UV254nm
【0015】(7)本酵素の性質 1)本酵素の純度確認 上記の精製操作によって得られた酵素標品は、SDS−
PAGE電気泳動で単一であることを確認した。SDS
−PAGE電気泳動の結果を図3に示す。SDS−PA
GE電気泳動の結果、サブユニットの分子量は約180
00であった。FPLCのゲル濾過の結果、分子量は約
25000〜28000であった。本発明において、ゲ
ル濾過法に基づく分子量の測定は、FPLC(ファルマ
シア社製)を用いて行う。
【0016】2)本酵素の活性測定 酵素活性は、適濃度のPeCSO液に本酵素とニンニク
アリイナーゼを同時に適量加え、所定の時間反応させた
後、生成した催涙性成分の量をHPLCで測定すること
によって測定した。尚、生成したチオプロパナール−S
−オキシドの量はUVλhexane(max(e):254(51
60)nm)であることを利用して計算した。また、酵
素活性は、反応1分間当りチオプロパナール−S−オキ
シドを1μmol生じる酵素量を1unitと定義し
た。
【0017】3)本酵素の精製過程における比活性 本酵素の精製過程における比活性を測定した。尚、蛋白
質はLowry−Folin法を用いて測定した。その
結果を図4に示す。
【0018】4)本酵素の温度安定性 精製した本酵素1ミリリットルを1.5ミリリットルチ
ューブに入れ37℃、60℃、95℃の条件で1、3、
5、10、30分インキュベートした。次いで、これら
を0℃で5分冷却し反応前の温度を一定にした。活性測
定の結果(図5)、37〜60℃で安定であった。
【0019】5)本酵素のpH安定性 pH3.0、4.0、5.0、6.5、7.5、9.0
の50mMりん酸Kバッファーを作製し、バッファーB
とした。精製した本酵素100μリットルにバッファー
B900μリットル加えて10分、30分室温でインキ
ュベートした。活性測定の結果(図6)、10〜30分
インキュベートでpH5.0〜9.0において安定であ
った。
【0020】6)本酵素の至適pH pH条件を変えて、pH5.5を100としたときの活
性の強さを調べた。その結果を図7に示す。本酵素の至
適pHは5.0〜6.0であった。
【0021】7)本酵素の至適温度 温度条件を変えて、20℃を100としたときの活性の
強さを調べた。その結果を図8に示す。本酵素の至適温
度は15〜25℃であった。以上により、本酵素が前記
した理化学的性質を有していることを確認した。
【0022】以下に、本酵素の作用を利用した各種応用
例について説明する。 応用例 (1)玉葱加工品 玉葱を、前記の酵素反応を生起せず、酵素アリイナーゼ
及び本酵素が失活し、PeCSOが残存した状態の加工
品として適宜の形態で提供することが可能となる。具体
的には、剥皮した粗破物乃至ホールの玉葱を加熱処理、
アルコール浸漬処理等により上記の状態の加工品とする
ことができる。加熱処理はボイリング、電子レンジ、遠
赤外線、レトルト処理等により、玉葱の中心品温が80
℃以上で5分以上保持されるような条件で行なえばよ
い。アルコール浸漬処理は、エタノール等に1日程浸漬
することで行なうことができる。加工品は、乾燥処理し
たパウダー、粗破物等の適宜の形態とすることができ
る。
【0023】従来、一般に食品加工に用いられている玉
葱パウダーは、製造工程で前記の酵素反応を起こし、P
eCSOが消耗した状態のものであるため、催涙性物質
を生成できず、玉葱本来の風味、香りを呈し難い所があ
った。これに対して、上記態様の加工品では、これを食
品加工等に用いた場合に、他の原料(玉葱等)に含まれ
るアリイナーゼ乃至本酵素が、製品中のPeCSOと反
応して、玉葱本来の風味、香りを呈することが可能とな
る。この場合、乾燥した製品の中にアリイナーゼ乃至本
酵素を各々適当量含むように配合し、使用時に水和して
上記の品質のものを得るようにすることも可能である。
アリイナーゼとしてはニンニク由来のものが安定性が高
く好ましい。また、各酵素の量を調整することにより、
得られる風味、香りの質及び量を適宜調整することがで
き、例えば、本酵素の反応を進めてより風味、香りがシ
ャープな製品とすることが可能であり、また、これを抑
えてマイルドな製品とすることが可能である。
【0024】特に、上記方法により得られる玉葱パウダ
ーは、玉葱本来の風味、香りを有し、甘味が強く苦味が
少ないので、例えば、シチュー、カレー、ラーメンのス
ープ、スナック菓子等の原料として、また、調味料とし
て従来製品にない優れたものとなる。当該玉葱パウダー
の好適な製造例を以下に示す。 (製造例)玉葱3個(750g)を電子レンジで10分
加熱し、水500ミリリットルを加えて破砕した後、−
80℃で薄く凍結した。次いで、これを凍結乾燥機で3
0℃で48時間乾燥して、PeCSOの含量約500m
gの玉葱パウダー50gを得た。
【0025】(2)玉葱フレーバー PeCSO、アリイナーゼ及び本酵素を油系ベースに分
散させることにより、玉葱フレーバーを調製することが
できる。油が介在する状態では上記の3成分は反応せ
ず、例えば、当該フレーバーが食品等に用いられた場合
に、水和されて所望の風味、香りを呈する。この場合
も、上記の3成分の量を変えることによりその品質を適
宜調整することができる。
【0026】(3)目薬 上記(1)と同様にして調製したパウダーを用いて目薬
を調製することができる。点眼時に酵素反応が進んで催
涙性物質が生成することにより催涙作用が奏されるの
で、例えば、当該目薬は、涙欠乏症(ドライアイ)等の
治療に効果を奏する。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
新規催涙性物質生成酵素を提供することができ、また、
酵素を、玉葱等から比較的簡便な操作により製造するこ
とができる。本酵素は、酵素アリイナーゼの共存下で玉
葱等に存在するPeCSOから催涙性物質LF(即ち、
香り成分)を生成する作用を有するので、例えば、玉葱
又は玉葱加工品の香味の改善等に利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】陰イオン交換クロマトグラフィーにおける本酵
素(図の斜線部分)の溶出パターンを示す。
【図2】ゲル濾過における本酵素(図の斜線部分)の溶
出パターンを示す。
【図3】SDS−PAGE電気泳動の結果を示す。
【図4】本酵素の精製過程における比活性を示す。
【図5】本酵素の温度安定性の測定結果を示す。
【図6】本酵素のpH安定性の測定結果を示す。
【図7】本酵素の至適pHを調べた結果を示す。
【図8】本酵素の至適温度を調べた結果を示す。
【図9】玉葱における催涙性物質の形成と分解について
の説明図を示す。
【符号の説明】
E2:本発明の催涙性物質生成酵素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 冨永 みどり (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/00 - 9/99 BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 玉葱等に存在する含硫化合物のPeCS
    Oから酵素アリイナーゼの共存下で催涙性物質Lachryma
    tory Factor を生成する作用を有する催涙性物質生成酵
    素であって、以下の理化学的性質: (作用;酵素アリイナーゼの共存下で、玉葱等に存
    在するPeCSOから生成した催涙性物質生成酵素の基
    質に作用して催涙性物質のチオプロパナール−S−オキ
    シドを生成する、(2)至適pH;pH5.0〜6.
    0、(3)分子量;約18000(SDS−PAGE電
    気泳動法)、を有する催涙性物質生成酵素。
  2. 【請求項2】 以下の理化学的性質:(1)至適温度;15〜25℃、を有する請求項1記載
    催涙性物質生成酵素。
  3. 【請求項3】 以下の理化学的性質:(1)pH安定性;15〜25℃、10〜30分のイン
    キュベートにおいてpH5.0〜9.0で安定、を有す
    る請求項1記載の 催涙性物質生成酵素。
  4. 【請求項4】 以下の理化学的性質:(1)温度安定性;pH6.5、5分のインキュベート
    において60℃以下で安定、(2)分子量;約2500
    0〜28000(FPLCゲル濾過法)、を有する請求
    項1記載の 催涙性物質生成酵素。
  5. 【請求項5】 玉葱に水を加えて破砕し、抽出すること
    を特徴とする請求項1記載の催涙性物質生成酵素の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 以下の方法により測定した場合に、UV
    λhexane(max(e):254(5160)n
    m)におけるチオプロパナール−S−オキシドの生成を
    示す請求項1記載の催涙性物質生成酵素。 1)アリイナーゼと本酵素を適当な割合で混合する。 2)PeCSOを添加し1分間、酵素反応をさせる。 3)クロロフォルムを加えて酵素反応を止め、同時に催
    涙性成分をクロロフォルム層に転溶する。 4)HPLC(HPLC:高速液体クロマトグラフィ
    ー)で測定する。 (条件) カラム:シリカゲル 温度:0℃ 流速:1ミリリットル/min 移動相:2%イソプロパノール/n−ヘキサン 検出器:UV254nm
  7. 【請求項7】 アリイナーゼと請求項1記載の催涙性物
    質生成酵素を適当な割合で混合した後、PeCSOを添
    加して酵素反応させ、チオプロパナール−S−オキシド
    の生成をHPLC(HPLC:高速液体クロマトグラフ
    ィー)で測定することを特徴とする催涙性物質生成酵素
    の活性の測定方法。
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